ありふれていない世界最強メイド【本編完結済み】   作:ぬくぬく布団

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布団「まだだ!まだ終わらんよ!」
深月「連投ですか。何か予定が入りましたか?」
布団「予定は入っていないけど、再会の章の最後なので豪勢に行こうかな~と」
深月「それはそれとして、沢山の方から誤字報告が寄せられていましたよ?」
布団「すまない。・・・誤字脱字が多い作者でほんとうにすまn」
深月「今回のお話は、前回のお話の疑問点の答えがあります」
布団「そして、治癒師さんの合流が強引だと思った方もいるでしょう。実は、かくk」
深月「かくかくしかじか―――――とは言わせませんよ?ミュウさんの、子供独特の感性―――――例えるなら、「この人と一緒だと楽しそう」等といったものを持ち合わせているからではないかと推察されます」
布団「子供は無邪気。大人でも分からない事を仕出かすのが子供なのです。特に、あの年頃はそれが顕著です」
深月「それでは、長い前書きもお終いにしましょう。読者の皆様方、ごゆるりとどうぞ」







メイドは悪口を根に持ちますよ?

~皐月side~

 

うっわ・・・ここまでご都合解釈するなんて思ってもみなかったわ。ハジメが私に何かする?そんな事は絶対にありえないわよ。・・・まぁ、夜の方ではハジメが主導権を握っちゃうけどね

 

天之河は聖剣を手に持ってハジメに近づいていく。その表情は怒っており、八重樫が頭痛そうに諫めに行く

 

「光輝。南雲君が何かするわけないでしょ? 冷静に考えなさい。あんたは気が付いていないみたいだけど、香織と高坂さんは、もうずっと前から彼を想っているのよ。それこそ、日本に居る時からね。どうして二人が、あんなに頻繁に話し掛けていたと思うのよ」

 

「雫・・・何を言っているんだ・・・あれは、香織と皐月が優しいから、南雲が一人でいるのを可哀想に思ってしてたことだろ?協調性もやる気もない、オタクな南雲を二人が好きになるわけないじゃないか」

 

「天之河くん、みんな、ごめんね。自分勝手だってわかってるけど・・・私、どうしてもハジメくん達と行きたいの。だから、パーティーは抜ける。本当にごめんなさい」

 

白崎のパーティー脱退宣言に、女性陣はキャーキャー騒いでエールを送る。永山、遠藤、野村も苦笑いしながらも応援する様に手を振る。だが、天之河は納得出来ていない模様だ

 

「嘘だろ?だって、おかしいじゃないか。香織と皐月は、ずっと俺の傍にいたし・・・これからも同じだろ?香織と皐月は、俺の幼馴染で・・・だから・・・俺と一緒にいるのが当然だ。そうだろ、香織、皐月」

 

「気持ち悪っ!私が幼馴染って・・・どうやって考えればそんな結果に至れるの?馬鹿じゃないの?その理論だと、ハジメと一緒に行動した時間の方が長いから幼馴染はハジメになるわよ」

 

「えっと・・・天之河くん。確かに私達は幼馴染だけど・・・だからってずっと一緒にいるわけじゃないよ?それこそ、当然だと思うのだけど・・・」

 

「そうよ、光輝。二人は、別にあんたのものじゃないんだから、何をどうしようと決めるのは自分自身よ。いい加減にしなさい」

 

皐月と白崎と八重樫の三人に拒絶されて、天之河は呆然とする。そして、ハジメの方を見ると美少女達を周りに侍らせている光景に、目が吊り上がっていく。黒い感情が天之河の心を徐々に支配していく

 

「二人共。行ってはダメだ。これは、二人の為に言っているんだ。見てくれ、あの南雲を。女の子を何人も侍らして、あんな小さな子まで・・・しかも兎人族の女の子は奴隷の首輪まで付けさせられている。黒髪の女性もさっき南雲の事を『ご主人様』って呼んでいた。きっと、そう呼ぶように強制されたんだ。南雲は、女性をコレクションか何かと勘違いしている。最低だ。人だって簡単に殺せるし、強力な武器を持っているのに、仲間である俺達に協力しようともしない。二人共、あいつに付いて行っても不幸になるだけだ。だから、ここに残った方がいい。いや、残るんだ。例え恨まれても、君達の為に俺は二人を止めるぞ。絶対に行かせはしない!」

 

皐月は深い深い溜息を吐き、白崎は唖然とする。だんだんとヒートアップしていく天之河の視線は、ハジメの傍に居るユエとシアとティオに向けられる

 

「君達もだ。これ以上、その男の元にいるべきじゃない。俺と一緒に行こう!君達ほどの実力なら歓迎するよ。共に、人々を救うんだ。シア、だったかな?安心してくれ。俺と共に来てくれるなら直ぐに奴隷から解放する。ティオも、もうご主人様なんて呼ばなくていいんだ」

 

爽やかな笑顔で手を差し伸べる天之河

 

「「「・・・」」」

 

開いた口が塞がらないというのはこういう事だろう。ユエ達は鳥肌が立っており、両腕を擦りながらハジメの背中に隠れる様に移動した。あの変態のティオでさえ、「これはちょっと違うのじゃ・・・」と言う始末

今まで女性から避けられた事の無い天之河にとって初めての出来事だった。そのショックを怒りに変換して、無謀にもハジメを睨みながら聖剣を引き抜いた

 

「南雲ハジメ!俺と決闘しろ!武器を捨てて素手で勝負だ!俺が勝ったら、二度と香織と皐月には近寄らないでもらう!そして、そこの彼女達も全員解放してもらう!」

 

「・・・イタタタ、やべぇよ。勇者が予想以上にイタイ。何かもう見てられないんだけど」

 

「何をごちゃごちゃ言っている!怖気づいたか!」

 

自分は聖剣を持ったまま、ハジメに素手で決闘しろという理不尽な要求。因みに、深月は未だ帰って来てはいない。皐月は、前に出ようとしたハジメを制して天之河の目の前に立った

 

「分かってくれたか皐月!そうだ、一緒に南雲が洗脳した皆を助けだそう!」

 

皐月の返答は言葉では無く、拳だった。義手の拳を天之河の頬にぶち当てて十メートル以上吹き飛ばした。予想外な返答だったのか、天之河は「えっ?どうして殴るんだ!」と憤ると同時に、ドパンッ!という音が十六―――――皐月がゴム弾を天之河に向けて撃った回数だ。スガガガガガッ!と物凄い連打の攻撃は天之河をボロボロにした

 

「その攻撃の意味を碌に理解していない様だから"もう一度"聞きなさい。一体、何時、"私と深月"の名前を呼んで良いと許可をしたのかしら?子供の様な考えで周囲を巻き込み、綺麗事ばかり並べて自分を汚そうとしない"お前"程度の奴に名前を呼ばせる程安くないのよ。その自然にご都合解釈を並べる口を一生閉じていなさい」

 

威圧を周囲に放ち、「次は殺す」とアピール。銃をホルスターに戻し、当たり前の様にハジメの隣に立って肩に頭を乗せる。ハジメも皐月の心情を理解して肩に手を乗せて抱き寄せる。絵になる程お似合いの二人だった

すると、現在この場に居ない深月から念話で連絡が入る

 

(お嬢様、ハジメさん。申し訳御座いませんが、もう少し時間を頂けないでしょうか?後半日あれば完全に駆除出来ますので)

 

(ん~。本当は今直ぐ出立したかったんだが・・・こっちも色々とあったからなぁ~)

 

(今日は一晩泊まりたいわ。ハジメと一緒に寝たい)

 

(かしこまりました。ハジメさんは、そのままお嬢様を癒して下さい)

 

深月との念話も終えて、今日は一泊入れるとユエ達に一言入れて皐月と二人きりで宿へと向かおうとするが、八重樫に呼び止められる

 

「何というか・・・いろいろごめんなさい。それと、改めて礼を言うわ。ありがとう。助けてくれた事も、生きて香織に会いに来てくれた事も・・・」

 

「いや、すまん。何つーか、相変わらずの苦労人なんだと思ったら、ついな。日本にいた時も、こっそり謝罪と礼を言いに来たもんな。異世界でも相変わらずか・・・ほどほどにしないと眉間の皺が取れなくなるぞ?」

 

「・・・大きなお世話よ。そっちは随分と変わったわね。あんなに女の子侍らせて、おまけに娘まで・・・日本にいた頃のあなたからは想像出来ないわ・・・」

 

「本当の意味で惚れているのは一人だけなんだがなぁ・・・」

 

「・・・私が言える義理じゃないし、勝手な言い分だとは分かっているけど・・・出来るだけ香織の事も見てあげて。お願いよ」

 

「・・・」

 

押し切られてしまうハジメは黙る。こういう時は皐月がどうにかしてくれる筈なのだが、今は癒し中で、動こうともしない。話を聞かない様に明後日の方向に向いていると・・・八重樫の言葉に固まる

 

「・・・ちゃんと見てくれないと・・・大変な事になるわよ」

 

「?大変な事?なんだそ・・・」

 

「"白髪眼帯の処刑人"なんてどうかしら?」

 

「・・・なに?」

 

「それとも、"破壊巡回"と書いて"アウトブレイク"と読む、なんてどう?」

 

「ちょっと待て、お前、一体何を・・・」

 

「他にも"漆黒の暴虐"とか"紅き雷の錬成師"なんてのもあるわよ?」

 

「お、おま、お前、まさか・・・」

 

「ふふふ、今の私は"神の使徒"で勇者パーティーの一員。私の発言は、それはもうよく広がるのよ。ご近所の主婦ネットワーク並みにね。さぁ、南雲君、あなたはどんな二つ名がお望みかしら・・・随分と、名を付けやすそうな見た目になった事だし、盛大に広めてあげるわよ?」

 

「まて、ちょっと待て!なぜ、お前がそんなダメージの与え方を知っている!?」

 

「香織の勉強に付き合っていたからよ。あの子、南雲君と話したくて、話題にでた漫画とかアニメ見てオタク文化の勉強をしていたのよ。私も、それに度々付き合ってたから・・・知識だけなら相応に身につけてしまったわ。確か、今の南雲君みたいな人を"ちゅうに・・・"」

 

「やめろぉー!やめてくれぇ!」

 

「あ、あら、想像以上に効果てきめん・・・自覚があるのね」

 

「こ、この悪魔めぇ・・・」

 

「高坂さんも香織に対してキツく当たらないでね?そうすれば、"白髪の死神""銀色忠犬の眼帯主"と色々とひろめ―――――」

 

皐月はダルそうに頭を上げて、八重樫の耳元で呟く

 

「八重樫さんの好きな物はフリフリの可愛い人形って広めるわよ?最近買った本のタイトルは『熱烈、愛の―――――』」

 

「やめてぇえええ!それは駄目ええええ!何で高坂さんが知っているのよ!!」

 

「深月から教えてもらったのよ?」

 

「あのメイドめえええええええ!意地汚い攻撃どころじゃないわ!プライバシーの侵害よ!!」

 

「それとも・・・"純愛大好き雫ちゃん""シンデレラ雫"なんてどう?私達は金ランクの冒険者・・・神の使途よりも早く、一気に全世界に広がるわよ?」

 

「やめなさい!絶対にやめなさい!というか、やめて!絶対にやめて!!」

 

皐月のマウントを取ろうとした八重樫だが、藪を突いたら死神が出てきてしまい、あっという間に逆転されてしまったのだ

 

「じ、じゃあ、香織の事お願いね?南雲くん?」

 

「・・・」

 

「ふぅ、破滅挽歌、復活災厄・・・」

 

「わかった!わかったから、そんなイタすぎる二つ名を付けないでくれ」

 

「香織の事お願いね?」

 

「・・・少なくとも、俺は邪険にはしないと約束する」

 

「ええ、それでも十分よ。これ以上、追い詰めると発狂しそうだし・・・約束破ったら、この世界でも日本でも、あなたを題材にした小説とか出すから覚悟してね?」

 

「おまえ、ほんといい性格してるよな」

 

「自覚はしているわ。でも、ラスボスはどう考えても高坂さんでしょう?」

 

「どうだろうな・・・深月の可能性も否めないんだよなぁ」

 

「高坂さんが主なのに?」

 

「皐月が死神だとしたら、深月は・・・何なんだろうなぁ~。世界と言った方がいいのか?」

 

「・・・香織も大変ね」

 

「因みに、ハーレム云々に関しては全部皐月に投げているからな?教えたりするのは無しだぞ。シアだって自分で答えに辿り着いた様なものなんだからよ」

 

「・・・やっぱりラスボスは高坂さんで決まりね」

 

ハジメと八重樫は、回復してユエ達と混じって話をしている皐月をジッと見て呟くのだった。そして、ハジメは思い出した様に、宝物庫から黒塗りの鞘に入った剣を取り出して八重樫に手渡す

 

「これは?」

 

「八重樫、得物失ってたろ?やるよ。唯でさえ苦労人なのに、白崎が抜けたら"癒し(精神的な)"もなくなるしな。まぁ、日本にいたとき色々世話になった礼だ」

 

深月の黒刀に似て、刀身が真っ黒の刀だ。これも錬成の練習の過程で作った作品の一つである

 

「世界一硬い鉱石を圧縮して作ったから頑丈さは折り紙付きだし、切れ味は素人が適当に振っても鋼鉄を切り裂けるレベルだ。扱いは・・・八重樫にいう事じゃないだろうが、気を付けてくれ」

 

「・・・こんな凄い物・・・流石、錬成師というわけね。ありがとう。遠慮なく受け取っておくわ」

 

刀が手に入ったのが余程嬉しかったのか、自然に笑みが零れていた。そんな二人のやり取りを見ている者達・・・

 

「・・・強敵?」

 

「・・・雫ちゃん」

 

「えっ?なに?二人共、どうしてそんな目で見るのよ?」

 

ユエの警戒する眼差しと、白崎の困った様な眼差しに、意味わからず狼狽する八重樫。痛いやり取りをし終えたハジメ達は、冒険者ギルドお勧めの宿へ宿泊する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~???side~

 

「クソッ!クソッ!クソッ!あのメイドのせいで計画が狂ったじゃないか!!ボクがどれだけ細心の注意を払って準備してきたと思ってるんだ!」

 

路地裏で荒れに荒れる一人の人影

 

「檜山が殺されたのは計算外だったけど、まだこれからだ。挽回は出来る。早急に実行に移さな―――――」

 

「やはり、貴女でしたか」

 

少女の背後にはメイド・・・・・深月が気配を殺して立っていた

 

「いと。・・・・・い、一体何なの!?私は何も」

 

「必死に演技されている様ですが、甘々ですね。迷宮の内外でのやり取りで気持ちの動揺が駄目でしたね」

 

「何を言っているの?私は動揺なんてしていないけど」

 

「心の内ではどす黒い感情を抱き、お嬢様を見ていましたよ?」

 

「な、何を言っているの?私は高坂さんにどす黒い感情なんて向けてないよ!?」

 

かまをかけると見事に引っ掛かる彼女。必死に否定をするが、深月はお見通し

 

「貴女はど腐れ野郎に惚れているのは良いのですが、嫉妬からお嬢様を睨み付けるのは良くありませんよ?つい、あの塵芥と同じ様に殺してしまいそうで――――――――ね?」

 

少女は震えていた。深月の目は彼女よりもどす黒く、邪魔する輩は誰であろうと処分するといった眼だ

 

「お嬢様達は、ど腐れ野郎にしつこく粘着されているのです。さっさと既成事実を作るなりして束縛でもして下さい」

 

踵を返してこの場から去ろうとする深月。少女は、憤怒と嫉妬と困惑が入り乱れた眼で深月の背を見ていると、深月が再び少女へと振り向いた。咄嗟に視線を逸らしたが、感付かれたと思い得意の魔法でどうにかしようとする。しかし、それよりも早くに深月が言葉を発する

 

「もし・・・もしも、お嬢様達の邪魔を―――――障害となる様でしたら、貴女の操るマリオネットと同じ様にしてさしあげますのでご注意下さいね?それと、魔人族を人形にしたのは分かっていますので悪しからず」

 

溶ける様に消えてその場から姿を消した深月。少女は震えていた。だが、それは恐怖からでは無く、理不尽の出来事ばかりが襲い掛かってきている事からだった

 

「ムカつく。ムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつく!なんなのさあのメイド!ボクの行動は全部お見通しみたいに反応して!このままじゃ彼がボクに振り向く事も、ボクが特別な存在になる事も出来ないじゃないか!!」

 

計画が破綻して狂う彼女は、次第に悪い方向へと考えを捻じ曲げていく

 

「そうだ。あのメイドが居るからいけないんだ。あれが居るから計画がことごとく潰れるんだ。・・・だったら殺せばいい。・・・だけど手が足りない。どうする、どうするどうする?神の使徒の発言力で潰しに掛かった方がバレにくい?ダメだ、あのメイド相手だと足取りが着く。だったら自分で?・・・無理だ。あの化け物相手には力が足りないし、追い付けない」

 

少女はブツブツと呟く様に対策を練るが、その全てが通用せず、もし実行すれば足取りが着いてしまう。正に詰みの状態に舌打ちをする。そんな少女の前に人影が現れた

 

「誰だ!」

 

現れたのは一人のシスター。顔は芸術品の様に美しく、普通の男なら十人中十人が美しいと言葉を漏らす程の美形だった

 

「・・・貴女は力を望みますか?」

 

「・・・は?」

 

「主は貴女の想いに心打たれ力を渡しても良いと判断されています。信仰をする事で、比類無き力をその身に宿せると・・・貴女は如何されますか?」

 

シスターの胡散臭い勧誘に少女は戸惑うが、この詰みに詰んでいる状況を打破するのであれば何でも利用しようと思った

 

「信仰したら・・・本当に力を手に入れる事が出来るの?」

 

「主はそう仰っています」

 

「・・・だったら入信するよ。神様もボクの想いを応援してくれているんだから、力が手に入ったら手伝うよ」

 

「それは良かった。では、また後程お伺い致します」

 

シスターは影に消える様にその場から離れて行った

 

「信仰するだけで力が手に入って、計画をメチャクチャにした―――――彼を惹き付けるうっとおしいメイドを殺せるなら何だって利用してやる」

 

大きな力が手に入るかもしれないという曖昧さにも躊躇無く信じてしまった。本来であれば疑って断る所だったのだろうが、少女の現状では不可能だった。絶対にうまくいく計画を潰され、破綻してしまったからだ

力を与えられるであろう少女はどう動くかは深月を除いて誰も知らない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~深月side~

 

さて、バカな事を仕出かそうとしたあれにも忠告はしておきましたので大丈夫でしょう。と、言いたかったのですが・・・知らない声。主を信仰する事で得られる力、主が心打たれた―――――間違い無く神の先兵で間違いありませんね。ドーピングでは覆せない力の事を考えるのであれば・・・改造辺りですか。薬物だと寿命の問題が出てくるので選択肢の候補から外しましたが、それでも可能性がゼロとは言い難いですね。あれは私達に敵対する気満々ですし

はぁっ・・・奈落に落ちてから厄介事が尽きませんね

 

押し寄せる厄介事が多く、深月は思わず溜息を吐いた

 

「止めです。止め止めです!気を張り詰め過ぎれば毒となるので、今だけは気を少しだけ緩めましょう」

 

宿に入ったハジメ達はのんびりとしており、深月は気分転換を兼ねて厨房の一角を借りてせっせと料理を準備する。・・・現在、この厨房には深月以外誰も居ない

 

「周囲に人の気配無し、ハジメさんに借りた宝物庫の準備良し、では・・・いきます!」

 

宝物庫から取り出されたそれは・・・程よく霜降りがあるブロック状の肉―――――魔物肉である。ハジメ達が解放者の住処でアーティファクトを作っている間、深月は基本的に暇だ。そこで、上層へと戻って魔物肉を大量に確保したのである

この肉は、エセアルラウネが居た階層の恐竜達の物だ。深月によって狩猟される恐竜達は深月を見るなり逃走したのだが、一番後ろを走っていた者から一体・・・また一体と数を減らし、仲間同士で潰し合いが勃発。弱った者を深月の方に飛ばして自分だけ助かろうとするお陰で、深月は余計な体力を使わずに"収穫"出来たのだった。上昇しまくったステータスのごり押しの探索。僅か一日で爪熊の居た一層まで戻り、食料として良さげな獲物を中心に狩って、下処理をしてから帰ったのだった。帰った直ぐにハジメ達に怒られたが、「それでは、私の作った野菜だけのご飯で良いですよね?」と言うと、土下座で「それだけはやめて下さい」という掌返しだった。それからは、何回か狩猟を行って、不測の事態や旅の人数が増えようと十分な量を確保した深月だったのだ

 

「以前にも思いましたが・・・あの恐竜擬きはトップ10に入る程の良いお肉ですね。脂は多すぎず少なすぎずの上級クラスで、あの生物の肉とは思えない程の柔らかさ。本当はステーキが一番良いのでしょうが・・・現在は調味料が多く、この世界の物と再現する事が出来た物もありますので豪勢にいきましょう!あのど腐れ野郎と出会った気苦労を労わなければいけませんし・・・」

 

深月が手に持っている包丁は、タウル鉱石を芯としてアザンチウム鉱石で薄く覆い包んだそれはとても便利の一言。刃こぼれ一つしないという凄すぎる包丁は、正に職人泣かせの逸品である。切れ味も良く、普通に武器として扱っても大丈夫なのだ

深月は肉を切り終えた後、大きな鍋にミノタウロスの牛脂を溶かして少量の肉を焼いていく。とても良い匂いは、この場に居ない宿の料理人を引き寄せる。肉に火が通ったら、宝物庫から容器を二つ取り出して鍋の中へと投入。これは醤油擬きと料理酒もとい日本酒擬き。・・・かなり贅沢な使い方だが、深月の技能の前ではあっという間に作られるので問題は無い。砂糖の代わりとしてハチミツとトレント擬きから取れた果実の搾り汁を少量、そこへ肉を追加して、野菜で蓋をする様に敷き並べて煮立たせる。この間に、ネギ擬きを定番の形に切り揃え、蓋の代わりをしている野菜の様子を見て投入。更に煮立たせる間に器と、欠かせないあれを下処理して準備完了。火力を弱めて、先に器等をハジメ達が居る上階へと持って行く深月

思いっきりのんびりとしているであろうハジメ達と白崎。しかし、そこには白崎が抜けた筈の勇者パーティーの面々が居る。―――――そう、居るのだ

 

「・・・一応聞いておきますが、どうして勇者(笑)達がここに居るのか聞いても宜しいですか?」

 

隣だったんだよ・・・

 

「は?」

 

「部屋が隣だったんだよ!そして、絶賛イタイ奴がこっちに来たんだよ!!」

 

冒険者ギルドお勧めの宿に泊まると、隣の部屋から勇者(笑)パーティーの面々が出てきたのだ。そして、天之河は再びハジメに突っ掛かっているのだ。すぐ後ろでは、八重樫が物凄く痛そうに頭を押さえていた

 

「成程。勇者(笑)パーティーとは赤の他人の夕食をご馳走してもらう魂胆ですか。・・・死ねばいいと思いますよ?」

 

「違う!俺は南雲に彼女達から離れろと言っているんだ!」

 

「邪魔です。強制排除しても宜しいですか?」

 

「排除?俺は南雲からはな「やって頂戴」」

 

「フッ!」

 

物凄い速さで顎を掠める様に腕を振るい、天之河の意識を一瞬で断ち切った深月。八重樫はハジメ達に何度も頭を下げ、坂上が「こればっかりは光輝がいけねぇな」とボヤキながら部屋へと連れて帰った。因みに、影が薄い遠藤はほぼ全員に無視されている

 

「あのど腐れ野郎も居なくなりましたので換気をして下さい」

 

「窓開けろー」

 

「換気換気ー」

 

「ん」

 

「はいですぅ」

 

「了解したのじゃ」

 

「・・・ミュウ届かない」

 

「大丈夫だ。ミュウの分はちゃんとパパが開けたぞ!」

 

「それでは皆さん。私は下から鍋を取って来ますので、準備して待ってて下さいね?」

 

深月は、部屋にある大きなテーブルに持っていたお盆を置いて下へと戻って行った。ハジメ達は動き出し、器を各自の場所に並べて座ろうとした時に違和感に気付いた。器が一つ多い事に

 

「ん?何で器が一個多いんだ?」

 

「深月に限ってそんなヘマはしない筈だけど・・・何で?」

 

「・・・数え間違い?」

 

全員で悩んでいると扉が開き、鍋を持った深月が入って来た。丁度良いタイミングだった

 

「おい深月。器が一個多いぞ?」

 

「お箸もね?」

 

「・・・疲れて数え間違えた?」

 

心労で疲れているのではないかと心配するユエ。だが、深月以外は気付いていない

 

「遠藤さんが居ますよね?食べに来たのではないのですか?」

 

『えっ、何処に居るの?』

 

「ここに居るよ・・・何で神楽さん以外誰も気付かないんだよ・・・・・」

 

ハジメ達が声のした方へ振り向くと、部屋の隅っこで体育座りをしていじけた遠藤が居た。物凄く傷ついているご様子だ

 

「何で皆気付かないんだよ・・・皆で俺をイジメんなよ・・・八重樫さん達も気付いていないし・・・酷過ぎるだろ・・・」

 

実は遠藤、天之河達が入って来た時と同時に入ったのだがハジメ達はだけでは無く、勇者一行にも気付かれていなかった。天之河が去った後に改めて感謝をしようとしていたのだが、いくら声を掛けても気付いてもらえずに落ち込んでいたのだ。流石に悪いと思ったハジメ達は遠藤に謝罪する

 

「あ~・・・その・・・なんだ。気付かなかったんだ・・・すまん」

 

「ご、ごめん・・・ね?」

 

「・・・ごめんなさい」

 

「申し訳ないですぅ・・・」

 

「すまんかったのじゃ・・・」

 

「遠藤くん・・・本当にごめんなさい!」

 

「ごめんなさいなの・・・」

 

「うん。・・・皆がワザとじゃないって分かってても・・・辛い」

 

遠藤もハジメ達がワザと無視しているのではないと薄々感付いていたが、それでも辛いものは辛い。深月はてっきり、「無視してしまったからご飯を食わしてやるよ」と判断していたのだ。因みに、遠藤の分の器はテーブルに置く時に宝物庫から出していた

 

「と、取り合えず座れよ」

 

「本当にごめんなさい。一緒にご飯を食べましょう?」

 

ハジメと皐月に誘われて、遠藤も一緒に食べる流れとなった。丸い机の真ん中に置かれる鍋。それを見て地球組のハジメと皐月と白崎と遠藤のテンションが爆上がりした

 

「み、深月!おまっ!?これ!!」

 

「再現ってレベルじゃないでしょ!?えっ?本物よね?・・・本物の匂いね」

 

「うそっ!?だってここは異世界だよ!?これって」

 

「はぁっ!?ちょっ!?これどう見ても」

 

驚愕する一同に"?"マークを量産するトータス組。深月の作った料理とは、焦げ茶色の出汁に煮込まれた肉と野菜達

 

「「「「これってすき焼きだろ(でしょ)!」」」」

 

「私は頑張りました!」

 

エッヘンと胸を張る深月。ここまで辿り着くのに物凄く時間が掛かったが、どうにか再現する事が出来たのだ

 

「・・・すき焼き?」

 

「って何ですか?」

 

「かなり濁った色じゃが」

 

「美味しそうな匂い!」

 

だが、皆がここで気になる点が一つ・・・この肉はどうやって調達したのかだった。だが、ハジメと皐月とユエの三人は心当たりがある

 

「・・・なぁ、この肉って」

 

「あれよね?」

 

「・・・多分」

 

「えっ、あれって何?」

 

「牛ってこの世界に居たっけ?」

 

白崎と遠藤は分からないご様子・・・無理もないだろう。この肉が魔物肉だと誰が想像するのだろうか

 

「言っていいのか?」

 

「いいんじゃない?どうせ深月しか処理出来ないし」

 

「・・・二人にまかせる」

 

「このお肉って違法な手段で手に入れたの?」

 

「密猟したのか?」

 

待ちきれないご様子のミュウとティオは、お肉にスプーンを伸ばして掬おうとして

 

「魔物肉で御座います」

 

ピタッと停止、幼子でも理解しているのだ。魔物肉は劇物、食べれば死ぬ猛毒なのだと

 

「え"っ!?ま、魔物のお肉って毒だよ!?私達食べれないよ!?」

 

「なんて代物を食べさせようとしたんだ!」

 

「深月!お主・・・やって良い事と悪い事はあるのじゃぞ!?」

 

「魔物のお肉はたべちゃだめなの!」

 

知っている者達は、鍋から離れて深月を睨む。その様子を見てシアは言葉を発する

 

「あはは~・・・普通はそういう反応ですよねぇ~。でも、わたしは深月さんに胃袋を掴まれちゃってるんですぅ」

 

「「「「嘘だ(じゃ)!」」」」

 

「ほんとうです・・・もう、慣れましたから。・・・深月さんのぶっ壊れを」

 

四人は未だ納得出来ない模様。だが、ハジメと皐月とユエの三人は、疑う事も無く、さも当然の様に肉に箸を伸ばす。だが、ここで深月から待ったが掛かる

 

「ユエさんはともかく。お嬢様、ハジメさん、お二人は何が足りないかお分かりですよね?」

 

「ん?何か足りなかったか?」

 

「すき焼きに何が足りないか・・・何かあったかしら?」

 

二人は何も分かっておらず、頭を傾げて「何だっけ?」と思い出す様に考える。そこで、白崎と遠藤の二人が思い出し、嫌な予感しかしないが揃って答える

 

「「卵」」

 

「「あっ!そうだった。生卵が無かった!!」」

 

ハジメと皐月は、深月の様子から確実に用意しているだろうと思い深月に視線を戻すと、卵が入れられた器がテーブルの上に置かれた。卵の表面には水気があり、念には念を入れて洗っていると把握した二人はそのまま手を伸ばして卵を取って割入れた

 

「ま、待つのじゃご主人様達!かなり昔じゃが、同胞が寝ぼけて魔物の卵を食べて死んだのを目の前で見たのじゃ!絶対に食べるでない!」

 

だが、二人は止まらない。ユエも二人を見て、同じ様に卵を割り入れてかき混ぜる。黄色一色となった卵の中に魔物肉を投入して、冷めきらない内に食べる

 

「は、吐き出すのじゃ!猛毒なのじゃぞ!?」

 

「あわわわわわ!?ハジメくん、高坂さん、吐き出して!?」

 

二人の体が震えている事に気付いた遠藤は、「静止したのに」と呟きながら膝を付いて崩れ落ちた。しかし、三人の言葉で心配は全くの無意味だったと知る事となる

 

「「「うまあああああああああああああああい」」」

 

お決まりの言葉。ティオ達四人は、目を点にしてハジメ達三人が食べる様子を見ている。皐月とハジメは、ジーっと見ている四人の中のミュウを手招きして食べる様に促す

 

「ほ~ら大丈夫だぞ。パパが食べても平気だっただろ?」

 

「大丈夫よミュウ、深月が作ったのだから失敗は無いわ。ごく一部の料理を除いてだけどね

 

ミュウは躊躇いながらもハジメ達の元へ歩いて行き、二人の間に着席した

 

「・・・本当に大丈夫なの?」

 

「大丈夫よ。ユエお姉ちゃんとシアお姉ちゃんを見てみなさい?魔物肉を食べたのに平気でしょ?」

 

「う、うん・・・」

 

未だに食べようとしないミュウを見て、ユエとシアが「大丈夫だよ」と教える。それを見て覚悟が決まったのか、ミュウは恐る恐るながらも皐月から渡されるお肉を食べる。すると、ミュウの口の中に肉本来の甘味が一気に広がった。ミュウは驚きの余り目をまん丸にして、よく噛んで飲み込み一言

 

「おいしいの!」

 

そこからは今までの勢いを取り戻さんと言わんばかりに「はやくはやく!」と急かすミュウ。皐月とハジメはミュウの器に卵を入れる

 

「ほ~ら、混ぜ混ぜしようね?」

 

ミュウは零さない様に混ぜて黄色一面にした後ハジメがミュウの分の具材を色々と投入して渡すと、ミュウは好き嫌いをしないのか、全部を美味しそうに食べている。二人は、幸せそうに食べているミュウの様子を見ながら自分の分も食べ進める

ミュウの様子を見て、残った三人も恐る恐る肉だけを食べると

 

「「「うまあああああああああああああああいのじゃああああああ)」」」

 

食に関しては正に深月様と崇めるご様子である。美味しいと分かった三人は卵を入れて他の具材も取って食べる。四人が参戦した事により、鍋の中身は一気に無くなって行きスッカラカンとなった。物悲しい顔をする一同だが、深月が宝物庫から下処理済みの肉や野菜を取り出して鍋に投入して熱量操作で煮立たせていると

 

「えっと・・・高坂さん。雫ちゃんを呼んでも良いかな?今までお世話になったし・・・その・・・パーティーを抜ける罪悪感もあって・・・」

 

「あ~、八重樫さんねぇ・・・苦労人は労わってあげないといけないわよね。地球でも色々と苦労していたし、私自身もお世話になったから良いわよ」

 

皐月がお世話になった理由。それは、中学の時に深月が一旦皐月を預けた相手が八重樫だったからだ。それからはちょくちょくと話したり何なりとお世話にもなったし、トータスに来てから陰ながらハジメと皐月に気を配っている事を後から深月に教えられていたのだ。だから、皐月も最初よりも嫌がる事はしなかった。むしろ、勇者(笑)パーティーの中では一番気を許している程だ

 

「ありがとう高坂さん!それじゃあ呼んでくるね!」

 

部屋はすぐ隣なので、呼び出す事も直ぐだった。しかも、八重樫はまたしても苦労をしていたのか、夕食を食べる暇も無く奔走していたらしい。哀れとしか言い様が無かった。白崎に引っ張られる様に連れられて何が何だか分からない模様

 

「ちょっと香織、私に付いて来てってどういう事よ?私はこれからご飯を食べる予定だったのだけれど――――」

 

「えっとね、雫ちゃんも一緒にご飯を食べよ?高坂さんにも許可は得ているし、大丈夫だから」

 

「はぁっ、またこの子は。・・・・・ごめんなさいね高坂さん。私が居る事でちょっと気を悪くしたのなら謝るわ。それに・・・さっきの光輝のあれもごめんなさい」

 

八重樫は本当に悪いと思っている模様。本人は皐月達に嫌われていると思っているのだが、それは過去の話。皐月達が八重樫に思っている事は「本当に苦労人だなぁ・・・」なのだ。心の底から同情してしまったので、癒しを兼ねさせる為に許可したのだ

白崎に案内される様に席に座ろうとした瞬間、目に見てる鍋の正体を知って一言

 

「どうしてすき焼きがあるの!?」

 

この場では敢えて魔物肉である事は教えず、そのまま食べさせる。この世界の食生活に飽き飽きしていた八重樫は、すき焼き擬きを食べている最中に涙を流しながら黙々と食べたのだった。ハジメ達は、「遠慮しないでもっとお食べ」と微笑ましい様子で勧めたのは言うまでもないだろう

こうして、ある程度の仲直り?を含めた食事会は終了して八重樫達は、「ありがとう」と感謝の言葉を告げて部屋へと帰って行った

深月を除いてお腹一杯食べたハジメ達は、そのままベッドに直行して就寝しようとしたのだが、ハジメだけが深月に捕まって席へと無理矢理着席させられた。皆も不思議そうにハジメの様子を見ている

 

「それではハジメさん、デザートですよ?ちゃんと"全部"食べて下さいね?」

 

「パパだけずるいの~!」

 

だが、ハジメの前に出された物はデザートと呼べる代物では無かった。色と匂いは普通だが、深月お手製の麻婆豆腐擬きが置かれたのだ。それを見た皐月とユエとシアは「ヒィッ!?」と悲鳴を上げてミュウを連れて奥へと退避した。そして、扉から覗く様に見ているのだ。ティオは「麻婆豆腐・・・うっ・・・頭が!」と言って顔を青くしてベッドへと直行した。この場に残されたのは何も知らない白崎だけ

 

「え・・・えっ?」

 

戸惑う白崎。そこにハジメの助けの声が掛かる

 

「た、助けてくれ白崎。後生だ!本当に助けてくれ!!」

 

「は、ハジメくんがそう言うなら助けるよ!」

 

だが、深月の魔力糸で白崎は体を固定される。動けなくなった白崎・・・最早ハジメに逃げ場は無い

 

「それではハジメさん、どうぞご堪能下さい」

 

「どうして俺だけが・・・」

 

「いえいえ、例え、麻婆豆腐擬きが"兵器"と言われても私は気にしていませんよ?」

 

様子を見ていた皐月達三人はハジメに対して合掌し、ミュウも訳が分からなかったが皐月のマネをしてハジメに合掌。その様子を見たハジメは諦めた

 

「今回の麻婆豆腐擬きは自信作です!過去最高の出来栄えを保証いたしましょう!!」

 

「いっそ殺せ・・・」

 

ハジメは全てを察して項垂れ、置かれたスプーンを手に取った。一掬い・・・匂いは普通の麻婆豆腐と何ら変わりはないが、初めて食べた記憶がフラッシュバックして、スプーンを持つ手が震える

 

「どうして食べないのですか?はっ!もしや、食べさせて欲しいのですね!分かりました。この深月、"一口一口"ハジメさんに食べさせましょう!」

 

未だに食べようとしないハジメに痺れを切らした深月は、麻婆豆腐が入っている器とスプーンを奪い取って一掬いして口元に突き出す。白崎がハイライトを消した目で深月を見ていた。白崎は、自分が手に持って食べさせたいと思っているのだが、深月は麻婆豆腐擬きを食べたいと思っていると判断して最初の標的をハジメから白崎に変更した

 

「白崎さんも麻婆豆腐擬きに興味津々なのですね。食べても良いですよ?ただし、一口だけです。それは以上は駄目ですよ?はい、あ~ん」

 

先程まで深月にハイライトを消した目を向けていたが、白崎は急展開にビックリしつつも、流されるままに麻婆豆腐を一口

 

「ッ!?」

 

顔を真っ赤に染め、徐々に青くなっていき、最後は灰の様に真っ白に燃え尽きた。体が震えたり、のたうち回る事も許さない一瞬の衝撃―――――ハジメはそんな白崎を見て、「うそ・・・だろ・・・進化してやがる!」と呟いて表情が歪む

 

「さぁハジメさん。食べましょうね?         いいですね?

 

「フッ・・・これも定めという事か。・・・後生だから一気に流し込め!いや、流し込んで下さい!!」

 

「ダメです♪」

 

「チックシアブッ!?  ゴゴゴゴオオオアアアアアアアアア!

 

叫んだと同時に麻婆豆腐が乗ったスプーンを口の中に突っ込まれた。奇声を発しながら床にのたうち回るハジメを見て皐月達は悲鳴を上げた。幼子であるミュウでも理解した。深月の作った麻婆豆腐を食べたらハジメの様にのたうち回るか、白崎の様に真っ白に燃え尽きてしまうと

深月はのたうち回るハジメを魔力糸で捕まえて、魔力糸で作られた漏斗を口の中に差し込んで味わう様にゆっくりと入れる。燃え尽きていた白崎も目を覚まし、ハジメの方を見ると―――――一口ずつ麻婆豆腐擬きを流し込まれている光景だった。それを見て自分が食べた時の状況を思い出したのか、うっと口元を押さえてトイレへと直行。出た時には嫌な汗を大量に流していたのはお約束である

ハジメに麻婆豆腐擬きを完食させた深月は、ハジメを担いでベッドに寝かせて片付けを行う為に下へと降りて行った。そして、ハジメと深月を除いた緊急会議が開かれた

 

「全員よく聞きなさい。深月の麻婆豆腐擬きだけじゃなくて、激辛についての悪口は絶対に駄目よ。いい?もしも言ったら、助けには入らないからね?これに意見がある者は挙手をしなさい」

 

「「「「「異議なし(なのじゃ)」」」」」

 

こうして深月の激辛料理の悪口は絶対に言わない様に誓った一同。皐月とミュウはハジメと同室で、ユエとシアとティオと白崎は別室で就寝した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「モッキュモッキュ、ふぅ・・・やはり美味しいですね。この病みつきになる辛さが堪りません」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




布団「やっとここまで来たぁ~」
深月「長かったですね」
布団「あ、今思い出した。前話で原作壊しちゃったから、一応タグに"檜山(塵芥)早死に"を付けておきますわ」
深月「原作崩壊でもよろしいのでは?」
布団「完全崩壊では無いので、微崩壊?でもいいのかな?」
深月「その辺りは作者さんの方で調整をお願いします」
布団「兎に角、これから先のお話も頑張るぞい」
深月「そうです。頑張って下さいね?」
布団「だけど、一つだけ宣言しておきます。次章開始は一週間以上空けますのでご了承をお願い致します」
深月「書き溜めをするのですか?」
布団「おざなりにしているやつをやらないとね・・・」
深月「こちらも頑張って下さいね?」
布団「本当に頑張ります!」







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