ありふれていない世界最強メイド【本編完結済み】   作:ぬくぬく布団

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布団「書いてたら普通に長かった。文字数一万超えっちゃってた(^_-)-☆」
深月「まぁまぁいいではありませんか。読者の皆様もほんの少しだけ期待している筈です」
布団「おっしゃーいっくぞー!!」
深月「読者の皆様方、ごゆるりとどうぞ」







メイド達の帰還とエピローグ

~皐月side~

 

「ハジメ、遂にこの時が来たわね」

 

「あぁ。俺達の本当の願いが遂に叶う」

 

エヒトとの戦いを終えたハジメ達は、勝利の宴を開いた。そこに種族のわだかまりは無く、皆が宴を楽しんだ。これが・・・この光景こそ、解放者達が目指した光景なのだろう。ハジメ達は、改めて解放者達の目的を話し、ゴーレムとなってまで生き続けたミレディが神域の崩壊に地上を巻き込まない様にその全てを使って守った事を伝えた。これにより、トータスに住まう全ての人達は、解放者達の迷宮がある地域に立派な墓を作った。そして、文献にはこれまでの誤った情報を訂正する様に解放者達の真の目的等を記す事にした

話は戻り、ハジメと皐月は手に持ったクリスタルキーを見つめていた。このクリスタルキーは、精神担当の深月の宝物庫に入っていた空っぽの神結晶だ。ハジメと皐月の持っていた神結晶は、ブラックバレルや弾丸で全てを使い切っていた。だからこそ、深月の宝物庫が無事だった事を喜んだ

 

「しっかし、深月が身に着けていた宝物庫が無事でよかったぜ。もし駄目だったら、どうにかして神結晶を生成しなきゃいけなかったからな」

 

「長年の魔力溜まりに出来るのは分かっていたけど、それを実現する為のアーティファクトは作れても時間が分からなかったわ。本当にホッとしたわね」

 

「だな。だが、念の為に人工で作れる事も確認出来たからな。深月並みの魔力量が無けりゃ一ヵ月か二ヵ月程は待たなきゃ出来ないな」

 

「深月の全魔力を注いでも三日かかるのは予想外だったわ」

 

ハジメ達が作らなければいけなかった導越の羅針盤とクリスタルキーに必要な神結晶の量は足りていたのだが、不測の事態に遭った時に壊れてしまえば取り返しのつかない事になりかねなかったので人工でも作れるかと試したのだ。その結果―――成功。ぶっ壊れステータスの深月頼りとなったが、時間をかけて魔力を圧縮して貯蓄すればハジメ達でも作れる事が分かっただけでも十分な収穫だった

予備の導越の羅針盤とクリスタルキーも作り、天然の神結晶と遜色ない出来だ。なので、天然神結晶で作った方を予備にして、人工神結晶で作った方で起動する予定だ

 

「それじゃあ、いくぞ」

 

ハジメは手に持った導越の羅針盤とクリスタルキーを起動させて、地球へと繋がる道を念じる。羅針盤に導かれ、鍵が扉を開き、脳内でカチリと何かが嵌った。それは地球への座標であり、転移出来る事を理解出来た

クラスメイト達がハラハラと見守る中、ハジメは彼等に視線を向けて無言のサムズアップをした。それを見て、皆は歓喜に沸いた

 

「よっしゃーーー!!」

 

「やったぁ!!」

 

「うぉおおおおっ、帰れる!マジで帰れるぅ!!」

 

「南雲ぉ、いや、もう南雲様!ほんとありがとう!」

 

「ふぇええええん、良かったよぉ~。南雲くぅん、皐月さぁん、ありがとう!」

 

「ハジメ様ぁ、奴隷にして下さいぃいいい~!」

 

「皐月さん、俺(私)を下僕にして!!」

 

感謝の言葉が尽きず、時には危ない言葉が出てくる者もいるがその者は後にハジメから拳骨が振り下ろされる事は言うまでもない。取り敢えず、地球に還れる事を確信したハジメは今までの苦労がようやく実を結んだ事による疲れがどっと溢れて地面に座る

 

「長かったようで短かったな」

 

「激動の体験だったわね」

 

「お嬢様、紅茶のご用意が出来ました」

 

「クッキーもいかかですか?」

 

しかし、クラスメイト達は慣れない事が一つだけある。それは、深月が二人居る事だ。大人Ver,と学生Ver,の二人は、顔の輪郭等は変わらないものの身体つきが違う。スラっとしたモデル体型と、大人特有の母性を感じさせる体型の二パターンだ

 

「少しだけ落ち着いたら地球に帰ってみて、トータスに繋げる事が出来るかを確認しないといけないわね」

 

「だな、シアとティオとレミアも実家に帰省する事も考えないといけないしな」

 

皐月がハジメの隣に座って紅茶を飲んでいると、遠くからパタパタとミュウが走ってきた

 

「パパぁー!ママぁー!」

 

皐月は、紅茶を深月に預けてミュウをキャッチする。ごく自然にミュウの頭を撫でていると、ふと疑問に思った

 

「あれ?皐月ママじゃ・・・」

 

「ママ!」

 

「えっと・・・」

 

「ママがママで良いって言ってたもん!」

 

流石に差別化をするべきだと思っていた皐月だが、レミアによる先手が打たれておりどうする事も出来ずただただミュウのお願いを受け入れる事となった

 

レミア・・・本当に大丈夫なの?ミュウが私とレミアをママ呼びとなるとかなり厳しいけど・・・いや、もう何も言うまい。ま、幸せだからこれもこれでありかな?

 

ミュウは皐月に抱き着き、ユエ達も便乗する様にハジメと皐月の周りに擦り寄る

 

「・・・ハジメ達の言う地球、楽しみ」

 

「ほんっと~に楽しみですね!」

 

「こことは文化が違うとも言っていた事から、生活の水準が高い筈じゃな」

 

「地球からトータスを見ればファンタジー、トータスから地球を見ればSFって感じがするわね」

 

「この世界には科学技術が発展していないからな」

 

ハジメと皐月は、トータス組にトータスと地球ではどのような違いがあるのか、どういった発展を遂げているかを少しずつ説明していく。全て理解していなくても、ある程度こうなんだろうな~程度でも知っていた方が色々と都合がいい

 

「な、なぁ南雲。地球に帰らないのか?」

 

クラスメイトの一人が地球に帰ろうと声を上げ、周りもそれに釣られる様に帰ろうと言う

 

「お前等なぁ・・・、今すぐ帰りたい気持ちは分かる。俺だってそうだ。だがな、俺が先程確認した時間帯は昼だった」

 

「昼は人が多く、帰ってきた瞬間質問攻めという身の拘束が必然よ。先に家に帰りたいのなら深夜になって静かにしつつ急いで帰る―――これだけよ」

 

ここでハジメと皐月の冷静な予想を聞いたクラスメイト達は、ようやく事の大きさを理解した様子だ

 

「考えが甘すぎますね。地球に帰ってからは色々と質問攻めされる事は覚悟してください。ただし、安易に情報をぺらぺらと喋るなら―――分かっていますね?」

 

深月の鋭い視線がクラスメイト達を射抜く。彼等は思わずたじろぎ、どうすればいいのかが分からず頭を抱える。だが、情報の開示は絶対に必要となってくる

 

「そこら辺は安心しなさい。私とハジメが異世界に行き来する道具を作って、それに便乗する形で帰れたと言ったらいいだけよ。そして、先程深月が言った通りむやみやたらに話さない事と、身体能力を常人程度まで抑える事をしなければいけないわ」

 

『身体能力?抑える?』

 

「お前等馬鹿か?前線組じゃないやつでもアスリート並みの身体能力になってんだぞ。もし、これでスポーツ競技に出ようもんなら却下だ。絶対にトータスに連れて行けやらなんやらの不平不満が出る。ただでさえ帰ってから最初に要求される事が異世界の行き来についてだ。それは対処出来るが、もう一度対処するなんてのは面倒だ」

 

ハジメ達が懸念している事は、地球の国々がトータスの資源を貪り食うという可能性もあったので却下。そもそも、行き来させるつもりもないし、アーティファクトを奪ったり家族に手を出そうものなら一切容赦しない。いや、少しばかりの温情は残すつもりだ

 

「命があり、地球に帰れるだけでも十分でしょう。運動選手にならずとも、地球では生活出来るだけの幅があります。職は多様―――一時の栄光を求めるよりも長く安定して稼げる方が有意義の筈です」

 

「そもそも、このアーティファクトを作ったのはお嬢様達であって、貴方達が地球に帰れるのは慈悲があっての事です。多少の諦めは許容しなさい」

 

深月の言った事は正論である。何も難しい事を言っているわけじゃない。身体能力を活かして大目立ちする事を避けろと言うだけであって、重い物を運送する様な仕事をするなとは言っていない

皐月と畑山が主軸となってこれからの事について沢山説明し、深月がこれから起こりうる可能性を全て算出してどう対処するべきなのかを話し合った。かなり精神が削れる話し合いだったが、これは絶対にしておかなければならない。地球に戻ったりトータスに留まったりする事で、身の振り方を考えなければいけないのだ

 

「さて、私からの注意点はこの程度ですね」

 

『お、多すぎぃ・・・』

 

時間も経ち、ハジメが地球の時間帯を再確認すると深夜となっていた。これならば目立つ可能性は少なくなる

ハジメははやる気持ちを落ち着かせ、クリスタルキーを使い地球への扉を開いた。場所は学校の屋上―――ちゃんと繋がった事を確信したハジメは、皐月とアイコンタクトをして深月を先行させる。もし、これで間違った場所に出たとしても、膨大な魔力とクリスタルキーと羅針盤の予備を持っているので危なげなく帰還出来るという寸法だ

 

「おめでとうございます。間違いなく地球の私達の学校の屋上です」

 

「よし、ずっと開きっぱなしも良くないからとっとと帰るぞ!」

 

ハジメの号令と共に、皆が意気揚々とゲートを潜って学校の屋上へと出た。慣れ親しんだ空に見える月と夜中でも都市部が輝いている光景を見て、クラスメイト達は涙を流していた

 

「それじゃあ、今日の所は解散よ。一日は休んで再び学校に集合という事にしましょう」

 

「私は教師なので色々と追及をされそうですね・・・・・。今でも気が滅入りそうです」

 

「畑山さんは大人ですから仕方がありませんね」

 

この中で唯一大人である畑山には同情しなければならないだろうが、それは仕方がない事だろう。何事も諦めと覚悟が必要である。クラスメイト達は、早く家に帰りたいが故に家の屋根伝いに移動しようとするが、全員深月に捕縛されて地上からちゃんと帰るように説教をされた

ハジメと皐月も家に帰って生存の報告や結婚前提でお付き合いしているという事を伝える為、後日顔見せする予定だ。ユエ達はかなり目立つので、互いの両親に報告後にハジメの家に宿泊する段取りとなっている。皐月は深月に抱えてもらい空を跳んで家へと向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山の上に建つ大きな屋敷―――その一室にて、主である男女と使用人達が集まっていた。しかし、皆の表情は暗く、精神的に疲れている様子だった。

 

「・・・あなた、皐月と深月ちゃんの捜索に進捗はあった?」

 

「・・・すまない」

 

「奥様、テロリストに誘拐された可能性も考慮して捜索も行いましたが・・・全く情報が集まっていません」

 

「皐月・・・深月ちゃん・・・」

 

転移当時、謎の光と共に一クラスの生徒達が消えるというメアリー・セレスト号事件みたいなミステリーに記者達がこぞってある事ない事を予想して報道したりと世間を大騒がせした。しかし、それも一時であり、情報や証拠が全くないという事で警察の捜索は終了し、報道の熱もなくなった。しかし、転移した者達の保護者は薫と癒理が立ち上げた捜索会に集まり、各々が集めた情報を頼りに話し合ったりしていた

だが、どれも嘘の情報だったりと伸ばした手が空を切るばかりだった。そして、薫の知人であるアメリカに居る元帥さんにも協力を仰ぎ、情報を回してもらっていたが皐月達に繋がる情報が入って来なかった

 

「旦那様、奥様・・・これ以上は今以上に体調を崩されます。・・・どうか、お体を大事になさって下さい」

 

「・・・分かっている。だが、眠れないんだ」

 

「夢で見るの・・・皐月と深月ちゃんが血濡れで助けてって叫んでるのよ」

 

薫は癒理を抱いて落ち着かせようとするが、癒理は涙を流しながら震えている。特に癒理は、薫との間に子供が中々出来なかった末に生まれた皐月を溺愛しているのだ。怒る時は怒るが、皐月が可愛くてどうしても甘くなる事が多い。そんな大切な我が子が行方不明になり、心身共に疲弊して高頻度で体調を崩すようになったのだ

癒理の体調が崩れる事で使用人達も慌ただしくなり、何時もいる筈の子達が居ない事がどうしても頭から離れず皆が精神を擦り減らしている

 

「癒理、大丈夫とは言えないけど例え時間が掛かろうとも絶対に二人は見つけ出す」

 

「でも・・・でもっ!」

 

分かっている。誘拐する際に証拠も痕跡も無いという事は不可能に近い―――。例え新兵器を用いようとも周囲に被害が出ていない事がおかしいし、姿が消える前に教室が光り輝いていたという点も不可思議だった。何かしらの科学とは違う何かが動いていてもおかしくないし、最近見つけた西洋のオカルト染みたテロリストが居るとの報告もあった。だからこそ、薫はそのテロリストの殲滅で証拠も何も出てこなかったと思うと本当にどん詰まりになる事が心労を更に加速させている

皆の空気が重く暗くなっていると、インターホンの音が響いた。こんな夜遅くにインターホンを鳴らす事は普通ではありえないが、時折ここまで来て顔を合わせる南雲夫妻の姿が思い浮かぶ。今日も進捗がなかったとしか言えず、互いに暗くなる話をしなければならないという事を思うが癒理と南雲母の菫の話し合いで少しばかり精神的に楽になる様になって欲しいと思っていると、メイドの一人がインターホンの受話器を取り落とした

 

「だっ、旦那様っ!奥様っ!お、お、お嬢様がっ!お嬢様が!!」

 

その声を聞いた薫と癒理は、バッと顔を上げて走って外に出た。入り口の柵越しに見える姿はかなり変わっているが、長年過ごした家族の絆は間違える事はない。大切で愛してやまない愛娘だと

 

「ただいま。お父さん、お母さん」

 

「「皐月っ!!」」

 

薫と癒理は皐月をもう二度と離さないと言わんばかりに強く抱きしめている。皐月は、若干息苦しいと感じるがこれは今まで心配をかけてきたから仕方がないとして受け入れる。使用人達も合流して数十分の間ずっと抱きしめられた後、薫と癒理は当時何があったかを尋ねる

 

「皐月、あの時一体何があったんだい?」

 

「正直に答えて、皐月にとって辛いかもしれないけど必要な事なの」

 

「えっと・・・信じてくれるかは分からないけど・・・異世界に召喚されたの」

 

『・・・異世界に召喚?』

 

あまりにも突拍子もない話に疑うが、それが本当なら証拠や違和感等にも辻褄が合う

 

「異世界の話については取り敢えず置いておいて、最重要なのは深月の事なの」

 

「はっ!深月ちゃんは何処にいるの!?」

 

「ちょっと待ってて。深月、来て」

 

皐月が手招きして深月を呼ぶと、一人は少しだけ背丈が伸びて女の魅力がアップした深月。これに関しては、行方不明の間で成長したと理解出来た。だが、後に続く様に現れた母性溢れる女性―――いや、深月が更に大人へと成長した姿を現した事で一同はもの凄く動揺してプチパニック状態に陥った

 

「ど!?どどどどいう事!?み、深月ちゃんが二人居る!?え?どうして!?」

 

特に癒理がもの凄くアワアワしており、薫と皐月が落ち着かせようとするが中々冷静な状態に戻らなかった

 

「山の上で人の目が殆どないとはいえ、外で話すよりも屋敷の中で事の説明をした方が良いかと思います。幸いにも、証拠となる映像諸々が手元にありますので」

 

「そ、そうだな。うん、深月ちゃんの言う通りだ。先ずは椅子に座って落ち着いてから話そう」

 

薫が未だにアワアワしている癒理を支え引きながら屋敷の中へ入り、いつも皆が集まってゆっくり出来るリビングへと移動した。大きなソファーに薫と癒理が座り、対面のソファーに皐月が座り深月は立っている

 

「・・・深月ちゃんがメイドという事は分かっているが、今は座りなさい。立って報告よりも座って色々と説明をして欲しい」

 

「「かしこまりました」」

 

深月は皐月を挟む様にして座り、どんな事があっても護れる状態にする。ここはトータスではないので危険は少ない―――と言いたいが、あの日以降の高坂家の状況がどうなっているか分からないので警戒は怠らない

 

「それじゃあ、あの日・・・何があったのかを説明するわ」

 

皐月から語られた失踪後の出来事―――

トータスに転移し、魔人族を殺す為に戦え。そして、戦いが終わればエヒトに願えば帰してもらえるかもしれない。現実逃避ともいえる流されるがままに戦争の参加表明、ステータス、転職、訓練・・・そして、迷宮。一通り話し終えた所で休憩を挟むが、薫と癒理は集団催眠を掛けられているのではないかと疑い始める

 

「ここ最近分かった事だが、おかしなカルト集団が催眠紛いな事で信者を増やすと言った報告を受けていてね。・・・正直、そっちではないかと疑いを持っているんだ」

 

「皐月が嘘を言っている何て事はないと分かっているの。でも、突拍子もなさ過ぎて色々と追い付いていないの」

 

皐月は、「これは困った」と呟く。これで再生魔法の映像を見せたとしても本当かどうかが疑われるし、むしろ創り物じゃないか?と言われるかもしれない。うんうんと頭を捻っていると、ふとした打開方法を思い付いた。証人を増やせばいいと

皐月は、心苦しいが念話でハジメと話す事にした。誰も質問もしていないのにあらぬ事を話し出す皐月を見た薫と癒理は、「やはりカルト集団が原因だ」やら「洗脳されている」やらと慌てるが無視する。そして、ハジメから帰ってきた返答は、「両親も連れてそちらに行く」と伝えられた

 

「ハジメ、深月が迎えに行くからゲートの位置情報はどの辺りが都合がいいか教えて」

 

(そうだな・・・俺の右隣二メートル範囲なら大丈夫だ。こっちも未だユエ達を呼んでいないから早めに頼む)

 

「深月、ハジメの右隣二メートルなら大丈夫らしいわ。ゲートで繋いで」

 

「げ、ゲート?右隣二メートル?」

 

「・・・ハジメ君か。皐月に相応しいかこの目で確かm「あ・な・た・?」・・・すみません」

 

癒理の威圧に薫がタジタジになっている姿は無視して、大人深月がハジメ宅へとゲートを繋ぐ。ゲートキーを差し込まれた空間はぐにゃりと歪み、摩訶不思議なそれを見た皆が騒めく。そして、数十秒経った所でハジメとハジメの両親の南雲愁と南雲菫の二人が現れた。ハジメはゲートの移動に慣れているが、南雲夫妻に至ってはファンタジー体験に大興奮していた

 

「おい、息子よ、これは凄いな!どこ〇もドアじゃないか!!」

 

「ちょっと愁、先ずはご挨拶よ!ハジメ、後で私の分のどこで〇ドアを作って!」

 

「ずるいぞぅ!俺も欲しい!!」

 

「・・・お騒がせして申し訳ございません」

 

テンションMAXな南雲夫妻に、ハジメが薫と癒理に謝罪する。夜中なのにうるさくし過ぎるなと言いたいが、オタクなので仕方がなしと諦めた。そして、南雲宅から高坂宅までの距離を考えた上で一瞬で来た事と、執事長が歪みの中を覗くと南雲宅の中だという事だった。これで現実味を帯びる話だが、未だ超能力を手に入れたから出来たと言われた方が納得出来る為、早計な判断をする事はしない

 

「ハジメ、私の両親は頭が固いわ。説明しても集団催眠やら超能力を手に入れた何て判断されちゃう。もういっその事ユエ達を呼んだ方が良いかしら?」

 

「あ・・・あ~、そうだな。ユエ達には異世界言語を付与したアーティファクトを身に着けているからそれを外して喋ってもらえば良いだろうな」

 

「深月、次はユエ達の所に繋いで。こうなったら強引にでも納得してもらう他ないわ」

 

「ユエさん、左隣にゲートを開きますので開けて下さい。本来は南雲家で宿泊をと思いましたが、こちらでまとめて説明する事になりました。ハジメさんのご両親も来ておりますので、挨拶もよろしくお願いします」

 

深月がユエに念話を送り、三十秒程してからゲートを開いた

 

「・・・ん」

 

「彼女の名はユエ。異世界人で、吸血鬼で、元お姫様だ」

 

「「っ、テンプレ属性!?」」

 

「きゅ、吸血鬼だとっ!?」

 

「・・・はじめまして、ハジメのお父様、お母様。皐月のお父様、お母様。ユエと申します。末永く、よろしくお願い致します」

 

「え、お、おう。いえ、これはご丁寧に。こちらこそよろしくお願いしますです?」

 

「よ、よろしくお願いします、ですわ?」

 

「とても品のある女性だ。素晴らしい仲間だね」

 

「あらあら、可愛らしい上に作法も綺麗ね。よろしくお願い致します」

 

互いの両親はビスクドールの如き美貌の少女に見惚れつつ、挨拶を交わす。特に南雲夫妻の反応は物珍しいが、「これはハジメの両親だ」と一瞬で分かるリアクションだった。尚、高坂夫妻の薫に関しては要注意人物だと確信した

 

「シア、来なさい!」

 

「はいですぅ!義父様、義母様、私はシアと言います!よろしくお願いしますですぅ!」

 

「「ウサミミぃ、キタッー!?」」

 

「う、ウサギの耳?」

 

「シアちゃん、その耳を触ってもいいかしら?」

 

シアに関しては予想通りだろう。皆の視線はシアの頭上にある耳に向いていた。モフモフな縦長耳―――癒理は欲望がうっかりそのまま口に出ていた。ウサミミの魅力は強し!

 

「ティオ、来い!」

 

「うむ。お初にお目にかかるのじゃ、義父上殿、義母上殿。ご主人様の愛人にして、竜人ティオ・クラルスと申す。幾久しく、よろしくお願いするのじゃ」

 

「竜人族の姫でしょ」

 

「姫が抜けてるぞ」

 

「ティオ姫」

 

「ぬぁああああああああーーーー!!姫を付けるでないっ!むず痒いのじゃ!!」

 

「竜に人!」

 

「変身できるのか!?」

 

「竜人じゃから竜化できるぞ?」

 

「「我が世の春が来たーーーーーー!!」」

 

「乗せて飛んでもらえるかしら~?」

 

「・・・・・」

 

自分が竜である事を誇示する為に翼を出して登場したのは良いが、見栄の張り過ぎである。ハジメと皐月だけに留まらず、ユエ達もティオが竜人族のお姫様である事をついついネタにして弄っている。当の本人は、姫扱いされるのは里の者達だけで十分であり、仲間であり家族でもあるハジメ達にはされて欲しくない様子だ

 

「レミア、ミュウ!」

 

「はい、あなた。はじめまして、レミアと申します。娘共々、よろしくお願い致します」

 

「え、えっと、えっと・・・パ、パパとママの娘のミュウです!おじいちゃん、おばあちゃん、よろしくお願いしますなの!」

 

「お、おじいちゃん!?」

 

「む、むすめぇ!?」

 

「      」

 

「あら~、可愛いわね。飴ちゃん舐める?」

 

「舐める!!」

 

流石に子持ちの女性をハーレムに入れてくるのは予想外だったらしく、癒理以外はもの凄く驚いている。特に、薫に至っては白目になっている

 

「ミュウは俺と皐月の娘で、ユエ達も全員、俺の嫁だ。まぁ、よろしく頼むよ」

 

「「軽ぅ!?」」

 

「あ、ちなみに、あと四人程嫁がいるから、また後日挨拶してもらうよ」

 

「「リアルチーレムぅ!?」」

 

「あらあらあら~」

 

怒涛の展開に困惑していると、薫がバンッと机を叩いて立ち上がり人を殺しそうな目でハジメを見ていた

 

「ハーレムだと?ハジメ君はふざけてそんな事を言っているのか?日本は一夫一妻だ。私はその様な事は認めない」

 

薫が激怒している事は明らかだ。これは、純粋に皐月の幸せを願っているからであり、ハーレムを築いた者の末路の大体が身内による崩壊。それは皐月の幸せをぶち壊す事だと決めつけている

皐月は癒理を連れて小声で相談する事にした。父が駄目なら母を説得しよう!尻に敷かれているので大丈夫だろうという事だ

 

「ねぇねぇ、お母さん。お母さんもハーレムは容認出来ない?」

 

「そうねぇ・・・皐月には悪いけれど流石に駄目よ。だって、それだと皆を平等に愛するなんて出来ないでしょう?」

 

「あ、それについては大丈夫。お父さんには悪いけど、私はハジメとやったの」

 

「それについては顔を見た時から分かっていたわ。でも、それだと―――」

 

「ここからが本題、私一人だと無理。死んじゃう・・・だから増やして皆と幸せになったらいいじゃないかと」

 

「えっ?」

 

ハジメの息子は魔王だ。未だに皐月とユエとシアとしかまともに肌を重ねていないが、その全てはハジメの圧勝であった。これでは本当に危険と判断し、ハーレムに入る為の条件を厳しく設けている事も説明した。中途半端は絶対に駄目、尊重し合いがとても重要だ。まぁ、このハーレムに入っている者達全員がこの条件はクリアしている

 

「・・・それ程までにあそこが強いのね?」

 

「うん」

 

これを聞いた癒理は、しばらく考え込みつつハジメを睨む薫の様子を見る。一方、薫はハジメにプレッシャーを掛けているのだろうが、本人は何のその―――全く動じていない

 

「君は皐月に相応しくない。おとなしく別れて二度と近付かないでm「あ・な・た・?」―――ヒェッ!?」

 

癒理が後ろから薫の肩に手を置き、穏やかな声がとてつもない無の圧力を含んだものに変わっていた。薫はガクガクと震え、癒理はそのまま薫を部屋の中央に連行した

 

「正座」

 

「い、いやしかし!」

 

「せ・い・ざ」

 

「・・・はい」

 

薫はおとなしく正座をして、癒理は笑顔だが目が笑っていない状態で「何で?」「どうして?」「皐月の意志は?」と質問をした。そして、最後のトドメとなる言葉を突き付ける

 

「ハジメくんのあそこが異常に強いと皐月から聞いたわ。三人を相手にしても余裕で勝ち、まだまだ衰える様子もないわ。そして、ハジメくんに愛されたいと思う女性には、それ相応の条件を設ける事によって平等にするという事よ。下手に性欲を暴発させるのは危険なら、条件をクリアした者と致す方が良いわ」

 

「正妻は私だけど、皆平等に愛される為に互いを尊重する。そして、この条件を教える事は絶対に駄目。教えたら両者共にハーレムから除外、ちゃんと自分から気付く事で成り立つの」

 

「なるほど、それなら・・・・・・・・・・皐月の処女を奪ったのかぁあああああーーーーーーー!赦さんぞぉおおおおおおおおおおおお!!」

 

「いい加減子離れしなさい!!」

 

「アブシッ!?」

 

薫はハジメに殴り掛かろうとしたが、癒理の平手打ちが直撃。薫は頬を手で抑えながら癒理を見るが、先程以上に怒っている癒理にタジタジとなっている。そして、説教が再開した。正論を並べて薫が言い訳をする隙を与えず、時にはユエ達を使って何も言わせない

 

「分かった?皐月が異世界での事が正しければ、もう身寄りがないユエちゃん、家族に背中を押して貰ったシアちゃん、心惹かれて里に帰る事が出来なくなる可能性があってもこちらに来たティオちゃん、子持ちだからこそ子の幸せを考えて決心したレミアちゃん―――彼女達が一番幸せに感じているのはハジメくんの傍に居る事よ。見なさい、あの表情を。ちゃんと幸せな顔をしているでしょう?」

 

「う・・・た、確かにそうだが」

 

薫の陥落にはあと少し足りないと感じた皐月は、抱っこしているミュウにトドメの一撃をお願いする事にした。ミュウは、今も正座している薫の傍に近付いて破壊力満載の言葉を投げた

 

「おじいちゃん、・・・ミュウ達じゃダメ?」

 

涙でウルウルした目の上目遣いでという超コンボと、癒理と皐月のジト目を受けた薫は遂に折れた

 

「・・・うん、ごめんね。大丈夫、私はミュウちゃんのおじいちゃんだよ」

 

「ほんと!ヤッター!!」

 

ミュウは薫に抱き着きいた。これで両親公認のハーレムとなったので、皐月はニコニコである

それからは、再生魔法で決戦の光景を観戦した。特にハジメ夫妻のテンションが更にアゲアゲとなり、「うぉおおおっ、すっげぇええ!知っているか、知ってますかぁ!?これ、俺の息子です!ありがとうございます!」とか、「きゃぁあああっ、聞いた!?今、すんごいこと言ったわよ!やばいわ!この子、マジ魔王様よ!そして、魔王様は私の息子です!ありがとうございます!」と言って、ハジメは纏雷アババで二人を落ち着かせた

そして何より驚かれたのは、深月が二人に別れた経緯とエヒトとの戦いである。人知を超えた戦いに皆が呆然としており、ハジメと皐月は「そりゃあそうなるわな」と本音を口漏らす。尚、最後の合体シーンを見た南雲夫妻は、そのポーズをマネして合体が出来るかを試したが無理だった事に落ち込んだりした

 

「本当に帰って来れたって実感したわね」

 

「ああ、こんな平和な光景はずっと見たいな」

 

「「障害が現れたら私が排除しますので安心して下さい」」

 

「「頼りになるわ~」」

 

こうして上映会も終わり、各家の両親とユエ達がお話ししてテンションが上がったりアーティファクトを見せてみたりと時間はあっという間に過ぎて行った。その後、深月同士の組手の観戦をしてお開きとなった。これから大変忙しくなるが、これから来る幸せの事を思うとさっさと終わらせようと意気込んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「深月、平和って楽しいわね」

 

「そうですね。平和が一番です」

 

「心身落ち着きますね」

 

「それじゃあ、今日も一日頑張っていくわよ!」

 

「「かしこまりました」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

平和な日常を謳歌する為、時には走り、時には休憩したりとメイドとその主は今日も変わらず動き、後の歴史に名前を残す―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




深月「遂に本編が完結しました。ですが、終わりませんよね?」
布団「まぁ、アフターエピソードを書く予定です」
深月「ですが、それに関しては少々お待ちください。一息入れましょう」
布団「もう一つの息抜きも書いてますからねぇ・・・。頑張る!」
深月「長々と応援していただきありがとうございます。今後もよろしくお願いします―――で良いのでしょうか?」
布団「アフター頑張るのぉおおおおおおおお!!」
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