ありふれていない世界最強メイド【本編完結済み】 作:ぬくぬく布団
深月「ワクチンを接種したとはいえ、無用な外出は控えて下さいね?」
布団「さて、話は戻ります。今回は神域の話はほんの少しで、地上戦が主な話となります」
深月「読者の皆様方、ごゆるりとどうぞ」
~皐月side~
ハジメ達は雫達と別れ、試練の様な障害を排除して進む。改良したシュラーゲン
「しつこいわね。でも、ようやく殺す事が出来るわ」
「私とてエヒト様に仇なす貴様達を殺してやりたいが、ここまで来たらイレギュラー二人を通せと仰せつかっている。もし、これを破れば従者の肉体は粉々に破壊して作り変えるとも仰られていた。私としては是非とも抵抗して欲しい」
「かぁ~、つまらねぇ脅しだな。とはいえ、深月の身体を作り変えるなんてご法度だ。クソ神の好みに作り替えられるなんて反吐が出る」
「ユエ、シア、ティオ。こいつ等をギッタギタのメッタメタにぶっ殺してね」
「・・・当たり前」
「撲殺ですぅ!」
「所詮は前座、格の違いを見せつけてやるのじゃ」
ユエ、シア、ティオの三人とフリードと魔物の大群が激突した
エヒトが居るであろう最奥のフロアへ到着したハジメと皐月は、周囲を警戒しながらも一本道を進む
「罠が無いか・・・」
「ラスボスの様に悠々と待ち構えているという事かしら」
一本道を普通に進む二人だが、足音が鳴らない。いや、この空間では音が鳴らないと言った方が良いのだろうか。だが、二人の歩みには躊躇いはなく、上部が霞掛かった白い階段を登る。霞を進むと視界は白く染まり、抜けた先には白一色の世界だった
「ようこそ、我が領域、その最奥へ」
周囲に視線を巡らせていた二人に聞こえた聞きなれたしっかりとした声色のそれは愛する人の声。だが、その声に混じる小汚い感じに苛立つ。二人が声がした方向に視線を向けると、舞台の幕が開く様に空間が歪み十メートル程の雛壇が出現し、その天辺に設置された玉座に妙齢の美女が座っていた
その服装は己の肉体美を釘付けにする様なチラ見せの妖艶さを強調する黒いドレスだった。並みの人間なら足を止めてガン見する程の美しさだが、今のハジメにはそんな感情は一ミリたりとも存在しない。それはこちらを見る眼とクツクツと笑っている表情の裏に隠された嫌らしさと醜さを感じさせられたからだ
「どうかね?この肉体を掌握したついでに少々成長させてみたのだ。中々のものだと自負しているのだが?うん?」
「あんた馬鹿ァ?深月の身体を成長させたところで、中に入ってる汚物を煮込んだ様な魂が入っていたら減点一万どころじゃないわよ」
「誰がどう見たって気持ち悪い笑みを浮かべているって分かるぜ。鏡貸してやろうか?」
「ふふふ、減らず口を。だが、我には分かるぞ? お前の内面が見た目ほど穏やかでないことを。恋人を好き勝手に弄られて腸が煮え繰り返っているのだろう?」
「当然だろ。なにを賢しらに語ってんだ?忠告してやるよ。お前は余り口を開かない方がいい。話せば話すほど程度の低さが露呈するからな」
二人の毒舌は感じた事をそのまま言葉にしただけで感情の起伏はなく、エヒトはそんな二人を見てピクリと反応した。そして、笑顔の仮面を貼り付けたまま万能の言葉を口にする
「エヒトルジュエの名において命ずる―――平伏せ」
ごく自然に放たれた神言、問答無用で相手を従わせる神意。かつてハジメ達を縛った言葉
ドパンッ!
「ッ!?」
だが、二人が返した答えは銃撃だった。銃弾はエヒトの障壁によって防がれたものの、当の本人は何故神言が防がれたのかが理解出来ていないのか首を傾げていた
「・・・神言が僅かにも影響しない?」
「俺達の前で何度それを使ったと思ってる。ちゃちな手品なんざ何度も効くかよ」
「変化もない単調なそれを防ぐ術を開発する程度造作もないわ」
「・・・」
エヒトは無言のまま指パッチンをして二人のアーティファクトを破壊しようと試みたのだろうが、空間の歪みによるそれはパチンッと弾かれて正常な空間に戻る
「・・・なるほど。対策はしてきたというわけか」
「むしろ、していないと思う方がどうかしている」
「調子に乗っているなイレギュラー共。神言や天在を防いだだけで、随分と不遜を見せる」
「あんたからどう見えるかなんてどうでもいいわ。クソ神、あの時の言葉をもう一度言ってあげるわ」
「・・・」
「「深月は取り戻す。クソ神は殺す。それで終わりだ(よ)」」
二人の硬い言霊が響き、エヒトはいつも通り踏みつぶして絶望させて殺す事に決めた。王様の様に組んでいた足を解き、頬杖を外して立ち上がる。そして、玉座から極大のプレッシャーを放つ
「よかろう。この世界の最後の余興だ。少し、遊んでやろうではないか」
ふわりと宙に浮き、白銀の髪を波打たせ、黒いドレスをの裾をなびかせる。同時に、エヒトを中心に白銀の魔力が渦巻き、無数の煌めく光球がゆらりと生み出されていく。その数は星の様に輝き、一つだけでも直撃すれば消えかけない威力が内包されている事が感じられる。その輝きは正に神の如く―――。それに対するハジメと皐月は
「「出し惜しみは無しだ(よ)。――全力でいく」」
宝物庫からクロスビットやライフルビットよりもコンパクトなビットが出された。小型かつ、大量のビットは合計が千を超える数だ。それを背後に浮かばせてエヒトを睨む
「さぁ、遊戯の始まりだ。まずは―――踊りたまえ!」
ハジメと皐月Vsエヒトの戦いが始まった
~香織side~
所変わって地上―――深月の初撃で半分近くの先兵は排除、その後突入前に減らし、神域の入り口で殲滅したりと地上の兵力はかなり削がれたのだが、それでも連合の兵士達よりも数が多い。一人一人にアーティファクトを行き渡らせているとはいえ、ステータス差がありすぎる
「怯えるな!真正面を向けっ!守れ―――友を、戦友を、家族を、恋人を、子供を!魔人族だろうと亜人族だろうと関係ない!一人が欠けるだけでも戦線は崩れるぞ!気合いを入れろ!!」
「長年の恨みもあるだろうが、それはこの場では無意味だ!恨みの矛先は全てを操っていた邪神に向けろ!何の為の戦いか思い出せ!」
切り殺されようとした人族を魔人族の魔法が助け、殺されそうになった魔人族を人族が助けと今までの恨みつらみの戦争なんて関係ない。今この場に居る者は全員が戦友であり、皆に護る者がある。奮闘する戦士達の中でも戦果を挙げているのはメルド、ガハルドと言った名のある者だ。カリスマもあり、周囲を引っ張りながら前線を駆け抜けるその姿は皆を奮い立たせる
そして、彼等以上に戦果を挙げているのは地上に残った香織を筆頭としたハジメ達関係者である。ハウリア、メイド達が居るからこそ戦線が持ちこたえているのだ。だが、消耗戦で有利なのは数が多い方である
「ノイントの身体を使っているようですが、これで終わりです」
大量の先兵に囲まれ休みなく攻撃を向けられた香織は、体中に傷を作りながらも生き残る
「まだ、まだだよ。私が倒れたら皆が殺される・・・そんな事はさせない!」
とはいえ、四面楚歌に近い状況は絶体絶命だ。後方で援護しているクラスメイトや、ハウリア、メイド達ですら分解魔法の砲撃には避ける事しか出来ないでいた。攻撃は全て分解され、無暗に近付こうとしたら分解と不可能なのだ。ただでさえエヒトに追加強化をされた先兵は香織よりもステータスを圧倒しているという点もあるのだ
「これで終わりです」
前後左右、頭上から巨大な分解魔法のビームを放たれようとした香織は、走馬灯が脳裏を過った。だが、イレギュラーは別の所にも存在する。香織に分解魔法を放とうとした二十人の先兵は、同時に首が飛んだ
『えっ?』
全員が何が起こったのか理解出来なかった。目に見えないスピードで首狩りされたのならば理解出来るが、それが可能なのは深月のみだ。ハジメ達でも首狩り出来るが、深月の訓練を受けた者達ならば体を認識する程度ならばかろうじて出来る。だが、これは全く見えない
「私は疾影のラナインフェリナ・ハウリア。君は何者?」
「えっ、遠藤浩介・・・です」
『そこに居るのか遠藤!?』
いつもは誰にも認識されない事に涙する遠藤だが、自分を見つけている存在・・・ラナに心惹かれたが、自分の頬を殴って意識を変える
「私は疾風のように駆け、影のように忍び寄り、致命の一撃をプレゼントする、ハウリア族一の忍び手!・・・でも、君を見ていたら、この二つ名を名乗るのが恥ずかしくなっちゃたわ。だから、悔しいけど"疾影"の二つ名は君に譲るわ。だから、君は今日から"疾影"・・・ううん、私を超えているのだから・・・"疾牙影爪のコウスケ・E・アビスゲート"と名乗るといいわ!悔しいけどね!」
「いえ、結構―――」
「それじゃ、お互い死なないように、でも全力で首刈りしましょ♪じゃあね!疾牙影爪のコウスケ・E・アビスゲート!」
「・・・」
ラナ達ハウリアは、更なる戦果を挙げる為に気配を殺して先兵を倒す為に散らばる。そして、遠藤とラナのやり取りを聞いていたメイド達は何も言わずにハウリアと同じ様に散らばって行った
「・・・白崎さん。これは内緒で」
「か、かっこいいよ?疾牙影爪のコウスケ・E・アビスゲートくん」
「ぐぁあああああああああ!?」
中二病全開の名前を撤回するのはよくないと思った香織は、フォローのつもりだったのだろうが、要らぬ気遣いだった。心に特大のダメージを与えられた遠藤は、少しの間膝を付いて絶望していた。とはいえ、直ぐに立ち直り?先兵を倒しに向かった
もし、ハジメがこの場に居たら遠藤に同情していただろう。それ程の破壊力を秘めた二つ名と中二病と要らぬ気遣いのコンボが直撃したとなると、ハジメだったら口からエクトプラズムが出るだろう
「香織、味方に精神攻撃するのはよくないわよ?」
「雫ちゃん!」
「私の手持ちの神水が残っているから使って。でも、無茶し過ぎよ。後方で移動ヒーラーを命令されていたのにどうして前線に出ているの?」
「そ、それは・・・」
「どうせ、南雲君に良い所見せたかったんでしょ?」
「うっ!?」
「はぁ・・・・・こんのっお馬鹿!!」
雫は香織の頭にチョップを落としてこんこんと説教をする
「深月さんが言っていたわよね?心は熱く頭は冷静にって!味方が瓦解する恐れがあるから前線に出る、これは分からなくもないわ。でも、離れ過ぎよ!遠藤君が居なかったら死んでたのよ!?それをしっかりと理解しなさい!」
「ご、ごめんなさい・・・」
雫に気圧されて土下座で謝罪するが、雫は香織を直ぐに立たせた
「今は謝罪の言葉だけで良いわ。今は反省しつつ味方を援護する事よ。香織、付いて来れるかしら?」
「頑張るもん!」
雫は黒刀を抜刀し、香織は大剣を構えて同時に駆け出す。雫は技、香織は力で互いをサポートする様に立ち回る。ステータス差はあるが、先兵といえど首を断たれれば死ぬ。一撃必殺を狙い、妖怪首置いてけと化した二人は凄まじい勢いで先兵達を屠る。地上に戦力が増えた事でギリギリの均衡が傾いたのだ
『我が深淵を覗きし時には骸となる』
特に戦果を挙げているのは遠藤だ。香織や雫も強いのだが、先兵を多く倒しているのは遠藤なのだ。自分自身の影の薄さを利用しているというのもあるが、一番の強みは影分身の一体一体も本体並みに影が薄い事だ。要するに、遠藤本人よりも少しだけ存在感?がある影分身なのだ
ただでさえ遠藤本人の姿が見えないのに、影分身の姿も捉える事が出来るのは少数だろう。その少数の中に入っているのはハジメ達とハウリア達とメイド達だけだ。しかし、遠藤本人を常時見えているのは深月とラナだけだ
『深淵の奥底に眠る疾風よ、敵を覆い尽くせ』
遠藤の分身が全方位から先兵に襲い掛かり、その首を切り飛ばす
『俺が見えるか?だが、深淵は全てに存在する。一人だけ見えたところで晩餐の鐘は止まらんよ』
先兵達が一人の遠藤を視認してしまったらそれは好機、全てが遠藤のテリトリーで標的だ。またしても首を切り飛ばした
『血が噴き出そうと、所詮は人形―――首を落とせばどうという事は無い。だが、流石に多いな。普通の状態ならば被害が多かっただろう。だが、深淵は貴様達が全滅するまで覗いているぞ』
再び遠藤が戦場を駆けて先兵達を倒していく。分身を見ていた香織達は、ただただ呆然としていた
「・・・もしかして遠藤君が一番強い?」
「天職が暗殺者なのに正面から堂々と殺しているって・・・どんだけよ」
「流石遠藤様、メイド長の一番弟子は格が違いますね」
「なにぃ!?深月殿の一番弟子だとぉ!ウラヤマウラヤマウラヤマウラヤマシィイイイイイイイ!」
ハウリア達は地団太する。深月と約束していたのは自分達が先だと宣言するが、それは深月が使えると判断した者―――選別に特に引っ掛からなかったからだ。何故かというと、ハウリア達は気功術を扱える者が居なかったというだけだ。しかし、それを言うなら遠藤もなのだが、遠藤は気功術よりも特異な影の薄さが武器なので新たな物を習うより、今ある長所をさらに伸ばして尖らせるという方針だ
「うわぁああああ!?」
先兵の猛攻にある部隊が瓦解しようとした瞬間
『待てえいっ!』
戦場に大きく響く声―――それは遠藤の声だ
「何処に居る!」
「司令塔に男は居ない筈だぞ」
敵味方問わず、その声の主を探し始める者達。だが、声が聞こえた司令塔の方を見ても姿が見えない。しかし、陽炎の様にゆらりと姿が現れる
『限界を超え、体が壊れる恐れを乗り越えし者、人それを―――超人と呼ぶ。守る為に種族を問わず共に戦う兵士、人それを―――戦友と呼ぶ。天に群れ、地を覆い、暗雲立ち込める戦場の中、敵に抗い打ち倒す、人それを―――勇者と言う』
「貴様は誰だ!」
先兵の一人が司令塔へ突撃して遠藤に襲い掛かるが、遠藤は恐怖にやられる事もなくただ一点を見据える
『深淵より参りし影―――疾牙影爪のコウスケ・E・アビスゲート!貴様達を倒す者だ!!』
その名乗りと同時に、突撃して来た先兵の四肢が切り落とされ、最後に首が飛んだ。目に見えない攻撃―――超常の力を使ったかの様に錯覚する攻撃。それを見ていた連合軍はやる気を滾らせ、敵は畏怖した。ステータスでは圧倒的有利な先兵達ですら知覚出来ない攻撃の効果は凄まじかった
「野郎共、ここが正念場だ!もう一度限界を超えろ!!」
『おおっ!!』
「
「
兵士達の二度目の限界突破を見た先兵は、今以上の劣勢になる可能性を危惧して神域に待機している仲間を派遣しようと念話を行使するが、相手の方はうんともすんとも返事が無い
「敵を目の前にボサッとしているのは殺して下さいと同義だぜ!」
ガハルドの一閃が先兵の首を飛ばし、戸惑っている先兵達へと突撃する
「突撃、突撃ぃいいいいい!隙を逃すなっ!!」
「王国騎士団、突撃ぃいいいい!」
メルド達王国騎士も続く様に突撃して戦局を一気に塗り返す。先兵の一瞬の油断を突いて押し返し、それを援護する様にハウリア達の狙撃、魔人族達の魔法が放たれる
「くっ!調子付く―――」
迎撃しようとした先兵達をメイド達が背後から首を跳ね飛ばし、頭をボールの様に別の先兵へと蹴り飛ばして攻撃準備時間を稼ぐ。ほんの少しだけ稼げた時間で香織と雫で倒す
「援軍はどうしたのですか!」
先兵の一人が空に向かって吠えるが、神域の入り口から増援は来ない。明らかな異常事態に舌打ちをして、空から分解魔法を合わせて貫通力を高める事にした。先兵は三人一組となり、分解魔法の魔力砲を一斉射。巨大で貫通力のあるそれは、対空砲なんて紙屑の様に威力が弱まる事もなく地面に降り注ぎ爆発。爆発のエネルギーにも分解魔法が付与されている為、多くの兵士達が殺されてしまった
「あれを防げ!ありったけをぶち込めっ!!」
全兵士達が三人一組の先兵達に撃ち込むが、相手の魔法の方が早い。しかも単体の先兵が隙間を埋める様に分解魔法を置く事で、香織達が空に跳ぶ事が防がれている。といっても、それは化け物程度であればだ
『地へ堕ちろ―――空蝉爆散!』
化け物よりつよいキチガイである遠藤には少しの隙間があれば潜り込む事が出来る。自身の分身全てが三人一組の先兵達にしがみ付いて魔力を暴走させて自爆する―――某型月の壊れた〇想より威力は格段に劣るが、TNTよりも火力のあるそれは反則級の破壊力だ。因みに、この鬼畜な技を教えたのは深月である
遠藤の分身特攻によって出来た隙を見逃さず、香織と雫は空に上がって先兵達に突っ込む。時間を稼ぐのではなく、地上に向けて撃たせる事を防ぎつつ二つに注意を向ける為だ
「白崎と八重樫はこのまま敵を攪乱してくれ。その間に俺と分身で数を減らす」
「こっちに注意を引き付けたら良いんだね!遠藤くんが何処に居るかは分からないけど頑張るよ!」
「姿は見えないけど任せたわよ遠藤君」
「・・・デスヨネー」
香織と雫は目立つ様に攻撃をして先兵達の目を引き付ける。先兵が真っ向から向かってきたら香織が前面に、分解魔法が放たれたら雫が前面にと適材適所で攻撃を無力化して敵を一体一体確実に倒す。盛大に目が引き付ける事が出来ると、地上からの攻撃が再開して先程のチームを組ませない様に攻撃する。射程から逃れようとした先兵達は、遠藤によって倒される
ズガァァァン!
戦闘中に神域へと繋がる空間から巨大な爆発音と振動が発生。皆がそちらへ視線を向けると、神域の入り口からゴミの様に何かが放り出された。地上に近付くにつれてはっきりと見えるそれは、粉々に砕かれた先兵達の肉片だった。皆が疑問に思っていると、香織と雫が身に着けている念話石から深月の声が届いた
(地上の戦況はどうなりましたか?)
「え、えっと・・・連合軍に傾いているかな?」
(上々ですね。こちらは道中に発見した先兵の生産工場的な場所を破壊しましたのでそちらに先兵の援軍は殆ど無いと思って下さい)
「流石の一言ね。これなら勝てるわ」
深月との念話が終了すると同時に、神域の入り口から数百人程度の先兵が援軍として現れた。連合軍は先兵の援軍に歯噛みするが、雫はこれがかき集められた援軍だと確信した。そして、案の定援軍の先兵からの報告に驚愕の表情を見せている先兵達だった
「先兵の援軍はこれが最後よ!」
雫の凛とした声が戦場に響き、連合軍の士気は高まる
『足を止めたな?貴様達全員落ちろ!』
遠藤とハウリアとメイド達の一斉攻撃は、先兵達の翼を射抜き地に叩き落とす。これで空の有利は無くなった
「ヒャッハー!首寄越せぇええええ!!」
「危なっかしいウサミミ達ですね」
カムが先兵に突撃して首を狩ろうとする中、冷静なヘリーナが暗器ナイフを投擲した。先兵の一人が死角から飛来するナイフを弾いた瞬間、同じ軌道で放たれていた第二のナイフに腕の筋繊維を切断されて動けない所を近付いたカムが倒す
「お礼は言わんぞ?」
「不必要です。流石、メイド長に訓練をつけられなかった残念ウサギの長ですね。自信過剰のその性格を少しでも改善した方が身の為と助言しておきましょう」
「・・・人形を倒した数は私が多いぞ?」
「殺した数だけを戦果として評価するのは凡骨のする事です。メイド長ならば多岐に評価するでしょうね」
互いに煽りつつ、先頭に立って先兵を倒していく。地に落ちた先兵は空を飛ぶという長所を削がれた強敵と言うだけの存在だ。強者と戦い慣れたメイド達が牽制をしてヘイトを稼ぐ
「メイド長に比べたら遅すぎます」
「もっと鬼畜な攻撃すら出来ないとは・・・所詮は戦闘が出来るだけの人形です」
メイドが二人揃えば、先兵の一人を確実に殺す事が出来る技量を持っている。アーティファクトの恩恵が大きいとはいえ、それを出来る技量がある。まぁ、それはブートキャンプと名付けられた地獄の追い駆けっこで身に着いただけだ。戦局も一気に連合軍側に傾き、雫が最後の一人を殺して地上の決戦は終了した
「終わったわね。・・・後は南雲君達がエヒトを倒すだけ」
「そうだね雫ちゃん。でも、ハジメくんの傍には皐月も居るし、深月さんも合流するから大丈夫だよ!」
まるで天変地異の前触れかの様に歪む空間と、轟音。大丈夫なのか、倒せるのか等の不安を隠せない兵士達
『あっれぇ~、もう終わっちゃった?』
戦場に不釣り合いな陽気?で明るい声が響き、皆がそちらを見ると一体のゴーレムが居た
『それにしても、あそこまで空間が歪んじゃったら出るに出れないねぇ~。まぁ、それを解決するのがスーパー美少女のミレディちゃんなのだ!あ、と言う事で行ってくるよ~♪』
ゴーレムはそのまま空を飛んで神域へと繋がる空間へ姿を消した
「・・・さっきのゴーレムって、南雲君達が言ってたミレディ・ライセン?」
「・・・た、多分?」
香織と雫は呆然としつつ、神域で戦っているハジメ達が勝利する事を祈った
布団「・・・影薄い人がやばい位にチートしている件について」
深月「空蝉爆弾はハジメさん風に言うならば、ロマンです。実用性のある技ですよ?」
布団「魔力のある限り分身を出せる=沢山爆発・・・どこぞのマイクロミサイルですか?」
深月「戦略兵器+技術―――諜報+発見されたら自爆と言う流れです」
布団「影薄い人って世界征服出来るんじゃないですか?」
深月「事後処理が大変ですのでしないでしょう」
布団「出来ないって言わないんですねー」