仮面ライダーW〜受け継がれしE〜 作:プライムビルド
担任の先生から渡されたソウジ当ての小包を一姫とともに、充分な警戒と入念なチェックによって危険は無いものであると確認が取れた。そして、中身を確認すると、
「アタッシュケースと」
「手紙ね」
何かしらのセンサーがついた見るからに頑丈そうなアタッシュケースと、ソウジ当ての手紙が同封されていた。そして、その手紙の送り主は現在服役中であるソウジの叔父であり、その内容は以下のように綴られていた。
『ソウジよ。
私は人類の進化のためにという自身の止められない研究意欲によって、お前から父を奪ったことには変わりはない。そして、私はある過程で恐るべき事実に気づいてしまった。このまま行けばお前はあの不死を求める男に贄となってしまう。だからこそ、私はお前にその対抗策として力を渡そうと思った。
そして、どうかお前の人生を歪めてしまったこんな愚かな叔父を許さないでくれ。
俺の叔父は、熱心かつ優秀な研究者であった。俺が大道克己の手によって父を殺された後、何度も何度もすまないと謝ってきた。後にわかったことだが、叔父は数年前風都全域に貼らまれたT2ガイアメモリの開発に携わっていた。そして、叔父は己が街にしてしまった罪を深く受け止め、警察に自首した。元々は人々の役に立つものを創り出したいという善良な研究者だったが、いつしかあんなものを創り出してしまうほど歪んでしまっていたことに自身の弟である俺の父が死ぬまで気付かなかったことを深く悔いていた。そして、俺はそんな叔父を憎むという感情はなかった。何故かはわからないが。その後、俺は残った祖父と暮らしていたのだが、高校へ入る前に亡くなり、現在は祖父と父の遺産のおかげで1人でも暮らしていけている。
話を戻すが、カギ口がないアタッシュケースを隅々まで一姫と確認しあっているが、開く気配はなかった。
「中身をどう思う?」
「ある程度なら予想はつくけど、開かないと何も始まらないからね。でも、開かないのなら、この頑丈そうなコレを襲撃される際に盾代わりに使いましょう」
「なら、このセンサーは何か分かるか?」
「正直に言えば、どの企業にも属さない作り、そして指紋認証とも硬膜認証とも異なるモノとなれば、周囲に特殊なモノに感知する仕掛けとなれば、持ち歩くしかないわね」
「あくまで盾代わりに…ね。了解了解。俺の届け物なんだけどなぁ〜」
「仕方ないでしょ。どういう仕掛けは分からないのだから」
わかりやすく一姫はツーンとそっぽを向き、私拗ねてますよと言わんばかりの態度をとる。そんなふざけた態度をとる一姫に、ソウジはため息を吐き、彼女の耳元でそっと少しだけ甘えるような声音で囁く。
「そんなに拗ねないでくれ。自分が頼りない奴なのは自覚しているから、もう少し助けてくれないか?」
「……」
「お願いだよ。一姫」
「はぁ、仕方ないわね」
囁かれ続けた一姫は、一瞬だけ気分を良くしたのか笑みを浮かべていたが、ソウジには気付かれない内に表情をため息を吐くための普段の気だるけな表情へと変えた。この動作は、僅か1秒も立たない間だったため、本当にソウジには気付かれることはなかった。
「助けてあげるわ。あくまでも仕方なくね、仕方なく。わかりましたか?」
「わかりましたよ。お・姫・様」
「…その態度は無性に腹が立つけど見逃してあげるわ。さて、日直の仕事を片付けましょう」
のちに、このアタッシュケースの中身がソウジと一姫を大きく助けることとなるのは、後数時間後の話である。
そして、お互いにいつも通り学園生活を送り、放課後脅迫状に追加されていた指定場所へ一姫とソウジは向かう。2人が向かったのは、数年前にガイアメモリ流通組織であるミュージアムが自動車整備工場に偽装し、密かにメモリを製造してい廃棄た工場。そして、もうここには、ガイアメモリを開発させるための機材はなく、あるのは壊れて機能を停止した何かしらの精密機材。
周りに人の気配はないが、相手はおそらくドーパントである可能性は高いため周囲を警戒していると、背後から今朝よりも猛烈な殺気をソウジは感じとった。
「一姫ッ!!」
咄嗟に隣にいる一姫を
「チッ…まだ死なんか。頑丈なガキだ」
一姫への衝撃を出来る限り自分で受けたため、所々からアザが浮かび上がりかけ始めるソウジは壁にもたれながら、いつの間にか工場内にいた中年の男性の人相を確認する。
「いっつぅぅ…ッ!娘さんの彼氏相手に随分な歓迎だな。風見亮ニさん」
目の前の男はここへ来る前に、一姫に写真を見せて貰った顔と完璧に一致する。よって、目の前にいるのは、現在服役中のはずの風見亮ニその人と見て間違いない。見るからに不機嫌そうな表情を浮かべ、見るからに自分よりも弱い者を見下す様な瞳をするこの男は、見間違うことなど無理な話だ。
「ふん、お前の様な奴にはこれぐらいが丁度いいだろ。なぁ、
「………よくご存知で」
「そんな男が愛する娘の彼氏だなんて、父親として不服…なのでね」
「あら、私を金づるとしか思ってないのによくそんな口が言えるわね。その上、身売りさせようとした貴方が言えた義理かしら」
「さて、何のことだろう、さっぱり見当もつかんよ」
侮蔑の言葉を交える一姫に対しての苛立ちを僅かに馴染ませながらも、どこか余裕を持った表情を浮かべる亮ニへ、絶対零度を感じさせる眼差しを向ける一姫。
「貴方がそんな風に余裕なのは意外ね。バックにいる脱獄の手引きさせてくれた方の力がそんなに大きいのかしら」
「その通りだ。本当なら、こんな面倒などせず、すぐに殺しに行く予定だったがあの方の要望なため、お前たちの様なガキを嬲り殺すためこの場を選んだのだ。そして、俺があの方に応えることができれば、もうお前は不要なんだよ。だから、とっととそのガキ諸共消えろ」
そして、もはや人がしていい目をしなくなった亮ニは懐から怪しげなUSBメモリ————ガイアメモリを取り出すと、
『
自身の左鎖骨に浮かんだ悪趣味な刺青である『生体コネクタ』へ、挿しこみ、眼がない怪人へとその姿を変えた。
「普通に素が出たな、あのオッサン。さて、どうする?このままだと死ぬぞ、俺たち」
「大丈夫よ。既に通報済みだから、死ぬ気で逃げ続けるだけよ。簡単でしょ?」
軽口を叩きながら、2人はどの様な原理で空中にバスケットボールサイズの2つの異なる色をした眼球を出現させた亮二いや…アイズ・ドーパントは、その2つの眼球から光線を放つを避ける。
「無茶言うな……ッ!!」
「頑張ってね、ダーリン」
いや、ソウジが一姫を背負った状態で避けているの方が、正しい。そして、一姫もソウジに背負われた状態でアイズ・ドーパントが攻撃するタイミングを瞬時に見切り、手作りスモークを数個投げつける。投げつけられたスモークは数秒も立たず、アイズ・ドーパントの周りは白い煙で埋め尽くす。
「さぁ、今のうちに脱出よ」
「了解っ!」
空中に浮く、眼球が近くにいないことを確認したソウジは、一姫を下ろし出口へ駆け出そうとするが、
「逃すかぁぁぁぁぁ!!」
アイズ・ドーパントはピンポイントで2人へまるで闘牛の様に突進して来た。だが、済んでの所でソウジは一姫を突き飛ばし、叔父から貰ったアタッシュケースを盾代わりに使う。
「ぐぅ!…ぉ、重いッ!」
しかし、ドーパント化によって強化された突進を殺し切ることができず、吹き飛ばされる。吹き飛ばされたソウジは、周りの鉄パイプなどを巻き込みながら鉄骨の山が壁となり、地面に受け身も取れず落下した。
「ソウジっ!」
「おおっと…そうはいくかよ。一姫ィ?」
ソウジに突き飛ばされたため大した怪我がない一姫はソウジの元へ駆け寄ろうとするも、その行く手をアイズ・ドーパントによって阻まれる。対する一姫もアイズ・ドーパントに慌てることなく、中学時代にしていたバスケットの動きを取り入れた軽快なステップでアイズ・ドーパントの脇を通り抜けようとするが、またしても行く手を阻まれてしまう。周りの反応よさに一姫はある仮説を元に、アイズ・ドーパントの能力を察知する。
「なるほど。眼が強化されたから、その動体視力で敵の動きを先読み出来るということね。そして、空中の眼球と視覚を供給し、全方位を確認する能力。随分と、いいメモリを貰ったのね」
「あぁ、コレさえあれば俺は無敵なのさ!」
ジリジリと自分の逃げ場を無くされていきながらも、一姫が慌てることなく自身への侮蔑の眼差しを向けるのに、僅かながら疑問を抱きながらもアイズ・ドーパントは自身の慢心ゆえに、その疑問を無下にする。
「はぁ……やっぱり貴方は変わらないわね。感謝しか出ないわ」
「なぁに?」
「忘れたかしら、私には頼りになる彼氏がいることに」
「まさか!?」
「そのまさかだよ!バカがぁ!」
その声と共に、傷だらけのソウジは物陰に隠れながら、一姫お手製の閃光弾を投げつける。
「ガァァァァァァァァァァァ!!」
強烈な光が、強化された眼から入ってきたため、怯んだアイズ・ドーパントに向けて、ソウジは気配を殺している途中で一姫のカバンから取り出した改造されたスタンガンをアイズ・ドーパントの首元へ押し当てる。
「……このッ…クソガキがァァァァァァ!!」
しかし、ドーパント相手では大したダメージにはならなかったため、ソウジは一姫をアイズ・ドーパントから引き離すため、回し蹴りを顎へ放つ。たとえドーパントと言えども、脳を揺すられてはダメージはあるようで、数歩後ずさる。その隙に一姫を背後へ下がらせる。
「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
数々のソウジの反撃によって激昂したアイズ・ドーパントは夥しい数の野球ボールサイズの眼球を無数に出現させる。
とんでもないほど不味い状況となりながらも、一姫は慌てることはせず、ソウジによって下がらされる途中で開いていた
「えっ!?」
「よし!」
一姫によっていきなりアルファベットの『L』の形をしたベルトを取り付けられたことに困惑する。そして、そんなソウジを置いて一姫を流れる様な手でアタッシュケースに入っていた
「変身!」
「お前が言うのかよ!!」
ツッコむソウジを無視し、『L』の形をしたバックル————ロストドライバーの空白の部分へメモリを挿しこみ、スロットを傾けドライバーとメモリを連動させる。
どこまでも自由な
次回予告は通りすがりのルナの姐さんにこれからはお任せします。
『任せなさい♡』
『という訳で、次回予告をする京水オネェサンよ!』
『あらあら!克己ちゃんと同じエターナルに変身するなんて中々良い選択ね……嫌いじゃないわ!!』
『でも、アイズのメモリを使ったアイツは全く気に入らないわ!!ムッキィ—————!!』
『だけど、レディのために身体をはるソウジは漢として、高・得・点♡』
『そして次回の《継承されしEの力〜前編〜》は、なんとちょっぴり克己ちゃんが登場するからね!』
『読まない子は……太陽に代わってオシオキよ♡』