ありふれていない世界最強メイド【本編完結済み】   作:ぬくぬく布団

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布団「最近忙しくて書けませんでした。そして、投稿です」
深月「今回も日常回です」
布団「それでは」
深月「読者の皆様方、ごゆるりとどうぞ」











立ち塞がる壁にメイドは立ち止まる

~皐月side~

 

リリアーナとの情報共有もあと少しで終わり、窓の外はだんだんと暗くなっていた

 

「では、国民の皆には善神と邪神に別れており、邪神が善神を殺して神を名乗っていると発表します」

 

「そして、その邪神を退治する事になったから勇者(笑)達が倒すという筋書きね。出来れば嬉しいのだけれど・・・」

 

「皐月の懸念は最もです。恐らくですが、神楽さんと中村さんの戦闘を見た者達がどう行動をするかは目に見えています。主である皐月を対象に信仰される可能性が極めて高いです」

 

「神になんてなりたくない。こうなったら、先生を神様と崇める様にしなきゃいけないわね」 

 

「畑山さんにですか。・・・胃痛にならなければよいのですが」

 

深月を崇拝するなら、深月が崇拝している皐月が真の神である。だが、皐月が教えを乞うている人が畑山。深月→皐月→畑山といった感じで崇拝対象が移っていくと信じたい

 

「もう日も陰ってきているから、これでお開きにしましょう。それに、十分すぎる程の情報共有も済んだからね?」

 

「そうですね。忙しい身ですが、体長を崩さない様に気を付けないといけませんし」

 

執務室を出た二人が夕食を食べる為に王宮へ向かっていると、何処からか帰って来たであろうハジメと畑山を発見した。ハジメの後ろに付いて行くそれと、畑山の状態を見た皐月は全てを察した

 

「ごめんね、リリィ。ちょ~っとだけ、ハジメとお話しして来るから待っててね?」

 

「あ、はい」

 

皐月は、気配遮断でハジメに近づき肩に手を乗せる。触れられた事でようやく気付いたハジメは、ゆっくりと振り返るとニコニコと笑っている皐月に固まった

 

「ねぇ、増やしたいのは良いのだけれど、ちゃんと条件を満たさないと駄目よ?」

 

「い、いやっ!そんなつもりじゃ――――」

 

「へぇ~?先生が恋する女の顔になっているのだけど・・・隠せると思ったの?

 

皐月は、畑山が泣いた跡とほの字の顔を見て分かったのだ。ハジメにあれこれと追及するつもりは無かったのだが、こればかりは流石にと思っての行動だった。天之河程酷くはないのだが、こうやってフラグを乱立させるのは良くないと判断したのだ。増えるのは別に良い。しかし、条件を満たさなければ叶わぬ恋をどうしろと?厄介にも程があるし、皐月自身もこの条件を変更や撤回するつもりはさらさら無いのだ

 

「まぁ、ハジメのそういう所は今更だからしつこくは言わないわ」

 

「・・・すまん」

 

「さて、こんな話は終わりにして食堂に行くわよ」

 

「お、おう」

 

ハジメは、皐月の圧にタジタジとなって尻に敷かれる。途中でユエ達と合流して、王宮の食堂へ入って空いたテーブルに座った

 

「飯ぃ~、腹減ったぞ~」

 

「ん!・・・深月の料理楽しみ」

 

「そうですよぉ~、お預けはきつかったです!」

 

「沢山食うのじゃ!」

 

「素人の料理だとどうしてもね・・・」

 

「あ・・・ハジメは抜け駆けで深月の料理食べたわよ」

 

「「「「はぁ?」」」」

 

いきなり皐月が爆弾を落とした。皐月が深月の料理を食べる事は知っていたが、ハジメがどうして先に食べているのか――――我慢していた四人の声が一気に冷めた

 

「待て待て待て!俺だけじゃねぇだろ!?皐月も姫さんも姫さんのメイドも食べてるだろ!?」

 

「皐月は良いの」

 

「深月さんの主ですし」

 

「仕事をしっかりとしたからであろう」

 

「一緒に仕事をしていたリリィは分かるけど、お付きのメイドさんも?」

 

「ちゃんと仕事を手伝っていたわ」

 

「「「「なら問題ない」」」」

 

皐月とリリアーナとヘリーナの三人は、仕事をしていたからそれ相応の対価という事で問題はなかった。しかし、ハジメに関しては別だ。そもそも、夜まで待てと言われているのにも関わらず、ユエ達に内緒でたかりに行ったから。言い訳をしようにもまともな言葉は思い付かないし、全てに反論されてしまうだろう

 

「ハジメ?」

 

「ハジメさん?」

 

「ご主人様?」

 

「ハジメくん?」

 

四人の背後に龍、恐竜、鮫、般若が見えたハジメは、少しだけ後退った。そして、皐月は妥協策を提示する事にした

 

「ハジメが悪い事に異論はないわ。しかし、ここで手を出しても意味はない。だったら―――――ハジメのご飯を一品ずつ取れば良いのよ♪」

 

「皐月・・・ナイスアイデア」

 

「しょうがないですね~、一品で許してあげるですぅ」

 

「ご主人様、自業自得なのじゃ」

 

「こればかりは譲れないよ」

 

「俺に飯を抜けと?」

 

「料理人さん達が作る料理があるでしょ?」

 

「嫌だぁ!深月の料理を食べたいんだ!!」

 

「裁決を取ります。一人につきハジメの一品を提供する事に賛成な人、挙手を」

 

ユエ達四人が手を上げた。これでハジメの夕食は殆ど無くなったにも等しく、ハジメ当人は机に突っ伏した。少しして深月が料理を運んで来て、ハジメがどうして突っ伏しているのか理由を聞いて「なるほど、それは仕方がありませんね」と止めの言葉を投げ付けた

各自に配膳される料理は、王宮が用意する鮮やかな物ではなく、普通の料理だった。しかし、それは地球で生まれ育った者にとっての普通の料理。所謂ソウルフード―――――肉じゃがと味噌汁である。それと同時にハジメの表情は絶望に染まった。初めて見る味噌汁を不思議そうに見るユエ達三人と、小さくガッツポーズを取っている皐月と香織

 

「今回の献立は、白ご飯にお味噌汁、肉じゃが、鮫の唐揚げ、サラダです。デザートにはゼリーを用意しています」

 

ハジメから奪う標的は決まった

 

「先ずは私から・・・味噌汁を」

 

「あぁ!ユエさんズルいですよ~・・・私は肉じゃがを要求します!」

 

「くぅっ、妾はご飯と言いたいが・・・ここは唐揚げで頼むのじゃ!」

 

「私は食後のゼリーを貰おうかな♪」

 

「ぐあああああああああああああああああ!」

 

ハジメは、ユエ達に容赦無く奪われた料理達を見ながら悲鳴を上げる

 

「さ、皐月・・・後生だ・・・少しでもいいから分けてくれ」

 

「今回ばかりは駄目よ。ユエ達もハジメにあげちゃ駄目よ?」

 

「美味しい」

 

「料理を」

 

「分けろと?」

 

「無理だよ」

 

「くそぅ・・・先に食べただけだろうが・・・」

 

「・・・ハジメなら、自分が知らない所で美味しい料理を食べた奴をどうする?」

 

「ぶっ飛ばす」

 

「そういう事よ」

 

「ちぃっ!こうなったら奥の手(ジョーカー)を切ってやる!」

 

皐月達は首を傾げて、「奥の手って深月に土下座でもするの?」と思っていた。しかし、それは無茶ではなく、予行演習でもあった

 

「深月、予行演習だ。皐月の夫として命令する――――――俺の白ご飯と残りのご飯+サラダ、魔物肉を入れて焼き飯を作れ」

 

「ちょ!?ここでそれを使うの!?」

 

「ハジメ、ズルい!」

 

「皐月さん以上の横暴ですぅ!」

 

「ぬぅ!確かに予行演習ではあるのう!」

 

「深月さん、無理なら無理って言って良いんだよ!」

 

「予行演習ですか。・・・お嬢様にも予行演習で書類仕事をさせてしまいましたので、私がしないというのはいけませんね。分かりました、少々お待ち下さい」

 

深月は、ハジメの目の前に置かれているご飯とサラダを回収して厨房へと向かって行った

ハジメの機転は上手かった。皐月達が言ったのは料理一品の提供で、残った物で料理してはいけないとは言っていないし、深月自身も「これ以上作らない」とは言っていない。しかも、予行演習と言えば反対する事はありえないだろうとも考えていた

 

「フッ、四品奪われた。しかし、おかわり分のご飯を使ってのチャーハンと言ったからそれ相応の大きさで来るのは確実だ」

 

「これじゃあ罰にならないでしょ!」

 

「最終的に勝てば良いのだよ。勝てばな!」

 

皐月達はジト目でハジメを睨むが、ハジメはどこ吹く風で無視する。睨むも無視するハジメに諦めた皐月達は自分たちの料理が冷めない内に食べ始める。だが、楽しい筈の料理がいきなり酷く感じられる程の邪魔が入って来たのだ

 

「待て南雲、どうして深月に命令をしtブアッ!?」

 

「私とその従者である深月の名前を二度と言うなって言ったわよ?次はそのど頭にぶち込むわよ?」

 

皐月の右拳が天之河にシュート!して、左手にドンナーをブラブラと見せつける。他人に迷惑が掛からない様に殴り飛ばした事で誰からも文句は上がらない。だが、天之河が近付いた事で、周りの人達に皐月達が食べている料理に目が向く。そして、地球で馴染み深いそれを見たクラスメイト達が騒めくのは必然だった

 

「ちょっと、あれって味噌汁よね!?」

 

「どうしてトータスに味噌汁が?」

 

「いや待て、肉じゃが・・・だと!?」

 

「どういう事だってばよ・・・」

 

「うらやましいうらやましい」

 

「自分達だけズルい」

 

驚愕する者や、非難する者と様々だ。そんな者達の代表者である天之河は、諦めずに再び立ち上がってハジメに問い詰める

 

「おい南雲、どうしてみ――神楽に命令をしたんだ!」

 

「はぁ?お前は本当に馬鹿なのか?皐月は俺の女だ。それと同時に深月は、皐月と俺の従者になったって事だよ。因みに、本人にも了承は得ているからお前がどうこう言うのはお門違いだ」

 

「うっ!?・・・それはそうかもしれないが、俺達はクラスメイトで仲間だろ!南雲達だけが日本食を食べる事はズルいだろ。皆もそう思っている!」

 

「あ、八重樫さーん。お宅の弟分さんがうるさいので引き取って下さーい」

 

「う、うるさい!?さ―――高坂、俺は当たり前の事を言ったんだ。食べたい物を皆に分け与えるのは当然だろう?」

 

「意味分かんないわ。無償であげる事が当然?私達が命懸けで手に入れた物を、何の対価も無しで頂くって事?図々しいにも程があるわ」

 

「邪魔です」

 

皐月達と天之河率いるクラスメイトの一部が言い争っている中、調理を終えた深月がやって来たのだ。クラスメイトの一部が、自分達だけズルい、仲間だからこちらにも融通しろ等と言ってくる。しかし、深月が全てを一刀両断する

 

「ズルい?これら全ては、私達が採って来た物や買った物です。対価も無しに頂けるとでも?そもそも、貴方達にはお金があるのですか?無論、己の身で稼いだお金です。国から貰っているお金では買いません。そもそも、そのお金は国民が払う税からの出資です。国のお金―――――決して貴方達が稼いだお金ではないのです」

 

正にその通り。クラスメイト達が持っているお金とは、国から与えられ、戦うからという理由があっての事だから支払われているだけ。尚、材料を買ったところで料理が出来るとは思えない

 

「それに食材の価値を分かっているのですか?その程度のはした金で食べれる程安い物ではありません。話を戻しますが、ハジメさんにオーダーをされたご飯を渡せませんので退いて下さいませんか?貴方達も今の食に満足出来ないのであれば自身で作れば宜しいでしょう?」

 

クラスメイト達の間を縫う様に移動してハジメの傍へと辿り着いた深月は、手に持った皿を置いて蓋を開けた。その瞬間ブワッと広がる独特な香ばしい匂いに、全員がハジメの前に置かれた料理に目を見開く。焼き飯・・・自分達が作るよりも綺麗に、繊細に作られたそれは、店に出しても気付かない程の出来栄えだ

 

「うっひょ~、美味そうだ!それでは―――――いただきます!」

 

スプーンを一掬い。そして、口に入れて数回噛んだと同時にハジメに襲い掛かった刺激

 

「ぐっ!?辛ぇ!?でも、食べれない程じゃないし・・・もう一口、もう一口と進んでしまう!クソッ、深月の料理は麻薬か!?」

 

「うわっ・・・ハジメの顔を見るからに辛そうね。汗が噴き出ているじゃない」

 

「大丈夫?」

 

「ハジメさんの舌が逝かれたのでしょうか?」

 

「いや、耐性が上がったのかもしれんぞ?」

 

「ゴクリ・・・美味しそうだけど、私は食べれないかも」

 

深月も座り、もう片方で持っていた器を置いて蓋を開ける。そして、見える赤い悪魔の料理――――麻婆豆腐があった。皐月達は、体をビクッと震わせて顔を青くした。悪食すらその強力無比な辛さに行動不能となった。そんな劇物を、深月は表情を変えずにモッキュモッキュと食す。深月が食べている物が気になったのか、劇物カレーを食べた事がある愛ちゃん親衛隊の皆が皐月に尋ねた

 

「ねぇ高坂さん、神楽さんが食べているやつって・・・麻婆豆腐よね?」

 

「・・・そうよ」

 

「もしかしなくても・・・神楽さんって、超が付く程の辛党なの?」

 

「正直言わせてもらうわ。深月が作ったカレーを食べていた貴方達の様子を見て判断するけど、麻婆豆腐はカレーよりも辛い。何故分かるかって?初めて食べた香織が"たった一口"で気絶したからよ。カレーの時は、貴方達気絶しなかったでしょ?」

 

「神楽さんに辛い料理を作らせたらヤバイんじゃ・・・」

 

「普通の辛さも分かるから大丈夫だと思うわよ。現にハジメが食べているのは、辛くても食べれる程度だろうし」

 

皐月は、汗を流しながら食べ進めるハジメを見る。それを見た親衛隊達は、「あぁ~」と納得した様子だ。そして、中立だったクラスメイトの女子の一部から言ってはいけない言葉が出た

 

「ね、ねぇ神楽さん。その~・・・厚かましいとは思うんだけど、一口だけでも良いから食べても良い?」

 

「・・・一口だけなら良いですよ。但し、貴女だけです」

 

「やったぁ!ありがとう!」

 

ハジメは目の前の食事に集中して何も気づいていない為何も言わない。そして、皐月も何も言わない。何故なら、そこら辺の匙加減は深月自身に任せているから

 

「では、口を開けて下さい」

 

「あ~ん」

 

何も知らない女子の口の中に劇物が入れられた。皐月達は心の中で合掌すると同時に、麻婆豆腐を食べた女子が真っ白に燃え尽きて床に倒れ伏した。辛うじて動けたであろう人差し指で書かれた文字は、"マーボ"の三文字だった。皆が頬を引き攣らせて深月から離れた

 

「しっかりして!?」

 

「マーボ・・・マーボ・・・マーボ・・・」

 

壊れたテープレコーダーの様にマーボの三文字だけを声に出すクラスメイトの女子。少しだけ時間が経ってようやく目覚めた第一声が

 

「川の向こうで誰かが手を振ってた・・・あ、麻婆・・・・・うっ、頭が!?」

 

こうして、クラスメイトの中で第一の麻婆犠牲者が出たのであった。そして、ご都合天之河がまくし立てる

 

「彼女に一体何を食べさせたんだ!・・・南雲!み―――神楽に何を作らせたんだ!!」

 

「ふぅ~、辛かったけど美味かった。・・・ん、どうした?」

 

「何を作らせたんだと言っている!」

 

「まるで意味が分からんぞ」

 

天之河の言っている意味が分からないハジメが周囲を見ると、深月から距離を取っているクラスメイトと深月が食べている麻婆豆腐を見て全てを察した

 

「あぁ・・・深月の麻婆を食ったのか。辛すぎて倒れただけだろ?気にすんな」

 

「南雲が作らせたんだろう!」

 

「こいつめんどくせぇ・・・」

 

もう反論しても意味がないだろうと分かっていたハジメは、無視を決め込んだ。そんなハジメを見て更にまくし立てようとした天之河を止める声が上がる

 

「光輝、止めなさい。この状況は、何も知らなかった彼女自身の問題よ」

 

「雫っ!?・・・だ、だが、知っていたなら止めるのが普通だろ!南雲は何も言わなかったんだぞ!」

 

「南雲くんは食べるのに集中していたから聞こえなかっただけでしょ」

 

「だけど・・・」

 

「はいはい皆も解散しなさい!そもそも、この料理は誰が用意したのか分かっているの?神楽さんが一人で作ったのよ?南雲くん達が買った物・・・地球でも食材は買っていたでしょ?私達がしている事はいきなりタダ飯を頂くって事よ。もしも、自分達が彼等の立場だと考えて考えてもみなさい。顔見知り程度の相手に厚かましくも食料を分けろと言っているのよ。その位我慢しなさい」

 

八重樫のド正論な言葉に、クラスメイト達は大人しく引き下がった

 

「本当にごめんなさいね」

 

「何故雫が謝るんだ!?」

 

「そろそろ巣立ちさせれば?まぁ、そうした瞬間に落下しそうよね~」

 

「同じ門下生だから放っておく事は出来ないのよ」

 

八重樫の苦労はまだまだ続く模様・・・何時になったら自由になれるのだろうか。それは、天之河次第か八重樫の諦めだろう

天之河を強引に連れて引き下がった八重樫を見送ったハジメ達

 

「ようやくうるさい奴が居なくなったな」

 

「そうね、やっとデザートが食べれるわ」

 

「お出しします」

 

深月は、宝物庫から人数分のゼリーを出して各自の前に置く。ちゃんと、ハジメの前にも置かれたのだが

 

「ごめんねハジメくん。ゼリー貰うよ」

 

「あぁ・・・俺のデザートが・・・・・」

 

香織に取られるゼリーを見てガックリと肩を落とすハジメの姿を眺めつつ、皐月達はデザートを味わって食べた。その後は、銃のメンテナンスと弾の補充をして就寝した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~深月side~

 

殆どの者達が就寝した後、月明かりに照らされた訓練場の真ん中に白い影が一つ――――メイドの深月がそこに居た。目を閉じて瞑想しているのか、体が全く動く様子が無い

 

(あの時は最低でしたね・・・敵を取り逃すなんて最悪の一言です。再び対峙するとなれば成長している筈。今以上の引き出しで対処しなければ殺られるでしょう)

 

黒刀を抜いて、筋線維の一つ一つの動きを確認するかの様に緩やかに動く。余計な動作が無いかを確認しつつ動く。もしこの場にクラスメイトが居たら、何をやっているんだ?と深月がやっている事に疑問に思う物が殆どだろう

 

(分解魔法の処理速度に勝る再生魔法を使って切断―――――失敗。切り返し間に合わず態勢を崩されて押し込まれる)

 

先程とは違う動作でどうすれば良いか、どうしたら最適解となるかを模索していく。しかし、黒刀での迎撃のどれもが駄目だった。深月が想定している相手は、力を完全に己の物として進化した中村だ。体に完全に馴染んでいない、情報処理速度が人間の頃のまま、情報が全く無い。この三点があったからこその優勢だったのだ。今度はそれがない事を前提として動かなければいけない事を考慮してイメージトレーニングをしているのだ

 

(刀での迎撃は不可能。残される手は迎撃ではなく相手の攻撃を紙一重で回避する事―――――これも失敗。これでは次の相対で殺られますね)

 

思考がどんどんと暗くなって体の動きに違和感を感じ始める。あれをした方が良いのでは?これも駄目・・・ならどうすれば?といった蟻地獄に落ちてしまう。思考を全てリセットして、無心で体を動かす。自分が動ける範囲内での動きに精度を上げていくだけ。武に精通している者でなくても見惚れる動き。それを見ている者が二人だけ居た。離れた場所で―――――ただ、眠れないから夜風に当たりに来て偶々出会い深月を発見したから。その人物とは、八重樫とメルドだった

深月は見られている事には気付いていたが、何もして来ないから何も言わないし無視して体を動かし続けている。汗が噴き出ても止まらずに動かし続ける体にそよ風が当たって涼しいが、それ以上に温まる体は少しずつ蒸気を発する。すると、先程よりも少しだけ強い風が吹いて砂埃を舞わせる。その中に一つだけ枯れ葉が混ざっており、深月の頬に当たる瞬間に左手で"キャッチ"した

 

(左手に違和感?・・・枯れ葉ですか)

 

深月は、左手でキャッチした枯れ葉を払って再び体を動かし始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遠目で見ていた八重樫とメルドの二人は、枯れ葉をキャッチした深月を見て戦慄していた

 

「メルドさん、先程の神楽さんの動きを見ましたか?」

 

「あぁ、・・・完全に死角から飛んで来た枯れ葉を受け止めた。例え玄人であろうと出来ないぞ」

 

「技能?いえ、あの動きは最小限だった・・・」

 

「無意識なのか後ろを見えていたのかは分からんが、誰も真似は出来んだろう」

 

「はぁ・・・絶対に生まれる時代を間違えているわ」

 

「この事は俺達二人だけの秘密にしておいた方が良いだろうな」

 

「偶然の可能性もありますのでその方が良いですね」

 

二人は、異常な動きをした事を秘密にして、動き続ける深月を少しだけ見てその場を離れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大量の汗を流して休憩している深月は、次はどうしようかと考える

 

(新しい技を編み出さなければ・・・何か良い方法は無いのでしょうか)

 

沢山考えたのだが、何も思い付かなかった。そこで、ふと気になった事―――――ステータスプレートだ。アンカジで確認を最後に全然見ていないし、何かしらの追加技能か派生技能があればそれを応用すれば良いと思ったのだ。ポケットからステータスプレートを取り出して見て・・・目頭を押さえた

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

神楽深月 17歳 女 レベル:???

天職:メイド

筋力:43500

体力:80000

耐性:50500

敏捷:75000

魔力:47000

魔耐:45000

技能:生活魔法[+完全清潔][+瞬間清潔][+清潔操作][+範囲清潔][+清潔進化][+清潔鑑定] 熱量操作[+蒸発][+乾燥][+瞬間放熱][+放熱持続][+冷蔵][+冷凍] 超高速思考[+予測][+並列思考] 精神統一[+明鏡止水] 身体強化[+魔力吸引補強][+全属性補強][+全属性性能向上] 魔気力制御[+放射][+圧縮][+遠隔操作][+複合][+憑依][+魔気力展開] 気配感知[+特定感知] 魔力感知[+特定感知] 熱源感知[+特定感知] 気配遮断[+透化][+断絶] 家事[+熟成短縮][+発酵][+魔力濾過][+魔力濾過吸引] 節約[+気力][+魔力] 裁縫[+速度上昇][+精密裁縫] 交渉 戦術顧問[+メイド] 纏雷[+電磁波操作] 天歩[+空力][+縮地][+豪脚][+瞬光][+無音加速][+音越え][+無間] 幻歩[+幻影][+認識移動] 風爪 衝撃波[+収束][+拡散][+並列] 夜目 遠見 魔力糸[+伸縮自在][+硬度変更][+粘度変更][+着色][+物質化][+振動伝達] 胃酸強化 超直感[+瞬間反射][+未来予測] 状態異常完全無効 金剛[+超硬化] 威圧 念話[+特定念話] 追跡[+敵影補足][+識別] 超高速体力回復 超高速魔力回復 魔力変換[+体力][+治癒力] 心眼[+見極め][+観察眼] 極致[+武神][+絶剣][+絶拳] 限界突破[+覇潰][+極限突破] 生成魔法 重力魔法 再生魔法 魂魄魔法 忠誠補正[+成長補正][+技能獲得補正] 言語理解

称号:メイドの極致に至る者

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

技能はまだいいとして・・・問題は、ステータスについてだ。アンカジの確認から約1.5倍も成長していた

 

「ステータスが上昇していますね。しかし、素の状態では中村さんに勝てませんか・・・」

 

忘れがちだが、中村のステータスはオール100000―――――この世界で最強に近い存在だ。そんな相手に狙われているとなると今の状態では心許ない

 

「魔力と気力の制御を今よりも強力に、繊細に進化させる他ありませんか・・・。一度おさらいをしましょう」

 

魔力と気力制御の派生技能は、[+放射][+圧縮][+遠隔操作][+複合][+憑依][+魔気力展開]の六つ。基本的に近接戦闘だけに特化した技能ばかりです。・・・どうしましょう・・・・・これ以上成長はしないよと感じさせるステータスは。何事も向上心を忘れてはいけないと言いますが・・・どうしたら?

 

両手を見下ろしながら気落ちする。今の深月の状態をRPG的に言うなら成長限界の一言に尽きる

人間の極地――――これ以上の成長をするのであれば、人間を辞める他ないだろう。だが、深月にそのつもりは今の所ない

 

「唯一成長が見られたのは拳。・・・お嬢様達でいう所の魔拳師に近づいたという事ですね。相手の防御を貫通させる攻撃は一通り出来ますし・・・魔力を直接叩き込む事も出来ます。くっ、これ以上は無理なのですかっ!」

 

深月の受難が始まる。焦る心と思考が支配して夜が明ける

訓練を切り上げて清潔で体を奇麗にし終えた深月は、気持ちを切り替えて皐月を起こしに行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

受難は心を徐々に侵食していく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




布団「メイドさんの受難が始まりました」
深月「厳しいです・・・」
























布団「それはそうと、意味深回をちょくちょく書いていますのでお待ち下さい」










メイドさんのガチギレ時のフォントについて

  • 感情表現が良く分かるからこのままで
  • 読みにくいので普通に戻して
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