オークになった!   作:ナゾハリ

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第11話

「うああああああああああ」

ゴブリンとオークのような者が叫びつつオークの集団に突っ込んでいく。その後ろからエントが足のように二股に別れた部分を轟かせつつ歩いて二人を追いかける。そのまま二人とエントはオークの集団の中に突っ込み辺りは混乱状態となった。

ゴブリンの格好をしたルドヴィカと上半身裸になってその部分に草汁をこすりつけて緑色っぽくなったナツがオークがいる場所をあちこち走り回り混乱を増長させた後ハル達4人が出会ったミスリウ森林深部に向かって駆け抜けていく。

 

ハルはと言えば混乱したオークの集団に向かって草むらの影から影へと伝っていく。途中で入れ違う時ルドヴィカがハルに向かって<これは貸しだからな!>と口パクで伝えつつ駆けていった。

(ええええ・・貸しは僕の方が多いだろうに)

ルドヴィカに釈然としないながらもハルはエントがまだ暴れ回って混乱しているオークの集団、そしてそこに倒れているフーユーに向かってジリジリ近づいていった

作戦としては単純だった。

 

ルドヴィカとナツがエントを挑発してそのままオークがいるとことまで引っ張っていく。

エントによって混乱しているうちにハルがフーユーを助ける。

その作戦を聞いたルドヴィカは「そんな危ないことを私がするの!?」と抗議し、ナツは「怖くて僕できないよ」と涙声で訴えた。しかしハルがルドヴィカに対しては<魔導器のようなもの>が手に入らなくていいのかと言い、ナツに向かってはアキを助けるにはこうするしかないと説得したのだ。

だがそう言ったもののハル自身今からすることが魔導器もアキを助けるのも出来るかどうかわからなかった。

 

揺らぎに入っていった変なオークは乗っ取られているアキに捕まえられてしまうだろう。

だからといってこちらから手を出しても返り討ちに遭うだけだとハルは考えた。

時間があるならこの姿でも白竜の神殿に行って事情を説明し、強い覚者に来てもらうのだがあの変なオークを捕まえたことで神殿を消す準備ができたとすれば黒ローブ達はすぐにでも始めるのだろう。

 

神殿に行っては間に合わないかもしれない。

だからといってハル、ルドヴィカ、ナツ、フーユーでは黒ローブ達を止めることは出来ないだろう。

そこでハルは今からすることに最後の望みを賭けようと思っていた。

混乱しているオーク達に紛れてハルはフーユーに近づいていく。

フーユーを逃げないように押さえようとするフリをして横倒しになっているフーユーの背後にしゃがみ、小声でフーユーに話す。

 

「フーユー、立って走れる?」

「ムー リー」

フーユーが痺れて上手く話せないためか小声で返事したのでハルは他のオークに聞かれずにすんで助かったと思った。

「今から痺れを治すからマスターのところに連れて行って」

フーユーの身体が強ばるのを感じた。ハルは上手く話せないフーユーに向かって強い口調で話し始めた。

「フーユー、今はレスタニアの危機なんだ、君のマスターの力が必要なんだ。マスターが怒ったら僕が謝ろう」

「イッショニ アヤマッテクレルー?」

「二人で謝ろう」

ハルは笑顔になった。子供の頃アキ、ナツとの三人でいたずらをして大人に怒られる時お互いに見せた笑顔だった。

 

「ワカッター」

ハルが痺れを回復させる呪文を唱えると痺れを癒やす光球がハルの前に現れた。

その光を見てオーク達がハルの方を見た。

バレるのは承知の上だった。このままミスリウ森林深部の方へ逃げてからフーユーのマスターの元へ向かう考えだった。

二人とも立ち上がり逃げようと・・・

逃げるべき方向からエントが迫っていた。周りを見渡す。

オークがこちらに向かってくる。

 

逃げ場を塞がれた。

ハルがどうすべきか逡巡しているとフーユーがハルの手を引いた。

「コッチー」

フーユーの引かれるままにハルは駆け出した。その方向にはオークが少なかった。

だがその方向は先が崖が壁のようになっており逃げ道は無かった。

だがフーユーはオーク達をかいくぐりそして飛び込むようなジャンプをして・・消えた。

最初に見つけた揺らぎとは違うもう一つの揺らぎ。奇声を発するオークと黒ローブ達が出てきた揺らぎがあった。

それは少しずつ小さくなってきていた。

ハルは最初に入った揺らぎを思い出した。モンスターを全て倒したら中が崩れて助からないのではないか。

だがフーユーは躊躇無く飛び込んだ。大丈夫かもしれない。

続けてハルも飛び込んだ。

 

振動が激しい。

異界の中はかなり崩れていた。

ただ振動はあるが崩れる音はしなかった。積み上がっている石材が崩れたと思ったら消えていく。

その中をハルとフーユーは走っていた。

追っ手は来なかった。オークにとってこんな世界は異質であり怖がったのかもしれなかった

 

走りながら何処へ行くのだろうとハルは思った。この世界に飛び込んですぐフーユーのマスターがいる場所にいけるのかと思っていた。

ただフーユーは目的の場所がわかっているという感じで走っているのでハルもついて行くしかなかった。

と、フーユーが立ち止まった。

そこは地面にわずかに水が張っている場所だった。青黒い世界を映してその水も青黒かった。そこにフーユーが手をかざす。

水が揺らいだ。

「イクヨー」

フーユーが言うやいなや水に飛び込んだ。浅いはずの水たまりはあっさりフーユーを飲み込んだ。

(この先にフーユーのマスターがいる)

ハルも必要はないかもしれないが息を止め揺らいでいる水の中に飛び込んだ。

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