ありふれていない世界最強メイド【本編完結済み】   作:ぬくぬく布団

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布団「無計画な投稿だぁ。ゆっくり、楽しんでくれたまえ」
深月「・・・本当にどうしようもありませんね」
布団「読者の皆が気になっている!だから仕方がない!!」
深月「それでは、サクッといきましょう。読者の皆様方、ごゆるりとどうぞ」









おい、メイドさんがキレちまったよ

~深月side~

 

現在私達は、ティオさんの背に乗って王宮へと目指しています。あそこに香織さんの気配を感じますので

 

「皆さん、無事でいて下さい」

 

畑山先生、全員は無理だと思います。結界のアーティファクトを破壊されたとなれば、それなりの準備が必要となってきますので、傀儡操作の上限は無いに等しいでしょう。下手をすれば、王国内部のほぼ全てが乗っ取られている筈です。勘の鋭い八重樫さん辺りなら、その辺りを警戒していると思います。しかし、絶対はありえないです。とにかく、今は香織さんの救援が必要ですね。色々と仕込みはしましたが、それは咄嗟に対処出来る様にしているだけ・・・怪我無くは無理です

 

香織が合流してからと、深月は香織を鍛えていたのだ。それもスパルタ訓練―――――全て「ぎりぎりハジメの足手纏いにならない程度まで」と言って仕込んでいた。その成果はそれなりに出ていたが、完璧ではないのが心残りだった。だが、中村と出会った際に暴走する可能性が一番低いのは香織だけという現実。ハジメや皐月や深月が居たら、戦力差からドーピングするのは確定。ユエ達の場合も可能性はあるので却下。唯一戦闘能力を見せていないのはティオだけとなるが、攻撃の際に感じ取る可能性があるという事で駄目だった

 

「先生、悪いが全員は不可能だ。今回の事件の黒幕はエヒトはそうなんだが、大結界の破壊を行ったのは中村だっけ?そいつが仕組んだ事だ」

 

「な、中村さんが!?えっ・・・中村さんは天之河君達と一緒に行動していたし、魔人族とは敵対していた筈です」

 

「深月の予想では、倒した魔人族を傀儡にして取引なりなんなりしているのでは?だそうだ。そうだろ?」

 

「そうです。彼女は、ど腐れ野郎を手に入れる為にありとあらゆる手を使って来ます」

 

「あぁ、ど腐れ野郎ってのは勇者(笑)の事だからな」

 

「ど、ど腐れ野郎って・・・」

 

「脳内お花畑野郎よりマシ?だろ・・・・多分」

 

「話を戻して、彼女はど腐れ野郎の特別になりたい。ですが、ど腐れ野郎は一人を選ぶ事は出来ない。なら、どうすれば特別になれるか?それは、周りに居る女性達を処分すれば自分だけを見てくれると考えていると考えているのでしょう」

 

「や、ヤンデレの中でも一番最悪の部類じゃないですか!?」

 

「先生も深月が調べた事を聞いてみるか?中村の奴がここまで壊れた理由が分かるぞ」

 

「・・・それ程までに酷い内容なんですか」

 

「酷いの一言だな。俺ですら、こいつ最悪だなって思ったし」

 

「無自覚にフラグを建てているハジメさんも最悪だと思いますよ?」

 

「・・・俺ってそんなに無自覚でフラグ建ててる?」

 

「それはもう・・・沢山という位です」

 

『そうじゃのう。ご主人様は無自覚かもしれんが、好意をばら蒔いておるぞ?』

 

ど変態のティオに、「ばら蒔いている」と言われてショックを隠せないハジメ。少しして立ち直り、深月が調べた限りの情報を教えると、畑山は顔を青くしてショックを隠せないでいた

その間、深月は遠目で王国の内部を様子見をする。眼に見えるのは、魔物に襲われて喰われている住民達と、神に助けを求める様に祈り捧げる者と様々だ。深月は直ぐに興味を無くして香織を探す始めると、王宮の鍛錬場の一角に香織の気配を感じ取った

 

「鍛錬場ですか。・・・結界が砕け散り、魔物の対処をする為に兵士達と合流したと考えるのならば最適です。しかし・・・」

 

「ん?何か疑問でもあるのか?」

 

「あのど腐れ野郎がその様な考えを働かせるとは思えないのです。誰かのアドバイス、もしくは助言で協力という形を取ったのではないかと思われます」

 

「・・・確かにな。外に魔物が現れたら、そのまま突っ込んで行きそうな奴だからな」

 

「八重樫さんの提案なら良いのですが、これが中村さんの提案なら死地・・・間違いなく罠です。その場合は、騎士団の全員が傀儡となっている可能性が大きいですね」

 

「そ、そんな・・・」

 

「あっ・・・この反応は予想外です。ハジメさん、あそこの少し開けた森がありますよね?」

 

「あるが・・・どうした?」

 

「衰弱?それとも瀕死なのかは分かりませんが、人が一人だけ居ます。木を背にしているので全体は見えませんが、鎧・・・騎士団の誰かでしょう。どうされますか?」

 

「た、助けないと!南雲君、お願いします!」

 

ハジメとしては香織の方へと急行したいが、畑山のお願いを無下にするのも気が引ける。少しだけ考えていると、事態は急変した

 

「っ!ハジメさん、申し訳ございません。このままでは香織さんが殺されてしまいますので先行させて頂きます!」

 

「何っ!?」

 

ハジメの返事を聞くよりも先にティオの背を飛び降りて空間魔法で転移した深月。ハジメは急ぎたい気持ちがあるが、深月なら大丈夫だと自分に言い聞かせて早急に森の中に居る騎士団?の一人を助ける為に急行した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空間魔法で香織さんが居るであろう鍛錬場の上空に繋げたのですが、予想よりも手前でした。心は熱く、頭は冷静に・・・この距離ならば狙撃出来ますね

 

宝物庫から化物拳銃を取り出して、空力で停滞する。狙撃銃以上の射程をイメージしながら魔力を充填させる。どんどんと魔力を取り込む銃に、纏雷と集約でギリギリまで高めた弾丸を放った。今回は、片手ではなく両手でしっかりと持っていたが、それでも反動が凄まじく腕が跳ね上がった。しかし、そのかいあって、香織へと振り下ろされようとした右腕を剣諸共飲み込み、地面へと着弾―――――爆発。銃を宝物庫に収納して、全体に超硬化を行使。音速の壁を越えて距離を一瞬で縮めて、もうもうと舞う土煙の上から中村の目の前に降り立つ。未だに気付いていない中村の無防備な腹部に向けて、両手を上下に合わせた掌底を叩き込む。因みに、遠目から見て香織が焦げる様に倒れた以外に見えていなかった為、威力よりも速度と吹き飛ばしを重視とした攻撃だったので中村が即死する事は無かった

倒れ伏す香織の様子を見た深月は、容態を手早く確認して魔力切れで倒れていると分かり一安心

 

「よく耐えました。予想以上の出来は、色々と認識を変える必要がありますね」

 

遠見で炎に焼かれた所を見ていたからこその素直な言葉だった。身に着けていた神結晶の腕輪を香織の腕に着けて、魔力を回復させながら魔力糸で柔らかい布を作って香織の体を包む。流石にあの炎の直撃からの回復魔法は、自分だけを対象にしたものだけだったらしく、服までは再生していなかった為の処置である

 

さて、中村さんから色々と情報を引き出す必要がありますね。あまり情報を持っていない可能性もありますが、念には念を入れた方が良いですからね

 

「神楽さん、香織を助けてくれてありがとう」

 

「一緒に旅する仲間ですし、ハジメさんも無下にしていないので当然の処置ですよ。では、傀儡はどうする事も出来ませんので早急に処分させて頂きます」

 

「未だ居ると言うのですか!?」

 

深月の"傀儡が未だ居る"という言葉に驚愕している一同。そして、谷口と永山へとナイフを突き立て様としていた"二人"に一瞬で距離を詰めて、顔面を掴んで兵舎へと叩き込んだ。人間ロケットの如く飛んで行った二人は、石壁に突き刺さった

 

「その驚愕した様な間抜け顔はどうしたのですか。まさか、他のクラスメイトが傀儡にされていないとでも思っていたのですか?」

 

「えっと・・・」

 

「あ・・・いや・・・その、助かった」

 

戸惑う谷口と永山。助けられた時にハジメ達の強さを見た事があるが、深月については全く気付いても居なかった。それこそ、見たのは亀形の魔物を殴った時と、魔人族が放った魔法が全く効いていない所だけだ

 

「早くリリアーナ様の所に行ってじっとしていて下さい。今の状態での躊躇いは、自分だけでなく他人をも巻き込みます。それでも、武器を手に取る方は出来る限り援護しますが・・・どうされますか?」

 

深月の言葉に、全員が「うっ」と嫌悪感丸出しの表情で顔を歪める。そして、いつも通りの勇者(笑)が口を挟む

 

「人殺しは駄目だ!彼等は動いている!まだ生きているんだ!」

 

「先程投げ飛ばす際に二人の脈を確認しましたが、既に死んでいましたよ」

 

淡々と答える深月に、「それでも人を殺す事は駄目だ」と喚く勇者(笑)。このままだと足手纏いよりも酷いものになりそうだと感じた坂上と永山は、勇者(笑)を引き摺って香織達の元へと移動した

邪魔者も居なくなり、そこそこ自由となった深月は、迫り来る騎士とメイドを纏めて相手取る

 

「降霊術・・・死体を操るのではなく、魂に情報を刻み込んで操る認識で確認しましょう」

 

先ずは、騎士の一人に近づいて顎先を打ったが、止まらずに深月を攻撃。距離を取って、膝横にローキックをして関節を外す。すると、倒れて這いずる様に近づいて来る。続いて発勁で心臓を破壊するが、相手は止まらず攻撃を仕掛けて来る。次は側頭部に発勁を叩き込んでみると、糸がプッツリと切れた様に倒れ伏した

 

「なるほど、そういう事ですか」

 

深月の実験はまだ終わらない。宝物庫から拳銃を取り出し、実弾ではなく、魔力弾で迎撃開始。これもまた実験だ。殺しても誰も咎めないサンドバッグが目の前にあるので、ここぞとばかりに試行する。イメージはゴム弾の様な相手を吹き飛ばす弾丸を―――――発砲

 

ドガンッ!

 

頭が跳ね上がった。次は普通の拳銃の弾丸をイメージして――――発砲

 

ドガンッ!

 

頭部を少しだけ陥没させる程度の威力だった。検証終了―――――イメージは対戦車ライフルの弾丸

 

ドガンッ!

 

頭部を粉砕して、後方の壁をぶち壊した。実験も終わり、後は突撃するのみ

 

「さぁ、パーティの時間です」

 

「皆伏せて!」

 

八重樫が全員に注意して、全員が従って伏せる。その瞬間

 

ドガンッ!

 

発砲音が一つ。しかし、結果は十人程の騎士の頭部が粉砕されていた。助走をつけて跳躍し、上空から炸裂弾をイメージで爆撃を開始。騎士の一人に直撃した瞬間に炸裂した魔力弾は、周囲の騎士やメイドを巻き込んで肉片へと変える。そして、何を思ったのか、深月は拳銃を空に放り投げた。八重樫達は呆気にとられた表情をしていたが、深月が地上に降りた瞬間にその周囲の者達の首が空を舞った。噴き出る血飛沫に、全員が吐き気を催す。そんな事はつゆ知れず、体が血で染まっても蹂躙を続ける深月。およそ一分―――――約500人居た傀儡がその生を終えた

 

「なんじゃこりゃあ・・・」

 

「うわっ・・・これ全部深月がやったの?」

 

「うっぷ・・・オロロロロロロロロ」

 

ドン引きする声が二つと、ティオの背で畑山が嘔吐する音が響く。そして、香織の容態を確認する為にハジメ達が向かった。柔らかい布に包まれた香織を見て、ハジメは背を向けて警戒。皐月は布を剥いて体をチェック。因みに、目を背けようとしなかった男子達には、女子達が眼を隠したり睨み付ける事で事なきを得た

 

「リリアーナはどうなったか見ていたのよね?どうして香織の服が無いのか知ってるの?」

 

「はい。中村さんの放った魔法で燃やされました」

 

「ん?燃やされた?香織は火傷していないけど・・・」

 

「お嬢様、香織さんは回復魔法で焼かれた傍から傷を癒していました」

 

「あぁ、なるほどね。そりゃあ魔力切れで倒れる筈だわ。それで、中村さんは何処に?」

 

「それはですね・・・・・あぁ、丁度良くあちらから来て頂きました」

 

皆が深月が視線を向けた先を見ると、口から血を流しながら、覚束ない足取りでユラユラと近づく中村の姿があった。八重樫達は、痛々しそうに表情を歪めている。しかし、ハジメ達は警戒のレベルを上げた

 

「クソッ・・・クソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソ!クソがああああああああ!!僕の計画の悉くを邪魔してさぁ!メイドの分際で何様だ!」

 

「えぇ・・・そんな事を言われましても、私は以前に言いましたよね?邪魔をすれば容赦しないと」

 

「分かってるよそんな事は!でも、お前達が生きていると僕が特別にならないじゃないか!!光輝君に気に入られているメイドの分際で!!」

 

「えぇっ!?そ、そんな・・・気に入られている?・・・・・気持ち悪い」

 

「光輝君は気持ち悪くないんだよ!僕の王子様なんだよ!」

 

「これは・・・どの様に返したら良いのですか?」

 

「・・・諦めちゃいなYO!」

 

「無いのですね」

 

「僕を無視するなぁ!」

 

「何を言っても怒るのに・・・理不尽ですね」

 

「理不尽はお前だろうが!僕がバレない様に必死に集めた人形を一分足らずで全滅させておいて・・・これだからチートは!ふざけるな!ふざけるな!ふざけるな!ふざけるなああああああああああ!お前のような存在はバグなんだよ!消えろよ!消えろよ!!」

 

狂気を孕んだ眼で深月を睨むも、当の本人は、「はぁ・・・?」といってどう返せば当たり障りの無い返しになるかを模索中である

 

「あー、うん。・・・深月の存在がチートを通り越して理不尽なのは分かる。超分かる」

 

「そうよねー、私達と模擬戦したら分殺されるし・・・ぶっ壊れているわよね」

 

「・・・バグメイド」

 

「見つけたら逃げるのが一番ですぅ」

 

「深月の訓練は妾も遠慮願いたいのじゃ」

 

まさかまさかの、味方であるハジメ達からの理不尽の権化扱い。中村は、「はぁ?」と訳が分からない表情をしていた。それは、皐月の言葉に対してだった。同じ様に気付いた八重樫は驚愕しながら確かめる様に聞き返す

 

「ちょ、ちょっと待って!?南雲君達でも勝てないってどんだけよ!?」

 

全員がポカーンとしているが、更なる理不尽をハジメが告げた

 

「お前らは一対一と思ってそうだが、深月との模擬戦は一対五でだぞ?」

 

再び、この場に沈黙が訪れる

 

「はっ、ハハハハハハハハ!本当にふざけるなよクソメイド!絶対に殺してやる!この場で殺す!コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス――――コロシテヤル!

 

中村は、身に着けていた首飾りの宝石を外して飲み込んだ。すると、中村を中心に凄まじい衝撃が発生し、ハジメと皐月と深月以外の者達は吹き飛ばされた。この場に居る殆どの者が、"中村はヤバイ"と大音量で悲鳴を上げた。二人は見合わせて、ドンナーで狙い撃った。しかし、弾丸が中村の手前で止まってボロボロと崩れて無くなった

 

「ね、ねぇハジメ・・・ヤバくない?」

 

「気が合うな。俺もそう思っていたところだ」

 

光が蝕む様に、中村の体を徐々に包み込んでいる。一挙一挙にヤバイと感じて、深月を除いたハジメパーティーが攻撃をする。しかし、そのどれもが止められ、弾かれたりする。正にどうする事も出来ない

 

「ちょ、ちょっと南雲君!これ、どうするつもりよ!?」

 

「あ~・・・うん。逃げるのは駄目か?」

 

「南雲君のトドメの言葉でああなっちゃったんでしょうが!」

 

「・・・あ~、うん。スマン。やれるだけはやってみよう」

 

「う、うぅん。・・・私、生きてる?」

 

「香織!目が覚めたのね!」

 

「雫ちゃん、今何が起きているの?」

 

ようやく目を覚ました香織に八重樫がざっくりと説明すると、とても驚いていた。しかし、ハジメ達ならどうにか出来るだろうと思っていた

 

「高坂さん!王国は大丈夫ですよね!?」

 

「瓦礫まみれになったらゴメン!!」

 

そして、光が完全に中村を包み込み、砕け散った。それと同時に霧散する光に呆然とするが、直ぐに膨大な重圧が上空から降り注ぐ。ハジメ達三人以外は立てず、本能で四つん這いになって「勝てない」と理解した

 

「あっぐ!クソッタレが!エヒト本人が降臨したってのか!?」

 

「ハジメ空を見て!」

 

皐月の言葉を聞いて、全員が空を見上げる。雲の中からゆっくりと光が降りて停滞。その光の中から現れたのは、四翼を持った天使が上空に君臨した。美貌は、老若男女全てが美しいと賛美する造形で、髪は白銀、目は水色、神の先兵と同じ防具を身に着け、右手には装飾の施された直剣、左手には造形美溢れるラウンドシールドを持っている。王国に居る住民達は、天使の美しさに祈りを捧げ、「エヒト様が手を差し伸べて下さった!」と歓喜している者達が居たりと様々だ。天使は、ハジメ達の前に降り立ち、言葉を紡いだ。だが、その声はとても聞き覚えのある口調で、水色の眼が一瞬で狂気を孕んだ

 

「あはっ♪凄いよこの体!アハハハハハ!神様は僕と光輝君を祝福してくれているんだね!」

 

「え、恵理なのか?」

 

「そうだよ光輝君♪やっぱり光輝君は、姿形や声が変わってもボクだと気付いてくれたんだね!」

 

ねっとりとした視線を勇者(笑)に向け終えた後、中村がハジメ達へと向き直った。直後、ハジメ達を襲う重圧に少しだけずり退がる。自分よりも格上と戦った事は幾度もあった。しかし、どの格上とも違う重圧に舌打ちをする

 

「チッ、どこのラスボスだよ・・・」

 

「いや、ラスボスの一歩手前のボスかもしれないわね・・・」

 

「ヒヒッ♪」

 

冗談交じりで呟く皐月に嫌な笑みを浮かべた中村

 

「高坂大~正解♪この体だけど、神様の元部下の物だったんだよ!だ・け・ど、神様に歯向かっちゃったから魂を砕かれてお人形さんに成り果てちゃったんだ♪そこで、ボクが貰い受けたんだ!良いでしょ?でも、あ~げない」

 

「エヒトが手を付けた体なんてこっちから願い下げよ!」

 

「ん、何々~?ふんふん・・・ちゃんと伝えるよ♪」

 

誰と連絡をしたのかは理解出来た。あの体を作ったのはエヒト。ならば、連絡する事だって容易だ

 

「誰と連絡を取っていたってのは一々聞かねぇ。大方エヒト本人だろうからな」

 

「南雲正解~♪それと、南雲に提案だけど――――――高坂皐月を渡してくれたら、見逃してあげるよ?」

 

あ"ぁ"?

 

ハジメの一番大切な物を渡せと言った中村。ハジメは怒る気持ちを少しだけ抑えて理由を聞こうとするが

 

「イレギュラーで、盤面をかき乱す存在は要らない。だけどだけどだけどぉ!今ならなんと!神様に高坂皐月を献上する事で、全員地球に帰してもらえま~す♪神様太っ腹―――――」

 

ドパンッ!

 

「――――全くもう!ちゃんと返事しないと駄目じゃないか南雲~。あれ?あれれ?どうしたのかな?南雲は地球に帰りたいんでしょ?だったら、神様に差し出しちゃえば良いだけじゃん。もしかして、「俺の女に手を出すんじゃねぇ!」って言いたいのかな?」

 

「その汚ねぇ口を閉じろ。そして、百万回死ね」

 

ドパンッ!ドパンッ!ドパンッ!

 

ハジメは、中村に向けて弾丸を放つ。しかし、その全てが分解魔法を付与された鎧の前には無力。先兵と戦った時には、衝撃までは吸収出来ていなかったのだが、体のスペックなのか、はたまた鎧が進化したのかは分からない。だが、見て分かる通り、全く効いていない

 

「効かない効かない。ぜ~んぜん効かないよ!ボクのステータスは全部が約100000なんだよ!技能に、物理耐性極大、耐魔力極大、超高速体力回復、超高速魔力回復、というぶっ壊れ!更に、分解魔法って言う何でも分解しちゃう魔法も持っているんだよ♪そうそう、武器や盾の技能もちゃんとあるよ?剣術[+剣裁]っていって、相手の剣技を見抜いて自分の物にしちゃうんだ♪」

 

ユエ達は絶望した。何だそれは。そんなの勝てない――――絶対誰も勝てっこないと思った

 

「さ~て、南雲に良い事を教えてあげるよ!神様に献上された高坂皐月は、あらゆる欲求を満たされ、快楽に溺れさせるんだって♪光輝君待っててね!このゴミ掃除が終わったら、ボクの最高の体で快楽に溺れさせてあげるよ♪」

 

ハジメと皐月は迎撃態勢に移行、新しいアーティファクトを取り出して攻撃する

 

「「テメェ(お前)が死ね!」」

 

中村の上空から、極光が降り注いで地面を溶かす。その名はヒュベリオン、太陽光を溜め込んで、集束させた光をレーザーにして放つ武器だ。しかも、それが二基。自分自身に直撃すれば大怪我間違いなしの攻撃に飲み込まれた中村を見て、二人はメツェライとミーティアで限界ギリギリまで追い撃ちする

もうもうと煙が上がり、中村がどうなったかは見えない。ステータスが100000であろうと、集束された太陽光ならば致命傷を負っているであろうと思っていた二人。だが、煙から現れた中村の姿は無傷であった

 

「ん?もしかして、今のが全力の一撃だったの?」

 

「なっ!?」

 

「嘘でしょ?」

 

「あぁ、そうそう。――――――――よそ見をしていて良いの?」

 

中村の姿がブレたと同時に、皐月の前眼にいきなり現れる。一瞬の出来事、皐月は中村から目を離していないし瞬きもしていない。それでも捉えきれなかったのだ

 

「さつ――――――」

 

「おねんねしようn――――――」

 

ドッゴオオオオオオオン!

 

「うっ、グブッ・・・ゲボォア!?」

 

お腹に手を押さえながら、飛び退いて蹲った中村。皐月の隣に居たのは深月だった

 

「み、深月ありがとう。でも、あいつには物理耐性に分解魔法g―――――」

 

「おい深月、おまっ!?」

 

『な―――――』

 

皆が見たのは、深月の右拳が無くなり、腕だけとなっていた。分解魔法で拳が無くなったと悟った一同。しかし、深月は再生魔法を行使して、右手を元の状態へと巻き戻した

 

お前は殺す。嬲り殺す。―――――これは邪魔だ

 

深月の豹変に驚いているが、本人は気にせず腕に着けているリストバンドを外して、誰も居ない所に放り投げ―――――

 

ドゴォオオオオオオン!

 

地面に落ちたリストバンドが、自重で地面を砕いたのだ

 

『えっ・・・?』

 

ハジメは、中村よりもリストバンドの方が気になり、落ちた場所に行って拾い上げようとした。だが―――――

 

「んぎぎぎぎぎぎ!なんじゃこりゃあああああああ!?」

 

ハジメは、限界突破を行使してようやく持ち上げる事に成功したのだ

 

「あれ?それだけ重いと地面が陥没すると思うんだけど?」

 

香織の疑問点はそこ。何故陥没しないのか・・・それは重力魔法の並列処理の賜物だ。重力魔法は便利の一言で、めり込むなら、反発させればいいじゃないかという考えである。しかし、最初からこの重さだと足が潰れるので、重力魔法を会得してから徐々に負荷を掛けていたのだった

 

「ハッ!こんな事より中村は!?」

 

ハジメは、思い出した様に中村へと視線を向けると、完全回復していた

 

「どうして・・・物理耐性があるのに、どうして攻撃が通じるのさ!?」

 

物理耐性は打撃によるショック吸収。ならば、内部へと浸透して破壊する攻撃の前には全くの無意味だ

 

「なるほどねぇ・・・だったら、当たらなきゃいいだk―――――」

 

中村の体がブレて深月に攻撃をしようとしたが、左頬に強烈な衝撃が走って住宅街へと吹き飛ばされた。視界がごちゃ混ぜにシェイクされながら、幾つもの住宅を破壊して転がる。視界がようやく安定したところで、地面に手を付いてブレーキを掛ける。そして、周りを見ると、中村の登場にビックリしつつも祈りを捧げる住民達。だが、今の中村にはそれすら腹立たしく

 

「邪魔なんだよ!」

 

手に持った剣で右手側に居た住民達を消し飛ばした。それと同時にひびきわたる悲鳴。耳を突くうるさい声を黙らす為に、悲鳴を上げる女性を殺した

 

「うるさいなぁ、ピーピーピーピー喚かないでよ。つい、殺したくなっちゃうじゃん」

 

中村の言葉に押し黙る住民達は、恐怖に彩られた表情をして涙を流している

 

「あのメイド・・・力を隠してばっかりでウザイ!四肢を切り落として、ダルマにして、自分から死にたいと思うまでいたぶってやる」

 

だったらこっちも、同じ様にしてやる

 

言葉と同時に、中村の体のあちこちに衝撃が襲い、再び左頬に大きい衝撃が走った。再びシェイクされる視界から、手早く体勢を整え―――――首を掴まれ、地面に押し付けられて走る

深月は、そのまま掬い上げる様に空中に中村を放って、目に見えない速さでその高さまで急行。再び首を掴んで地面へと急落下、中村の顔面が地面とキスをしながら大きいクレーターを生み出した

中村は、剣を振り回して深月との距離を空けて仕切り直しに持ち込んだ。再びハジメ達の居た場所まで戻って来た中村の率直な感想はこれだ

 

あのクソメイドがああああああああ!

 

殺意に満ちた深月と中村との、本当の戦いが幕を開けた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




布団「はい!ヤンデレ少女の劇的ビフォーアフターに加え、メイドさんの素が明らかとなりました!素とはいえ、激怒からの~ですから、お口が悪い子になるのは仕方が無いよね?」
深月「ヤロウ、ブットバシテヤルゥウウウウウウウ!」
布団「次回、メイドさんはチートなんです―――――書き終わるまで待ってて下さい!そして、誤字報告に感謝しています。ありがとう、本当にありがとう」

メイドさんのガチギレ時のフォントについて

  • 感情表現が良く分かるからこのままで
  • 読みにくいので普通に戻して
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