ありふれていない世界最強メイド【本編完結済み】   作:ぬくぬく布団

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布団「投稿よ~」
深月「準備完了です」
布団「これからも頑張るぞい!」
深月「読者の皆様方、ごゆるりとどうぞ」












コロナで大変な読者の皆様方の元気が出れば良いと思い、今話を書き上げました。作者もモチベーションがかなり低下していますが、めげずに書いていきます。皆様も気を付けて下さい














実母とグリューエン火山
メイドとほのぼの?回


~皐月side~

 

昨日の麻婆豆腐がかなり強烈だったのか、ハジメは当初予定していた早朝に出発する事が出来ず、朝食を食べ終えた皐月達に続く様に起床した。予定が押している事に気付き、ハジメは朝食を食べずにギルドへ軽く挨拶を済ませて門へと急ぐ。すると、勇者(笑)パーティーが居た

 

何か言ってきそうだけど無視無視、予定外の白崎さん加入で色々と不都合もあるから戦闘力低下も否めないわね。だけど、白崎さんは回復職・・・私達のパーティーの中には誰一人持っていないから重要な回復要員だから脱退させるわけにはいけない。まぁ、そんな事したらミュウが涙目でお願いするからありえないけどね

 

当初、皐月は白崎は回復職であろうと無理矢理でも置いて行くつもりだった。だが、ミュウの「ママ・・・め?」と涙目でお願いされたのだ。最初は必死に説得したのだが、これ以上はミュウに嫌われてしまうと判断して折れたのだ

 

それにしても・・・ハジメが好きなのは理解しているけれど、現状では絶対に無理ね

 

昨日から白崎の様子を観察していた皐月は、現状ではハーレムには絶対に入れれないと判断している。ハジメが邪険にしないのは、初対面ではないからだ。もし、これが初対面でグイグイ来たのであればシアと同じ末路になっていただろう

 

「ハジメくん大丈夫?私が回復させようか?」

 

「いや、自分で蒔いた事案だから自然回復に努める。二度と同じ事をしない様にする為の戒めが必要だからな・・・」

 

「・・・そっか」

 

「ま、まぁ・・・白崎が思っている事も分かっているから落ち込むな」

 

明らかに落ち込んでいる白崎を励ますハジメの様子を見てシアが皐月に愚痴を零す

 

「納得できないです。どうして白崎さんはハジメさんに邪険にされないんですか」

 

「見知らずの人じゃないからよ。故郷に居た時から好意には気付いていたし、奈落に落ちてからも想い続けていたからよ。そうじゃなかったらシアと同じ対応をしていたわよ」

 

「そうですか」

 

しかし、成長したシアは昨日から白崎の様子を観察する事で気付いた

 

「以前の私ってああやってグイグイ行ってたんですねぇ~。ハジメさんが塩対応した理由も分かりました」

 

「それが成長よ。シアはユエの助言と先生の様子を見て一歩下がった景色を見て気付いたのは良いけれど、白崎さんには助言は無しよ。過去のハジメと今のハジメを知るからこそ、気付かないといけないのよ。それすら出来ない様であればハーレムの中には入れないわよ。例えハジメが良しと言おうと、私が駄目と拒否するわ」

 

「正妻が皐月さんじゃなかったと思うと・・・不和が起きそうですねぇ」

 

「実際問題、ハーレムを築いた者の死因は身内に刺されてが多いわよ」

 

「そうなんですか?」

 

「側室の者が正妻よりも私を見てと言って殺す未来が待っているわよ。暴力で従わせても駄目よ?寝首を掻かれて殺されちゃうし」

 

皐月が言った様に、ハーレムを築いたとしても内部崩壊が殆どである。だから皐月はそれを起こさせない様にハーレム入りをする可能性の女の観察をしているのだ。白崎はユエとの言い合いで、無自覚かもしれないが"正妻になる"と発言しているのでハーレム入りの条件を満たしていない。皐月は、地球の時からの白崎の行動を見て思った事が一つ・・・白崎はハーレム入りに一番遠いという事だ

 

「話は変わるけれど、次はグリューエン大火山の迷宮の攻略よ。移動にはグリューエン大砂漠を横断する形だけど・・・魔物の問題があるわね」

 

「えっ?深月さんがどうにかするのでは?」

 

シアの言う通りで、深月ならば魔物を余裕で倒せるだろう。だが、問題はそこでなかったのだ

 

「シア、私達がこれから行く場所は"砂漠"よ?広大な砂の大地でどうやって移動するか考えてね?」

 

「あの二輪で移動に決まっています!」

 

だが、シアは重要な事を忘れている

 

「タイヤが砂に埋もれて移動出来なくなるし故障の原因にもなるわ。そして、基本的な問題として深月の天職は"錬成師"じゃなく"メイド"よ?錬成魔法が使えないのよ。地面を固めて走れないし、灼熱の大地を一人で走らせるつもりなの?」

 

「あ、あぁ~・・・砂漠って熱い事をすっかり忘れていました」

 

「偶には皆で車に乗った方が良いでしょ?」

 

「今更ですが、深月さんってあの車に乗った事ありませんよね?」

 

「そうよ。だがしかし!宝物庫には簡易キッチンが眠っているわ!何が言いたいか分かるわよね?」

 

「車の中にキッチン・・・深月さんも車の中・・・はっ!?深月さんにリクエスト出来ます!」

 

「そういう事♪」

 

皐月はこういう事もあろうかと、四輪の後ろに設置出来る簡易キッチンを制作していたのだ。これもハジメと一緒に作ったのだ。当初、ハジメは普通の広いキッチン台を作っていたので不必要だと言っていたのだが、皐月の「運転中に深月にリクエストして作ってもらえる」という言葉の誘惑に負けて力を込めて作ったのだ

ハジメ達は予定通り門の外に出て魔力駆動四輪を取り出して、簡易キッチンを設置した。車等を知らないメルドは驚愕していたが、それを無視して皆が四輪に乗り込む。白崎は、八重樫と別れの挨拶をして後部座席へ乗り込んだ。前は運転手のハジメ、皐月、ミュウ、ユエの四人。後部座席にはシア、ティオ、白崎の三人。深月は荷台で椅子に座っており、周りにはキッチン台や調理器具が並んでいる。ハジメ達はグリューエン大火山に向けて四輪を走らせた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~深月side~

 

ホルアドから出立して数時間、ハジメ達一行は遂にグリューエン大砂漠の入口へと到着した。砂の色は赤銅色で、砂の粒が細かく、常に一定方向から吹く風により易々と舞い上げられた砂が大気の色をも赤銅色に染め上げ、三百六十度、見渡す限り一色となっている

しかも、照り付ける太陽と大小様々な砂丘が無数に存在しており、刻一刻と表面の模様や砂丘の形を変えていく。大地の熱は四十度は軽く超えており、旅としては最悪の環境。だが、それは"普通"の旅であればの話だ。魔力駆動四輪で整地しながら爆走する。道なき道だが、それは車内に設置した方位磁石が解決してくれている

 

「・・・外、すごいですね・・・普通の馬車とかじゃなくて本当に良かったです」

 

「全くじゃ。この環境でどうこうなるわけではないが・・・流石に、積極的に進みたい場所ではないのぉ」

 

シアとティオが後部座席で窓にビシバシ当たる砂と赤銅色の外世界を眺めながらしみじみと呟く。だが、車内はピクニックの様な空気だった

 

「深月、運転しながらでも食べれる物を作ってくれ」

 

「おやつがたべたいの!」

 

「私はミュウと一緒に冷たい物が食べたいわ」

 

「ハジメさんはサンドイッチにしましょう・・・お嬢様とミュウさんは冷たいデザートですね。少々お待ち下さい」

 

「それにしても、前に来たときとぜんぜん違うの!とっても涼しいし、目も痛くないの!パパとママはすごいの!」

 

ミュウは誘拐された時にこの灼熱の砂漠を渡って来たのだ。本当に衰弱死しなかったのは奇跡といっても過言では無い。そんな環境を経験したからこそ、ギャップも相まって驚きが大きいのだ

 

「ミュウさん、デザートが出来るまで時間が掛かりますのでジュースは如何ですか?」

 

「ジュース?」

 

「甘い飲み物です」

 

「のむ!」

 

宝物庫から露店で買った果物を重力魔法で押しつぶし、果汁を搾る深月。その様子をまじまじと見ていた白崎が一言

 

「神楽さんに出来ない事ってあるのかな?」

 

「私は出来る事をしているだけです。現に、錬成魔法でアーティファクトを大量に造っているお嬢様とハジメさんに頼り切っています」

 

「えっと・・・"家事"で出来ない事なんだけど・・・」

 

白崎の思う家事とは世間一般でのレベルだが、深月のいう家事とは生活における全ての事だ。基本的に全てをこなせる深月だが、やってはいけない事が一つだけある

 

「出来なくはないのですが・・・一点だけ許可が出ない物はありますよ?」

 

一同は思う、「あの深月でも許可が許されていないって何?」と

 

「フグの調理師免許を持っていないのです」

 

「「「「フグ?」」」」

 

トータス組は分からず、首を傾げる。一方で、ハジメ達は疑問に思っていた

 

「調理師免許持ってないのか」

 

「高校を卒業するまでは駄目だと判断されて許可が下りなかったのです」

 

「あっ、そういう事。お父さんからダメって言われたのね」

 

「ですが、今なら大丈夫です!この生活魔法の力ならばフグの毒程度消して差し上げます!」

 

「深月の生活魔法の清潔は本当に料理人泣かせよね」

 

「それ以外の技能も料理人泣かせがあるよな」

 

ハジメ達が深月の技能について色々と考察する中、深月はハジメのサンドイッチを作り終えてシアに渡してデザートに取り掛かる

作るのはプリン。牛乳は、オルクスで食料補充をしに行った際に牛型の魔物を発見して搾取済みである。そして!プリン作りには欠かせないあれ―――――バニラエッセンス。実は、ウィルを探索中に深月はバニラビーンズに似た植物を発見して、陰ながら大量に採取していたのだ。ホルアドで油を多く含んだ種を購入したのは、バニラエッセンス用の植物油を手に入れる為だったのだ。(※味見もして確認済み)

深月は、耐熱用の器に魔物産の牛乳と卵にフューレンで購入したハチミツを入れて泡立てない様にゆっくりと混ぜながらバニラエッセンスを加えて十分に混ざりきった事を確認して熱量操作で温める。およそ二分温めた後は常温で熱を冷ます。その間に、ハチミツを焦がしてカラメルソースを作る。ハチミツが焦げて、カラメルのいい匂いが車内に充満して全員の腹の虫が鳴る

 

「あの・・・皆さんも欲しいのであれば言って下さいね?」

 

「「「「「欲しい(のじゃ)!」」」」」

 

結局全員が欲しいとの事で、今作っているカラメルソースを作った後・・・再び同じ工程を二回繰り返した。続いて冷ます工程なのだが、この車内に冷蔵庫なる便利道具は存在しない。しかし、そこで再び活躍するのが熱量操作である。熱量操作は文字通り、熱量を操作する技能。深月は、熱する事も出来れば冷ます事も出来るのでは?と思い試行錯誤を繰り返して習得したのだ。熱量操作で七つのプリンを冷やして固め、その上にカラメルソースを垂らして出来上がり

 

「出来ました。後部座席に座っている方は前の方達に零さない様に渡して下さい」

 

ハジメは運転しているので直ぐには食べる事が出来ないが、皐月がハジメの分を持っているので何も問題は無い。各自は、スプーンを持ってプリンをまじまじと見て楽しんだ後一掬い。少しだけ硬めのプリンだが、カラメルがしっかりと絡み合って甘い匂いを漂わせるそれを一口。常温の生ぬるい物では無く、しっかりと冷たいプリンは口の中をひんやりと冷まして、鼻から通り抜けるバニラエッセンスとカラメルの匂いに一同は自然と笑顔になり一言

 

『美味しい~♪』

 

他の皆は自分のプリンを食べ進める中、皐月はハジメの口にプリンが乗ったスプーンを近づけて食べさせる

 

「こっちに来てプリンが食べられるとか思ってもみなかったぜ」

 

「本当にそうよね~。プリンはここに来てから初めてよね?」

 

「はい。どうしても簡単に出来るレシピに限定されますので、今はこれが限界ですね」

 

「神楽さんってチートなんだね」

 

「チートではありませんよ?それから、一緒に旅をする仲間となりますので私の事は名前で呼んでも構いません」

 

「あ~そう言えばそうね。苗字で呼ばれるのって何か違和感があるわ」

 

皐月は奈落に落ちてからの事を思い出した。苗字で呼ばれる事が無く、名前で呼ばれる事が当たり前のこの世界に順応していた。そして、ウルでの事を思い出すとちょっとだけ違和感があるのだ。こう・・・しっくりこないという感じだ。特に、旅の仲間として行動するなら尚更である。皐月の気付かないところでユエは白崎と名前で呼び合う仲になっている

 

「それじゃあ、皐月ちゃ「あ"?」・・・"皐月"と"深月さん"って呼ぶよ!」

 

「・・・香織、なぜ深月だけさん付け?」

 

「そ、その・・・なんていうか・・・深月だとしっくりこないの。同い年だけど、年上の雰囲気があるの」

 

深月の外見年齢は確かに高校二年生だが、忘れないで欲しい―――――深月は転生者。精神年齢は三十代後半である

 

「そうか?俺は深月でいいと思うんだが」

 

「やっぱりあれじゃない?一緒に過ごした時間が長い事と、奈落での出来事が私達の価値観をゴッソリと変えたからよ」

 

「あぁ、奈落では色んな事があったな・・・深月とか深月とか深月とか」

 

「私は食生活を支えた位しか身に覚えがありませんが?」

 

「「「それはありえない」」」

 

奈落で深月のぶっ壊れを間近で見ていたハジメと皐月とユエの三人の声は重なる。シアも出会ってからの事を思い出しているのだろうか、遠い目をしていた

 

「・・・ハジメくん達が落ちてからの事を教えてもらてもいいかな?思い出したくないとはわかっ――――」

 

「ん?別にいいけど」

 

「ているけ・・・・・えっ?良いの!?」

 

「大変な事ばかりだったが、今の俺になった切っ掛けだからな。特に隠す事はしねぇよ」

 

「私達が迷宮に落ちてからよね?それは――――――」

 

皐月が白崎に落ちてからの経緯をまとめて話す。どうして腕が無くなったのか、どうやって生き延びたのか、深月と合流して迷宮を攻略する最中にユエと出会った事等を話す。シアと出会い、ティオと出会い、ミュウと出会った経緯も話して、どうして白崎達を助けたのかも話した

 

「・・・皐月は私達を助ける事は反対だったの?」

 

「はぁ?助ける助けないは別にどうでも良かったわ。けど、あれを目に入れたくなかったから・・・それだけよ」

 

「そっか・・・それは私達のせいでもあるんだよね」

 

「幼馴染なら荒治療でもしなさいよ。あれが社会に解き放たれたらヤバいわよ?」

 

呆れた表情をして香織を見る皐月。(※皐月が白崎を名前呼び決定したのでこれからの表記は香織でいきます)

皐月は深月から逐一知らされる情報を見て、天之河がどういった人間性なのか把握していた。だが、知らされる内容は物凄く酷い物ばかりだったのだ

 

「中学時代の出来事だけど、他校で仲の良い男女の友達が一緒に行動している時にあれが介入して何があったと思う?」

 

「えっ?他校だよね?・・・・・もしかして」

 

「大体察した様子ね。その男女の仲を良く思わない輩があれに『どうにかしてくれ~』って頼んで、あれが『分かった!俺に任せろ!』みたいな感じで了承。二人の言い分も聞かずに男の方を殴ったらしいわよ?深月が収集した情報でも流石にそれは無いと思っていた時期が私にもありました」

 

「嘘・・・だよね?」

 

「ん?もしかして俺の中学の奴か?あいつらは幼馴染で、途中で不登校になったって聞いたぞ」

 

「実は深月がハジメの調書を作っていた時に得た情報らしいの・・・」

 

「ハァッ!?それ初めて聞いたぞ!?」

 

「えっ!?深月さんもハジメくんを狙ってるの!?」

 

「いえ・・・お嬢様のご友人になる予定の人ですので安全の為に調べるのは当然ですよ?」

 

深月はあっけらかんと答える。それのどこが悪いのだという表情だ

 

「話を戻して、他校との暴力沙汰は学校の印象を悪くするわ。そこで、学校のお偉いさん方はある決定を下したのよ」

 

「お互い黙って問題を無かった事にしよう――――ってか?」

 

容易に思い付く可能性を上げるハジメだったが、結果はそれを上回るものだった

 

「いいえ違うわ・・・学校側があれの行動を正当化させたのよ。要するに、あれのお陰で我が校の女子生徒を脅かす男子生徒は反省した。悪かったのは男子生徒で、正しかったのはあれだってね。お互いwinーwin関係、あれ側の学校は正しき行いをする生徒を輩出する学校―――――そして、男子生徒側の学校はあれのお陰で綺麗になった学校ですよ~って謳い文句を掲げて生徒を集めていると聞いたわ」

 

「・・・クズ」

 

「クズですねぇ」

 

「クズじゃの」

 

何処の世界でも闇は存在するのだ

 

「ふと気になったのですが、お嬢様達は元の世界に帰還した後の計画は考えていますか?」

 

地球組のハジメと皐月と香織の三人に向けての疑問だった。深月は、将来的に皐月とハジメの二人のメイドとなるので一番気になっている所だった。香織については一応程度

 

「・・・ま、まぁどうにかな―――――」

 

「お嬢様の旦那様となりますので、大舞台に出る事は決定していますよ?」

 

「マジか?」

 

「マジです」

 

「ハジメが一緒に居たら、海外のパーティーでしつこい誘いが無くなるのは嬉しいわね」

 

「よし。皐月は俺の嫁だと知らしめる必要があるな」

 

「立ち位置もしっかりと確立しなければなりませんね。いっその事、会社を立ち上げられますか?」

 

「それも有りだな」

 

取り合えず、ハジメの将来設計の予定は決まった

 

「私は何かの教育に力を入れてみようかしら」

 

皐月は指導系の方に力を入れる予定だ。因みに、深月は皐月側に行くのは決定事項である

 

「わ、私は・・・ハジメくんを支えるよ!」

 

「いや・・・この話の流れで言うなら、新しい何かを提案するでしょ」

 

「うぐぅ!」

 

「・・・フッ」

 

皐月に、「お前空気読めよ」とツッコミを入れられて心に矢が突き刺さる香織を見てユエが嘲笑するが、それはそれで藪蛇だった

 

「ユエ達も考えなさいよ?私達の故郷に来たら当然働いてもらうわ。先ずは常識を身に着ける事が前提で動くからそのつもりでね?」

 

「「っ!?」」

 

香織から標的が移動した事を察知したユエとシア。ハジメの傍に居る為に、慣れない環境下で新しい事を覚える事は苦では無いが、皐月が言った事から察した。二人の教育係は深月の可能性があるという事に・・・

 

「「深月(さん)が教育係?」」

 

「私を御指名ですか。ならば、短期間で覚えられる様に少しだけスパルタ教育に致しましょう」

 

「「   」」

 

まさかまさかの事態。自分達から指名をしてしまった

 

「まぁ、その件は追々で決めましょう。それより香織だけど・・・決まらないなら私の方で活かすわ」

 

「皐月の所で?」

 

「新事業。それはメイド教育よ」

 

『え?』

 

「メイド教育ですか。需要があるかどうかは分かりませんが、セレブ達の間であれば喜ばれる可能性はありますね。現にハウスキーパーなる存在が居ますので、彼等の上位職とすればかなり有能かと」

 

「深月の技能に戦術顧問のメイドをフルに活用すれば、超人メイドが生まれる可能性があるわ」

 

『あぁ~・・・そういえばそんな技能あったなぁ~』

 

皐月の新事業はメイドの育成と決まった。それに伴い、深月がスパルタで鍛え上げて、香織の回復魔法で元通りにさせるの繰り返し。とても有意義な訓練となるだろう

 

「ただし、問題点は一つありますね」

 

「問題点?」

 

「「何かあった?」」

 

「お気付きになられていないのですか?私達の居た地球に魔力は存在するのかどうかを」

 

「「「なん・・・だと!?」」」

 

本当に気付いていなかった三人。魔力は自然回復すると思っていたのだが、それは概念があってこそ回復するというもの。回復しない可能性も高い事を考えると難しい

 

「魔力が回復しない可能性を考えると・・・厳しいな」

 

「スパルタ訓練もね」

 

「魔力が無いと回復魔法が使えないよ」

 

「細かい点については帰還した後の話です。今はぼんやりとでも良いので考えておきましょう」

 

三人の気持ちが暗くなる前に話を切り上げた深月だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~ハジメside~

 

俺は今現在進行形で精神攻撃を受けている。その原因はユエとしらs――――香織の言い争いだ。事の切っ掛けは白崎の「ミュウのパパ」呼びを止めてくれと言ったのが始まりだった。それから話がどんどん大きくなっていって、挙句には「私もいつか子供が出来たら・・・その時は・・・」の一言が火種となったんだ。その言葉にユエが反応して「・・・先約は皐月。・・・絶対だから」との言葉を皮切りにして激しさを増していった。そして今では・・・

 

「白髪に眼帯、しかも皐月に至っては魔眼・・・確か、ハジメくんが好きなキャラにもいたはず・・・見せてもらった武器だって、あのクロスビット?はファ〇ネルがモデルだろうし・・・あっ、でもハジメくんはダブ〇オーも好きだったから、GNビッ〇かな?どっちにしろ、今のハジメくんも十分にオタクなんだよ」

 

「ガハッ!?か、香織・・・」

 

「む、むぅ・・・ハジメ達の武器がそこから来ていたなんて」

 

「好きな人の好きな物を知らないで勝ち誇れる?」

 

「・・・香織・・・いい度胸・・・なら私も教えて上げる。ハジメの好きな事・・・ベッドの上での」

 

「!?・・・な、な、なっ、ベッドの上って、うぅ~、やっぱりもう・・・」

 

「ふふふ・・・私達との差を痛感するがいい」

 

誰か助けてくれ・・・俺の精神がカ〇ーユみたいに破壊されそうだ

 

表情や仕草にはなるべく出さない様にしているが、ハジメが落ち込んでいるのを把握していた皐月はミュウを一旦シアに預けてから二人にアイアンクローをして締め付けていく

 

「ミュウの教育に悪いって気付かないのかしら?現在進行形で、ハジメに精神攻撃をして落ち込ませていると理解出来ないの?運転しているのはハジメなのよ。仲直りしないのであれば、外に放り出すわよ?」

 

「痛い!皐月痛い!止めて!!」

 

「皐月痛いよ!仲直りするから離して!?」

 

徐々に力を入れる皐月に止める様に懇願する二人。皐月は手を放して二人をジッと見ている。運転しているハジメを含めてシア、ミュウの三人は皐月を怒らせたら怖いと改めて実感して、怒らせない様に良い子でいようと心に決めた。ティオはいつも通り恍惚な表情をしているが、皐月が深月を見ながら親指で首を掻っ切る様に合図を送った。深月はティオの耳元で周りに聞こえない様に呟く

 

「破裂したいですか?」

 

「申し訳ないのじゃ」

 

座席の上で土下座するティオ、日本人でも惚れ惚れする美しい土下座だった。その呟きが聞こえてしまったハジメは思った

 

破裂って何だ?・・・いや待て。深月って疑似的な電子レンジを使えるんだよな?輻〇波動・・・いや違うな。SE〇Dのサイ〇ロプスだろ!?絶対に即死コースじゃねぇか・・・・・ラスボスは皐月と深月のダブルコンビだな

 

ハジメがそんな事を内心で思う中、ユエと香織の仲直りも無事?に済んで少しだけ走らせると

 

「ん?なんじゃ、あれは?ご主人様よ。三時方向で何やら騒ぎじゃ」

 

ティオが注意を促してきた。どうやら窓の外で何かを発見した様だ。ハジメ達は言われるがままにそちらを見ると。右手にある大きな砂丘の向こう側に、サンドワームと呼ばれるミミズ型の魔物が集まっている様だった。幸いな事に、このサンドワームは察知能力は低いので近くを通るなど不運に見舞われない限り、遠くから発見され狙われるという事はない

 

「?なんで、アイツ等あんなとこでグルグル回ってんだ?」

 

ティオが注意を促した理由は見つけたからだけではない。様子がおかしかったからなのだ

 

「あの動き・・・まるで獲物は居るのに食べたら危ないという動きですね。魔物が魔物を食べても平気な事を考えると・・・ッ!こちらに来ます!」

 

「俺の気配感知には引っ掛かっていないが、深月が言うのであれば間違いない。全員しっかり掴まれよ!―――――っ!?」

 

ハジメが四輪を加速した後、僅かに車体を浮き上がらせながら砂色の巨体―――――サンドワームが大口を開けて飛び出してきたのだ。ハジメは、更にハンドルを左右にきって、高速で駆け抜けていく。Sの字を描く様に走る四輪の真下から二体目、三体目とサンドワームが飛び出してきた

 

「きゃぁあ!」

 

「ひぅ!」

 

「わわわ!」

 

香織とミュウとシアの悲鳴が上がる。事前にハジメから何処かに捕まる様に注意されていたので、吹っ飛ばされる事は無かった。サンドワームは上空から再び襲い掛かる。だが侮るなかれ―――――この四輪はオタクのハジメと皐月が作り出したアーティファクトだ。何の備えもしていない筈もない

 

「皐月。あれを使うぞ!」

 

「何気に初めてだけど問題ないわ!」

 

「ロックは任せた!」

 

「勿論♪」

 

走行しながら皐月が特定部位に魔力を流し込むと、ガコンッ!カシャ!カシャ!という音を立ててボンネットの一部がスライドして開き、中から四発のロケット弾がセットされたアームがせり出す。本当は自動でロックする機能が付いているのだが、それはせずに発射する。バシュ!という音をさせて、火花散らす死の弾頭を吐き出した

すると、ロケット弾はありえない軌道を描きながらサンドワームの口内に向かって飛び込み、一瞬の間の後、盛大に爆発し内部からサンドワームを盛大に破壊した。このロケット弾は、皐月の魔眼で遠隔操作しているのでありえない軌道を描けているのだ。サンドワームの真っ赤な血肉がシャワーのように降り注ぐが、そのまま走っていた四輪にはギリギリ降り掛かる事は無かった。だが、後ろの光景はショッキングな事には変わらない

 

「うへぇ・・・シア、ミュウが見ないようにしてやっててくれ」

 

「もう、してますよ~。あんっ!ミュウちゃん、苦しかったですか?でも、先っぽを摘むのは勘弁して下さい」

 

迫り来るサンドワーム達にもロケット弾をぶち込む事で再びショッキングな光景を見させない様にシアに配慮を頼む。シアは、既にミュウを対面方向で胸元に抱きしめて見えないようにしていたが・・・シアの巨乳に顔を包まれて苦しかったのか、ミュウが抜け出そうとした。その際、シアの何処かに触ってしまいシアが喘ぐ。ハジメは敢えてスルーして聞こえなかった事にした。だが、轟音のせいで遠くに居たサンドワーム達もハジメ達に気付いてしまったのだ。ハジメは砂丘の上へと四輪を走らせ、見晴らしの良い所で様子を見る。すると、ハジメ達に向かって一直線で向かい来るサンドワームの群れなのだが・・・微妙に砂が盛り上がっており隠密性が無い。だが、早く移動する事で攻撃する暇を与えない様にしようと思っているのだろう

ハジメはロケットランチャーをしまい込み、次なる兵器を起動。すると、ボンネットの中央が縦に割れて、そこから長方形型の機械がせり出てくる。長方形型の箱はカシュン!と音を立てながら銃身を伸ばしていき、最終的にシュラーゲンに酷似したライフルとなった。それと同時に紅いスパークが迸り、皐月自身が照準して一発。ドウゥ!!と射撃音を轟かせながら一条の閃光が赤銅色の世界を切り裂いて、盛り上がった砂地に着弾して衝撃と共に砂埃を盛大に巻き上げる。その後も射撃は続き、地中に居たサンドワーム達を爆ぜさせた

 

「ふぅ~。これで終わりだな」

 

すると、深月は素早く外に出て目を閉じて砂地に手を着ける。ハジメ達はその様子を黙って見ていると、深月はそのまま車内へと戻る

 

「先程簡易的なソナーで振動を探りましたが、この近くにはサンドワームは居ません。ですが、注意は必要です」

 

深月は、魔力糸を地中に突き刺して振動で探っても何も感じなかったので一応は大丈夫だとハジメ達に伝える

 

「ハジメくん!あれ!」

 

「・・・白い人?」

 

すると、香織が何かを見つけて前方に指を差す。その先に居たのはユエが呟いたように白い衣服に身を包んだ人が倒れ伏していた

 

「お願い、ハジメくん。あの場所に・・・私は"治癒師"だから」

 

ハジメ達も、何故あのサンドワーム達に襲われなかったのか興味があったので香織の頼みを了承して四輪を走らせた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




布団「勇者(笑)って地球でもやっちゃってるんだな」
深月「私が警戒をしている理由はこれが大きいのです」
布団「これがなくても警戒するでしょ?」
深月「勿論です!」
布団「話は変わって、回復要員が手に入りました!拍手~♪ドンドンパフパフ~」
深月「作者さん的には嬉しいのですか?」
布団「そうですよ?魔改造出来るし」
深月「あっ、そっちですか」
布団「まぁ・・・微々たる改造しか出来ませんがね!」
深月「それでは、次話が書きあがるまでお待ち下さい」

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