ありふれていない世界最強メイド【本編完結済み】   作:ぬくぬく布団

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布団「次話投稿だ!」
深月「今回のお話に関して注意です」
布団「容赦無く、帝国の兵士さんが無残に殲滅させられてしまいます!」
深月「当然ですね」
布団「苦手な方は・・・どうしよう・・・・・」
深月「お話の最後の方に書かれてありますのでご注意下さい」
布団「そ、そうだね!フォント変えてるから注意してね!」
深月「続きまして、誤字報告や修正有り難う御座います」
布団「すまねぇ・・・ホントすまねぇ・・・・・」
深月「作者さんの国語力は貧弱で、誤字も多いのでいけませんね」
布団「グハッ!(吐血」
深月「前書きも終わりましょう。読者の皆様方、ごゆるりとどうぞ」


メイドは怒りました

~深月side~

 

どうしましょうか・・・このウサミミ少女が言っている家族を助けた分のメリットが思い付きませんね。

 

「お願いです家族も助けて下さい!」

 

ユエさんに蹴られながらも離す事は無いですか。余程大切なのでしょう―――――――ですが、それは些末事。私達の指針の邪魔にしかなりません。おや、ハジメさんが近づいて・・・「アババババババババババアバババ!?」纏雷で痺れさせましたね

 

「全く、非常識なウザウサギだ。三人共、行くぞ?」

 

「ん・・・」

 

「・・・」

 

ハジメは何事も無かったかの様にバイクに魔力を注ぎ発進させようとしたが

 

「に、にがじませんよ~」

 

再び立ち上がって、ハジメにしがみ付くシアにドン引きする三人

 

「お、お前、ゾンビみたいな奴だな。それなりの威力出したんだが・・・何で動けるんだよ?つーか、ちょっと怖ぇんだけど・・・」

 

「兎人族って皆がこれだけの耐久力を持っているの?」

 

「・・・不気味」

 

「うぅ~何ですか!その物言いは!さっきから、肘鉄とか足蹴とか、ちょっと酷すぎると思います!断固抗議しますよ!お詫びに家族を助けて下さい!」

 

怒りつつも、さらりと要求を突きつけるシア。ハジメは離すまで引きずり倒すという事も考えたのだが、もしも離さずにしがみついたままの状況を思う。血まみれになりながらも自身の足にしがみつくウサミミ少女・・・ホラー直行物である。仕方無く、経緯を聞こうとするハジメよりも先に深月が口を開く

 

「メリットは何を提示出来るのですか?」

 

「えっ?」

 

「貴方達を助けて私達に何かしらのメリットは有るのかという事です。等価交換は理解出来ますよね?」

 

「・・・わ、私を好きにして良いです!それなら問題は無いですよね!」

 

「お前みたいな残念ウサギを誰が欲しがるかよ。皐月みたいな見目麗しいお嬢様な彼女を持っている俺からすれば、お前はそこら辺りに落ちている石ころと同価値なんだよ」

 

「なっ!?石ころって酷くないですか!?」

 

「お前が皐月に勝っている部分って何だ?ハッキリ言って俺h―――――――」

 

「勝っている部分は目の前に有るじゃないですか!其処に居るメイドさんは兎も角、そこのお二人よりも私の胸は大きいですし。・・・・・そこの金髪の人に至ってはペッタンコじゃないですか!」

 

"ペッタンコじゃないですか!""ペッタンコじゃないですか!""ペッタンコじゃないですか!"

 

峡谷に命知らずのウサミミ少女の声が木霊する。ハジメの後ろに乗っていたユエは固まり、ゆっくりと地に足を下ろして近づいて行く。ハジメは天を仰ぎ、無言の合掌。皐月は親指で首を切るジェスチャーをユエに送る。深月はどうでも良いと思っているので様子を見ている

 

「・・・お祈りは済ませた?」 

 

「・・・謝ったら許してくれたりは」

 

「・・・許すと思う?」 

 

「死にたくない!死にたくなぁい!」

 

「"風帝"」

 

「アッーーーー!!」

 

ユエの魔法によって生み出された竜巻はシアを飲み込み、錐揉みしながら天へと昇らせて行く。悲鳴が木霊しながら、ピッタリ十秒後にグシャッ!という鈍い音を立てて四人の目の前に墜落した。犬〇家のあの人の様に頭部を地面に埋もれさせビクンッビクンッと痙攣しているその姿は、神秘的な容姿とは相反する途轍もなく残念な少女である

「いい仕事した!」と言う様に、掻いてもいない汗を拭うフリをするとハジメの下へ戻り、二輪に腰掛けるハジメを下からジッと見上げた

 

「・・・ハジメは皐月みたいにおっきい方が好き?」

 

「・・・胸は人それぞれだ。おっきかろうが、小さかろうが、それは些細な事だ。相手が誰か、それが一番重要だ」

 

「・・・皐月の方がおっきい」

 

自身の胸をペタペタと触り、表情が暗いままのユエ

 

「胸でハジメの好き嫌いが変る訳無いでしょ。ハジメは、私の胸が小さくなったとしても今までと変らないわよね?」

 

「当然だ。俺が皐月とユエを嫌う筈が無いだろう」

 

「だから、あんまり気にしないの!そもそも、ユエは吸血鬼なんだから魔法を開発して大人の身体を創れば万事解決でしょ。吸血鬼じゃないと出来無い事だってあるわよ」

 

「・・・・・ん」

 

何とかユエを持ち直させた二人はため息を吐く

 

「おや、あれを直撃しても未だ立ち上がるのですか」

 

「「「え・・・?」」」

 

三人は犬〇家状態だった場所へ視線を戻す。それは、痙攣していたシアの両手がガッと地面を掴んで、ぷるぷると震えながら懸命に頭を引き抜こうとしている姿だった

 

「アイツ動いてるぞ・・・本気でゾンビみたいな奴だな。頑丈とかそう言うレベルを超えている気がするんだが」

 

「えぇい!兎人族は化け物か!?」

 

「・・・ん」

 

ズボッと頭を引き抜き、シアが泥だらけの顔を抜き出した。涙目で、しょぼしょぼとボロ布を直すシアは、意味不明な事を言いながらハジメ達の下へ這い寄って来る

 

「うぅ~ひどい目に遭いました。こんな場面見えてなかったのに・・・」

 

「はぁ~、お前の耐久力は一体どうなってんだ?尋常じゃないぞ・・・何者なんだ?」

 

「改めまして、私は兎人族ハウリアの長の娘シア・ハウリアと言います。実は―――――カクカクシカジカで」

 

「分からねぇから。ってか何でこっち側のネタを色々と知っているのかが不思議なんだが」

 

シアの説明を要約すると―――――

兎人族・・・ハウリアと呼ばれる者達の中から、異常な女の子が生まれた。基本的に濃紺の髪をしているハウリアだが、その子の髪は青みがかった白髪。亜人族には無いはずの魔力まで有しており、直接魔力を操り、とある固有魔法まで使えたのだ。当時の一族は大混乱で、必ず迫害対象なってしまう。しかし、ハウリアは百数十人全員を一つの家族と称する種族なので、ハウリア族は女の子を見捨てるという選択肢を持たなかった

故に、ハウリア族は女の子を隠しながら十六年もの間ひっそりと育ててきた。だが、先日とうとう彼女の存在がばれてしまった為、ハウリア族は追放処分となってしまった。それからは、魔物、帝国兵から逃げる日々を送り、大多数のハウリアが帝国兵に捕まってしまったとさ

とても不運な者達だ。そう感じたハジメ達

 

「・・・気がつけば、六十人はいた家族も、今は四十人程しかいません。このままでは全滅です。どうか助けて下さい!」

 

最初の残念な感じを見せず、悲痛な表情で懇願するシア。どうやら、シアは、ユエやハジメと同じ、この世界の例外というヤツらしい。特に、ユエと同じ、先祖返りと言うやつなのだろう。話を聞き終ったハジメと皐月は特に表情を変えることもなく端的に答えた

 

「「断る(わ)」」

 

端的な言葉が静寂をもたらし、何を言われたのか分からないといった表情のシアは、ポカンと口を開けた間抜けな姿で二人をマジマジと見つめた。そして、話は終わったと魔力駆動二輪に跨ろうとしてようやく我を取り戻し、抗議する

 

「ちょ、ちょ、ちょっと!何故です!今の流れはどう考えても『何て可哀想なんだ!安心しろ!!俺が何とかしてやる!』とか言って爽やかに微笑むところですよ!流石の私もコロっといっちゃうところですよ!何、いきなり美少女との出会いをフイにしているのですか!って、あっ、無視して行こうとしないで下さい!逃しませんよぉ!」

 

再びハジメの足にしがみつくシア。ハジメは足を振って離そうとするが、離れる気配の無いシアに対してため息を吐きながら睨付ける。そんな中、深月はふとある一点を思い付く

 

「ハウリアは樹海の中で迷う事無く進む事は出来ますか?」

 

「ふぇ・・・?」

 

「どうなのですか?」

 

「で、出来ます!樹海の案内なら大丈夫です」

 

「ちょっと待て深月。厄ネタ他ならないそいつらを助けたら俺達のデメリットが大きすぎるだろ」

 

「・・・厄ネタ要らない」

 

「確かに亜人族以外の者は樹海で迷うと言われているわ。いざとなれば、森の木を切れば問題は何も・・・・・。いや、ちょっと待って。やっぱり助けましょうハジメ」

 

いきなりの助ける提案をする皐月にハジメは気付く

 

「・・・いつもの勘か?」

 

「えぇ。何故か分からないけど、ハウリアが気になって仕方が無いわ」

 

「・・・?・・・?」

 

「皐月の勘がそう言うのなら仕方がないな」

 

「その前に一つだけお聞きしたい事があります。貴女は先程"見えていなかった"と仰いましたがそれは未来予測の技能を持っていると判断しても宜しいですか?」

 

「えっ・・・何で"未来視"の事を?」

 

「成る程、持っている事を教えて頂き有り難う御座いました」

 

「えっ・・・知っているんじゃ?」

 

深月が問いかける誘導尋問に見事に引っ掛かるシアを見て皐月は心底残念そうに見つめる

 

「うわぁ・・・正真正銘の残念ウサギじゃない」

 

「馬鹿正直に言うか普通?」

 

「・・・残念ウサギだからしょうが無い」

 

「「それもそうだな(ね)」」

 

「酷すぎませんか!?」

 

「おい、喜べ残念ウサギ。お前達を樹海の案内に雇わせてもらう。報酬はお前等の命だ」

 

台詞は完全にヤクザのそれである。しかし、それでも、峡谷において強力な魔物を片手間に屠れる強者が生存を約束したことに変わらない。シアは飛び上がらんばかりに喜んだ

 

「あ、ありがとうございます!うぅ~、よがっだよぉ~、ほんどによがったよぉ~」

 

ぐしぐしと嬉し泣きするシアは、仲間のためにもグズグズしていられないと直ぐに立ち上がる

 

「あ、あの、宜しくお願いします!そ、それで貴方達の事は何と呼べば・・・」

 

「ん?そう言えば名乗ってなかったか・・・俺はハジメ。南雲ハジメだ」

 

「私は高坂皐月。ハジメと将来を誓い合った正妻よ」

 

「・・・ユエ。ハジメと将来を誓い合った側室」

 

「私は神楽深月。お嬢様専属のメイドで御座います」

 

「ハジメさんと皐月さんと深月さんとユエちゃんですね」

 

「・・・さんを付けろ。残念ウサギ」

 

「ユエさんは吸血鬼で貴女よりも年上ですよ」

 

「ふぇ!?」

 

シアはユエを外見から判断して年下だと思っていたのだが、深月の説明を聞いて土下座する勢いで謝罪した。しかし、ユエはシアが気に食わない。敢えて何も言わないハジメ達は何処がどういう理由でそうなのか分かっている

そんな状態をスルーしてハジメはシアに後ろに乗るように指示を出し、訳も言わせずに乗らせた。シアは振り落とされない様にユエに捕まるが、凶器を押しつけられている現状に苛立って、ハジメの前へと移動。シアは「え? 何で?」と何も分かっていない様子で、いそいそと前方にズレるとハジメの腰にしがみついた。ハジメは特に反応することもなく魔力駆動二輪に魔力を注ぎ込む

 

「あ、あの。助けてもらうのに必死で、つい流してしまったのですが・・・この乗り物?何なのでしょう?それに、ハジメさんもユエさん魔法使いましたよね?ここでは使えないはずなのに・・・」

 

「あ~、それは道中でな」

 

そう言いながらハジメは魔力駆動二輪を一気に加速させ出発した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~皐月side~

 

深月の後ろに乗っている皐月は自身の勘が良く当たる事は理解している。だが、今回は厄ネタばかりのそれに多少なりとも疑問に思っている。悪路を走り、カーブを曲がったり坂を跳ねたりとしている最中で深月に問いかける

 

「深月なら樹海の案内出来るかしら?」

 

「普通であれば大丈夫です。しかしここは異世界―――――――恐らく、樹海も反逆者達の生み出した物だと推測します。それを前提に考えれば、何かしらの制約が有ると思われます。例えば、亜人族との協力で迷宮に辿り付く等如何ですか?恐らく、お嬢様の勘はこれ以上の何かが有ると感じて反応したのだと私は考えます」

 

「そう。・・・なら、恩はタップリと売っておかなきゃ行けないわね!」

 

「命を助けられた者というのは、助けた者に依存する可能性があります。そこだけを改善させなければ返ってくることもありませんのでご注意を」

 

「戦闘訓練させるしか無いわよね・・・」

 

しばらく魔力駆動二輪を走らせていると、ワイバーン?が二つの人影を襲おうとしているわね

 

(ハジメ、私が攻撃するから)

 

(分かったが・・・シュラーゲンだと過剰攻撃だと思うぞ)

 

(深月専用バイクの瞬間到達速度を調べるのも兼ねてよ。流石にシュラーゲンは使わないわよ)

 

ハジメと念話を終えた皐月は深月に全速力を出すように指示。それに了承した深月は一気に魔力を流し込み加速させる。まるで流星の如き――――――――バンピーな路面を利用してバイクごとワイバーン擬きに突進し、すれ違い様に一体の頭部をドンナーで粉砕。残りの五体を皐月はバイクから飛び退きワイバーン擬きの群れの中心へ飛び込むと、コマの様に素早く回転しながらドンナーとシュラークで発砲

 

ドパパパパパンッ!!

 

乾いた炸裂音を立てて全てのワイバーン擬きの頭部を粉砕し終えた後、先に地上へと降り立ったバイクの後部座席へ着地した

 

「な、何が・・・」

 

「あのハイベリアが・・・一瞬で全滅?」

 

一体何が起こったのか理解出来ていないハウリア達

 

「みんな~、助けを呼んできましたよぉ~!」

 

「「「「「「「「「「シア!?」」」」」」」」」」

 

ハジメは後部座席に立って手をブンブンと振るシアをうっとうしく感じていた。凶器を頭の上に乗せられているので、重たいのなんの。いい加減、我慢の限界に来たハジメはシアの服を力強く掴んだ

 

「えっ?ハジメさん?何をするつもりですか?もう敵は居ないですよね!?」

 

「いい加減俺の頭の上から、その脂肪をどけやがれやあああああ!」

 

「いやぁあああーー!!」

 

高ーく放り投げられたシアの落下点は、ハウリア達の目の前。墜落して、またしても犬〇家の様な姿を晒してしまう残念ウサギであった。ハジメ達がハウリア達の側まで近づくと、丁度地面から頭を抜いたシアだった

 

「ぶはぁっ!うぅ~、私の扱いがあんまりですぅ。待遇の改善を要求しますぅ~。私もユエさんみたいに大事にされたいですよぉ~」

 

シアを投擲する事で更にボロボロとなった服は、正に申し訳程度の代物だった。ハジメは鬱陶しいと感じながらも、宝物庫から予備のコートを出してシアの頭に被せる。シアはキョトンとするが、コートと分かった瞬間ニヤッと笑いながらコートを着込む

 

「も、もう!ハジメさんったら素直じゃないですねぇ~、ユエさんとお揃いだなんて・・・お、俺の女アピールですかぁ?ダメですよぉ~、私、そんな軽い女じゃないですから、もっと、こう段階を踏んで『ドパンッ!』きゅん!?」

 

シアを撃ったのは皐月で、目が笑っていない様子を見たハジメとユエは小さな悲鳴を漏らした。絶対に怒らせてはいけない人――――――皐月と深月の二人だ。皐月が怒るのは珍しいと言う程、器が大きい。深月は一番怒らせてはならないのは言うまでも無いだろう

シアの妄想にイラッとした皐月だったのだ。何故か?シアはハジメの本妻がユエであると思っているからだ。一応自己紹介した時に説明はしていたのだが、等の本人は忘れ去っていたのだろう。それが皐月を怒らせるのに十分な物だった

 

「ねぇウサギさん。ハジメの正妻は誰か理解しているのかしら?」

 

「ユ、ユエさんです『ドパンッ!!』ぶぎゃあ!?」

 

「自己紹介の時に説明した筈なんだけどなぁ~。もう忘れたのかしら?」

 

「ヒィッ!?す、すすすスミマセンでしたあ!!」

 

「だから、残念ウサギって呼ばれるのよ。次に巫山戯た事を言うのであればその耳を引きちぎるわよ?」

 

「言いません!もう言いません!本妻は皐月さんと心に刻み込みますのでゆるしてくだざいいいいいい!」

 

皐月は気が済んだのか、ハジメの側に行き腕に引っ付いた。それだけで、不機嫌だと言うのが目に見えて分かる

シアは「ホッ」とため息を吐くが、怒っているのはもう一人居る。ポンッとシアの肩に手が乗せられた。振り返った先に居たのは、ニコニコと笑っている深月だが背後に死神が佇んでいると錯覚させる程で

 

「お嬢様が次回は耳を引きちぎると仰っていましたが、本当に次回はありませんよ?もしも次回があるなら、私が貴女をダルマにして貴族にでも売って差し上げます」

 

「ピィッ!?」

 

想像しなくてもヤバイと十分理解出来る。シアは、深月に向けられた威圧に悲鳴をもらした

シアを放置してハジメ達三人は助けたハウリア達の側まで行き、現状報告の確認をする

 

「俺達はこの残念ウサギのお願いを聞いてお前達を助けた。報酬はお前達の命―――――――それに伴い、樹海の案内という事になっている」

 

「私は、カム。シアの父にしてハウリアの族長をしております。この度はシアのみならず我が一族の窮地をお助け頂き、何とお礼を言えばいいか。しかも、脱出まで助力くださるとは・・・父として、族長として深く感謝致します」

 

「まぁ、礼は受け取っておくわ。だけど、樹海の案内と引き換えという事を忘れないで?それより、随分あっさり信用するけど、亜人は人間族にはいい感情を持っていないと聞いているけれど?」

 

「シアが信頼する相手です。ならば我らも信頼しなくてどうします。我らは家族なのですから・・・」

 

「えへへ、大丈夫ですよ、父様。ハジメさんは、女の子に対して容赦ないし、対価が無いと動かないし、人を平気で囮にするような酷い人ですけど、約束を利用したり、希望を踏み躙る様な外道じゃないです!ちゃんと私達を守ってくれますよ!」

 

「はっはっは、そうかそうか。つまり照れ屋な人なんだな。それなら安心だ」

 

イラッとしてドンナーに手を伸ばそうとするハジメだが、違う方面からも援護が飛んでくる

 

「ハジメの内心は苛ついているけれど、感謝されて悪い気分じゃないって思っているから大丈夫よ」

 

「・・・ん、ハジメは照れ屋」

 

「皐月!?ユエ!?」

 

早く切り上げたいと感じているハジメだが、皐月とユエがハウリア達と話し始めている。もう打つ手は無いと感じられたが

 

「皆様方。世間話も宜しいですが、集団での行動は魔物を引き寄せると同義ですので早く移動をお勧め致します」

 

「あぁ、そうね深月。こんな話しは何時でも出来るわね」

 

「・・・ん。早く移動しないと」

 

(助かった・・・)

 

二人の尻に敷かれているハジメは、心の中で深月に感謝をする

 

(いえいえ、ハジメさんが困っているご様子でしたので当たり障りの無い提案をしただけですので大丈夫ですよ)

 

(!?)

 

考えている事はお見通しと言う深月である

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~深月side~

 

大人数での移動は魔物にとって好機に近しいですが全ては無駄に終わりました。私はお嬢様達と離れて、先に魔物狩りを行っています。本能で分からない魔物ばかりでため息しか出ませんね

 

一人の深月は格好の餌だと勘違いした魔物達が襲い掛かるが、全て無意味に終わった。周囲に張り巡らされた魔力糸の粘着によって、身動きを取れなくなった後に首を絶ち斬られているからだ。まるで、蜘蛛の巣に自ら飛び込んで行く虫の様な光景にため息も吐きたくなる。単純な作業を一通り終えた後、気配を溶け込ませて帝国兵達の居る場所へと到着して待機する。そうすると、階段を上りきったハジメ達の姿を確認。案の定帝国兵に絡まれていたので気配を溶け込ませたまま帝国兵達の背後に移動し終え、話の内容を聞き取る

 

「おいおい、マジかよ。生き残ってやがったのか。隊長の命令だから仕方なく残ってただけなんだがなぁ~こりゃあ、いい土産ができそうだ」

 

「小隊長! 白髪の兎人もいますよ!隊長が欲しがってましたよね?」

 

「おお、ますますツイテルな。年寄りは別にいいが、あれは絶対殺すなよ?」

 

「小隊長ぉ~、女も結構いますし、ちょっとくらい味見してもいいっすよねぇ?こちとら、何もないとこで三日も待たされたんだ。役得の一つや二つ大目に見てくださいよぉ~」

 

「ったく。全部はやめとけ。二、三人なら好きにしろ」

 

弱肉強食の国家はゲスですね。精神が腐りきっています。弱いとはいえ、万が一にも逃げられてしまえばもっと面倒な事になります。網を張っておきm―――――――

 

「ん?おっほぉ~♪あの白髪の女、すっげぇ美人じゃねえか!おい坊主、そいつを寄越したらお前と男の兎人族は見逃してやるぞ?」

 

「ちょっ!?一番の上玉じゃないっすか!小隊長、ずるいですよぉ~」

 

「お前らにも味見させてやるから一番は我慢しろよ?」

 

「ひゃっほ~、流石、小隊長!話がわかる!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あいつらは今何と言った?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間、帝国兵の後ろから途方も無い殺気を放つ深月。突如現れた殺気に気付いた兵士達は後ろに振り向いて、深月を視界に入れた。そしてそれだけで兵士達の命運は決まった。ハジメ達も今までに無い殺気に身構えたが、それが深月からの物であると知り武器を納める。ハウリア達は恐怖からガクガクと震えている

 

「メイド・・・だと?」

 

「何でこんな所にメイドがいるんだ?」

 

最早深月に帝国兵の言葉は届かない。何故なら、下品で愚かしい物言いをしたのだから

 

お嬢様を犯す?その様な下劣な事を発する者は死あるのみです

 

「あ"ぁ"!?この人数を見て物を言ってんのかメイド!」

 

「いや、お前も上玉だな。なんだったら良い所に案内してやろうか?」

 

それは良いですね。案内してあげましょう

 

「それじゃあ早速あんな―――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地獄へと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深月の言葉と同時に一人の帝国兵の首がゴトリと落下。一瞬の沈黙は吹き出る血と共に破れ、帝国兵達は武器を構えようと動こうとしたが

 

「な!?う、動かねぇだと!?」

 

「一体何が起こってるんだ!?」

 

「動かねぇ!動かねぇよぉ!!」

 

帝国兵達は深月の魔力糸によって絡まれて身動きできない状態となっていた。その様子を見ていたハジメと皐月とユエの三人は合掌をする。最早どうなるかは目に見えて分かるからだ

 

何故こうなったか分かりますか?分かる訳ありませんよね?貴方達は品性の無い獣ですから

 

深月が一歩一歩歩み寄るにつれて、一人、また一人と帝国兵の首が落ちて行く

 

「ひぃっ!?た、助けて!助けてくげぇ!?」

 

「死にたくない!死にたくなぎゅ!?」

 

「おい!お前ら、見ていないで助げぎゅ!?」

 

深月が小隊長と呼ばれた者の側に辿り付くと生き残っているのは唯一人となった

 

「捕まえていたハウリア達はどうされましたか」

 

「た、助けてくれたら話す!だから命だけは取らないでくれ!!」

 

「良いですよ?話してくれれば私はこの拘束を解き解放しましょう」

 

「多分、全部移送済みだと思う。人数は絞ったから・・・」

 

そう言い終えた小隊長の拘束は解け、それを理解したと同時に脇目も振らずに走り出す。だが、地面へと転けたと同時に両足に襲い来る激痛に悲鳴を上げた。何故か?両足の膝から下が切断されていたからだ

 

「や、約束が違うだろ!?助けるって言っていたじゃないか!!」

 

「おや?私は拘束を解くとだけしか言っていませんよ?それに―――――――――お嬢様に対して暴言を吐いた貴方達を見逃す筈が無いでしょう

 

四肢を切断され、地を這うダルマと化した帝国兵にトドメの言葉を投げつける

 

「捕らえた兎人族の一部を殺したのです。殺って良いのは殺られる覚悟のある人だけですよ」

 

トドメの首を切断し終えた深月は「ふぅ」と一息入れ、何事も無かったかの様にハジメ達へと近づく

 

「全く、お嬢様と事を致して良いのはハジメさんだけです!」

 

プンプンと怒っている深月。皐月達は「まぁまぁ」と言いながら宥めて落ち着きを取り戻させて行く。しかし、恐怖から深月に対して負の感情を露わにしているハウリア達にユエが一言

 

「・・・守られているだけのあなた達がそんな目を深月に向けるのはお門違い」

 

事実を言われてハウリア達はバツ悪そうな表情をしている

 

「ふむ、深月殿、申し訳ない。貴女に含むところがあるわけではないのだ。ただ、こういう争いに我らは慣れておらんのでな・・・少々、驚いただけなのだ」

 

「いえいえ気にしていませんよ。兎人族は温厚と前知識が御座いますので、争い事を嫌う事は理解しております」

 

深月は気にしていませんと手を振る。ハジメ達は無傷の馬車や馬のところへ行き、魔力駆動二輪を馬車に連結させて一行は樹海へと進路をとった。これで半日程掛かりそうな道のりを大幅に短縮する事に成功したのであった

因みに、帝国兵達の死体は谷底に落として血溜まりは深月の清潔にて掃除されたのである

 

 

 

 

 

 

 




布団「ふ、復活するんだよ~」
深月「豆腐メンタルでよく復活出来ましたね」
布団「まだだ、まだ終わらんよ!」
深月「赤い〇星ネタは要りません」
布団「・・・・・そ、そんな事よりもアンケートだぁ!」
深月「っ!そうです!すっかり忘れる所でしたよ!何故私関連のアンケートじゃないのですか!?」
布団「何時からイチャイチャアンケートと錯覚していた?」
深月「巫山戯ないで下さい!」
布団「前回の後書きをよ~く思い出して下さい?作者が、何時、イチャイチャアンケートをすると宣言している?してないよね?」
深月「 」
布団「是非も無いよね!」
深月「乙女心を弄ばないで下さい!」
布団「それはあっちに置いておいて、接戦していますねぇ」
深月「置かれるのですか。・・・はい、そうですね。見事に別れています」
布団「ヒャッハー!メイドさんが増えるかも?」
深月「作者さんの暴走も放置しておきましょう。・・・感想、評価、お気軽に宜しくお願いします」
布団「テンション上げて行くぜー!」
深月「と、この様に感想が来るとテンションが上がる謎の作者さんです。アンケート期間は――――――次話投稿と同時に締め切りとの事です。ご注意下さい」

お待ちかね!清水君の行く末は!?

  • 撃たれて終わり(原作通り)
  • お説教されて、先生達と行動
  • お嬢様の忠実なる執事に
  • 男の娘となり、テイマーメイドになる

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