ありふれていない世界最強メイド【本編完結済み】   作:ぬくぬく布団

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布団「またせたな!」
深月「楽しみです!」
布団「あ、誤字報告ありがとうございます!」
深月「作者さんは誤字が本当に多いですね」
布団「見直しは十回はやってるけど・・・見逃す点がちょこちょこあるんです。許して」
深月「それでは読者の皆様方、ごゆるりとどうぞ」








メイドが処分します

~ハジメside~

 

迷宮から帰ろうとするハジメ達は足を止め、深月の様相が完全に変わった事に冷や汗を流す

 

「そうですよ?何故なら――――そこで人殺しの匂いに塗れた塵芥を殺せませんから

 

深月の視線の先には小悪党組の四人、彼等は途方もない殺気を浴びて失禁してしまった。殺意はこれ程までに人を変えるのだ

ズン、ズン、とゆっくり四人へと近づく深月。だが、ここでも空気が読めないご都合解釈勇者(笑)の天之河が深月の行く手を阻む様に立ちはだかって子悪党組を守ろうとする

 

「待つんだ深月!彼等は何もしていない。当たり散らすなんて駄目だ!」

 

「そ、そうだ!俺達は何もしていない!お前達が魔人族を倒す邪魔なんてしていないだろ!?」

 

檜山の言葉に子悪党組の残りも賛同して否定し、天之河と一緒に坂上も交じって深月を止めようとする。彼等は完全に忘れている・・・深月が別れ際に言い放った言葉を

白崎と八重樫は邪魔にならない様に一歩下がり、遠藤達も後ろめたい表情をしながら下がる。これから何が起こるか―――――全てを察しているのだ

 

私は言いましたよ?"処分は任せます"、"何もしなければ殺す"―――――

 

深月が言った事をようやく思い出したのか、小悪党組は檜山から逃げる様に離れて、当の本人は顔を青ざめさせて震えている

 

「待つんだ深月!檜山はちゃんと反省しながら皆の前で謝ったんだ。改心して、俺達と一緒に迷宮に挑む事で贖罪をしてい―――――――」

 

ズブリッ

 

「え?――――――――ぐっ、ガハッ!?」

 

鎧を貫通して、天之河の腹部に深月の手刀が浅く突き刺さり血が噴き出る。突然の出来事にほとんどのクラスメイト達はパニックに陥った。同じ学び舎で過ごしたクラスメイトに躊躇い無く攻撃・・・しかも、勇者という発言力が高い存在を攻撃する深月に恐怖する。一早く我に返った坂上が、深月を天之河から引き離そうと拳を振るう

 

「てめぇ!光輝から離れろおおおお!」

 

大振りの拳。深月なら難無く避ける事が出来るが、敢えて真正面から受け止めようとする。地面を砕く剛腕を片手で受け止めようとする光景を見て檜山はニヤケたが、地面にヒビが入る事も無く受け止められた事に驚愕して再び顔を青ざめる。深月は坂上の拳を受け止めた反対の手を天之河の頭部に向けており、受け止めた衝撃を放つ

 

「ぐわっ!」

 

訳も分からず吹き飛ばされる天之河を見て、坂上は目を見開く。その隙を待つ程深月は優しくは無い。一瞬で背後に回り込み、シュタル鉱石印の針を首筋にプスリと刺す。坂上は体に力を入れる事が出来なくなり、地面に倒れ伏した

 

「なっ!?か、体に力が入らねぇ!?」

 

さて・・・邪魔者達も動かなくしましたので、処分が出来ますね

 

「ひ、ひぃいいいいいい!?」

 

檜山は逃げるが、首筋を掠めたかの様に深月の手刀が襲い掛かり衝撃で地面に転げ落ちた。起き上がろうとした檜山は違和感に気付く。右半分が見えなくなっていたのだ

 

首筋には、重要な神経が色々とあるのですよ?

 

深月の左手の人差し指が血に濡れていた。あの一瞬で、痛みも無く神経の紐を切断したのだ。檜山は地面に倒れたまま逃げようとして左手を地面に這わせるが、バランスを崩して再び転げる。恐る恐る左手を持ち上げて視界に入れると、親指以外が全て指が根元から切断され、血が噴き出す

 

「いぎゃあああああああああ!?ゆびぃいいい!?ゆびがあああああああああ!!」

 

叫ぶ檜山の口を挟む様に掴み上げて、切り落とした四本の指を関節毎に切り離し、一つ一つを檜山の口の中にねじ込んでいく

吐き出そうと必死に抵抗するも顔を上に向け、全てを飲み込まされて地面に落とされる。檜山は必死になって吐き出そうとするが、その尽くを邪魔されてどうする事も出来ない

 

「お"、俺が何をしたっていうんだよおおおおおおおおお!」

 

自分が犯した罪を認めない檜山の下の玉を蹴り上げて潰す

 

「お"っ!?」

 

床に崩れ落ちそうになる檜山の四肢を魔力糸で拘束して宙に持ち上げる。見せしめを兼ねた処刑が下されるのだ

 

「お"、お"ろ"せ"え"ええええぇぇぇぇぇぇ!」

 

深月が指を少し動かすと片方の足首が切断される

 

「いぎゃああああああ!?あづい!?あづいあづいあづい!」

 

熱を持たせた魔力糸で焼き切り、失血死の心配は無い

 

「や、止めるんだ深月!俺達は仲間じゃないか!?どうしてそんな酷い事をするんだ!」

 

天之河は、いつも通り言葉だけの力無い説得だ。そんな天之河を無視して檜山を目の高さまで下ろす。天之河は「ようやく考え直してくれたのか」と呟くが、深月はさも当たり前の様に檜山の右目を抉り取った

 

「ぐぎゃああああああああ!や"へ"て"!も"う"や"へ"て"く"れ"えええええええ!」

 

「ぐっ、うぉおおおおおおおおおおお!止めるんだ深月いいいいい!」

 

傷だらけの体に鞭打って限界突破を使って深月を止め様と捕まる為に近づく天之河。しかし、トータスに来て初めての試合と同じ様にすれ違いざまに関節を外されてしまった。今回は肩の関節を外したので、バランスを崩して地面に転げる。それでも止めようと体を動かして深月達の方へ視線を向けると、檜山の右腕を肩から、左腕を肘から焼き切る

 

痛いですか?その痛みはお嬢様達を奈落へと落とした分と、奈落へ落ちてから傷付いた分です

 

深月が檜山を更に痛め付け様とする姿を見て、天之河は自分一人では止められないと判断して周りに協力を求める

 

「香織!雫!他の皆も深月を止めるんだ!このままでは深月が人を殺してしまう!!」

 

だが、動こうとした者は居ない

 

「な!?何で皆は動こうとしないんだ!このままだと檜山が死んでしまうんだぞ!?」

 

殆どの者は、止めようとした時に反撃される事に恐れているからだ。しかし、白崎と八重樫の表情は青ざめているが、冷めた目で事の光景を見ている。一方通行で信頼する天之河は、何故心優しい二人が止めないのか、主である皐月が止めないのかが理解出来なかった

 

「香織!雫!皐月!お願いだ!深月を止めてくれ!」

 

だが、返ってくる答えは非情だ

 

「天之河くん。私は止めないよ?私自身、檜山くんを殺したいと思う程憎んでいるから。だけど・・・私は檜山くんを憎しみで殺す権利を持っていない。その権利は神楽さんだけが持っている。だから、止めないよ」

 

「私も止めないわ。彼の自業自得・・・いえ、因果応報と言った方が正しいわ。高坂さんが言ってたでしょ?南雲君に手を出したら殺すと」

 

「はっきりと言わせてもらうわ。私は"あれ"がどうなろうとどうでも良いわ。この場所に居る理由は、ハジメに頼まれたから。深月が行動をするのは、いつも私を想っての事なの。確信を持って、この先敵対すると判断して処分をしているだけよ」

 

「檜山は敵にならない!檜山は改心したんだ!俺達と一緒に迷宮を攻略して自分の罪を贖罪しているだけなんだ!」

 

「・・・はぁ~」

 

皐月は頭を押さえて、呆れた様に溜息を吐いて

 

「・・・深月」

 

「はい。何か御用でしょうかお嬢様?」

 

深月を一旦止めた皐月を見て、天之河は「やっと分かってくれたんだな!」と思い顔を上げた。それと同時に下される命令

 

「醜い声を聞きたくないから早くしなさい」

 

「え?」

 

「・・・・・・・・・もっと絶望させて殺したかったのですが、お嬢様の気分も害したくはありません。勿体ないですが、終わらせましょう。それでは、さようならです」

 

深月の腕が振るわれ、吊るされていた檜山はバラバラとなりその生を終わらせた。形あったクラスメイトが無残にも細かい肉塊へと変貌した光景を見て、壁際に移動して胃の中身をぶちまける者、尻餅を付いて悲鳴を上げる者、深月を睨み付ける者、目の前で殺された事に呆然とする者と様々だ

 

「何で・・・何で殺したんだ!俺達は仲間じゃないか!!」

 

「何故と言われましても・・・お嬢様を殺そうとした者だからとしか言えません。・・・何か間違っていますか?それと、私達は仲間ではありません」

 

何処に間違いがあるのかと首を傾げる深月

 

「人殺しは犯罪だぞ!?間違っているに決まってる!」

 

「それでは、貴方は殺人未遂の人を赦す狂人なのですね」

 

「話をすり替えるな!俺は人殺しがいけないと言ったんだ!」

 

「これ以上の問答は平行線ですので、私はもう行かせて頂きます」

 

天之河はハジメ達の元へ帰る深月の背をジッと睨みつけ、今度はハジメを睨む。メルドもようやく目を覚ましたのか、事の顛末を聞いて残念そうに表情を曇らせたが・・・深月の表情を少し見て「・・・そうか」と呟いた

未だに怒りと納得できない気持ちで表情を歪める天之河に向けて、ハジメは面倒そうに溜息を吐いて睨み付けて言葉を発した

 

「天之河。存在自体が色んな意味で冗談みたいなお前を、いちいち構ってやる義理も義務もないが、それだとお前はしつこく絡んできそうだから、少しだけ指摘させてもらう」

 

「指摘だって?俺が、間違っているとでも言う気か?俺は、人として当たり前の事を言っているだけだ!」

 

「お前は、俺が人を殺したから怒っているんじゃない。人死にを見るのが嫌だっただけだ。だが、自分達を殺しかけ、騎士団員を殺害したあの魔人族の女を殺した事自体を責めるのは、流石に、お門違いだと分かっている。だから、無抵抗の相手を殺したと論点をズラしたんだろ?見たくないものを見させられた、自分が出来なかった事をあっさりやってのけられた・・・その八つ当たりをしているだけだ。さも、正しいことを言っている風を装ってな。タチが悪いのは、お前自身にその自覚がないこと。相変わらずだな。その息をするように自然なご都合解釈。まぁ、最後の深月の行動については含まれていないがな

 

「ち、違う!勝手な事を言うな!"お前は"無抵抗の人を殺したのは事実だろうが!」

 

「敵を殺す、それの何が悪い?」

 

「人殺しだぞ!悪いに決まってるだろ!」

 

「はぁ、お前と議論するつもりはないから、もうこれで終いな?――――俺は、敵対した者には一切容赦するつもりはない。敵対した時点で、明確な理由でもない限り、必ず殺す。そこに善悪だの抵抗の有無だのは関係ない。甘さを見せた瞬間、死ぬという事は嫌ってくらい理解したからな。これは、俺が奈落の底で培った価値観であり、他人に強制するつもりはない。・・・が、それを気に食わないと言って俺の前に立ちはだかるなら・・・例え、元クラスメイトでも躊躇いなく殺す」

 

「お、おまえ・・・」

 

「私がさっきも言った様に・・・ここに来た理由は、ハジメが白崎さんに義理を果たしに来たからよ。私は頼まれて付いて来ただけ」

 

「皐月の言った通りだ。俺は白崎に義理を果たしに来ただけ。ここを出たらお別れだ。俺達には俺達の道がある」

 

「・・・戦ったのはハジメ。恐怖に負けて逃げ出した負け犬にとやかくいう資格はない」

 

「なっ、俺は逃げてなんて・・・」

 

天之河がユエに反論しようとしたが、予想外な人物から反論の声が響く

 

「・・・るな」

 

「浩介・・・?」

 

「ふざけるな!どこまでふざけてるんだよ天之河!!」

 

感情の爆発―――――ハジメ達の会話に遠藤が無理矢理入り込んで、天之河を殴りつけたのだ。これには全員がビックリした。深月は表情に出していなかったが、内心でビックリしている

遠藤は興奮した様子で天之河の胸倉を掴んで、無理やり立たせてまくし立てる

 

「お前があのまま攻撃して魔人族を倒していれば、皆が瀕死になるなんて事にはならなかったんだ!お前が戦争に参加する、皆を守るって言っていたのに・・・言っていたのに!何で魔人族を殺さなかったんだよ!!」

 

「お、落ち着くんだ遠藤!人殺しは良くないだろ!」

 

「あぁ、人殺しは良くない。そんな事分かってるんだよ!だったら何で戦争に参加するなんて言ったんだよ!」

 

「この世界の人達を助ける為だ!俺達にはその力があるんだ!だったら助けるのは当たり前だろう!」

 

「先生から戦争の事は教えられただろ!人と人の殺し合いだって!!」

 

「ま、魔人族が人間だと知らなかったんだ!?」

 

「だったら何で南雲を責めるんだよ!俺達が死にそうだから助けに来てくれたんだぞ!俺達が人殺しを出来ないから尻拭いしたんだ!」

 

「だからといって人殺しは良くない!話し合えば分かり合える!」

 

「その甘さが皆を殺しかけたんだろ!お前が―――――って離せよ!離せ!」

 

暴走する遠藤を見て、ヤバイと感じた永山と野村の二人掛かりで引き離す

 

「よせ、遠藤」

 

「メルドさん。・・・だけど・・・だけどっ!」

 

メルドは未だはっきりしない意識の中、天之河達の言い合いを聞いていた。重傷な自分を助けたハジメ達―――――あの日助ける事が出来なかった彼等に土下座する勢いで感謝と謝罪するメルド。そして、天之河達の方に向き直ってハジメと同じ様に、土下座をする勢いで謝罪した

 

「メ、メルドさん?どうして、メルドさんが謝るんだ?」

 

「当然だろ。俺はお前等の教育係なんだ・・・なのに、戦う者として大事な事を教えなかった。人を殺す覚悟の事だ。時期が来れば、偶然を装って、賊をけしかけるなりして人殺しを経験させようと思っていた・・・魔人族との戦争に参加するなら絶対に必要な事だからな・・・だが、お前達と多くの時間を過ごし、多くの話しをしていく内に、本当にお前達にそんな経験をさせていいのか・・・迷う様になった。騎士団団長としての立場を考えれば、早めに教えるべきだったのだろうがな・・・もう少し、あと少し、これをクリアしたら、そんな風に先延ばしにしている間に、今回の出来事だ・・・私が半端だった。教育者として誤ったのだ。そのせいで、お前達を死なせる所だった・・・申し訳ない」

 

メルドが謝罪をしている中、白崎は考えていた。ハジメと皐月と深月について色々と考えていたのだ。奈落の底で培った価値観、敵ならば躊躇い無く殺す・・・それが例えクラスメイトであったとしても。殺さなければこちらが殺される・・・奈落に落ちる前の彼等はこれ程までに変わってしまった事に不安に思った。地球に帰った時も今と同じ様に殺すのかと

白崎が考え込んでいると、不意に視線を感じてその先を見やると、そこには金髪紅眼の美貌の少女。無表情で白崎を見つめるユエ

 

「・・・フ」

 

「っ・・・」

 

その見つめ合いはユエの方から逸らされた。嘲笑付きで

嘲笑の内容を予想した白崎は、「この程度の気持ちで揺らぐなら、何処かに行ってしまえ」と感じた。一方、ユエも白崎の気持ちに気付いており、ハジメ達が奈落に落ちても諦めずに探していたのは分かった。だが、考えは違っており、「お前では皐月の様に全員を見て、チャンスを与え、しっかりと気遣う事も出来ないだろう?」といった嘲笑だった。白崎は未だにこの事実には気付かないだろう。・・・いや、下手をすればシア以上の塩対応を取られるだろう。ハジメは女性に甘いので、ここは皐月が対応をする形の・・・筈。もしかしたら拒否の可能性がある

目で語るユエに、白崎は顔を真っ赤に染めて睨む。だが、反論や否定は出来ない。してしまったら自分の負けを認めている様なものだと思った

ハジメ達は、撃ち込まれたパイルバンカーの杭やその他もろもろを回収して地上へと向かう。クラスメイト達もハジメ達の後ろに着いて行き、道中でユエやシアに下心満載で話しかけたり、手を出そうとした男子達を皐月がゴム弾をしこたま撃ち込んだり蹴ったりとしていた。そんなこんなが色々ありつつ、一行が地上へたどり着いて入場ゲートを出るとやってくる人影

 

「あっ、パパー!ママー!」

 

「むっ!ミュウか」

 

小さな人影はミュウだった

 

「パパー、ママーお帰りなの!」

 

「ただいま。ミュウは良い子にしてた?」

 

「うん!パパ達が帰ってくるまで良い子にしてた!」

 

「そういえば、ティオが居ねぇな」

 

「妾はここじゃぞ」

 

人混みをかき分けて、ティオが姿を現す。過保護な二人は、この人混みの中ではぐれたらどうするんだと非難するがこれには理由があったのだ

 

「おいおい、ティオ。こんな場所でミュウから離れるなよ」

 

「目の届く所にはおったよ。ただ、ちょっと不埒な輩がいての。凄惨な光景はミュウには見せられんじゃろ」

 

「それなら仕方が無いわね・・・で?その自殺志願者は何処に居るのかしら?」

 

「ミュウに手を出そうとしたんだ・・・無傷で帰さねぇよ」

 

「いや、ご主人様達よ。妾がきっちり締めておいたから落ち着くのじゃ」

 

「「・・・チッ、まぁいいだろう(わ)」」

 

「・・・ホントに子離れ出来るのかの?」

 

どうやら、ミュウを誘拐しようとした愚かな奴らが居たのだろう。皐月は深月に、「ミュウを誘拐しようとする馬鹿共や、ちょっかいを掛けてきそうな連中を全てを潰しなさい」と命令を下し、深月は了承してこの場から消える様に離れて行った

そんなやり取りを見ていた天之河達は呆然としていた。ハジメ達が奈落に落ちてからおよそ四ヵ月・・・様々な経験をして強くなったと理解はしていたが、「まさか父親になっているなんて!」と誰もが唖然とする。特に男子達は「一体、どんな経験積んできたんだ!」と、視線を皐月とユエとシアとティオに向けて明らかに邪推をしていた。そして、テンパる一同の中でも白崎が一番酷く、ハジメに掴み寄って問い詰める

 

「ハジメくん!どういうことなの!?本当にハジメくんの子なの!?高坂さんの子供なの!?それとも、神楽さん!?ユエさん!?シアさん!?そっちの黒髪の人!?まさか、他にもいるの!?何人孕ませたの!?答えてハジメくん!」

 

「いや・・・たったの数ヵ月で子供が出来る訳ないだろ」

 

ハジメの冷静なツッコミが入るが、物凄くテンパっている白崎には全く聞こえておらず、今も尚ガッチリ掴んで離さない

 

「何だあれ?修羅場?」

 

「何でも、女がいるのに別の女との間に子供作ってたらしいぜ?」

 

「一人や二人じゃないってよ」

 

「七人同時に孕ませたらしいぞ?」

 

「いや、俺は、ハーレム作って何十人も孕ませたって聞いたけど?」

 

「でも、妻には隠し通していたんだってよ」

 

「なるほど・・・それが今日バレたってことか」

 

「ハーレムとか・・・羨ましい」

 

「漢だな・・・死ねばいいのに」

 

周りは周りで、ハジメを妻帯者にも関わらずハーレムの主で何十人もの女を孕ませた挙句、それを妻に隠していた鬼畜野郎という事になった。未だにガクガクと揺さぶってくる白崎を尻目に天を仰ぐハジメは、皐月が抱いているミュウの頭を撫でて深い溜息をついた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~皐月side~

 

「穴があったら入りたい・・・」

 

白崎が顔を真っ赤に染めて八重樫の胸に顔を埋めている。改めて冷静になって考えると直ぐに分かる事なのに、自分がありえない事を本気で叫んでいた事に気が付いたのだ。ハジメ達は、入場ゲートを離れて、町の出入り口付近の広場に来ていた。ギルドでの依頼完了の報告を二、三話してから深月を待って出発する予定で門の近くまで歩く。天之河達もハジメ達の後をゾロゾロと着いて来る。いや・・・正確には、ハジメ達の後ろに着いて行く白崎を追ってなのだ

白崎は現在迷いに迷っていた。ハジメの事をずっと思い、やっと再会出来たので着いて行きたいと思っているのだ。だが、踏ん切りがつかず天之河達のパーティーから離れる罪悪感と、変わりきったハジメと皐月の心に動揺しているからだった。自分の想いはユエに勝てないのか?今、好意を寄せたとしても邪魔だと思われているのではないか?そして何より、自分は今のハジメをしっかりと見つめているのか・・・昔のハジメばかりをみているのではないかと思っている

 

「あのお姉ちゃんは何を考えてるの~?」

 

「どうせ私達の旅に付いて行こうか迷っているだけよ。まぁ、連れて行かないけど」

 

「・・・連れて行かないの?」

 

「・・・ミュウ、弱いから連れて行かないのよ?」

 

「でも、パパとママと深月お姉ちゃんなら守れるよ?」

 

「守れないわよ」

 

「・・・一緒に行くの・・・め?」

 

「うっぐぅ・・・・・」

 

ミュウの一言一言で皐月の決定がボロボロと崩れ落ちる。過保護なのは良いが、子供に甘いのだ。皐月が動揺している中、ユエが白崎に否定の言葉を投げ付ける

 

「・・・弱い。・・・私たちの旅には力不足」

 

その一言が白崎に突き刺さった。確かに弱いだろう。だが、この一言が逆に白崎の心に闘争心に火をつける燃料となった。白崎は決意した様にハジメに近づいて宣言した

 

「ハジメくん、私もハジメくんに付いて行かせてくれないかな?・・・ううん、絶対、付いて行くから、よろしくね?」

 

「・・・・・は?」

 

あまりにもいきなりの展開にハジメはポカンとして、ユエはムッと苦虫を潰した様に嫌悪する。皐月はミュウのお願いに必死に抵抗して話が耳に入っていない。ユエは前に進み出た

 

「・・・お前にそんな資格はない」

 

「資格って何かな?ハジメくんをどれだけ想っているかって事?だったら、誰にも負けないよ?」

 

「・・・フッ」

 

またしてもユエは嘲笑った。白崎の一言を聞いて、ユエは確信したのだ。「こいつは皐月が決めているハーレム入りの条件を何一つ満たしていない」と。だが、それでも白崎は止まらない

 

「貴方が好きです」

 

「・・・白崎」

 

ハジメは白崎の目を見ると、不退転の決意が宿っていた。ハジメもそれに応える様に真剣さを瞳に宿して答える

 

「俺には惚れている女達がいる。白崎の想いには応えられない。だから、連れては行かない」

 

「・・・うん、分かってる。高坂さんとユエさんの事だよね?」

 

「ああ、だから・・・」

 

「でも、それは傍にいられない理由にはならないと思うんだ」

 

「なに?」

 

「だって、シアさんも、少し微妙だけどティオさんもハジメくんの事好きだよね?特に、シアさんはかなり真剣だと思う。違う?」

 

「・・・それは・・・」

 

「ハジメくんに特別な人がいるのに、それでも諦めずにハジメくんの傍にいて、ハジメくんもそれを許してる。なら、そこに私がいても問題ないよね?だって、ハジメくんを想う気持ちは・・・誰にも負けてないから」

 

皐月とユエに向かって、私の想いは貴女達にだって負けていない!という宣戦布告の決意表明だった。だが、悲しき事かな・・・皐月の課したハーレム入りの条件の前では、その想いは邪魔でしかないのだ

 

「・・・なら付いて来るといい。そこで教えてあげる。皐月とお前の器の違いを」

 

「お前じゃなくて、香織だよ」

 

「・・・なら、私はユエでいい。香織の挑戦、黙って見て嘲笑ってあげる」

 

「ふふ、ユエ。私が正妻になっても泣かないでね?」

 

「・・・ふ、ふふふふふ」

 

「あは、あははははは」

 

バチバチと火花の散る様な睨み合い。ハジメとシアとティオとミュウはガクブルと震えていた

 

「ハ、ハジメさん!私の目、おかしくなったのでしょうか?ユエさんの背後に暗雲と雷を背負った龍が見えるのですがっ!」

 

「・・・正常だろ?俺も、白崎の背後には刀構えた般若が見えるしな」

 

「パパぁ~!お姉ちゃん達こわいのぉ」

 

「ハァハァ、二人共、中々・・・あの目を向けられたら・・・んっ、たまらん」

 

お互いに、背後にスタ〇ドの様な物が顕現していると錯覚させる。だが、二人よりも凶悪な代物を生み出す人物が居る

 

「ハジメ」

 

「待った。皐月が行ってもあれは止められな―――――」

 

「ミュウを預かってね?        ね?

 

「はい」

 

皐月の背後に佇む物が更にヤバイと理解したハジメは素直に従ってミュウを抱き寄せる

 

「ママ・・・おねえちゃん達よりコワイ」

 

「奈落の魔物が可愛く見えちまった」

 

「  」シロメ

 

「ヤバイのじゃ。あんな目で見られたと思うと、体がゾクゾクするどころか下が濡れるのじゃ!」

 

対峙する二人に、音も無くゆっくりと近づく皐月を見て周囲の者達は体を震わせる。二人の傍まで近づき、皐月の影に気付いたユエと白崎は「邪魔するのは誰だ!」と言わんばかりに睨み付け様としたが・・・顔を青ざめさせた。皐月は二人にアイアンクローを仕掛けて、宙吊り状態にして絶妙な力加減で締め付けていく

 

「うるさい。公共の場でこれ以上バカな事を仕出かさないで。分かった?わ・か・っ・た・?」

 

「「分かった!分かったから降ろして!?」」

 

皐月は素直に降ろして、二人を見下げる様に睨み付ける

 

「次にバカをやらかしたら・・・分かるわよね?」

 

「「ハイ・・・」」

 

正座で皐月の言葉を聞く二人。この時、皐月を見ていた者達は全員が「背後に大鎌を振り上げている死神が見えた」と口を揃えた。その後、二人は仲直りして良い感じに締め括られ様とした空気。だが、壊す存在は何時の世も居る

 

「ま、待て!待ってくれ!意味が分からない。香織と皐月が南雲を好き?付いて行く?えっ?どういう事なんだ?何で、いきなりそんな話になる?南雲!お前、いったい二人に何をしたんだ!」

 

「・・・何でやねん」

 

ハジメの厄介事は未だ終わらない・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




深月「はぁ・・・」
布団「そ、そう落ち込まないで・・・お嬢様の為なんや」
深月「四肢を全て切り落としていない状態での即殺はこう・・・物足りません」
布団「一応奈落のワクワクサバイバルも候補にはあったんだけど」
深月「お嬢様と離れてしまう事を思うと・・・駄目です!」
布団「予定では、当日に町を出るつもりだからね」
深月「二輪が無い状況で大峡谷に戻るとなると、合流するまでの時間が長くなってしまいます」
布団「よって、お嬢様の気分を害さない程度でしか出来なかったという事なのです」
深月「チッ」
布団「次回も楽しみだぁ」
深月「ど腐れ野郎がまた何かするのですね。・・・お嬢様達の癒しを作らないといけませんね」

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