ありふれていない世界最強メイド【本編完結済み】   作:ぬくぬく布団

47 / 104
布団「皆!待たせたな!今回もメイドさんが自重しないZO!!」
深月「お嬢様の為に頑張ります」
布団「それでは、行きましょう!」
深月「読者の皆様方、ごゆるりとどうぞ」












コロナ騒動が続く中、ゴールデンウィークで暇している人は多い。・・・いっくぞ~!コロナなんかに負けない!皆も気を付けながら頑張りましょう!!













メイドはまたしてもやらかす

~深月side~

 

「もう駄目!私死んじゃう!だから休ませて!」

 

「駄々をこねてはいけませんよ。私達を希望としている患者が沢山いるのです。魔力も十分ありますよね?」

 

「集中力が途切れちゃうの!」

 

「では、集中せずに回復魔法を使う訓練です。その方が戦力になります。もしこのままならば、お嬢様達の足手まといのお荷物さんですよ?そんな香織さんにハジメさんが振り向いてもらえるとでもお思いですか?」

 

「うぐぅっ!」

 

巨大な施設に沢山の患者が居り、回復した者達を見て二人に縋る様な目で視ているのだ。もう既に五万近くの患者を治療したが、患者は数多く居る

深月のノンストップ清潔に香織は付いて行くので精一杯で、精神がゴリゴリと削られているのだ。ようやく治療が済んだと思えば、先程よりも多い患者を回復しなければいけないの繰り返しなのだ。深月の超スパルタ訓練を前に早々と根を上げた香織だった。疲れ果てた香織に深月は、「ハジメ達と一緒に旅をするなら~」と言って焚き付けるのだ。置いて行かれたくない香織に、一番心に突き刺さる言葉ばかりを投げ付けてやる気にさせているのだ

 

「今でおおよそ折り返し地点です。ここからは軽傷の方達の区画ですので頑張って下さい」

 

「深月さんは何で平気そうにしているの・・・」

 

「何故と言われましても・・・常日頃からお嬢様達の害となる者を駆除しているからでしょうか?慣れてしまえばどうという事はありませんよ」

 

「それは深月さんだけだよ」

 

「さて、おしゃべりという名の休憩は終了です。私は急いでお嬢様達の元へ合流してオアシスの清潔もしなければいけません。ここからは大量にいきますよ!」

 

「え"っ!?」

 

「先に終わらせてから魔力タンクをお渡ししますので―――――頑張って下さいね?」

 

実は深月、清潔で毒素をキレイキレイしている最中で過多の魔力を濾過吸引を行使して、神結晶印の腕輪にギリギリまで魔力を貯め込んでいたのだ。それこそ、ユエの最上級魔法を連発しても魔力切れを起こさない位・・・

深月は、香織を置いて一気に一万人単位で清潔を行使・・・それをおおよそ五回。全ての患者の毒素をキレイキレイし終えた深月は、香織の元に帰って自身のもう片方の腕に装着していた神結晶印の腕輪を外して香織に装着

 

「では、頑張って下さい♪」

 

「   」

 

深月は香織を放置して、オアシスの方へと向かったハジメ達を追いかける様に走って行った。香織は一人・・・ポツンと残され、「これもハジメくんの為、これもハジメくんの為――――etc」とブツブツ呟きながら回復魔法を行使していった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~皐月side~

 

現在、深月と香織を除く六人は問題のオアシスへとやって来た。見た目は綺麗で、水の表面はキラキラと反射して輝いており、毒素を含んでいるとは思えなかった。しかし、皐月の魔眼石に反応があった

 

「これは・・・下?」

 

「下?・・・あー、確かに何かが居るな。・・・領主。調査チームってのはどの程度調べたんだ?」

 

皐月に続く様にハジメも下に視線を向けて、下に何かが居る事を察知した

 

「・・・確か、資料ではオアシスとそこから流れる川、各所井戸の水質調査と地下水脈の調査を行ったようだ。水質は息子から聞いての通り、地下水脈は特に異常は見つからなかった。もっとも、調べられたのは、このオアシスから数十メートルが限度だが。オアシスの底まではまだ手が回っていない」

 

「オアシスの底には、何かアーティファクトでも沈めてあるのか?」

 

「?いや。オアシスの警備と管理に、とあるアーティファクトが使われているが、それは地上に設置してある・・・結界系のアーティファクトでな、オアシス全体を汚染されるなどありえん事だ。事実、今までオアシスが汚染されたことなど一度もなかったのだ」

 

ランズィの言うアーティファクトは"真意の裁断"といい、アンカジを守る様に覆うドームの事だ。しかし、それは力のほんの一部。本来の性能は、害意あるものの遮断という強力な結界なのだ。しかも、何を通すか通さないか等は使用者の設定次第で変更が出来るという優れもので、それが出来るのは領主唯一人

 

「オアシスの底に何かが居るのは間違いないわね」

 

「突っついてみるか」

 

ハジメは、宝物庫から五百ミリリットル程度の大きさの金属筒を取り出した。魔力を注入してオアシスに投下した後、オアシスから離れて皐月の傍まで退いた。皐月以外の皆が疑問に思い、ハジメの方へと顔を向けるが、ハジメは何も答えず黙ってオアシスを見ている。しびれを切らしたランズィが、何をしているのか聞き出そうと動いた瞬間

 

ドゴォオオオ!!!

 

凄まじい爆音がオアシス中央で響き渡り、巨大な水柱が噴き上がった。呆然とするランズィを放置して更に投下しようとするハジメ。だが、魔力を注入しようとした時に後頭部に衝撃が走った事で中断した。落ちていたのは"スリッパ"だった

 

「おい誰だ。俺を殴った奴は」

 

それを見て怒ったハジメは、威圧を込めた言葉と同時に振り返る。そして、目の前に居たのはいつの間にか合流した深月だった。笑顔なのに目が笑っていない事を察して事実を織り交ぜて言い訳を並べるハジメ

 

「こ、これには理由があるんだ!爆発させた方が倒せると思ってやったんだ!」

 

「爆弾漁法が何故禁止されたかおわかりですよね?」

 

「深い場所に居るから狙撃が出来ないんだ!」

 

「人間の三大欲求は何ですか?」

 

「衣・食・住」

 

「その中の一つである食を現在進行形で破壊しているハジメさんは、今後の食事で未処理の焼いただけのものを提供しますよ?」

 

「ごめんなさい!無暗やたらと意味のない破壊行動はしないのでそれだけは赦して下さい!」

 

ハジメが綺麗な土下座で深月に謝る光景を見て皐月は、「食を対価にされたら誰も勝てないわね・・・」と小さく呟いた。ハジメが必死に謝っている姿を見ていると、下から上がってくる魔力反応。お遊びもここまでだ

 

「ふぅ・・・取り敢えず謝罪も終わった事だ。これから来る奴をお出迎えしてやらないとな」

 

「大きいわよ。水面に近づいているのにも関わらず、色が変わらない事から透明な敵だから急な攻撃には注意よ!」

 

「「「了解(ですぅ)(したのじゃ)!」」」

 

「ミュウさんは私がお傍に居ますので大丈夫です」

 

ミュウの安全も確保された。ハジメ達が戦闘態勢に入ってから少しして、水面が盛り上がって敵が姿を現した。それは、体長十メートル程の大型スライムであった。無数の触手をウネウネと動かし、体の中心部には赤色の魔石があった

 

「なんだ・・・この魔物は一体何なんだ?バチェラム・・・なのか?」

 

ランズィが言うバチェラムとは、この世界のスライムを指す。だが、この世界のスライムの大きさは、せいぜい一メートル程の大きさで、水分を触手の様に操作する事は出来ない

 

「まぁ、何でもいいさ。こいつがオアシスが汚染された原因だろ?大方、毒素を出す固有魔法でも持っているんだろう」

 

「・・・確かに、そう考えるのが妥当か。だが倒せるのか?」

 

ユエとシアとティオの攻撃を避ける様に、魔石が素早く縦横無尽に移動している。生半可な攻撃では当てる事も出来ないと理解したのだ。普段目にしているものよりも火力の高い魔法に打撃ですら、魔石には届かない。だが、皐月の魔眼は、既に動きを完全に把握していた

 

「問題ないわ。既に捉えているわ」

 

皐月が片膝を地面に付けて、シュラーゲンを構える。ハジメは、皐月に向かって伸びる触手をドンナーで粉砕していく。深月はミュウのお守りをしながら、触手を黒刀で焼き斬っている。尚、魔力糸で黒刀を縛り、曲芸師顔負けの操作でユエ達の援護も行っている

 

「スー、ハァー・・・・・狙い撃つ!」

 

ズガンッ!

 

深呼吸をして、集中力を極限にまで高めた状態で狙撃。弾は真っ直ぐ魔石へと飛んで、スライムの体を大きく粉砕しながら消し飛ばした。残りの体は魔石の消滅によって構成していた水が元に戻り、大地へ降り注いだ

 

「・・・終わったのかね?」

 

「えぇ、もう終わりよ。オアシスに魔力反応は無し。原因を排除した事で浄化出来たのかは分からないけど」

 

ハジメ達のあっという間の討伐に、まるで狐につままれたような気分になるランズィ達。だが、元凶を倒した事には変わりないので、部下に急いで水質の鑑定をさたのだが

 

「・・・どうだ?」

 

「・・・いえ、汚染されたままです」

 

部下が落胆した様子で首を横に振った事で皆が落胆したが、やはりここでも活躍するのが

 

「それでは、私の出番ですね」

 

「魔力足りる?」

 

「濾過吸引で回復させますので大丈夫です」

 

「やっぱりその技能はチートだな」

 

ランズィは一応聞かされていたとはいえ半信半疑だった。幾らハジメ達が凄腕の冒険者であろうとも、水質の改善までは出来る筈がないと思っているのだ。だが、先程の圧倒的な戦闘力を目にすればもしかしたら?と期待が少しばかりあるのだ

深月は、オアシスの水面に手を付けてイメージする。オアシス全体に魔力を散布して、毒素を一固めにして濾過をして吸収する光景を。強固に固まったそれを頭に入れつつトリガーを引く

 

「清潔」

 

すると、オアシスの水が一瞬だけ光り輝いた。光の眩しさに一瞬だけ瞼を閉じたランズィ達は、少しして瞼を開けるといつものオアシスだった。ランズィは部下に命令して再び水質の鑑定を行うように指示を出すが、部下の落胆している様子は変わりない。王命なので落胆したまま水質の鑑定をすると、目に見えて分かる程驚愕して何度も鑑定をしていた

 

「その様子から大体は察するが、念の為に聞こう。水質はどうだ?」

 

水質を鑑定した者は涙を流し、声を震わせながらランズィに報告する

 

「お、オアシスの毒素は――――完全に無くなっています!本当に奇跡だ・・・奇跡が起きたんだ!!」

 

鑑定した者が、躊躇う事無くオアシスの水を飲む。自身の言葉は嘘では無いと周囲に信じさせようとした行為だったのだが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うまあああああああああああああああい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その叫びを聞いて、ハジメ達含む全員がビックリした。一体何が起きた!?といわんばかりに水をどんどんと飲んでいる。ランズィ達も手に付けようとするが、深月が待ったを掛ける

 

「少しだけお待ちください。私の方でも再度鑑定致します」

 

深月はオアシスを鑑定する。だが、結果は何とも普通で問題は無かった

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

清潔場所:無し

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

どこもおかしな様子も無く、深月はハジメ達にもステータスを見せる

 

「おかしな場所は無いな」

 

「深月の鑑定は、毒素の場所を検知出来るから問題は無いわね」

 

「・・・なら、どうしてあの男はおかしいの?」

 

「あの様子を見るとヤバイですよね」

 

「原因が分からんのじゃ」

 

全員が考えているものの、原因が全く思い付かない。なので、ここは実飲する事にしようと思い至った。毒耐性のあるハジメと皐月ならば大丈夫であり、状態異常完全無効の深月なら尚更である。最初は深月、その次はハジメと皐月の二人である

宝物庫から器を取り出し(※トレント製)、オアシスの水を一掬い。一口飲んだのだが、深月は問題なしと判断。ハジメと皐月も一口飲んで問題なしと判断。何故あの男は狂喜乱舞しているのかが思いつかなかったのだが、オアシスの水を飲んだユエは目をまん丸にして驚いていた

 

「・・・おいしい」

 

「「は?」」

 

続く様にシアとティオとミュウが飲む

 

「「「おいしいです(のじゃ)(の)!」」」

 

ハジメと皐月は意味不明な表情をしており、ランズィも腹を括ったのか、オアシスの水を飲むと

 

うまいぞおおおおおおおおおおおおおお

 

他の者も続く様にオアシスの水を飲むと

 

うまあああああああああああああああい

 

深月は再度、テイスティングをすると

 

「もしや・・・普通の水からミネラルウォーターに近しい何かに進化しているのでしょうか?」

 

「「ん?今なんて言った?」」

 

「いえ・・・水からミネラルウォーター擬きに進化しているのでは?と」

 

ハジメと皐月も味わう様に飲むと、飲んだ事のある様な味わい?に更に頭を悩ます

 

「「どうしてこうなった」」

 

深月は、こういう時はステータスプレートを見るに限ると思い手に取ると

 

「あっ・・・」

 

「「おい(ねぇ)・・・深月、お前ぇ(貴女)・・・」」

 

深月は目を逸らしてステータスプレートをハジメに渡すと

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

神楽深月 17歳 女 レベル:???

天職:メイド

筋力:34500

体力:51000

耐性:42050

敏捷:54500

魔力:36000

魔耐:35000

技能:生活魔法[+完全清潔][+瞬間清潔][+清潔操作][+範囲清潔][+清潔進化][+清潔鑑定] 熱量操作[+蒸発][+乾燥][+瞬間放熱][+放熱持続][+冷蔵][+冷凍] 超高速思考[+予測] 精神統一[+明鏡止水] 身体強化[+魔力吸引補強][+全属性補強][+全属性性能向上] 魔気力制御[+放射][+圧縮][+遠隔操作][+複合][+憑依][+魔気力展開] 気配感知[+特定感知] 魔力感知[+特定感知] 熱源感知[+特定感知] 気配遮断[+透化][+断絶] 家事[+熟成短縮][+魔力濾過][+魔力濾過吸引] 節約[+気力][+魔力] 裁縫[+速度上昇][+精密裁縫] 交渉 戦術顧問[+メイド] 纏雷[+電磁波操作] 天歩[+空力][+縮地][+豪脚][+瞬光][+無音加速][+音越え][+無間] 幻歩[+幻影][+認識移動] 風爪 衝撃波[+収束][+拡散][+並列] 夜目 遠見 魔力糸[+伸縮自在][+硬度変更][+粘度変更][+着色][+物質化][+振動伝達] 胃酸強化 超直感[+瞬間反射][+未来予測] 状態異常完全無効 金剛[+超硬化] 威圧 念話 追跡[+敵影補足][+識別] 超高速体力回復 超高速魔力回復 魔力変換[+体力][+治癒力] 心眼[+見極め][+観察眼] 極致[+武神][+絶剣] 限界突破[+覇潰][+極限突破] 生成魔法 重力魔法 忠誠補正[+成長補正][+技能獲得補正] 言語理解

称号:メイドの極致に至る者

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

ステータスプレートを見た二人は、ある項目を見て気付いた

 

「ちょっと待て」

 

「清潔進化って・・・ナァニコレ」

 

またしても意味不明の技能がり、元々あった清潔強化が清潔進化に変貌しているのだ。本当にナァニコレである

 

「進化って何だっけ?」

 

「水がミネラルウォーターに進化したって事か?」

 

「水は水よ?違いなんて・・・いや、あるわね。海外だと水飲めなかったわ。・・・あっ、それは水道水よ?でも、ペットボトルに入っている水は物凄く高いわ」

 

「日本でいうなら名水ってやつか」

 

「普通の水が美味しい水に進化したという事ね。アリエナイデショ」

 

二人は清潔進化の内容を口々に考察しており、深月はある可能性に行き着いた

 

「飲料水だけでなく食材にも適応されるのでしょうか?」

 

「食材に・・・だと!?」

 

「食材にも適応されるなら神技能ね」

 

「じゃ、じゃあ何か?例えるなら、A3の和牛がA5並の味に進化するのか!?」

 

「もしもの話よ?」

 

「食は心を豊かにするんだ!俺は・・・俺は、食材にも適応してくれる事を望む!いや、して下さい!いつもの深月チートで進化させて下さい!!」

 

食の為なら土下座をするハジメ。深月に胃袋をがっつりと掴まれており、生きて地球に帰る原動力の一つに入っている重要な項目である

それはさておき、浄化?の終えたオアシス。患者については香織の治癒待ちといった所だが、それももうすぐ終わるだろう。大本の原因も潰えた事で、ランズィ達の問題はほぼ全て片付いた。狂喜乱舞していた者達は、ようやく冷静さを取り戻してハジメ達の前へと立って全員が頭を下げた

 

「貴殿達のおかげで国民の命、オアシスの問題全てが解決した。ありがとう!」

 

「おいおい、領主様がそう簡単に頭を下げるなよ」

 

「いや、このまま救援を待っていたら確実に国は滅んでいただろう。これは人として当然の行いだ。領主ならば尚更だ。国民を救ったのだからな」

 

ハジメは、素直に感謝される事がむずがゆいのか、頬を掻きながら苦笑いをしている。その様子に気付いたランズィは頭を上げて、真剣な眼差しでハジメ達を見て宣言した

 

「我が国、アンカジ公国の領主――――ランズィの名の元に宣言する。何があろうと、我が国は貴殿達の後ろ盾となろう」

 

「未だ国民全て治っていないけど、宣言しても大丈夫なの?しかも、"何があろうと"というのは危険じゃないかしら?私達は教会に狙われる可能性が高いわよ?」

 

「それでもだ。例え教会の者達が来ようとも、我が国の被害は甚大なものとなっていただろう。・・・むしろ見捨てられる可能性も否めないのだ。例え助かったとしても、何かしらの要求で国が疲弊するのは目に見えている。その点、貴殿達は金銭等に興味は無い様な表情をしている。しかも、助けるにあたっての要求が無かったのだ」

 

「やっぱり領主だと、その辺りも気付くか」

 

「お飾りではないさ。だが、メイドの深月殿・・・貴殿の考えは殆ど分からなかったが、恐らく主の有利となる手札を作っているのだろう。私が宣言した時に少しだけ・・・そう、ほんの少しだけこちらに視線が向いたからな」

 

「ランズィ様はとても素晴らしい領主様ですね。貴方の様な方がお嬢様達の後ろ盾となるならとても心強いです」

 

すると、遠くから香織が走ってこちらに近づいて来ている。ハジメ達は「よくやった」と労いの言葉を掛けようとするが、香織はそれを無視して深月に走って行き

 

「深月さんのばかああああああああああ!」

 

涙目で深月に突貫する香織。恐らく、一人で延々と回復させていくのが辛かったのだろう。叶わないと分かっていても、一撃入れようと杖で攻撃した

 

「せい!」

 

当たると見せかけて、寸前で横に避る。その際に手首を掴み、お腹に手を添えて持ち上げる様に放り投げた

 

「ふぇ?きゃああああああああああ!」

 

ドッボーン!

 

十メートル程空に打ち上げられて、大きな水飛沫を上げてオアシスへと背中から落下した香織。全員が溜息を吐いて、陸に上がる香織を見る。衣服が水分を吸って体に密着するが、その場に居た誰しもが「残念美人だな」と心の内で思ったのであった。そんな事はつゆ知れず、香織は濡れたままで再び深月に突貫して放り投げられた

 

ドッボーン!

 

流石に懲りたのか、突貫せずに深月を恨めしそうに睨む。深月は近づいて熱量操作で香織を乾かした後、魔法の言葉を告げる

 

「これ以上睨むのならば、香織さんだけ質素なご飯を提供しますが・・・どうされますか?」

 

「ごめんなさい」

 

香織は素直に土下座した。料理が出来るとはいえ、一度美味しい方を食べてしまえば今までの料理が物足りなく感じなくなるのが普通だ。ましてや深月の料理となると更に顕著に表れる。こうして、香織の方の治療も終わった事で本来の目的であるグリューエン大火山にある迷宮へ攻略諸々の話に移る事が出来る。だが、ここで一つだけ疑問点がある。あのスライムの魔物はどうやって入って来たのかで、ランズィは全くもって心当たりが無かった

 

「・・・しかし、あのバチュラムらしき魔物は一体なんだったのか・・・新種の魔物が地下水脈から流れ込みでもしたのだろうか?」

 

「あぁ、それは魔人族の仕業だと思うわ。ウルの町で魔物の大群が襲撃、オルクス迷宮で勇者が魔人族に遭遇。ほら、結構活発に動いているでしょ?」

 

「ウルの町に魔物の襲撃、勇者との遭遇時の魔物。・・・魔人族を殺した時にかま掛けて答えを教えてくれたからな」

 

「あの方の贈り物と言った事から察するに魔物を使役する事が出来るのは間違いない。そして、ウルの町とアンカジは食料補給には欠かせない重要拠点。どちらも都市部から離れているから襲撃がしやすい事を考えると、可能性は大よ」

 

「そうか・・・あんな魔物までも使役出来るか。見通しが甘かったという事だな」

 

「まぁ、仕方ないんじゃないか?王都でも、おそらく新種の魔物なんて情報は掴んでいないだろうし。なにせ、勇者一行が襲われたのも、つい最近だ。今頃、あちこちで大騒ぎだろうよ」

 

「いよいよ、本格的に動き出したという事か・・・ハジメ殿、皐月殿、深月殿・・・貴殿達は冒険者と名乗っていたが・・・そのアーティファクトといい、強さといい、やはり香織殿と同じ・・・」

 

ハジメ達は何も答えず、肩を竦めるだけ。ランズィ達は何かしらの事情があると判断して、それ以上の詮索は止めた。どの様な事情があろうとも、これ以上の詮索は国を救った者達に無礼だと分かっているからだ

 

「さて、話を切り替えてハジメ殿達に依頼を頼もうかと思っている」

 

「依頼だと?」

 

「そうだ。毒素で倒れていた者達が回復したとはいえ、全快ではない。・・・察しの良い貴殿達なら気付いているだろう?依頼とは、静因石の採取だ。出来るだけ多く頼みたい」

 

「念には念を入れてという事ね」

 

「その通りだ。使役していた魔物が居なくなった事に気付いて、再び同じ魔物をこちらに寄こす可能性がある為だ。いや、もしかしたらそれ以上の魔物かもしれん」

 

「成程な・・・分かった。静因石の採取の依頼を引き受ける。だが、この巨恩を忘れるなよ?」

 

「ふっ、救国の英雄を裏切る事は断じてありえない。我がアンカジの民は、それが分からない者達ではない」

 

ランズィ達は、もう一度ハジメ達に感謝の言葉を告げて政務に戻って行った。この場にはハジメ達だけとなったので、再び計画の練り直しをする事に

 

「静因石の採取が追加された事を踏まえると、少しだけ攻略ペースが長くなったと考えても良いだろう。だが、せっかく助けた国が再び汚染される可能性が否めない事から考えると」

 

「層が深くなるにつれて沢山取れるとの情報から、最深部辺りから一気に採取した方が早いと判断するわ」

 

「・・・はやく攻略」

 

「危険ですぅ」

 

「確かに、速度を優先するのであれば危険じゃの」

 

「まぁ・・・だからという訳じゃないけれど、ティオと香織とミュウはここでお留守番よ」

 

「・・・ミュウお留守番するの?」

 

涙目でハジメと皐月を見上げるミュウ。二人は心に幾多の矢が突き刺さり苦しむが、ここだけは心を鬼にしてでも連れて行く訳にはいかない。いや、下手をすればユエとシアも駄目な可能性があるのだ

 

「火山地帯ですので、有毒ガスが噴出している恐れもあります。その場合、ユエさんとシアさんもミュウさん達と一緒にお留守番ですね。香織さん達の護衛にはティオさんを置いておきましょう」

 

何時状況変化が起きても不思議ではない。連れて行くのが一番良いのだが、それでも危険な目には遭わせられない。ハジメと皐月は、ミュウの頭を撫でながら一旦別れのあいさつをする

 

「私達は行くから、いい子でお留守番しててね?」

 

「ミュウ、行ってくる。いい子で留守番してるんだぞ?」

 

「うぅ、いい子してるの。だから、早く帰ってきて欲しいの、パパ、ママ」

 

「「出来るだけ早く帰る(わ)」」

 

ミュウをティオ達に預けて、出立の準備を手早く済ませる。グリューエン大火山へと歩を進めようとするハジメに、香織が声を掛ける

 

「あ、ハジメくん・・・その、いってらっしゃい」

 

「おう、ミュウの事頼んだぞ。それと、そこに居る駄龍もな」

 

「うん・・・それで、その・・・キ―――――痛い!?痛い!痛いよさつ――――――グフッ!?」

 

「・・・フッ」

 

皐月にアイアンクローをされている香織に深月が当身で気絶させる。その様子を見ていたユエは、香織を嘲笑した

ミュウの声援を背に、ハジメ達五人は、四輪に乗ってグリューエン大火山へと向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




深月「ふぅ、またやってしまいましたね」
布団「んん~?清潔進化ってヤバくないですか?」
深月「しかし、それはあくまでも清潔した場合のみです。する必要のないものは適応されませんよ?」
布団「食材にはいっつもキレイキレイしているじゃん?」
深月「飲料と魔物肉に限りますが、いつかは進化させます!」





  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。