ありふれていない世界最強メイド【本編完結済み】   作:ぬくぬく布団

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布団「投稿しまする」
深月「UAが100,000を超えましたよ!イベントシーンを書いて下さい!」
布団「例えば?」
深月「お嬢様と私のイベントですよ!」
布団「それは以前書いたから別のでお願い」
深月「なっ!?」
布団「それよりも、前書きはこの辺りにしましょうや」
深月「・・・コホン。読者の皆様方、ごゆるりとどうぞ」






メイドは大樹の元に到着です

~皐月side~

 

ふぅ、こんな所ね。この残念ウサギは、正妻の座を奪おうと発言したから当然の結果よ

 

「ヒッグッ、うっく・・・皐月さんがもの凄く怖かったですう・・・」

 

「・・・皐月が怒るのは当然」

 

ちょうk――――――もとい、シアに説教をし終えた皐月

 

「さてと、本題の旅に連れて行く事だけど・・・ユエを傷付ける程度には力があるから、妥協して許可してあげるわ」

 

「ほ、ホントですか!」

 

シアの正妻発言で有耶無耶になっていた事を掘り返す皐月。同行を拒否したのはハジメだけであって皐月は妥協しており、ユエに一撃入れたらシアを連れて行く事は何も問題は無いと思っていたからだ。シアはハジメをユエ以上に甘い皐月が説得してくれると宣言した事に喜んだ。拒否される可能性は限りなく低くなったからである

 

「本当よ。ハジメを説得してあげると言ったわ。但し!貴女には首輪を付けさせて貰うわよ」

 

「つ、付けます!付けますから、絶対にハジメさんを説得して連れて行って下さい!」

 

何故シアに首輪なのか―――――――シアは兎人族の中でもとりわけ珍しい容姿をしている為、街へ入ったら狙われる可能性が特大なのだ。それを、少しでも回避する為の首輪という訳だ

 

「ほら、さっさと立ってハジメの元に帰るわよ」

 

「うへへ、うふふふ~」

 

「・・・キモイ」

 

同行の説得をしてもらえると言うよりも、ほぼ確定した説得にクネクネと体を捩らせているシアの姿を見てユエの率直な感想が口から出る

 

「・・・ちょっ、キモイって何ですか!キモイって!嬉しいんだからしょうがないじゃないですかぁ。何せ、皐月さんに甘々なハジメさんですよ?それを、皐月さん自らが説得してくれるんですよ!」

 

「・・・でも確定では無い」

 

「絶対に確定ですよ!」

 

シアとユエのやり取りを無視して皐月はハジメの元へと帰ると・・・・・

 

「聞け!ハウリア族諸君!勇猛果敢な戦士諸君!今日を以て、お前達は糞蛆虫を卒業する!お前達はもう淘汰されるだけの無価値な存在ではない!力を以て理不尽を粉砕し、知恵を以て敵意を捩じ伏せる!最高の戦士だ!私怨に駆られ状況判断も出来ない"ピッー"な熊共にそれを教えてやれ!奴らはもはや唯の踏み台に過ぎん!唯の"ピッー"野郎どもだ!奴らの屍山血河を築き、その上に証を立ててやれ!生誕の証だ!ハウリア族が生まれ変わった事をこの樹海の全てに証明してやれ!」

 

「「「「「「「「「「Sir、yes、sir!!」」」」」」」」」」

 

「答えろ!諸君!最強最高の戦士諸君! お前達の望みはなんだ!」

 

「「「「「「「「「「殺せ!!殺せ!!殺せ!!」」」」」」」」」」

 

「お前達の特技は何だ!」

 

「「「「「「「「「「殺せ!!殺せ!!殺せ!!」」」」」」」」」」

 

「敵はどうする!」

 

「「「「「「「「「「殺せ!!殺せ!!殺せ!!」」」」」」」」」」

 

「そうだ!殺せ!お前達にはそれが出来る!自らの手で生存の権利を獲得しろ!」

 

「「「「「「「「「「Aye、aye、Sir!!」」」」」」」」」

 

「いい気迫だ!ハウリア族諸君!俺からの命令は唯一つ!サーチ&デストロイ!行け!!」

 

「「「「「「「「「「YAHAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!」」」」」」」」」」

 

ハジメの号令に凄まじい気迫を以て返し、霧の中へ消えていくハウリア族達だった。これにはユエとシアがビックリしていた

 

「さ、皐月さん?み、皆さんの口調と雰囲気がもの凄く変っているんですが?」

 

「・・・誰?」

 

「ハウリア達よ?」

 

「父様達が別人になっちゃいました~!うわぁ~ん」

 

ショックの余り泣きべそを掻くシアは、踵を返し樹海の中に消えていこうとする。しかし、霧に紛れる寸前で小さな影とぶつかり「はうぅ」と情けない声を上げながら尻餅をついた。小さな影は転倒せずに持ちこたえ、倒れたシアに向けて手を差し出した

 

「あっ、ありがとうございます」

 

「いや、気にしないでくれ、シアの姐御。男として当然のことをしたまでさ」

 

「あ、姐御?・・・・・も、もしかしてパルくんなんですか!?待って下さい!ほ、ほら、ここに綺麗なお花さんがありますよ?君まで行かなくても・・・お姉ちゃんとここで待っていませんか?ね?そうしましょ?」

 

「姐御、あんまり古傷を抉らねぇでくだせぇ。俺は既に過去を捨てた身。花を愛でるような軟弱な心は、もう持ち合わせちゃいません」

 

ちなみに、パル少年は今年十一歳

 

「ふ、古傷?過去を捨てた?えっと、よくわかりませんが、もうお花は好きじゃなくなったんですか?」

 

「ええ、過去と一緒に捨てちまいましたよ、そんな気持ちは」

 

「そんな、あんなに大好きだったのに・・・」

 

「ふっ、若さゆえの過ちってやつでさぁ」

 

「それより姐御」

 

「な、何ですか?」

 

"シアお姉ちゃん!シアお姉ちゃん!"と慕って、時々お花を摘んで来たりもしてくれた少年の変わり様に、意識が自然と現実逃避を始めそうになるシア。パル少年の呼び掛けに辛うじて返答する。しかし、それは更なる追撃の合図でしかなかった

 

「俺は過去と一緒に前の軟弱な名前も捨てました。今はバルトフェルドです。"必滅のバルトフェルド"これからはそう呼んでくだせぇ」

 

 

「誰!?バルトフェルドってどっから出てきたのです!?ていうか必滅ってなに!?」

 

「おっと、すいやせん。仲間が待ってるのでもう行きます。では!」

 

「あ、こらっ!何が"ではっ!"ですか!まだ、話は終わって、って早っ!?待って!待ってくださいぃ~」

 

自分以外のハウリア達の変貌にがっくりと項垂れ、再びシクシクと泣き始めたシアは正に実に哀れを誘う姿だった

 

「・・・流石ハジメと皐月、人には出来ないことを平然とやってのける」

 

「いや、だから何でそのネタ知ってるんだよ・・・」

 

「・・・闇系魔法も使わず、洗脳・・・すごい」

 

「・・・正直、ちょっとやり過ぎたとは思ってるわ。けどね?」

 

「「反省も後悔も無い(わ)!」」

 

すすり泣くシアは、この二人に訓練させたのが間違いだったと後悔した。そして思った―――――完璧超人メイドの深月ならもっと上手く出来たのではないかと

 

「どうじで訓練は深月ざんじゃながっだんでずがあああああ!」

 

素晴らしい率直な感想。だが、深月が訓練をしなかった理由があるのだ・・・

 

「深月が訓練だと?」

 

「寧ろ私達の方が優しい部類の訓練よ」

 

「・・・深月は恐ろしい」

 

「下手すると・・・ハウリア達が潰れる可能性が大きかったからな」

 

「極限を超えた極限を引き出すだけですよ?」

 

深月の一言であぁ、これは駄目だと改めて感じたシアであった。皐月は何故ハウリア達が再び森の中へと姿を消したのか不思議だった

 

「でもおかしいわね。訓練は終わる時間だった筈だけど・・・?」

 

皐月達がハジメの元へ帰って来た時に命令が下されていたのだ。一体全体何があったのか分からない状態だった

 

「あぁ、そう言えば皐月達に説明していなかったな。実はな?完全武装した熊人族の集団が大樹へのルートを防ぐ様に待機しているとの報告があったんだ」

 

「そこで、ハウリアの方達がどうにかするとハジメさんに提案したのです」

 

「あぁ・・・成る程ね」

 

「ちょっ!?熊人族って冗談ですよね!?もの凄く強いんですよ!」

 

「大丈夫って言ってたから大丈夫じゃないか?」

 

「取り敢えず様子を見に行くか」

 

シアは駆けて、ハジメ達は歩いてハウリア達の所へと向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~深月side~

 

私達がハウリア達の向かった先へと追いかけると、熊人族の死体が至る所にありました。そして、目先には大槌を持ったシアさんがハウリアの方達を説得しています。一方、ハジメさんとお嬢様は「やっちまった。殺人衝動の事を考えていなかった」と呟かれています。まぁ、仕方が無いと割り切って行動しましょう

 

ドパンッ!

 

「ぐわっ!?」

 

「なにドサクサに紛れて逃げ出そうとしてんだ?話が終わるまで正座でもしとけ」

 

此処はハジメさんとお嬢様に任せて大丈夫ですね。私はハウリアの方々にお説教でもしておきましょうか―――――お説教という名の躾をですがね?

 

ハジメ達が熊人族と交渉をしている最中にハウリア達の前まで移動して気配を現せた深月に、ギョッと目を剥くハウリア。ハジメが「貸し一つ」と熊人族に伝言したと同時に、魔力糸を全てのハウリア達の周りに配置して待機する。ハジメは俯いたまま、ゆらりゆらりと近づく。笑顔だが、目が笑っていない。シアは気が付いたのか、冷や汗をダクダクと流している。カムは、恐る恐るハジメに声を掛ける事に・・・

 

「ボ、ボス?」

 

「うん、ホントにな?今回は俺の失敗だと思っているんだ。短期間である程度仕上げるためとは言え、歯止めは考えておくべきだった」

 

「い、いえ、そのような・・・我々が未熟で・・・」

 

「いやいや、いいんだよ?俺自身が認めているんだから。だから、だからさ、素直に謝ったというのに・・・随分な反応だな?いや、わかってる。日頃の態度がそうさせたのだと・・・しかし、しかしだ・・・このやり場のない気持ち、発散せずにはいれないんだ・・・わかるだろ?」

 

「い、いえ。我らにはちょっと・・・」

 

ガクガクと体を震わせ始めるハウリア達・・・ハジメが完全に怒っている事に気が付いたのだ。ハジメが見渡すように端から端へと目を這わせて―――――

 

「今ですぅ!」

 

シアが一瞬の隙をついて踵を返し逃亡を図った。傍にいた男のハウリアを盾にすることも忘れない。だが、現実は無慈悲だ。深月が魔力糸を予め展開していた為、シアは蜘蛛の巣に掛かった獲物となった。そして、ハジメは動けなくなったシアに対して容赦なく引き金を引いた。―――――――お尻に向けて

 

「はきゅん!」

 

あまりの痛みに体をビクンッビクンッと痙攣させている。ハウリア達は一斉に逃げだそうとするが、全員がシアと同じ様に魔力糸に捕縛されてしまった

 

「ヒィッ!?ぼ、ボス!止めて下さい!」

 

「ぼ、ボス・・・その振り上げた手をどうするつもりですか・・・・・?」

 

「取り敢えず、全員一発殴らせろ!」

 

一人一人に近づいて拳骨して行き、ハジメが近づくハウリアは涙を流しながら必死に懇願するが、その全てが無意味であった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在ハジメ達は、カム達を先頭にして大樹の元へと向かっている。全員が真面目に索敵しており、表情は真剣だ。しかし、頭に大きなたんこぶを付けているので締まりの無い微妙な姿である

 

「うぅ~、まだヒリヒリしますぅ~」

 

「そんな目で見るなよ、鬱陶しい」

 

「鬱陶しいって、あんまりですよぉ。女の子のお尻を銃撃するなんて非常識にも程がありますよ」

 

「そういうお前こそ、逃げる際に隣にいたヤツを盾にするとか・・・人の事言えないだろう」

 

「うっ、ユエさんの教育の賜物です・・・」

 

「・・・シアはワシが育てた」

 

「では、ユエさんとシアさんは、後ほど私と二度目の組み手をしましょう」

 

「「え"っ・・・」」

 

「無論、ハジメさんとお嬢様も含めますよ?」

 

「「オワタ・・・」」

 

ドンヨリとした悲壮感を漂わせる四人

それからも、雑談をしながら歩く事おおよそ十五分。一行は遂に、大樹の元まで辿り着き一言

 

「・・・なんだこりゃ」

 

「・・・枯れてる」

 

驚きと疑問のといった感じだった。深月もユエも予想が外れていた感じで微妙に驚いていた。大樹は、フェアベルゲンみたいに木々のスケールが大きいバージョンを想像していた。だが、実際の大樹は・・・見事に枯れていたのだ

 

「大樹は、フェアベルゲン建国前から枯れているそうです。しかし、朽ちる事はない。枯れたまま変化なく、ずっとあるそうです。周囲の霧の性質と大樹の枯れながらも朽ちないという点からいつしか神聖視されるようになりました。まぁ、それだけなので、言ってみれば観光名所みたいなものですが・・・」

 

四人の疑問の表情を見てカムからの解説が入る。それを聞きつつ、ハジメ達は大樹の根元まで歩み寄るとアルフレリックが言っていた通り石板が建てられていた

 

「これは・・・オルクスの扉の・・・」

 

「・・・ん、同じ文様」

 

「指輪と同じ紋様・・・此処が入り口で間違いなさそうね」

 

四人は何の変化も起こらない大樹に疑問に思いつつ、カム達に何か知らないかを聞くが答えは「分からない」との事。皐月は、ユエと一緒に石版の方を調べて気になる場所を見つけた。注目していたのは石板の裏側、文様に対応する様に小さな窪みが開いていた

 

「これって・・・オルクスが身につけていた指輪が嵌めれるんじゃないかしら?」

 

「ハジメ・・・来て」

 

「何か見つけたか?」

 

皐月が見つけた窪みについて聞いたハジメは、指輪をそこへ嵌めてみる。すると、石板が淡く輝きだしたのだ。何事かと、周囲を見張っていたハウリア族も集まって来た。しばらく、輝く石板を見ていると、次第に光が収まり、文字が浮き上がった

 

"四つの証"

"再生の力"

"紡がれた絆の道標"

"全てを有する者に新たな試練の道は開かれるだろう"

 

「・・・どういう意味だ」

 

「この迷宮を攻略する際に必要な鍵という事?」

 

「四つの証は迷宮攻略って分かるが・・・再生の力と紡がれた絆の道標ってのは」

 

「恐らくですが、後者の絆の道標は亜人族との協力でしょう。前者の再生の力は神代魔法の再生を司る力かと思われます」

 

目の前の枯れている樹を再生する必要があるのでは?と推測するハジメ。皐月も深月もユエも、そうかもと納得顔をする。つまり―――――

 

「はぁ~、ちくしょう。今すぐ攻略は無理ってことか・・・面倒くさいが他の迷宮から当たるしかないな・・・」

 

「ん・・・」

 

「シアは連れて行く予定だから・・・一つの条件は達成されたも同然ね」

 

「・・・この残念ウサギをか?」

 

「名前!?私の名前はシアですう!ちゃんと名前を呼んで下さいよ~」

 

シアの事は放置して皐月はハジメに提案していく

 

「連れて行く事にメリットの方が大きいからよ。もしも、他の迷宮も此処と同じ様に制限が有ると思うとね?ユエに一撃入れる事が出来たシアなら問題は無いと判断したのよ」

 

「・・・俺達は他の迷宮に関しても知らないからな」

 

皐月の提案を飲む事にしたハジメ。シアに家族との別れの挨拶を済ませておけとチラリと見て、そういう意図が含まれているのをシアは正確に読み取った

 

「とうさ「ボス!お話があります!」・・・あれぇ、父様?今は私のターンでは・・・」

 

ビシッと直立不動の姿勢を取ったカム

 

「あ~、何だ?」

 

「ボス、我々もボスのお供に付いていかせて下さい!」

 

「えっ!父様達もハジメさんに付いて行くんですか!?」

 

「我々はもはやハウリアであってハウリアでなし!ボスの部下であります!是非、お供に!これは一族の総意であります!」

 

「ちょっと、父様!私、そんなの聞いてませんよ!ていうか、これで許可されちゃったら私の苦労は何だったのかと・・・」

 

「ぶっちゃけ、シアが羨ましいであります!」

 

「ぶっちゃけちゃった!ぶっちゃけちゃいましたよ!ホント、この十日間の間に何があったんですかっ!」

 

ハジメと皐月は「はぁっ」とため息を吐いて一言

 

「「却下」」

 

「何故です!?」

 

「足手纏いだからに決まってるでしょ!」

 

「しかしっ!」

 

「調子に乗るな。俺の旅についてこようなんて百八十日くらい早いわ!」

 

「具体的!?」

 

必死に食い下がろうとするカム達にどうするか考えるハジメと皐月。拒否しても、無理矢理着いてきそうな雰囲気もあるので落とし処を考えるも思い付かない。皐月は深月に目配せして助けを求め、深月は頷く

 

「今の貴方方では足手纏いでしかありません。ですが、私達は再びこの大樹の元へ帰ってきますので、それまでにハジメさん達の部下として使える様に努力しなさい。そうすれば一考はして下さる筈です」

 

「・・・本当ですか?」

 

「あ~・・・使える様だったら部下として考えなくもない」

 

「・・・そのお言葉に偽りはありませんか?」

 

「ないない」

 

「嘘だったら、人間族の町の中心でボスの名前を連呼しつつ、新興宗教の教祖のごとく祭り上げますからな?」

 

「お、お前等、タチ悪いな・・・」

 

「そりゃ、ボスの部下を自負してますから」

 

頬を引きつらせるハジメ。皐月とユエがぽんぽんと慰めるようにハジメの腕を叩く。ハジメは溜息を吐きながら、次に樹海に戻った時が面倒そうだと天を仰ぐのだった

 

「では頑張って下さい。使えると判断しましたら―――――私が更なる訓練を付けて差し上げましょう

 

「お前達!やるぞ!!」

 

「「「「「「「「「「やるぞおおおおおおお!」」」」」」」」」」

 

「ぐすっ、誰も見向きもしてくれない・・・旅立ちの日なのに・・・」

 

傍でシアが地面にのの字を書いていじけているが誰も気にしていない悲しい現実だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

樹海の境界でカム達の見送りを受けたハジメ、皐月、深月、ユエ、シアは再び魔力駆動二輪に乗り込んで平原を疾走していた。位置取りは前回とは違って、ハジメ、皐月――――ユエ、深月、シアの順番である。納得がいかないと頬を膨らませるシアだが、其処は深月クオリティーで黙らせる。ユエは文句も無い

ハジメと相席の初めてを譲ってくれた皐月の優しさと、正妻でありながらの器の広さから納得しているからである。シアはもう少しだけお淑やかになって、皐月に認めてもらえる様に頑張れば良いものをと思いつつそれは教えない。深月の肩越しからシアが質問する

 

「深月さん。そう言えば聞いていませんでしたが目的地は何処ですか?」

 

「シアさんには教えていませんでしたね」

 

「・・・私は知っている」

 

「わ、私だって仲間なんですから、そういう事は教えて下さいよ!コミュニケーションは大事ですよ!」

 

「・・・もう少し考える努力をしろ」

 

「次の目的地はライセン大峡谷です」

 

「ライセン大峡谷?」

 

「ライセンでも大迷宮があると噂されています。シュネー雪原は魔人族の領土ですので面倒事は避けたいのです。グリューエン大火山を目指す方が良いと思われますが、どうせなら西大陸に行くなら東西に伸びるライセンを通りながら途中で迷宮が見つければお得でしょう?」

 

「つ、ついででライセン大峡谷を渡るのですか・・・」

 

思わず、頬が引き攣るシア。ライセン大峡谷は地獄にして処刑場というのが一般的な認識で、つい最近では、一族が全滅しかけた場所でもあるので内心動揺する

 

「ライセン大峡谷は魔力を霧散させる場所から処刑場と名が付けられたそうです。ユエさんには天敵も良い所ですが、シアさんは身体強化に特化しているので影響無く動けるでしょう」

 

「・・・師として情けない」

 

「うぅ~、面目ないですぅ。と、ところで、今日は野営ですか?それともこのまま、近場の村か町に行きますか?」

 

「予定としては、食料や調味料関係を揃えたいと思っております。今後の為にも素材を換金してお金を手に入れる必要が有りますので町に行きます。前に見た地図が合っているのであれば、この方角の先に町があります」

 

深月は町での料理も気になるし、調味料と普通の食材を使った料理をしたいという点もあったのだ

 

「はぁ~そうですか・・・良かったです。ハジメさん達の事だから、ライセン大峡谷でも魔物の肉をバリボリ食べて満足しちゃうんじゃないかと思ってまして・・・ユエさんは三人の血があれば問題ありませんし・・・どうやって私用の食料を調達してもらえるように説得するか考えていたんですよぉ~、杞憂でよかったです」

 

「オルクス迷宮に居た時は食料が殆ど無かったからですよ。好き好んで魔物の肉を食べる事は致しません。何より、オルクス産の魔物よりも弱い魔物の肉を食べても技能が増える可能性は限りなく低いですから」

 

数時間程走り、そろそろ日が暮れるという頃、前方に町が見えてきた。ハジメと皐月の頬が綻ぶ、奈落から出て空を見上げた時の様な、"戻って来た"という気持ちが湧き出したからだ。ユエもどこかワクワクした様子。きっと、ハジメ達と同じ気持ちなのだろう

 

「そう言えば・・・この首輪、取ってくれませんか?何故か、自分では外せないのですが・・・」

 

「当たり前です。その首輪はお嬢様の特注ですよ?貴女は奴隷として入場させた方が厄介事も無いのですから」

 

「奴隷!?私って奴隷扱いなんですか!?ひどいですう~!」

 

「うるさい残念ウサギ」

 

「うわ~ん!深月さんもユエさんもひどいですう~!」

 

だが、シアはこの首輪の有無でどうなるかを改めて理解するのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




深月「何か書いて下さい~!お嬢様とのイベントシーンを所望します!!」
布団「今は忙しいんや」
深月「型月ゲームをやっているではありませんか!」
布団「最低限は確保しておかないとね?未だ終わってないのよ」
深月「書いてくれるという事で間違い無いのですね!」
布団「読者の希望が募ればだけど」
深月「アンケートを出しましょう!」
布団「いや、アンケートはしばらくお休みします」
深月「・・・えっ?」
布団「ある程度話しを進めてからアンケートをするつもりよ」
深月「いや・・・えっと・・・イベントシーンは?」
布団「お気に入り1000件到達で何かやった?」
深月「R-18を投稿したじゃないですか!」
布団「無理難題を押しつけてくれる・・・」
深月「イベントシーンは書いて下さいよ!」
布団「モチベーションが上がったら執筆するわ~」
深月「約束ですよ!―――――約束ですよ!」
布団「あぁうん。後書きもこの辺りにしましょうよ」
深月「・・・感想、評価お気軽にどうぞですよ~」


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