100話までにはパ皇戦終わらせたかったので、かなり駆け足気味です
あ、あとアズレンの次回イベントの前哨戦が告知されましたね
経験値アップのメンツを見ると…ユニオンイベント?
まさか、もうミズーリが来るのか!?
──中央暦1639年12月25日午前8時、エストシラント近海──
揺れる揚陸艦の内部で兵士達が、緊張した面持ちでそれぞれの得物を手にしていた。
「新入り、緊張するか?」
そんな中、一人の大盾を持った兵士…スワウロが同じ大盾を持った兵士に話し掛けた。
「あ、スワウロ中尉。……はい、少し緊張しています。」
「大丈夫だ、恥ずかしがる事はない。最初は皆、そんなもんさ。」
そう言って新兵が被っているヘルメットを小突いてやる。
彼らこそ、重装歩兵部隊『ロウリア』。かつてロウリア王国の象徴であった重装歩兵部隊の流れを汲む部隊である。
鉄血風のフリッツヘルメットにガスマスク、各種プロテクターに大盾。
それら全てには、魔導技術を使って製造された合金が用いられており、角度さえ良ければ12.7mm弾すら弾く程の防御力を誇る。
「ですが、中尉と…『鉄壁』スワウロ殿と共に戦える事は、光栄です。」
「私だけじゃないぞ。『クワ・トイネ』と『クイラ』の猛者達も居る。」
そう言って、M4中戦車の砲塔に腰掛けて談笑していたエルフとドワーフに目を向けた。彼らはスワウロの視線に気付いたのか、手をヒラヒラと振ってみせる。
弓の扱いに長け自然と調和する事により、風を読みつつ優れたカモフラージュ能力を発揮するエルフ族が中心となった狙撃部隊『クワ・トイネ』
小柄ながら手先が器用で、優れた筋力を持つドワーフ族が中心となった戦車部隊『クイラ』
その二つの部隊も、このエストシラント攻略部隊に編入されていた。
「は、はい。彼らが居るならば百人力ですね。」
「あぁ、そうだ…」
《接岸1分前!総員、上陸準備!》
スワウロの言葉を遮るように、揚陸艦内にそんなアナウンスが流れた。
そのアナウンスを聞いた兵士達は、慌ただしく動き始めた。
戦車兵は自らに割り当てられた車輌に乗り込み、歩兵は装備品を取り付けたハーネスを締める。
「それじゃあな、新入り。生きてたら、また会おう。」
「はいっ!中尉もご武運を!」
重装歩兵部隊が、歩兵の盾となるべく先頭に立つ。
──ゴリゴリゴリゴリ…
艦底が海岸に乗り上げ、衝撃が艦内に伝わる。
──ゴクリ
誰かが生唾を飲み込んだ音がやけに大きく聴こえた。
《バウドア開放!バウランプ展開!行ってこい、命知らず共!》
──ビーッ!ビーッ!ビーッ!
アナウンスとブザーが鳴り響くと、揚陸艦の艦首が左右に開く。
折り畳まれたランプが展開され、陸地までのなだらかなスロープが出来上がる。
──ザンッ!ザンッ!ザンッ!ザンッ!ザンッ!
「「「「護ります!我が国、我が友、我が家族!」」」」
重装歩兵部隊が大盾を上下に揺らし、威嚇音を鳴らしながら全身する。
──パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!
海岸沿いに作られた簡易的なバリケードから白煙が上がる。どうやら皇軍兵は、暴動の最中にあっても組織的な行動が出来ているらしい。
その証拠に、上陸してきた重装歩兵部隊に銃撃が加えられる。
──バチンッ!バチンッ!キンッ!ガキンッ!
だが、それは無駄だった。
重装歩兵が持つ大盾は勿論、彼らが装備しているプロテクターすらも貫通出来ないでいる。
「怯むな!進め!」
重装歩兵が先行し、拳銃を発砲して手近な皇軍兵を射殺して行く。
そうやって梱包爆薬のような、戦車に打撃を与える可能性がある兵器が無い事を確認すると戦車部隊に指示を出す。
「上陸地点、クリア!戦車部隊前へ!」
《了解、よくやった!後は任せてくれ!》
──グォォォォォオンッ!キュラキュラキュラ…
M4中戦車がエンジンを吹かし、黒煙を排気させながら前進する。
鋼鉄製の履帯は瓦礫を乗り越え、鋳鉄の装甲はマスケット銃から放たれた鉛弾を雨粒のように弾いて行く。
「2時方向、商店のような建物に大量の木箱がある。おそらく、弾薬の集積所だ!」
《了解、榴弾で片付ける。破片に気を付けろ。》
「了解!近くにいる歩兵は、我々の背に隠れろ!」
ライフルやサブマシンガンを携えた歩兵達が重装歩兵の背後に隠れたのを確認すると、戦車が砲塔を旋回させその長大な76mm砲を指示された建物に向ける。
──ズドォォンッ!
轟音と爆炎が砲口から吹き出し、砲弾が建物に向かって飛翔する。
──ドォォォォォォンッ!
76mm砲弾が建物の外壁を貫通し内部で炸裂、集積されていた魔導砲の砲弾が誘爆し建物内部や周囲に展開していた皇軍兵が特大の爆炎と共に天高く打ち上げられた。
「行け、行け、行け!武器を向けて来る者は全員敵だ!」
重装歩兵に守られた歩兵が皇軍兵を打ち倒し、戦車の巨砲がバリケードや建物を破壊する。
数日にも及んだ音響攻撃により著しく士気が低下した皇軍兵に、それを防ぐ手立てなぞある筈もなかった。
──同日、エストシラント上空──
「降下準備!総員、ハーネスを確認しろ!」
エストシラント上空を飛行する大型航空機、『C-47スカイトレイン』のキャビンでエンジン音に掻き消されないように怒鳴る男が居た。
彼の名はガイ。トーパ王国の傭兵であり、魔物の侵入を防ぐ『世界の扉』を防衛していた者であった。
「パラシュートは問題無いな!?ワイヤーを確り確認しろ!」
そんな彼は、アズールレーン陸軍の空挺部隊の小隊長となっていた。
今回は初の実戦という事もあり、緊張している。
しかし、小隊長という立場上そんな態度を露にする事は出来ない。
「よし、いいな!?ドア開放!」
部下達が準備を終えたのを確認すると、機体側面に取り付けられたドアを開放する。
開け放たれたドアからは風がゴウゴウと音を鳴らしながら流れ込み、眼下にはエストシラントの郊外に広がる貴族の荘園が流れて行く。
「GO!GO!GO!」
ガイの掛け声と共に兵士達がドアから飛び降りる。
背負ったパラシュートコンテナから飛び出た紐…スタティック・ラインは端が機内に張られたワイヤーに固定されており、飛び降りれば装着者の自重でパラシュートが引き出されるようになっている。
そうやって開傘されたパラシュートは空にカーキ色の花を咲かせて行く。
「よしっ!行くぞ!」
部下達が無事に降下出来ている事を確認したガイは、自らもドアから飛び降りて戦場へと向かった。
──同日、パラディス城──
皇宮パラディス城内に設置された皇都防衛司令部。
そこは、正に地獄のような有り様だった。
「沿岸部、敵部隊上陸!敵は鉄の魔物を使役している模様!」
「皇都北方に敵部隊確認!敵部隊は飛行機械から飛び降りて展開したようです!」
「ぼ、暴動を起こした市民が敵部隊に協力しているようです!」
次々と飛び込んでくる絶望的な情報。
どこの部隊が壊滅しただとか、どこの戦線が突破されただとか、そんな情報しか入って来ない。
連日連夜に渡って行われた音響攻撃による士気の低下と、寄せ集めの兵力の錬度の低さ…さらには、暴動を起こした市民達が敵に協力し始めている。
司令部に居た者、全員が脳裏に"敗北"の文字を浮かべていた。
「きっ…緊急!緊急!」
扉をノックする事もなく、一人の兵士が飛び込んできた。
「一部の衛兵、及び兵士が反乱を起こしました!」
全員の目が見開かれる。
それも無理は無い。市民ならまだしも、皇国に忠誠を誓った筈の衛兵と兵士が皇国に牙を剥くなんて事は誰も考えていなかったのだ。
しかし、混乱の真っ只中にある彼らはより深い混乱…絶望へと叩き込まれた。
「は、反乱の首謀者は…第一外務局長エルト殿です!『皇国のあり方には失望した。我々は、自由フィシャヌス帝国に下る。』と宣言しています!」
誰もが皇国の滅亡を確信した瞬間だった。
──同日、第三外務局・局長室──
「レミール様!ここをお開け下さい!」
「皇帝陛下も、アルデ総司令官も病に伏せておられる今、皇軍を導くのは貴女の役目です!」
「レミール様!レミール様!」
──ガンガンガンガンッ!
扉が激しくノックされ、怒鳴るような呼び掛けがされる。
そんな中、レミールは局長室の隅っこでまるで胎児のようにうずくまって震えていた。
「違う…私は悪くない…私は悪くない…」
レミールは酷く憔悴していた。
毎日見る悪夢に、連日連夜行われた音響攻撃。さらには、市民による暴動…それらによりレミールの精神はすっかり蝕まれてしまった。
その上、皇軍総司令官代理の座まで押し付けられた事もあり、彼女の精神はズタズタだった。
「違う…あの蛮族が無礼な態度をとってきたからだ…いつかは世界の母となる私に…無礼な態度を…」
唇まで真っ青にしたレミールは、震える声で責任転嫁じみた言い訳をただ一人で繰り返す事しか出来なかった。
そういえばアニメで弾道ミサイルじみた物が出てましたね
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