ありふれていない世界最強メイド【本編完結済み】   作:ぬくぬく布団

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布団「な、なんとか一話書けれた・・・」
深月「お仕事頑張って下さい」
布団「お米は偉大なのです。お店で買うよりも断然に美味しいのですぅ!」
深月「それでは読者の皆様方、ごゆるりとどうぞ」













メイドのテンション上げ上げです

~皐月side~

 

「ひっぐ、ぐすっ、ひぅ」

 

桟橋の近くでミュウのすすり泣く声が響く。野次馬やら騎士やらで溢れているのだが、皆が沈黙してその様子を見ていた。何故静かなのか―――――それは、空からミュウが飛び降りているところを深月にキャッチされて、皐月達に抱き着いていたが、地面に降ろされて叱られていたからだ

 

「危ないでしょ!もうあんな危険な事はしちゃいけません!」

 

「ぐすっ、ママ、ごめんなしゃい・・・」

 

「俺や皐月も好きで怒っているわけじゃない。一歩間違えれば死んでいたかもしれない・・・だから怒っているんだ。分かるな?」

 

「ひっぐ、うん・・・」

 

「もうあんな危ない事しないって約束する?」

 

「うん、しゅる」

 

「よし、ならいい。ほら、来な」

 

「パパぁー!」

 

膝立ちでミュウを叱る二人と、泣きながら素直に反省してハジメの胸に飛び込むミュウ・・・正に親子だ。特に、ハジメと皐月の呼び名が"パパ"と"ママ"・・・攫われた海人族の幼子がここまで親しみを込めた言葉を連呼して、ハジメと皐月の二人も娘の様に扱っているので意味が分からず呆然としているのだ。周囲に居る者達の内心は「どうなってんの?」の一言である

よしよしとミュウの背中をポンポンと撫でるハジメ。ようやく周囲の者達も我を取り戻した様にざわめく。周囲の困惑の喧騒を他所に、香織がハジメの背中に抱き付いた

 

「よかった・・・よかったよぉ~、ぐすっ」

 

「心配掛けて悪かった。この通り、ピンピンしてるよ。だから、泣くなよ・・・香織に泣かれるのは・・・色々困る」

 

「うっ、ひっぐ、じゃ、じゃあ、もう少しこのまま・・・」

 

ハジメは困った様子で香織の頭をポンポンと撫でる事しか出来なかった

 

「おい、お前、一体どういうことか、せつッぷげらっ!?」

 

「ご主人様~~!」

 

ハジメ達を連行しようとしていた隊長らしき人が空気を読まずに詰め寄ろうとしたが、ハジメに向かって飛び込んだティオに吹き飛ばされた

 

「せいっ!」

 

「ごしゅじっ!?何故じゃ~~~~!?」

 

ドッボーーーン!

 

深月の受け流しで空高く打ち上げられたティオは、弧を描きながら海へと落ちた。深月は、ミュウを抱き、背中には香織が引っ付いているハジメの状況を見て、ティオの飛び込みは危険と判断したのだ。ちなみに、ティオに轢かれた隊長らしき人物は、海へと落る寸前で魔力糸で引き揚げられた事によって落下せずに済んだ

 

「あっぶねぇ・・・助かったぜ深月」

 

「今のハジメさんの状況を見て、受け止める事は出来無いと判断しただけですよ」

 

「酷いのじゃ・・・妾もご主人様達の事を心配しておったのじゃぞ?・・・しかし、海に叩き落される快感も中々良いものじゃな///」

 

恍惚な表情で語る危険なティオにドン引きする者達。流石にこれ以上変態モードのティオを見せるのはミュウの教育に悪いので、皐月が深月に"やれ"とアイコンタクトを送る。同時に、ティオの鳩尾に深月の拳が突き刺さり、顎を打ち上げて気絶させる。一般人には見えない速さの攻撃なので、周囲の者達はティオがいきなり倒れた様にしか見えない

 

「ハジメさん達と再会の興奮で気を失いましたか。私が介抱しておきますので御用がある場合だけお呼び下さい。それと、イルワさんからの手紙を取り出せば万事解決ですよ?」

 

「あぁ、そういやそうだったな」

 

ハジメは、宝物庫からイルワ直筆の手紙を取り出して隊長らしき人物に渡す。彼は、ハジメから渡された手紙の内容を見て驚愕した

 

「・・・なになに・・・"金"ランクだとっ!?しかも、フューレン支部長の指名依頼!?」

 

「そういう事だ」

 

「・・・依頼の完了を承認する。南雲殿」

 

「疑いが晴れたようで何よりだ。他にも色々聞きたいことはあるんだろうが、こっちはこっちで忙しい。というわけで何も聞かないでくれ・・・一先ず、この子と母親を会わせたい。いいよな?」

 

「もちろんだ。しかし、先程の竜の事やメイドの先程の跳躍、それにあの船らしきもの・・・王国兵士としては看過出来ない」

 

「それなら、時間が出来たら話すって事でいいだろ? どっちにしろしばらくエリセンに滞在する予定だしな。もっとも、本国に報告しても無駄だと思うぞ。もう、ほとんど知ってるだろうし・・・」

 

「むっ、そうか。とにかく、話す機会があるならいい。その子を母親の元へ・・・その子は母親の状態を?」

 

「いや、まだ知らないが、問題ない。こっちには最高の薬もあるし、治癒師もいるからな」

 

「そうか、わかった。では、落ち着いたらまた、尋ねるとしよう」

 

隊長らしき男は、本当に隊長だったらしく、最後にサルゼと名乗った彼は、そう言うと野次馬を散らして騒ぎの収拾の行動をする。ハジメ達も、ミュウの実母に早く会わせたいのでこれ以上の追及をさせない様に視線で制止させる

 

「パパ、ママ。お家に帰るの。ママが待ってるの!ママに会いたいの!」

 

「そうだな・・・早く、会いに行こう」

 

「怪我をしない程度で急ごうね?」

 

「あっちなの!」

 

手を引っ張って急かすミュウに連れられる様に、ミュウの実家へと向かうハジメ達はある一点に気付いていた

 

「兵士達の話から察するに、攻撃されて連れて行かれたとみて間違いないわね」

 

「そうだよね。あの話が本当なら・・・」

 

「命は助かっているが、大怪我をしている筈だ。後は精神的な問題だな」

 

「精神的の方はミュウが居るから問題ないと思う。だけど、怪我の具合が分からないから香織に任せるわ」

 

「うん。任せて」

 

ハジメ達が急ぎ足で話していると、少し先の方で男女の騒ぎが聞こえてきた。皐月は、この先にミュウの母親が居り、怪我を理由に止められていると思った。近づく事で、声もはっきりと聞こえ始める

 

「レミア、落ち着くんだ!その足じゃ無理だ!」

 

「そうだよ、レミアちゃん。ミュウちゃんならちゃんと連れてくるから!」

 

「いやよ!ミュウが帰ってきたのでしょう!?なら、私が行かないと!迎えに行ってあげないと!」

 

家から飛び出そうとしている女性を数人がかりで引き止めようとしている海人族達

 

ヤバイわね・・・あの会話だけでどれだけ酷い怪我を負っているか予想出来るわ。最悪の場合は、神経系の損傷と考えるべきね。香織の回復魔法で治せるならいいのだけれど、神水を飲ませる事を視野に入れないといけないわね

 

玄関先で倒れ込んでいる女性の姿を見たミュウは、顔をパァアっと輝かせて声を上げながら駆け出した

 

「ママーー!!」

 

「ッ!?ミュウ!?ミュウ!」

 

ミュウは、母親であるレミアの胸元に飛び込む。レミアは、もう二度と離れない様に硬く抱きしめて「ごめんなさい」と繰り返していた。自分が目を離したから――――迎えに行けなかったから――――等と色々な感情があるからだろうか、涙をポロポロと流していた

 

「大丈夫なの。ママ、ミュウはここにいるの。だから、大丈夫なの」

 

「ミュウ・・・」

 

自分よりもつらい目に遭っているであろう娘が、母親の方を心配している。攫われる前は甘えん坊で寂しがり屋のミュウが成長して帰ってきたのだ。レミアは、つい苦笑いをこぼした。肩の力も抜け、涙も止まり、再び抱きしめ合ったミュウとレミア。だが、ミュウが肩越しから見た光景―――――レミアの両足に包帯でぐるぐる巻きされた痛々しさを見て悲鳴を上げた

 

「ママ!あし!どうしたの!けがしたの!?いたいの!?」

 

レミアは、これ以上心配を掛けられないと笑顔で「大丈夫」と伝えようとする。だが、それよりも早く、ミュウが頼りにしている"パパ"と"ママ"に助けを求めた

 

「パパぁ!ママぁ!ママを助けて!ママの足が痛いの!」

 

「えっ!?ミ、ミュウ?いま、なんて・・・」

 

「パパ!ママ!はやくぅ!」

 

「あら?あらら?やっぱり、パパとママって言ったの?ミュウ、パパとママって?」

 

レミアは大量の"?"を思い浮かべた。周囲の者達も同様で騒ぎ出し、「レミアが・・・再婚?そんな・・・バカナ」「レミアちゃんにも、ようやく次の春が来たのね!おめでたいわ!」「ウソだろ?誰か、嘘だと言ってくれ・・・俺のレミアさんが・・・」「パパ・・・だと!?俺のことか!?」「きっとクッ○ングパパみたいな芸名とかそんな感じのやつだよ、うん、そうに違いない」「おい、緊急集会だ!レミアさんとミュウちゃんを温かく見守る会のメンバー全員に通達しろ!こりゃあ、荒れるぞ!」「いや、待て!ママとも言っていたぞ!?」「どういう事だ!」「夫婦?・・・ハーレムだと!?」「修羅場ね!頑張りなさいレミアちゃん!」等と、危ない発言が沢山飛び交う

ハジメは内心で「この中に行くのかよ・・・」と盛大な溜息を吐きながら、頬を引き攣らせている一方、皐月も「予想はしていたけど・・・これ程とは思っていなかったわ・・・」と呟きながら頬を引き攣らせていた

 

「パパぁ!ママぁ!はやくぅ!ママをたすけて!」

 

ミュウの視線がガッチリとハジメと皐月の二人を捉えており、この場に居る全員がミュウの視線の先に居る二人に気付いた

 

「パパ、ママ、ママが・・・」

 

「大丈夫だ、ミュウ・・・ちゃんと治る。だから、泣きそうな顔するな」

 

「はいなの・・・」

 

「ママが二人は誤解されちゃうから、おn――――」

 

「やっ!ママはママなの!」

 

「・・・せめて名前を付けて呼んで?」

 

「皐月ママ」

 

「あぁ・・・うん・・・それでいいわ」

 

皐月のお姉ちゃん呼びは否定され、皐月ママと呼ばせる結果となった。ハジメと皐月は、泣きそうなミュウの頭を撫でながら視線をレミアに向ける

 

「悪いが、ちょっと失礼するぞ?」

 

「え?ッ!?あらら?」

 

「ハジメさん、早速フラグ建築ですか?」

 

「正妻は皐月だ!邪な気持ちは一切無い!」

 

「ミュウのパパはハジメよね~♪」

 

「んみゅ?"パパはパパだよ?それと~、ミュウのママはママと皐月ママ"だよ?」

 

皐月はチラッとレミアを見る。レミアも皐月の視線に気付き、皐月を見つめる。ハジメは周囲を無視して、家の中に入り、ソファーの上にそっとレミアを下ろす

 

「香織、どうだ?」

 

「ちょっと見てみるね・・・レミアさん、足に触れますね。痛かったら言って下さい」

 

「もしかして・・・回復魔法を?」

 

「まぁな。ここまで酷い怪我だと歩けないだろ?」

 

「香織、どう?」

 

診察が終わった香織の表情は少し暗く、治癒が難しいと分かった

 

「ごめんなさい・・・私だけだと難しいの」

 

「・・・マジかよ」

 

「深月でもどうにもできないわね」

 

香織の診断は、傷を治す事は出来るが何故か全快までは回復する事が出来ないとの事だった。だが、例外は何時だってつきものだ

 

「呼びましたか?」

 

「うおっ!?深月か・・・驚かすなよ」

 

「ティオは・・・簀巻きにしているなら安全ね」

 

簀巻きにされたティオを肩に担いでいる深月がハジメ達と合流したのだ。いきなり現れた深月に、ハジメ達以外は驚いて口を開けて呆然としている。深月は、香織の診断結果を聞いて悩む

 

「それは・・・難しいでしょう・・・・・」

 

「やっぱり深月さんでも思い付かないよね」

 

「私は"回復魔法"が使えないので・・・」

 

だが、ハジメはここで思い付いた。可能性が無くはない。魔法の奇跡よりも人体の奇跡を頼る事にしたのだ

 

「深月、気功術はどうだ?俺を治療した時に使ってただろ?あれなら何とかなるんじゃないか?」

 

「以前にも説明しましたが、自然治癒能力を高めるだけですよ?」

 

「深月お姉ちゃん。・・・ママ治る?」

 

流石に気功術では無理と判断していた深月は、神水を使うべきだと判断してハジメ達の方に視線を向ける。しかし、全員が深月に期待している眼をしていた

 

「えっ?ちょっと待って下さい皆さん。その目は何ですか?私がどうにかしろと!?」

 

「・・・深月はチート」

 

「いつものぶっ壊れを期待しています!」

 

「為せば成るのじゃ!」

 

「大丈夫、私も回復魔法頑張るよ!」

 

「・・・神水を節約したいとかって訳じゃないからな。深月でも無理だった場合には、神水を使うつもりだ」

 

「遠慮は要らないわ。深月、今回も進化して良いからね?治せたら・・・添い寝s―――」

 

「やりましょう!」

 

深月の返事は早く、欲望駄々洩れである

 

いつもより返事が早いわね・・・そんなに添い寝が良いのかしら?

 

深月の内心は、「おっしゃあああああああああ!お嬢様との添い寝がきたああああ!絶対に治してみせましょう!!」といった感じでヒャッハー状態である。深月は、レミアの足に巻かれた包帯を解いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~深月side~

 

フフフフ、お嬢様の添い寝。素晴らしいです!王国に居た時は添い寝をしていましたが、迷宮に入ってからずっとお預けでしたので絶対に成功させますよ!ここ最近は良い事づくめです!!膝枕然り、あ~ん然り、そして添い寝。常識なんて幾らでもぶっ壊してみせましょう!

 

レミアの足に巻かれた包帯を解いていくと、火傷の痕が大きく、どれだけ酷い攻撃を受けたのかが容易に想像が付いた

 

「予想はしていたが、・・・酷いな」

 

「神経が焼け焦げたのね」

 

怪我を負ってから治療等したのだろうが、それでも酷い火傷痕だった。深月は、足を指で押して感覚の有無を再度確認したが、結果は言うまでも無く駄目だった

 

「香織さんの診察ではどの様に表示されましたか?」

 

「えっと・・・"傷は癒せても足は動かない"って」

 

「話は変わるのですが、腕が切り飛ばされたりした人を回復させた事はありますか?」

 

「欠損は無理だよ!?」

 

「あぁ、欠損ではありません。切り飛ばされた腕を引っ付けた事はあるのかという事です」

 

「さ、流石にそれはないよ・・・」

 

「怪我で腕が動かなくなった方を治癒は?」

 

「それは大丈夫。ちゃんと傷も無くなって、腕や足も動いていたよ」

 

「神経細胞は回復出来るという事ですね。それでも回復できないという事は、原因は二つだけですね。ですが、先ずは回復が一番です。香織さん、レミアさんの治癒にどれ程時間が必要ですか?」

 

「長くて三日・・・早ければ二日だと思う」

 

「分かりました。三日でお願いします。いつも通りではなく、小さな細胞も思い浮かべながら回復をお願いします。―――――という事ですので、レミアさんは安静にして下さいね?無理にでも動こうとすれば治るものも治りません」

 

「えっと・・・家事は――――」

 

「ママ!深月お姉ちゃんがつくるごはんとってもおいしいの!」

 

「足が完治するまでの間は、深月に任せるわ」

 

「かしこまりました。レミアさん、家の中にある物も使わせて頂きます」

 

深月は、レミアに家の中にある物の使用許可を取り溜まっている洗濯物へと取り掛かって行った。その間ハジメ達は、レミアにミュウと出会ってからの事を包み隠さず説明する

 

「本当に、何とお礼を言えばいいか・・・娘とこうして再会できたのは、全て皆さんのおかげです。このご恩は一生かけてもお返しします。私に出来ることでしたら、どんなことでも・・・」

 

未だに宿泊先が決まっていないハジメ達にレミアは、家の中を使って欲しいと提案する

 

「どうかせめて、これくらいはさせて下さい。幸い、家はゆとりがありますから、皆さんの分の部屋も空いています。エリセンに滞在中は、どうか遠慮なく。それに、その方がミュウも喜びます。ね?ミュウ?ハジメさん達が家にいてくれた方が嬉しいわよね?」

 

「?パパと皐月ママ、どこかに行くの?」

 

「母親の元に送り届けたら、少しずつ距離を取ろうかと思っていたんだが・・・」

 

「ハジメ、レミアさんの言葉に甘えましょう。ミュウもパパ達と一緒に居たいわよね?」

 

「うふふ、皐月さんの言う通りですよ。パパが、娘から距離を取るなんていけませんよ?」

 

「いや、それは説明しただろ?俺達は・・・」

 

「ハジメが懸念する通り、ミュウと別れる時に泣くわ。でも考えてもみて?距離を取ってからのさよならをされたミュウの気持ちを。きっと自分を責める後悔ばかりする筈・・・それだったら、再会を約束して別れた方が幾分かマシでしょ?」

 

「・・・まぁ、それもそうか・・・」

 

「うふふ、別に、お別れの日までと言わず、ずっと"パパ"でもいいのですよ?先程、"一生かけて"と言ってしまいましたし・・・」

 

レミアの少し赤く染まった頬に片手を当てながらおっとりした微笑み。普通なら和むものだろうが、ハジメの"後ろ"にブリザードが発生する

 

「そういう冗談はよしてくれ・・・空気が冷たいだろうが・・・」

 

「あらあら、おモテになるのですね。ですが、私も夫を亡くしてそろそろ五年ですし・・・ミュウもパパとママも欲しいわよね?」

 

「ふぇ?パパはパパだしママもママだよ?」

 

「だってさ?」

 

ハジメに肘打ちする皐月を見たユエとシアとティオは驚愕しており、香織は更に冷たい空気を生み出していた。深月は自分が対象になっていないので、気配を溶け込ませて買い出しの為に家から出た

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お嬢様・・・ミュウさんのママになりたいから外堀を埋めましたね。ハーレムがどんどんと築き上げられています。・・・お嬢様は何人まで許容するのでしょうか?人数によっては、ハジメさんに滋養強壮の食事を提供しなければいけません

しかし、新鮮な魚介類は見当たりませんね。冷蔵技術が全く普及していない事を考えるなら当然と言えば当然ですよね。・・・直接取りに行きましょう

 

食材の購入を諦めた深月は、潜水艇の場所まで戻り沖へと出港した。沖に出た事で魔物との遭遇は当たり前なのだが、その悉くを退ける。特に酷いのは、鮫に似た魔物だ。遠距離から魔法で攻撃する嫌らしさだが、魔力糸で滅多切りにする事で全てをかき消して深月に乱獲されたのだ。因みに、鮫形の魔物は丁寧に一体ずつ凍らされている

鮫形の魔物を乱獲した次は、トビウオに似た魚が飛び交っていたのでそれも収穫。再びエリセンへと戻った深月は、メイド服を脱いで水深がほどほどの場所で昆布に似た海藻を収穫して、ついでに自身より大きいタコ擬きの急所を黒刀で一突きして仕留めた。ホクホク顔で海上へと上がり、体と昆布擬きを乾かしてメイド服を装着。タコは鞘付きの黒刀でぶら下げ、ハジメ達の元へと帰宅する。尚、深月の持っているタコを見た者達は気持ち悪い物を見た様な表情をしていた

 

「ただいま帰りました。美味しいものを大量収穫ですよ♪」

 

「おか・・・えり」

 

「おかえ――――にぎゃああああ!気持ち悪いです!」

 

「おか―――って、もしやその様な物を!?」

 

「おかえりなさい・・・な・・・の」

 

「深月さん、おかえり・・・な・・・さい」

 

トータス組の歯切れが悪く、全員がタコの存在感に引いていた。姿が気持ち悪く、食べない獲物の代表格である。しかし、地球組のテンションは爆上がりである

 

「よっしゃあ!久しぶりにタコを食べれるぜ!」

 

「タコ・・・タコ・・・・・はっ!タコ焼き!」

 

「お刺身でも良いかな~♪」

 

ハジメはガッツポーズを取り、皐月は深月が持つ宝物庫から熱に強い鉱石を取り出して錬成を、香織はトータスに来て以来食べていない刺身に期待をしている

 

「あの・・・それは美味しくないのですが」

 

「ヌルヌルでおいしくなかったの!」

 

食べた事があるのだろうか、レミアとミュウの反応はいまいちであった

 

「大丈夫だ。深月が調理すれば、ある程度は食べれる」

 

「出来た!タコ焼きプレート完成したわ!」

 

「あれ?たこ焼きには片栗粉が必要じゃなかったっけ」

 

「「なん・・・だと・・・!?」」

 

四つん這いで絶望しているハジメと皐月に追い打ちを掛ける様に深月からの追撃が入る

 

「片栗粉が無ければトロふわに出来ませんからね」

 

更に絶望したハジメと皐月は、暗い空気を作り出す

 

「あの・・・フューレンで購入したイモを使えば片栗粉は作れますよ?」

 

「「本当!?やった!」」

 

「今回は手伝ってくださいね?」

 

胃袋を握られているので、深月には逆らえないハジメ達。イモを摩り下ろして、布で包める様真ん中に設置。その後、水の入った容器の中に漬ける。十分程で布を絞って水から取り上げて数十分放置。沈殿した物を流さない様に上層の水を捨てて、再び水を入れてかき混ぜて放置。これを数回繰り返して、容器の水を完全に捨ててほぼ完成。最後の仕上げで、深月の熱量操作で乾燥させて出来上がりである

その間に仕込むタコ。滑り取りは粗塩なのだが、異世界で塩は貴重。そこで、ウルの町で手に入れた米ぬかを代用するのだ。異世界では畑の肥料にするしか使い道の無い物でも、立派な滑り取りの材料なのだ。しかも、タコに要らぬ傷が付かないのが一番良い所だろう。吸盤一つ一つ、丁寧に洗って石を落とす。後は茹でるだけである。タコ足が大きいので、先端は最後に投入する様にゆっくりとお湯に投入。数秒して氷水に近い温度まで下げた冷たい水に投入して熱を冷まし、まな板の上に取り上げて一口大にカット。そこで、待ちきれないご様子のハジメ達にカットしたタコと醤油擬きを渡して調理場から遠ざける

 

「ヒャッハー!タコだタコだ!刺身だぁ!!」

 

「美味い!」

 

「お刺身美味しいよぉ」

 

「モチモチ♪」

 

「弾力凄いですぅ!」

 

「んほぉおおおおお!噛めば噛む程、旨味の暴力が襲うのじゃあああああ!」

 

「おいしいの!」

 

「下処理だけでここまで変わるなんて・・・怪我が治ったら深月さんに料理を教えてもらいましょう」

 

凄まじい勢いで無くなっていく刺身。深月は、タコ足を茹で終えたお湯を一口飲んで出来立ての乾燥昆布を投入。本来なら時間を掛けて作った方が良い出汁が出るのだが、そこは妥協するしかないのである。昆布の出汁が出終えたら、火を止めて生地作りに移行する。小麦粉、片栗粉、タコ汁の昆布出汁、醤油、水を投入して泡立たない様に切る様に混ぜる。タコと生地の処理をしていた間に鍋で煮ていたトマト擬きのソースも完成していた。醤油とハチミツ、トレント擬きの果汁を少し入れて疑似オタフクソースの完成である。マヨネーズは卵、お酢、塩の三点セットである。ソース類の制作も終わり、タコ焼きプレートも程よい熱を持ち準備万端

 

生地とタコだけでは味気が無いので、みじん切りにしたキャベツ擬きを混ぜ合わせます。こうする事で、冷めた時にタコ焼きの生地が萎むのを防げますし、球を反しやすいのです

 

キャベツ擬きを混ぜ合わせた生地をプレート七分目まで入れて、素早くタコを投入して生地を再び流し込む。並々まで入れ、生地の色が少し白くなったら魔力糸の串で一つ一つのブロックに区切り、綺麗な玉になる様に折り込みながらクルッと回転させる。焦げない一歩手前の焼き加減。サササッと素早くひっくり返して、反対側も焼いていく。時々生地が繋がらずにバラけそうなやつもあるが、繋がり部分を焼く事で崩れる心配は無い

 

後は、生地の焼け具合を見ながら火力の強い所と弱い所を入れ替えて焼くだけですね。油は勿体ないので最後の方に少しだけですね。一気に五十個焼きは初めてでしたが、上手くできて良かったです。個別皿よりも大皿の方がインパクトもありますので用意を―――――

 

深月がお皿を出そうと振り返ると、刺身を食べ終えたハジメ達が後ろに待機していた

 

「もうすぐ出来ますのでお待ち下さい」

 

飢えた獣達を追い払いながら大皿を取り出して盛り付け、ソース等をかけて出来上がりである。オタフクソース擬きとマヨネーズしかないのが残念だが、それだけでも十分すぎる程の出来栄えだ。子供のミュウと足が動かないレミア用に小皿を二つに、一人二本の爪楊枝を人数分取り出して完璧である

 

「タコ焼き擬きの完成です。出来立てで中がとても熱いので、火傷しない様に焦らず気を付けて食べて下さい。それと、これはジュースです。さっぱりの柑橘系ですので、お口直しには丁度良いと思います」

 

宝物庫からキンキンに冷えた柑橘ジュースを取り出してテーブルの上に、人数分のコップも忘れず各自の前に置く

 

「私はこれから追加分を焼くので直ぐにはおかわり出来ませんのでご注意を」

 

再びキッチンへと潜る深月を見て、ハジメ達はあつあつのタコ焼き擬きを食べる

 

 

 

 

 

うまあああああああああああああああい

 

 

 

 

 

お決まりの叫びを上げて食べ進めるハジメ達であった。深月はせっせと作っては持って行き、作っては持って行きと繰り返す事五回。・・・・・はっきり言って食べ過ぎである

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、深月の美味しい手料理を食べながら三日。レミアの足の傷は完全に治り、後は動かすだけとなった。レミアを仰向けに寝かせて触診する深月

 

「それではレミアさん、再び診察です。足の感覚はどうですか?」

 

「・・・すみません」

 

「なるほど・・・指圧でも感覚が無いという事は、やはり電気信号の類ですね。少し失礼致します」

 

深月は、ポケットからアザンチウム鉱石印の針を数本出して煮沸消毒する

 

「今から針を刺しますのでご了承下さい。大丈夫です、血が出にくい所に刺しますので」

 

用意した針は物凄く細く、圧縮錬成で更に硬度高めた逸品だ。トントントンっと軽く叩きながら針を刺すこと計十四本。針の上には紐が結ばれており、全て深月の手に集められている

 

「ふぅっ――――――。では、目を閉じてリラックスして下さい」

 

言われた通り目を目を閉じて体の力を抜くレミア。それを確認し終えた深月は、更に指示を出していく

 

「次は歩くイメージをして下さい。怪我をする以前―――――普通に、当たり前に歩いていた時を思い出して下さい」

 

気力操作で深月自身の気をレミアの足に送り込む。糸から針へと両足全てに行き渡った事を確認した深月は、一定のリズムで気を送り、止めてを繰り返す。すると、レミアが直ぐに変化を感じ取った

 

「あっ―――――足が温かいのかしら?トン、トン、トンと一定のリズムを刻んでいるわ」

 

「それは上々。このまま歩くイメージを止めないで下さい」

 

深月は、気を送りながら纏雷で超微力な電気を混ぜ合わせて送り込む。さながら電気ショッカー。深月が電気を流す事で、レミアの足の筋肉が少しずつ動き始める

 

「それでは、一、二の、三で眼を開けて下さい。いきますよ?一、二の――――」

 

三を言う前に、超微力だった電気を少しだけ強くして流した

 

「さ―――――痛っ!?」

 

足が跳ね上がり、電気の痛さに涙目になったレミア。だが、次に感じた感覚に呆然とした。それは、足がソファーに落ちた感触があったからだ。呆然としながらも足を動かすレミア

 

「足は動きましたね。これにて治療は終了です。お疲れさまでした」

 

レミアの足に刺していた針を抜いて、回収する深月。こうして、レミアの足の治療も終わったハジメ達一行は、メルジーネ海底遺跡の探索の準備へと取り掛かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




布団「次は海底遺跡へレッツゴー!」
深月「レミアさんの治療も終わりましたので、攻略に集中しましょう」
布団「そして、メイドさん無双ですね。作者はそう思います」
深月「感想や評価等、お気軽にどうぞです♪」
布団「田植えはまだ終わらない。終わるのは・・・7月頃だ!それまでは許して下さい」



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