ありふれていない世界最強メイド【本編完結済み】   作:ぬくぬく布団

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布団「忙しい・・・イベントに追いやられて忙しい・・・」
深月「ゲームですか」
布団「ごめんね!最低限のノルマがまだ終わらないの!」
深月「残り数日ですが間に合いますか?」
布団「間に合わせる!そして書く!・・・と宣言したいところだぁ」
深月「イベントのノルマが終わればちゃんと執筆できますね」
布団「もちろんさぁ。それはそれとして、誤字報告ありがとうございます!」
深月「本当に誤字が多いですね」
布団「ぐふぅっ!」
深月「長々と前書きを埋めるのもいけませんので進めましょう」
布団「投稿だよ!」
深月「読者の皆様方、ごゆるりとどうぞ」






メイドは再会します

~ハジメside~

 

広大な平原のど真ん中に、北へ向けて真っ直ぐに伸びる街道を爆走する二つの影。一つは、黒塗りの車体に二つの車輪のバイク。もう一つは、タイヤを二つに直結させた大きい車輪のバイク――――――ハジメと深月の操る魔力駆動二輪である

 

「はぅ~、気持ちいいですぅ~、ユエさぁ~ん。帰りは場所交換しませんかぁ~」

 

「・・・ダメ。ここは私に託された場所」

 

「え~、そんな事言わずに交換しましょうよ~、後ろも気持ちいいですよ?」

 

「・・・深月の方に移れば良い」

 

「う"っ!・・・いやぁ~、深月さんはちょっと怖いので遠慮しておきま―――――」

 

(シアさんは私の事を恐怖の代名詞としているのですね)

 

(深月が怖いですって?怒る時は怒るし、褒める時は褒めるじゃない。そう感じるのはシアが失敗ばかりしているからよ)

 

「正論過ぎて何も言えないですぅ~」

 

「あのなぁ、お前じゃ前には座れないだろ?邪魔でしょうがねぇよ。特にそのウサミミ。風になびいて目に突き刺さるだろうが」

 

「あ~、そうですねぇ~」

 

ハジメの追い打ちに何も言い返す事も出来無いシアは、うっつらうっつらと眠りに落ちていく

 

「・・・ダメ、ほとんど寝てる」

 

(長時間揺られて眠くなるのは解るけど・・・危ないからやめなさい)

 

皐月は右手で小石を弾き飛ばしてシアの頭にぶつける

 

「あうっ!・・・酷いですよ~」

 

(眠るぐらいならイメージトレーニングでもしていなさい。深月との訓練でいの一番に陣形を崩されているのはシアなのよ?)

 

そう。現在の訓練では深月に対して、ハジメと皐月とユエとシアの四人掛かりでの訓練なのだ。だが、四人は未だに深月に勝てないでいるのだ。更に付け加えるなら、シアを切っ掛けとして陣形を崩されて各個撃破されてしまっているのが現状なのだ

 

(シアさんはフェイントも何も無い唯の猪ですので・・・その・・・・・私はどうしても楽な者を先に対処してしまいます)

 

「むぎいいいいいいい!それって、私が馬鹿って事じゃないですか!」

 

「いや・・・深月相手に真っ正面からフェイントも無しに突っ込む事自体が馬鹿だろ」

 

「・・・もう少し頑張る」

 

(ユエさんは目で追える程度まで成長されています。後は、完全な無詠唱で魔法が撃つ事が出来れば完璧です)

 

「・・・頑張る。・・・暇な時は深月を驚かせる魔法を研究中」

 

(ほっほ~う、ユエの新しい魔法ね。・・・深月が本気を出すと魔法が全て吸収されちゃうからね)

 

「・・・ライセン大峡谷よりも酷い」

 

「えっ・・・深月さんに魔法が効かないって?」

 

この面子の中で深月に対しての魔法攻撃が効かない事を知っているのは、ハジメと皐月とユエの三人だけ。深月の数少ない凶悪な初見殺しのカードを公にしたくないからである。ユエは口が軽いが、シアの口はもっと軽いだろうと予想していた皐月の提案でしばらくの間は内緒にしておく事になっていたのだ

 

「深月の技能の一つだ。自分に害を及ぼす魔法攻撃を無効化して自身の物にする――――――魔法の性能を理解していないと使えないから、他の奴等がそれを習得しても使い道の無い代物なんだよ」

 

(深月の思考速度は群を抜いているから出来る芸当なのよ)

 

高速思考で集中力を極限にまで高めて周囲をスローモーションの様に捉えて、その間で魔法攻撃の害意を判断する。戦闘センスが高い深月だからこそ出来る芸当なのだ

 

「それに・・・もしかしたら、俺達が知らないだけで新しい技を開発している可能性があるからな」

 

「・・・深月の進化は無限大」

 

(この世界に来てからは、それが顕著に現れているのよ)

 

「・・・深月さんに関しては人智を越えた存在と認識します」

 

(酷いですね。私はメイドですよ?)

 

「「「(普通のメイドはそんな事しません!)」」」

 

しばらく魔力駆動二輪を走らせる一行は、北の山脈地帯に一番近い町まで後一日ほどの場所まで来ていた

 

(フューレンで得た情報によりますと、予定の町―――――ウルは水源豊かで稲作地帯との事です)

 

「何?」

 

(ニルシッシルと呼ばれる香辛料を使った料理が有るとの情報も得ています)

 

ハジメと皐月は脳裏に米が思い浮かんだ

 

「よし・・・このペースなら後一日ってところだから、もう少し速度を上げてノンストップで行くぞ!米が俺を待っている!!」

 

「・・・米?」

 

「おう、つまり米だ米。俺の故郷、日本の主食だ。こっち来てから一度も食べてないからな。同じものかどうかは分からないが、早く行って食べてみたい」

 

(お米食べたい・・・パンも美味しいけど、お米が恋しいのよ!)

 

ハジメが更にペースアップして、それを追う様に深月もペースアップ。食は偉大なのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~深月side~

 

町の手前で降りてハジメさんとお嬢様は早足で向かっています。お米が恋しいのは分かりますが、ユエさんとシアさんのペースに合わせて下さい。食事は逃げませんよ?

 

深月は、二人に一言入れてペースを落とさせて一緒に町へと到着して目当ての宿へと向かう。宿に入ってチェックインした後、部屋に入って依頼の再チェックを行いつつ時間が経つのを待った。深月は何時もの様に宿の主に許可を貰い厨房へ入って使用している食材等を見せてもらっていた

すると、聞いた事のある声がチラホラと深月の耳に入って来た

 

この声は・・・畑山先生の声でしょうか?それに若い男女数人と、成人男性の声が複数――――――放っておいても大丈夫ですね。今は赤の他人、誰が何を言おうと旅の目的は変りません

 

深月は気にせずに食材と香辛料を直に観察し、触り、覚えた。料理人に一言入れて、気配を溶け込ませてハジメ達が降りてくるタイミングと合わせて合流し、席へと移動して行く

 

「おや、噂をすれば。彼等ですよ。騎士様、彼等は明朝にはここを出るそうなので、もしお話になるのでしたら、今のうちがよろしいかと」

 

「そうか、わかった。しかし、随分と若い声だ。"金"に、こんな若い者がいたか?」

 

あれは・・・騎士、神殿騎士で間違い無いですね。大丈夫かと思った矢先にこれですか・・・目を付けられなければ良いのですが、無理ですね・・・諦めましょう

 

深月は気付かぬふりをして皐月達の後を追って席に着く

 

「もうっ、何度言えばわかるんですか。私を放置して"皐月"さんと二人の世界を作るのは止めて下さいよぉ。ホント凄く虚しいんですよ、あれ。聞いてます? "ハジメ"さん」

 

「聞いてる、聞いてる。見るのが嫌なら別室にしたらいいじゃねぇか」

 

「んまっ!聞きました?ユエさん。"ハジメ"さんが冷たいこと言いますぅ」

 

「・・・今日は"皐月"に譲るのは当たり前。・・・でも、"ハジメ"・・・メッ!」

 

「へいへい」

 

「そういうシアも、もう少し余裕を見せないと駄目よ」

 

「うぐぅっ!"深月"さんだって"ハジメ"さんとイチャイチャしたいですよね!?」

 

「えっ?・・・いいえ。思いませんが?」

 

そのまま席の場所まで移動しようとする一行の側のカーテンが勢い良く引かれた

 

「南雲君!高坂さん!神楽さん!」

 

「あぁ?・・・・・・・・・・・先生?」

 

「あっ」

 

カーテンを引き開いた先に居た人物は、クラス担任の畑山先生――――――通称"愛ちゃん先生"だった

 

「やっぱり・・・やっぱり南雲君達なんですね?生きて・・・本当に生きて・・・」

 

「いえ、人違いです。では」

 

「へ?」

 

死んだとされた三人の再会に感動して涙目になっていた畑山だが、返ってきたのは全くもって予想外の言葉だった。思わず間抜けな声を上げる畑山を無視して、ハジメは出口へと向かったが皐月の手に引き戻される

 

(こらっ!咄嗟に口に出たのは言い逃れできないわよ!大人しくしなさい!)

 

皐月の言う事は正論だ。渋々皐月の元まで戻り、無難な言葉で返事をする事に

 

「まぁ・・・なんだ。・・・久しぶりだな、先生」

 

「先生、久しぶり」

 

「畑山先生、お久しぶりで御座います」

 

「あ、お久しぶりです。・・・・・じゃなくて!今まで何をしていたんですか!!」

 

ハジメに言い寄る畑山にユエが割り込む

 

「・・・離れて、ハジメ達が困ってる」

 

「な、何ですか、あなたは? 今、先生は南雲君と大事な話を・・・」

 

「・・・なら、少しは落ち着いて」

 

「すいません、取り乱しました」

 

ハジメ達はテーブルに座り、続く様に皐月とユエとシアが座って、最後に深月が座る。畑山達はハジメ達の行動にポカンとしているが、それを気にせずに宿の主のフォスを手招きして料理の注文をする

 

「ニルシッシルをくれ」

 

「私も同じく」

 

「・・・ハジメの好みの味を知っておきたい」

 

「私も同じのをくださ~い」

 

「私もニルシッシルをお願い致します。全員同じ料理ですので、ニルシッシル五つをお願い致します」

 

自然な流れで料理を注文しだしたハジメ達に呆然していた畑山は息を吹き返し、ツカツカとハジメのテーブルに近寄ると「先生、怒ってます!」と実に分かりやすい表情でテーブルをペシッと叩く

 

「南雲君、まだ話は終わっていませんよ。なに、物凄く自然に注文しているんですか。大体、高坂さんと神楽さんを除くこちらの女性達はどちら様ですか?」

 

この場に居る全員の台詞を代弁する一言で、周りの騎士も、クラスメイト達もウンウンと頷いている。ハジメと皐月は面倒くさそうに眉をしかめるが、畑山は持ち前の行動力で食い下がる

 

「申し訳御座いませんが、私たちは休憩を挟まずにこちらまで来ましたので先にお食事を済ませたいのです」

 

深月の一言で「うぐっ!」と止まるが、せめて彼女達がどういう関係なのかは聞き出そうとする

 

「あぁ、それとこいつらは・・・」

 

「・・・ユエ」

 

「シアです」

 

「ハジメの女・・・側室」

 

「ハジメさんの女ですぅ!せいさいっだぁ!?―――――――そくしt――――――――ぐっふぅ!?―――――――仲間ですぅ」

 

シアが馬鹿な発言をする前にユエの拳が鳩尾に入り込み悶絶して、側室と言い直そうとするが、再び拳がめり込み悶絶し、無難な事で落ち着いた

 

「は?・・・え?・・・側室って?えっ?」

 

「・・・正妻は皐月。・・・これは絶対。・・・だれであろうとその座は奪っちゃダメ」

 

「ハジメが平等に愛してくれれば良いのよ。・・・多少は融通してもらうけれど」

 

「・・・皐月の器はとても大きい。・・・だから融通は当たり前」

 

「そんな事を言えるユエは大好きよ」

 

「私も皐月の事が大好き」

 

「俺は?」

 

「一番好きよ」

 

「・・・おう」

 

未だに情報の処理が追いついていないのか、畑山は「えっ・・・えっ・・・?」と混乱していた。それは周囲も同様だった。ハジメと皐月の甘い空気を作りだした所で、情報が整理し終えた畑山は顔を真っ赤にして非行に走る生徒を何としても正道に戻してみせるという決意に満ちていた

 

「ふ、二股なんて許しませんよ!直ぐに帰ってこなかったのは、遊び歩いていたからなんですか!もしそうなら・・・許しません!ええ、先生は絶対許しませんよ!お説教です!そこに直りなさい、南雲君!」

 

「なんでやねん・・・」

 

きゃんきゃんと吠える畑山を尻目にして、ハジメと皐月は深い深い溜息を吐いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

畑山が沢山吠えた後、VIP席の方に案内されたハジメ達。多く質問されるが、全てを端折って答えをおざなりに返していく

 

Q.橋から落ちた後、どうしたのか?

A.超頑張った

 

Q.なぜ白髪なのか

A.超頑張った結果

 

Q.皐月の目はどうしたのか

A.超超頑張った結果

 

Q.なぜ、直ぐに戻らなかったのか

A.戻る理由が無い

 

そこまで聞いた畑山は「真面目に答えなさい!」と頬を膨らませて怒るが、全く持って迫力が無い。ハジメは皐月とユエと食べさせ合いをしながら、ニルシッシルに舌鼓を打っていた

その様子にキレたのは、愛子専属護衛隊隊長のデビッドだ。愛する女性が蔑ろにされていることに耐えられなかったのだろう。拳をテーブルに叩きつけながら大声を上げた

 

「おい、お前等!愛子が質問しているのだぞ!真面目に答えろ!」

 

「今は食事中よ?礼儀がなっていないのは一体どちらか分かってる?」

 

プライドが無駄に高いデビッドは顔を真っ赤にして、何を言ってものらりくらりとして明確な答えを返さないハジメ達から矛先を変え、その視線がシアに向ける

 

「ふん、行儀だと?その言葉、そっくりそのまま返してやる。薄汚い獣風情を人間と同じテーブルに着かせるなど、お前達の方が礼儀がなってないな。せめてその醜い耳を切り落としたらどうだ?少しは人間らしくなるだろう」

 

シアの耳はシュンと項垂れて端から見ても、悲しそうにしていると見て分かる。皐月はシアの手を握って頭を撫でて言い放つ

 

「器の小さい男ね。男ならもっと大きくないとモテないわよ?」

 

皐月はデビッドを、ただの種族の違いで優劣を決める程の器の小さい男と嗤った。唯でさえ怒りで冷静さを失っていたデビッドは、よりによって畑山の前で男としての器の小ささを嗤われ完全にキレた

 

「・・・異教徒め。そこの獣風情と一緒に地獄へ送ってやる」

 

無表情で剣に手を掛けたデビッド。修羅場にオロオロとするクラスメイト達と、愛子やチェイス達は止めようとするが声も聞こえない様子で、遂に鞘から剣を僅かに引き抜いた

 

ドパンッ!!

 

炸裂音が宿全体に響き渡り、デビッドの頭部が弾かれたように後方へ吹き飛んだ

 

「俺の温情に感謝しろよ?もしも俺がお前を撃たなかったら、首が確実に飛んでいたぞ?まぁ、ここから先はどうなっても知らないがな」

 

騎士達は突然の出来事に硬直して直ぐさま警戒する様に剣を引き抜こうと手を動かそうとするが、ピクリとも動かない。それは畑山とクラスメイト達も同じだ。今まで見た事も無い目で自分達を刺す無機質な視線――――――深月の眼光が普段の物とは違っていた

 

「私はお嬢様のメイドで、お守りする主。分かりますか?貴方方は敵意を向けたのです。つまりは―――――殺されても文句は無いですね?」

 

深月が右手を少しだけ握ると騎士達が苦しみだした。畑山とクラスメイト達は「何事!?」と様子を伺うと、首筋が何かに絞められている事に気付いた。その締め付けは徐々に強くなって行き、騎士達はより一層苦しむ

 

「まっ、待って下さい!これをしているのは神楽さんですよね!?お願いです!彼等を離して下さい!!」

 

「何故ですか?」

 

「こ、このままでは人を殺してしまいます!それだけは絶対にだm―――――」

 

「私は人殺しには慣れています。ですので、今更増えた所で何も思いません」

 

更に締め付けを強くする深月。騎士達の首筋から血がツゥーと垂れはじめる。もう容赦は無く、殺す気は見て取れる。クラスメイト達は、知り合いが・・・深月が殺人に躊躇いを覚えない事に顔を青くする

 

「・・・お願いです。止めて下さい・・・」

 

「はぁっ、深月止めなさい」

 

「かしこまりました」

 

皐月の一言で、騎士達の首を締め付けていた物は取られて彼等は咳き込みながら大きく息をする

 

「俺は、あんたらに興味がない。関わりたいとも、関わって欲しいとも思わない。いちいち、今までの事とかこれからの事を報告するつもりもない。ここには仕事に来ただけで、終わればまた旅に出る。そこでお別れだ。あとは互いに不干渉でいこう。あんたらが、どこで何をしようと勝手だが、俺の邪魔だけはしないでくれ。今みたいに、敵意をもたれちゃ・・・つい殺っちまいそうになる」

 

「"今回"は許したけど、覚えておきなさい。深月が本気でキレたらどうなるか・・・私は見た事が無いわ。多分・・・今まででキレた事は無いんじゃないかしら?」

 

深月の威圧は解いたが、ハジメと皐月の威圧によって彼等は何も言葉を発せずにいる。二人は、彼等に興味を無くし威圧を解いてニルシッシルに再び手を付け始めた。未だに落ち込んでいるシアに四人は話しかける

 

「おい、シア。これが"外"での普通なんだ。気にしていたらキリがないぞ?」

 

「はぃ、そうですよね・・・分かってはいるのですけど・・・やっぱり、人間の方には、この耳は気持ち悪いのでしょうね」

 

「・・・シアのウサミミは可愛い」

 

「ユエさん・・・そうでしょうか」

 

「大丈夫よ。私もハジメも、シアが寝ている隙にウサ耳を堪能しているわ」

 

「おいっ!それは言うな!」

 

「ハ、ハジメさん・・・皐月さん・・・私のウサミミお好きだったんですね・・・えへへ」

 

「あの騎士達は神殿騎士です。幼少の頃から人族至上主義の刷り込みがされていますので気にせずとも良いかと。それに、愛玩奴隷としての需要はかなり高い所を察するに、一般の方からは敬遠される事は無いでしょう」

 

「・・・深月」

 

「・・・最後の最後でそれは俺でも酷いと思うぞ」

 

「・・・容赦ない」

 

「私は何か間違った事を言いましたか?」

 

「事実だけど・・・もうちょっと優しい言い方をした方が・・・ね?」

 

最後の深月の言葉はスルーして、四人で桃色空間を作り出している事に目を白黒させる彼等。しばらく、ハジメ達のラブコメなやり取りを見ていると、男子生徒の一人相川昇がポツリとこぼす

 

「あれ? 不思議だな。さっきまで南雲のことマジで怖かったんだけど、今は殺意しか湧いてこないや・・・」

 

「お前もか。つーか、あの二人、ヤバイくらい可愛いんですけど・・・どストライクなんですけど・・・なのに、目の前にいちゃつかれるとか拷問なんですけど・・・ってか高坂さんと神楽さんがより一層奇麗な件について」

 

「・・・南雲の言う通り、何をしていたか何てどうでもいい。だが、異世界の女の子と仲良くなる術だけは・・・聞き出したい!そして最後の二人がもっと奇麗になった事がヤバイ!・・・昇! 明人!」

 

「「へっ、地獄に行く時は一緒だぜ、淳史!」」

 

ハジメを見ながら、嫉妬を込めた眼で一致団結する男子三人。そして、それを冷めた目で見る女子

騎士の一人――――チェイスは場の雰囲気が落ち着いたのを悟り、デビッドの治癒に当たらせる。同時に、警戒心と敵意を押し殺して、微笑と共にハジメに問い掛けた。ハジメの事情はともかく、どうしても聞かなければならない事があったのだ

 

「南雲君でいいでしょうか? 先程は、隊長が失礼しました。何分、我々は愛子さんの護衛を務めておりますから、愛子さんに関することになると少々神経が過敏になってしまうのです。どうか、お許し願いたい」

 

「へぇ?少し観察して察したけど、相当腹立たしいようね。因果応報――――――殺っていいのは、殺られる覚悟のある者だけよ」

 

冷めた目でチェイスが必死に隠している心情を読み取って言い返す。無論、チェイスは皐月の言が正論過ぎて何も言い返せない。チェイスは頭の回転を変えて、ハジメが持っているアーティファクトらしき物に目を向け切り込んだ

 

「そのアーティファクト・・・でしょうか。寡聞にして存じないのですが、相当強力な物とお見受けします。弓より早く強力にも関わらず、魔法のように詠唱も陣も必要ない。一体、何処で手に入れたのでしょう?」

 

詠唱も要らず、殺傷能力の高い武器が目の前に存在する。戦争の情勢を一気に左右させる程の力を秘めている為、聞かずにはいられなかったのだ

 

「そ、そうだよ、南雲。それ銃だろ!?何で、そんなもん持ってんだよ!」

 

「銃?玉井は、あれが何か知っているのですか?」

 

「え?ああ、そりゃあ、知ってるよ。俺達の世界の武器だからな」

 

「ほぅ、つまり、この世界に元々あったアーティファクトではないと・・・とすると、異世界人によって作成されたもの・・・作成者は当然・・・」

 

「俺だな」

 

ハジメがあっさりと認めた事に驚いたのか、意外感を顔に出す

 

「あっさり認めるのですね。南雲君、その武器が持つ意味を理解していますか?それは・・・」

 

「この世界の戦争事情を一変させる・・・だろ?量産できればな。大方、言いたい事はやはり戻ってこいとか、せめて作成方法を教えろとか、そんな感じだろ?当然、全部却下だ。諦めろ」

 

ハジメに却下されるが、目の前の銃があまりにも魅力的でチェイスは引き下がらない

 

「ですが、それを量産できればレベルの低い兵達も高い攻撃力を得ることができます。そうすれば、来る戦争でも多くの者を生かし、勝率も大幅に上がる事でしょう。あなたが協力する事で、お友達や先生の助けにもなるのですよ?ならば・・・」

 

「なんと言われようと、協力するつもりはない。奪おうというなら敵とみなす。その時は・・・戦争前に滅ぶ覚悟をしろ」

 

「ふふふ、王国に居た時には私たちを無能と蔑んでいたわよね?居なくなって万々歳と喜んでいたのに、有益な者だったと理解すれば掌を返して乞うなんて厚かましいと思わないの?」

 

「な――――」

 

「何故情報を知っているのか知りたいの?でも、駄目よ。教えないわ。そもそも、人の耳に入れば情報は一気に拡散される。違う町に流れないとでも思っているの?」

 

「あの場には教会関係――――――」

 

「チェイスさん。南雲君には南雲君の考えがあります。私の生徒に無理強いはしないで下さい。南雲君も、あまり過激な事は言わないで下さい。もっと穏便に・・・南雲君達は、本当に戻って来ないつもり何ですか?」

 

「ああ、戻るつもりはない。明朝、仕事に出て依頼を果たしたら、そのままここを出る」

 

「どうして・・・」

 

畑山は悲しそうな目で、変わり果てた三人を見る。(※深月に関しては裏の顔を知らなかっただけ)理由を聞こうとするが、ハジメ達は食事を食べ終えたので席を立って二階へと戻っていった。深月は、ハジメ達が食べ終えた食器を集めて調理場へと持って行く。すると、ふと何かを思い出したかの様に立ち止まって最も触れたくもない問題を尋ねた

 

「あぁ、思い出しました。あの塵芥・・・檜山でしたか?ちゃんと処分はされましたよね?」

 

「えっ?なんで檜山君の事が出るんですか?」

 

いきなりの事に頭が追い付いていない畑山だが、クラスメイト達は理解した。二人を追って奈落へと落ちていく間際に言い残した言葉を

 

「おや、畑山先生は何もご存じないのですか?ハジメさんとお嬢様を奈落へ落した張本人ですよ」

 

「え!?あ、あれは事故だと天之河君が言っていましたよ!?」

 

「そうですか・・・その様に判断したのですね。情報提供有難うございました畑山先生。これで、やるべき事が一つ決まりました」

 

深月はそのまま食器を下げて二階へ上がっていった。未だによく理解出来ていない畑山は混乱しており、説明を求めようと後ろの生徒達に目を向けると、申し訳無さと檜山の運命を確信して顔を青ざめさせていた

 

「み、皆さん・・・ほ、本当は何があったんですか」

 

「先生・・・ごめんなさい・・・でも・・・あそこで反対していたら・・・」

 

本当に何が何だか理解出来ていない畑山は生徒に言い寄ろうとするが、思い出して苦しそうにしている生徒を見て思いとどまった。暗い雰囲気の中、生徒達の一人―――――園部がぽつりぽつりと呟く様に口に出す

 

「天之河が赦した時・・・それを反対すれば孤立すると思って・・・流されるままに・・・みんなが赦したの・・・」

 

「そ・・・そんな事・・・嘘ですよね?」

 

「神楽さんが・・・奈落に落ちる前に言ったんです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『では皆さんお達者で。それと塵芥の処分は任せますよ?もし何もしなかったのであれば、周囲が止めようと私自ら殺して差し上げますので』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――って」

 

「ころっ――――――――!?」

 

自らの教え子が言った言葉だが、脳では「ありえない」と必死に否定するが

 

「・・・あのメイドが・・・そう言ったのであれば確実に殺すでしょう」

 

チェイスの発言に「何故そんな事を」と否定する様に振り返れば、騎士全員が絞められた場所を手で触りながら青い顔をしており、何も言えなかった

 

「愛子・・・彼女は危険です。・・・いえ、主が手綱を握っているだけマシですね。もしもあのメイドの主が、今ここにいる私達全員を殺せと命令すれば確実に殺します」

 

「か、神楽さんはその様な事は・・・」

 

します!彼女が私たちに向けていた眼は物を見る眼でした!まるでそこら辺のゴミを排除するかの様な無機質な物です!」

 

「で、ですが・・・」

 

畑山は否定したかったが、出来なかった。学校での深月の生活態度は優秀で、基本、誰とでも接する心優しいと思っていたからだ。だが、それは表の顔・・・裏の顔は、殺人に後ろめたさを一切感じさせないものだった

チェイスの言う通り、騎士達を殺そうとしていた眼は冷めていてゴミを掃除する様な目つきだったから

 

「・・・先生。・・・神楽さんは・・・有言実行すると思います」

 

「園部さん・・・」

 

畑山含む生徒達と騎士達は暗い雰囲気のまま自室へと戻るのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月の光が部屋に差し込む。誰も居ない部屋で、深月は月を見ながら呟く

 

「あぁ、本当に良かった。予想通りの展開で私は嬉しいです。お嬢様が止められようとも、私は止まりません。だって

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の最も大切で、光り輝くそれを傷つけたのだから――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




布団「メイドさんやばいですよぉ」
深月「何か問題でも?」
布団「神殿騎士をぬっころしちゃったら異端どころじゃないって」
深月「あれは・・・お嬢様を殺そうと剣を抜いた相手がいけないのですよ」
布団「もうちょっと手加減してあげようよ」
深月「嫌です」
布団「即答ですかぁ」
深月「もしもお嬢様のモチモチなお肌に傷がついたらどうするつもりですか!」
布団「ミレディの迷宮で傷ついたりは」
深月「していなかったですよ」
布団「・・・もしかして、眼の事を引きずっている?」
深月「グッハァ!」トケツ
布団「吐血したぁ!?メディーーーーック!メディーーーーーーーーーック!!」
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