陽乃は無限の可能性って奴に賭けてみる   作:氷結アイスブリザード

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陽乃は決意する

 

「…夢?」

 

目を覚ますとそこは見慣れた天井だった

あれは本当にただの夢だったのだろうか…

 

それにしては内容を全てはっきり覚えているし、あの猫のいっていた言葉は的確だったし、心を乱された

 

私が比企谷くんと共に生きる未来を求めていい

 

無限の可能性

 

たしかにその未来を望んでいないといわれたら嘘になる

 

しかし、雪乃ちゃんはどうなる

 

妹の想い人を私がとれとでもいうのか

 

自分の幸せのために

 

そんなの残酷じゃないか

 

私が…私さえ我慢すれば雪乃ちゃんは幸せになれる

 

何を迷うことがあるか

 

決意が揺らいできてる?

 

私は紛らわすかのように朝食を食べ、大学へと向かった

 

 

 

 

 

退屈な講義を終え、帰宅中小腹が空いたので行き着けのドーナツ屋に入店する

 

ここでは比企谷くんと何回か一緒に食事をしたこともある

 

比企谷くんが来てるとうれしいなと小さな期待を心抱きつつ店内に入る

 

 

「姉さん」

 

「げっ、雪ノ下さん」

 

「あっ、雪乃ちゃんと比企谷くんだ!ひゃっはろー♪」

 

まさか本当に会えるとは思ってなかった

比企谷くんの反応に内心ムッとしつつ、そんな反応がどこかうれしく思う

 

相反する感情が私の心を渦巻く

 

都合良く比企谷くん一人で会うことはできなかった

 

奥でドーナツ選んでいるガハマちゃんがいるところみると三人で受験対策をするためここに集まったのだと容易に予想がついた

 

「姉さん何の用私達暇じゃないのだけれど」

 

相変わらずつれない態度の雪乃ちゃん

 

ひどいなあ…これでもお姉ちゃんは雪乃ちゃんに幸せになってもらいたいと思っているのに

 

「大学の帰りだよ。雪乃ちゃんたちこそ受験の話し合い」

 

ええ、と雪乃ちゃんは不機嫌そうに返事をする

 

「わからないとこあったらお姉ちゃんが教えるよ。いつでもお姉ちゃんに頼ってね♪」

 

と、比企谷くんにウインクしながら声をかける

 

「いえ俺は大丈夫です。雪ノ下は最初から問題ありませんし、俺も順調です…ただ由比ヶ浜が微妙ってぐらいです」

 

「そうなんだ。でも受験も大事だけど他に大事なこともあるでしょ」

 

「?なにかしら、心あたりないのだけれど」

 

ほんとこの子一つのことに考えが集中すると他のことに考えがいかないわね

 

「恋愛だよ♪高校生活ももう長くないんだからさ雪乃ちゃんと比企谷くんもそろそろ…ね!ガハマちゃんみたいに恋人作らなきゃ」

 

これでいい…これでいいんだ。二人が幸せになるなら

わたしは…それで

 

「な、なにをいっているのかしら!私とこの男が?ありえないわね」

 

「…っ」

 

どうして素直にならないの!

 

「…卒業したら今みたいに頻繁に会えないんだよ、わかってるの?」

 

「あたりまえじゃない…進学先は別なのだから」

 

雪乃ちゃんの否定の言葉に比企谷くんは落胆の様子は微塵もしていない

むしろ予想通りの言葉だななど平然な態度だ

 

「大学生になった比企谷くんが誰かと付き合うかもしれないんだよ、それでもいいの?」

 

「この男に?ありえないわね。それ以前に存在すら気づいてもらえるか疑問だけれど、それにこの男が積極的に女性に声をかけるなんて到底思えないのだけれど」

 

なんで

 

なんで認めようとしないの!

 

雪乃ちゃん比企谷くんに心許してる自覚あるでしょ

 

私を追いかけるのをやめて、一事は比企谷くんとガハマちゃんに依存していたくらいじゃない

 

このさき都合よく比企谷くんのように心を許せる男性現れると思ってるの!?

 

わかった

 

それが雪乃ちゃんの出した答えなんだね

 

雪乃ちゃんは比企谷くんと関係を進めようとしない

 

比企谷くんは今の所雪乃ちゃんを恋愛の対象として意識していない

 

それなら私もこれ以上我慢しない

 

遠慮しない

 

自分の気持ちを抑え込むのはやめる

 

雪乃ちゃんが躊躇している間に他の誰かが比企谷くんと結ばれてしまったら雪乃ちゃんの幸せのためあきらめた私はとんだピエロだ

 

姉妹揃って好きな人と結ばれずに終わる結末になるくらいなら私が比企谷くんと結ばれてみせる

 

可能性は低いかもしれない

 

でも私も賭けてみる

 

無限の可能性ってやつを!

 

「そっか~雪乃ちゃんは比企谷くんとこれ以上の関係は求めていないんだね」

 

「姉さん」

 

「比企谷くん」

 

「な、なんすか…」ビクッ

 

私は比企谷くんに視線を向けた

 

怯えた様子の彼を見ると愛しさと嗜虐心が同時にこみあがってくる

 

ゆっくりと近づき彼の目の前で足を止める

 

「私は比企谷くんが好き。愛してる」

 

不意をつき彼の唇を奪う

 

逃げられないよう彼の背中に手をまわし抱き寄せる

 

突然の出来事でさすがの比企谷くんも私のされるがままになっていた

 

「フフ…」

 

「ゆ、ゆ、雪ノ下…さ…ん///」

 

十分満足して離れると赤面した比企谷くんが呂律のまわらない口調で私の名前を呼んでいる

 

「な、なにしてるの姉さん!?いくらなんでもやりすぎよ!!」

 

怒り、嫉妬、動揺、様々な感情が混ざり合った雪乃ちゃんが私を親の仇を見るような目で怒鳴りつけてきた

 

「雪乃ちゃん。私、本気だからね」

 

「っ!!?!」

 

雪乃ちゃんが悔しそうに睨んでくるがもう遅い

 

一年以上の時間あったにもかかわらず比企谷くんとの距離を縮めようとしなかったこと

 

私やガハマちゃん、小町ちゃんが後押ししたにも関わらず意地を張り、素直にならなかったこと

 

今の関係で満足だというのなら遠慮はしない

 

それに私が欲しいものを我慢して手に入れないなんてらしくないよね

 

「じゃあね比企谷くん、今度はデートしようね♪」

 

 

 

食欲の代わりに心は満たされた

 

実に清々しい気分だ

 

心に押さえ込んでいたものが解放され今は幸福感でいっぱいだ

 

幸せとは人から与えられるものではない。自分で掴んでこそ価値があるんだ!

 

 

「ニャオーン!」

 

比企谷くんの隣にある猫つづらの中の猫

カマクラちゃん!

そうか…そうだったんだ

やっぱり夢じゃなかったんだ♪

 

 

 

「ごめんねヒッキー、ゆきのんどれ選ぶか悩みすぎちゃって…あれ二人ともどうしたの?」

 

 




二日前投稿した八幡が美人で巨乳で髪がロングでシスコンの女性とセックスしないと世界が滅ぶが昨日と今日の朝のランキングに三回のってました♪
わーい!ありがとう♪

一人称の文章はやっぱり苦手てす

ハイスコアガール好きです♪毎週楽しみ!

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