異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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9周年新情報発表されましたね!
今年も大和は実装されませんでしたが、十三号巡洋戦艦の安土に、タイガーがUR艦として来ましたね
後は着せ替えはイラストリアスとライオン、ゴールデン・ハインドは買いですねぇ…


397.青天の霹靂

──中央歴1643年3月7日午後1時、エンタープライズ艦内士官用食堂──

 

「貴殿らはもう我が方の捕虜、そして殿下とフェルド殿から聞いているであろうが、3つ目の条件はそれこそ貴殿らが我が国を徹底的に攻撃し屈伏させる他に実現させる手が無いだろう」

 

「近衛兵団…ですか」

 

指揮官の言葉にカイザルは苦々しく…コンソメスープの複雑な味わいがまるで苦汁かのような表情で頷く。

 

「少なくとも私が把握している範囲では公開処刑の件は外務省と近衛兵団の主導であり、他の省庁や軍は無関係だと認識している。だが、貴殿らも知っているだろうが我が国では近衛兵団は非常に大きな権限を有しており、最近の外務省は近衛兵団と関係を深めている…近衛兵団に干渉出来るのは皇族の方々ぐらいだ。しかし…」

 

「皇族の中でもそれなりに存在感のあったハイラス殿下は亡くなり、カバル殿下はここに。他の皇族は影響力が限定的…と」

 

「その通りだ。そうなれば後は皇帝陛下のみだが、現状の戦況では皇帝陛下がそちらの条件を全て飲み降伏する事は無いだろう。それこそ、帝国本土に上陸されでもしない限りはな。それに…」

 

食事を終えたカイザルはナプキンで口元を拭くと一息つき、言葉を続けた。

 

「もし、貴殿らが提示した条件全てを飲んで降伏したとてそれは帝国とアズールレーンの間での話だ。アズールレーン加盟国以外…例えば神聖ミリシアル帝国が継戦の意志を示した場合、貴殿らはミリシアルを止めてくれるのか?」

 

カイザルの一番の懸念はそこだ。

帝国が降伏した折には敗軍の将として責任を負う覚悟はあるが、その為には降伏後の安全が確保されていなくてはならない。

降伏し、武装解除と将兵の処罰が終わった頃合いでミリシアルのような大国が攻めてくるような事態が予見されるとなれば、降伏せずに徹底抗戦を選ばざるを得ないだろう。

 

「その件については我々が外交により解決する予定ですが、その為には貴殿らの協力も必要となります」

 

「我々の協力が?」

 

「えぇ」

 

カイザルの問いかけに指揮官は小さく頷くと、水を一口飲むとやや前のめりになって答えた。

 

「ミリシアルを始めとしたアズールレーン加盟国以外を説得する為には全世界への宣戦布告及び、公開処刑…そしてこれまでの貴国の行いの全ての責任を負う者と、それを貴国自身が処断する必要があります。つまり自浄する事で禊をすれば、幾分か説得しやすくなります」

 

「まさか…!近衛兵団と外務省に全ての責任を負わせると!?」

 

思わず立ち上がり声を荒げるカイザルに、指揮官は深く頷いた。

 

「そうです。この戦争は近衛兵団と外務省の暴走により始まったものであり、他の省庁や軍、そして国民はそれに巻き込まれた。それを是正する為に立ち上がった人々が近衛兵団と外務省を糾弾する…という筋書きです」

 

「……不可能だ」

 

指揮官の答えにカイザルは眉根を顰めて否定する。

 

「外務省はともかく、近衛兵団に歯向かう事は不可能だ。近衛兵団は皇帝陛下を始めとした皇族の護衛であり、軍の監視役だ。近衛兵団に弓を引くとなれば、それは皇帝陛下への反逆も同然…大義名分も無く、異世界国家の思惑のまま反逆したとなれば軍は支持を失い、士気も崩壊してしまう」

 

「でしょうね。現状では貴殿が言っているような事になるでしょう。しかし、近衛兵団と外務省を糾弾する筆頭が軍ではなかったとしたら…どうでしょうか?」

 

「何?」

 

「確かに軍が近衛兵団を糾弾すればそれは皇帝に対する反逆も同然でしょう。しかし、近衛兵団が守るべき者がその在り方に疑問を呈し、糾弾したとなれば?」

 

「……まさか!」

 

「カイザル」

 

指揮官の言葉の意図を察したカイザル。

それとほぼ同じタイミングで事の成り行きを見守っていたカバルが口を開いた。

 

「私は今の帝国の在り方、そして近衛兵団の目に余る越権行為を憂いている。このままでは帝国は近衛兵団の為の国となり、臣民は近衛兵団の特権を維持する為の歯車と化してしまうだろう。私はそれを良しとしない。近衛兵団の横暴を食い止めるには軍の力が必要だ」

 

「殿下…」

 

「カイザル、私は彼らに唆された訳ではない。自らの意思で近衛兵団の…帝国の過ちを正す為に立ち上がりたいのだ。手を貸してくれないか?」

 

以前から近衛兵団の権力制限と軍の名誉回復を訴えてきたカバルの言葉を異世界国家に唆されたものだと思う筈がない。

 

「カバル殿下…ご立派になられて…」

 

自らの意思をはっきりと確固たるものとして述べるカバルの姿に、カイザルは涙ぐんでしまった。

カバルが語っているのはただの理想論ではない。

帝国の未来を守るために責任とそれに伴う痛みすら背負うという覚悟の現れであった。

 

「…我々軍人は帝国に忠義を尽くすと誓った身。ならば帝国の未来を憂う殿下に助力するのは我らが本懐。微力ながら尽力致します」

 

「カイザル…!ありがとう…!」

 

硬く握手を交わすカイザルとカバル。

だが、思惑が一致したとて懸念が払拭された訳ではない。

 

「しかし、殿下が先頭に立ち近衛兵団を糾弾するとなれば殿下の立場も危うくなる。ロデニウス連邦に居れば命の危険は無いが、殿下が異世界国家に洗脳されたと判断されてしまえば皇太子としての身分はもちろん、皇族位からも抹消されかねない」

 

フェルドが懸念を口にする。

グラ・バルカス帝国において無能の烙印が押された皇族が皇族の名簿から消された事は一度や二度ではない。

もしカバルもそうなれば軍は後ろ盾を失ってしまう。

 

「いや…例え皇族でなかったとしても我々がカバル殿下を慕う気持ちは変わりません。今まで軍がカバル殿下に受けた励ましは身分によって変わるものではありません」

 

フェルドの懸念にカイザルは自信満々にそう応える。

 

「まあ、カバル殿下のお人柄ならば身分が変わろうと大丈夫でしょう。後はどのような形で殿下による近衛兵団糾弾を発表するか…案は幾つかありますが」

 

──コンコンコンッ

 

指揮官が思案していると、食堂の扉がノックされた。

 

「おや、デザートが来たかな?エンタープライズ」

 

「あぁ、分かった」

 

全員が食事を終えたタイミングであった為、食後のデザートが運ばれてきたと考えた指揮官は控えていたエンタープライズに対応を頼む。

 

「シラ?確か給仕はハーマイオニーが担当していたはず…」

 

「エンタープライズ様、申し訳ありませんが緊急の報告がございます。至急、ご主人様にお取次ぎを」

 

ドアを開けた先に居たのは、今回の給仕を担当していたハーマイオニーではなく、シラであった。

普段から慇懃丁重な彼女であるが、今回は何処となく焦りが見て取れる。

 

「分かった。指揮官、緊急報告らしい」

 

「了解。なんだ?」

 

「失礼致します」

 

入室を許可されたシラは素早く指揮官の傍らに歩み寄ると、彼の耳元に口元を寄せて何やら囁き始めた。

 

「……っ!?なんだと!?」

 

シラが伝えた緊急報告、それを受けた指揮官は珍しく狼狽した様子だ。

 

「フレッツァ将軍、いったい何が…?」

 

いつになく慌てている指揮官にカバルが不安げに問いかける。

それに対し、指揮官はやや迷うような仕草を見せた後、意を決したかのように口を開いた。

 

「…これは我々も裏付けが出来ていない情報だという事を前提に聞いて頂きたい」

 

指揮官の言葉に、カイザルもカバルもフェルドも思わず姿勢を正し、彼の言葉を聴き逃がさんと耳を傾ける。

 

「貴国の首都、その城にて爆発が発生した模様です。これにより、皇帝の安否は不明との事」

 

「なっ…!?」

 

「まさか!」

 

「ち、父上…?」

 

突如として寄せられた驚愕の情報に、その場に居る全員が愕然とした。

 




もうここまで来たら10周年こそ大和でしょう!
来年も期待に胸膨らみますね!
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