ありふれていない世界最強メイド【本編完結済み】   作:ぬくぬく布団

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深月「投稿ですよ!今回は作者さんが忙しそうにしているので、私一人の豪華一本立てでございます。・・・とはいえ、前書きで話す事は殆ど無いにも等しいです。ですが、このまま終わるとなると味気無いので独り言を呟きましょう
お嬢様は日々進化しておられます。それはもう、あらゆる所ですよ!(意味深の)訓練や(戦闘の)諦めない粘りで私の攻撃を凌ごうとする姿はたまりません!!さぁ皆さんもおzy―――――――」
布団「それ以上はいけない!無理矢理にでも話しを断ち切らせて頂いたのです」
深月「チッ・・・」
布団「舌打ちしないで下さいよぉ。お嬢様について色々書いてみるから(本当に書くとは一言も言っていない)」
深月「作者さんは遊んでいました―――――と、いう事ですね?」
布団「朝から晩まで色々と諸事情で書けなかったんです!  誤字報告有り難うなのですよー」
深月「感想も有り難う御座います。・・・作者さんのモチベを上げ上げするには必要なのですね」
布団「テンション上がってきたー!   って?」
深月「それでは読者の皆様方、ごゆるりとどうぞ」




メイドは暗躍していました

~ハジメside~

 

ブルックと隣町の間にある湖がいきなり泡立ち

 

ゴポッ!ゴポゴポゴポッ!    ゴッパーーーン!

 

「どぅわぁあああーー!!」

 

「んっーーーー!!」

 

「   」

 

吹き上がる水の勢いそのままに、三人と大きい白い玉が飛び出す。おおよそ十メートルまで飛ばされた一行はボチャンと水柱を立てながら墜落した。そして、その光景を見ている者達・・・服屋のクリスタベルと、マサカの宿の娘のソーナと、護衛の冒険者達は呆然としていた

深月は、魔力糸を球体からボートの形に変えてハジメ達三人の回収する

 

「ゲホッ、ガホッ、~~っ、ひでぇ目にあった。あいつ何時か絶対に破壊してやる。ユエ、シア、無事か?・・・皐月と深月は・・・まぁ、そうだよな・・・」

 

「ケホッケホッ・・・ん、大丈夫。・・・深月酷い」

 

「お声を掛けたのですが聞こえませんでしたか?」

 

「・・・むぅ。それを言われると何も言い返せない」

 

水面からボートに上がった二人と、回収された一人。返事が無いシアは、現在皐月が人工呼吸を行っている

 

「それにしても、深月の魔力糸だが・・・応用効き過ぎだろ」

 

「・・・船」

 

「重力魔法で沈まない様にしているだけですよ?本来は定員一~二人です」

 

魔力糸でオールの形を作りクリスタベル達が居る岸へと近づけて行くと、シアも目を覚ましたのか・・・皐月にアイアンクローをされている

 

「・・・何があった」

 

「・・・ん」

 

「この残念ウサギッ!あそこに居るクリスタベルさんの所までぶっ飛びなさい!!」

 

まるで水切りの様にシアを水面に叩き付けて吹き飛ばした皐月。シアは「あっぶぇえええええ!」と叫びながら吹っ飛んでいった

 

「本当に何があった・・・」

 

「・・・なにかされた?」

 

「人工呼吸をしている私をハジメと間違えてキスをしてきたのよ。救助している人に対しての侮辱に等しいわよ!」

 

「後程OHANASHIしておきましょうか?」

 

「やらなくて良いわよ。その代わり、ハジメに癒やしてもらうから―――――――良い?」

 

「ん!」

 

「おっ、おう」

 

ハジメの右腕に引っ付く皐月。肉眼でハジメ達を見て、「あら? あなたたち確か・・・」と記憶にある三人を思い出すクリスタベル。そして、嫉妬の炎を瞳に宿す男共とそんな男連中を冷めた目で見ている女冒険者

シアの元まで到着したハジメ達の元に、飛ばされたシアが帰ってくるなり文句を言い始める

 

「酷いですよ皐月さん!ちょっと間違えてキスしちゃった位であんなに怒る事ないじゃないですか!これは断固抗議です!対価としてハジメさんを一日貸して頂きます!!」

 

「あ"ぁ"ん"?」

 

「・・・調子に乗ってすみません」

 

皐月の憤怒の視線を浴びて素直に土下座して謝るシア。中々怒らない人物が怒るのはとても怖いのである

 

「お嬢様がシアさんをあのまま放置していたら死んでいましたよ?助けられた際に言うべき言葉は何かお分かりですか?それをちゃんと言いましたか?」

 

「ありがとうですぅ~」

 

「はいはい。どういたしまして」

 

あまりの棒読みに戸惑う。それ程までに怒っていると改めて気付き、シュンと耳を垂れ下げたシア

クリスタベルが近付きハジメ達に状況を聞こうとすると、顔を背ける二名。深月は初対面という事もあって、ユエが対処する事で、一緒にブルックまで同行する事となった

 

「・・・店主いい人」

 

「ですねぇ~」

 

揺れる馬車に馬の足音、心地よいBGMを聞きながらブルックへと進む一行。道中で出てくる魔物達は全て深月によって瞬殺されたのはお約束である

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~皐月side~

 

月が時折雲に隠れながらも、夜の闇を光りが地上のとある建物を照らす。分かりやすく言うならば、建物の屋根からロープを垂らして綺麗に下降している少女――――――ソーナがそこに居た

 

「ふふっ、あなた達の痴態、今日こそじっくりねっとり見せてもらうわ!」

 

ゆっくりと、しかし、スルスルと慣れた様子で三階にある角部屋の窓まで降りるて窓の上部から中を覗き見る

 

「この日のためにクリスタベルさんに教わったクライミング技術その他!まさかこんな場所にいるとは思うまい、ククク。さぁ、どんなアブノーマルなプレイをしているのか、ばっちり確認してあげる!」

 

ハァハァと気持ちの悪い荒い呼吸をしながら室内に目を凝らすソーナ。普段は明るく、ハキハキとしたしゃべりに良く動き回る働き者、美人の様に目立つ様な少女では無いが素朴な可愛らしさを持つ看板娘。そんな彼女は、現在、持てる技術の全てを駆使して、とある客室の覗きに全力を費やしていた

 

「くっ、やはり暗い。よく見えないわ。もうすこってきゃああああああああーーーーーー!」

 

視界をずらして中を覗き込もうとした彼女だが、自身を吊していたロープが切れて落下する。地面と激突する寸前で止まった

 

「な、何でロープが切れたの。新品同然だったのに・・・」

 

シュルルル

 

紐が引かれる様な音が聞こえた瞬間、ソーナを拘束するロープ。何が起きたのか理解出来無い彼女の前に現れる人物―――――深月がそこに居た

 

「一体何をなされているのですか?」

 

「わ、罠よ!これは罠よ!誰かが私を陥れようとしているの!」

 

「そうですか。・・・貴女が縛られているロープはあそこで切れている物ですよ?」

 

「えっ?違いますよ。切れたロープは私の腰に――――――」

 

「ご協力感謝致します。自ら自首されたので私からは何も言いません」

 

「えっ?自首って?」

 

「貴女の腰に付いているロープは上のそれだと自身で申されましたよ?」

 

深月の後ろからヌッと出てくる人影――――――笑顔だが、眼が全く笑っていない母親が現れたのだ。ソーナは顔を青ざめて母親にドナドナと連行されて、少しして小さな悲鳴が上がった

 

「さて、私は私でシアさんのお説教をしませんと」

 

実は、ソーナが覗きをする前にハジメ達の部屋へと突撃しようとしていたシアを深月が捕縛して説教をしていたのだ。その為、少しばかり遅めの対処とした

 

「ひんひん。どうじで深月しゃんにばれちゃうんですかぁ~」

 

「あれで気配を消しているつもりだったのですか?それはそれとしてお説教の再開です」

 

「もう許してください~!」

 

再び深月のお説教が始まった。ハジメはもう既に寝ており、皐月とユエの二人がひっそりと起きている

 

「全く、油断も隙も無いわね」

 

「・・・皐月はシア反対?」

 

「そうじゃ無いのよ。ユエ、ハジメの正妻は?」

 

「皐月」

 

「納得はしているの?」

 

「文句無い。・・・ハジメが私も愛してくれる様に気配りしてくれているから」

 

「ちゃんと見てるのね。まぁ、シアがハジメの正妻となったとしたらどうなると思う?」

 

「・・・自分ばかり良い思いをしそう?」

 

「そゆこと。ちゃんと分かってるじゃない」

 

「・・・シアが認められないのはそれが理由?」

 

「ちゃんと普段の生活の中でチャンスを与えているわよ?それを物に出来るかは観察しているけれど」

 

「・・・そこまで気が回らなかった」

 

皐月はシアを拒絶はしていない。寧ろチャンスを活かせる機会を作っているのだ。何気ない所でも目を光らせており、空振りとハジメの感情を読み取って、うっとうしいと感じるまでの行為を見て減点を付けているのは言うまでも無い

 

「・・・シアはがっつきすぎ?」

 

「一歩手前に下がって物事を見れば良いのにね。ハジメも嫌がってはいないのよ?ただ・・・やり過ぎでウザいと認識しているの」

 

考えても見て欲しい。押して押して押しまくる女性を好きになれるか?積極的にアピールするのは未だ許せる範疇だが、度が過ぎればただただウザいだけ。シアの現在がこれに相当し、自らが好感度をへし折っていくスタイルだ

 

「教えたら駄目よ?自分で気が付かない様なら、ハジメへの愛情もその程度なのよ」

 

「・・・分かった。・・・けど、助言する」

 

「ほんの少しだけなら良いわよ」

 

「ん!」

 

「それじゃあ私達も寝ましょう」

 

「おやすみ皐月」

 

「おやすみユエ」

 

ハジメを真ん中において川の字で眠った二人

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう寝させてください~」

 

「反省するまで終わりませんよ!」

 

深月のお説教は一晩中続いたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日が昇り、朝になった。ハジメ達は一階に降りると、お尻を腫らして吊されている看板娘と、目の下に隈を浮かべて椅子に座っているシアが居た

 

うわぁ・・・深月のお説教が一晩中続いたのね。きっとお説教中に眠ったのね

 

三人は何があったのか容易に想像出来、深いため息を吐いてシアが座っているテーブルへと着く

 

「ハジメさん聞いて下さいよ~。深月さんが~」

 

「大方、説教中に居眠りでもしたんだろ」

 

「ぎっくぅ!」

 

「自業自得よ」

 

「・・・それは怒る」

 

三人共が深月に賛同している。シアの味方は誰一人居ない

 

「それでもお説教が長すぎますよ~。ハジメさん、どうにかして下さいよ~」

 

「俺に振らず自分でどうにかしろ」

 

「え~、いいじゃないですかぁ~!ほらほら、私の胸を触っても怒らないですよ~」

 

「うっとうしい!そんなに眠たいんだったら目を覚まさしてやるよ」

 

「い"っ!?イダダダダダダダ!め、めり込んでいますぅ!指が頭にめり込んでぇえええええ!?」

 

「・・・はぁ」

 

本当に残念ね。早々に減点とは・・・

 

皐月は、ハジメがシアの頭をギリギリと締め付けている光景を眺めつつ、ユエと一緒に朝食を注文した。厨房から深月が運んでくる料理は、パンとスープのありふれた料理だ。しかし、一つだけ違う点があった。パンである

話は変って、この世界に来てから深月が料理を始めたのは迷宮に入ってからだ。王国に居た時は離れる余裕が無かったのと、深月はクラスメイトを赤の他人として認識していた。戦闘面で目立っていた為、これ以上目立つ事はしまいと息を潜めていた

しがらみも無くなり、思う存分力を振るえる環境に解き放たれた者が自重をするとお思いだろうか?・・・絶対にしない。この世界の食文化レベルは低いのは分かりきっていたので、手近な所から変えていこうと行動を起こしたのだ。特にパンは違い過ぎるの一言。カッチカチのパンを主食にしているこの世界は、ハジメ達の様な柔らかいパンを食べ慣れている者達からすれば地獄以外に他ならない。そこで、深月は天然酵母を作る事から開始したのだ。果実や小麦等も露店で容易に手に入ったので、残る手間は熟成や温度管理等だが―――――忘れてはいけない。深月の技能に熟成短縮と熱量操作を保有しているので、発酵と保温は完璧。本来は数日掛かる種酵母作りが数時間で出来てしまい、ガス抜きも清潔で抜き取って時間短縮。数日間が、数時間に短縮されるという・・・本職の人間がそれ聞いたら膝を付いて倒れ伏すだろう

話しは戻り、硬いと思い込んでいたパンを手に取った皐月は驚いた

 

「は、ハジメ!パンが硬くない!柔らかい!!」

 

「何っ!?・・・ほ、本当だ。柔らかい・・・何故だ・・・?」

 

「やわらかい!」

 

「何ですかこのパン!?ふわっふわしてますよ!」

 

周囲の客達は、ハジメ達を見て「何言ってるんだ?パンは硬いだろ?現にこれは硬いし」と疑問に思っていた

 

深月が運んで来たという事は、作ったって事よね?・・・パンってイースト菌が無ければカチカチになるんじゃないの?イースト菌は培養の筈よ。・・・何故?何かの技能で出来たの?分からない・・・

 

「うめぇ・・・柔らかいパンは偉大だな」

 

「うまうま♪」

 

「んほおおおおおお!おいしいですううううう!おかわり!おかわりを要求します!!」

 

思考に耽っている皐月よりも先にパンを食べた三人は、その味と食感を噛みしめていた。皐月も考えるのを止めて、手に持っているパンを千切って一口

 

「ん、美味しい♪」

 

自然に笑みが零れる皐月を見る周囲のお客は見惚れていた。自然に笑みを零す姿の皐月は、高貴な令嬢を幻想させる。まぁ、地球では本物の令嬢なのだが・・・

周囲を気にせず黙々とパンを食べる皐月を見ながらハジメは、周囲の客(※男性)に向けて警告を込めた殺気を一瞬だけ叩き付けた。警告も済んだハジメは、幸せそうにパンを食べている皐月を見ながら厨房に戻って行く深月を見て一言

 

「このパンを作ったのってどう考えても深月だよなぁ」

 

「・・・深月は私達の胃をつかんでいる」

 

「あははははは・・・私も既に掴まれちゃってますぅ~」

 

「それにしても、柔らかいパンを作るにはイースト菌が必要な筈だが・・・この世界では手に入らないぞ?」

 

ハジメも皐月同様で、イースト菌が無いと柔らかいパンは作れないと思っていた。二次小説等で、柔らかいパンを作って儲ける等は良く目にするが、行程は書いていない物が殆ど。どの様な二次小説にもあるご都合主義だろう・・・そう考えていた時期があったが、実際に体験すると疑問ばかりだ。すると、厨房に行った深月が容器を片手に持って戻って来たのだ

 

「もしや・・・お嬢様以外は既にパンを食べ終えてしまいましたか?」

 

「あ、・・・あぁ。久しぶりの柔らかいパンだったからな」

 

「おいしかった」

 

「おかわりは無いんですか?」

 

「お試しで作ったパンですので・・・おかわりはありません」

 

「そ、そんなぁ~」

 

「深月が持っているその容器は何なんだ?」

 

「秘密です♪」(ハジメさんには教えますが、口外はしないで下さい。ユエさんとシアさんは喋りそうですので)

 

(念話にしないといけないぐらいヤバイ代物なのか?)

 

(危険では無いのですが・・・実は、オルクス迷宮に居たトレント擬きの果実を使用しているのです)

 

(あぁ、成る程な。確かに二人には教えない方が良いだろう。うっかり喋りそうだからな)

 

深月の懸念を理解して話しを合わせる事にしたハジメ

 

「秘密なら仕方がねぇな」

 

「えぇ~、ケチケチしないで教えて下さいよ~」

 

「お嬢様、こちらを塗って食べてみて下さい」

 

深月はシアを無視して皐月が食べているパンに、ペースト状のそれを渡す。皐月は深月なら良い物を作ると理解しているのでパンに付けて一口

 

「爽やかな甘みのジャム?ね。砂糖を使わず、素材本来の味でこれならコスパも良いわね」

 

「量は少ないですが、これと同程度の容器に三つ作れました」

 

「趣向品として偶に食べましょう。素材は中々手に入らない物でしょ?」

 

「ご想像通りです」

 

「なら、素材も聞かないわ。その方が楽しみも増えるしね」

 

「えぇ~、素材なら取りに行けばいいじゃないですか~。私にも食べさせて下さいよ~」

 

「・・・素材を知ったらどうするつもりか聞いても良いかしら?」

 

残念そうに、諦める形でシアに尋ねる皐月。皐月の予想では、シアは情報を共有して世に広めようと思っているのだろうと予想した

 

「勿論採りに行きますよ!他の人達にも広めて流通させるのです。そうすれば何時でも食べれて幸せになれます!」

 

「はぁ・・・」

 

「な、何ですかその反応!私何か変な事言いましたか!?」

 

見事に皐月の予想通り。呆れて物も言えず、盛大なため息を吐いた

 

「この世界の人達を見てきたけど、広めるのは悪手よ。どうせ、貴族辺りが乱獲して種その物が無くなるわ。例え、法を敷いたとしてもそれを破る人間は居るわ。私達の世界でもそういう人は少なからず居たわ」

 

「そ、それなら・・・自分で採りに行けば」

 

「深月が手に入れて来たと言ったわよね?考えてもみなさい。"深月じゃないと行けない"場所にあったらどうするつもり?自殺行為に他ならないわ。だったら、深月の負担にならない程度で味わう方が手間も無いわよ」

 

「あうぅぅ・・・」

 

「人の闇は深いのよ。シア自身も気が付いていないだけで、貴女を連れ去ろうとした企んでいた連中はこの町に何人も居たらしいわよ?」

 

「え"っ!?」

 

「全部深月が処理したと言っていたわ。まぁ、私も気が付かなかったけれど」

 

「もしかして・・・私は深月さんに負担をかけてました?」

 

「今更気付いたのですか?」

 

「す、すいませんでしたああああああーーーーー!」

 

「食事処で働いていたのは理由は、情報が沢山入ってくるからです。寝室を同じにしたのも同様で、考え無しに行動しているとお思いでしたか?」

 

シアを連れ去ろうとした輩はそれなりに存在した。だが、その全ては深月の暗躍により悉くが潰えた。噂は噂を呼び、シアを狙う輩達がどんどんと消されている事実は関係者に広がり恐怖に駆られた者達は計画を取り止めていき、鎮火していったという事だ

 

「これからは、自分がどういった問題を引き寄せるかちゃんと理解しておきなさいよ?全部が全部、深月だけで対処させるわけにはいかないの」

 

「はいぃ」

 

シリアスな話しを切り上げて、皐月はパンをじっくりと味わいきり食事を終えた。朝食を済ませて冒険者ギルドへと直行した。道中で変人や変態に出会ったが、ハジメと皐月が対処したのは言うまでも無い。深月は皐月から「自分がやる」と命令されていたので今回はギャラリーに徹した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~深月side~

 

カラン、カラン

 

冒険者ギルド:ブルック支部の扉を開き中へと入るハジメ達は、この数日でかなりの有名人?となった。ギルド内の男共は皐月、深月、ユエ、シアに見惚れ、ハジメには羨望と嫉妬の視線を向けるが陰湿な物は一つも無い

ブルックに滞在して一週間、その間に"死神の一撃"の皐月。"股間スマッシャー"のユエ。"決闘スマッシャー"のハジメ。誰が言い始めたのかは分からないが、パーティー申請もしていないのに"死神のスマッシュ・ラヴァーズ"という名が浸透しており、自分の二つ名と共にそれを知ったハジメがしばらく遠い目をしていた

深月の二つ名が何故無いのかと疑問に思うだろう。裏で暗躍していた時期が極僅かで、姿を見た者が誰一人居らず、ライバル組織の邪魔の可能性という事も有る為に正体を掴ませていない。因みに、裏が勝手に付けた二つ名は"白の霧"。見せしめとして一人だけ生き残りを残した深月、その者の証言曰く「白が迫って・・・」「来るなぁ!来るんじゃ無い!・・・消え?うわああああああ!」等と姿を全く想像も出来ない事から付けられた二つ名である

 

「おや、今日は五人一緒かい?」

 

ハジメ達がカウンターに近づくと、マダム事――――キャサリンが居り、先に声をかけた。彼女の声音に意外さが含まれているのは、この一週間の間にこのギルドにやって来たのは大抵、ハジメ一人か皐月と深月の二人組かユエとシアの二人組だったから

 

「ああ。明日にでも町を出るんで、あんたには色々世話になったし、一応挨拶をとな。ついでに、目的地関連で依頼があれば受けておこうと思ってな」

 

「広い部屋を貸してくれたからそのお礼も兼ねているの」

 

ハジメと皐月は生成魔法と重力魔法の組み合わせを試行錯誤する際に、ギルドの一室を無償で提供してくれていたのだ。なお、ユエとシアは郊外で重力魔法の鍛錬である。深月は既に物にしているので問題は無い

 

「そうかい。行っちまうのかい。そりゃあ、寂しくなるねぇ。あんた達が戻ってから賑やかで良かったんだけどねぇ~」

 

「勘弁してくれよ。宿屋の変態といい、服飾店の変態といい、皐月とユエとシアに踏まれたいとか言って町中で突然土下座してくる変態どもといい、"お姉さま"とか連呼しながら三人をストーキングする変態どもといい、決闘を申し込んでくる阿呆共といい・・・碌なヤツいねぇじゃねぇか。出会ったヤツの七割が変態で二割が阿呆とか・・・どうなってんだよこの町」

 

現在、ブルックの町には四大派閥が出来ており、日々しのぎを削っている。一つが「皐月ちゃん見守り隊」、もう一つは「ユエちゃんに踏まれ隊」、もう一つは「シアちゃんの奴隷になり隊」、最後は「お姉さまと姉妹になり隊」である。それぞれ、文字通りの願望を抱え、実現を果たした隊員数で優劣を競っているらしい

町中でいきなり土下座で「踏んで下さい!」と叫ぶのだ。恐怖以外の何物でも無いが、ユエが踏むと「WRYYYY!」と叫んだりする。「奴隷になり隊」は見つけ次第駆逐している。最後の隊は女性のみで結成された集団で、皐月とユエとシアに付き纏うか、ハジメの排除行動が主だ。一度は、「お姉さまに寄生する害虫が! 玉取ったらぁああーー!!」とか叫びながらナイフを片手に突っ込んで来た少女も居たが、皐月が見せしめに叩きのめした後、裸にひん剥いて亀甲縛りモドキをして一番高い建物に吊るし上げた挙句、"お姉様の幸せを邪魔した愚か者です""次邪魔したら殺す"と書かれた張り紙を貼って放置した。皐月手ずからの行為だったので、少女達の過激な行動がなりを潜めたのはいい事である。この中で一番常識のあるまともなのは「見守り隊」だけだ

 

「まぁまぁ、何だかんで活気があったのは事実さね」

 

「やな、活気だな」

 

「で、何処に行くんだい?」

 

「フューレンよ」

 

ハジメ達の次の目的は、グリューエン大火山。その次はメルジーネ海底遺跡となっている。大火山に行くには、大陸を西に向かわなければならないのだが、その途中に中立商業都市フューレンがあるのだ。大陸随一大陸一の商業都市に一度は寄ってみたい。何より、深月が寄って下さいとお願いをしている事もあるので寄るのは確定である。深月は調理道具や交易品等を調べたいという考えを持っている

 

「う~ん、おや。ちょうどいいのがあるよ。商隊の護衛依頼だね。ちょうど空きが後一人分あるよ・・・どうだい?受けるかい?」

 

「連れを同伴するのはOKなのか?」

 

「ああ、問題無いよ。あんまり大人数だと苦情も出るだろうけど、荷物持ちを個人で雇ったり、奴隷を連れている冒険者もいるからね。まして、ユエちゃん、シアちゃんも結構な実力者だ。一人分の料金でもう二人優秀な冒険者を雇えるようなもんだ。断る理由もないさね」

 

「そうか、ん~、どうすっかな?」

 

「全部を急ぐ必要は無いわよ。偶にはゆっくりとした旅を満喫したいわ」

 

「・・・皐月と同じく」

 

「そうですねぇ~、偶には他の冒険者方と一緒というのもいいかもしれません。ベテラン冒険者のノウハウというのもあるかもしれませんよ?」

 

「急がば回れ。急ぎすぎて何かを仕損じてはいけませんので、ここは一つ回り道をするのも良いかと」

 

「・・・そうだな、急いても仕方ないし偶には良いか・・・」

 

ハジメは皆の意見を取り入れてキャサリンに依頼を受けることを伝える。何事も経験が一番。特に、ベテラン冒険者からノウハウを学ぶ価値も有ると理解した

 

「あいよ。先方には伝えとくから、明日の朝一で正面門に行っとくれ」

 

「了解した」

 

「あんた達も体に気をつけて元気でおやりよ?この子に泣かされたら何時でも家においで。あたしがぶん殴ってやるからね」

 

「ハジメを信頼しているから泣かされないと言いたいけど、もしもそうなったらそうさせて貰うわ」

 

「・・・ん、お世話になった。ありがとう」

 

「はい、キャサリンさん。良くしてくれて有難うございました!」

 

「あんたも、こんな良い子達泣かせんじゃないよ? 精一杯大事にしないと罰が当たるからね?」

 

「・・・ったく、世話焼きな人だな。言われなくても承知してるよ」

 

キャサリンの言葉に苦笑いで返すハジメ。彼女はそんなハジメに一通の手紙を手渡した

 

「これは?」

 

「あんた達、色々厄介なもの抱えてそうだからね。町の連中が迷惑かけた詫びの様な物だよ。他の町でギルドと揉めた時は、その手紙をお偉いさんに見せな。少しは役に立つかもしれないからね」

 

思わず頬が引き攣るハジメ。このオバチャン一体何者だ?と思った所で

 

「ハ・ジ・メ・さ・ん・?キャサリンさんに失礼な事を考えませんでしたか?」

 

お前はエスパーか!?と叫びたかったが、その言葉を飲み込んで心の中で謝罪しておいた

 

「おや、ちゃんと謝るとは成長したねぇ?」

 

お前もか!?と叫びそうになったが、その言葉も飲み込んでこれ以上詮索しない様にした

 

「・・・はぁ、詮索もしねぇよ。これは有り難く貰っとく」

 

「素直でよろしい!色々あるだろうけど、死なない様にね」

 

謎多き、片田舎の町のギルド職員キャサリンの愛嬌のある魅力的な笑みと共に送り出されたハジメ達。その後、お世話になったクリスタベルと第二のクリスタベルことエリナベルの所にも寄った。ハジメは拒絶、皐月は顔色を悪くしていたが、ユエとシアがどうしてもというので仕方なく付き添った。だが、町を出ると聞いた瞬間、クリスタベルは最後のチャンスとばかりにハジメに襲いかかる巨漢の化物と化し、深月が一瞬で無力化する事で難を逃れる事に成功したハジメだった

宿の方にも最後の晩だという事を伝えると、遂には堂々と風呂場に乱入しようとしたり、そして部屋に突撃を敢行しようとしたソーナちゃんは深月がしっかりとOHANASHIして母親に引き渡し、ブチギレた母親に本物の亀甲縛りをされて一晩中、宿の正面に吊るされるという事件があったのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




布団「暴走する奴が多いなぁ・・・」
深月「お嬢様とハジメさんのお二人は、クリスタベルさんにトラウマを植え付けられてしまいました」
布団「メイドさんが速攻で沈めたのにも関わらず?」
深月「そのー・・・クリスタベルさんの表情が、肉食獣のそれと同じだったのです」
布団「もう少しでホモォ展開だったという事か!」
深月「特に、ハジメさんが心に深い傷を負ってしまいました・・・」
布団「ヒェッ」
深月「フォローはお嬢様達に任せて私は自分のお仕事を致します」
布団「ファイトデスーメイドサンー」
深月「それでは、この辺りでお別れです」
布団「誤字報告にとても感謝感激です」
深月「感想、評価等。お気軽にお願い致します」
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