空隙の町の物語   作:越季

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第十九話「揺るがされる町(後)」
19-1「神に成る」


 舞い落ちるように、少年は地面に膝をつく。地面を覆い尽くす桜の花びらが、俯いた目に飛び込んできた。

 ぼんやりとした頭の中は、少年に一つの事実を呼び起こすのにも一苦労だった。

 ——そうか俺、刀剣男士になる為に、処置を受けて……。

 どこか現実味のないその事実にも、少年のぼやけた思考が戻る事はなかった。処置の副作用が出ているのも理由の一つだが、最大の要因は目の前の景色にある。

 天まで届きそうな、大きな桜の木。丘の上に立っているその桜は、風に乗せて白い雨を降らせていた。

 数多の花弁が、少年の横を通り過ぎていく。不思議な事に、花弁が少年の体に張り付く事は不自然なまでになかった。

 左右を見渡すも、花の雨は空までもを隠し、自分がどこにいるのかも不明瞭にさせた。

 分かるのは、目の前の丘に立つ桜の木が、少年を呼んでいるという事だけだ。

 

 目の前に、桜の花が舞い降りた。それは内から光を放って花を包み、光の玉に変化してからふよふよと少年の周りを漂い始める。

 

「ふうん。こいつが、オレの依代って訳?」

 

 その一言で、少年ははっと我に返った。夢の中にいるような微睡にも似た感覚から、四方を敵に囲まれている戦場にいるかのような緊迫感へ。

 ほろりと溢れるように存在の名称を呟いたのは、無意識だった。

 

「かみ、さま……」

 

 唾を飲み込んでも手の強張りが解けないが、怖気付いている場合ではない。

 今から少年は、この神様相手に交渉をしなければならないのだ。

 ——自分の望みを叶える為の、交渉を。

 

「神様、確かに俺は、あんたの依代だ。その覚悟はあるし、嫌だと言うつもりもない。けど、その前に話を聞いて欲しいんだ」

「話? でもさあ、お前には時間がないんだろ? そんな悠長にしてる場合じゃ——」

「だからこそ、大事な話だ。俺は覚悟をしてきた。でもそれは、条件付きの物だ」

 

 ピタ、と光の玉が停止する。少し訝しんでいるのだろう、微かに位置がずれるだけで光の玉はそこから動こうとしない。

 ぐっ、と歯を噛み締めてから、少年は頭を上げて口を開く。

 

「俺は、どうしようもなく弱かった。心も、体も。だから親友を失った時、正気でいられなくなったんだ。理不尽で、不条理で、酷い事をする世界を恨むしか、弱い俺には出来なかった」

 

 認めよう、自分はどうしようもなく子供だった。それも、どうしようもない事に駄々をこねるタイプの、駄目な子供だった。

 親友が消えた事を受け止め切れず、何も知らないひとに八つ当たりをしてしまった。あの時の自分は、怒りを、やるせなさを、闇雲に振り撒く事しか出来なかった。

 

「親友は、それでも世界に抗ってた。俺との約束を果たす為に、必死になって頑張ってたんだ。なら、俺だってそうしなきゃ顔向け出来ないだろ?」

 

 脳裏に思い浮かべるのは、力を振り絞って決意を示した親友の姿。彼は、微塵も諦めていなかった。塞ぎ込む自分に、約束は無効になどなっていないと告げに来た、強い眼差しを覚えている。

 それに引き換え、自分の何と無様な事か。不貞腐れ、心配してくれた存在にぞんざいな態度を取り、自分だけが可哀想だと思い込んで。

 

「……もう嫌なんだ、大切な人達が奪われていくのを、指を咥えて見てるだけだなんて。この手の中のものを、守れるような強さが欲しい。約束を破らない強さが欲しい。……逃げそうになる心を、ねじ伏せられる強さが欲しい」

 

 変わりたいと願った。幼い自分と決別し、強くあれるように祈った。しかし、守る強さを手に入れる為の時間を待つ余裕はない。今にも大切な存在が失われるかもしれないのに、悠長にしている暇はどこにもなかった。ならば多少過程を飛ばしてでも、強さを手に入れる手段を講じて見せる。

 少年は地面に手をつき、深々と首を垂れる。おびただしく散らばる死骸のような花弁が、視界一杯に映った。

 

「体は勿論譲り渡す。最低限残してくれれば、魂だって削ってくれても構わない。記憶だって、力になるなら受け渡すよ。だから、神様。——滑莧園の奴等を、どうか守ってください。俺には、それしか願いはないんです」

 

 しん、と静寂が降りる。桜吹雪が撫でるように、己の横を通り過ぎていく。現実世界は冬なのに、ここでは温かな風が吹いている。

 少年は頭を下げたまま、光の玉の答えを待った。強い畏れはある。それでも自分の誠意を伝える事しか、自分の道を切り拓く術はない。

 

「駄目だ」

 

 光の玉は、断じて告げた。少年の肩が微かに跳ねる。

 やはり、神に無理を通す事は出来なかったか——少年は萎んでいく意気込みを感じ、静かに涙を堪える。それなら、光の玉に全てを委ねるしかない。目の前の神は、人間を愛する神だ。悪いようにはしないだろう。

 小さい体に覚悟を込めているのを知ってか知らずか。光の玉は、声を張り上げ少年を一喝した。

 

「途中までは、骨があって良かった。弱さを嘆いて、逃げたがる心から目を背けない。そこまでは良かったんだ。だけどなあ——守りたい奴等を、いい子のフリして他人に任せてんじゃねえよ!」

 

 頭を、恐る恐る上げた。光の玉はカッと光量を増し、少年の眼前に迫って更に声を尖らせる。

 

「オレは祭りが一番好きだ! それは何があっても揺るがねえ、例え身内であってもだ! お前だってそうだろ!? その滑莧園の奴等が、お前のたった一つの願いになるような、大切な存在なんだろ!? ならそれを守るのは、お前の進むべき戦場だ! 戦況を他人に預けてんじゃねえよ!」

「……でも、俺の魂は、高確率で消えるって——」

「そんなの、事情を知ってればこっちでどうとでもなる! 仮にも神を舐めんなよ! 守りたいのなら物分かりのいいフリなんてしないで、全力で抗え! ——少なくともはオレは、目の前にいる罪のない、力の限り生き抜こうとしてる人間をすり潰すような、非情な存在になる気はサラサラねえよ!」

 

 光の玉を見つめて、少年は感嘆の息を漏らす。この神様は、自分が思っていた以上に情が深いらしかった。だって、人間など神にとってはちっぽけなはずだ。なのに依代となる自分を認識し、生き抜こうとしていると言ってくれた。

 萎む心が、再び甦っていく。神に生きるよう叱咤されるとは思っていなかった。けれど、そのおかげで少年は思い直す。

 ——世の中を諦めるには、まだまだ自分は知らない事が多いのだと。

 

「なら」

 

 今度は光の玉を真っ直ぐ見据え、少年は力強く願った。

 

「なら、神様を信じて頼む。——俺に、力を貸してください」

 

 ふわ、と風が吹いて、淡い色の花びらが舞い踊る。体中に温かな感覚が染み込み、行き渡っていく。

 光の玉はいつの間にか、人の形をとっていた。光の玉——()()()()()はニッと明るく笑い、手を差し出した。

 

「ああ、力はいくらでも貸してやる。祭り好きな奴に悪い奴はいないからな。——オレは愛染国俊。長い付き合いになるだろうけどよろしくな、ソメゴロー!」

 

 少年は頷き、神の手を握る。笑い返して見せた少年に、神は太陽のような表情を浮かべた。

 

 

 目を開ける。処置台から体を起こして左右を見渡すと、己の体に管やら電極やらが繋がれていた。手を握って開くと、やけに力がみなぎっていると分かる。鏡が横に置かれていたので己の姿を見てみると、先程の赤毛の少年がきょとんとした顔で映っていた。

 ドアが開く音がして振り返ると、そこには坊主頭の青年と青みのある髪をした少年、巫女装束風の衣装を纏った少女が立っていた。ソメゴローが起きているのを見て、少年少女は処置台に駆け寄った。

 

「サトル、タイガ、ツクシ!」

「目が覚めたか。お前はソメゴローだな?」

「おう。タイガはどうなった?」

「タイガのままだよ。神様、かっこよかったって」

「いやー、あんな事言われて頑張らなきゃ漢が廃るだろ」

「俺も多分似たような事言われたなー……」

「えー、何言われたのさ二人共」

「黙秘権を行使する!」

 

 子供達は笑いながら話していたが、サトルに咳払いをされて口をつぐむ。サトルは処置台に寄ってソメゴローから管などを外しながら、状況説明を始めた。

 

「これで三人共処置は終わりだ。強さの上限が百とすると、タイガは五十八、ソメゴローは六十二になったみたいだな。結構強くなったぞ、即戦力レベルだ」

「えっ、本当か?」

「うん。私も力がついた感じするし、江雪さん達の力にはなれそうだよ」

「それじゃあ早速江雪の所に戻って——」

 

 子供達は力がついて先走る気持ちのまま飛び出そうとする。険しい顔でサトルがそれを制し、更に続けた。

 

「ただ、ソメゴローとタイガに降ろしたのは短刀だ。体力が少なく、力も弱い方になる。夜になれば力が大きく増すのが短刀の特徴だが、昼間は油断すればすぐに死ぬぞ」

「え」

「そんな……!」

「じゃあ、夜まで何も出来ないのか!?」

「落ち着け。確かに油断は禁物だが、さっき言った通り即戦力レベルではある」

 

 サトルは焦燥感に満ちた子供達の肩を叩く。そして視線を合わせ、言い含めるように静かにアドバイスを告げる。

 

「ソメゴロー、タイガ、お前達には機動力の高い短刀が降りた。その足はお前達の大きな武器になる。いいか、敵の攻撃を当たらせず、自分の攻撃だけを当てるつもりで戦え。お前達に降ろした刀なら、その戦法がとれるはずだ」

「自分の攻撃だけを……」

「もっと具体的に言えれば良かったんだけどな。俺は戦いのプロじゃない、後は実戦で戦い方を覚えろ」

「ねえ、私はどうすればいい?」

「ツクシは決して前に出るな。戦場では真っ先に大将であるお前が狙われるからな。基本的に後方支援がお前の仕事だ。頃合いを見て疲労を抜いたり、戦況を見定めて撤退を決めたりだな。お前が出来る事も俺は詳しく知らないが——」

 

 突如、背筋に寒気が走った。園長室に繋がる通路を振り返ると、ゆらゆらと揺らめく黒いヒトガタがこちらに向かってにじり寄っていた。

 ひっ、とツクシが悲鳴を上げる。ソメゴローとタイガも思わず息を呑んだ。

 

「あいつら、動き出したか……おい、ソメゴロー、タイガ。早速実戦だ」

「へ? あ、あいつら、倒せるのか?」

「おぞましいのは分かるが怖気付くな。これからお前達は、ああいう化物達を相手取る事になるんだからな」

「で、でも……本当に、俺達に倒せるかな?」

 

 ソメゴローとタイガが、顔を見合わせる。まだそこまで自分に宿った力に実感がないのだろう。ツクシもおろおろと、落ち着かない様子で二人を見ていた。

 ——糞姉貴なら、ここで「じゃあ頑張ってね」と放り出すんだろうが……。

 ニヤニヤと笑む忌々しい姉の姿を思い浮かべて、サトルはため息をつく。

 ——俺はそこまで外道じゃないんでな。

 

「いいか、あいつには『鍵』と呼ばれるエネルギー供給源がある。それを探して破壊しろ。破壊すると怒りで動きが速くなるが、壊されたならただの人形だ。ぶった切るだけで倒せるだろう」

「……え」

「少なくとも、ここを出るまではサポートしてやる。それまでに戦闘の基礎を覚えろ。……弱いままでいたくないんだろう? なら、その覚悟を示せ」

 

 はっと息を呑み表情を引き締めると、三人は頷いて前を見据えた。

 それに呼応するように、ヒトガタは腕を振り上げその刀身を電光に翳す。反射する光に目を瞬かせながらも、ソメゴローは床を踏み切って前へと飛び出した。

 

***

 

「どうして、地獄の道へと足を踏み入れてしまったのです」

 

 震える声で、江雪はソメゴロー達を問いただす。その目には疑うまでもなく悲哀と絶望が浮かんでおり、この状況を受け入れているとは到底言えなかった。

 ——分かってた、江雪が悲しんで傷付くのは。

 これから三人は、果てのない戦いに身を投じる事になるのだろう。それはどんなに嫌だと泣き喚いても誰も助けてくれない、茨で出来た危険な道だ。神——大人よりも世間を良く知っている存在と、肩を並べて進まなければならない戦場だ。子供の身勝手なわがままなんて、少しでも見せれば叩き落とされるだろう。

 ソメゴロー達はまだ子供だ。過酷な道の過酷さを、想像するしか出来ない未熟者だ。

 江雪が嘆き悲しむくらいにはこちらを大切に思い、危険な目に遭って欲しくないと願っているのは身に染みている。

 それでも。

 

「貴方達が戦う必要なんてない。危険で不確かな進路だけではなく、安全で確かな道もあったはずです。戦うのは私達大人に任せて、今すぐ引き返してください。貴方達がわざわざ傷付きに行く事などありません」

 

 江雪が、悲痛な顔でソメゴロー達をを引き止めようと言葉を並べる。それが心の底からこちらを案じて、幸せに生きて欲しいと思っているから出ている言葉なのだと、心が痛む程に分かっている。

 けれど。

 

「——それで大人達に任せて、また大切な物を取りこぼしても?」

 

 それでは駄目なのだ。仮初の安穏に身を任せてしまえば、再び世界が牙を剥いた時に、自分達はなす術もなく潰されるだろう。

 この世界というのは、力を持たない者に優しくないとソメゴローは思う。何もしない、しようとしない者は圧倒的な力に翻弄され、なすがままに流されて暗い場所に叩き落とされる。何もしない者は暗い場所で不満を垂れ流しまた流され、どんどん地獄へと向かっていくのだろう。

 そんなのはごめんだ。何もしなかった結果失って、それに不満を漏らすしかない自分なんて、反吐が出る。

 

「世界の端で、俺達は大切にされて来たんだと思う。スギハラ先生は何だかんだで優しかったし、江雪だって沢山気にかけてくれた。そういうひと達のおかげでどん底に行かずに済んだんだ、俺達は運が良かった。でもそれに甘えて、大切な物を守ろうとしないのは違うだろう」

 

 キン、と澄んだ音が鳴る。目を向けると、タイガと小狐丸が鎬を削っているのが見える。小狐丸は悠長にこちらの話し合いの終わりを待つつもりなどないらしい。当然の話だ、世界はいつも自分の思うように進むとは限らないのだから。

 ツクシが慣れない手つきで江雪の応急処置を進めている。滑莧園特製の絆創膏を貼り付けると、傷がみるみる塞がっていった。それでも用心深く、ツクシは江雪の腕の具合を見ている。

 ソメゴローも警戒しながら地面を踏みしめ、再び前を向いて話を続けた。

 

「嫌なんだよ、無力なままなのは。自分の小ささを知ったら、それが腹立たしくてたまらなくなった。俺達の守りたい物は、世界にとっちゃ取るに足らない物で、すぐに踏み潰される物なんだろう。だったら、俺達が自分の手で守るしかない。……もう、何も出来ないで泣くだけの自分は、嫌なんだ」

 

 息を呑む江雪の気配に、自分の言葉が少しでも届いたと感じた。

 心配するのは当たり前だと思う。自分だって、他の滑莧園の面子がこんな道を進みたいと言ったら、よく考えろと一度は止めるだろう。

 けれど、自分達も自分達なりによく考えたのだ。出せるリスクを出し切り、それでも世界と対峙出来る力を求めた。

 ——どうか、この決断を見届けて欲しい。どんなに辛くても、悔やんでも、翻したりしないと誓うから。

 応急処置を終えたらしいツクシが、小さく笑い声を漏らす。ちらりと見やると、彼女は晴れやかな笑顔で首を傾げた。

 

「ソメゴロー、今日は随分賢そうに話すね」

「おいツクシ、どういう事だそれは」

「私達の意見を伝えてくれてありがとうって事だよ。……ねえ江雪さん。私達は確かに子供で、何も知らなくて、力なんてないよ。しっかり覚悟したつもりでも、きっと考えが足りない所もあるだろうね。それでもね、私達は世界にいいようにされたくないんだ。守りたい物を守る為に、私達らしくある為に、私達は戦わなくちゃいけないんだ」

 

 タン、とタイガが大きく後ろへと下がる。ソメゴローと並び立ったタイガは、同じく体勢を整えている小狐丸を睨みながら、息を吐いた。

 

「よしじゃあ最後に、タイガも一言くれよ」

「え、何の話だ」

「私達の考えた事を江雪さんに話してたの。タイガもほら」

「あー……ちょっと恥ずかしいんだけどな」

 

 照れ臭そうに目を泳がせた後、意を決したように咳払いをして、タイガも眼光を鋭くさせた。

 

「……本当は怖いさ、戦う事なんて。でも、何も知らないまま流されていく事の方が怖い。目隠しされて連れて行かれるようなもんだろう、それは。だから俺は、自分の意志で進む為に戦うんだ。こんな世界に負けてやるもんか、ってな。少しでも、格好良く。少しでも、強く。少しでも、見栄を張って。そうして最後に笑えるのなら、本望だ。だろ?」

 

 タイガの呼びかけに、二人は頷く。強く宿る決意の光は、ソメゴロー達の目を確かに輝かせていた。

 ——意志は固い、という事ですか……。

 江雪は彼等の姿を見て、湧き上がる様々な言葉を懸命に飲み下した。

 彼等が心配だ、こんな地獄を進ませたくないという思いもある。

 彼等は子供だ、まだ守られているべき年頃なのだ。けれど——その倫理を、世界は許さなかった。だからこそ子供達は力を求め、険しいと分かった上で戦う事を選んだのだ。

 悲しみが湧く、絶望に目の前が暗くなる。それでも、江雪に足を止めている暇はない。

 戦士となったのなら、仲間として共に戦おう。子供達が身を切ると決めたのなら、自分が身を切らない理由などない。

 彼等の決意を踏みにじる事だけはしてはならない。子供達がその道を選ばざるを得なくなった事を悲しみながら、否定はせず支えよう。

 それが、年長者である江雪に出来る見守り方だ。

 

「……ツクシさん、決して前に出ないように。()()()()()、あの小狐丸は面妖な術を使います。充分に警戒を」

「……江雪」

「ここまで来てしまったのなら、私は見守る事しか出来ません。けれど今は、あの小狐丸を退けましょう。三人とも、頼りにしていますよ」

 

 おう、と三人は声を張り上げ、前を見据える。体勢を整え終わった小狐丸の周囲から、再び時空の裂け目が生まれ始めた。

 

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