異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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パロディって難しいですねぇ…時間かけた割にはクオリティー微妙です


62.炎と氷

──中央暦1639年11月24日午前11時、パーパルディア皇国第三外務局、局長室──

 

かつて、カイオスが主であった第三外務局の局長室。今やそこは彼を失脚させたレミールの私室も同然といった有り様であった。

重厚な黒檀のデスクに座るレミールは、ワナワナと震えていた。

その様子を冷や汗をかきながら見守るのは、皇軍最高司令官アルデを始めとした十数人の男女だった。

 

「い、以上がアルタラス王国侵攻艦隊の調査結果です…」

 

アルデが震え声で締め括る。

それは12日前に、アルタラス王国侵攻を目的とした第三艦隊が消息を絶った事に関する報告の件だった。

それを簡単に纏めるとこうだ。

 

・去る11月19日、エストシラント郊外の磯に大量の木材や布が漂着しているのを近隣住民が発見。

・これを景観保持の為に撤去しようとしたところ、皇国海軍艦の残骸だと判明。

・周辺の沿岸部にも同じく皇国海軍艦の残骸を確認。

・残骸の中には第三艦隊旗艦『ディオス』のネームプレートも存在。

・多数の兵士の遺体も確認された事から、第三艦隊は壊滅したものと見られる。

 

というものだった。

その報告書を読んだレミールは、震えながらデスクに報告書を置くとやや俯き加減に告げた。

 

「アルデ、バルス、マータル…ついでにバルコとタール以外は出ろ。」

 

レミールの言葉から一拍遅れて、局長室から次々と第三外務局の職員とレミールの侍女が出て行く。

そうして最終的に残ったのは5人。

皇軍最高司令官アルデ、海軍総司令官バルス、作戦参謀マータル。そして、レミールの腰巾着となっているバルコとタールだった。

 

──ガチャン

 

最後に、レミールの侍女が頭を下げながら扉を閉めた瞬間、レミールは顔を上げて口を開いた。

 

「これはどういう事だぁぁ!」

 

レミールの怒声が局長室に響き渡った。

 

「栄えある皇軍がフェン王国に続き、二度も敗北しただと!?何をしているんだ!!」

 

驚くべき大音量で怒鳴っているため、分厚い扉越しでもレミールの怒声が聴こえる。

局長室から追い出された人々は、彼女の剣幕にざわついた。

 

「第三艦隊はエストシラントの守り!練度も装備も一流であるはずだ!!」

 

"狂犬"と渾名されるレミールが喉が裂けんばかりに怒鳴り、顔を真っ赤にして激怒している。

はっきり言って怖い。

 

「それがアルタラス王国のような文明圏外国に敗れただと!?」

 

その証拠に、レミールの侍女の内の一人がメソメソと泣き始めた。

 

「マータルゥゥゥゥ!!貴様の頭は飾りかぁぁぁぁぁぁ!?」

 

レミールはアルタラス王国侵攻作戦を立案したマータルに詰め寄り、耳元で怒鳴る。

局長室の窓ガラスがビリビリと震える程の声量を鼓膜に叩き込まれたマータルは、目を白黒させながら頭を下げる。

 

「も…申しわ…」

 

「アルデ、貴様もだ!!」

 

マータルの言葉を遮りつつ、レミールは報告書を握りしめて次にアルデに詰め寄る。

 

「マータルの作戦に不備があれば、貴様が指摘すべきであろう!自分の仕事もこなせない奴なんて大っ嫌いだ!」

 

アルデは荒くなる息を抑えながら、腰を直角に曲げて頭を下げる。

 

「申し訳ありません!まさか、皇軍が敗れるとは……」

 

「うるさい、大っ嫌いだ!情けない言い訳をするな!!バァァァァァァァァカ!」

 

アルデは額に浮いた脂汗をハンカチで拭いつつ、弁明の言葉を続けた。

 

「つ……次こそは、より強力な軍を編成し必ずやアルタラス王国を落としてみせます…」

 

「ならば最初からそうしろ!!」

 

そう怒鳴りながら、レミールは握力と手汗でグチャグチャになった報告書をデスクに叩き付ける。

 

「チクショウめぇぇぇぇぇぇぇぇえ!」

 

重厚な扉がビリビリと振動し、局長室の外で待機する人々がビクッと肩を跳ねさせる。

メソメソ泣いている侍女の肩を、女性局員が慰めるように優しく叩いた。

だが、レミールはそれに構わず怒声を上げ続ける。

 

「フェン王国侵攻艦隊とアルタラス王国侵攻艦隊合わせて、600隻の艦船と50万人もの人材が失われたのだぞ!皇国が敗北するという事の意味が分かっているのか、アルデェェェェェエ!!」

 

更にアルデに詰め寄るレミール。

その剣幕にアルデは一歩下がるが、レミールは一歩詰め寄る。それが繰り返され、とうとうアルデは壁際に追い詰められてしまった。

 

「貴様の皇軍最高司令官としての自覚が足らんかったからだ!お前も更迭してやろうか!?私の前任のカイオスのように!!」

 

そこまでまくし立てるとレミールはデスクに戻り、椅子にドカッと腰を下ろした。

 

「おのれぇ…蛮族めぇ…一度ならず二度までも皇国に泥を塗りおってぇ…」

 

流石に怒鳴り過ぎて疲れたのか、肩で息をしながら静かに怒りを燃やすレミール。

一方、局長室に残った面々は彼女の怒りに触れないように沈黙し、気配を消す事しか出来なかった。

 

「さてはアルタラス王国にもアズールレーンが関わっているなぁ……おのれぇぇぇ…許さんぞ…」

 

親指の爪をギリギリと噛みながら、再び怒りを燃やすレミール。

 

「なんだあのアズールレーンの女武官は…如何にも堅物な顔をしておいて、見せ付けるようなっ!おっぱいぷるーんぷるん!」

 

その場に居た全員の心が一致した。

 

(いや、あんたも大概だろ…)

 

しかし、この場は間違い無く"沈黙は金"な状況だ。全員が沈黙を貫く。

 

「おのれ…アズールレーンめ…絶対に許さん…」

 

レミールはアズールレーンに対する歪んだ怒りを燻らせるのであった。

 

 

──同日、旧ロウリア王国ジン・ハーク──

 

「ふんっ!…ふんっ!」

 

旧ロウリア王国の王都であったジン・ハーク。そこは現在はロデニウス連邦副首相の官邸が設置されている。

そんな官邸の一角に置かれた重桜風の道場で初老の男性が木刀を振っていた。

彼は旧ロウリア王国国王、ハーク・ロウリア34世。現在は、ロデニウス連邦副首相を勤めている。

 

「精が出ますな、副首相。」

 

そんなハークに声を掛ける人物。

それに対してハークは、手拭いで汗を拭きながら声がした方向に目を向ける。

純白のオーバーサイズコートをマントのように羽織った大男…指揮官だった。

 

「おぉ、指揮官殿。如何された?」

 

ハークにとって指揮官は、恩人…長門や高雄を始めとした重桜の武人の上司にあたるため最大限の敬意を払う相手である。

歩み寄るハークに対し、指揮官は口角を僅かに上げた笑みを浮かべる。

 

「今日は…"陛下"にお願いがありまして。」

 

「…ほう。」

 

ハークはロデニウス連邦副首相である。しかし、彼にはもう一つの顔がある。

それこそロデニウス大陸から、パーパルディア皇国の目を逸らす為の隠れ蓑である名前だけの国家『ロウリア統一王国』の国王、ハーク・ロウリア34世だ。

 

「貴方には……"もう一度、敗戦"して頂きたい。」

 

「……どういう意味ですか?」

 

ハークの疑問に、指揮官は背を向けた。

 

「シャワーを浴びて…まあ、平服で良いでしょう。それなりの地位の方と面会するので、そのつもりで。」

 

ブーツの底を鳴らして歩き去る指揮官の背中を見送りながら、ハークは改めて思った。

 

(指揮官殿を敵に回して生き残った私は…世界一の幸運に恵まれたのかもしれぬな。)

 

底知れぬ悪性と、気紛れの善性を持つ指揮官の有り様に恐怖と頼もしさを覚えながら、シャワー室へ向かった。




レミール閣下を後押しして下さったRed October様と瀬名誠庵様の作品も読みましょう
よりクオリティーの高いレミール閣下を見れますよ(勝手に宣伝)

あと、同じく日本国召喚×アズールレーンを執筆していらっしゃる夜叉烏様の作品も読みましょう
百合百合していて、とても華やかですよ(応援)

今後、お色気シーンは…

  • 今より増やせ
  • このぐらいでいい
  • もう少し減らしていい
  • もっと減らして
  • 無くていい
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