ありふれていない世界最強メイド【本編完結済み】 作:ぬくぬく布団
ハジメ「深月に代わって俺が語る。だが・・・正直深月がヤバイとしか言えない」
布団「メイドさんはチートなんです。これ重要」
ハジメ「この場には二人しか居ないから敢えて言おう。メイドは最高だ!」
布団「そうです!メイドは最高です!」
ハジメ「すまないが、俺はここでお別れだ。じゃあな」
布団「そして、作者だけになりました。頑張って書いたんだよ!みんな大好きメイドさんだからね。そして、数多く寄せられる感想ありがとうなのです。また、誤字報告もとても感謝しています。さて、そろそろ本編にいきましょう。読者の皆様方、ごゆっくり!」
~皐月side~
「あのクソメイドがああああああああ!」
中村の叫びと同時に始まった戦い。それはもう凄すぎて、何が何だか分からないよと言いたいぐらいのレベルだ。辛うじて?遠目から見て戦闘の様子が分かるハジメと皐月だが、他の者は全く分からないでいた
「なぁ皐月、俺の聞き間違いだと思いたいんだが・・・深月の口調が男口調になってた気が・・・」
あ~、そうよね。皆はあの頃の深月を知らないし、"メイド"の深月しか知らないもんね
深月の事を話したいが全員に全部を話す事に躊躇いがある。そういった事は、自分から教えるのが一番だと思っているからだ。とはいえ、全く分からないこの現状を納得させるにはある程度の説明が必要だ
「はぁっ、こればっかりは当の本人から話すのが良いのだけれど、あの状態の深月に戸惑いを見て良からぬ方向に解釈しそうな奴が居るから掻い摘んで教えてあげるわ。あの口調が素の状態の深月なのよ。幼い頃に色々あってああなったとしか言えないわ」
「色々あってあの口調か・・・ガキ大将になったのかしら?」
皐月はハジメの隣に立って、ハジメだけに少しながら本当の事を話す事にした
「ハジメはあの口調について気になる?」
「そりゃあ気になるだろ。例えガキ大将になったとしても、成長につれて変わってくるもんだろ?」
「普通はそう思うわよね。私が深月と初めて出会い、喋った時にはあんな口調だったのよ。幼少時代・・・親からの暴力が当たり前の毎日に、十分な食事を与えられずに生活したからあんなになっちゃったのよ。これはお父さんの部下達が調べた事なんだけど、四歳ぐらいからの暴力だったと書かれていたわ」
空を見上げて、中村を攻撃する深月をジッと見る
「四歳って・・・マジかよ。下手すれば死ぬ処の騒ぎじゃねぇだろ・・・」
「私が深月と出会ったのは六歳の頃だったわ。路地裏で血だらけの深月を見つけたのよ」
「親に暴力を振るわれて捨てられたのか?」
「違うわ。深月は、リストカットしたのよ。今の現状は地獄、死こそが自身の救いだと言っていたわよ」
「・・・俺が知っている深月のみの字すら見あたらねぇ。ってか、自殺するなら隠れた場所だろ?皐月はよく見付けれたな」
「勘よ」
「なるほどな」
「そして、一緒に連れていた家の従者が深月を応急手当てをして自宅に運んだのよ。そこからは色々と大変だったわ。目が覚めたら、「何故放って置いてくれなかったのか、何も知らないくせに」って言われたわ」
「マジか・・・マジかー。そこまで心が壊れる寸前だったのかよ」
「まぁ、それから色々あって家で引き取る事になったの。大金をちらつかせて深月の親権を破棄させて、深月本人の意思を尊重して今の主従とういう関係になったのよ。因みにだけど、ユエが新しい名前が良いと言った時に深月が察したのは自分が体験したからよ」
「屑親が付けた名前よりも、助けてくれた皐月達から貰う名前が良かったんだな。って事は、メイドになる教育の際に口調も矯正されたのか」
「私達の様な恵まれた幼少期を過ごした事が無かった。一言で言うならこれだけよ」
ハジメは、皐月を傍に抱いて戦闘の行方を見守る
~深月side~
「クソッ!クソッ!クッソガアアアアアア!どうしてボクの攻撃が当たらないんだ!ステータスではボクの方が圧倒的に勝っているのに、これだからチートはさぁ!!」
深月が戦った神の先兵よりも、鋭く、早く、正確な攻撃。しかし、そのどれもが深月に掠りもしない事に苛立つ中村。逆に、深月の攻撃は全て中村に直撃している
「今死ね!すぐ死ね!」
殺意の連撃は、中村の腿→腹→顎と下から昇る様に跳ね上げる
「骨まで砕けろ!」
中村の仰け反った体の中で唯一がら空きな腹部を流星の様な軌跡を描いて地面へと蹴り飛ばし、その際に腰に巻き付けた魔力糸を引っ張って中村を引き寄せ、某グルメ主人公の連続パンチを再び腹部に叩き込む
「これが、俺の――――三連殺だ」
中村の腹部に走る衝撃が幾つも襲い掛かり、地面に叩き付ける。その後も腹部を叩く衝撃で地面を抉り、巨大なクレーターを生み出す。宝物庫から拳銃を取り出した深月は、魔力を限界まで溜めた炸裂弾を発砲
ドゴンッ!
鈍い音と共に吐き出された弾丸が中村へと迫るが、極光が深月めがけて放たれた。弾丸は極光と拮抗したが、ほんの一瞬だけしか保たず、そのまま深月を飲み込んだ。地面から飛び出す中村は、してやったりの表情をしていた
「ハハハハハッ!分解魔法の前には再生なんて無意味なんだよ!直撃したら死ぬだけなんだよ!皆も見ただろう?何も出来ずに優位に進めていたクソメイドが、呆気なく飲み込まれるのをさぁ!全部、ぜ~んぶボクの作戦通りだとも知らずに!」
計算通り!と某新世界の神の様ににやける中村が、ハジメ達の方へ一歩近づく
「どこ行くつもりだぁ?」
中村の気配感知にも引っ掛からずに、背後から声がした。中村は振り返りながら剣を薙ぐ。しかし、深月が上から肘を叩く事で軌道をずらして攻撃が外れた
「死ねぇ!」
自分を起点とした半径十メートル四方に分解魔法を行使。0から100で展開される攻撃は、目と鼻の先に居る者程度を分解する事も容易だ。しかし、中村は知らなかった。深月に対する魔法攻撃は厳禁である事を
「集約―――――装填」
深月の掌に光の壁が吸い込まれる様に集まり、それを握り込んだ。それと同時に深月の体に変化が現れた。深月の体全てが白銀に染まり、光の粒子が溢れ出る
「それがどうしたあああああああ!」
中村の剣が深月を横一線で切り裂く。しかし、切り裂かれた体は、光の粒子が結合する様に元通りとなった
「はぁ?」
意味が分からない。分解魔法を付与された武器で攻撃しても、深月の眉は何一つ動いていない。隙だらけの状態を深月が見逃す事は無く、掌底を胸部に放った。まるで体を貫かれたかと錯覚する様な衝撃は、強靭な肉体を持つ中村を大きく吹き飛ばして王宮の壁に叩き付ける。まぁ、分解魔法を付与している翼がクッションとなって、ダメージは殆ど無かった。しかし、驚きを隠せない中村だった。超人的な視覚で捉えたのは、鎧を貫通して自身にダメージを与えたにも拘らず、手が分解されていなかったのだ
「何だよそれはあああああ!何で分解魔法が効かないんだ!最初の攻撃の時は、右手が無くなってたじゃないか!」
「虫けらが、這い蹲れ!!」
「ガアアアアアアアアア!?」
深月のヤクザキックで胸部を踏まれて地面に縫い付けられた中村は、深月の足首を持って分解魔法を行使する。一瞬だけ力が無くなったと同時に脱出し、憤怒、嫉妬、憎悪と入り混じった眼で深月を睨み付けながら様々な属性魔法を叩き込む。だが、その全てが光の粒子となって消える
「クソがっ!どういう仕組みなんだよ!物理も魔法も効かないなんてどんなチートを使っているんのさ!」
深月は何も答えず、掌の上に球体を生み出す。それは、バチバチと紅い稲妻が迸っており、電気であると簡単に推察出来た。深月が先程と同じ様にそれを握り込むと、白銀の光の全てが紅い稲妻が迸り始めた事で中村は何が起きているのかを理解した
「そうか、そういう事か!魔法を取り込んだのか!そして、その魔法の特性を持った体に作り替えたのか!」
「知ったところで意味があるか?」
「ボクを侮るなよクソメイド!」
中村は、深月と同じ様に掌で属性魔法の球体を作る
「ボクのこの体は最高傑作なんだ!その技をコピーする程度――――」
握り込んで魔法を体に取り込んだ中村。だが、待っていたのは力では無く代償だけだった
「い"っ!アガアアアアアアアアア!?」
体中から血を噴き出してその場に膝を付いた中村。深月は、呆れつつ近づいて首を掴んで引き摺って外へと移動する。王宮から出た深月達の様子を見たハジメパーティーは、「やっぱり深月が勝ったか」と苦笑いを浮かべた。勇者(笑)パーティー達は、重圧だけで濃厚な死を錯覚させた中村を血まみれにして引き摺って来ている深月を見て驚愕したりとしていた。そんな彼等は、ここれで終わりだろうと予想していた。しかし、それで見逃す深月ではなかった
「死ねよ」
首を掴み上げたまま、サンドバッグの要領で体を殴り続ける深月。反動の代償で傷付いた体に追い打ちを掛ける攻撃は、悲惨な光景そのもの。深月は、中村の装着している防具を取り外し、宝物庫へと収納して再び攻撃を再開。中村は、今まで感じたことの無い痛みに目を覚まして体を動かそうとするが、全く動かなかった。それ程までに反動の代償が大きい
「お前は俺に、ダルマにして自ら死を望むまでいたぶると言ったな?逆に、自分がそうなる可能性もあると気付かなかったか?そうら、お前の傷を癒してやろう。そして、かかって来るといい。お前程度の力では俺には届かない」
深月は、再生魔法で中村を傷を癒して放り投げる。防具の無い一対一の武器だけの勝負
「ゴホッゴホッ、・・・本当になめるなよクソメイドが!」
中村は、地面を踏み砕いて深月に斬り掛かる。圧倒的な力での攻撃を真正面から受け止めた深月の足元は陥没し、その場に固定させる様に剣を振るう。分解魔法を付与された剣だが、深月が黒刀を再生すると同等のスピードの分解なので壊れる事は無い
激しさを増す中村の攻撃を見て、ハジメ達と八重樫以外は押されていると勘違いしている
「おい・・・援護した方が良いんじゃないか?」
「だが、中村の奴がこっちに来たらどうする事も出来ないぞ」
段々不安になってきている奴らに、ハジメがただ一言告げる
「黙って見ていろ」
たったそれだけで黙り込んだ。ハジメと皐月の二人は、深月の動きをしっかりと見ているのだ。どうしてあの場所から動かずに攻撃を捌けているのか、どうして拮抗出来るのか、力の差をどうやって埋めているのかを理解する為に観察しているのだ
「死ね!シネシネシネシネシネシネシネシネ!死んでしまえええええええ!!」
中村は、傷を負わない深月に苛立ち、少しだけ大振りとなった。瞬間――――深月は素早く黒刀の刃を上に向け、相手に突き立てる様に構えて振り抜いた。空間魔法と再生魔法を応用した、型月世界のNOUMINが使う秘剣が中村を襲った。脱出する幅も無く、咄嗟に体を動かす事の出来ない大振りを狙われたのだ。そのまま、秘剣に直撃して切り伏せられた。人間の中村なら絶命していたが、超頑丈な天使の体の前にはかすり傷を付ける程度に止まった。だが、侮るなかれ。物理耐性極大を貫いてのかすり傷・・・武器で防ごうとすれば、間違いなく武器が斬って捨てられた攻撃だ
「痛ったいなぁ・・・。でも、ボクの体を切断するには至らなかったらしいね。そして、さっきの攻撃は完璧に頂いたよ」
「御託は聞き飽きた。次は、その四肢の一部を貰う」
黒刀を納刀して、腰溜めに構える深月。"次は居合で四肢の一つを切断する"という意思の表れに、あの秘剣ならば余裕で斬って捨てれると確信している中村。同時に地を踏み砕いて接近
「あは♪」
両者共に早過ぎる抜刀に、ハジメ達ですら見えなかった。互いが通り過ぎ、深月の黒刀を納刀する音と同時に、深月の肩が少しだけ切れて血が噴き出す。中村が深月を斬った事に驚いた瞬間
「ガアアアアアアアアアアアア!ボクの腕が、剣が!?」
中村の悲鳴に全員が視線を向けると、剣が根元から断ち切られ、左の二の腕からザックリと切り離されていた
「
深月は、上体を起こして、再び黒刀を構えて抜刀。誰もが、中村は死んだと思っていた。しかし、切断されようとした中村の姿が掻き消えたのだ。否、それは奇襲だった
「危うく協定仲間が殺されるところだった。だが、これ程の力を持った者が仲間というのは大変利用価値がある。しかし、そのメイドは更に危険人物。・・・・・よって、この場は一旦下がらせてもらおう」
そう、中村を助けたのは魔人族のフリードであった。皐月との戦闘から少しだけ回復したフリードが復帰して、空間魔法で中村を助けたのだ
「チッ、よくも邪魔を!」」
「そちらも、我らの計画を邪魔しただろう?痛み分けという事だ。次こそ殺す」
そして、フリード達は空間魔法で王国から消えた
~ハジメside~
戦闘が終わった王国は、人々の混乱の声で一杯だが、ハジメ達の居る場は静かだった。深月は、手早く意識を切り替える
「あ"-あー―――――ゴホン。逃げられてしまいましたか・・・申し訳御座いません」
『変わり身早っ!』
「まぁいいさ。中村のヤバさからこの場で殺したかったが、俺達がどうこう言う訳にはいかねぇよ」
「それよりも、私がクソ神に狙われているって最悪よ」
「クソ神は殺す、これは確定事項だ」
殺意が高い状態のハジメに誰も声を出して否定しない。いや、したら確実に撃たれると理解しているから何も言わないのだ。そんな中、やはり残念な勇者(笑)が口を挟んだ
「待つんだ南雲、神を殺してしまったら俺達は帰れないんだぞ!?」
「あ―――そ、そうだよ。神を殺したら地球に帰れないじゃんか!」
「考え直せ南雲!」
勇者(笑)を筆頭にクラスメイト達が神殺しに反対するが、この世界の真実を告げた。もうめんどくさいので、一々説明もしたくないから
「この世界に俺達を連れてきたのはエヒトだ。それは間違いない。だが、返してくれる保証が何処にある?」
「イシュタルさんが言っていただろ!エヒトが帰してくれるって!」
「阿保ね。あの気持ち悪い奴が何て言ったか思い出してみたら?」
「確か・・・「エヒト様も救世主の願いを無下にはしますまい」だったか?」
永山はしっかりと覚えていた様だが、違和感に気付いていない。そこに、少しだけ回復した畑山が付け足して捕捉する
「先程永山君が言った事に間違いはありません。ですが、私は気付きました。誘拐されて一人となった時に、これまでの事を整理しながら振り返りました。イシュタルさんが言った事はあくまでも推測・・・たらればの話なんです」
「なっ!?―――――そんな事って・・・」
「で、でもよ!ついさっき中村が言ってたじゃねぇか!高坂さんを「ドパンッ!」――――ッ!?」
「おいクソ野郎、今なんて言った?皐月を献上するだと?自分が良ければ他はどうなってもいいって?」
「バカな事を言うなよ野村!高坂さんはクラスメイトだろ!」
早く地球に帰りたいと願う者達は、皐月が神様を懐柔すれば良いじゃないかと思っていると
「それにな、中村は"帰す"って言っただけだ。帰ってから干渉しないとは何一つ言ってないぞ」
「地球に干渉出来る位だから、神の先兵を地球に送り込んで戦争するという可能性もあり得るわよ。もしも戦争に負けたら、奴隷となって死ぬまでこき使われるって事ね。女は慰み者――――ってね?」
「え?私達が帰る為には神を殺さないと帰れないって事!?」
「そうなるな」
「南雲君達は何時知ったの!?」
「オルクス迷宮を攻略した際に知ったのよ」
淡々と答えるハジメと皐月の二人に・・・いや、南雲に問い詰めようと勇者(笑)するが、畑山が先に口を開いた
「今ではたらればとなりますが、それを知った事で天之河君達はどうする事が出来ましたか?私は南雲君に教えてもらった時に想像しました。皆さんに教えたら、イシュタルさんに問い詰める可能性がある事を。それだけは駄目だったんです。考えてもみて下さい。教会に反発しようとした貴方達をどうするかを」
「イシュタルさんはそんな「ちょっと光輝は黙っていなさい」なっ!?し、雫・・・?」
「先生は先程誘拐されたと言いましたが、その場所は教会ですか?」
「はい。私は、神の使徒と名乗る銀髪の女性に攫われて本山にある建物の最上階に幽閉されていました。もしも、南雲君達が助けに来なかったらと思うと・・・恐怖で震えながら何も出来なかったでしょう」
勇者(笑)は信じられないと驚愕の表情をしており、ハジメが助けた事を聞かされた時に安堵ではなく、嫉妬の様な表情をしていた
「南雲はどうして先生が誘拐されたと知ったんだ」
「あん?そんなもん偶然だ。ホルアドに立ち寄る際に、姫さんが乗っている馬車が襲われていたから助けて~の流れで知ったんだよ。ウルの街で先生を神聖視させちまったから誘拐されたかもしれないって思ったからな」
「それと、王国外に居た魔物を駆逐したのは物のついでよ。リリアーナに恩を売っただけで、無償で助けた訳じゃないわ。後ろ盾は多ければ多い程、色々と動き易いの」
「ちゃっかりとしているわね」
「私達って異端認定されちゃったからね。いつかはなるかもしれないとは思っていたけど、強硬策で異端認定をするのは予想外だったのよ」
すると、深月は何かを思い出した様にハジメにどうなったかを尋ねる
「あぁ、そういえば忘れていました。私が言っていた人はどうされたのですか?」
「戦いの邪魔になりそうだったから魔物が来ないであろう城壁上に置いてきた。そして、姫さんに朗報だ。俺が助けたのはメルド団長だ」
「メルドが生きているのですか!?」
ハジメが助けた人物とは、メルドだったのだ。体中傷だらけで、少しでも遅れれば死んでいたであろうというという程酷い傷だった。神水を使う手もあったが、温存しておきたかった事もあったので、ティオの再生魔法で傷を塞いだのだ。後は、王宮へと来る手前で降ろして、こちらに来たというだけである
「良かった。・・・本当に良かった・・・」
実は、リリィの両親が中村に殺されて傀儡となっていたのだ。既に死んでいる両親を見て、悲しみで溢れていた。だが、立ち止まる事は出来ない。弟であるランデルは、王国がおかしくなる前に外に出ていたので傀儡にはなっていない。唯一残された家族と、信頼できる部下が一人居るだけでも違うのだ。深月が気付いていなければ、弟だけとなり、様々な重圧で押しつぶされてしまいそうだった
「神楽さん、本当にありがとうございます。貴女のお陰で本当の最悪にはならずに済みました」
「リリアーナ様が気にする必要はありません。私は、こうなる可能性が高いと考察しただけです」
「いえ、その考察がなければ王国内部は更に酷い事になっていたでしょう」
「であるならば、立派なお嬢様の後ろ盾となって下さい。ただそれだけです」
「分かっています。高坂さん達が魔物を倒してくれた事で多くの人が助かったのですから」
皐月は、この場に来る最中に目に映る魔物を全て撃ち殺していたのだ
「さ~てと、俺達の仕事は終了だ。俺達はこれから色々とする事があるから王国から離れる。だが、療養も含めているから数日したら戻ってくる」
「神代魔法ゲットするわよ!」
「ん!」
「ドリュッケンが火を噴くですぅ!」
「あ、敵は出てこないからな?」
「(´・ω・`)マジデスカ」
ショボくれるシアを元気付けながら、ティオの背に乗って神山へと向かうハジメ達。そこで、ハジメは思い付いた様に皐月と話し始め、深月に命令を出す
「深月、仕事だ」
「深月は私達と別行動よ。少しの間だけリリアーナのメイドとして頑張ってね♪」
「・・・了解しました」
「帰ってきたら添い寝してあげるから――――ね?」
「行ってらっしゃいませ!リリアーナ様を仮初の主としてお仕え致します」
「あっ・・・えっと・・・よろしくお願いします?」
こうして、深月と別れたハジメ達は、魂魄魔法を手に入れる為に神山へと向かった
~深月side~
お嬢様方と別れて早五日、私はリリアーナ様のメイドとして黙々と作業をこなしています。あぁ、本来のメイドさんも居ましたが、戦力になりません。メイドとは、主の為に動く者です。書類仕事は手伝えない?王族だけが処理する?貴女は本当にメイドなのですか?先程も言った通り、メイドとは主に忠誠を誓うのです。例え拷問されたとしても、どれ程の大金を積まれようとも決して主を裏切らない。それこそ真のメイド道なのです!
ヘリオトロープさん、良いですか?主の負担を少しでも無くす事こそメイドの勤めなのです。そして、主の身の周りを整えるのもメイドの勤めです。休みが無い?リリアーナ様に仕える事は幸せではないのですか?幸せだけど、疲れると――――――リリアーナ様、少しばかりヘリオトロープさんをお借りします。リリアーナ様に仕える事こそ最高の幸せ。リリアーナ様のお傍に居る事で元気にな~る―――――etc
ありがとうございます。もう大丈夫ですよ♪どうかされましたか?ヘリーナ?ヘリオトロープさんの事でしたのですね。それで・・・何かミスをしたのでしょうか?今まで手伝った事の無かったヘリーナさんがいきなり手伝いを始めたと―――――良かったではありませんか!これで戦力が増えましたよ!様子がおかしい?リリアーナ様と一緒に仕事が出来て嬉しそうにしているだけで、違和感はどこにもありませんが・・・?
深月は、一人のメイドをせんn・・・調ky・・・お話しする事で、メイドとは何なのかを導いた。しかし、これはあくまでも仕事だけ。深月からすればまだまだ物足りないと感じているが、一旦はこれだけに済ませておく
仕事を終えて鍛練場へと移動したリリアーナは、神山の方を見つめている八重樫に声を掛ける
「南雲さん達が本山へと行ってから五日・・・もう直ぐ帰ってくる筈ですよ」
「リリィ。そう・・・ね、それでも心配なの。香織が無茶をしていないか気になるのよ。それにしても意外ね。神楽さんがこちらに残るなんてね?」
「お嬢様の御命令ですから」
「添い寝がどうこうって言ってなかったかしら?」
「お嬢様の添い寝の権利は渡しませんよ?」
「要らないわよ」
からかう事すら出来ない事に、八重樫は内心舌打ちをする
「しかし、八重樫さんの心配事は当たるかもしれませんね。今回の敗北が香織さんに何をもたらすのか・・・少しばかり気になります」
「はぁ・・・本当に無茶しないで欲しいわ」
「フラグですよ?」
「フラグ?」
「例えばですが、死にそうな敵を見て"やったか?"と言ったら復活する感じです。もしも~が覆ってしまう可能性の旗を大きく立ててしまう事です」
「なるほど・・・本来なら倒れる筈が、立っている状態という事ですね。この世界に来た時の香織の無茶は見てきましたので、先程の雫の発言はフラグですね」
「それはそうと、ハジメさん達が帰ってきましたよ」
人差し指を上に立てて上空を見上げている深月に釣られる様に見上げると、この場に落ちてくる影が幾つか
「皆ぁ!気をつけろ!上から何か来るぞぉ!」
勇者(笑)が周囲の者達に注意を促し、八重樫達を退がらせようと近づくと同時に影が降り立った
ズドォオン!!
もうもうと土埃が舞い上がり、周囲を覆い尽くす
「姫様!」
遠くに居たメルドがリリアーナの傍まで近づいて、剣を抜いて警戒する。徐々に土埃が収まり、地面を砕いて降り立った人物が映った。ハジメと皐月とユエとシアとティオの五人だった
「南雲君!」
八重樫がハジメを呼ぶが、返事が無い事に心配する。しかし、それは杞憂に終わった。ハジメ達は、深月の目の前にジャンピング土下座する形で懇願した
「「「「「ご飯を作って下さい深月えもん!」」」」」
「打ち合わせをしての第一声がそんな事なのですか」
溜息を吐く深月と、呆然としている八重樫達
「深月と別れてからのご飯が悲しかったんだよおおおお!」
「シアのご飯も良いけど、やっぱり駄目!深月が作ったご飯じゃないと我慢できないの!」
「ご飯ちょうだい」
「深月さんの料理には勝てませんでした・・・」
「最上級の料理を食べ続けて舌が肥えてしまったのじゃ!深月の料理を早く食べたいのじゃ!」
五人共が深月に料理を作ってとせがむ。とても必死な様相に、リリアーナは「え?・・・え?」とわけが分からない様子で、殆どの者達も同じ反応だ。だが、深月の料理を一度でも食べた事のある八重樫は、「あぁ・・・それはそうよね」とハイライトが死んだ目で遠くを見ていた
「私の料理よりも、香織さんはどうされたのかお聞きしても?」
「はっ!?そうよ南雲君!香織はどうしたの!?どうして一人だけ居ないの!?」
「ちょ、ちょっと落ち着けよ八重樫。クールに、クールになれ」
「上よ上。丁度落ちてきているわ」
どうどうと八重樫を宥めようとするハジメだが、皐月が上に指を指したと同時に聞こえる声
「きゃぁああああ!!ハジメく~ん!受け止めてぇ~!!」
落ちて来た銀髪碧眼の女は真っ直ぐハジメに突っ込む。その目は受け止めてくれるという謎の信頼感を含んでいた。誰もがキャッチするだろうと思っていたが、ハジメはそのまま横にズレて避けた。目を点にして地面に墜落して、ハジメ達と同じ様に土埃を舞わせた。再び舞い上がった土埃が晴れた時、誰の目にも映る銀髪碧眼を理解した畑山とリリアーナが悲鳴じみた声をだして警告した
「なっ、なぜ、あなたがっ・・・」
「みなさん!離れて!彼女は、愛子さんを誘拐し、中村さんに手を貸していた危険人物です!」
リリアーナの言葉に、その場に居たクラスメイトとメルドと騎士団の者達が一斉に武器に手を掛ける。八重樫も同じ様に居合の構えを取って、即座に攻撃できる様にする
「ま、待って!雫ちゃん!私だよ、私!」
「?」
「その残念具合から判断しましたが、貴女は香織さんですか」
「ちょっと待って深月さん!私を判断した基準がおかしいよ!?残念具合って何!?」
「いつも全力で空振りしているからですよ」
目の前の銀髪碧眼の女が香織という事実に、皆が驚愕する
「・・・かお、り?本当に香織・・・なの?」
香織の親友である八重樫は未だに困惑しており、どうしてこうなった!?という表情をしている
「うん!香織だよ。雫ちゃんの親友の白崎香織。見た目は変わっちゃったけど・・・」
「そう・・・・・こんの突撃娘!!」
香織の頭に全力のチョップを落とすが、香織の方が頑丈で手を痛めてしまった八重樫を見ていたハジメが、「オカンだな・・・そして哀れだ」と呟いて睨まれたりした
色々と変わりすぎた事があったが、ハジメ達が王国へと戻ったのであった
布団「いやぁ~、メイドさんがやらかしちゃったYO!」
深月「そうですか?私は、メイドの何たるかをお教えしたまでですよ?」
布団「あれはアウトですぅ」
深月「それはそうと、7/4の日間ランキングに入っていましたよ。読者の皆様方の期待に応えて頑張って下さいね?」
布団「( ゚Д゚)ハァ?ランキング11位・・・ダト?ナニカノマチガイダアアアアア!プレッシャーニオシツブサレソウダァ」
深月「感想等お気軽に書いて下さいね♪」
メイドさんのガチギレ時のフォントについて
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感情表現が良く分かるからこのままで
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読みにくいので普通に戻して