ありふれていない世界最強メイド【本編完結済み】   作:ぬくぬく布団

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布団「とうっ!こうっ!だっ!!」
深月「普通に話して下さい」
布団「(´・ω・`)ソンナー」
深月「しょぼーんとしても駄目な物は駄目です!しっかりとして下さい!」
布団「はい」
深月「それではアンケートの結果に参りましょう」
布団「いや・・・もう良いじゃない?」
深月「本編を進めましょう!」
布団「う、うん・・・了解しました。頑張って書きますよお!」
深月「それで良いのですよ。頑張って書いて下さいね?」
布団「はい」
深月「読者の皆様方からの誤字報告にとても感謝しております。有り難う御座います」
布団「すまない・・・誤字が多い作者で本当にすまない」
深月「では、読者の皆様方、ごゆるりとどうぞ」





再会と変態
メイドはあくまでメイドです


~深月side~

 

『これが人生勝ち組の余裕かよチックショオオオオオオオーーーー!』

 

今現在私達は、中立商業都市フューレンに向かうユンケル商会の馬車の護衛任務を行っております。十四人程の冒険者達との合同なのですが・・・冒険者の方々は殆どが男性で、ハジメさんに嫉妬しております。ほんの数人だけ女性の冒険者が居ますが、冷めた目で見られていますよ

 

「女を護る為にあそこまで言い切れるのは凄いわね」

 

「まぁ、この男共にはそれ程の気概は無いわよ」

 

「私もあんな事言われたいわ~」

 

実は・・・護衛の商会の方がシアさんを欲しがっていましたが、ハジメさんが拒否しても商売人魂燃やしてしつこく交渉をしていました。そこで、ハジメさんが「例え、どこぞの神が欲しても手放す気はないな・・・理解してもらえたか?」と宣言されてこのお話は無かった事になりました

今は、お嬢様とユエさんのお二人に挟まれて心を癒やしている最中です。しかし・・・ユンケル商会ですか。商売人としては優秀ですが、相手の力量を見抜く力を持っていないのが残念です

 

六日の道のりの為、日の出前から出発して、日が沈む前に野営の準備に入る。これの繰り返すこと三回目。フューレンまで残り三日の位置まで来たハジメ達は、野営の準備を始めていた。基本、冒険者達の任務中の食事は雑の一言。だが、ある程度の物を用意するとなれば荷物がかさばって時間が掛かるし、邪魔にもなるから雑になるとの事

そして現在―――――彼等は、ハジメ達が用意した豪勢なシチューにパンを浸したりしながら食べている

 

「カッーー、うめぇ!ホント、美味いわぁ~、流石深月ちゃん!もう、俺の嫁にならない?」

 

「ガツッガツッ、ゴクンッ、ぷはっ、てめぇ、何抜け駆けしてやがる!深月ちゃんは俺の嫁!」

 

「はっ、お前みたいな小汚いブ男が何言ってんだ?身の程を弁えろ。ところでシアちゃん、町についたら一緒に食事でもどう?もちろん、俺のおごりで」

 

「な、なら、俺はユエちゃんだ!ユエちゃん、俺と食事に!」

 

「ユエちゃんのスプーン・・・ハァハァ」

 

「ばっかお前ら!皐月ちゃん一択に決まってんだろ!!」

 

「皐月ちゃんを嫁にすれば、深月ちゃんも一緒に付いてくるんだよ。間抜け共」

 

「「「そうだった!?」」」

 

「で?腹の中のもん、ぶちまけたいヤツは誰だ?」

 

「「「「「「「調子に乗ってすんませんっしたー」」」」」」」

 

何故こうなったのか・・・。原因は、ハジメ達が用意する料理の匂いにつられてハイエナの如く群がって来たからだ。ハジメと皐月とユエの三人は、無視して食べようとしていた。しかし、シアがお裾分けしましょうと言い出し、深月も負担にならないとの事でゴーサインが出たのだ。冒険者達も最初の方は恐縮していたが、彼等も次第に調子に乗り始めて四人を口説き始めていた

段々と五月蠅くなるし、自分の仲間を・・・特に、嫁の皐月とユエを口説く事は腹立たしかったのだ。ギャアギャアと騒ぐ冒険者達に、無言の圧と殺気を叩き付ける事で調子に乗っていた彼等はスゴスゴと引き下がったのだ

 

「もう、ハジメさん。せっかくの食事の時間なんですから、少し騒ぐくらい良いじゃないですか。そ、それに、誰がなんと言おうと、わ、私はハジメさんのものですよ?」

 

「そんな事はどうでもいい」

 

「はぅ!?」

 

シアさん、貴女のそういう所が・・・いえ、もう何も言いません・・・・・。これ以上説明したとしても本人の為にはなりませんね。特にお嬢様がそこの所を見ているでしょうし

 

深月の予想通りである。皐月はシアを見ており、その目は残念そうだった

 

「ハジメさん!そんな態度取るなら、"上手に焼けた"串焼き肉あげませんよぉ!」

 

「・・・深月。そっちの串焼きをくれ」

 

「私の分もお願い」

 

「こちらですね?」

 

「むっぎぃいいいいいいい!」

 

シアが焼いている串焼きも上手に焼けているのだが、如何せん相手が悪すぎた。どの様な環境下でも適応して、料理を作る深月が相手となると勝ち目が一つも無いのだ。しかも、深月は、ハジメの好みの味も把握しているので万に一つも有り得ないのだ

串焼きを受け取ったハジメは早速食べようとするが、皐月によってその腕は止められた

 

「・・・皐月?」

 

「あーん」

 

皐月は、手に持った串焼きをハジメの口元へ持って行き、口を開けている

 

「あーん」

 

ハジメは、躊躇いなく皐月の口へと串焼きを持って行き、皐月が差し出している串焼きを食べる。二人の食べさせ合いを目の前で見たユエは、自分もと言わんばかりに両手に串焼きを持ってハジメに突撃。勿論、食べさせ合いは成功した

 

「皐月さんもユエさんもズルイですぅー!こうなったら・・・」

 

シアは何を思ったのか、串焼きの肉を口で咥えてハジメに突撃

 

ふぁふぃめふぁん。ふぉうふぉ(ハジメさん。どうぞ)!」

 

「・・・お前は自分で食べろ」

 

「ゴックン そんなぁ~」

 

ハジメ達のやり取りを目の前で見せられている冒険者達の心の声は一致している。「爆発してしまえ!」と。だが、深月が追加の串焼きを渡す事で癒やされたのだった

あれから二日―――――フューレンまで残り一日となったのどかな旅路は、襲撃者によってぶち壊された。最初に気付いたのは深月で、少し遅れる様にシアが気付いた

 

「森の中から敵が来ます。皆さんは襲撃に備えて下さい」

 

「数は百以上います!注意して下さい!」

 

二人の警告を聞き、冒険者達の間に一気に緊張が駆け抜ける。現在通っている街道は、森に隣接してはいるもののそこまで危険な場所では無い。整備されているこの道で、魔物の襲撃に遭ったとしても二十から四十程度が限度の筈だった

 

「くそっ、百以上だと?最近、襲われた話を聞かなかったのは勢力を溜め込んでいたからなのか?ったく、街道の異変くらい調査しとけよ!」

 

物量差の前では押し切られてしまう。どうしようかと考えている冒険者の彼等に凶報が追加される

 

「これは・・・反対の方からも襲撃が来ますね」

 

「なにぃ!?」

 

「クソッタレ!スタンピードまでとは言わないが、多すぎるだろ!」

 

落ち着かせようとした思考は再び慌てふためき、まともな判断を下せずにいた

 

「迷ってんなら、俺らが殺ろうか?」

 

「えっ?」

 

もの凄く軽い口調で提案するハジメに、護衛隊のリーダーのガリティマは提案の意味を掴みあぐねて、つい間抜けな声で聞き返した

 

「だから、なんなら俺らが殲滅しちまうけど?って言ってんだよ」

 

「い、いや、それは確かに、このままでは商隊を無傷で守るのは難しいのだが・・・えっと、出来るのか?このあたりに出現する魔物はそれほど強いわけではないが、数が・・・」

 

「数なんて問題ないわよ。ユエは右、深月は左。それで大丈夫?」

 

「・・・問題無い」

 

「討伐した魔物の処理はどう致しましょうか?」

 

「ハジメどうする?」

 

「森から出て来た魔物の順番で殲滅出来るか?中に入ると焼却処分出来無いからな」

 

「では、左の森から出て来た魔物を殲滅。逃げる魔物は引きずり出して殲滅ですね」

 

「お、おう・・・引きずり出せるのか

 

ハジメのオーダーを聞いて了承する二人

 

「分かった。初撃はユエちゃんに任せよう。仮に殲滅出来なくても数を相当数減らしてくれるなら問題ない。我々の魔法で更に減らし、最後は直接叩けばいい。深月ちゃんに関しても同じだ!みな、分かったな!」

 

「「「「了解!」」」」

 

流石に二人では魔物を殲滅する事は出来ないと思っているガリティマは、他の冒険者達にフォローする様に待機させる。ユエは屋根の上へ、深月は左側の森の手前で待機している

 

さて、高々百程度の魔物では相手にならないと思っていたのですが、更に後方から魔物が来ていますね。ですが、ハジメさんからのオーダーは、殲滅となっていますので倒しましょう

 

右と左から魔物が姿を現し、ユエのオリジナル魔法が炸裂。取り囲む様に放たれた龍を象ったそれは、右側の魔物を全て焼き付くした

一方、深月の方はユエの様な派手さは無い。ナイフの柄を糸でくくりつけた状態で、魔物の頭部に向けて投擲するだけ。だが、深月の投擲するそれらは全てが正確無比。一撃で魔物の命を絶ち、糸を引っ張って回収して再び投擲。繰り返すことおよそ十回で百居た魔物は絶滅し、少しして深月の予想通り大型の魔物が姿を現した

 

グゴォオオオオオオ!

 

馬の様な頭を持つミノタウロスだった

 

「なっ!?み、ミノタウロスだと!?」

 

「何でこんな所に居るんだよ!?」

 

「クソッ!間に合わねぇ!」

 

冒険者達は悲鳴を上げて、ミノタウロスが持つ大斧で深月が叩き潰されると想像した。だが、ハジメ達はミノタウロスに向けて合掌した

 

「牛肉ですか。そういえばすき焼きを久々に食べたい気分なので、その為に死んで下さい」

 

黑刀を一閃。叩き付けようとした豪腕が肩から切断され、痛みの悲鳴を叫ぶ前に返す刀で首が切断された。あまりにも早い動作は、ベテラン冒険者達とユエとシアは視認する事が出来なかった

 

「お、おい・・・二撃目の攻撃が見えなかったんだが」

 

「あの剣は何かしらのアーティファクトか・・・?」

 

「全然見えなかった・・・」

 

「・・・深月は何時も通り」

 

「あれ?深月さんってものすごく手加減して私達と闘ってたのですかぁ?」

 

「今更気付いたのか?」

 

「私とハジメとユエの三人がかりでも一分保たないのよ?手加減しているのは当たり前でしょ」

 

地面に仰向けに崩れ落ち、切断された事に気が付いた様に血が吹き出る。深月は油断無く、ミノタウロスの心臓部に黑刀を深々と突き刺してその命を絶った

深月は、ハジメ達が来る間に四肢を切断して解体して行く。因みに、このミノタウロスの肉は、高い値段で取引される牛肉みたいな肉質だ。但し、魔物の肉なので一般用の食肉ではない。商会の者はこれ幸いと思っており、ミノタウロスの素材を売ってくれとハジメに交渉している

 

(ハジメさん。素材の買い取り交渉は私にお任せ下さい)

 

(そうだな。・・・しつこいから頼むわ)

 

ハジメにしつこく言い寄る彼の間に割り込んで流れを途切れさせる深月。普通のメイドがその様な行為をすれば、不躾だと思うだろう。しかし、目の前で見せられた戦闘力と奉仕の技術は天下一品の一言だったので、何かしらの考えがあると感づいた

 

「近い将来、私の主の一人となられますのでお手数を掛ける訳には参りません。よって、私を介しての交渉とさせて頂きます」

 

「交渉して頂けるなら構いませんよ」

 

目の前に吊り下げられた針の餌は巨大で、彼がなんとしても成功させたいと見え透いている

 

「では、この魔物の素材についてですが・・・五万ルタでどうでしょうか?その際に、こちらから一つだけ厳守して頂きたい条件を提示します」

 

「えぇ良いでしょう!ささっ、お受け取りください」

 

「では、こちらの書面にサインと血判をお願いします」

 

「ふむふむ、この条件を破棄した際には互いが"無関係"になるということですね」

 

破格の値段に条件も旨い。大金が転がり込むのを想像して、認識がそちらに誘導され―――――躊躇い無くサインと血判を押した

 

「こちらからの条件の詳細につきましては、"私達の障害にならない事"です。その書面にも書かれている通り、とても分かりやすいでしょう?」

 

「いやはや、こちらとしては旨味ばかりですな」

 

(おい・・・条件に関しては言うまでもないが、破棄した際の無関係は不味くないか?)

 

ハジメの言う通りである。だが、深月のターンは未だ終了していない

 

「ふふふ、サインと血判を本当に有難う御座います♪これで私達の条件を破棄した際には、問答無用無く貴方様に関係する全てを潰せますね♪」

 

「「は?」」

 

商会の彼は勿論だが、ハジメも呆然としていた。最も、ハジメの場合は想像以上の対応だった事に驚いているのだ

 

「お、お待ち下さい!」

 

「大丈夫ですよ。貴方の商会が私達に手を出さなければ良いだけですし、素材も破格で提供されるのですよ?」

 

「そ、それはそうですが・・・」

 

彼は頭をフルに働かせて対処をしようとするが

 

「もしも、国に助力を乞うて害を為すならば―――――国落としもいいですね」

 

「一国を敵に回して生き残れるとお思いですか?」

 

個では群に勝てないと踏んでいるのだろう。深月はカードをもう一枚切る事にした

 

「私のステータスは万越えですが、如何されますか?」

 

最後のがトドメとなった。歴代最強の冒険者といえども、千を越える事は出来ないステータスなのだ。全て手遅れ―――――欲を出し過ぎた故の失敗は、彼の顔を真っ青にさせた

口外すれば、国を巻き込んでの絶滅。闇討ちしようにも、それを許さない程の力量。賭け事の一騎討ちは論外である

 

「私は悪魔と契約したという事ですか・・・」

 

「悪魔とは酷いですね。私はあくまでメイドです」

 

「・・・狙って言ってるだろ」

 

ハジメの突っ込みは響かない。しかし、彼の前に天使が舞い降りる

 

「深月やり過ぎよ」

 

「しかし――――」

 

「しかしもへったくれも無いわよ。・・・私のメイドが御免なさいね?私達はむやみに敵を作りたくないだけなのよ。まぁ、手にしている者に何かをしようとしたら敵対者として始末するわ。しっかりと覚えてね?」

 

「は、はい!かしこまりました!もう二度としません!!皐月大天使様!!」

 

・・・・・私の何処に天使要素があったのかしら

 

「さ、さぁな・・・」

 

ハジメは皐月の新たな二つ名に苦笑しながら事を見守る

 

「兎に角!私達の事は広めず、厄介事を寄越さない様にする事よ。しっかりと守りなさい」

 

「ははぁっ!」

 

こうして、何事も問題無く切り抜ける事が出来た一行であった。余談ではあるが、皐月を神聖視する者達が現れて、当人の頭を悩ますのである

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フューレンに到着した一行は、証印を持って冒険者ギルドに直行した。ギルドに到着したハジメ達は、軽食を食べながら町の案内人のリシーから色々と説明を受けた

 

「そういう訳なので、一先ず宿をお取りになりたいのでしたら観光区へ行く事をオススメしますわ。中央区にも宿はありますが、やはり中央区で働く方々の仮眠場所という傾向が強いので、サービスは観光区のそれとは比べ物になりませんから」

 

「成る程な、なら素直に観光区の宿にしとくか。どこがオススメなんだ?」

 

「お客様のご要望次第ですわ。様々な種類の宿が数多くございますから」

 

「そりゃそうか。そうだな、飯が上手くて、あと風呂があれば文句はない。立地とかは考慮しなくていい。あと責任の所在が明確な場所がいいな」

 

「あの~、責任の所在ですか?」

 

「ああ、例えば、何らかの争い事に巻き込まれたとして、こちらが完全に被害者だった時に、宿内での損害について誰が責任を持つのかという事だな。どうせならいい宿に泊りたいが、そうすると備品なんか高そうだし、あとで賠償額をふっかけられても面倒だろ」

 

「え~と、そうそう巻き込まれる事はないと思いますが・・・」

 

「まぁ、普通はそうなんだろうが、連れが目立つんでな。観光区なんてハメ外すヤツも多そうだし、商人根性逞しいヤツなんか強行に出ないとも限らないしな。まぁ、あくまで"出来れば"だ。難しければ考慮しなくていい」

 

リシーは軽食を食べている皐月、ユエ、シアの三人とメイドの深月を見て「あぁ~」と納得していた。皐月の姿は痛々しいが、高貴な令嬢を思わせる姿。ユエもかなりの美人である。だが、目を引くのは兎人族のシアで、奴隷だろうと強引に誘拐される可能性もあるから。で、一番目を引いているのは深月である。普通の人間の認識だと、メイドは弱く、奉仕するだけの存在だ。シア同様狙われる可能性が大なのだ

 

「うちのメイドは問題無いが、兎人族の方は隙がありすぎるからな」

 

「え?メイドって奉仕するだけだと思いますが・・・」

 

「共通認識はそうだ。だが、うちのメイドは戦闘もこなせるスーパーメイドなんだよ。あいつに手を出した奴には―――――きっと、死よりも恐ろしい事が待ち受けているんだろうなぁ」

 

容易に想像出来る光景を思い浮かべながら呟くハジメ。二人の会話から情報を聞き出そうとしていた輩は、ギョッと眼を剥いて深月を一瞬見やる。深月は相手に合わせる様にニッコリと微笑み、それに気が付いた者はサァーッと顔を青ざめてちょっかいを掛けまいと心に誓った

宿については一通りの条件を提示して区画の説明を受けていると、ハジメ達は不意に強い視線を感じた。特に、深月とシアとユエに対してだ。ユエとシアは、今までで一番不躾で、ねっとりとした粘着質な視線が向けられている。視線など既に気にしないユエとシアだが、あまりに気持ち悪い視線に僅かに眉を顰める。深月は、地球に居た時から経験済みなので表情には出さずにスルーしている

ハジメがチラリとその視線の先を辿ると・・・ブタがいた。体重が軽く百キロは超えていそうな肥えた体に、脂ぎった顔、豚鼻と頭部にちょこんと乗っているベットリした金髪。身なりだけは良いようで、遠目にもわかるいい服を着ている。そのブタ男が深月とユエとシアを欲望に濁った瞳で凝視していた。案内をしていたリシーも視線に気付いて視線を向けると、営業スマイルを忘れて「げっ!」というはしたない声を漏らす

豚男はハジメ達の近くまで近づいて三人をジロジロと見て、ハジメ達に一方的な要求を口にする

 

「お、おい、ガキ。ひゃ、百万ルタやる。この兎を、わ、渡せ。それとそっちの金髪はわ、私の妾にしてやる。メ、メイドは俺に奉仕させてやる。い、一緒に来い」

 

ハジメと皐月は、豚男に殺気を一点集中で叩き込むで失禁させる

 

「席を変えるぞ」

 

「汚物を撒き散らすなんて最悪ね」

 

早々と立ち去ろうとする一行の前に、全身筋肉の歴戦の戦士が立ち塞がった。その者を目に入った豚男は、再びキィキィと喚きだす

 

「そ、そうだ、レガニド!そのクソガキ共を殺せ!わ、私を殺そうとしたのだ!嬲り殺せぇ!」

 

「坊ちゃん、流石に殺すのはヤバイですぜ。半殺し位にしときましょうや」

 

「やれぇ!い、いいからやれぇ!き、気味悪い白奴等以外は、傷つけるな!私のだぁ!」

 

「了解ですぜ。報酬は弾んで下さいよ」

 

「い、いくらでもやる!さっさとやれぇ!」

 

「おう、坊主達。わりぃな。俺の金の為にちょっと半殺しになってくれや。なに、殺しはしねぇよ。まぁ、そっちの三人の嬢ちゃん達の方は・・・諦めてくれ」

 

「お、おい、レガニドって"黒"のレガニドか?」

 

「"暴風"のレガニド!?何で、あんなヤツの護衛なんて・・・」

 

「金払じゃないか?"金好き"のレガニドだろ?」

 

筋肉の塊はレガニドと言うらしい。男の名前を聞いた冒険者達はざわめきだす

ハジメと皐月は冒険者ランクが黒という事は、上から三番目の強者?の実力とはどれ程なんだろうと対処しようとするが、ユエがシアの手を引っ張って三人の間に入り込む

 

「・・・私達が相手をする」

 

「えっ?ユエさん、私もですか?」

 

「ガッハハハハ、嬢ちゃん達が相手をするだって? 中々笑わせてくれるじゃねぇの。何だ?夜の相手でもして許してもらおうって『・・・黙れ、ゴミクズ』ッ!?」

 

風刃がレガニドの頬を深く切り裂き、プシュッと血が吹き出る。レガニドは、ユエの魔法が速すぎて全く反応できなかったのだ。心中では「いつ詠唱した?陣はどこだ?」と冷や汗を掻きながら必死に分析している

 

「・・・私達が守られるだけのお姫様じゃないことを周知させる」

 

「ああ、なるほど。私達自身が手痛いしっぺ返し出来ることを示すんですね」

 

「・・・そう。せっかくだから、これを利用する」

 

「深月さんは・・・問題無さすぎて何もしなくても大丈夫ですね」

 

「・・・深月の戦闘力は未知数」

 

「ユエさんが何人居れば勝てますか?」

 

「・・・深月は私の天敵」

 

「それだと・・・全ての人に対して天敵と思った方が良いでは?」

 

「まぁ、言いたいことはわかった。確かに、お姫様を手に入れたと思ったら実は猛獣でしたなんて洒落にならんしな。幸い、目撃者も多いし・・・うん、いいんじゃないか?」

 

「・・・猛獣はハジメの方。・・・ポッ///」

 

野次馬達の心の思いはただ一つで、「爆発してしまえ!こんちきしょー!!」嫉妬の眼差しで睨み付ける

シアは、ドリュッケンを軽々と片手で持ち上げて、レガニドに突きつける

 

「おいおい、兎人族の嬢ちゃんに何が出来るってんだ?雇い主の意向もあるんでね。大人しくしていて欲しいんだが?」

 

「腰の長剣。抜かなくていいんですか?手加減はしますけど、素手だと危ないですよ?」

 

「ハッ、兎ちゃんが大きく出たな。坊ちゃん!わりぃけど、傷の一つや二つは勘弁ですぜ!」

 

ドリュッケンを腰溜めに構えたシアを見て、無手でも無傷で捕獲は無理だろうと直感したレガニドは、豚男に断りを入れて戦闘準備を整える。少しだけの沈黙を破り、シアが一気に踏み込んで前眼へと躍り出る

 

「ッ!?」

 

「やぁ!!」

 

可愛らしい音声とは裏腹に素早く振り抜かれたドリュッケンは、レガニドの胸部に迫る。咄嗟に両腕をクロスにしてガードするが

 

(重すぎるだろっ!?)

 

踏ん張る事も叶わず、速すぎる攻撃の衝撃を逃せない。直撃した生々しい音を響かせて、ギルドの壁に激突してめり込んだ。意識が朦朧とするレガニドを無視して、ユエの追撃が襲い掛かった

 

「舞い散る花よ 風に抱かれて砕け散れ "風花"」

 

迫る風が直撃する前にレガニドは内心で愚痴る

 

(坊ちゃん、こりゃ、割に合わなさすぎだ・・・)

 

空中で踊るという生涯初めてを体験したレガニドは、床に墜落してピクリとも動かなくなった

静寂な空気を破る様にハジメが豚男の前まで歩み寄り、全員の視線が釘付けとなる

 

「ひぃ!く、来るなぁ!わ、私を誰だと思っている! プーム・ミンだぞ!ミン男爵家に逆らう気かぁ!」

 

「・・・地球の全ゆるキャラファンに謝れ、ブタが」

 

顔面を踏みつけて、グリグリと少しずつ力を入れていく。床と靴底にサンドイッチされた豚男

 

「おい、ブタ。二度と視界に入るな。直接・間接問わず関わるな・・・次はない」

 

「深月は私専属のメイドよ。例え、嘘だとしても容赦しないわ」

 

ハジメに頭を踏みつけられて動きが出来ない豚男の股間とお尻に向け、硬貨を二枚弾き飛ばす。威力は今までの中で一番で、生々しく潰れる音とめり込む音が響き渡った。部屋に居たハジメを含む男達は内股になって、咄嗟に両手で前と後ろを覆い隠す

 

「その硬貨は乙女にした駄賃よ。受け取っておきなさい」

 

ハジメは、追撃として錬成で靴底をスパイクにして踏みつけようとしていたのだが、皐月の無慈悲な攻撃を前に・・・男の同情から追撃はしないでおいた

 

「じゃあ、案内人さん。場所移して続きを頼むわ」

 

「はひっ!い、いえ、その、私、何といいますか・・・」

 

恐怖で何も言えなくなっているリシーは、咄嗟に逃げようとするがユエとシアの二人に腕を掴まれて逃げ場は存在しない。そんな彼女に救世主のギルド職員が姿を現したが、ハジメが典型的なクレーマーの様に物申していると

 

「何をしているのです?これは一体、何事ですか?」

 

眼鏡を掛けた理知的な男性が、厳しい目付きでハジメ達をみていた

 

「ドット秘書長!いいところに!これはですね・・・」

 

どうやら彼はお偉いさんだ。ハジメはまだまだ解放されない事にため息を吐いた

 

 

 

 

 

 

 




布団「さーてと、頑張るぞい!」
深月「あれ?私が悪魔表現されているのですが・・・」
布団「お嬢様の害となる者全てを排除するメイド―――――格好いいよね!」
深月「無闇矢鱈とその様な事は致しません!利用価値のある者をちゃんと見ていますから!!」
布団「不要となったら処理しちゃうんでしょ?」
深月「・・・仕方の無い犠牲ですよ」
布団「いやぁ~メイドさんも凄いけど、お嬢様も無慈悲ですねぇ。男だと昇天してしまいます!」
深月「ウフフフ、お嬢様は私を必要として下さっています。とても嬉しいです♪」
布団「おぉっと、これ以上は暴走しかねないので終わりにしましょう」
深月「ふぅ・・・。それでは、感想、評価等、お気軽にお願い致します」
布団「頑張ってモチベーション上げて書くぞおおお!」
深月「頑張って下さいね♪」
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