何故ロイヤルはあんなにエロいのか…
──中央暦1639年12月2日午前10時、エストシラント──
パーパルディア皇国の中枢である皇宮パラディス城の大会議室。そこには、皇国の首脳部が集まっていた。
・皇帝ルディアス
・皇軍総司令官アルデ
・第一外務局長エルト
・第二外務局長リウス
・臣民統治機構長パーラス
・経済担当局長ムーリ
等々……
そして、そこには皇帝の相談役であるルパーサと、第三外務局長であるレミールの姿もあった。
「そ……それ……それでは…あ…あ…」
立ち上がって報告書を読み上げようとするアルデだが、その顔はまるで墓から掘り出した死体のように真っ青になり、体はガタガタと震えている。
持っている報告書は手汗でビシャビシャで、おまけに上下逆さまにしている。
その様子に、ルディアスはため息をついて口を開いた。
「アルデよ…報告書は自分で読む。お前は座れ。」
今にも死にそうなアルデを気遣った言葉だ。
それに対しアルデは頭を下げ、そのまま崩れ落ちるように椅子に座った。
そうして静まり返った大会議室。報告書の写しを捲る音だけが響いた。
──バリンッ!
静寂が支配する大会議室に、ガラスが砕け散った音が響く。
全員が音のする方を見ると、顔を真っ青にした経済担当局長のムーリの姿があった。そんな彼の足下は水浸しになっており、細かいガラス片が散らばっていた。
どうやら水の入ったグラスを落としてしまったようだ。
しかし、誰もそれを咎めようとはしなかった。いや、むしろ仕方ない事だとさえ思っている。
「皇国海軍は戦力の6割が消失…か…」
ルディアスが小さく呟いた。小さな声…それは、静まり返った大会議室に大きく響いた。
フェン王国侵攻艦隊とアルタラス王国侵攻に使用した第三艦隊。そして、エストシラント防衛艦隊である第一、第二艦隊の壊滅によりパーパルディア皇国が誇る海軍は、その6割が海の藻屑となった。
残り2割は工業都市であるデュロの防衛に充てられており、あとの2割は戦力的に劣る属領統治軍だ。
つまり、実質皇国海軍は8割が消失したと言っても過言ではない。
「アルデよ。忌憚無く申せ。」
ルディアスがアルデに目を向けた。
「…勝てるか?」
ルディアスの言葉は単刀直入なものだった。
パーパルディア皇国が建国して以来、無敗を誇った海軍。同じく列強国であるレイフォルの海軍をも圧倒出来、名実共に第三文明圏最強を誇る皇国海軍が今や風前の灯火だ。しかも、装備も練度も一流であるはずの皇都防衛艦隊は壊滅し、皇都にまで被害が及んでいる。
「あ…あの…海軍基地にて発見された敵艦より発射されたという砲弾ですが…直径は40.6cm、重量はおよそ1トンもあり先進兵器開発研究所の見解によりますと…」
「アルデ、御託は止めろ。もう一度聞く。……勝てるか?」
アルデが報告書に書いてある事を話そうとするのを遮り、再度問いかけた。
それに対しアルデは過呼吸気味に成りながらも答えた。
「……はっ…はっ…か……かっ…勝て…ません…」
皇国の頭脳が集まっていると言われる先進兵器開発研究所。通称"兵研"の解析によれば、敵艦より発射された砲弾がもし、皇国が配備する魔導砲と同じ初速で発射出来るとするなら、皇国の戦列艦の防御力では間違い無く防げない…と結論付けられた。
「…そうか。」
ルディアスが頷くと、アルデは糸が切れた操り人形のように机に突っ伏した。
余りのショックに精神が堪えきれなかったのだろう。白目を剥いて失神している。
「ともかく、エストシラント港の復旧及び防衛戦力の回復が必要だ。パーラス、貴様の指揮下にある属領統治軍を引き上げさせよ。」
ルディアスからそんな命令を受けたパーラスは目を白黒させた。
「へ、陛下…属領統治軍を引き上げれば、属領の維持に支障が…」
「パーラスよ、私は常々言っていたはずだぞ?"属領を統治する上で最も重要なのは反乱の芽を丁寧に摘む事"だとな。……よもや、出来ていないのか?」
パーラスはこれまでに無い程に焦っていた。
彼の指揮下にある属領統治軍…それははっきり言って、属領にてやりたい放題だった。
気に入らない者は適当な罪をでっち上げて処刑し、若く美しい女が居れば犯す…絵に書いたような悪行三昧だ。しかし、パーラスはそれを咎める事も無く、それどころか自らの欲求を満たす為にそれらの行為に加担していた。
そんな状態で属領統治軍が引き上げればどうなるか?そんな事は容易に想像出来る。
だが、それを馬鹿正直に言えば間違いなく自分は処刑され、一族の財産は没収となるだろう。皇帝の言葉に逆らった罪は重いのだ。
それを理解しているパーラスは冷や汗をかきながら精一杯の愛想笑いを見せた。
「い…いえ、少々心配し過ぎただけです。陛下のご命令に従い、属領統治軍を引き上げさせます。」
「うむ、それでよい。」
パーラスの言葉に満足そうに頷くルディアス。そんな彼の目はレミールを捉えた。
「レミールよ、そなたの指揮下にある国家監察軍を皇軍に編入させる。エストシラント港の復旧は勿論、デュロの防衛戦力も増大させる必要があるのでな。」
「……はい。」
その言葉に、レミールは虚ろな表情で頷いた。
いくら皇族とはいえ、皇帝にそんな態度を取る事は不敬であるが、ルディアスも他の参加者も咎める事はしなかった。
(私は…私は、とんでもない事をしでかしたのか……?)
第一、第二艦隊とエストシラント港を完膚無きまでに破壊した7隻の巨艦…その光景が目に焼き付いて離れなかった。
今でも全身が小刻みに震え、食欲も睡眠欲も湧かなくなっていた。
そんなレミールを一瞥したルディアスは再び報告書に目を落とす。
「しかし…アズールレーンめ…皇国に対してこのような挑発を…」
怒りを滲ませて呟く。
ルディアスを怒らせた物。それは、瓦礫の山となったエストシラント港の一角に落ちていたものだ。
見た事も無い程に大きく重い砲弾…『コロラド』から発射された16インチ砲弾の不発弾だった。
いや、正確には不発弾ではない。何故なら、その砲弾の表面には文字が彫られていた。
そして、その文字がルディアスに怒りを覚えさせたのだ。
──拝啓
パーパルディア皇国の皆様、もう12月になりましたがお元気でしょうか。
1年も終わりに近付いてきた事もあって、書類仕事が増えてきました。
さて、今回は一つお伝えしたくこの文をお送り致しました。
12月10日午前9時頃、貴国の工業都市であるデュロへの攻撃を開始致します。
今回、エストシラント港へ砲撃した艦船による砲撃と、飛行機械から爆弾を落とす爆撃という手段で貴国の生産能力を落とす作戦となります。
ですので、民間人の避難を速やかに行い、迎撃の準備を整える事を強く推奨します。
それでは、短い文ながらこれにて失礼致します。
デュロ陥落後はエストシラントへ侵攻致しますので、今のうちからご準備をお願いします。
それでは、またお会い致しましょう。
アズールレーン一同より。
追伸
もし、この文にご返事頂けるのでしたら、この砲弾に文字を彫って砲撃により此方まで返信をお願いします。──
ことごとく皇国を馬鹿にした態度だ。
作戦目標はおろか、日時すらも此方に明かしている。
これは明らかな挑発だ。「止められるなら、止めてみろ」とでも言うような無礼であからさまな挑発…本来なら皇軍の全力をもって殲滅するところだ。
しかし、海を越える為に必要な海軍は壊滅寸前…装備や練度が劣る属領統治軍や、国家監察軍をかき集める羽目になった皇軍がアズールレーンの海軍に勝てるだろうか?
(最悪、デュロは放棄せねばなるまいか……だが、いかに艦船が優れていようが陸には上がってこれまい。陸戦ともなれば、皇軍には地竜が居る。陸戦こそ、皇軍の本領…敗北はあり得ぬだろう。)
ルディアスがそんな希望的観測の入り雑じった推察をしていると、不意に大会議室の扉が激しくノックされた。
──ゴンッゴンッゴンッゴンッ!
「会議中、失礼します!」
入室の許可も貰わずに入ってきたのは、第一外務局の職員だった。
「なんだ騒々しい!陛下の御前であるぞ!」
そんな職員を、上司であるエルトが叱りつける。
しかし、職員はそれに構わず言葉を続けた。
「せっ……世界のニュースで……世界のニュースでとんでもない事が!」
鬼気迫る職員の言葉に、会議の参加者は顔を見合わせた。
煽り性能+2
今後、お色気シーンは…
-
今より増やせ
-
このぐらいでいい
-
もう少し減らしていい
-
もっと減らして
-
無くていい