ありふれていない世界最強メイド【本編完結済み】   作:ぬくぬく布団

79 / 104
布団「メイドさんが概念魔法を創る回です」
深月「読者の皆様なら予想出来る筈ですよ!」
布団「オッ、ソウダナー(絶対に無理だろうな)」
深月「それでは読者の皆様方、ごゆるりとどうぞ」








メイドは概念魔法を創ります

~皐月side~

 

うっ・・・ここはどこ?天井が氷・・・はっ!気を失ってた!?

 

皐月は目を覚まし、バッと上体を起こして周囲を見る。横にはハジメとユエが横になっており、気を失って眠っている事が分かり、一時ホッとした

 

「そう・・・これが概念魔法なのね」

 

変成魔法を獲得したと同時に、新たな魔法―――概念魔法の情報量の多さに脳がシャットダウンしてしまったのだ。しかし、落ち着いた今だからこそ分かる。この概念魔法ならば地球へ帰る事が出来ると

 

「・・・ん」

 

「ユエ起きた?」

 

「おはよう皐月。概念魔法凄い」

 

「そうね・・・私はもうしばらく横になって情報を整理するわ」

 

「・・・私は外に出る。だから、皐月はごゆっくり」

 

ユエはテキパキと身だしなみを整えて部屋から退室した。要するにハジメと二人っきりでゆっくりして下さいという気遣いだ

 

「ユエの気遣いに感謝してゆっくりとさせてもらうわ」

 

皐月はハジメの隣に寝そべり、抱き枕にして変成魔法と概念魔法の使い方を模索する

 

変成魔法は丁度良いわ。有機的な物に干渉する事が出来るから、錬成師でも適性があるわ。鉱石で出来た魔物を創ったり出来そうだし、自立したゴーレムも出来そう♪

でも、概念魔法は正直きついわね。一番の地球に帰るという意思も足りていない事から人数不足か魔力不足である事が分かったわ。解放者が作った概念魔法は二つだけど、それ相応の魔力が必要・・・複数人の極限の意思と魔力で作ったのでしょうね

 

皐月の予測は当たっていた。極限の意思とはいえ、一人だけの意思では弱い。地球に帰るという意思は一人でも足りうるかもしれないが、魔力が絶対的に足りないのだ。だが、複数人なら魔力不足も解決出来ると分かった

感慨深そうに皐月が微笑みながら抱き締めていると、抱き締められた。ようやくハジメも起きたので、皐月も起きようとしたが強く抱きしめられる

 

「おはよう、ハジメ」

 

「あぁ、おはよう、皐月」

 

「そろそろ起きないとユエ達が拗ねるわよ?」

 

「もう少しこのままでも良いだろ?ここ最近は疎かになっていたからな」

 

ハジメは皐月にゆっくりと深いキスをして、皐月もそれに応える様に互いに求めあう。普通の人達よりも長い長いキスを終えたハジメと皐月は、身だしなみを整えて部屋の外に居るユエ達と合流した

 

「皆、おはよう」

 

「心配かけてすまなかったな」

 

ハジメ達が部屋を出ると、ユエ達が物凄く真剣に変成魔法について語り合っていた。神代魔法を行使するならば、特性をしっかりと理解しなければならないので勉強熱心だなと感じる。だが、一人蚊帳の外で考え込んでいる坂上を見たハジメと皐月はこの状況が理解出来ず、?を量産している所でユエ達がハジメと皐月が起きた事に気付いた

 

「・・・ハジメ目が覚めた?」

 

「いきなりでビックリしましたよ~」

 

「皐月も大丈夫?頭痛くない?」

 

「無理は禁物よ?」

 

「あ、なぐもん、サッツン、おはよ~」

 

「あ、あぁ・・・それは良いんだが・・・」

 

「一人だけはぶられる様に訓練しているのはどうしてなの?」

 

ハジメと皐月の疑問にユエ達は視線を合わせた後、皐月だけを手招きして耳打ちする

 

「深月曰く、変成魔法で体重を変化出来るらしい」

 

「・・・続けて」

 

「太ったら痩せる事が出来ると言っていました」

 

「バストサイズも自由自在って言っていたよ」

 

「深月さんの料理は美味しい。後は分かるわよね?」

 

「これはハジメが深く追求したら駄目な案件ね。後で私も試すからね?絶対よ?絶対だからね?」

 

ユエ達が必死になっている所で皐月も加わり、概念魔法をそっちのけで研究し始めたのだった。ハジメが居ても二の次と言わんばかりに必死の形相だ

 

「南雲、深く聞くのは止めておけ。・・・俺はそれで地獄を体験した」

 

「坂上・・・その、なんだ。立派な紅葉だな」

 

「あぁ、何を必死になっているか分かんねえが・・・理不尽だった」

 

男二人はこれ以上藪を突くのは危険だと判断して深く追求する事はなかった。だが、坂上が食べている物を見たハジメはそれを奪おうとジリジリと距離を詰める

 

「・・・何を食べてる」

 

「こ、これは俺が作った鍋だぞ!?食料は・・・分けてもらったがよぉ」

 

「無駄飯喰らいか?良い度胸だな」

 

ハジメが威圧を掛けて坂上に近づくが、その手前で頭部をコツンと叩かれる。後ろを振り返ればお盆を持った深月が居り、手にはお玉を持っていた

 

「私は叶いもしないしつこいお願いが嫌だったので食材等を分けただけです。そして、これがハジメさんのご飯です」

 

お盆の上に置かれたお椀に入っていたのは、卵粥だった。ハジメとしては濃い料理でも良かったのだが、そこは深月が体調管理をしているので文句は言わない

 

「うん、ほんのり効いた塩味と卵がうまいな」

 

ハジメは卵粥をゆっくりと食べ、用意されたアンカジ印の水を飲む。そして、深月は皐月に卵粥を渡して傍に待機する

 

「あ、お粥?深月、ありがとう。そっちはどうだったの?」

 

「頭痛は治まりました。問題は概念魔法をどの様に創るかです」

 

「成程ね。・・・ステータスはどうなの?昇華魔法の所に引かれていた線は消えた?」

 

「・・・確認していませんね」

 

深月はステータスプレートを取り出して昇華魔法が手に入ったのかを確認すると、何とも言えない表情で無言でステータスプレートを皐月に提示した

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

神楽深月 17歳 女 レベル:???

天職:メイド

筋力:105000

体力:150000

耐性:130000

敏捷:170000

魔力:95000

魔耐:95000

技能:生活魔法[+完全清潔][+瞬間清潔][+清潔操作][+範囲清潔][+清潔進化][+清潔鑑定] 熱量操作[+蒸発][+乾燥][+瞬間放熱][+放熱持続][+冷蔵][+冷凍] 超高速思考[+予測][+並列思考][+二重思考] 精神統一[+明鏡止水] 身体強化[+魔力吸引補強][+全属性補強][+全属性性能向上][+強化レベルⅠ~Ⅹ] 魔気力制御[+放射][+圧縮][+遠隔操作][+複合][+憑依][+魔気力展開] 気配感知[+特定感知] 魔力感知[+特定感知] 熱源感知[+特定感知] 気配遮断[+透化][+断絶] 家事[+熟成短縮][+発酵][+魔力濾過][+魔力濾過吸引] 節約[+気力][+魔力] 裁縫[+速度上昇][+精密裁縫] 交渉 戦術顧問[+メイド] 纏雷[+電磁波操作] 天歩[+空力][+縮地][+豪脚][+瞬光][+無音加速][+音越え][+無間] 幻歩[+幻影][+認識移動] 風爪 衝撃波[+収束][+拡散][+並列] 夜目 千里眼 魔力糸[+伸縮自在][+硬度変更][+粘度変更][+着色][+物質化][+振動伝達] 胃酸強化 超直感[+瞬間反射][+未来予測] 状態異常完全無効 金剛[+超硬化] 威圧 念話[+特定念話] 追跡[+敵影補足][+識別] 超高速体力回復 超高速魔力回復 魔力変換[+体力][+治癒力] 心眼[+見極め][+観察眼] 極意 限界突破[+覇潰][+極限突破] 生成魔法 重力魔法 再生魔法 魂魄魔法 昇華魔法 変成魔法 概念魔法 忠誠補正[+成長補正][+技能獲得補正] 言語理解

称号:メイドの極地を超えし者

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

これを見た皐月の感想はただ一言だった

 

「・・・・・なぁにこれ」

 

元々がバグレベルのステータスが更に強くなり、技能が追加されたり統合されたりといった化け具合だった。しかも、称号に至っては、"メイドの極致に至る者"から"メイドの極致を超えし者"という枠組み超えちゃったぜ!みたいな意味不明の表記なのだ。皐月が目頭を押さえていると、気になったユエ達が覗き込んで納得した

 

「深月が更に強くなった」

 

「ちょっと待って下さい。身体強化のレベルがヤバくないですか?私でもⅥが限界ですよ!?Ⅹって何ですか!?」

 

「おっと、これはヤバいのじゃ。・・・淑女に戻れて良かったのじゃ」

 

「うわぁ・・・何と言うか・・・うわぁ・・・・・」

 

「これって嘘よね?冗談よね?こんな数値と技能の数なんて見た事ないわよ!?」

 

「ミヅキン・・・ごめんなさい。これからは深月さんって呼びます」

 

この女性陣の反応に気になったハジメと坂上が覗こうとするが、遠くて見れない。そんな二人に、皐月がハジメにステータスプレートを手渡して現実を逃避する様に窓の外に見える景色に視線を移した。そして、受け取ったハジメと坂上がステータスプレートを覗き、深い深い溜息を吐くハジメと、余りにも規格外の強さに呆然とする坂上であった

 

「・・・本当に何だよこれ」

 

「このステータスで影に倒されたって事は・・・あれ?試練はクリアしてる?じゃあ、格上を倒したってのか!?」

 

ハジメは、想定以上に強くなっていた深月に頭を抱える。そう、ハジメは深月をハーレムに加えるのであれば勝利しなければいけないのだ。恨めしそうに深月の方に視線を移すと、当人は(`・∀・´)エッヘン!!と胸を張って勝利を確信していた

 

どうしよう。・・・ハジメが深月に勝つにはどうすればいいの?五倍近いステータス差をどうやって打ち負かせばいいのよ!あぁ、本当にどうするつもりなのよ。・・・・・はっ!?今はそんなことしている暇はなかったわ!

 

当初の目的を大幅に脱線した状況に、皐月は現実にいち早く戻る

 

「さて、変成魔法の研究も進めたいけれど、今は概念魔法についてよ」

 

「どうしてハジメくん達が倒れたのかは深月さんから聞いたよ」

 

「情報量が多すぎて受け止めきれなかったと言っていたけど・・・概念魔法ってそこまで凄い物なの?」

 

香織と雫の疑問もあるが、神代魔法一つ習得するだけでもかなり頭が痛くなるので可能性としてはありえるだろうと思っていた。しかし、深月から大雑把に聞き、新しい魔法を創るのにそんなに多くの情報が要るのか?と疑問に思っていたのだ

 

「凄いってレベルじゃないわよ。一人では足りないかもしれないけど、ハジメも居るから地球に帰る為の概念魔法は絶対に創れるわ」

 

「だな。そして、クソ神をぶち殺す為の入口も開ける。俺の女に手を出した事を後悔させてやるよ」

 

皐月の言葉を聞いた香織達は、「良かった。帰る事が出来る」と感激し、ハジメの言葉については地球に手出しする可能性があるエヒトとは何が何でも戦わなければいけないという事なので敢えて何も反応はしない

ハジメは皐月と深月とユエに目配せをして立ち上がる

 

「さっそく挑戦するのかの?」

 

「ああ。話しているうちに知識の整理も出来た。まるで、ニンジンを目の前にぶら下げられた馬みたいな気持ちなんだ。試さずにはいられない」

 

「要らぬちょっかいが入らない今しかないのよね。エヒトが存在していたら絶対に邪魔して来るわよ」

 

ハジメと皐月とユエは、神代魔法の魔法陣があった部屋で概念魔法を創る為に移動する。しかし、深月は一緒に着いて行く事はなかった

 

「ん?深月?一緒に概念魔法を創るわよ」

 

「あぁ、申し訳御座いません。私は除外して下さい。私の極限の意思とはお嬢様の幸せの一点限りなのです。命令されたのなら付き従うのがメイドとして当たり前なのですが、今回ばかりはこれが邪魔する可能性が高いです」

 

「あ・・・あぁ、そうだな。深月はこの部屋に誰も入って来れない様に―――」

 

「いえ、私の方も個人的な概念魔法を創りたいのです。保険には保険を兼ねてです」

 

「・・・ハジメ、皐月。深月は何か考えがあっての提案だと思う」

 

ハジメと皐月が深月は必要だと思っていると、ユエは二人と違って深月は何かしらの考えがあって一人で挑戦したいとの事に納得している。この世界の事に一早く気付いた深月なら、この後待ち構えるエヒトとの戦いに役立つ何かを創る可能性が大きいと判断したのだ

 

「深月、本当に創った方が良い魔法なの?」

 

「ほ、保険ですよ?使わない事に越した事はない魔法です!あ、一応秘密ですよ?」

 

「・・・なら、深くは聞かないわ。これでもし、禄でもない魔法だったら―――有無を言わさないわよ?」

 

深月へ忠告をした皐月はハジメとユエを連れて奥の部屋へと入って行った

 

「さて、私も概念魔法を作りましょう!」

 

そして、深月も別室へと移動して概念魔法の制作へと移った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~深月side~

 

部屋に入り、深呼吸。そのまま座禅して瞑想を始める

 

概念魔法―――私が最も必要なそれは唯一つ。お嬢様を護るという思いのみ!魔力はたっぷりとありますので納得出来るまでつぎ込みます!敵意を持った攻撃を弾く―――いえ、逸らす概念。影との戦闘で学んだ受け流しを付与する感じでしょうか?とにかく、イメージは一つ

お嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護るお嬢様を護る

 

常人が深月の思考を見たら発狂するレベルの重く、硬い意志だった。魔力をゴリゴリと削りながら、魔力糸で作った御守りに全力を注ぐ。膨大な魔力が渦巻きながら御守りに注入され、過剰魔力が漏れるが圧縮して限界以上に込める。遂に限界レベルまで注ぎ込まれた御守りが光を爆発させた

 

「あっ」

 

皐月を護る事だけを考えていた為、この光の爆発に飲まれて視界が一時的にお亡くなりになった

 

「め、目が~、目がぁああああ!」

 

ついつい前世のネタを口走り、それが聞こえて心配したシアが部屋に押し入った

 

「深月さん大丈夫ですか!?」

 

地面をゴロゴロと転がり、目を抑えている深月を心配したシアが声を掛ける

 

「光の爆発が直撃しました・・・。前が見えません」

 

「あっ、それなら大丈夫ですね~。私は戻りますぅ」

 

視界が潰れた程度では深月の強さは不変だと分かっていたシアは、何事も無かったかの様に自然に退室した。視界が白一色になったので再生魔法で元に戻して御守りを見ると、深月の髪色と同じ白銀に染まっていた

 

「ふむ?これは成功なのでしょうか?」

 

自分では会心の出来だと思っているが、実際に効果があるかどうかは不明である。何せ、皐月に対する悪意を逸らすだけという条件下で発動するので確認のしようがないのだ

 

お嬢様に身につけて頂いて攻撃?・・・駄目です。絶対に駄目です!確認する為とはいえ攻撃なんて許しません!さて、私の方は済みましたので後はお嬢様達の頑張り次第と言った所でしょうね。ですが、お嬢様達の意思は強いので心配は要りませんね。さて、最後の仕込みをしておきましょう

 

最終的な保険を処置した深月は、御守りを手に取って部屋から出ると天之河が起きており、つい舌打ちをした

 

「深月さん。・・・舌打ちは止めてあげましょう?」

 

「変な妄想に取り憑かれた勇者(笑)はもう大丈夫だと思っているのですか?ハッキリ言わせていただきますが、考えは変わっていないですよ」

 

「ち、違う!俺はあの時はおかしかったんだ」

 

「そして、雫さんがハジメさんLOVEと知って負の感情を抱いたと―――。ハジメさんが洗脳していなかったとしても、人を殺し、人を見捨てる事に納得していないのでしょうね。しかし、ハジメさんは言っていたでしょう?奈落に落ちてから培った価値観で、それを他人に押し付ける事はしないと。今の勇者(笑)は己の価値観を人に押し付けているのです。どちらが良いかなんて分かり切っているでしょう?流石、人の運命をぶち壊した人ですね。あっ、私も人の事は言えませんね。失礼しました」

 

「俺は壊してい―――」

 

天之河がそんな事は無いと言おうとしたが、ここで香織が事実をぶつけた

 

「お花畑くんはさ、中学の時に他校の生徒に暴力を振るったよね?彼等があの後どうなったか知っているの?知った上でそんな事を言っているなら狂ってるよ」

 

「えっ?香織どういう事?そんな事があったの!?」

 

流石に雫も知らなかった様で、香織の方に視線を向けた。谷口も坂上も香織の言葉を黙って聞く

 

「私も最初に深月さんに聞いただけだったから否定したかったよ。でも、再生魔法で過去に見た光景を見れるようになってからこれが事実なんだって分かった。だから、本当に何が起こったのかを知らなければいけないし、その行動の責任感を理解しなきゃいけない。帝国の先兵襲撃の前までは幼馴染だから治させようと思っていたけど、雫ちゃんの一件で完全に諦めたんだよ」

 

「それでは、鑑賞会をしましょう」

 

深月が手を合わせて開くと、そこから空中に映像が投影される。そこには、トータスに来て当時の皆が映っていた。しかも、音声付きである

 

「こ、これってトータスに来た時のじゃねえか!」

 

「あっ、深月さんがメイドさん達に叱った。なるほど、確かにこれは物的証拠になるわね。でも、証拠ってどう見せるの?」

 

「もうしばらくお待ち下さい。それと、皆さんはトータスに転移した日にパーティーがあった事を覚えていますか?」

 

地球組は当時のパーティーについて思い出していた。豪勢な食事だが、場違い感があるあの日は決して忘れはしない。それ程印象深い一日だった

 

「これは当時私が収集した情報です」

 

映像が切り替わり、パーティー会場から厨房へ行き、途中でイシュタルの後を追っている映像だった。教会の者達しか居ない場所でのやり取りは酷いの一言で、戦争参加に反対した皐月に対する罵詈雑言と戦争に参加すると言った者達の利用方法だった。思考誘導して神の為に働かせ、自分達は楽して戦争に勝つという物だった。これを改めて知った香織達は只々沈黙するだけだった

 

「まぁ、今はイシュタルと言う汚物は存在しないのでどうでもいいです。しかし、理解しましたか?戦争に気軽に参加するという気軽さと警戒心の無さ。周囲を巻き込んだ責任感の無さを。それではテキパキと次に行きましょう。当時の会話が丁度良いでしょうね」

 

そして、映像は再び映り替わる。そこは二人の男性が座って話をしている映像で、部屋は現代風―――地球の一室だった。この室内の様子を見た八重樫は、一早く何処だったのか気付いた

 

「ちょ!?これって私達の中学校の校長室じゃない!?」

 

「あっ!確かにそうだ!」

 

雫と坂上は気付き、遅れる様に天之河も気付いた。そして、そこで話される内容はとても酷い物だった。『暴力は良くなかったが結果は良かった』『悪人に仕立て上げる事に成功した』『不登校になった?我が校が優秀と知らしめるには仕方がない犠牲だ』『あちらの学校もこちらの学校もwin-winだ』等と言った人間の欲望の悪が詰め込まれた内容だった

お通夜並みの空気を気にせず、映像は再び映り替わって一人の女子生徒を多人数の女子生徒が虐めている映像だった。『あんなイケメンに助けられて何様だ!』『どうせ泣きついたんでしょ?』『イモ女のくせに生意気よ!』等と言われて心が傷付き、水を被せられ、髪を切られ等される酷い物だった。これを見た皆が「酷過ぎる」と口を揃える

 

「さて、最後の女生徒についてですが見覚えがありますよね?」

 

「お、俺は・・・知らなかったんだ。知っていたらこんな・・・」

 

「これが私が皆に言う所の責任感の無さですよ。きっと中村さんもこの様に助けられ、放置されて歪んだ結果なのでしょう。そして、女性だけが傷付いたとでも思っているのですか?男子生徒は?学校の大人達に悪であると言われて逆らえなかった彼は?」

 

「っ!?」

 

「も、もういいだろ!これ以上は光輝が傷付いちまう!」

 

坂上が痛々しい天之河を見て、これ以上の口撃は止めてくれと説得する。しかし、深月の口撃は止まらない

 

「いいえ、止めません。大多数の運命を捻じ曲げたその事実から目を逸らすのですか?勇者(笑)が声高らかに明言する正義とは、この様な悪を放置する正義なのです。表面だけで人を助け、裏側は知らなかったから、教えられなかったからと逃げるなんて最低最悪な人の言い逃れに過ぎません」

 

「えっと・・・、深月さん?流石に私も言い過ぎだと思うのですけど・・・」

 

「駄目ですよシアさん。この勇者(笑)は貴女に奴隷の首輪を外すと言っていましたよね?絶対に後の被害を考えていませんよ」

 

「うっそですよ~。流石に分かっている筈ですぅ~」

 

「さぁ、勇者(笑)はどの様に考えていたのですか?奴隷を開放したらどうするつもりだったのですか?俺が守る!なんてありきたりで曖昧な答えは聞きませんよ」

 

「そ、それは・・・皆を説得したら」

 

「いやいやいや、香織さんから聞いていますよ?帝国の在り方や仕組みは学んだって言っていましたよ?説得で解決するのでしたら亜人族の奴隷を誰よりも先に開放していますよね?」

 

天之河の心にシアの正論のバリスタの矢が突き刺さった

 

「因みに、奴隷の首輪を身に着けているシアさんが攫われる可能性は何十回もありましたよ?言葉巧みに騙して手に入れようとする輩、数の暴力を頼りに攫う輩、教会の名利用して攫う輩―――本当に護れたのですか?畑山先生が爆散させる前の教会信者は亜人族の事を薄汚い等と言って公衆の面前で排除する者達ですよ?そもそも、イシュタルと言う汚物の言葉を真に受けていた頃では無理ですね。いえ、今でも無理じゃないですか?もし、見目麗しくか弱く足手纏いな奴隷が居て、大迷宮に挑むとなればどうしますか?」

 

「・・・安全な宿に泊まらせる」

 

「皆さん分かりましたか?最悪を想定していないからこそ出てくる言葉ですよ」

 

シアとティオと香織と雫以外は分かっていない様子だ。「どういう事?」と天之河の言った言葉が正解ではないのかと不思議そうに思っている

 

「私が先程も言いましたが、一人にした瞬間に攫われますよ。正解は、足手纏いを脱却させる為にスパルタ訓練をして戦力の一人とする事です。難しい事ではないでしょう?奴隷、か弱いの二点からレベルは低い事が確定しています。もし、レベルが高くて、何もかも戦力にならなければ奴隷商の元に返却すれば良いだけです。最低限の衣食住は保証されますから」

 

「何で・・・何でそこまで割り切れるんだ」

 

「割り切る事の何がいけないのですか?」

 

「奴隷は開放すれば自由になる」

 

「自由になりますね。襲ったり、攫ったり、殺したり、強姦したりと様々ですよ。法的措置が機能しにくいこの世界で一番危険なのは自由なのです。誰に何をされようと皆が見て見ぬふりをする事が当たり前なのです。シアさんが攫われそうになった理由は、兎人族で珍しい髪色とスタイルの良さですから。兎人族でなくとも攫われる理由としては十分ですね」

 

「本当に申し訳ございません!」

 

シアは深月に土下座で謝罪した。過去に戻れるなら自分をぶん殴ってでも価値観を徹底的に教えたいという程、能天気だった自分は黒歴史物だ

 

「シアって物凄く狙われていたんだね・・・」

 

「犯罪組織を三十は潰しましたからね」

 

「さっ!?えっ?嘘よね?」

 

「全員に物理でお話ししたので狙う輩は居なくなりましたね」

 

この話を聞いた雫は、王国に居た時に聞いた一つの噂を思い出した。いきなり現れて全員を叩き潰し、幽霊の様に消える白い何かの事を

 

「もしかして・・・噂の白の霧って・・・深月さんなの?」

 

「白の霧?」

 

「え、えぇ。犯罪組織の悉くを潰し、生き残りはただ一人だけ。その人物に何があったのかを聞こうとしても発狂して何も聞けないって噂だったの」

 

「私で間違いないですね。まさか、シアさんを攫おうとする犯罪組織を壊滅させただけで二つ名を拝命するとは・・・」

 

「人を殺したのか!?」

 

深月がただ一人だけを残して全てを壊滅させた事に天之河が驚愕する

 

「最初の方は見逃していましたよ?まぁ、私なりの慈悲ですね。ですが、仏の顔は三度まで―――同じ人物が企てたそれを見逃す道理はありません。ですので、それからは一人だけ残して徹底的に狩る事にしたのです。この世界で見逃しは何の意味もなく、次があってもチャンスがあると勘違いする馬鹿が居るだけです」

 

シアとティオと香織は深月が最初の方は見逃した事に驚愕し、反省の余地なしと決めたら徹底的に処分すると聞いてホッとした。深月が犯罪組織を潰し回る事で、抑止力となる現状が一番効果があると理解しているのだ

 

「さっすが深月さんですぅ。チャンスを与えて物に出来なかった馬鹿達の哀れな末路ですぅ!」

 

「そうじゃのう。抑止力として最高じゃの」

 

「最初は見逃していた事に驚いたよ。でも、反省してなかったから処分は間違いじゃないよね!」

 

「三回も見逃したのにも関わらず攫おうとしたのね。殺されるのも仕方がないし、犯罪組織の者達を全滅させる事も不思議ではないわね」

 

シアとティオと香織と雫は、そこまで見逃してもやらかすなら処罰しても当然だと割り切った。しかし、それでも人殺しをする事に抵抗がある天之河と坂上と谷口だった。かなり重苦しい空気が場を支配していると、かなり強い衝撃が駆け抜けた

 

「これは・・・ハジメさん!皐月さん!ユエさん!」

 

「少々お待ち下さい。様子を見に行きます」

 

深月は強い衝撃を真正面から受けても悠々と歩を進めて確認した

 

ドアが開いて・・・そこから魔力が溢れているのですね。閉じれば爆発する可能性もありますので、外で待機するだけですね。さて、戻りましょう

 

深月はシア達の元に戻り、問題なしと伝えたと同時に室内に映像が溢れた

 

「これって・・・」

 

「え、映像?」

 

「暗い・・・洞窟?」

 

魔力の霧がスクリーンとなって映像を映す。断片的であるが、異常な光景に見入る。その時、谷口が何処を映しているのか気付いた

 

「何だか、オルクスみたい・・・」

 

「正解です。そして、これは奈落に落ちてからの出来事ですか・・・。これは私も見た事が無い情報です」

 

谷口の推測に深月が肯定する。しかし、皆が見ているのは今まで見た事のない緑光石の色と、大自然の様な洞窟だった。天之河達が居た場所のオルクス迷宮は表層で、人が作った構造物みたいな体裁があったからだ。さらに映像が映り替わり、まるで人の目線で移動していた。大岩の陰に隠れて赤黒い線の入った魔物達の戦闘を映し、そこから伝わる魔力の変化

 

「これは、不安?・・・それに焦り」

 

「恐怖も感じるわ。・・・記憶、なのね。この映像は」

 

「おそらくご主人様じゃな。話に聞いていた"奈落"という場所の記憶というわけじゃの」

 

二つ尾狼達を余裕で倒す蹴りウサギに恐怖し、逃げようとした時に小石を蹴ってしまった焦燥。走って逃げ、錬成で作った土壁は一蹴りで貫通して腕諸共粉砕されて地面に転げる。死を悟り目を瞑ったのか、映像が暗くなる。しかし、目を開けば恐怖で震える蹴りウサギを見て驚愕と焦りが生まれた

岩陰から現れた白い巨体―――爪熊だ。ハジメ達の目の前で蹴りウサギが一瞬で絶命し、離れた位置から爪を振るった。そして襲い来る痛みと叫び。一つは己の腕を咀嚼している爪熊に恐怖し、もう一つは生きたい一心で壁に穴を開けた映像だった。そして、ハジメの手を引いて穴の奥へと移動しようとした所で映像は途切れ、もう一つも生きたい一心で奥へ、奥へと進み映像が途切れた

 

「ハジ、メさん・・・皐月さん・・・」

 

シアが涙を流し、香織と雫と谷口は口元を手で覆っている

途切れた映像が再び映り、生きていた理由と神結晶と神水に出会った。それからは壮絶の一言に尽きる。二人は助けを求めながら神水を飲み、幻肢痛に耐え、空腹に耐え、憎しみを募らせる。何故?どうして?が塗りつぶされ―――コロシテヤルの一言だけになり、遂には全てがどうでもよくなって生きたいとなり、最後は生きて帰るだけとなった。それからはハジメと皐月の愛の告白があり、二人が生きる為に手を取って生きて帰るという意志だった

生きる為だけに動き、敵を喰らう。殺意をばら蒔きながら愛する人と生きる為、返る為と肉を食べ、血を啜った

 

「っ・・・これが、あの姿の・・・」

 

「聞いてはいたけどよぉ・・・こいつは強烈だな・・・」

 

そして、再び伝わる絶叫。地面にのたうち回り、互いに愛する者を見れば骨や肉がゴリゴリと動いている生々しい光景だ。崩壊と再生の末に手に入れた力と試行錯誤を繰り返して、異世界産の火薬を作って今のドンナーを作った。そして、己が傷付く可能性があっても魔物と戦い力を手に入れて爪熊と戦う為に準備万端。しかし、爪熊を発見した先に見つけたのは深月だった。その姿は酷くやせ細っているにも関わらず爪熊と対峙していたという事だった

 

「いやいやいや!?深月さん何やってるんですか!?あれはハジメさんと皐月さんの獲物ですよ!?」

 

「しかも冷静でないぞ!?」

 

「いえ・・・お嬢様が身に着けていた服の一部がありましたので・・・暴走しちゃいました♪」

 

絶不調にも関わらず戦っていたが、戦闘中に吐血して押し倒され、頭を喰われようとした所で片方の目玉を潰すという咄嗟に動けない筈の事を平然とやってのける。腹部に爪が貫通していようとも、何が何でも殺す殺意に二人は思わずたじろぐ。しかし、深月が吹き飛ばされて壁面に叩き付けられ、爪熊は両目を潰され、何とも言えない感じで頭をドパンッ!して救出。しばらくして目を覚ました深月の取り乱しを見た後、何が何でも帰るという意思がより強くなった

 

「深月さんでも動揺するんだね」

 

「お嬢様に捨てられたら即首を吊りますよ?」

 

「その忠誠心は流石と言うべきか・・・残念と言うべきか分からないわね」

 

―――帰りたい。愛する人と一緒に帰りたい

 

魔力に乗って言葉が聞こえ、周囲一帯に散らばった魔力が吸収される様にハジメ達が居る室内へと移動する

 

「・・・概念魔法が出来る一歩手前ですね。さて、そこで違うといった負の感情を溜めている勇者(笑)はどうしましょう」

 

深月がいきなり指摘し、天之河はビクッと体を震わせた。その顔は何処か納得していない表情をしていた

 

「光輝、いい加減にしなさいよ。私が誰を好きになろうとそれは私の自由よ」

 

「・・・あ、あぁ」

 

雫の指摘を受けた天之河は目に見えて気落ちしていた。しかし、それを女性陣は庇う事はしない。共に良い気持ちで人生を歩むなら少しは援護するが、天之河の考えは自分だけしか考えていないだ。そうこうしていると、奥の部屋からハジメ達が帰って来た

 

「何だこの空気?」

 

「深月何かやった?」

 

「またぶっ壊れ性能?」

 

ハジメ達は深月が創った概念魔法がぶっ壊れの性能でドン引きしているのかと思っていたが、よくよく周囲を見ていると天之河が暗い表情をしていた

 

「あぁ・・・何となく分かった」

 

「・・・ざまぁ」

 

「ユエ、そんな事言っちゃ駄目よ。こういう時は、愉悦wよ」

 

「勉強になる」

 

「間違った知識を植え付けるなよ」

 

「!?」

 

ハジメのツッコミでユエが驚いた表情で皐月を見て、皐月は微笑んでいた。確かにこの状況でざまぁ!は間違いではない。愉悦は・・・他人の不幸でご飯がンビャアアアアアウンマァアアアイ!なのだ。いや、どちらも当て嵌まっていると言った方が正しいだろう

 

「それはそれとして、お嬢様達の方は如何でしたか?」

 

深月の言葉にハッと気づいた皆がハジメ達を見る。そして、ハジメは手に持った鍵状のアーティファクトを見せる

 

「こいつはゲートキーとは違う・・・その性能からクリスタルキーと名付けた。望む場所へ扉を開く概念を付与した最高の一品だ」

 

「検証はしていないけど、皆で確認するなら丁度良いでしょ」

 

ハジメは、「取り敢えず起動させるぞ」と言ってクリスタルキーに魔力を注ぎ捻った。すると、目の前の空間が揺らぎ、楕円形の穴が開き始めた

それだけなら良かったのだが、その穴の奥からビシッバシッという打撃音と「あぁん!」という艶かしい女の声音が聞こえ、完全に開き終えたゲートの奥には鞭を持ったカムと恍惚な表情で鞭に打たれるアルテナの姿だった

 

「この恥知らずのメス豚がぁっ。昇天させてやる!」

 

「あぁ!カム様ぁ! 流石、シアのお父様ですわぁ!すんごいぃいい!!」

 

いきなり出現した凄い光景に、ハジメと皐月と深月とユエとティオ以外の皆があんぐりを口を開けて呆然とする。そして、カムはいきなり現れた気配に気付いて振り返ってハジメと皐月が見ていた事に、目を見開いた

 

「ボ、ボスぅ!?お嬢ぅ!?な、なぜこんな場所に、ボスのゲートが!」

 

「ぇ?って、シア!それにハジメ様達まで!」

 

驚愕するカムとアルテナに、ハジメと皐月が冷めた声で言葉を掛け、ユエはシアを慰める

 

「・・・よぉ。何かお楽しみの最中に邪魔したな」

 

「・・・二人は凄い関係になったのね。修羅場は避けなさいよ?」

 

「・・・シア、気をしっかり」

 

「これが黒歴史なのじゃな・・・過去の妾痛すぎるのじゃ」

 

ハジメと皐月の物言いに、「ご、ごごごごご、誤解ですボスぅ!お嬢ぅ!」とシアとそっくりな口調で弁明する。しかし、ゆらぁと立ち上がりハイライトが消えた目でドリュッケンを担ぎ、ゲート越しのカムとアルテナを睥睨すると、ジャキ!と砲撃モードのドリュッケンを構えた

 

「ま、待て、シア!お前は猛烈に誤解をしている!父は決してっ」

 

「シア!カム殿は素晴らしい御人ですね!流石、シアのお父様ですわ!ちょっとシアの私物を拝見しようとしただけの私に、あんなに激しく!しかも力加減が絶妙ですの!」

 

カムの必死な弁明もアルテナの暴露によって全てが台無しになり、実の父と一応?が付く友人がアブノーマルな事をしている事情を見たシアは

 

「いっぺん死んでこいですっ、この変態共がっ!」

 

躊躇う事無く引き金を引き、炸裂スラッグ弾が発射された。ハジメは、黙祷しながら弾丸が通った瞬間にゲートを閉じた。完全に閉じる前に、「ぎゃあああああああ!」やら「あぁあああん!!」なんて聞こえていない。聞こえていないったら聞こえていない

 

「・・・ん。シア、元気出して」

 

「大丈夫だよ、シア。あれは・・・そう、ちょっとした気の迷いだよ。きっと、さっきの一撃でお父さんも目を覚ましてるはずだよ」

 

「・・・ぐすっ、ユエさん、香織さん、お気遣いありがとうございますぅ。でも、あれくらいじゃ家の父様は死んでないでしょうから、ハジメさんの世界に行く前に息の根を止めておきますぅ・・・うぅ、ミンチにしてやるですぅ」

 

「ミンチはいけませんよ。永続的な痛みを教える為にボコボコに殴る程度に済ませましょう」

 

「そ、そうですよね!流石深月さんですぅ!ケツに手を突っ込んで奥歯をガタガタ言わせてやるですよぉ!」

 

取り敢えず、カムの運命はシアによってタコ殴りにされる事が決定した

 

「試運転はある意味失敗したが、これで確信した。地球に帰れる事が分かっただけでも良しとするか!」

 

ようやく手段を得たハジメと皐月は喜び、香織と雫と谷口は歓喜の涙を流し、坂上は雄叫びを上げ、天之河は暗い表情で微笑みを浮かべた。しかし、只一人・・・深月だけはあまり良くない表情をしていた

 

ここは魔人族の領域となれば、出口がバレていますね。そして、中村さんも居て神の先兵も居るでしょう。総力戦としてはいまいち・・・となれば、人質でしょうか。こればかりは流れでどうにかする他ありませんね

 

一人だけこの先に待ち受ける事態を予測し、打つ手なし状況に小さなため息を吐き、ハジメ達がどの様な決断をしてもそれに備える事にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 




深月「答えは―――お嬢様に対する悪意を持った攻撃を逸らす概念魔法でした!私は良い魔法を創りました」
布団「メイドさん自身の強化は考えなかったの?」
深月「いざという時に間に合わないかもしれない可能性があるでしょう!」
布団「という事は、お嬢様は鉄壁になったと?」
深月「悪意が無ければ触れますよ?親愛ならば大丈夫なのです!!」
布団「うわぁ~、これは酷い効果だ」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。