ありふれていない世界最強メイド【本編完結済み】   作:ぬくぬく布団

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布団「投稿ですよ~」
深月「帝国へ到着です!」
布団「またしてもメイドさんが活躍?します!」
深月「それでは読者の皆様方、ごゆるりとどうぞ」










メイドは潜入します

~皐月side~

 

深月のCQC体験の翌日、ハジメ達は帝国へと向かった。道中、カム達とイオ達を合流させる為、帝国手前の岩石地帯に降ろして帝国へ徒歩で移動した。帝国へと足を踏み入れたハジメ達に待っていたのは、強引な引き抜きをしようとする愚かな兵士達だった

 

「おう、坊主共。いい女達を侍らしているじゃねぇか。少しばかり俺達と遊ぼうぜ?」

 

「仕事をしている俺達を奉仕してくれるよなぁ?」

 

「なぁに、明日には返すからよぉ?」

 

卑下た笑みを浮かべながら、皐月達女性陣を品定めする様にジロジロと見ている。天之河と坂上が動こうとしたが、先に動いたのは深月だった

 

「そうですね。お嬢様に奉仕等させる訳にはいけませんので、私が手取り足取りじっくりと致しましょう」

 

勇者(笑)パーティー達は驚愕の表情をして、これから深月が行う事を予想したハジメ達はスッと視線を逸らして心の中で黙祷した。深月は一人で兵士達五人を連れて空き家へと一緒に入って行った。そして、何も知らず・・・知ろうともしない天之河がハジメに詰め寄る

 

「おい南雲!み―――神楽が連れて行かれたんだぞ!どうして何もしないんだ!」

 

「深月がやるって言ってるんだから、俺達はその行動を尊重するだけさ」

 

「さつ―――高坂も主として止めるべきだろう!」

 

皐月は無視して帝国の日常風景を観察して小さな情報を拾い集める。召喚当初、帝国について調べた事と相違点が無いかをチェックしているのだ。何がこの国では常識なのか、どの様に成り立っているのかを――――

天之河を無視している皐月に痺れを切らしたのか、八重樫と谷口が深月の安否について心配を口出す

 

「高坂さん、いくら神楽さんでもこの状況だと手出し出来ないと思うのだけれど?」

 

「シズシズの言う通りだよ!早く突撃してミヅキンを助けなきゃ!」

 

だが、皐月の判断は変わらない。深月単体で行動させる方が内部情報を多く引き出す事が出来るし、どうやっても犯られる光景が思い浮かべれない。いや、兵士達が無事に帰ってくる事が出来るかが心配でもある

 

「はぁ~・・・深月が一人で動いたのよ?何も心配要らないわ。むしろ私達を巻き込んだ方が色々と大変なのよ」

 

「こういう時に使いたくはないけど、私達は神の使徒という地位よ?この程度なら――――」

 

「リリィが帝国に何をしに来たのか知らないの?同盟を結ぶ為に来ているの。リリィに余計な枷を嵌めたいと言うなら、その立場を利用すれば良いわ。その分交渉は難航するし、下手すれば王国が属国にならなければいけなくなるわよ」

 

「え?同盟だよね?交渉なんてしなくてもいいんじゃ?」

 

「権力を笠にした人と友達になりたいと思うの?」

 

「うっ、それだとなりたくないかも」

 

神の使徒とは、王国が召喚した者達の事だ。決して帝国が召喚した者達では無いし、自国でその権力を振りかざすなら処分も厭わない。所詮他国の存在、力が正義のこの国にとっては膿に他ならない。そして、皐月の分かりやすい例えでも理解していない者は二人

 

「俺達は神の使徒だ。魔人族を倒して悪神であるエヒトを倒す為に呼ばれて来たんだ。皆俺達の言う事は聞いてくれるから大丈夫だ」

 

「種族の危機なら皆協力するだろ?」

 

天之河と坂上は全然理解出来ていなかった。皐月は二度は言わない。所詮、勇者(笑)パーティーは同行者であり、他人なのだ。八重樫と谷口が巻き込まれるだろうが、それは残念だったと切り捨てる事も出来る。だが、余計な問題を抱えたくない身としては注意もしなければいけない

深月は未だに出て来ず、ハジメ達も町の様子を見ている。その様子としてはあまり良くない印象だ

 

「うぅ、話には聞いていましたが・・・帝国はやっぱり嫌なところですぅ」

 

「うん、私もあんまり肌に合わないかな。・・・ある意味、召喚された場所が王都でよかったよ」

 

「まぁ、軍事国家じゃからなぁ。軍備が充実しているどころか、住民でさえ、その多くが戦闘者なんじゃ。この程度の粗野な雰囲気は当たり前と言えば当たり前じゃろ。妾も住みたいとは全く思わんがの」

 

「シア、余り見るな。・・・見ても仕方ないだろう?」

 

「・・・はい、そうですね」

 

シアの目に入ったのは亜人族の奴隷達だ。視線の先には値札付きの檻に入れられた亜人族の子供達がおり、シアの表情を曇らせていた。ハジメ達でシアのフォローを入れつつ気分を紛らわせる

 

「・・・許せないな。同じ人なのに・・・奴隷なんて」

 

ハジメ達の後ろに居る天之河は、歯噛みしている。今にも突撃しそうで、皐月が溜息を吐いている

 

「ちょっと・・・苦労人が止めなきゃ誰がお花畑を止めるのよ。しっかりとリードを掴んでいなさいよ」

 

「光輝は犬ではないのだけれど・・・」

 

「帝国の常識について勉強しているわよね?していないのならブッ飛ばすわよ」

 

「奴隷が居る事は教えられていたわ。でも、あんな子供もなんて聞いていなかったわ」

 

「そんなの私だって一緒よ。ただ、想定はしていただけ・・・それだけの違いよ」

 

「考えが甘かったと言う事ね」

 

「たらればの行動をするなら、想定よりも酷い前提で考えなさい。その方が幾分かマシよ。・・・その際に、私情は持ち込まない方が良いわよ」

 

「高坂さんは私に冷酷になれと言いたいの?」

 

「冷酷な心も持ち合わせなさいと言っただけよ。・・・いつまでも御守りをするつもり?同門だから、幼馴染だからと言ってズルズル着いて行った先には、身の破滅よ」

 

「・・・」

 

「まぁ考えるのは人それぞれだから、私からの忠告はこれで最後よ」

 

皐月は八重樫の傍から離れてハジメの傍へと帰り、深月の連絡を待つ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハジメ達の帝国の観察も済み、これ以上長くなる様なら深月を切り上げさせて冒険者ギルドへと行こうと計画を立てていると、空き家から深月がホクホク顔の良い笑顔で出て来た

 

「お嬢様、とても良い情報を得られました」

 

「カム達の居場所が分かったのかしら?」

 

「正解です。少しばかりオモテナシしましたら快くお教え頂きました」

 

「おもてなしは大事よね。・・・うん」

 

深月がどの様にして情報を得たのかは理解出来た。帝国兵の皆さんに南無南無してカム達の救出は深夜に行う事となった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月日が辺りを照らす中、物陰に潜む影―――――ハジメ達である。因みに、勇者(笑)パーティーと遠藤も付いて来ていたりする

 

「おいお前等、正直言って邪魔だからここに居ろ」

 

「邪魔だと!?俺達はシアさんの家族を助ける為に此処に来たんだぞ!」

 

「気配を消せない、声が一々大きい。邪魔でどうしようもないんだけど・・・」

 

「あ、遠藤さんは別ですよ?私が先行しますので、その動きを見ていて下さいね」

 

「あ、うん。分かった」

 

深月は気配を透過して、足音を立てず正門から堂々と入って行った

 

「さて、遠藤・・・準備は良いか?」

 

「南雲・・・もしかしてあの警備を真正面から突撃しろと?」

 

「大丈夫よ遠藤君。少しの間だけでも、深月に鍛えてもらった気配遮断で行ける筈よ」

 

「うぅ、自信が無いんだけど」

 

「大丈夫だ遠藤、こういう時の為に用意した物がある」

 

ハジメが宝物庫から取り出したのは、木製の籠だった

 

「・・・どうしろと?」

 

「深月が言っていたんだが・・・とある蛇?は段ボールで敵陣深くまで潜入したとの事だ。だったら、この世界観に合った木製の籠なら大丈夫だろ」

 

「待って・・・俺そんな人知らないし、潜入の技能なんて無いんだけど!?」

 

「遠藤――――自分が信じられないってんなら、深月を信じろ。あいつが入って行く所を見ただろ?深月はお前をかなり評価しているし、信じてもいるんだ。お前が信じるあいつを信じろ。あいつが信じるお前を信じろ」

 

「あれ?それって熱血アニメの―――」

 

「シャラップ!それ以上はいけない!」

 

結局、遠藤はハジメに渡された籠を被って真正面から潜入する事にした。だが――――

 

「ん?何だこの籠?」

 

「どうした?」

 

「いや・・・いつの間にこの籠あったんだ?って」

 

「・・・一応中を確認するぞ。危険物だったら大変だからな」

 

「だな」

 

遠藤が被っている籠に近づく兵士達を見て、ハジメは「あれ?待って・・・ヤベェ」と口漏らし、助けに入る間もなく籠が持ち上げられた。これで遠藤は終わりだなと悟ったが

 

「誰も居ない」

 

「って事は忘れものか?」

 

「落とし物の可能性もあるな」

 

「一応預かっておくか」

 

なんと、遠藤は見つからなかった。実は、兵士が籠を持ち上げる際、死角にゆっくりと移動して背後に周り城へと入ったのだった。それをどうにか見たハジメと皐月の感想は唯一つ

 

「遠藤がどんどんと人間離れしていってる件について」

 

「流石ね。自動ドアにすら反応されない影の薄さは凄かった」

 

こうして、遠藤は潜入に成功し、中で待機していた深月と合流して地下牢へと向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~深月side~

 

暗い地下牢――――光一つ存在しない闇の中に格子のはめ込まれた無数の小部屋がある。その格子は特殊な金属製でちょっとやそっとじゃ壊れず、地面に刻まれた魔法陣と相まって誰も逃がさないと言わんばかりの存在だ

 

潜入開始です。いや~、光が全く無いのはとても良いですね。罠も存在していますが、魔力操作出来る者からすればザル以外の何物でもありませんね。というよりも、罠が仕掛けられている場所がありきたり過ぎます。予想した場所に在ったり無かったり・・・手ぬるいですね

 

深月は、罠が仕掛けられている場所のおおよその所を決めて感知系魔法を使って調べていたりする。結果―――予想した場所以外に罠が仕掛けられていなかった。ただ単に、深月の経験則の方が濃いと言うだけだ

汚物や血の匂いの悪臭の中進んで行くと、一際汚れた場所を発見。恐らく懲罰室か何かと判断した深月は、扉に手を付けて中の様子を伺う。そこから聞こえた声は、男の声の罵声。しかも、聞いた事のある声だった

 

『何だ、その腑抜けた拳は!それでも貴様、帝国兵かっ!もっと腰を入れろ、この"ピー"するしか能のない"ピー"野郎め!まるで"ピー"している"ピー"のようだぞ!生まれたての子猫の方がまだマシな拳を放てる! どうしたっ!悔しければ、せめて骨の一本でも砕いて見せろ!出来なければ、所詮貴様は"ピー"ということだ!』

 

『う、うるせぇ! 何でてめぇにそんな事言われなきゃいけねぇんだ!』

 

『口を動かす暇があったら手を動かせ!貴様のその手は"ピー"しか出来ない恋人か何かか?ああ、実際の恋人も所詮"ピー"なのだろう?"ピー"なお前にはお似合いの"ピー"だ!』

 

『て、てめぇ!ナターシャはそんな女じゃねぇ!』

 

『よ、よせヨハン!それはダメだ!こいつ死んじまうぞ!』

 

『ふん、そっちのお前もやはり"ピー"か。帝国兵はどいつこいつも"ピー"ばっかりだな!いっそのこと"ピー"と改名でもしたらどうだ!この"ピー"共め!御託並べてないで、殺意の一つでも見せてみろ!』

 

『なんだよぉ!こいつ、ホントに何なんだよぉ!こんなの兎人族じゃねぇだろぉ!誰か尋問代われよぉ!』

 

『もう嫌だぁ!こいつ等と話してると頭がおかしくなっちまうよぉ!』

 

かなりカオスな叫びが聞こえ、深月は頭が痛そうにこめかみをグニグニと押さえていた。遠藤に関してはドン引きしていた

 

「えぇ・・・これ・・・助けなくても良いんじゃ?」

 

「いえ、これ以上は死ぬと言っているので救出しなければいけません。ハードマン方式の良し悪しを合わせた状態ですか・・・

 

深月は、某蛇の如く音を立てずに扉を開けて中に居た兵士達に襲い掛かった。急所を的確に捉えてCQCの一撃を入れて倒す。一人倒れた音を聞いて兵士達が振り返るが、気配を透過させて襲い掛かり全員を打ち倒した。カムは、透過を解除しての自身の前に立っていた深月を見て驚愕をしている

 

「み、深月殿?何故この様な場所に」

 

「それよりも怪我の具合はどうですか――――と言いたいですが、危険な状態ですね。お嬢様達を呼びますので少々お待ち下さい」

 

「え?ボス達も居るんですか?」

 

カムを無視して、深月は宝物庫から扉程の大きさの枠のアーティファクトを設置する

 

(お嬢様、現在地の兵士は全て倒しました。ゲートキーでの転移をお願いします)

 

(了解、何か必要な物はある?)

 

(カムさんが兵士達に尋問されていました。恐らく気合で耐えているので再生と治療が優先です)

 

(OK、香織の出番ね)

 

念話を終えると、深月が設置したアーティファクトの枠内がグニャリと歪み、そこからハジメ達が現れる

 

「ご苦労様、深月」

 

「兵士達は生きているな。これで面倒事にならずに済んだぜ」

 

「・・・それよりも生きてる?」

 

「ボス、お嬢、ユエ殿・・・」

 

カムはどうしてこの場所にボス達が居るのか理解していない様子だ

 

「父様!?」

 

「酷い怪我じゃな」

 

「シアさん待ってて、私が治すから!」

 

香織がカムを再生魔法と回復魔法で全快にまで回復させていると、ハジメの背からこの場に相応しくない者の声が聞こえた

 

「同じ人同士でなんて酷い事をするんだ!」

 

勇者(笑)の天之河である。ハジメ達が、「どうして来やがった!」と言いたげな表情をしていたので、深月がヤクザキックで向こう側へと返却した。天之河が返却された隙を逃さず、ゲートホールを閉じた。これで勇者(笑)パーティーはこちらへ来れない

 

「さ~て、面倒な奴も居なくなった事だし・・・手早く他の奴等も救出するか」

 

「ボス、お嬢、あいつらが居る場所までの案内を致します」

 

「罠は大丈夫なの?」

 

「私が先行して解除してきます。兵士が居れば、同じ様に対処するだけです」

 

「任せたわ」

 

「かしこまりました」

 

いつも通りの気配遮断でその場を離れた深月とそれを追う遠藤

 

「ボス、お嬢、こちらです」

 

ハジメ達はカムの案内の元、地下牢の道を進む

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~ハジメside~

 

小声ながらも、情報共有をしながら移動するハジメ達。深月が先行しているとはいえ、この場所は帝国の城の中――――何時、何処から兵士が現れても不思議ではないので慎重に移動をする

 

「しかし、深月殿がいきなり現れた時はビックリしましたよ」

 

「深月のあれに関しては本当に恐ろしいぞ?一瞬でも意識を逸らしたら消えやがる」

 

「なんと!それは是非ともご教授願いたいですな」

 

「あ~・・・それに関しては分からないわ。里に残っていたイオ達は駄目駄目って評価されちゃってたし」

 

「雷刃のイオルニクス達が駄目でしたか。・・・しかし、奴はハウリア古参組の中でも中の下、俺達にもチャンスはあるという事」

 

「・・・まぁ、頑張れ」

 

絶対に無理だな。ってか、フラグを立てやがって。・・・案外、今捕まっている奴らもそんな感じになるのか?いや、それは無いと言いたい・・・多分

 

暗闇の中歩いて目的地手前に到着すると、目頭を押さえている深月を発見。どうしたのかと尋ねようとすると、牢の中から話し声が聞こえた

 

「おい、今日は何本逝った?」

 

「指全部と、アバラが二本だな・・・お前は?」

 

「へへっ、俺の勝ちだな。指全部とアバラ三本だぜ?」

 

「はっ、その程度か?俺はアバラ七本と頬骨・・・それにウサミミを片方だ」

 

「マジかよっ?お前一体何言ったんだ?あいつ等俺達が使えるかもってんでウサミミには手を出さなかったのに・・・」

 

「な~に、いつものように、背後にいる者は誰だ?なんて、見当違いの質問を延々と繰り返しやがるからさ。・・・言ってやったんだよ。"お前の母親だ。俺は息子の様子を見に来ただけの新しい親父だぞ?"ってな」

 

「うわぁ~、そりゃあキレるわ・・・」

 

「でも、あいつら、ウサミミ落とすなって、たぶん命令受けてるだろ?それに背いたって事は・・・」

 

「ああ、確実に処分が下るな。ケケケ、ざまぁ~ねぇぜ!」

 

聞こえてきたのは、誰が一番酷い怪我を負ったのかという賭け事の話だ。敵に情報を漏らさず、死ぬ覚悟もして、敵に一矢報いようとする態度から来るものだった。本来なら、彼等に待っているのは奴隷か死の二択のみ。奴隷になれば最後、同族との戦いに駆り出されてしまう。それだけは避けたかったらしい

重傷ではあるものの、死なない程度で治療されている事から、帝国の主は彼等を死なせるには惜しいと考えているのだろう

 

「今頃は、族長も盛大に煽ってんだろうな・・・」

 

「そうだな。・・・なぁ、せっかくだし族長の怪我の具合で勝負しねぇか?」

 

「お?いいねぇ。じゃあ、俺はウサミミ全損で」

 

「いや、お前、大穴すぎるだろ?」

 

「いや、最近の族長、ますます言動がボスに似てきたからなぁ。・・・特に新兵の訓練している時とか・・・」

 

「ああ、まるでボスが乗り移ったみたいだよな。あんな罵詈雑言を浴びせられたら・・・有り得るな・・・」

 

「まぁ、ボスやお嬢ならそもそも捕まらねぇし、捕まっても今度は内部から何もかも破壊して普通に出てきそうだけどな!」

 

「むしろ、帝都涙目って感じだろ?きっと、地図から消えるぜ」

 

「ボスやお嬢は、容赦ないからな!」

 

「むしろ鬼だからな!」

 

「いや、悪魔だろ?」

 

「なら、魔王の方が似合う」

 

「おいおい、それじゃあ魔人族の魔王と同列みたいじゃないか。ボスに比べたら、あちらさんの魔王なんて虫だよ。虫」

 

「なら・・・悪魔的で神懸かってるってことで魔神とか?」

 

「「「「「「「「「それだ!」」」」」」」」」

 

「・・・随分と元気だな?この"ピー"共・・・久しぶりだってのに中々言うじゃないか?えぇ?」

 

「余裕のある会話をしているわね?ちょっと私も混ぜてもらおうかしら―――ねぇ?」

 

「「「「「「「「「・・・・・」」」」」」」」」

 

怒気の孕んだ声が二つ響き、ハウリア達は凍りついたかの様に硬まった。ありえない・・・いや?幻聴か?と遂に自分達は壊れてしまったのかと疑いたくもなる声が聞こえたからだ

 

「おい、こら。なに黙り込んでやがる。誰が鬼で悪魔で魔王すら霞む魔神だって?うん?」

 

「ハハハ、わりぃ、みんな。俺、どうやらここまでのようだ。・・・遂に幻聴が聞こえ始めやがった・・・」

 

「安心しろよ、逝くのはお前一人じゃない。・・・俺もダメみたいだ」

 

「そうか・・・お前らもか・・・でも最後に聞く声がボスとお嬢の怒り声とか・・・」

 

「せめて最後くらい可愛い女の子の声が良かったよな・・・」

 

「へぇ~、私は可愛い女の子に分類されないって言いたいのね?」

 

真っ暗闇を解決させる為に、ユエが光の球を生み出して周囲を照らす。そして、帝城の地下牢にハジメ達の姿が露となる

 

「「「「「「「「「げぇ、ボスぅ、お嬢ぅーーーー!!?」」」」」」」」」

 

「静かにしろ、ド阿呆共」

 

「・・・意外に元気?」

 

「見た目、かなり酷いんですが・・・心配する気が失せてきました」

 

ハウリア達は、かなり酷い怪我を負いながらも、素っ頓狂な声を上げた

 

「静かにしなさい」

 

『あっ、はい・・・ごめんなさい』

 

ハウリア達は皐月の怒気に当てられながら素直に従う。彼等を知っているハジメ、皐月、深月、ユエ、シアは、呆れ顔をしていた

 

「な、なぜ、こんなところにボスとお嬢が・・・」

 

「詳しい話は後だ。取り敢えず、助けに来てやったんだよ。・・・ったく、ボロボロなくせにはしゃぎやがって。どんだけタフになってんだよ」

 

「は、はは、そりゃ、ボスとお嬢に鍛えられましたから」

 

「ボスとお嬢の訓練に比べれば、帝国兵の拷問なんてお遊戯ですよ」

 

「殺気がまるで足りないよな?温すぎて、介護でもされてるのかと思ったぜ」

 

「まぁ、ボスとお嬢の殺気は、数百通りの死の瞬間を幻視できるレベルだから仕方ないけどな」

 

血を吐きながらも、軽口を叩いているハウリア達を、ハジメが咳払いで中断させて牢の開錠を行う。罠が存在していようが、魔力操作が出来るハジメ達の前では無意味。次々と解除されて、錬成で次々と格子を開けて行く。あっという間に全員分の開錠が終わり、ユエの再生魔法と香織の回復魔法で全快した

 

「はぁ、相変わらずとんでもないですね。取り敢えず、ボス・・・」

 

「「「「「「「「「助けて頂き有難うございましたぁ!」」」」」」」」」

 

「おう。まぁ、シアのためだ。気にすんな」

 

「ボス、族長は?」

 

「もう助けている」

 

「流石です」

 

ハジメはゲートホールをパルの居る場所へと繋ぎ、ハウリア達を送った。もうこの帝城には用は無いが、深月はもう少しこの帝国の情報を収集するとの事で、別行動を執る事にした。ハジメは、ゲートキーとゲートホールを深月が持っているかどうかを再確認して転移した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~深月side~

 

ハジメ達と別れ、一人帝国内で行動する深月。各重要拠点の場所に潜り込み、亜人族達の情報を徹底的に収集しているのだ

 

フェアベルゲンに襲撃した事から、大量の亜人族達が奴隷にされていますね。貴族間では愛玩奴隷、兵士間では女性が性欲のはけ口、男性がストレス解消と言う名のサンドバッグと樹海への道案内。弱肉強食の世界なのでとやかくは言いませんが、これはこれでつけ入れそうですね。助けてからのカムさんの様子を観察していて気付いたのですが、あれは戦争を仕掛ける覚悟をした目をしていました。今頃ハジメさんに宣誓しているのでしょうね。ハジメさんも情が深いので戦争には参加しないけれど、その足掛かりとなる土台を作るつもりでしょう

 

深月の予想は当たっており、カムはハジメに、帝国へ戦争を仕掛けると宣誓をしていた。そして、ハジメは戦争に参加はしないが、少しばかり手助けをすると宣言していた

 

戦争してもしないでも、情報は命です。とはいえ、帝国は力ある者が偉い至上主義・・・ハウリア達が戦うならば、トップを暗殺するか脅迫以外に手はありません。重要拠点の場所の把握は重要、人数差がある事から爆発物を使用する可能性もありますし・・・やはり、亜人族の人数も必要ですね

 

ハウリアは約百人程と考えれば、広い帝国の各所を叩き潰す方が効率的なのだ。汚い?戦争に綺麗も汚いのへったくれも無い。いや、意地汚い方が生き延びる可能性が大きい

深月はそのまま帝城内へと侵入して情報を収集して分かった事は、一番大きな行事はリリアーナと皇太子の婚約パーティーだ。帝国の主要人物が一同に集まり、ありえない事をして一番大きなダメージが与えられる最高のタイミングである

 

さて、少しばかり引っ掻き回しましょう。"人族"が手を取り合わなければいけない事を大々的に知らしめましょう。メイド服は宝物庫に仕舞って・・・魔力糸で再現して―――――出来上がりです。さぁ、踊って頂きましょう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

茶番の始まりです♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

透過させていた気配を解いて、周囲に威圧を巻き散らした深月。いきなり帝城の中に現れた強大な気配に感付いた者達が駆け足でその場へと向かっていた。現れたのは、皇帝ガハルドとその側近の兵士、後はガハルドと一緒に居たであろうリリアーナとメイドのヘリーナ。そして、遅れる形でゾロゾロと一般兵士達が雪崩れ込んで来た

 

「おい、俺の帝国に一人で仕掛けてきたのは良い度胸だ。だが、この人数差を理解しての行為か?」

 

「・・・」

 

「だんまりか。・・・何処の誰かは知らねぇが、おいたが過ぎたな」

 

「えっ・・・嘘・・・・・」

 

「おい、リリアーナ姫。あいつを知っているのなら教えろ。何処のどいつだ?」

 

「そ、それは――――」

 

深月の顔を知っているリリアーナは一瞬だけ戸惑いを見せたが、深月が先に動いた。左手に魔力糸を集中させて、顔上半分が覆われる仮面を作り出して装着した

 

「失策でした。まさか王国の姫である貴女がここに居るとは思っていませんでした。少しばかり計算外ですね。最初からこれを付けていた方が良かった。さて、私が何故ここに居るのかですが、実力主義の帝国の兵士達の練度を観察する為です」

 

「あ"ぁ"?」

 

深月の事を知らないガハルドは怒気を孕んだ声を上げながら、一挙一動を注視する

 

「では、弱い貴方方に自己紹介を致しましょう。私の名はティフモンド――――本当の神の使徒です」

 

「本当の神の使徒だと?どういう事だリリアーナ姫」

 

「うっ、あっ・・・」

 

そう・・・現在深月の姿はメイド服ではなく、神の先兵が身に着けていた防具を再現した魔力糸で包まれている。ピエロを演じているのだ

聡明なリリアーナでも怒涛の展開に頭が追い付いていないのか、しどろもどろになっている。困りに困っているリリアーナを見て、深月が特定念話でリリアーナへとパスを繋いで一方的に提案をする

 

(リリアーナ様、私の事は王国を襲った神の使徒と説明して下さい。その方が交渉が手早く済みます)

 

ハッと我に戻ったリリアーナは、ガハルドに王国を襲った神の使徒であると伝えた。ガハルドは、頭の上に「?」を浮かべていたが、何かしらの事情があると踏まえて追及は後に回した

 

「本当の神の使徒ねぇ。だったら仮面はもう必要ないんじゃねぇか?素顔はもう見ちまったからな」

 

「素顔ですか・・・あまり意味を成さないですが、今回は良い意味で成した様ですね。ですが、この仮面は少々お気に入りですので付けたままにさせて頂きます」

 

「勝手にしてろ」

 

ガハルドは、態勢を低くして飛び掛かる準備をした時、彼の背から聞こえる声に注意が逸れてしまった。それは、まだ帝国に居た勇者(笑)パーティーの面々であった

 

「リリィ、助けに来たぞ!」

 

「えっ、光輝さん?どうして此処に!?」

 

「君が危険だから助けに来たんだ。俺は勇者だ!この世界の人々を無理やり殺し合いをさせる邪神の手先は俺が倒す!」

 

「は?邪神?どういう事だ?」

 

「すみません・・・本当は二人きりの時にお話ししたかったのですが、エヒト神は我々を裏から操り戦争をさせていたのです」

 

「イシュタルの爺は知ってるのか?」

 

「いえ、その事実を知る前に亡くなりました」

 

「はっ!いけ好かねぇ爺はくたばったか!だが、それはある意味良かったかもな」

 

「相談は終わりましたか?今回は練度を調べる為に来ただけですので、そろそろ帰らせて頂きましょう」

 

これ以上の滞在は面倒になると判断した深月は、このまま帰ろうとした。だが、そうは問屋が卸さない

 

「帰れるとでも思ってんのか?」

 

ガハルド達帝国兵がやる気になっている中、リリアーナが戦う事に反対する

 

「駄目です!絶対に手を出さないで下さい!彼女は・・・途方もない力を有しています!それこそ、帝国を一夜の内に壊滅させる事も可能です!」

 

「・・・冗談を言っている訳でもなさそうだな。全員手を出すなよ!リリアーナ姫の忠告を無視したらこの場で叩き斬るぞ!」

 

ガハルドの言葉に帝国兵達全員が止まり、警戒しながらも手を出す気配はない。しかし、現実をよく理解していない馬鹿が飛び出した

 

「大丈夫だ。勇者の俺が居る間はそんな事させない!行くぞ!うぉおおおおおおおおおおお!!」

 

聖剣を光らせて深月に攻撃を仕掛ける天之河。何も知ろうとしない、理解していない彼は突撃する

 

「ちょ、光輝さん!?」

 

「は?クソ野郎が!」

 

リリアーナとガハルドの表情が引き攣る。リリアーナは深月の心配、ガハルドは帝国の心配といった感じだ。深月は、魔力糸で作った大剣で聖剣を受け止めて武器だけを弾き飛ばして隙だらけとなった天之河の首を掴んで持ち上げる。そして、壁に叩き付けて気絶させた

 

「これが勇者の力ですか。・・・いえ、勇者(笑)と言っても過言ではないでしょう。この程度の力なら慢心していても殺されないでしょう」

 

深月は天之河を石ころ同然の様に見て、さっさと帰る為に跳躍して天井を突き破り撤退した。リリアーナは、ガハルドにフォローを入れながら深月の事を悟らせない様に説明を追加した

 

「ガハルド陛下、あの神の使徒の素顔ですが・・・あれは他人に似せた顔です。王国を救ってくれた者の顔なのです」

 

「・・・そういう事か。リリアーナ姫の恩人の顔にする事で俺達の間に不和を持ち込み、戦力を低下させる事を目論んでいたか。強い癖に意地汚え戦法をするじゃねぇか」

 

「そうですね。それと、この度は光輝さんの暴走に大変ご迷惑をおかけしました」

 

「全く、肝が冷えたぞ。交渉の際はある程度は覚悟しておくんだな」

 

「・・・分かりました」

 

ガハルドは兵士達を持ち場へと帰らせて、警備の強化をする様に指示をする。そして、勇者(笑)達はリリアーナの傍に置く事を条件として帝国に滞在する事を許した

神の使徒姿からメイド姿へと変わった深月は、遠目からリリアーナの様子を見て下準備が完了した事を確信した

 

リリアーナ様には酷な交渉となりましたが、我慢して頂きましょう。そろそろ彼等には自覚をして頂かなければいけませんし、足手纏いを背負う王国にはなって欲しくはありません。お嬢様の後ろ盾になるのなら、十全に動いてもらわねば意味もありません

 

暗躍する深月―――帝国のHPが0になる日は着々と近づいている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




深月「まさかど腐れ野郎の邪魔が入るとは・・・」
布団「お姫様涙目ですぅ!」
深月「ですが、帝国の情報は沢山仕入れる事が出来たので良しとしましょう!」
布団「流石メイドさんと言ったところか」
深月「メイドとして当然の勤めです」





メイドさんのガチギレ時のフォントについて

  • 感情表現が良く分かるからこのままで
  • 読みにくいので普通に戻して
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