ありふれていない世界最強メイド【本編完結済み】   作:ぬくぬく布団

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布団「ようやく田植え"は"終わりました。後は管理や片付けでてんてこ舞いです」
深月「誤字報告有難う御座います」
布団「頑張って書くから待っててね!」
深月「読者の皆様方、ごゆるりとどうぞ」










メイドはうっかりをやらかしてしまう

~皐月side~

 

メルジーネ海底遺跡を攻略したハジメ達は、レミアの家で寝泊まりをしていた。ハジメの本音を零すなら、皐月と一緒にイチャイチャしたかった。しかし、皐月本人から「ミュウと別れてからよ」と言われて渋々従っている状態だ。一方で、皐月とレミアとミュウの三人で川の字になって寝ている。因みに、ミュウが寝てからは皐月がレミアと色々と話し合いをしている事をハジメは知らない

 

「という訳で、レミアさん――――いえ、レミアは大丈夫?」

 

「とても良い提案で嬉しいです。まさか、皐月さんから"お誘い"されるとは思いませんでしたよ?」

 

「ミュウだってハジメがパパになった方が嬉しいし、私だってミュウのママになりたい。"夜の戦力不足"を補うのは当然よ」

 

「シアさんとティオさんのお二人はどうされるのですか?」

 

「シアは確定で、ティオは・・・深月の淑女としての再教育が終了すれば入れる予定よ」

 

「一番の難関は深月さんですね」

 

「あの鋼鉄の深月をどうやって引き入れるかは、ハジメの力に頼るしかないわ」

 

「フフフッ、ハジメさんは無意識で深月さんを目で追われていますね」

 

私が何をしたかって?迷宮から帰ってから本格的にレミアとお話ししただけよ!それはさておき、海底遺跡から帰還してほぼ一週間。深月が食を豊かにする為の回収なり制作なり色々と行っている中、私達はミュウとのスキンシップを沢山しているわ。何故なら、明日はここを出立するからよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、ミュウと一緒にハジメを起こしに行くとユエと二人で裸で寝ていた。ミュウが、「どうしてはだかで寝てるの?」と皐月に尋ねて来た時には物凄く頭を悩ませたのは言うまでもない。一旦ミュウをレミアに預けた皐月は、二人に拳骨を落として怒髪天の如く説教した。尚、扉の隙間越しにハジメ達の様子を見ていたミュウが怖がっていたが、深月が回収しながら「他所様のお宅で裸で寝るのはいけませんよ?」と駄目な大人の仕業という事で納得した

 

あんの二人は・・・今日はミュウとのお別れのでしょうが!イチャイチャするなとは言わないけど、レミアのお家で裸で寝ないでよ。レミアは、「あらあら~、皐月さんを置いて大丈夫なのですか?」といたずら風に言っていたから気にしていないだろうけど

 

「はぁ~」

 

「あ~・・・その・・・・・すまん」

 

「ごめんなさい」

 

「そっちじゃないわよ。流石にもうそろそろ出発しないといけないからミュウにどうやって切り出そうかと思っているのよ」

 

「あの無言の懇願はなぁ~」

 

「特に深月に何回もお願いしていたのは用意周到ね。確実に外堀を埋めようとしていたわ」

 

「俺達、深月に餌付けされているからな」

 

ミュウは、ハジメと皐月を引き留めようとあの手この手で工夫をしていたのだ。特に、旅をしていて気づいていた深月の存在。難攻不落だが、攻略すれば確実にハジメ達は留まると分かっていたから同時攻略をしていたのだ。だが、結果はのらりくらりと躱され、話の流れを変えられ、逆に説得されてしまう程だった

 

「ミュウには一旦のお別れだから我慢してもらうわ。地球に帰る時には二人を連れて行ける様に模索すれば良いのよ」

 

「ん?ちょっと待て。二人?」

 

「レミアとミュウだから二人よね♪」

 

「待て待て待て!これはあれか?未亡人を地球に連れて行って、そこで暮らさせるという事か?」

 

「ハーレム要員が増えるという事よ」

 

「なん・・・だと!?」

 

「バカな!?」

 

「え?ハジメは驚くのは分かっていたけど、ユエが分からなかったってホント?」

 

そこに、新たな声が三つが待ったを掛ける

 

「ちょ~っと待ってくださぁああああああい!」

 

「待つのじゃ!シアと同じく待つのじゃあああ!」

 

「待って!私は!?」

 

シア、ティオ、香織の三人だった

 

「レミアさんが良いのなら私は良いですよね?良いですよね!?」

 

「そうじゃ!妾だってご主人様の事を一番に好いておるのじゃぞ!」

 

「私だってハジメ君が好きな気持ちは誰にも負けないよ!」

 

「シアは良いに決まっているでしょ。ティオと香織は条件満たしていないから駄目よ。答えはちゃんと自分で見つけないとね?レミアは、流石未亡人と言うべきか・・・あっさりと条件を取得して納得したわ」

 

「よかったですぅ~。私が駄目だったらどうしようかと思いましたよぉ~」

 

「シア!条件とは何じゃ!妾にも教えて欲しいのじゃ!!」

 

「私も教えて欲しいな?」

 

「ヒィッ!?だ、だだだ駄目です!私だって自分で気付いたんですぅ!それに、教えたら皐月さんから拒否されるに決まっています!!」

 

「教えちゃ駄目よ?もしも告げ口をしたら―――――両者共にハーレム要員から永久に外すわ」

 

ギロリと皐月が睨みつける事でタジタジになったティオと香織は、シアから離れて必死に考え始めた

 

「こればかりは自分で気付かないと駄目なのよ。"恋は盲目"―――――二人は正にこれよね」

 

「あっれ~?私より分かりやすいヒントじゃないですかぁ~?」

 

「大丈夫、直ぐには気付かないわよ。もしも気付かないなら、その程度の想いでしかなかったという事よ」

 

「・・・いつ気付くか楽しみ」

 

朝食を食べ終えた一行は、ミュウと一緒に水中鬼ごっこを楽しんでいた。(※全員ビキニタイプの水着を着用)

ステータスチートの権化のユエ達から逃げているミュウの表情は笑顔で、一緒に逃げている皐月もまた笑顔だ。鬼は皐月を除いた四人だ。因みに、深月は相変わらず食料調達をしている

 

ふむ、海人族だけあって泳ぐのが上手ね。しかも早いわ。私のステータスチートで並走出来ると言えば分かりやすいかしら?因みに、私達が身に着けている水着は深月お手製よ。フッ、四人共甘々ね。私とミュウのペアが負けると思っているのかしら?

 

スイスイと泳いで躱す皐月とミュウを必死に追う四人。皐月は、ハジメの方をチラッと見るとレミアと一緒にお話をしていた

 

うふふふ♪大人は余裕があるわね。大方、地球に着いて行く事を話しているのね。って・・・私の視線の先に気付いて嫉妬しているお馬鹿な二人ね

 

ハジメの方へと泳いで行くティオと香織を追う様に、皐月達も泳ぐ。その途中で、ミュウがシアの水着を剥ぎ取りハジメに渡そうとしたが、第二のママである皐月に岸に上がってからやんわりと怒られた

ミュウとの戯れも終わり、その日の夕方にミュウとお別れを告げる。着ているワンピースをギュッと握り、泣くのを堪えていた

 

「・・・もう、会えないの?」

 

「大丈夫だ。また会える」

 

「これからの旅は今まで以上に危なくなるから、一旦バイバイなの。全部片が付いたら迎えに来るから、良い子で待っててね?」

 

「・・・うん。ママと一緒に良い子にして待ってる」

 

「ちゃんと良い子で待ってろよ?必ず迎えに来て俺達の故郷に連れて行ってやるからな」

 

「パパと皐月ママと深月お姉ちゃんの生まれたところ?みたいの!」

 

「楽しみか?」

 

「すっごく!」

 

「あ~・・・その・・・さっきも言っていたが、レミアも来るんだろ?生活環境がガラリと変わるが、本当にいいのか?」

 

「それこそ愚問です。娘と一緒に着いて行かない選択肢はありませんよ? ア・ナ・タ♪」

 

ハジメに寄り添うレミアを見て、外野の男達が阿鼻叫喚な悲鳴を上げ、同性の女達はエールを送っていた

 

「絶対に世界を行き来する手段を手に入れるわよ」

 

「あぁ。手に入れてパパとママは凄いんだぞって自慢させてやるさ」

 

良い雰囲気のハジメと皐月を見て、ティオと香織がライバル心を燃やして、ユエとシアがその様子を見て微笑む。まぁ、そんな事は関係ないと、ミュウが二人に抱っこを再要求したのだった。ハジメ達一行は、日が完全に暮れる前にエリセンを旅立ち、アンカジへと向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~深月side~

 

エリセンを出てから一日半でアンカジ公国手前まで到着したハジメ達。そこで目にしたのは、アンカジ公国がハイリヒ王国に救援依頼をしてやって来た救援物資運搬部隊と、それに便乗した商人達の行列である。普通なら後ろに並んでの入国なのだが、そんな事知らんといわんばかりに四輪を進めて門前へ進める。門番をしている兵士がハジメ達に気付きアンカジへと誘導して入国した。ハジメは、初めて来た時よりも住民達は元気だと気づき、深月と香織を見た者達が崇めたりしていたのは見なかった事にした

 

「治療して活気が戻ったのは良いですが、皆少しばかり痩せられていますね」

 

「あ・・・深月が清潔したのってオアシスだけだったわね。つい見逃してしまったわ・・・」

 

「どういう事だ?食料の備蓄が有るのは普通だろ?」

 

「アンカジの国民全員が回復したのよ?体力を回復させるには多くの食べ物が必要不可欠。多めに見積もった備蓄も直ぐに尽きるわよ」

 

「・・・食材に清潔をしていなかったですね」

 

「う~ん、いい機会だから再生魔法で浄化出来るか試してみても良い?」

 

「再生魔法と相性が良いから訓練も兼ねていいんじゃねぇか?」

 

メルジーネ海底遺跡の神代魔法は再生魔法、その名の通り再生に特化した魔法である。特に、治癒師の香織との相性が高く回復力が目に見えて違ったのだ。因みに、深月はお約束通りだった

 

「深月はいつでもどこでもチートだな」

 

「メイドに再生魔法って何に使うのよ・・・」

 

「物が壊れてしまった時に便利ですよ?まぁ、壊す事は無いですが」

 

本当に便利の一言、木製の器が欠けた所も再生出来たのはとても素晴らしい結果です。ですが、この再生魔法の真骨頂はそこではありませんよ?

 

内心ではグヘヘと酷い笑みを浮かべている深月。何故そんな事になっているのかと言うと、エリセンで再生魔法を陰ながら行使していた時に気付いたのだ。器を再生中にどの様に直っているのかを観察していた時、まるで時間を逆行するかの様に再生した事を発見して色々と考えた結果、再生魔法は時間に干渉する魔法ではないかと仮説を立てたのだ。切りの良い所で寝ようとした際にふと気づいた。オスカーやメルジーネの解放者達が残した映像は、再生魔法ではないかと。抜き足差し足忍び足で外に出て、真新しい記憶――――たこ焼きを作りながらハジメ達の様子を見ていた光景を強くイメージして再生魔法を使う。するとどうだ、タコの刺身を笑顔で食べて団欒する映像が流れたのだ。そこから深月のタガが外れ、脳内で録音した皐月フォルダの記憶を掘り起こしてヒャッハーしてテンション爆上がりしたのは言うまでもないだろう。新たな癒しを手に入れた深月は満足して寝た

 

再生魔法とは、神代魔法の中でも一番素晴らしい魔法で間違いありません!これがあれば、初めてであったお嬢様を映し出す事も容易です。フフッ、グフフフフフ♪ガラス玉の様なおめめクリックリの小さいお嬢様と宝石の様なキラキラ光る眼の中学生お嬢様と妖精の様な高校生お嬢様!そして、今は大天使の如きお嬢様と色々と味わえます!!私の脳内フォルダがとんでもない事になっていますよぉおおおおおおおおおお!

 

思わずニコニコと微笑んでしまう深月の様子に気付き、皐月の勘の鋭さが発動した

 

「ねぇ深月?ニコニコと微笑んでいるけど、何かいい事でもあったのかしら?」

 

「とても良い事です」

 

「新しい技覚えたのね?」

 

「再生魔法とは素晴らしい物です!―――――――あっ・・・・・」

 

「「「「「「・・・・・」」」」」」

 

脳内トリップで注意力散漫な所を突かれてつい口走ってしまい、それが運の尽きだった。ジト目で深月を見るハジメ達の無言の圧力。その程度なら問題はないのだが、今回は皐月が特に目を光らせていた為根掘り葉掘り聞き出される事になった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「再生魔法ってそこまで出来る物なのか」

 

「どうせ以前の私を見てニコニコしていたんでしょ?」

 

「う"っ!」

 

「これは深月が悪い。私達にも見せて」

 

「そうですよ~、私達も変わる前の皐月さん達を見たいですぅ!」

 

「変わる前のご主人様達の姿。とても楽しみなのじゃ!」

 

常識の範囲内で見せなさいよ?(ハジメとの出会いを見せるな)

 

皐月からの忠告を理解した深月は、少しだけ残念そうにした

何はともあれ、宮殿に居るランズィに報告と依頼の静因石を渡した

 

「ハジメ殿、皐月殿、本当に感謝する。これだけあれば、いざという時に対処出来そうだ」

 

「気にするな。こっちは恩を売る形で依頼を受けたんだ」

 

「無理しない範囲で返してくれたら大丈夫よ」

 

「ふっ、無理しない範囲か。こちらは国を――――いや、国民の命を救ってくれたのだ。多少の無茶でも民達は賛同する」

 

「助かるよ。それと、ついでなんだが土壌汚染や食物汚染を治せる可能性があるんだが、試しても良いか?」

 

「なんと・・・そこまでやってくれるとは、これでは中々に返せそうにもないな」

 

ランズィの案内の元、汚染された土壌に伴い劇物となってしまった食料の廃棄場所へと向かった。土の色は変わらないが、破棄された食料の山。今回は、深月ではなく香織が再生魔法の実験を開始する。エリセンに滞在していた時に訓練をしており、長い詠唱時間が短縮されているのだ

 

「――――絶象」

 

魔法の行使により淡く光る一つの球体が、食料の山の上にポトンと落ちる。光のヴェールが一つ一つに纏わりついて、地面まで浸透してより一層輝きを放ったと同時に纏わりついた光が蛍日となって天へと昇る。数多の光が天に昇る光景は、劇毒が昇天しているかの様な光景だ

神秘的な光景も終わりしばし呆然としていたランズィ達にハジメがチラッと視線を向け、ハッと気づいたランズィ達。今現在彼等が行える鑑定は水質のみなので、深月の清潔鑑定で有害物質が無いかどうかをチェックする

 

「おめでとうございます。光った範囲の場所は全て綺麗になりました」

 

「そうか・・・そうか!本当に助かった!」

 

「それでは香織さん、残りも綺麗にしましょう」

 

「待って、深月さん待って!私の魔力もうゼロなの!だからもう無理!?」

 

「その為の腕輪です。私が食料調達の際に何もしていないとでも思いましたか?ちゃんと、魔力の残滓をかき集めて腕輪に貯め込んでいますので、魔力切れを心配する必要は何処にもありません。今現在の詠唱時間はおよそ三分ですが、長すぎます。秒まで短縮する為に訓練あるのみです!」

 

「びょ、秒は無理じゃないかなぁ~?」

 

「甘えは駄目です。目下の目標は、敵の攻撃を回避しながらの回復魔法の行使。詠唱時間の短縮も良いですが、棒立ちの状態での詠唱は敵に攻撃して下さいと言っている様な物ですよ」

 

香織は、助けを求めようとハジメ達の方に顔を向けるが現実は無情である

 

「よし、香織頑張れ」

 

「確かに、棒立ちよりも動きながらの方が良いわね」

 

「・・・深月の特訓始まり」

 

「やれば出来るですぅ!」

 

「限界は超えるものじゃ!」

 

庇う者は誰一人居ない。それどころか、香織の強化を望む声があるのでどうする事も出来ない

 

「う~!今よりももっと強くなって見返すもん!!」

 

深月にドナドナされるまでも無く、自分の足で立って歩く香織。広い土壌汚染の再生をたった一人で行い、強くなる為の努力を惜しまずに魔法を行使する。時々、深月が範囲清潔をする事で目指す場所を再認識させながらの訓練は直ぐに実を結んだのは香織の努力の賜物だろう

土壌汚染の再生を終えると、次は食料が破棄された農地地帯へと移動する。だが、不意に感じる不穏な気配。遠目で見れば、アンカジ公国の兵士とは異なる装いの兵士達がハジメ達に近づいていたのだ。身なりからしてこの町の聖教教会関係者と神殿騎士の集団らしく、ハジメ達の傍へとやって来た彼等は、ハジメ達を半円状に包囲した。そして、神殿騎士達の間から白い豪奢な法衣を来た初老の男が進み出る。あまりにも物騒な雰囲気にランズィが間に入って遮る

 

「ゼンゲン公・・・こちらへ。彼等は危険だ」

 

「フォルビン司教、これは一体何事か。彼等が危険?二度に渡り、我が公国を救った英雄ですぞ?彼等への無礼は、アンカジの領主として見逃せませんな」

 

「ふん、英雄?言葉を慎みたまえ。彼等は、既に異端者認定を受けている。不用意な言葉は、貴公自身の首を絞める事になりますぞ」

 

「異端者認定・・・だと?馬鹿な、私は何も聞いていない」

 

ハジメ達に対して異端者認定されている事に驚くランズィだが、あくまでも皮だけだ。皐月から予めにこうなるだろうと予測を聞いていたので内心は驚いていない。だが、ランズィとて教会の信者である事に変わりがなく、何故救国の者達が異端者認定とされているのかが理解出来ていなかったのだ

 

「当然でしょうな。今朝方、届いたばかりの知らせだ。このタイミングで異端者の方からやって来るとは・・・クク、何とも絶妙なタイミングだと思わんかね?きっと、神が私に告げておられるのだ。神敵を滅ぼせとな・・・これで私も中央に・・・」

 

最後は小さな言葉だったが、ランズィにはっきりと聞こえていた。一応ハジメ達の方を見ると、当の本人達は「どうする?」といった興味無さげの様子だ

 

「さぁ、私は、これから神敵を討伐せねばならん。相当凶悪な男だという話だが、果たして神殿騎士百人を相手に、どこまで抗えるものか見ものですな。・・・さぁさぁ、ゼンゲン公よ、そこを退くのだ。よもや我ら教会と事を構える気ではないだろう?」

 

「断る」

 

司教の男がニヤニヤと勝ちを誇った表情をしているが、ランズィの否定の言葉で呆気にとられた

 

「・・・今、何といった?」

 

内容を理解していないのかと言いたげな表情をする司教だが、ランズィの揺るがぬ決意の言葉を再び送り返す

 

「断ると言った。彼等は救国の英雄。例え、聖教教会であろうと彼等に仇なすことは私が許さん」

 

「なっ、なっ、き、貴様!正気か!教会に逆らう事がどういうことかわからんわけではないだろう!異端者の烙印を押されたいのか!」

 

「フォルビン司教。中央は、彼等の偉業を知らないのではないか?彼は、この猛毒に襲われ滅亡の危機に瀕した公国を救ったのだぞ?報告によれば、勇者一行も、ウルの町も彼に救われているというではないか・・・そんな相手に異端者認定?その決定の方が正気とは思えんよ。故に、ランズィ・フォウワード・ゼンゲンは、この異端者認定に異議とアンカジを救ったという新たな事実を加味しての再考を申し立てる」

 

「だ、黙れ!決定事項だ!これは神のご意志だ!逆らうことは許されん!公よ、これ以上、その異端者を庇うのであれば、貴様も、いやアンカジそのものを異端認定することになるぞ!それでもよいのかっ!」

 

「おやおや、これは異な事を仰る。フォルビン司教、貴方は先程小声ではあるが自身が成り上がる欲があるそうではないか」

 

「黙れ黙れ黙れ!神の御意思は絶対だ!救国の英雄だと?異端者達が魔人族と手を組んで国を陥れて救っただけであろう!」

 

「それこそありえませんな。彼等は魔人族が襲ったウルの町と勇者を助けたと伝わっていますぞ?しかも、その魔人族を倒したとの報告もされている。そんな彼等が魔人族の仲間?フォルビン司教の方こそ魔人族と結託しているのではありませんか?」

 

「貴様・・・言って良い事と悪い事はあるぞ?貴様の部下やそれに慕う者達も神罰を受け尽く滅びるぞ」

 

「このアンカジに、自らを救ってくれた英雄を売るような恥知らずはいない。神罰?私が信仰する神は、そんな恥知らずをこそ裁くお方だと思っていたのだが?司教殿の信仰する神とは異なるのかね?」

 

フォルビン司教は激怒して部下達に攻撃の命令を下そうとした瞬間、神殿騎士のヘルメットにカツンと小石がぶつかり落ちた。それは、子供が投げた小石だった

 

「僕達を助けてくれなかった奴がお姉ちゃん達を悪く言うな!」

 

周りの大人達も憤慨して、司教達に敵意を向けている

 

「やめよ!アンカジの民よ!奴らは異端者認定を受けた神敵である!やつらの討伐は神の意志である!」

 

投石しようとした手が一瞬だけ止まった。しかし、ランズィが言葉を発した

 

「我が愛すべき公国民達よ。聞け!彼等は、たった今、我らのオアシスを浄化してくれた!我らのオアシスが彼等の尽力で戻って来たのだ!そして、汚染された土地も!作物も!全て浄化してくれるという!彼等は、我らのアンカジを取り戻してくれたのだ!この場で多くは語れん。故に、己の心で判断せよ!救国の英雄を、このまま殺させるか、守るか。・・・私は、守る事にした!」

 

フォルビン司教は、「そのような言葉で、神の決定を逆らう様な事は誰もしない」と嘲笑ったが、住民達の返答は投石の嵐だ。予想外な事態に言葉を詰まらせるフォルビン司教に、住民達の声が叩き付けられる

 

「ふざけるな!俺達の恩人を殺らせるかよ!」

 

「教会は何もしてくれなかったじゃない!なのに、助けてくれた使徒様を害そうなんて正気じゃないわ!」

 

「何が異端者だ!お前らの方がよほど異端者だろうが!」

 

「きっと、異端者認定なんて何かの間違いよ!」

 

「皐月大天使様と深月様と香織様を守れ!」

 

「領主様に続け!」

 

「皐月大天使様、深月様、香織様、貴女達にこの身を捧げますぅ!」

 

「おい、誰かビィズ会長を呼べ!"皐月様を崇め隊"と"深月様に褒められ隊"と"香織様にご奉仕し隊"を出してもらうんだ!」

 

住民達を癒した深月と香織に敬愛の念を含んでおり、皐月に関しては深月から素晴らしさを説かれていたので二人よりもワンランク上の信仰心となっていた。そもそも、神の使徒である香織が一緒に行動している事からハジメ達も信頼しており、フォルビン司教よりも信仰心が高い結果である

 

「司教殿、これがアンカジの意思だ。先程の申し立て・・・聞いてはもらえませんかな?」

 

「ぬっ、ぐぅ・・・ただで済むとは思わない事だっ」

 

歯軋りしながらハジメ達を煮え滾った眼で見たフォルビン司教は、苛立ちをぶつけるかの様に地面をドスドスドスと音を立てながら神殿騎士を連れて帰った

 

「・・・本当によかったのか?今更だが、俺達のことは放っておいても良かったんだぞ?」

 

「なに、これは"アンカジの意思"だ。この公国に住む者で貴殿等に感謝していない者などおらん。そんな相手を、一方的な理由で殺させたとあっては・・・それこそ、私の方が"アンカジの意思"に殺されてしまうだろう。愛すべき国でクーデターなど考えたくもないぞ」

 

「別に、あの程度の連中に殺されたりはしないが・・・」

 

「そうだろうな。つまり君達は、教会よりも怖い存在ということだ。救国の英雄だからというのもあるがね、半分は、君達を敵に回さない為だ。信じられない様な魔法をいくつも使い、未知の化け物をいとも簡単に屠り、大迷宮すらたった数日で攻略して戻ってくる。教会の威光をそよ風のように受け流し、百人の神殿騎士を歯牙にもかけない。万群を正面から叩き潰し、勇者すら追い詰めた魔物を瞬殺したという報告も入っている・・・いや、実に恐ろしい。父から領主を継いで結構な年月が経つが、その中でも一、二を争う英断だったと自負しているよ」

 

予期せぬ形で住民達からの異端認定拒否は、もの凄く大きな出来事だろう。ハジメはあいまいな笑みを浮かべつつ、自分達の安否を気遣う住民達を見て、畑山先生が言っていた寂しい生き方をしなかった結果なのかと思ったのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実に良いです。はい、私の脳内フォルダにお嬢様のお姿を大量に記録しました。ベリーダンスの様な衣装を身に着けるお嬢様は、正に圧巻の一言です。ハジメさん・・・お嬢様達が着ている衣装を見て興奮するのは良いですが、時には己を律した方が良いですよ。どうしてか分かりませんか?自分をアピールしようと躍起になっているお二人が良い証拠ですよ

 

深月以外の女性陣は、全員肌の露出が多い衣装でとても目に毒なのだ。ハジメも男なので少なからず反応してしまい、ハーレムに入っていない二人の猛アピールに若干疲れが現れている。本人はどうしてこうなったと言いたげだが、深月の「反応するから食いついて来るのですよ」の一言で全てを諦めた様に成すがままだ。尚、あまりにもしつこい二人には、皐月のOHANASHIによってアピールは無くなった

 

「この衣装がハジメのストライクゾーンに入っているのは表情を見て分かったわ」

 

「・・・皐月の格好がドストライクなだけだ」

 

「取って付けた様な言い訳をしないで。ハジメはあれでしょ、彼女にコスプレさせるのが良いのよね」

 

「好きな女のコスプレは嬉しい」

 

「メイド服とどっちが良い?」

 

「メイドふ――――――いや、待ってくれ!?そ、そう!これは罠だ!これは罠なんだ!巧妙に仕組まれた誘導だ!」

 

「判決。南雲ハジメは、メイド服が一番好きです」

 

皐月の決定に誰も居を唱えない程ハジメの業は深いし、皐月達女性陣は知っている。ハジメが無意識で深月の方を見ている事。そして、咄嗟に顔を背ける時には深月の方を見るからだ

 

「ハジメへの冗談交じりの追及はここまでにして、そろそろ出立しましょうか。このまま出ると色々と大変なので、変装をして出るわよ」

 

「冗談交じりかよ・・・。だが、皐月の言う通り変装して国を出るのは決定だ。そのまま出立したら確実に住民達が見送りに来るだろうからな」

 

アンカジに数日滞在しただけで理解したのだ。すれ違う人達から感謝の言葉を言われ、消耗品を購入しようとしたら無料で渡されたり、最終的にはパレード状態になってしまったのだ。少しばかり恥ずかしい事もあって、ランズィに一言入れてから離れる事にしたのだ

 

「私とハジメが一言入れ終えてるから後は出るだけよ」

 

「住民達にはちょっとばかし悪いと思うが、騒がしすぎるのは苦手だからな」

 

目立たない様に、フード付きのコートを纏ってアンカジを出立したハジメ達。次の目的地はハルツィナ樹海。門を出て少しした所で、魔力駆動四輪を取り出してフェアベルゲンへと向かった

出立して二日後、ホルアドに通ずる街道に差し掛かる頃、賊に襲われているであろう隊商と出会った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




布団「お嬢様が大変な事になっています」
深月「皆さんにお嬢様の素晴らしさを説いているのです!」
布団「狂信者と変わらないぞぉ!押し付け良くない!!」
深月「大丈夫です。お嬢様は心優しき方と言っているだけです」
布団「う、うむぅ・・・そ、それなら良いのか・・・な?」
深月「それで良いのです」
布団「と、取り敢えず次話の更新をお楽しみに!」
深月「久しぶりの再会となりますね」
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