ありふれていない世界最強メイド【本編完結済み】 作:ぬくぬく布団
深月「言い訳ですか?」
布団「据え置きゲーム機買って色々遊んでました!」
深月「腹を切りなさい」
布団「( ゚Д゚)」
深月「でなければ折檻部屋へ連行です」
布団「ふっ、やってやろうじゃねぇか!」
深月「読者の皆様方、この数ヵ月執筆を怠った作者様にガツンと入れます♪それではごゆるりと」
~皐月side~
皐月達が合流した際に色々と事故があったが、それを殆ど忘れる様に皆が楽しく食事を摂っている。ユエ達はフィッシュ・アンド・チップスを食べ、「イギリス料理ってこんな味なんだ」と思っていたのだが深月が日本人の舌に合う様に出汁や隠し包丁をしているとの事だ。そのままの丸揚げだとエグ味で料理が残念になるのだ
「召使、この肉はそこそこだな」
「魔物肉の方が美味しいのでしょうか?」
「それを調理せよ」
「同志深月、私も魔物肉を食べたい」
ギルガメッシュとORTが強請り、深月はミノタウロスの肉とタール鮫の肉を使って清潔進化でランクを上げ、生でも食べれる刺身を造る
ミノタウロスの肉は生とレアとミディアムの三種類と、タール鮫の肉は刺身と天ぷらにする。柑橘ベースのさっぱりさと、ワサビと黒毛和牛の骨を長時間煮込んだ出汁を使った濃厚ソースを合わせたツンと鼻に刺激を与えつつ下に残る二種類の特製ソースを添える。タール鮫肉は、トータスのエリセンから収穫した藻から煮詰めた藻塩一つだ
「ふむ、良い味だ。この天ぷらに塩だけと侮っていたが、中々に深い味わいがある」
「モッキュモッキュ―――同志深月が作る料理はどれも美味しい」
二人が食べ進める中、皐月はおーちゃんの事が気になりハジメに正体を尋ねる事にした
「ねぇ、ハジメ。おーちゃんって一体何者?」
「・・・正直すまなかった。俺では止める事が出なかった」
「???」
「おーちゃんはORTだ」
「オルト?」
「O・R・T―――だ」
「ッスゥーーーーー」
あまりにも膨大な情報量かつ受け入れがたい現実を突きつけられた皐月は、夕暮れを前に真っ白に燃え尽きたかの様に心労でふらついた
「王様がお持ち帰りしろって言うんだ。どうすればいい?」
「ッスゥーーーーーーーーーー」
どういう状態のORTなのかも分からないが、ORTを中心として発せられる熱量が感じ取れない事から抑え込んでいるかもしれないという事だけは分かった
さて、ここで一区切り―――。王様命令によってORTをお持ち帰りしたと仮定しよう。あちらの地球でORTは生存可能かどうかで言うと問題はないのだろうが、一般市民の安全保障はされておらず危機的状況だ。ORTに深月をぶつけるか?とハジメは思案したが、ORTを倒すなんて絶対に不可能だと思い溜息を吐く。ハジメと皐月が溜息を吐いている様子を心配したユエ達がどういう問題事か説明を求めたので、あくまでも自分が分かる範囲で教えた
「・・・何その化け物」
「やっべぇです・・・やっべぇです!?」
「そ、その様な生き物が存在するじゃとぉ?」
「ぶ、分解なら・・・」
「香織、学習能力が高いと説明されたでしょ。例え分解出来たとしても、二回目なんて存在しないも同じよ。それよりも、宇宙線放射物質も分からないし、100万℃の熱線に超重力場なんて理解が追い付かないわ」
ORTの異常性能にドン引きして顔を青褪めているユエ達に更なる追撃の情報がハジメの口から告げられた
「深月がな・・・ORTに言語理解をさせるが為だけに先兵の死体を使ったんだよ」
「えっ?ちょっと待って。ORTって取り込んで情報を解析するのよね?」
「肯定。私はトータスと呼ばれる世界の魔法を理解した。そして、先程設置したアンテナの構造と理論により並行世界への移動を理解した」
皐月が頬を引き攣らせると同時に、ORTが皐月の服のポケットに手を入れてここへ辿り着く為に使用した水晶を手に取って食べた
「――――解析完了。未来線の私の一部と断定」
「・・・・・待って、ちょっと待って。本当に待って!?えっ、私が寝てた時にORTがやって来て水晶を置いて行ったって事!?」
「―――是。先の解析した未来線の私の情報から今後の行動指針が決定。同志言峰と共に麻婆を世界に広め、並行世界へと進出する」
「ちょっと待てぇいっ!」
流石のギルガメッシュもこのORTが言峰と共に麻婆を広める為に一緒に行動するという状況に待ったを入れる。だが、ORTがギルガメッシュを睨むと黙った。しかし、ここで何もしないのは愚策で法を定める事にした
「蜘蛛よ、言峰と共にげきb「麻婆」・・・麻婆を広めると言ったな?そこに力の暴力による拡大は人類を滅亡させる。だからこそ、此処で契約しろ。己を攻撃する者だけに対しては迎撃するのは構わぬが、周囲に住まう民を巻き込むな」
「同志言峰も保護対象」
「・・・・・まぁ、仕方がない。それで手を打とう。くれぐれも人類を滅ぼすなよ?それ以外であれば止めぬがな」
「契約に了承。―――受信。未来線の私より人理が焼却する異常事態が発生。直ちに並行世界線に"私達"を導入して人理を復活させる。受諾―――同志深月から与えられた技能情報の千里眼を解析。成功―――未来視に更新。未来視の情報により異星の神と称する者による介入を確認。人理の白紙化を計画予定。―――介入、該当の魔術師を蘇生―――完了。該当魔術師達の特異点へ移動を確認」
\(^o^)/オワタ
ギルガメッシュとハジメと皐月の心境は正にこれだ。未然に防げなくとも、並行世界線から送られるORT達が麻婆を広める為に人理を修復し、異文帯の発生を阻止した瞬間だった
「並行世界の人理を修復作業に移行」
「おーちゃん、ご飯が出来ましたよ?」
「・・・・・」
「躊躇うんかいっ!」
「同志深月が作った出来立て麻婆が食べれないのは受け入れ難い。情h;:gjぱ@h@0おいあなldhgrわえ:mp!?」
まさかの麻婆が出て来た事による躊躇い。そして、ビクビクビクッ!と体を震わせて色々とエラーが発生したかの様に震えている
「作り置きですが温めたら食べれる麻婆パックとカレーパックが一年分あるのでお弁当として持って行かれますか?」
その瞬間、ORTの震えは止まり深月の傍までダッシュで移動して両パックが保存されているミサンガ形宝物庫の使用法や注意点を聞いて転移で消え去った
「・・・同志おーちゃんはお仕事に行かれましたね」
「深月お前ぇ・・・」
ハジメと皐月は、原作を完全に崩壊させた事に頭を悩ませる。特異点として観測されないよね?大丈夫だよね?とハラハラしていると
「諦めろ。既に此処は特異点だ。雑種共だけなら秘匿するだけで事が済む筈だったが、蜘蛛が動く時点でその前提が崩壊する。だが、特に心配する事は無い。特異点の中心である貴様等が帰る事で人類滅亡の危険度が下がる」
「なるほど、王様の仰る通りORTは契約により人類を滅亡させる事が不可能+言峰神父が生きている限りはその危険性も無くなると」
「恐らく言峰は蜘蛛の水晶を与えられ長い時を生きる事が出来る身体となり、蜘蛛の身体の構成と似た感じになるだろう」
「・・・最強無敵のマジカル八極拳な麻婆神父の誕生ですか」
それを想像したハジメ達は、全てを諦めた。転移から半月程で原作を崩壊させる云々のレベルを超えている中心人物に深月が深く関わっている。もし、カルデアの者達が来たらどうしたらいいのかだが、ギルガメッシュが言う通りに何もしないで帰還する他ないだろう
「む?捕捉したか。しかし、何故此処だ?」
ギルガメッシュが視線を向けた後に他の皆も向けると、大量の魔力が収束して人が現れる。その殆どがぴっちりとしたボディースーツを着ており、あまりにも特異で遠坂達は警戒しサーヴァント達が武器を構えて臨戦態勢となった
「・・・・・これは危機的状況だね」
「ふざけんじゃないわよ!どういう事か説明しなさいロマン!」
『えぇっ!?僕のせい!?』
「目標地点に大幅にズレているわよ。そのせいで現地民に見られたわ」
「おい、キリシュタリア。あれはサーヴァントとマスターだ」
「あらら~?私達敵陣の中に居るというわけね!」
何だこいつ等?と、遠坂達は不審者として下手な動きを見せた際に己のサーヴァントに待機を命じる。しかし、向こうは好戦的なサーヴァントが居るのだろうか、殺気がひしひしと突き刺さる
「ただ今帰った。同志深月」
「あら、おーちゃん。お仕事は終わったのですか?」
「是」
ORTが深月の傍に無警戒に近付いた事に向こう側は驚愕の表情をしている
「"私達"は終えた。ソロモンから切り離された情報体は全て解析し取り込んだ」
『私達?』
「だから、皆が同志深月の麻婆を欲する」
ORTから麻婆と言う言葉が発せられた瞬間、向こう側の反応は手で口を覆い顔が青褪めている。それはマスターとサーヴァント両方だ
「・・・一年分はあった筈ですが?」
「食べ切った」
何という事でしょう。麻婆とカレーを合わせた二年分があっという間になくなった。いや、ORTが言うには特異点でも食べていた事と、休息時も食べていたという事らしい
「同志深月、私も食べたい」
「同志深月、出来立ての麻婆を所望する」
「同志深月、香辛料の配分を変えたカレーを作って」
『etc――――』
そして、ORTの背後から同じ姿をしたORT達がぞろぞろと現れた。・・・この世界というよりも、カルデア自体が特異点ではないだろうかと心配する位ヤバイ
「おーちゃん達、メイドさんにご迷惑を掛けちゃ駄目だよ~!?」
『おーちゃんさん、とにかく今は待ちましょう。作る作らないにしろ時間が必要です』
「立華、マシュ。同志深月が作る麻婆はこの世で一番の美味。人理を修復した今の最優先事項は同志深月の麻婆を食べる事」
『食べるー!食べるー!』
『あわわわわわ!?どうしましょう先輩!?おーちゃんさん達がメイドさんに群がっています!』
「ストップストップストーップ!?」
オレンジ髪の少女こと立華と腕輪から声が聞こえ、深月は一度ORT達を手で静止させて来訪者に用件を尋ねる事にした。如何せん、この状況を作り出したのはORTであるが、一番の元凶は深月でもあるので仕方がない
「貴方方も並行世界からの迷い人なのでしょうか?」
「迷い人?」
「後輩は黙ってなさい」
「ぐっちゃん先輩酷い~!」
「ぐっちゃん言うなっ!」
眼鏡を掛けた少女のツッコミに立華と呼ばれる少女が不貞腐れているが、満更でもなさそうなので彼等のコミュニケーションの一種だろう
『ちょっと待ちなさい!貴方方って言ったわよね!?どういう事か説明しなさい!!』
彼等が腕に着けているリストバンド?から声が聞こえる。恐らく通信装置か何かだろう
「後ろでふんぞり返る事しか出来ぬ雑種は黙れ。おい、カルデアのマスター達よ。貴様等は何用でこの地に降りた」
ギルガメッシュの睨みが効いたのか、カルデアのマスターと呼ばれた彼等のサーヴァントが武器を構えて臨戦態勢に移るが、その動きを見たギルガメッシュが宝物庫から武器の先端を覗かせる。その数は千を超え、彼等の目的がギルガメッシュを不機嫌にさせたら開戦という流れだ
「ギルガメッシュ王、私は人理継続保障機関フィニス・カルデアのAチームのリーダーを担当するキリシュタリア・ウォーダイムと申します。此度はこの地が特異点として観測され、私達はその大本を修正しに来ました」
「・・・特異点の中心であるこ奴等は元の世界へ帰る。何も修正せんでもよい」
「しかs『同志深月を消す?』――――ッスゥーーーーーーーー」
キリシュタリアが言い淀む。この場に居る全ORTが、瞳のハイライトを消して首を傾げてキリシュタリアや他マスター達に視線を向けているからだ。中には、手を鎌にして臨戦態勢に移っている者も居る。返答次第では敵対するという事だ
「ちょっとキリシュタリア!ギルガメッシュ王が修正しなくても大丈夫という保証があるのよ?そんな事より、並行世界からの漂流者という事は―――――新しいファッションが根付いている可能性があるかもしれないわ!」
「ぺぺ、お前の目的はそっちか」
「あ~ら、素晴らしい目的だとは思わない?」
「ああっもうっ!あんた等はこの後輩に毒され過ぎよ!!私達は特異点を修復もしくは解決しに来たのよ。ペペの言う通り、英雄王が修正しなくても大丈夫というなら彼等が元の世界に帰るのを見届ける事で修復されると同じよ」
「私のせい!?」
「ぐだぐだなんて変な特異点を作った原因の一人でしょうが!!」
深月は彼等が言っている特異点については詳しく理解していないが、些細な行動で特異点が生まれるという事を理解。そして、ORT達が麻婆を強請る・・・
「特異点は私なのですか?」
「召使・・・今更気付いたのか?」
「・・・私はより良い生活の為に行動していただけです」
『同志深月、麻婆を所望するー』
「・・・材料が足りませんね」
深月が宝物庫から食材を全部出しての感想―――圧倒的に足りない。麻婆やカレーの材料となる素材が一人分程しかないのだ。これを知ったORT達は、両手を鎌の様に掲げて互いに威嚇し始めた
「麻婆を食べる権利があるのは私」
「この世界の私は何度も食べている。よって、ここは未来で布教している私に譲るべき」
「未だ作り立てを食べていない私に権利がある」
『etc――――』
ORT対ORTという地獄しか生まない戦いが始まろうとしていた。カルデアのマスター達が他の食べ物で興味を惹こうとするが、そのどれもが深月が作る麻婆やカレーに対する食欲には敵わなかった
「おーちゃんストップストップっ!?」
「ええいっ、召使どうにかせよ!!」
「食材が無い事にはどうする事も・・・」
未だにORTがどれ程の脅威があるのか理解していない深月は、とても困った表情で苦笑を浮かべている
『先輩、カルデアにある食材を送るのでそれで調理出来ないかどうかを尋ねて下さい!』
通信機の向こうではかなり騒ぎになっているらしく、ドタバタと足音が聞こえる
「すいません!食材はこちらで用意するのでおーちゃん達に作る事は出来ますか!?」
立華の問いに深月は少しだけ考え込み、必要な食材達をメモ帳に書き記す。そして、最後はORT達がどれ程食べるかが疑問だ。恐らく沢山食べるという事だけは理解出来る
「では、メモに記入した食材をお渡しして頂ければお作りさせて頂きます」
「ダ・ヴィンチちゃん!」
『まっかせてー!・・・ふむふむ、世間一般で使う食材が殆どだね。香辛料は既存の物の備蓄が少ないから、言峰君の判断で使えそうな香辛料を送るよ』
『任せ給え。新たなる麻婆の可能性を生み出すのは同志である彼女の役目でもあり望みでもある。己が手で新たな道を開拓―――、この私もこれまでの特異点で収穫して栽培している香辛料の配合を研究しているのだ。同志ORTにこう伝えて欲しい。同志深月が作る新たなる麻婆達が完成するのを大人しく待っていろとな。こう見えて同志ORTは調理に時間が掛かるのを理解している』
カルデアに居る言峰のファインプレーにより、ORT達に待機させる事が出来る
「おーちゃん、メイドさんが調理してくれるって言ったから待とう!―――ね?」
『!』
臨戦態勢だったORT達は立華の言葉を聞いた直後に互いにぶつけあっていた殺気を引っ込めて大人しくなった。深月が麻婆を作る事が出来るというだけで、直ぐに変わる様にカルデア側のマスター達はハラハラする
「メイドさーん!食材を持ってきましたー!」
カルデアから送られた食材が野外テーブルの上にどんどんと出されているので、食材が圧し潰れて傷ませない為に宝物庫に次から次へと回収していく。カルデアからの転送が終わり、調理を開始するのだが
「お嬢様、以前作られた疑似精神と〇の部屋にするアーティファクトを使用させてください」
「あ・・・あぁ~、普段使わないから忘れてたわ。魔力を込めないと起動出来ないけど、深月が込めるの?」
『私がやる』
「・・・おっふぅ」
ここには魔力お化けなORT達が居るので、魔力の問題は余裕で解決する。しかし、ORT達の様相は互いの睨み合いが勃発している。これは、どの個体のORTが魔力を込めた事によって麻婆を最初に食する権利を決めようとしているのだ。他の者からすればどうでもいい事なのだ
「同志深月の主、私にアーティファクトを解析させて」
「より高性能で安全な術式を開発する」
『etc――――』
「えっ、あっ・・・ちょっと待って!」
皐月はORT達によって包囲され追剥ぎに遭う未来が見えたので、宝物庫から素早く疑似精神と〇の部屋にするアーティファクトを出した。そのアーティファクトにORT達が群れて集まり、手で触って情報を解析していく
『解析完了―――。魔力量による日数増加―――――成功。魔力濃度による影響―――――有。人体崩壊を確認。問題修正―――不可―――。付与された魔法の解析からアーティファクトの解析に移行―――成功。魔力溜まりで形成された鉱物による魔法の干渉を確認。代案検討―――』
先程までアーティファクトをべたべた触っていたORT達が一斉に皐月の方に視線を向けて群がった。目が普通の人の物ではない何とも言えぬそれを向けられても失神しなかったのはある意味よくやったとも言えるが、ORTの脅威を知っている者達からすれば憐れみの視線を向けられるのは当然とも言えるだろう
『―――未来線の私の一部を確認。解析―――――魔力の性質が通常から変質確認。―――性質変換完了』
これでORTは、アーティファクトに適した魔力の変換技術を獲得して早々に充填を開始する。アーティファクトは十秒も経たずに魔力が満タンになり何時でも使用出来る状態となった
「それでは、おーちゃんは麻婆とカレーが出来るのを待っててくださいね?」
『待つ』
衛宮宅の地下の一室を丸々借りて調理をする深月。とはいえ、大食漢であろうORT達の腹を満足させるには大量に仕込まなければならない
「・・・あの量を調理するのって大変よね」
皐月のしみじみとした感想はその一言に尽きる。衛宮宅の敷地が埋もれる程の食糧を調理するのだ。深月の負担がどれ程の物か計り知れない
『ふむ、同志ORT。君は同志深月と一緒に調理しないのかね?』
「私が加わる事で味が損なう可能性がある」
『味が落ちるのは嫌』
ORT達の言う事も理解出来るが、言峰は淡々と事実を突きつける
『それは同志深月を道具として見ているという事だ。同志とは同じ志を持つ者、君達の言う同志とはかけ離れている』
『!?』
ここでORT達が驚愕で目を剥いて頭を抱えた
「ち、違う!同志深月は道具ではない!!」
『いいや、君達は些か暴走し過ぎだ。これでは人間性が欠如している。いや、人間ではないからこそ気付かなかったと言うべきか・・・。いや、これは私のミスでもある』
言峰は淡々と事実を告げる。皆は、「おい、言峰何やっている!?」とツッコミを入れたかったが、ORTの動きが不明な為に動く事すら出来ない
『もし、これからも同志でありたいのなら相手の事を考えるべきだ。最初は誰でも失敗し、学び、次に活かすものだ』
ORT達は膝を地面について己の行動を振り返りながら気落ちしていた。これには向こうに居る言峰はあくどい笑みを浮かべていたりする。例え同志であろうと、間違った道を進むなら厳しい現実を突きつけて正す―――そして、己の悪行を振り返り自身を責めて気落ちする者を見る事で、言峰は愉悦を見出すのだ。それが例え仲間であろうと
数時間が経過し、周りはすっかりと暗くなり時間も深夜に突入した。その間もORT達は気落ちしていたりする。後数分で日付が変わろうとした時、衛宮宅の地下室から良い匂いが漂った事を察知してORT達は一斉に匂いの元へとダッシュして階段を上がってくる深月の目の前で土下座をした
『同志深月申し訳ありません!』
「・・・?」
しかし、当の本人はORT達を謝罪させる理由が思い浮かばなかったが、ORTの腕に着けられていた通信機から言峰がかいつまんで説明する。無意識のワーカーホリックな深月は、「よくよく考えればそうですね・・・?」と腑に落ちなかったが、深月を皐月にORTを深月に置き換えると――――メイドが主の手料理を食べたいので懇願するという事だ
「これは確かにいけませんね」
『だろう?同志深月は働き過ぎだ。偶には己一人だけの時間を作ると見える物もある』
「・・・そうですね。今後は自由時間を確保する事も視野に入れてみます」
今後の視野を広める為に人生の先輩である言峰のアドバイスを聞き終えた深月は、作り終えた麻婆とカレーを長テーブルの上に配膳していく。そして、深夜でも皆が起きている前提で作ったフルーツ特盛ビッグパフェを各自に配る
「・・・ごくり」
「私達も食べていいの?」
「貰えるなら有難く頂くけど・・・」
これにはカルデアのマスター達も若干戸惑いがあるが、夕飯時に現れた事による飯テロでお腹が空いていると思っての善意な行動でもある。そして、一番の理由として皐月達が長い間深月が作ったデザートを食べる事が出来なかった為のついでだ
「・・・俺達にも配られたがこの大きさか」
「あ~ら、カドック。食べれないのなら余った分を私が食べてもいいのよ?」
「私にも分けてくれないだろうか?美味しすぎて幾らでも食べられる」
カドックがペペにツッコミを入れようとしたが、配られて直ぐに躊躇いなく食べているキリシュタリアの感想にタイミングが大きくズレて何も言えなくなった
「・・・美味しいわね」
「そうね。今まで食べてきたどのスイーツよりも美味しいわ」
「でもね、今深夜よ。これを全部食べちゃったら・・・確実に太るわよね」
「うっ!?」
女性マスター達の中の眼帯を付けたオフェリアがこの後に待ち受ける絶望を述べた事で立華の食べる手が止まる
「後輩、食べないなら私が貰ってあげるわよ?」
「ぐっちゃん先輩は太らないですもんね!」
「羨ましいわね。・・・えっ?ちょっと待って。このパフェに魔力を感じるのだけど食べて大丈夫なのよね?」
そう、このパフェの素材は全て普通ではない。素材全てがトータスで得た物なので魔力を保有しているのは当然なのだが、ORT達によって解析され魔力を充填した事によるアーティファクトの中での調理という事もあってとてもヤバイ代物となっている
「ふむ、この美味しいパフェ一つ食べただけで魔力回路が少し増えたようだ。美味しいデザートを用意してくれてありがとう」
「お嬢様だけの一人分を作るよりも、大人数分を作り保存する事を考えていましたので何も問題はありません」
「へぇ~、このパフェを食べるだけで魔力回路が増えるんだ。私はこの中で一番少ないから食べなきゃいけないね!」
カルデアのマスター達がパフェを美味しそうに食べているが、ここで深月が爆弾を落とした
「このパフェは魔力の貯蓄量を増やす効果があります。その分、体重も増加するので体の動きに些細な変化があると思いますので注意して下さい」
その爆弾と同時に女性マスター達の食べる手がピタリと止まった。女性のタブーの一つである体重の増加―――太るという事だ
「し、脂肪がつくの?」
「当り前です」
『イヤァァァァァァァーーーーーーー!?』
既に八割以上食べているので確実に太る事が確定している。どうやって体重を落とそうか考えているが、深月が更なる追い打ちをかける
「貯蓄量が増えるので増えた分は戻る事はありませんよ?」
『 』
全員が地面に手を付いて絶望していた。一方、皐月達も被害があるのだがそこまで慌てふためく事は無い。変成魔法による体型維持が出来る様になっているので体重が増える程度ならまだ許容範囲内だ。外見は変わらず体重が少し増加するというのなら、筋肉量が増えたと言い訳すれば丸く収まる
「変成魔法って便利よね」
「・・・でもたくさん食べれない」
「ですですぅ」
「美味しいのにたくさん食べられないって辛いよね」
皐月達も深月が作るデザートを沢山食べたい欲求があるのだが、如何せん体重が増えてしまう事が厄介で我慢しているのだ
「皐月達ってデザートをそんなに食べていないなんて勿体ないわよ」
「えぇ・・・太るんだよ?雫ちゃんは体重が増えるのは嫌じゃないの?」
「私は変成魔法の使い方を改良したから体重の増加もないわよ」
雫の言葉に皐月達は目を剥いてどうすればいいのか助言を乞うが、雫は悩んだ末にヒントを与える事にした
「深月さんのデザートを遠慮なく食べる為にアレンジしたというのもあるけれど、私にとって変成魔法はとても相性が良いから出来たと言っても過言ではないわ。パフェの魔力増加は咸卦法と装填の二つから発想を得ているの。そして、ヒントもここまでよ」
「そんなぁ~」
「香織はもう少し自分で考えなきゃ駄目よ?ティオは龍化からヒントを得ている筈よね?」
「うむ、相性が良かったからこそ出来たのじゃ」
パフェのお代わりをして食べながら胸を張っているティオに皐月達は少しだけイラッとした。これ見よがしに堂々と食べる姿は羨ましくもあり、何とも言い難い屈辱感もあった
「・・・変態だったティオに出来るなら」
「私達も」
「出来る筈ですぅ!」
「妾の扱いが酷いのじゃ!?」
「「「「「矯正されるまではドМだったから」」」」」
満場一致のこの回答―――、何気に雫もツッコミを入れていたりもする
各々美味しいものを食べて満足したところでお別れの時だ。ギルガメッシュが抑止からの介入はこれ以上無いと説明されているが、それでも異物である事を理解しているので出来るだけ早急に立ち去らなければならない
「王様、この聖杯戦争の大本となる聖杯は如何されますか?」
「汚物は早急に葬る。召使一人に任せても問題は無いが」
『そこまでだギルガメッシュ。同志深月が聖杯を破壊する事が出来たとしても、その事後処理をする過去の私が苦労する。よって、同志ORTに聖杯の破壊をしてもらおう。頼めるかな?』
「山の中にあるドロドロ?」
『そうだ』
「砕くー!」
『おーーー!!』
ORT達の足元に魔法陣が浮かび一瞬で姿を消した。どうやらトータスの魔法を解析した事で神代魔法の情報についても解析したのだろう。これで「ぼくがかんがえたさいきょうのORT」が爆誕したのはいうまでもない
ORT達が転移して一分も経たずに遠くから感じていた汚い気配が消えたと同時に、ORT達が帰って来た
「処理完了。水晶にして砕いた後に、超高温の空間を作って全部を燃やし尽くした」
『うわぁ・・・』
設定では100万℃と表記されているが、実際に蓋を開ければそれ以上の火力が出るというのだ。そんな超高温の前には汚物の聖杯も形を保つ事は出来ない
「さて、聖杯戦争っていうゲームも無くなったから傭兵という立場も解約だ。というわけで、俺達は元居た世界に帰るぜ」
「ハジメは帰ったら罰として質素な食事生活にするから覚悟してね?」
「・・・マジ?」
「逃がさないわよ?」
皐月の言い知れぬ圧だけでなく、ユエ達からも睨みつける形となっているのでハジメは縮こまった。逃げる事すら出来ず、拒否する事も出来ない八方塞がりだ
「名刺等は渡した方が良いのかしら?」
「えっ!いるいr「たわけ、縁を無理矢理繋ごうとするな」・・・はい」
只でさえ出会っただけで縁が結ばれているのにも拘らず、名刺等の個人を表記する物を手に取れば触媒となる。イレギュラーを召喚するのは通常は無理なのだが、神殺しをしている深月の主となれば拉致する形での転移の可能性も無きにしも非ず
「それじゃあ、名残惜しいけれど帰ります。王様、色々ありがとうございました!」
「では、優秀な召使の主には記念品としてこれをやろう」
ギルガメッシュが宝物庫から取り出したのは金のネックレスだ。皐月は即行で保管する箱を作り、深月が魔力糸で編んだ布を敷いてその上に形よく置いて宝物庫へ入れた
「王様ありがとうございます!」
皐月は勿論ハジメ達もギルガメッシュの大盤振る舞いに目を輝かせている中、深月だけはギルガメッシュの眼が笑みを含んでいる事に気付いた
(お嬢様達は気付かれていないご様子・・・。実害は余り無いのでツッコミは要りませんね)
深月はギルガメッシュに一礼して感謝を伝え、皐月達に見えない位置で苦笑した。そんなこんなで個人的な縁を繋がった事が頭から抜け落ちている皐月達は、特に違和感を感じる事もなく元の世界へと帰る事に成功した。尚、帰る時にハジメに首輪と拘束具を付けて万が一にでも逃げられない様に連行する形となった
「あ、パパおかえりなのー!」
「皐月さん、ミュウと一緒に罰ゲーム内容を書いた箱を作りました♪」
「というわけで、引きなさいハジメ」
「・・・お、おう」
ハジメは周囲の圧に敗けて大人しく箱に入った複数の棒の内一つを選んで箱から引くと―――"一ヶ月黒パンと水だけ生活"と書かれた立札が付いていた。文字は子供が書く様な拙いものだが、えげつない罰ゲームの内容だった
「ミュウが書いたやつ!」
「・・・ミュウ、パパを殺す気か?」
「あのね、パパが深月お姉ちゃんを連れ去った罰なの。ミュウ達深月お姉ちゃんが作ってくれるご飯もお菓子も食べれなかったの!ミュウもママも皆も怒ってるの!!」
いつの間にか部屋の扉の外から視線を感じ、ハジメに味方する人は誰一人いない現状を受け入れる他なかった。皐月が中心に動き、各種関係全てに連絡を入れて事情を説明。もし、ハジメが逃亡しようものなら深月を差し向け捕まえ、罰の期限を倍に増やすという条件を付け加えた
「・・・俺が悪かった。だけど、オタクの夢は消しちゃいけねぇんだ!!」
ハジメの心意気は良いが、速攻で深月に叩かれて監禁生活を余儀なくされたのはいうまでもないだろう
ゲーム買った作者が浮気したのがいけませんでした。でも、気になるゲームが多いので仕方がないよね♪
お次の予定は勇者(笑)が遂に謝罪する話の予定です