陽乃は無限の可能性って奴に賭けてみる   作:氷結アイスブリザード

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無限の可能性

 

「ここは…」

 

気がつくと私は何もない真っ暗な空間の中、一人たたずんでいた

そして不思議なことに暗闇の中なのに視界ははっきり見えていた

そのとき前方に何かが輝き、声が聞こえてきた

 

「目覚めたか嬢ちゃん」

 

光が徐々に小さくなり、その声の主の体周囲にある程度止まった

 

「ね、猫…」

 

その正体は一匹の猫だった

 

「自己紹介するぜ俺はカマクラ。とある家の飼い猫だ」

 

「猫がしゃべるなんて…さすがの私もびっくりだよ」

 

「ここは時間も種族も何も縛られない特殊空間だ。しばらくたてば元の場所に戻れるから気楽にしろよ」

 

非現実的ではあるけど目の前の存在からは嘘いっているような感じはない

 

「あんた誰かに相談できない深い悩み抱えているだろ」

 

「!?」

 

驚いた。まさか猫に心を見透かされるなんて…いや猫だからこそ人が感づかない何かを感じ取ることができたのかもしれない

 

「いってみろよ人じゃなく猫ならば気が楽だろう」

 

「…そうだねこのまま黙ってここにいるだけよりましかも」

 

私も精神的に疲れていたのだろう

猫とはいえ初対面の相手に悩みをぶちまけた

 

 

「妹の幸せを願う君の姉妹愛と覚悟すごいと思う…しかし君自身の幸せはどこにある母親の傀儡のまま生きていくつもりか」

 

「…人並みの人生をおくれないことは小学生の時にとっくに理解していたよ…どうしようもできないんだよ」

 

逆らっても意味なかったからね

 

「醜悪な人間たちの作ったルール、死すべき運命、君は何もかも黙って受け入れようとする」

 

「陽乃、君はこの世界にいないのか?誰かが定めた道の上を歩むだけが君の人生なら、君は何のために生まれたんだ」

 

いたいとこついてくるね…この猫

 

「お母さんがいる限り私は自由にはなれない…望んだ未来は訪れない。だから雪乃ちゃんだけでも幸せになってもらんだよ

そうすれば私の人生にも意味ができるんだよ」

 

「ヤケになるな!生きていれば……生きていれば無限の可能性があんたをまっているんだ!」

 

無限の可能性か…

 

「ヤケじゃないよ。私なりに考えたんだよ」

 

「それにねカマクラちゃん無限の可能性なんて信じられるほどポジティブじゃないんだよ私」

 

「俺もサポートしてやる。その母親が理不尽な命令や妨害できないよう妖力使ってな!だから君も好きな相手と結ばれる人並の人生を望んでもいいんだよ」

 

「カマクラちゃんの気持ちはうれしいよ…ありがとう。でも私はひとりでも平気だよ。今までもそうだった」

 

誰も頼れる相手なんていなかった…

誰も気づいてくれなかった

誰も理解してくれなかった

私の苦しみを…憎しみも

だから自分一人で乗り越えるしかなかった

 

「愛する人がいなくても生きていける。だが、愛する人がいれば、人はもっと豊かになれる」

 

「………」

 

「人は誰も愛さなくても生きていける、けれど、愛すれば豊かになる」

 

「私に比企谷くんを愛する資格なんてあるのかな…比企谷くんの行動が予測できてなかったとはいえ文化祭で迷惑かけちゃったし」

 

あのころの私は比企谷くんがあんな行動すると思ってなかった

てっきり目立つのが嫌いでわざわざ大勢の人間の前で悪態をつくようなことはしないと思っていたからだ

 

「君は誰を愛してもいい。人はみんな光さ。人を照らしながら、その後ろに影ができることを恐れている。でも私は見てきた影なんてどこにもない」

 

「カマクラちゃんはどうしてそこまで私の事を助けようとしてくれるの?初対面だよね…私達」

 

この猫…何者なんだろう

ほんとに飼い猫…ただ者じゃないよ

 

「幸せになってほしいからだ。君は今まで自由のないつらい人生をおくってきただ。だからこれからさきの人生は幸せに生きてほしい」

 

「幸せな人生か…想像がつかないなぁ。人生諦めて生きてきたからどうしても前向きな思考にいかないなあ」

 

大学さえ好きな所行かせてもらえなかったからね

望んだ所より偏差値が低いとこ行くよう命じられて

 

「あなたは謎がつきたことはありますかな?あなたは常に疑問をもち、その答えを求めておられる。それはあなたが、そのことに意味があると考えるからだ。あなたがそれを欲するかぎり、あなたの人生に意味がある」

 

意味か…

 

 




今回の話でアーロンを思い出した人がいるかな
いたらコメントにアーロン知ってるとか懐かしいとかあのセリフいいよねとかコメントください
気づいた人が多いほどうれしいので♪
敏感な人は二話投稿する前に気づいていたと思います


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