ありふれていない世界最強メイド【本編完結済み】   作:ぬくぬく布団

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布団「投稿よ!」
深月「沢山の誤字報告を有難う御座います」
布団「作者が忙しい時期に突入するので頑張って書いたよ!」
深月「・・・次回の投稿予定は?」
布団「正直言うと、かなり長いです。ごめんなさい!お米作るの!許してつかぁさい」
深月「という事ですので、読者の皆様には申し訳ございません」
布団「ちょこちょこ書きながら投稿出来たら・・・いいなと思う。物凄く忙しいので察して下さい」
深月「それでは読者の皆様方、ごゆるりとどうぞ」


















メイド特製麻婆が!?

~皐月side~

 

私達を乗せた潜水艇は、マグマの流れに身を任せていたわ

 

「ユエさん、シアさん。お寿司のお味は如何ですか?」

 

「うまうま」

 

「おいしいですううううう!」

 

「それは良かったです。ハジメさん、観念して下さい!!」

 

「やめろおおおお!ちょっとだけ興味があっただけなんだ!俺は悪くない!悪くないんだぁ!だからそれを仕舞ってくれ!やめっ―――――オゴゴアアアアアア!

 

寿司が美味しいわ。・・・うん・・・本当に美味しい。久しぶりに食べる海の幸だからというのもあるのだけれど・・・こればっかりはハジメ自身の責任よね。ちょっとばかり私自身興味があったけど、普通実行には移さないわよ

 

皐月が見ている光景は、ユエとシアが自身と同じ様に寿司を食べて幸せそうに頬を緩ませている場面なのだが、ハジメに関しては、海に囲まれた潜水艇の上・・・逃げ場の無い状態で深月に追い回されて麻婆豆腐擬きを口に突っ込まれて悶絶している光景だった。何故こうなったのか、それは数十分前に遡る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マグマの中から出れたのは良いんだが・・・まさか、潜水艇が破損するとはなぁ」

 

「海底火山の水蒸気爆発が予想以上の破壊力だったという事ね」

 

「・・・でも、これで地上に出れる」

 

「海の上ですよ!マグマの中とは違って明確な出口があります!」

 

ハジメ達の乗る潜水艇は、つい先程、水蒸気爆発に巻き込まれて海へと放り出されたのだ。強烈な衝撃で、深月の金剛――――超硬化が無ければお陀仏だったかもしれない程の衝撃だったのだ。現に少しばかり浸水しているが、皐月が急いで応急処置した事で何とか無事な程度だ

 

「静かな海の旅は良いもんだなぁ」

 

「魔物が居ない世界・・・まるで遊覧船ね」

 

ハジメは、潜水艇を海上まで浮上させると大きく息を吐き出した

 

「はぁ~~~~、疲れたぞ!」

 

潜水艇が広くても限度がある。密閉された空間で、ずっと操縦をしていた事の解放感と潮風の涼しさも相まって気分が違う

 

「あの怒涛な展開でお腹が減ったわ」

 

「・・・お腹・・・空いた」

 

「ユエさんを抱えて動いていましたからペッコペコですぅ~!」

 

お腹が空いているいるハジメ達。宝物庫に調理済みの食料を備蓄しているとはいえ、それは長持ちする保存食ばかりだ。まともな食べ物は入っていないにも等しい。一応簡易キッチンがあるのでここでも料理出来る。すると、深月が魔力糸を括り付けた銛を投擲した

 

「セイッ!」

 

ドッパアアアアアアン!

 

深月の小さな声と同時に、海中へ投擲。勢いは凄まじく、海が抉れる程の威力―――――もちろんお約束通り魚の急所に直撃しているので後は回収するだけだ

 

「おっかしいなぁ~。水中抵抗がある筈なんだが・・・」

 

「泳ぐ魚の急所に直撃させるって・・・」

 

「・・・野生児?」

 

「いつもの事ですよねぇ~」

 

糸を引っ張って魚を回収しようとする深月の背を見て、いつも通りのぶっ壊れだな-と口々にする四人。急所に銛をぶち込まれた魚は、必死に暴れているものの、ステータスが圧倒的に高い深月の引っ張りに成すすべも無い。その様子をみていたハジメが、一早く違和感に気付く

 

「ん?あの魚・・・でかくねぇか?あの距離であの大きさだと・・・」

 

「必死に暴れているけど・・・そりゃあ成すすべも無く引きずられるのは当然よね」

 

「・・・黒?くて大きい」

 

「おっきい魚ですねぇ~。あんなの初めて見ます!」

 

深月は、潜水艇の近くまで引っ張り纏雷の電気ショッカーで魚を痺れさせて手早く回収。自身の倍近くある大きさの魚を引き上げ、潜水艇の上で解体する。内臓は全て海の中へ放り投げて、清潔で血抜きをし、三枚に下ろしていく

マグロの解体ショーみたく、どんどんと切り分けられる魚。十分もしないうちに全てを切り分けられ、ハジメの宝物庫へと保管された。・・・現在、ハジメの宝物庫の中は武器弾薬が四割、生活必需品が二割、食料が四割も占めている。これを聞いただけで、ハジメの食への拘りぶりが良く分かる。そして、宝物庫へと入れなかった魚は調理をする為に簡易キッチンを取り出してまな板の上に乗せる。キッチンの上に乗せただけでも存在感が凄まじく、半分以上スペースを占めているのだ。深月は、キッチンに常備している包丁でブロック状に切り分けて、刺身用、調理用と分ける。刺身用が六割、調理用が四割といった具合だ。だが、ここで深月は宝物庫から凶悪な代物を取り出した。それは、冷凍保存された麻婆豆腐擬き

 

「お、おい・・・その固まった板状のやつは!?」

 

「私達に食べさせるつもりじゃないわよね!?もしそうなら嫌よ!断固拒否するわ!!」

 

「だめ!絶対!!」

 

「深月さんが食べるだけですよね?そうですよね!?」

 

「それ程引かなくてもいいではありませんか。これは私用です。あのフリードなる魔人族を殺せなかったイライラを癒す為に取り出しただけです」

 

冷凍保存された麻婆豆腐擬きを一旦器に乗せて魚の調理に取り掛かると同時に、海面が大きく盛り上がって半透明なゼリー状の何かが襲い掛かってきたのだ

 

「うおっ、何だこいつ!?」

 

ハジメは驚きつつ、反射的にドンナーで迎撃。伸ばされた触手に直撃して粉砕したが、貫通する手前で弾丸そのものが溶けた様に無くなった事を確認した皐月

 

「体全体が酸性で出来ているの!?と、兎に角物理攻撃でも駄目なのは分かったわ!あれが飛び散らない様に気を付けて!」

 

「凍柩」

 

ユエの魔法が敵を氷で閉じ込めるが、ここで違和感を感じ取ったユエ

 

「む?・・・魔法も溶かすゼリー?」

 

「ちょっと待って、何処のラスボスよ。この海ではこんなのがウジャウジャ居るっていうの?」

 

ハジメが吹き飛ばした部分は既に再生している事から、再生系列の技能を持っているのは確実だ。ならば早々に核を探し出して破壊する方向に切り替え、魔眼石で探した。だが、どこにも魔石の反応が無かった

 

「ちょっ!?魔石が無いってどういう事よ!?本当にラスボス級じゃない!」

 

「何っ、魔石が無いだと!?・・・こっちは皐月程の精度じゃないが・・・確かに確認できないな。いや、あれ自身が赤黒い色一色だな」

 

「ゼリー全てが核なのでしょうか?」

 

「どこぞのピンク色の魔人だよ!?」

 

「・・・やっかい」

 

「えっと・・・私の攻撃って厳禁ですよね?」

 

「「当たり前だ(でしょ)!」」

 

「ひんひん。二人の当たりが強いです」

 

シアは落ち込みながら、あのゼリー状の魔物の様子を観察する。その間にも攻撃は続くが、そのことごとくが通用しない。唯一効果がありそうな攻撃が深月の斬撃だけだ。とはいえじり貧な事に変わりが無い。だが、シアはある一点に気が付いた。あのゼリー状の魔物が現れた場所は、深月が解体した魚の内臓付近なのだ。これから確証を得られない行動をする自分に、深月が怒るのは確実だろうと思いつつも行動する事にした

 

「フラッシュストライクが飲まれる!?ふざけんな!!」

 

「・・・皐月の口調が荒っぽい」

 

「そりゃあそうなるだろ!今の状態だと逃げたくても逃げれないぞ!」

 

「だああああああ!これで五本全部撃ち尽くした!!」

 

「深月、動きを止めれるか!?」

 

「無理です。魔力糸で拘束を試みたのですが一瞬で溶かされました。唯一効果が見られるのは斬撃だけです」

 

「熱量操作は!?」

 

「あそこまで大きいと一瞬では無理です。そもそもの問題として、水蒸気爆発で私達もお陀仏になってしまいます。当然却下です!」

 

深月でも攻め手に欠ける相手を前に、ハジメ達は歯ぎしりする。すると、視界の端から赤い物体―――――深月が解体した魚の塊だった。何事!?と視線を一瞬だけ端に寄せるとシアが投擲した姿が映り、深月はニコリと微笑んでシアを射貫く。シアの反応は「まぁそうなるな」と呼べるに等しい反応。話は戻り・・・ゼリー状の魔物に当たらない様に投げられた魚のブロックは、横切ろうとした瞬間触手に捕まり溶かされた

 

「直撃しない筈のあれを捕まえて溶かしただと?」

 

「どんな大食間よ!」

 

「・・・食いしん坊」

 

「でも、一瞬だけ動きを止めれました!」

 

「ッ!」

 

ハジメは、皐月の一言を聞いて閃き、キッチンの上に置かれている"ある物"に目を付けた。もしかしたらこの状況を打破する可能性があると思いドンナーで牽制しながらキッチンの傍まで近づき、"それ"が入った器を引っ掴んで放り投げた

 

「ちょっと!餌あげないでよ!」

 

「・・・動きを止める間に魔法を準備」

 

「えっ・・・ハジメさん。あれは流石にマズイのでは!?」

 

高速で黒刀を振るう深月は、ギリギリまでそれを見る事は出来なかった。だが、ゼリー状の魔物の直ぐ傍まで投げられたら嫌でも気付いた。深月にとっては癒しの御馳走―――――麻婆豆腐擬きだ。後はお分かりだろう。深月特製の麻婆豆腐擬きは、ゼリー状の魔物に喰われた

 

「私の麻婆が!?」

 

魔物の動きを一瞬でも止める為とはいえ、大好物が喰われたとなれば少なからずとも落ち込む。皐月達は白い目でハジメを見ているが、度肝を抜く変化は直ぐに訪れた。麻婆豆腐擬きを食べたゼリー状の魔物が激しく触手をウネウネと動かし始め、体がほんのり赤く染まっていたのだ

 

「「「は?」」」

 

皐月とユエとシアの反応は、一体何が起こってそうなったんだ?と言わんばかりにポカンと口を開けていた

 

「どうしてですか!!」

 

深月は納得いかないご様子

 

「おっしゃあ!流石は深月製の麻婆豆腐擬きだ!もっと喰らえや!!」

 

期待以上の効果を見て歓喜の声を上るハジメは、宝物庫から追加の冷凍保存された麻婆豆腐擬きを取り出して投げ付ける。その数およそ二十個。全てがゼリー状の魔物の体に当たり溶けていく。すると、先程までよりも体を赤くしてのたうち回る様に暴れる。その隙を逃さず宝物庫から素材を厳選して錬成。真っ黒に染まった魚雷を創り、ゼリー状の魔物に向けて放った。大量の黒い魚雷がゼリー状の魔物に突き刺さるが、爆発せずに魔物の体全てを黒く染め上げた。黒色の正体は、タール状のタウル鉱石。取り扱いの際は、厳重注意の代物だ

 

「お前の再生能力は異常なのは分かった。魔法を吸収して物理攻撃も溶かしたのは厄介極まりなかったが、深月の斬撃で斬られた時の再生速度の違いが僅かにあった。恐らく溶かして吸収した力を再生能力に回している―――――だったら、再生が追い付かない程の超高火力で燃やされたらどうなるだろうな?ユエ、超強力な障壁を頼む!」

 

「んっ!」

 

レールガンで放たれた一発の弾丸は、ゼリー状の魔物に吸い込まれ火種が一気に燃え上がった。ユエが障壁を潜水艇の周りに張ったと同時に

 

ズッドオオオオオオオオオオオオオオン!!

 

ゼリー状の魔物の水分を蒸発させたものと連鎖して、超強力な水蒸気爆発が一帯を襲った

 

「ぐっ、うぅううううううう!」

 

ピシリッと幾枚にも重ねた障壁にヒビが入った。ユエが割れない様に全魔力を使って強度を上げる事で事なきを経た。周囲と海の底を見ても反応は無く、超が付く程の強敵を倒した事を確認し終えた所でハジメ達は座り込んだ

 

「だああああああああー!つっかれたぞおおおお!」

 

「敵正反応無し・・・完全に殺し尽くしたわね」

 

「ま、魔力切れで動けない」

 

「ユエさん大丈夫ですか!?」

 

「・・・この際シアでも良い。いただきます」

 

「えっ?ちょ!?ッアーーーーーーーーーー!」

 

ユエに吸血されるシア。ハジメと皐月は微笑ましそうな表情でそれを見ていたが、ハジメの後ろに立つ人物を見た皐月は音を立てずにスススッと離れる。ハジメも人影に気付いた様子で、ブリキ人形の様にギギギッと後ろへと振り向く。振り向く最中にユエとシアが離れて行った事を見ていたので、誰が怒っているのかは理解出来た。振り向いた先には深月が居り、背後には超凶悪な生物達が融合した姿を幻視した

 

「そ、そう!これはあの魔物の足止めに必要な犠牲だったんだ!俺は最善の行動をしただけだ!見れば分かるだろ!?麻婆豆腐擬き一つで長時間攻撃が無かったんだ!普通の食料を食わせるよりも遥かに有効で大量に食わせたのは錬成する時間を稼ぐ為だったんだ!俺は悪くないだろ!?」

 

「えぇ、効率は重要ですね」

 

「だ、だろ?」

 

深月は何もせず、ハジメから宝物庫を奪って中から魚のブロックを一つ取り出し、簡易キッチンで調理を再開した。魚を薄く切って刺身にしている様子を見たハジメは、心の底から安堵して料理が出来るのを待つ

 

「いやぁ~、深月の麻婆豆腐擬きがあそこまで効果があるとはな・・・予想以上だったぜ!」

 

「そ、それはそうだけど・・・流石にあれは酷いと思うわよ?」

 

「・・・鬼畜」

 

「深月さんの大好物ですよ?ハジメさんってドSですね」

 

「俺は悪くねぇー!悪いのはあの魔物で、人の食事を邪魔したからあれは当然の報いだ!!」

 

「・・・そう」

 

ハジメは「俺は悪くない!悪いのは魔物だ!」の一言で切り捨てる。皐月達はジトーッとハジメを見ており、流石に心に来たハジメは反省の色を少しだけ出した

 

「ま、まぁ・・・深月には悪いとは思っているさ。だが、手近にあったのは麻婆豆腐擬きと魚のブロックだけだったから反応の違いを見たかったというのもあるがな。倒す方法は、一瞬で体全てを吹き飛ばすしか思いつかなかったんだよ」

 

「なら追加で投げる必要は無かったんじゃ・・・」

 

「・・・(コクコク)」

 

「念には念を押してだよ。錬成している最中に攻撃されちゃあ失敗するからな」

 

「そういう事にしておきますね~」

 

潜水艇の上で寝そべっていると、刺身を乗せた皿を持った深月が四人の中心にテーブルを出してその上に置いた。まるでマグロの様に、赤い身と桃色の身が盛られていた

 

「それじゃあ食うか!」

 

「手を合わせて」

 

『いただきます!』

 

先ずは何もつけずにそのまま。少し青臭いが、空腹状態なので美味しいと感じられる。一方で、ユエとシアは、微妙な表情をしていた。食べ慣れていないという事もあるのだろう

 

「ユエとシアはそのまま食べたの?」

 

「・・・二人が食べていたから」

 

「正直微妙です」

 

「食べ慣れていないというのもあるが、それを解決するのが――――この醤油だ」

 

「正確には擬きが付くのだけれど、本物と遜色ない位の出来なのよねぇ~」

 

皐月は、中央の皿の横に置かれた小皿を一枚取って醤油擬きを入れ、刺身に付けて一口。噛めば噛む程、魚の旨味と醤油擬きの味が合わさり口内全体に甘味が広がる。感想は一言

 

「はぁ~、美味しい。久しぶりというのもあるけれど、日本人として刺身は食べたいわよね~」

 

「美味い!醤油を付ける事で青臭さが無くなり、魚本来の甘味が広がる。最高だな!」

 

ユエとシアも二人に続く様に、醤油擬きを付けた刺身を一口

 

「おいしい!」

 

「醤油?を付けるだけでここまで違うなんて驚きです!」

 

四人は赤身をそれなりに堪能した後、大トロ部分の桃色の身を食べる。すると、噛まずとも分かる脂の甘味が口内で暴れながら身そのものが解ける様に溶ける

 

「「「「うまあああああああああああああああい」」」」

 

初めて食べるユエとシアの反応もそうなのだが、ハジメと皐月の反応も同じだった。地球で食べた大トロの刺身よりも美味しい事にビックリする皐月と、初めて食べる大トロの美味さとインパクトの強さに心を揺さぶられたのだ。大トロ部分をもう一切れ食べた後に赤身部分を食べてさっぱりさせて、再び大トロ部分を味わう贅沢な食べ方。皿に盛りつけられた刺身は全て無くなる頃には、深月が新たな料理を持ってくる。それは、握り寿司だった

 

「米だ!刺身に米だ!」

 

「寿司!最強の組み合わせが来た!!」

 

皐月とユエとシアの目の前に置かれる寿司。だが、ハジメだけは麻婆丼が置かれた。全てを察した三人は、固まっているハジメを他所に、自分の皿を持って端っこに移動した

 

「あの~・・・深月さん?何故に俺だけ麻婆丼なのでせうか?」

 

「宝物庫に備蓄した麻婆豆腐擬きを"全て"あの魔物に与えた罰です。私は見ましたよ?これ幸いと、嬉々として魔物に向けて投げるハジメさんの姿を――――これは麻婆の恨みです。完食して下さい」

 

「・・・悪いが断る!」

 

今度は魔力糸に捕まらない様、眼帯に反応する魔力糸を避けて飛び退いた。逃げるハジメに麻婆を食べさせるべく、容器とスプーンを持って追いかける深月だった

これが冒頭に至るまでの出来事だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~ハジメside~

 

「グフッ、麻婆・・・麻婆が襲って・・・」

 

潜水艇の上で伸びているハジメ。皐月達は、ハジメを自業自得と切り捨てて美味しそうに食べ進めており、深月は削ぎ終えた魚の骨をどうしようかと悩んでいる。すると、シアが何かを感じ取ったのか、ウサミミを跳ね立てて忙しなく動かす。伸びていたハジメと寿司を食べていた皐月も気配感知に引っ掛かった様で、周囲を見渡す様に視線を動かす

直後、潜水艇を取り囲む様に三又の槍を持った人が複数現れた。およそ二十人。全員がエメラルドグリーンの髪と扇状のヒレのような耳を付けているので、海人族である事に気付いた。しかし、彼等の目は警戒心たっぷりご様子で、リーダーと思わしき一人が槍を突き出しながら問い掛けた

 

「お前達は何者だ?なぜ、ここにいる?その乗っているものは何だ?いや、それよりもどうやって悪食を倒した?」

 

「悪食って何だ?」

 

「お前達が倒した半透明の魔物の名前だ」

 

「何でも溶かす事から悪食って名前が付いたのね。あれにぴったりの名前じゃない」

 

「それでお前達はどうしてこんな場所に居る?」

 

「谷よりも深い深~い事情があったんだよ」

 

潜水艇の上でうつ伏せに状態のまま返答するハジメの態度に、尋ねた海人族の男の額に青筋が浮かぶ。正に一色触発になりそうな様子を感じ取ったシアが代弁しようとしたが

 

「あ、あの、落ち着いて下さい。私達はですね・・・」

 

「黙れ!兎人族如きが勝手に口を開くな!」

 

兎人族の地位は低いのは何処に居ても共通らしい。ふざけた態度のままのハジメに警告する形で、シアに向けて槍を突き出した。直撃はしない位置・・・シアは身体強化で避ける。掠る程度の攻撃を見た皐月が、槍を突き出した男一人に向けて威圧を掛ける

 

「海人族は戦闘民族なのかしら?もし、私達の仲間に攻撃を加えようとするのであれば骨の数本は覚悟しなさい。因みに、ハジメがうつ伏せになっているのは故意では無いわ。・・・自業自得だけどね」

 

「・・・俺が動けないのはへい・・・きょ・・・・・麻婆豆腐擬きを食べたせいだ」

 

「酷いですよ?」

 

気配を溶け込ませていた深月がいきなり現れた事で、二十人程いた海人族全員が驚愕した。潜水艇の上に居た者を警戒していたが、全く気付かなかった存在。深月は、冷や汗を流しつつ先程以上に警戒をする男を見つつ麻婆豆腐擬きをモッキュモッキュと食べている

 

「食べますか?」

 

容器を差し出して尋ねるが、男はやってはいけない事をしてしまう

 

「要らん!お前達がする事は質問に答える事だけだ!」

 

容器を弾いて海に落ちる麻婆豆腐擬きを見て、顔を青ざめたハジメ達が男達を助ける為に行動する

 

「おいお前、今直ぐ謝れ!マジで!!」

 

「深月ステイ!待ちなさい!彼等は海人族だから!ミュウの家族に近いのよ!?ストップ!!」

 

「はやく謝る!」

 

「ひ、ひぇええええええ!早く謝って下さい!深月さん!海が・・・海が真っ赤に染まる光景だけは勘弁して下さい!」

 

ハジメ達の言葉・・・特に皐月のある言葉に対して過剰反応した海人族は、更なる燃料をぶちまける

 

「ミュウだと!あの子を攫ったのは貴様達か!ならば生かしてはおけん!お前達全員ころ――――ッ!?」

 

ズンッと全てを圧殺する様な殺気が深月から放たれる。ハジメ達は対象外だが、それ以外の者達に放たれたそれは凄まじい。海の生物――――魚達が最初の犠牲者で、殺気だけでショック死して海面に浮かび上がった。海人族はギリギリ意識を保っていたが、今まで体験した事の無い恐怖を前に体を震わせて動けない

 

「私の麻婆だけでは飽き足らずお嬢様達をどうすると?殺すと言いかけましたよね?ミュウさんには悪いですが、ここに居る者は全員sy――――んむっ!」

 

深月の行動を止めたのは皐月だった。キッチンの上にあった麻婆を口に突っ込んで一旦落ち着かせる事に成功したのだ。皐月が動きを止めている内にハジメが海人族の男に必死に説得をする。流石にミュウの同族の殺戮はいただけない。もしも、この中に身内が居たら?そう思うとゾッとする

 

「いいか、さっきのは全面的にお前らが悪い!麻婆は深月の精神を癒す食べ物なんだ。否定する程度だったらまだ大丈夫だったが、お前達は叩き落すという最低な行為をしたんだ。だから誠心誠意謝れ!特に、皐月に対して謝れ!そうすれば乗り切れる筈だ!」

 

海人族の男達は、首を高速で縦に振って直ぐに実行

 

『申し訳ございませんでした!!』

 

海に漬ける勢いで頭を下げる海人族達。すると、先程までの殺気の重圧が徐々に薄れて何事も無かったかの様に晴れ晴れとした

 

「落ち着いた?」

 

「落ち着いていますよ?」

 

「・・・もう一口食べる?」

 

「食べます!」

 

皐月に一口一口食べさせられている事で、精神の浄化を行われている。とにかく、一難去った事にハジメ達はホッと息を吐き、ミュウの事について話す。しかし、どうにも信じられない様子で一度エリセンまで行き事情を再度説明する流れとなった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海人族の案内の元、エリセンへとたどり着いたハジメ達。深月の御機嫌取りも終わって事は順調?に進んでいるが、未だに海人族はピリピリとしている。金ランク冒険者でミュウの身に何が起きたのか、保護している経緯を説明したのだが完全には信用しきれていない様子だ。すると、完全武装した海人族と人間の兵士が詰めかけ、海で出会った海人族の青年がお偉いさんらしき人と話す。だが、ある程度の所で切り上げられてたのか、慌てる青年を押しのける様に兵士が押し寄せてハジメ達を完全包囲した。

 

「大人しくしろ。事の真偽がはっきりするまで、お前達を拘束させてもらう」

 

「おいおい、話はちゃんと聞いたのか?」

 

「もちろんだ。確認には我々の人員を行かせればいい。お前達が行く必要はない」

 

「あのな。俺達だって仲間が待っているんだ。直ぐにでもアンカジに向かいたいところを、わざわざ勘違いで襲って来た奴らに手を出さずに来てやったんだぞ?」

 

「果たして勘違いかどうか・・・攫われた子がアンカジに居なければ、エリセンの管轄内で正体不明の船に乗ってうろついていた不審者という事になる。道中で逃げ出さないとも限らないだろう?」

 

「どんなタイミングだよ。逃げ出すなら、こいつらを全滅させた時点で逃げ出しているっつうの」

 

「その件もだ。お前達が無断で管轄内に入った事に変わりはない。それを発見した自警団の団員を襲ったのだから、そう簡単に自由にさせるわけには行かないな」

 

「殺気立って話も聞かず、襲ってきたのはコイツ等だろうが。それとも、おとなしく手足を落とされていれば良かったってか?・・・いい加減にしとけよ」

 

目の前の人間族のリーダー。胸元のワッペンにはハイリヒ王国の紋章が入っており、王国の保護によって駐在している者達だろう。武器をこちらに向けて拘束をしようとする彼等に威圧するが、それでも拘束の宣言の撤回はしない。一触触発の緊張感―――――

 

「ん?・・・ちゃんとミュウさんを見ていたのですか?・・・・・少し失礼します」

 

上を見ていた深月が空へと駆け上がる。釣られる様にハジメ達も見上げると、見知った人影が近づいていた

 

「上に何が?・・・ってはぁっ!?」

 

「―――パパぁー!!ママぁー!!」

 

「ちょ、ミュウ!?」

 

いきなり空からダイブしているミュウ。その上にはミュウを追いかける竜と、その背に乗っているであろう人影――――ティオと香織だろう。恐らく、エリセンへとたどり着いた三人の内一人――――ミュウが町の様子を見て、一早くハジメ達が居る事に気付いてスカイダイビングしたのだろう。深月が誰よりも一早く気付き、ミュウの落下地点場所まで空力で駆け上がる。粘性と伸縮性のある魔力糸を網目状に展開。頑丈な柔らかいネットに当たる事で、減速してトランポリンの様に上へと少しだけ跳ね上がった。その勢いに追いつく様に下から掬い上げる様に危なげなくキャッチした深月は、そのままハジメ達の元まで降りた

 

「パパッ!ママッ!」

 

皐月の胸元に飛び込んで喜んでいるミュウを撫でながら、心を鬼にして叱る事にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




布団「はい!メイドさんの麻婆がヤバイ件について一言」
深月「納得出来ませんね!」
布団「メイド印の麻婆は魔物にも有効――――っと」カキカキ
深月「ネタにしようとしていますね?」
布団「是非もないよね♪」
深月「作者さんにも麻婆を食べさせましょう。いえ、食べさせます」
布団「え、ちょま――――ウワアアアアアアアアアアアアアアアア!」
深月「感想等、お気軽にお願いします♪」
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