陽乃は無限の可能性って奴に賭けてみる   作:氷結アイスブリザード

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1話

どうして…

 

私はそう思わずにはいられなかった。

 

自分の気持ちを自覚していながら気持ちを伝えないことも

 

本心ではなくても罵倒し、自分の好意すら自ら否定することも

 

出会って一年以上たった今も彼の連絡先を知らないことも

 

下心もなく影で支えてくれた彼と関係をどうして進めようとしないのか

 

親友や彼の妹の応援を受け入れようとしないのか

 

彼から友人になってくれという要求を二回も拒否したことも

 

どうして雪乃ちゃんはいつまでも素直になることができないのか

 

雪乃ちゃんが恋愛に興味が薄いのはよく知ってる

 

幼い頃からその高い容姿に下心丸出しの男達に目をつけられ、女達には嫉妬や逆恨みといった負の感情を受けてきた

 

当時信用していた幼なじみにさらに状況を悪化させられ、それ以来安易に誰かに心を許さなくなったのも理解できる

 

そんな彼女も奉仕部での日常で彼に少しずつ心を許し、ある時期は依存してしまうほど心をゆるしていた

 

そんな彼女が彼と恋人はおろか友人関係すらいまだなっていないのはどうしてなのか

 

唯一障害となっていた仲のいい部活メイトは他の男性と付き合うことになり、彼と付き合っても奉仕部の関係が崩れる心配は皆無だ

 

手を伸ばせば届く所に彼がいるのにどうして…

 

ある人はいっていた

 

時間はまってはくれない…握りしめても離したと同時に離れていく

 

そう、残された時間はそう多くない

 

高校卒業してしまえば奉仕部での時間は終わる

 

そうなれば大学が違う二人は会う機会が格段に減る

 

そうなっては困る

 

彼のように下心もなく妹の事を理解してくれる男性に出会える確率は限りなく低い

 

二人が卒業する前になんとしても恋仲になってほしい

 

「マッカンは売り切れか…」

 

「あなた…よくあきないわね」

 

「!?」

 

近くで二人の声が聞こえ、私は思わず隠れてしまう

 

まさかこんな早い時間帯に二人が下校しているとは思ってなかった

 

ガハマちゃんがいないところみると彼女は彼氏とデートで帰り、二人も早めに部活を終えることにしたのかもしれない

 

それにしてもなんだろうこの胸の痛みは…

 

二人はたわいのない会話をしながら遠ざかっていく

 

そこに恋人同士のような甘い雰囲気は一切感じない

 

でもそれでも並んで歩く二人の姿を見ているだけで心が痛い

 

「あはは…私ってこんなに弱かった…かな…?」

 

頬に十数年ぶりの懐かしい感触がおとずれた

 

それは涙だった

 

私は幼い頃から母の命令に従い雪ノ下家のため尽くしているうちにいつしか涙を流させなくなり、外面のいい仮面をつけるようなった

 

自分でも意外だった

私がまだ涙を流せるなんて

 

今までどんなつらくても苦しくても涙を流さず偽物の笑顔を浮かべ相手を欺いてきたのに

 

ああ、やっぱり私は比企谷くんのこと好きなんだな

 

私の仮面を一目を見抜き本当の私を見つけてくれた彼が

 

私の本性を知っていながら嫌そうにしていてもなんだかんだ言って付き合ってくれる彼が

 

小さな命を救うため無意識で助けにいく彼の優しさが

 

でも私と彼が結ばれることなどけしてない

 

彼は私にたいして苦手意識をもっている…

 

それに本物を求めている彼が偽物だらけの人生を送ってきた私に好意をもつはずがない

 

だからせめて雪乃ちゃんには自分が望む相手と将来結ばれてほしいと願う




今日中にハチサキSS18禁も投稿する予定です

誰かブレイブリーデフォルトのSSを書く人出ないかな


時間はまってはくれない…握りしめても離したと同時に離れていく

このセリフはFF8のイデア(アルティミシア)のセリフてす
次回もゲームネタいれていきますよ♪

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