空隙の町の物語   作:越季

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11-4「残忍な復讐者」

 氷雨隊の鶴丸と小夜は、二階に並ぶ研究室の一室内に移動しようとしていた。慎重に辺りを見回して、人に出くわさない様に進んで行く。鍵は2103と刻まれていたので、掲げられているプレートを見比べて一致した部屋の気配を探る。気配が無いのを確かめて、鶴丸はドアの鍵穴に鍵を差し込んだ。

 

「……さーて、鬼が出るか蛇が出るか」

 

 鶴丸はそう呟き、ドアを静かに開けた。

 中は少し広いが、先程と似た様な部屋だった。実験器具が入った棚が並び、書類と道具が散乱している大きな机が部屋の中央に置かれている。機材が少しあるのが、先程と違う点か。掃除道具が入っているのか、部屋の隅にロッカーも置いてある。

 

「よし、ここもさくっと調べよう」

「はい」

 

 鶴丸と小夜は、机の上の書類を手に取って読み始める。相変わらず小難しい数式が並んでいて、頭が痛くなってくる内容だった。雲霄の鶯丸なら分かるのだろうか、と思いながら読める所を読んでいく。

 

『情報生命体導入装置を用いて情報生命体を固定化させる事を可能にした人間を神道の役職に準え《審神者》と定義した。審神者は、思考エネルギーを情報生命体と反応させ、情報生命体を人の形に固定化させる事が出来る。導入装置を接続し、思考エネルギーを表出させられる被験者のみが審神者となれる。しかし、初期における導入装置の接続には問題があった。当時接続する生命体の調整が不十分だった為、死亡する被験者が相次いだ。その数は30%以上に登る。現在は接続する生命体の数が増え、調整がしやすくなった事により、死亡に至るケースは減少傾向にある』

 

 読める箇所も頭が痛くなる内容だった。小難しい事が書かれているが、要は審神者のからくりの正体を記した物なのだろう。それよりも後半である。いつ頃の話かは分からないが、初期の審神者候補者の死亡者は約三人に一人。被験者の家族などから不満が上がらなかったのだろうか。それを知る術は無いが、鶴丸は内心で手を合わせる。

 

『固定化には二種類の方法がある。媒介を用いる方法と、完全に思考エネルギーのみで固定化する方法だ。どちらにもメリットとデメリットはある。前者は後者よりも固定化が容易だが、媒介が必要になる点と、別紙に記した通り異端視を受けやすい傾向がある。後者は媒介が必要無いが、思考エネルギーに依存する為、審神者の体調が崩れやすい。しかしこのデメリットも、《刀剣乱舞》システムの開発によって解消されつつある』

 

 異端視。それは『先天性は後天性を疎外する傾向にある』と小夜が言っていたそれだろう。媒介を用いるだけで、何故差が生まれるのだろうか。

 

「……媒介……ん?」

 

 何かが引っかかる。何故か脳裏に浮かぶのは、あの狂気染みた少女だった。

 

 ――あんた達は兄さんを()()()()()()! 化物共と同一視される兄さんが哀れでならないわ!

 

 鶴丸の中で、急速に仮定が組み上がっていく。そうして、浮かび上がったのは――

 

「まさか――」

「なっ……!?」

 

 書類に目を通していた小夜が驚愕の声を上げる。鶴丸は思考を打ち切り、小夜の方へと向かう。

 

「小夜坊、何かあったか?」

「……鶴丸さん、これ……」

 

 震える手で小夜が紙を渡そうとするが、紙は手を離れて床に落ちてしまった。

 鶴丸が紙を拾おうとしたその時、小夜が目を見開いて鶴丸の腕を引く。

 

「ちょ、どうした!?」

「――誰か来ます!」

 

 小夜は慌てていたのか荒々しく鶴丸を引きずり、ロッカーの中に鶴丸を入れ、自身も中に入って戸を閉める。ロッカーの中は狭いが、鶴丸は小夜のスペースを作ろうと身を動かす。

 

「小夜坊、狭くないか?」

「僕は平気です。……それよりも、音を立てない様に」

 

 小夜は身じろぎを極力行わない様にしている。それに、気配を殺して外を窺っている様だ。それに鶴丸は首を傾げた。

 

「そこまでする必要あるか? 相手はただの人間だろう?」

「……そうだと、いいんですけどね」

 

 小夜の歯切れが悪い言葉に問いを重ねようとした途端、部屋のドアが勢いよく開かれる音がした。鶴丸が通気口から外を覗こうとすると、それより先に異変に気付く。外から、異様な臭いがしたのだ。

 それは、戦場でしか嗅ぐ事が出来ない筈のもの。鉄臭い、戦場で嗅いだなら戦意が昂ぶるもの――血の臭いだった。

 視界が狭い通気口からは、相手の様子がよく見えない。しかし相手の足音から、軽い者――大柄の人物では無い事は分かった。相手は、平坦な声で呟いた。

 

「誰かいるな」

 

 その声に、目を見張る。鶴丸の本丸でも聞き覚えがあるものだったからだ。小さい体ながらも大太刀を振り回し、『演練の鬼』と呼ばれる強さを誇る、蛍丸の声だ。しかし、その声から奔放さは窺えない。仄暗い、負の感情をどろりとするまで煮詰めた様な、そんな声音だった。

 蛍丸は部屋の中をゆっくりと歩いて気配の源を探していたが、机の上にある書類を見つけると、一つに纏めて火を付けた。辛うじて後ろ姿からは表情を見る事が出来ない。蛍丸は淡々と火を付けて書類を処分していく。

 

「……鋏があればよかったのに。焼けた臭いで気配が辿れない」

 

 独りごちる蛍丸だったが、部屋の中を再び探り始める。足音と何かを引きずる音で部屋が満ちた。

 鶴丸の口はいつの間にか小夜の手で塞がれていた。小夜の様子も見たいが、身じろぎ一つして音を立てたら相手に見つかる。動けない体と裏腹に、心臓の鼓動は収まらない。

 ひた、ひた、ずり、ずり。小夜が唾を飲み込む音が聞こえる。蛍丸は少しずつこちらに近付いて来る。

 蛍丸はロッカーの目の前に立ち、取っ手に手を掛けた。小夜はいつの間にか手に刀を握っている。僅かに開きかけた戸から光が入り込もうとしていた。

 

「あーもう、皆人使い荒ーい」

 

 がらりと部屋の入り口が開く音がする。のんきな声の主は女性で、恐らくはここの研究員だろう。蛍丸は取っ手から手を離し、ひた、ひた、ずり、ずり、と声の方に近付く。

 一拍おいて、女性が化物を見たかの様に絶叫した。

「い、嫌あああ! 何で……何でここに1()9()4()7()8()()がい――」

 

 肉を断つ音がする。女性の悲鳴は、そこで途絶えた。再び鉄臭さが充満する。小夜が髪を逆立てているのが感じ取れた。苦しそうに小さく声を上げる女性に、どうしようも無い不快感が込み上げる。

 何度か斬り裂く音と女性の呻き声を上げさせた後、蛍丸は刀を一振りして血を払った。

 

「ここは後ででいいや。先に残ってる研究員共を殺そう」

 

 その一言だけを置いていき、蛍丸の足音は遠ざかる。気配が消えたのを確かめてから小夜は戸を開けた。転がり出る様に、小夜と鶴丸がロッカーの外に出る。

 抑えていた呼吸を再開すると、荒い息が出て来る。刀を出して握ると、少しだけ安心感を得られた。

 

「……小夜坊」

「……言いたい事はあると思いますが、まずは主に報告しましょう。それから調査した方がいいですかね」

 

 それに賛同し、鶴丸は審神者専用の端末を取り出して文章を打ち込む。ちらりと入口を見ると、ずたずたにされた女性の遺体が転がっていた。その斬られ方はお世辞にも綺麗とは言えない。まるで、いたぶる事を目的としている様だった。

 

「……一振りだけで行動しているのか、それとも仲間がいるのか。その点でも慎重になった方がいいよな」

「はい。僕達の装備は最低限ですから、出来る限り会敵は避けたいですね」

 

 文章を完成させて審神者に送信すると、鶴丸は端末をしまい入口に移動した小夜に近付く。小夜は刀を握って外の様子を窺っていた。しかし女性を見て、ぽつりと零す。

 

「……僕達は見捨ててしまったんですよね、この人を。彼を……復讐に囚われている()()()()を止めずに、僕達は生き残った」

 

 自分達なら、助けられたかもしれない。けれど、彼の正体を知った事と自分達の保身で助けるべき対象を助けに入らない方を選んだ。先程の不快感は、その事に対する嫌悪感なのかもしれなかった。

 蛍丸をどうにかしないといけない。けれど、彼の正体は先程の女性の悲鳴で分かってしまった。そして復讐の刀である小夜が、蛍丸の動機を機敏に感じ取ったのを鶴丸は察した。

 

「今の俺達が割って入ったとしても、小夜坊の言う通り装備が心許ない以上返り討ちにされるだけだと思うぜ。ここはお上にとっても大事な施設だ、すぐに政府の奴らが駆け付けるだろう。無謀に突っ込むよりも、戦力が充分な状態で挑んだ方がいいと俺は考えるが……なあ小夜坊、あの蛍丸についてどう思う?」

 

 鶴丸の問いに小夜は目を瞬かせ、口に手を当てながら述べ始める。

 

「……復讐する事が、悪い事だとは思いません。でもあの蛍丸さんは、僕の考えが正しいならもう仇討ちを済ませている筈。なのに仇を広げ続けて、復讐する事自体に囚われている。……彼を見て湧き上がるこの気持ちは、同族嫌悪なのでしょうか。それにしては、何故だか物悲しくて」

「……嫌悪では無いと思うがなあ」

 

 鶴丸も上手く説明出来ずに頭をがしがしと掻く。もどかしさを感じたのは、鶴丸も同様だ。

 あの蛍丸は小夜に共鳴されるほど、復讐に執着している。境遇を考えればそうなるのも致し方ないのは理解出来るが、彼は()()()()()()()()。存在の狭間で揺れる彼を、止めたいと願うのは身勝手だろうか。鶴丸は心のままならなさに嘆息しつつ、己の刀を持つ手に力を入れる。

 小夜がばっ、と勢いよく顔を上げる。鶴丸もまた異変に気付き、周囲に注意を向ける。

 下の階から複数の悲鳴が上がったのだ。微かだが、「助けて」「死にたく無い」といった言葉も聞こえてくる。鶴丸と小夜は目を見て頷き、女性の遺体を避け部屋を出て一階に向かった。

 警報が鳴り始める中踊り場で一度足を止めて様子を窺うと、目の前には酷い光景が広がっていた。

 階段前を通る研究員は誰も彼もが恐慌状態にあった。ある者は顔を強張らせ、ある者は涙を流している。そんな研究員の間では怒号が飛び交い、仲間を押しのける様に一定の方向へ走っている。髪や服が乱れていても、誰かの足を踏み付けていても、気にする素振りも見せないまま、誰もかもがこけつまろびつ何かから逃げようとしていた。

 ――あの蛍丸は、一体何を。

 先程の女性の言葉から彼がどんな評価を受けているかは感じ取れたし、この惨憺たる現状がその証明だろう。分かり切っている疑問は、虚しく鶴丸の脳内に反響する。

 人の激流が過ぎ去った後、血に塗れた男性が這い蹲りながら現れた。よく見ると脚を斬られているらしく、立って歩く事が困難である様だった。顔から血の気が引きながら、それでも背後から来るであろう何かから少しでも遠くへ行こうと体を引きずっている。

 ひた、ひた、ずり、ずり。魂を刈り取らんとする復讐者は、独特の音を立てて現れた。

 

「安全な場所から引きずり下ろせば、こんなに滑稽な姿を見せてくれる。いつ見ても爽快だね」

 

 ひい、と腹這い研究員が喉を引きつらせる。現れた蛍丸は左手に掴んでいた男の体をぽい、と放り投げて刀を構える、ひた、ひた、と歩み寄り、腹這い研究員の斬られている脚を思いっ切り踏み付け、体重をかける。痛みに絶叫する腹這い研究員の声に、蛍丸は表情一つ変えない。

 

「……こんなんじゃ足りない。あの子の痛みには程遠い。さあて、どうしてやろうかな。逃げた奴らもこいつと同じ様にして人形遊びでもしようか。きっと楽しいよね。だって、俺の考えた劇の演者になれるんだもの。『操り糸』もあのスパイが更に入手してくれたし、多少は使っても文句は言われないでしょ」

 

 そこまで言って、ようやく蛍丸はその表情を穏やかなのに醜悪な、歪んだ笑みへと変えた。腹這い研究員は必死に蛍丸から逃れようと腕を動かすが、動く度蛍丸が踏み付ける力を強めるため動けない。蛍丸は冷え切った目で腹這い男を見下ろし、口角だけ持ち上げる。

 

「もういいや。こいつはさっさと人形にしちゃおう」

 

 そう言って刀を振り下ろそうとした蛍丸を見て、鶴丸と小夜は抜刀し最終確認をする。

 

「小夜坊、行けるか?」

「はい、鶴丸さん。……君には悪いけど、僕達にも守るべきものがあるからね」

 

 そう言って小夜は階段を駆け下り、蛍丸の懐に滑り込もうと動いた。しかし入り込む直前で蛍丸が小夜の存在に気付き、刀身で小夜の刃を受け止める。蛍丸の足の力が緩んだその隙に鶴丸は腹這い研究員の下へ行って抱え、蛍丸との距離を引き離す。

 

「……お前達は」

 

 蛍丸が二振りを睨みつけて刀を構える。上着を破り腹這い研究員の足に巻きつけながら鶴丸は答えた。

 

「通りすがりの刀剣男士だ。こんな所に蛍丸がいるのは驚きだな」

「……ふうん。こんな夜に、研究所に忍び込むのが通りすがりねえ」

「まあそんな事もあるさ。……さ、軽い手当ては終わったぞ。大丈夫かい?」

 

 鶴丸は壁に腹這い研究員を座らせ、しゃがみ込んで語りかける。彼は恐る恐る顔を上げて、恐怖が抜け切らない顔を鶴丸に向けた。

 

「あ、あいつが、いきなり斬りつけてきて……! お前達は、あいつとは無関係なんだな?」

「ああ。君の他に怪我人は?」

「さ、三人、殺された! 俺の他に何人も怪我人が出ている、俺も後少しで、あいつに……殺され……」

 

 そこまで話してから、腹這い研究員は歯をがちがちと震わせ、頭を抱え黙り込んでしまった。もう話を聞くのは難しそうだ。声が届いているかは不確かでも、鶴丸は腹這い研究員に言い聞かせる。

 

「大丈夫だ、俺達の主を通してこの事は政府に通報してある。これ以上、被害を出さない様にするからな。君の事も、死なせない為に努めるさ」

 

 立ち上がり、蛍丸の方へ向きを転じる。蛍丸は臨戦態勢でいながらも、何やら小夜と話している。鶴丸は小夜の下へ歩き、肩を軽く叩いた。

 

「小夜坊。何話していたんだ?」

「……政府側につくものとして、説得を試みたのですが……やっぱり駄目です。元々僕が説得出来るとは思っていなかったのですが」

「そうだよ。お前は復讐の刀。そんな奴に『これ以上は止めた方がいい』とか言われても、説得力無いよね」

 

 蛍丸が呆れた声で言い放つ。小夜はぐっと詰まりながらも、言葉を掻き集めて蛍丸に呼び掛ける。

 

「……貴方の気持ちはよく分かる。でも、貴方がやっているのはただの八つ当たりだ。直接彼等に何かされた訳でも無いなら、いたずらに復讐の種を撒くのは貴方の為にならない」

「お前に俺の何が分かる? 研究所は、それを配下に置く政府は敵だ。『歴史を守る為には仕方の無い事』なんてぬかして人間を消費する下種にかける情けは無い」

「……貴方を僕の仇にしたく無いんだ。この国を守る為に、政府が必死になっている事も僕達は知っている。貴方がしている事は、この国を崩す事に繋がりかねない」

「復讐の刀が生温い事を。こんな国、守る価値なんてありはしない。むしろ一度崩した方がいいんだ。――大切な友達を理不尽に殺して、それを失敗の一言で片付ける国は。そうそう」

 

 急に蛍丸が冷ややかな笑みを浮かべる。その視線の先は、小夜では無い。視線は遠くを捉えており、黙って二振りの駆け引きを見ていた鶴丸は、その視線の先を追おうとして――轟音と爆風の感覚が、先に届いた。

 振り向けば、エントランスから次々と爆発が起きていた。粉塵の白と火の赤が混ざり合う中、研究員達が逃げ出そうとすればするほどどこからか轟音が響く。

 瓦礫の落ちる音や燃える音、絶叫や嗚咽が鳴り止まない。焼け焦げる臭いに目眩がする。救助を求める声が心を軋ませる。呆然とする鶴丸と小夜に、蛍丸はカラカラと笑った。

 

「奴らが逃げ出す時間稼ぎをしたかったみたいだけど、エントランスには爆弾が大量に仕掛けてあるよ。裏口にも仕掛けてあるし、奴らが逃げる事は屋上から飛び降りるなんて事をしない限り不可能。残念だったね。人形が減ったのは惜しいけど、あいつがいるからいいや」

 

 腹這い研究員に歪んだ笑みを向ける蛍丸。それを遮る様に立ち、鶴丸は蛍丸に問う。――辿り着いた推論を、確かめる為に。

 

「ここまでする事だったのか、蛍丸。いや――19478番」

 

 顔を憎悪の色に染めた蛍丸が地を蹴り、鶴丸に刃を向ける。己の刃ではじき返し、鶴丸は重ねて問う。

 

「君は、19477番と一番仲がいい被験者だった。彼女が実験で死亡してから、君のいた第八暗影研究所を壊滅させて、復讐の道へと歩み出した。……19477番が人間であるなら、まず君の正体は明らかだよな。19478番、君は――」

「――その不快な呼び方を止めろ。俺には()()、あの子にはスズって名前がある」

 

 更に殺意を剥き出しにして、蛍丸はぶん、と刀を振るい、それから鶴丸に鋒を向けた。それに反応して、小夜も刀を握りしめる。

 

「……鶴丸さん、主から連絡は?」

「……ああ、来たぜ。『指名手配中の危険な個体だ、なるべく相手をするな。政府直属の部隊がそちらに向かっている、お前達は逃げろ』だそうだ」

「……主が逃げろと言う相手……でも、それは出来そうにありませんね……」

 

 二振りは刀を構えて、すぐ動ける様に気を張り詰める。蛍丸は嘲る様に顔を歪めて、告げた。

 

「決めた。お前達はここで殺す。あの鳥に似ているお前を殺せば、少しは気分も晴れるだろうしね」

 

 蛍丸が大きく刀を振りかぶる。――復讐に彩られた戦闘の火蓋が、切って落とされた。

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