青春っていう、わるい事で都合のいい言葉があるらしく、あたしももう少し大きくなれば、その言葉をめんざいふ?にして万引きしほうだいだとききました。 なんとテストでわるい点数をとったとしても、青春している人にとって学校はべんきょうするだけのところじゃないので、もんだいないらしいです。
青春ってとてもすごいと思いました。
でも、そんな青春している人はわるい人なので、あたしは八兄みたいなボッチ?になります。
国語教師の平塚静は怒りで震えた手で持った作文用紙に書いてある内容を大声で読み上げた。
「なぁ、比企谷。この作文を誰が書いたか、当てて見せてはくれないかね?」
平塚先生は俺の濁った眼をしっかりと見つめてきた。
まるで、下手ないい訳なんかしたら分かっているだろうなと眼で訴えてきている。
「え、えーと、先生がその作文を読む前にとある小学校で『将来の成りたいもの』っていう宿題だと仰っていましたし、小学生なのではないでしょうか?」
俺は冷や汗をダラダラと流し、目線をキョロキョロさせる。
実をいうと心当たりがあり過ぎてヤバいのだ。
「そうだな、小学生だ。凄いじゃないか!後は人を特定させるだけだぞ。ヒントは六年生だ。
ちなみに、この作文はその小学校の先生から苦情と君の名前と共に提出されている。」
先生はギロリという擬音がピッタリな様にこっちをにらみつけている。
ちょっと先生、美人な顔が台無しですよ?ってか怖ぇーよ。
「ひ、ひや、たただぶん、松岡じゃないでしゅか?
俺の高校生活を振り返ってっていう作文を勝手に読まれましましたし。」
噛んじゃった……。まぁ忘却の彼方にしてしまおう。俺は過去を振り返らない男。
そして、確かに松岡美羽には勝手に俺の部屋へ入って来て勝手に俺の作文を読んだという罪科がある。
「そうだな、正解だよ比企谷。でもそうか勝手に読まれただけかぁ。
でもおかしいな、私も最近、君の高校生活を振り返ってという犯行声明をここで声に出して読ませて貰ったから覚えているんだが、あれは小学生には難しい漢字や言い回しをしてなかったかな?
この松岡ちゃんはよっぽどの天才なのかな?」
平塚先生は軽く鼻で笑った後、見下すように俺を見て来た。
まるで、すべて分かっているから全部吐いて私に殴られろと言うように。体罰反対です先生。今はPTAとかが煩い時代ですよ。
「い、いやー。松岡の奴も勝手に読みだしたけど、分からない事が多くて俺に聞いて来るんっすよ。
それで、人に頼られると人一倍頑張っちゃう俺なんで、時に漢字の読みを教え、時に言葉の意味を教え、と楽しくなっちゃいまして、まぁあんまり意味は分かってなかったぽいですけど。」
教えるのが楽しくてこの時は、将来の夢を専業主夫から教師に変更しようかと思った程だ。
ま、教師って大変なのは目の前の怒れる美人教師見れば直ぐに分かるので、専業主夫最強は変わらんけど。
「比企谷。君が教育に興味を持ってくれて私はとても嬉しいよ。
しかしだね、小さい子供というのはどうしても自分の都合のいい様に分かる範囲だけで考える。
まぁ、それは大人にも言える事でもあるんだがそれは今回は置いてく。
そこへ、君の悪の教科書みたいな犯行声明文の解説なんか聞かせてみろ、こんな作文になるのは明白じゃないかね?
そのくらいの未来予測は君には出来たと私は思っていたよ?」
悪の教科書って言い過ぎじゃね?
美羽に話している時は、そんな未来を想像しても、美羽だからいっか。と思考をぶん投げたに過ぎない。
まさか、美羽がその影響を受けて学校に作文を作ることを予測出来たとしても、小学校側がこっちの高校まで苦情を投げるとは思いもしなかった。
「そりゃ俺を買いかぶり過ぎですよ。ちょっとした事で直ぐに調子に乗る。
平々凡々な高校生ですよ俺は。」
「私のまだ短い教職期間中の生徒の中でも、君は平凡とは程遠い存在だよ。」
平塚先生はため息をつくと俺の頭に手を置く。
ちょっと、俺のチャームポイント潰さないで!
「まぁ、今回の件は本来こっちに苦情を上げるほどの事でも無いと私は思っている。
小学校側が事を大きくしてきたな。何かイライラでもしていたのだろうか?
でも、子供の相手をするならもう少し気を使ってくれ。」
「はい。」
たぶんその作文の作者の松岡美羽が担任をイライラさせている原因ですよ?
ちぃちゃんに聞いたから間違いない。
平塚先生は周りを見渡し、誰もいないのを確認すると、少しくしゃけた煙草を取り出し、トントントンと一本だけ頭を出させて口に咥える。
百円ライターで火を付け、ふうっと煙を吐き出し、真面目な顔でこちらを見据えて来た。
これ、デジャブだ。確か、俺が作文を提出した後の時もこんな感じだったな。
「奉仕部はどうかね?由比ヶ浜からはいつも雪ノ下と楽しそうにお喋りしていると聞いているが。」
いや、あれを楽しそうって、由比ヶ浜はどういう目をしてるんですかね?
「まさか、いつもいつも雪ノ下に罵倒されて泣きそうですよ。
一言だけに1か月分の罵倒が含まれているまである。」
口を開けばまず俺への罵倒ってどういうこと?
先生はそんな俺を優しい目で見ながら、問題の作文を机の上に戻した。
「楽しそうで何よりだよ。週2回だけとはいえ君に部室への出頭を義務付けた甲斐があるってものだ。
この作文は私の方で処理しておくよ。向こうも軽い気持ちだったように見受けられたからな。」
なんだよ、そんな大人同士の悪戯みたいなので俺は呼び出されたのかよ。
「すんません。......話は以上ですか?」
「いや、話は変わるんだが、もう一つある。むしろこっちが本題だな。」
そう言って平塚先生は、あまり整頓されているとは言えない彼女の机の上から一枚の
紙を取り渡してきた。
「へっ?」
「それに書いてある通り、もうすぐ始まる夏休みに奉仕部で旅行に行こうではないか。」
足を組み替え、ちょっとテンション上げ目だ。
先生、そんなに一人じゃない旅行は楽しみですか?例え相手が自分の生徒だとしても。
ぶるぅ。なんか今寒気が?
「比企谷ぁ。何か今失礼な事考えなかったかぁ?」
先生が右手を構えて良い笑顔をしている。
俺の返事いかんではその手が振り下ろされるのですね。怖ぇよ。
「い、ひぇ、今、一生懸命にこのプリント読んでましゅんで。」
どうやら、恐怖で俺はセリフを噛んでしまうようだな。
そんな八幡かわいいー。えへっ。……キモイな。
というか、このプリントは……おいおいおい。
「先生、俺はこの日はお腹が痛くなる予定なので行けません。」
「何を言っているんだ君は。そんなものが通用するわけないだろう。
それに、君が奉仕部にあまり行けない理由の娘が二人も来るんだ。行け。
あと、先方からさっきの作文の松岡ちゃんの見張り役として是非にと指名されている。」
ぐぬぬ。美羽め、もっと大人しくしてろよな。とんだとばっちりだ。
平塚先生から渡されたプリントには、小学6学年、林間学校のお知らせ。
とあり、夏も真っ盛りな8月の上旬に千葉村で林間学校を行うのでボランティアでサポートをお願いしますと記載されている。
……行きたくねぇ。俺は将来の夢の専業主夫の練習の為にも夏休みは家から出てはいけないんだよ。
なんて、言えるわけもないんだけど。
「でも、これって、ボランティアって事は要はただ働きってことっすよね?
メリットも無しに行きたがる奴の気が知れないんっすけど。」
「そこは、仲間たちとの思い出が作れるって事ではいかんかね?」
目の焦点があってない状態で言われてもな。
まぁ、先生もそれで説得される俺とは思っていないだろうし、あと学校側が提示出来そうな条件って言えば内申点くらいか?
「俺がその条件で行くわけないって分かっているでしょうに。」
「まぁ、君も気付いてると思うが、内申点に加算されるぐらいだな。
後は、私が車を出すから君の家まで迎えに行こう。
費用は一切掛からない。小町くんも呼んでいい。
それと、奉仕部以外では由比ヶ浜とよく一緒にいる三浦、葉山達と、他には意外にも君とよく一緒にいる戸塚を呼ぼうと思っている。」
なにそれ!戸塚来るのか!なら行かねばならぬだろう。
今、俺の中で面倒臭さや葉山達といったデメリットを戸塚というメリットが上回った!
「はぁ、どうせ断っても無理矢理連れていかれそうなので一緒そうですしね。行きますよ。」
「そうか!ありがとう。 いやぁ、ホントは小町くんに根回ししといて当日の数日前頃から
メールしようと思っていたが、君……メールだと無視するだろ?
ならもう前もって伝えようと思ってな。」
交渉成功して、肩の荷が下りたのか平塚先生は脱力して話す。
いやいやいや、何しようとしてたの?そんなドッキリみたいな真似本当にやめて。
前もって伝えて本人の了承を得る事は常識だから!
まぁ……メールは見て見ぬ振りするかもだけど。
「では、2泊3日との事なので、前日までに準備しておきます。では。」
「ああ。こちらこそよろしく頼むよ。」
そうして夏休みまで、あっという間に過ぎて行った。
苺ましまろクロスと言っているのに、ましまろメンバーが第1話で登場しません。すみません。
次話には出てきます。