ありふれていない世界最強メイド【本編完結済み】   作:ぬくぬく布団

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深月「読者の皆様、お久しぶりです」
布団「オリジナル的な何かを書いたよ。ある意味クロスオーバーだけどね!」
深月「生暖かい目で見て下さいね。構成が未だに煮詰まっていないので次も遅いでしょう」
布団「ワクワクはもう少しお待ちください(´-ω-`)」
深月「読者の皆様方、ごゆるりとどうぞ」












布団「このやり取り久しぶりに感じる( *´艸`)」
















アフター
お嬢様のミスはメイドも予測不能


~深月side~

 

ハジメ達が地球へ帰って来てから半月―――怒涛の日々の連続だった。しかし、そこは高坂家の発言力の高さ故に、国が表立って事を荒立てる事自体を厳罰化した。それでも裏では良からぬ事を企んだり、秘密裏に接触しようとしたり、精神的に追い詰めようとネット社会である事ない事噂を広めようとしたりと様々だ。どれもが最初はお祭り騒ぎとなるが、数日後には沈静化してしまう

 

「アメリカ軍司令部の元帥とパイプを持っていた事が幸運だった。表で抑えてくれたお陰で、裏だけ対処―――人的疲労も少なくて済む」

 

「しかし、これも縁なのでしょう。まさか、薫殿達の子と家の雫が一人の男に好意を持つとは・・・。これでより頻繁に動きやすくなりますな」

 

「しかも、アメリカの特殊部隊とも訓練出来る環境も用意していただける。持ちつ持たれつです」

 

今話しているのは皐月の父、高坂薫と、雫の祖父と父の三人だ。薫は幾度か八重樫家に護衛依頼していた事がきっかけで、そこそこの頻度で交流をしていた。そして、あの異世界転移から薫の仕入れる情報源と八重樫家が動く事で日本国内は全て調査し尽くしたという経緯があった

 

「まさか、お父さんが雫の家族と裏で交流があったなんて知らなかったわ」

 

「私もよ。それよりも、自分の家が忍者屋敷なんて知りたくもなかったわ」

 

現在、高坂家は八重樫家に訪問している。傍では裏で繋がっていた事が聞こえ、逃避しようと道場の方へ視線を向けると、裏の八重樫の者達と学生深月が何でもありの組手をしている。まぁ、分かり切っている事だが、深月が圧勝している。枷をしている状態だが、それでもかすり傷一つ負う事なく余裕で対処しているのだ

 

「クナイや手裏剣で攻撃されているのに素手で軌道を逸らすなんて・・・一般人が見れば軌道を変える様に投げていると錯覚するでしょうね」

 

「深月が言うには、枷をしている状態でマシンガンで撃たれても全て逸らす事が出来るって言っていたわ」

 

「武器を持ってたら叩き切る事は出来るけど・・・素手は無理ね」

 

「あらあら、雫は銃弾を切り伏せる事が出来る強い子になったのねぇ~。はい、お茶請けよ」

 

雫の母親である八重樫霧乃が二人にお茶と羊羹を出す。二人は一口サイズに切りって食べ、温かい緑茶を飲んで一息入れる。縁側に座りぽかぽかと温かい日差しに寒くない風―――、皐月が望む平和な日常の一幕だ

 

「平和って良いわね」

 

「本当ね。あの約一年は激動の日々だったし、何時死んでも不思議じゃなかったわ」

 

トータスでの出来事を回想していると、深月がようやく動いて八重樫の門下生達を全員打ち倒した。最小限の動きで攻撃を回避し、縮地で一気に近づいて手刀で気絶させるを繰り返して勝った。魔力は使っていないので、戦闘能力はかなり制限されていても強い

深月は門下生達に一礼して皐月の傍へ戻り、床に置いていたカバンから数枚の書類を取り出す。その書類の内容は、皐月が将来立ち上げるメイド育成学校の内容諸々だ。メイドの仕事は割り振られているのが基本なのでその場合の授業内容をどうするか迷っているのだ。ある程度の案は絞り出したとはいえ、その全てを網羅しているわけではない

 

「はぁ~、自分で言った事だけど・・・学校を作るのって難しいのね」

 

「皐月に関しては規模が違うでしょう?」

 

「雫は警備員と思ったけど、護身の講師として招く方が適切ね」

 

「そして完璧超人とはいかないけれど、戦闘メイドが生まれるのね」

 

「あらあら、もう将来設計が決まっているのね。とても優秀なメイドさんが量産されるという事かしら?」

 

「いえ、これは推薦制にするべきでしょう。気軽に試した先には後悔が生まれます。メイドとして生きていくという心構えがある者だけを入れる方が良いでしょう」

 

しかし、どうしても学校の運営費用等が足りなくなってしまうのでこれが一番難しいところだ

 

「取り敢えず、この案はもう一考するという形で保留よ。少しだけ落ち着いたからハジメとアーティファクトを作って遊んでいるの」

 

「アーティファクトね。・・・どんな効果があるの?」

 

「ゲートやクリスタルキーと同じ代物よ。だけど、これは繋いだ先の探知に引っ掛かる事なく潜り込めるの。例えば、誰かの後ろに転移したいと念じれば、相手は気付く事が出来ないという性能よ」

 

「悪戯専用じゃない」

 

「遊び心は大事でしょ?・・・それじゃあ早速性能テストするわよ!行先は雫の後ろに設定するわ」

 

性能テストするには丁度よく、距離が遠いわけじゃないので咄嗟に対処する事が出来るのだ。皐月は鍵を回してアーティファクトを起動した瞬間、三人の真下に黒い渦が出現した

 

「「「!?」」」

 

三人はそのまま黒い渦へと落ちた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三人が降り立った場所は先程まで居た縁側である。起動実験は成功したという事だ

 

「ちょっと皐月!絶対にワザとでしょ!!」

 

「ワザとじゃないわよ!おかしいわね・・・ちゃんと雫の後ろで開く様に調整したのに」

 

「・・・お嬢様、とんでもないアーティファクトを作られましたね。これはサプライズなのでしょうか?」

 

「「?」」

 

深月が指差す先には、黒い髪の雫がどら焼きを食べようとして零している姿だった。目が点になっており、この状況を理解出来ていない様子だ。皐月達は咄嗟に頭上を見るが、黒い渦は小さくなって消えた

 

「えっ、これやばくない?」

 

「ちょっ、どうするのよ!?トータスで死に物狂いで戦った直ぐ後の平和な日常を返しなさいよ!!」

 

「こ、この世界も平和かもしれないでしょ?」

 

深月は溜息を吐き、周囲の気配を把握する。一応いきなり襲い掛かってくるわけでもないので、手を出す事はしない。だが、皐月に手を上げようとする者が居れば別だ

 

「おい雫、目が点になっているが・・・俺がトイレに行っている間に何かあったのか?」

 

屋敷の奥から姿を現したのはハジメとほとんど似た容姿をした男だった

 

「は、は、ハジメ・・・私は幻覚を見ているのよね?・・・そうよね?」

 

「あぁん?どういう事―――誰だお前等?」

 

ハジメと呼ばれた男は、指輪を光らせて一丁の拳銃を取り出して首謀者と思われる皐月に向けてしまった。その瞬間、深月の殺気が溢れ出た。ハジメと呼ばれた男は拳銃の先を深月に変更して威嚇発砲をする。しかも、それは直撃コースだ

 

「ゴム弾ですか」

 

だが、深月は難なく指先で摘み取って弾丸を観察していた。相手は驚愕の表情をしてもう一丁を取り出そうとした瞬間、深月が背後に回り込んで手刀を首筋に突き立てる

 

「これ以上攻撃するのであればこちらも本格的に迎撃しますが―――いかがされますか?」

 

「・・・最初に殺気を漏らしたのはお前だろ」

 

「私の主であるお嬢様に銃口を向けられたので変更させる為ですよ」

 

「・・・分かった。手じゃなく話し合いをしよう」

 

しばし沈黙して相手は両手を上げて降参、これで武力という名の話し合いのテーブルに着く事が出来た。皐月は宝物庫から椅子とテーブルを人数分出し、深月は紅茶を淹れてクッキーを取り出して置く

 

「・・・さて、一体どこから話したらいいのかしら」

 

「そ、そんな事よりも・・・その白髪の貴女って・・・嘘よね?」

 

黒髪の雫が白髪の雫を指さしてプルプルと震えている。ドッペルゲンガーが現れた!と言っても過言ではないそっくりさん―――誰だって怖いだろう

 

「皐月、これはどう言ったらいいのかしら?」

 

「私達の現状説明をしてからの方が良いかもしれないわね」

 

皐月は、今回の経緯についてを説明する。自作アーティファクトの故障?何かしらのバグでこんな事になったのかは不明、いきなり足元に黒い渦が出現して落っこちて今に至る

 

「そして、ハジメが私と深月を知らない事を鑑みてこの世界は並行世界の可能性が高いわ。どんな第二魔法よ・・・。たまたまでも頭が痛くなるわ」

 

「並行世界って事はあれか・・・たられば世界って事だな。そうなると、嫁が増えたって事か。今でもかなり大変なのに、向こうの俺はさぞ大変だろうな」

 

皐月はここで一考する―――確かにハジメは色々と大変だ。会社を立ち上げたり、トータス組に地球のあれこれを教えたり、嫁家族の挨拶やら何やらで追われている。だが、それは何時か解消する話であって永久ではない。いや、もしかしたら向こうのハジメは皐月が居ない分の労力を割いているという可能性が否めない

 

「大変そうよね。各家庭への報告と会社の立ち上げとトータス組の教師役・・・私達で分担しているからそこまで大変という事でもないわ」

 

「地球でのマナーを教えるのは私と香織と先生で行っているから良い具合よね?」

 

「何だと?」

 

向こうのハジメと雫はこちらとの違いに気付いたのか、驚愕の表情をしている。一方、皐月達は、「え?何か難しい事あったの?」と不思議そうにしていた

 

「お嬢様、恐らくですが向こうのトータス組は地球でのマナーの講師は一人だけの可能性があります」

 

皐月と雫はジト目で二人を見るとしどろもどろしており、これで皐月は確信した。この世界の嫁達はハジメの傍にいる事が一番の幸せだと感じているだろうと推測、ならば講師としての畑山に頼むのではなくハジメに教えてもらう事で忙しいという事だろう

 

「この世界に私が居ない事は分かったわ。その上で聞くけれど、正妻は誰?」

 

「ユエだ。そっちにも居るのか?」

 

「ユエが正妻なのね。雫、ここってヤバイわね」

 

「皐月が何を言いたいのか分かったわ。恐らくだけど・・・ユエと香織の関係はこちらよりも悪いでしょうね」

 

「偶にキャットファイトしますね。まぁ、これはじゃれ合い程度なのでそこまで酷くはないでしょう」

 

「「じゃ、じゃれ合い!?」」

 

「どこに驚く要素があるの?嫁だから普通でしょ」

 

向こうのハジメと雫は、頭を抱えてありえない光景を思い浮かべている様子だ。きっと、二人の頭の中では争いをしているのが日常的なのだろう

 

「やべぇよ・・・やべぇよ・・・。並行世界ってだけでここまで違うのかよ」

 

「ユエ・・・香織・・・本当に見習った方が良いわよ」

 

向こうのハジメは、この問題は大きすぎると判断して嫁-ズを招集する事にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

向こう側のユエ達や各親達が集まり、各々でこの現状についてのすり合わせをする。尚、向こうの嫁-ズ達はこちらのハジメについてやら居ない二人についてを根掘り葉掘り尋ねる。そして、こちらも同じ様に向こうのトータスでの出来事を聞いたりして違いを聞く

 

「・・・やっぱりあれね。深月が最大のイレギュラーだったのね」

 

「皐月、それは仕方がないわ。こんな究極完全体チートメイドなんて何処を探しても一人だけよ」

 

向こうのユエ達は深月を見て、「どこが強いの?」と強者のオーラを何一つ感じ取る事が出来ていない様子だ。当の本人はというと、人数分の紅茶淹れ、宝物庫に入れてある調理器具を使ってクッキーを作っている。何処に居ても変わらない様子に皐月と雫は安心する

 

「・・・この紅茶今までで一番美味しい」

 

「私もこれほどまでに美味しい紅茶は初めてです」

 

向こうのユエとリリアーナが紅茶を一口飲んだだけで絶賛する。高級な紅茶を飲んだ事がないハジメ達は、ただただ美味しいとしか言えないが二人の反応から見て凄いという事だけは分かった。そして、手際よくクッキー生地を作って焼いている姿は完璧と言ってもいい。現に、向こうのハジメは深月を目で追っている

 

「・・・ハジメ?」

 

「ハジメさん?」

 

「ご主人様?」

 

「あ・な・た・?」

 

「ハジメくん?」

 

「ハジメ?」

 

「ハジメさん?」

 

「ハジメくん?」

 

向こうの嫁ーズの重圧が凄かったのか、ハジメは冷や汗を垂らしながら視線を逸らす。だが、それでも分かる事はただ一つ

 

「こっちのハジメもそうだけど、向こうのハジメもメイドスキーなのね。後から聞いたけど、容姿ドストライクって言ってたわね」

 

皐月がニヤニヤと笑みを浮かべながらこっちのハジメの情報という餌を撒くと、向こうの嫁ーズはとても面白い反応だった。こっちでもあまり変わらない嫁ーズの圧力にタジタジとなり、必死に弁解しようとするも南雲夫妻によって事実をさらけ出されて縮こまっている

これを見た皐月は、向こうとこちらの嫁ーズの反応が僅かながら違う事を見抜く。しかし、これはこれで成り立っているのかハジメの甲斐性のお陰なのかは分からないのでツッコミは入れない。今は元の世界に戻る手立てを考える事が重要であるが、少しぐらいのんびりしてもハジメが発見してくれるであろうと確信をもって言える

 

「酷い目に遭ったぜ・・・」

 

「同じハジメでも深月をじっとりと見ていいのはこっちのハジメだけよ。後、深月に対して嫉妬の混じりの視線を向けるのは見苦しいとだけ言っておくわ。自分を見て欲しいのなら、冷静になってハジメの好みを研究して自分なりに着飾ることをしなさい」

 

『・・・はい、仰る通りです』

 

「流石皐月ね。改善点まで教えてあげるなんて優しいわね」

 

「そりゃあ、正妻として皆を幸せに導かないといけないでしょう?」

 

ここで、向こう嫁ーズがユエと皐月に視線を交互する

 

「ユエはもう少し高坂さんを見習った方が良いと思うよ?あっ、ユエみたいな高齢は優しくないよね!」

 

「・・・バ香織、覚悟しろ」

 

「「やってやるよぉおおおおお!」」

 

向こうのユエと香織の殴り合いが始まり、向こうの皆が止めようとするが争いの範囲が深月の方に移動したのを見た皐月と雫は合掌する

向こうの二人は気付かずに深月のテリトリーに入った瞬間、ぴたりと動きが止まった。いつでもどこでも万能な魔力糸の拘束力は伊達ではない。二人は何かに干渉されている事に気付き、それぞれ対処をしようと動くが

 

「お二方にはクッキー没収です。そして、しばらくの間、体を封じさせていただきます」

 

深月はシュタル鉱石印の針を二人の身体に刺して完全に動きを封じ、俵が抱えにして椅子に座らせる。二人は、意識があるのに体が全く動かせないこの状況に困惑している様子だ

 

「ふむ、見事な秘孔刺しだ。正確に刺されているので後遺症も何もないだろう」

 

「親父、あの年であの技術をどう見る?」

 

「逸材としか言えぬな。それも百年に一度どころではないだろう。裏に欲しいな」

 

向こうの雫の祖父と父が深月を欲しがるが、これはこっちでも同様な反応があったのである意味変わっていない事を安心したらいいのだろうか・・・。それはともかく、大量に作られたクッキーを各々が一枚食べると動きが止まったが、少しして争奪戦が開始された

 

「このクッキーは俺のだ!」

 

「ハジメさんズルいですぅ!ティオさん、私がハジメさんを拘束するので確保お願いするのですう!」

 

「合点承知なのじゃ!」

 

「ミュウ、確保しなさい!」

 

「りょうかいなの!」

 

「あら、美味しい」

 

皐月と雫は、自分のクッキーを食べながらクッキー争奪戦を観戦する。戦果は、向こうの男性陣は一枚だけで女性陣は五枚近くだ。何時の世も男性は女性にある意味弱い。そんなこんなしていると、皐月の隣に黒い渦が生まれ、そこからこちらのハジメ達が雪崩れ込んで来た

 

「皐月、雫、大丈夫か!?」

 

「・・・無事?」

 

「鷲三さんと虎一さんと霧乃さんが緊急で知らせていただきましたが、びっくりですよ!」

 

「ママー!雫お姉ちゃん!」

 

「皐月さん、雫さん、大丈夫!?」

 

「皐月、雫ちゃん!」

 

さて、ここで気付いている人も居るだろう。皆は皐月と雫の二人を心配しており、深月に関しては触れていない。限界を超えた極限の深月なら、神であろうと相対する事が出来るので無事であると確信を持っているのだ。だが、深月と言えど心配されていない事には溜息を吐きたくもなる

 

「おいおい・・・メイドの方も心配してやれよ」

 

「神気を纏える深月が死ぬって余程の事がなければ大丈夫=信頼しているという事よ」

 

「深月を倒す=神級の敵だからな?そんな奴がうじゃうじゃ居る世界なんて殆ど無いだろ」

 

「・・・少しでも心配してくれてもいいじゃないですか」

 

ぶっちゃけ言うと、深月はかなり凹んでいた。信頼される事は悪くないが、精神が体に引っ張られている事とハジメと意味深な事をしているので少しばかり心境の変化があったからだ。恋をすれば人が変わるというのはこの事だろう

 

「まぁ、いいです。それではご主人s「ご主人様言うな。旦那様もなしだ。ハジメで固定しろ」・・・ハジメさん、私達の居た地球への行き来は確立されていますか?」

 

念の為の確認だ。もし、これで一方通行だとしたら大変処の騒ぎではなくなるし、概念魔法を創るにも時間が掛かるだろう

 

「向こうにアンテナを立てて来たから大丈夫だ。後はアンテナ先へと繋がるクリスタルキーと魔力があれば行き来出来るからな。もう一度異世界に召喚なんてされても帰れる様にしているのさ」

 

ハジメはこちら側に来る前に、座標を固定する為のアンテナを立てていたのだ。どんな場所であろうと、アンテナの立つそこに辿り着く事が出来る便利アーティファクトだ。尚、このアンテナは皐月宅の一室に設置されており、人工神結晶製である

 

「そういや深月、向こうの俺はどうだ?」

 

どうやらこちらのハジメは優越感を感じたいのか、ニヤニヤ笑みを浮かべながら深月に尋ねる。深月は、深いため息を吐きながら感じた事を素直に告げる

 

「どちらのハジメさんもメイドスキーの変態紳士です」

 

「「違う、そうじゃない」」

 

二人の息の合ったツッコミに思わず苦笑いする

 

「この程度の茶目っ気は置いておきましょう。どちらが強いのかですよね?」

 

「当然だな。正直、向こうの俺を含めたユエ達の方もどうなのか知りたい」

 

「分かり切った事を・・・向こうはこちらに比べて弱々です。歩き方やオーラを探った事にも気付いていませんから」

 

深月の言葉を聞いた向こう側は、少しだけ怒っている様子だ。青筋までとはいかないものの、頬をヒクヒクと引き攣らせながら憤怒のオーラを漏らしていた。一般人が受ければ失禁間違いなしのプレッシャーだが、こちらのハジメ達にとってはそよ風である

 

「おいおい、その程度の情報で俺達の方が弱いって言いたいのか?」

 

「・・・良い度胸」

 

「そちらのメイドさんについては強いかもしれませんが、私達はあの戦いから成長しているのですよ!」

 

向こうはかなり自信満々な様子だが、ハジメ達はこれは勝てると確信した。そして、脳裏に過る深月の地獄の特訓の数々―――攻撃が当たらないのは当たり前で、避けた筈なのに攻撃が当たっているという理不尽極まりない事を

 

「成長ですか?きっと深月さんの地獄の訓練より数百倍軽い内容の筈ですね」

 

「・・・シア、思い出させないで」

 

「そうzy――ぬわあああああああ!もう嫌なのじゃ!破裂はもう嫌なのじゃ!?」

 

「ティオのトラウマスイッチ踏んじゃった!?」

 

「ティオ落ち着いて!」

 

すかさずユエと香織が魂魄魔法でティオの精神を落ち着かせ、どうにか戻ってくることに成功した

 

「・・・二人共、すまんかったのじゃ」

 

冷や汗をかいて青い表情をしているこちらのティオを見た向こう側は、「何があった!?」ととても驚愕の表情をして深月を見ている。神域での戦いを知っているからこそ、トラウマを生産している事がありえないと思っているのだろう

一方、こちら側の反応は、「あれをやられたらそりゃあトラウマにもなる」と遠い目をしていた

 

「トラウマになるまでの一部始終を見てみますか?その場合は、R-18ですので子供のミュウさんとこちら側のティオさんは眠らせます。注意しておきますが、かなりグロい映像となります」

 

「ヒェッ!?」

 

特にこちら側のティオはガクガクと体を震わせていた為、深月がすぐに当身で気絶させた。これで当の本人が見る事も聞く事も出来ない状態となったので大丈夫である。向こう側はもの凄く気になるのか、目配せして見る事にした。こちらのミュウは聞き分け良く魂魄魔法で静かに眠ったが、向こう側のミュウは好奇心旺盛なのか「絶対に見るの!」と譲らない様子だったので強制的に魂魄魔法で眠らせた

 

「ユエさん、防音の障壁は大丈夫ですか?」

 

「・・・ばっちり」

 

全て準備万端となり、深月は再生魔法でトラウマの光景を再生した。周囲は凍った樹木―――ハルツィナ樹海の中の光景だ

 

『ティオさん?今まで散々の淑女教育を行いましたが、いつもいつも暴走してお嬢様の精神に多大なストレスを与えた為武力による矯正を行います。覚悟してくださいね?』

 

『い、嫌じゃ!武力だけは嫌じゃあああああああ!?』

 

必死に逃げようとするティオを縛り、黒刀をゆっくりと抜刀する深月の眼は冷徹な物だった。その眼を見た向こう側は、体を一震わせして何をされるのかを見ているとティオの腕がぽとりと落ちていた

 

『いぎゃあああああああ!?妾の腕ぇええええええええ!?』

 

『ただただ切り落としただけですよ』

 

その後、深月が切り落とした腕を持ってティオの目の前で破裂させた。血肉がティオに飛び散り全身を真っ赤に染まった。これだけでヤバイと感じた向こう側は、「そりゃああんな事されたらトラウマになる」と頬を引き攣らせていたのだがそれは甘々だ

 

『再生』

 

深月の再生魔法がティオの腕を再生して元に戻し、再び切り落とし破裂という行為を何度も何度も繰り返した。あまりの惨さに、体をガックガクと震わせながら深月を見る向こう側―――

 

「あ~、俺的には腕だけじゃなく足もかと思っていたぜ」

 

「あの時の悲鳴はもの凄かったわ」

 

「・・・これはヤバイ」

 

「深月さんが本気で怒るともっとヤバいですぅ」

 

「これはティオがトラウマになるわけだよ」

 

「よくトラウマだけで済んだわね。普通は深月さんを見ただけで発狂するレベルよ?」

 

こうしてトラウマ上映会は終わり、向こう側のハジメはつい言ってしまった

 

「なぁ、こっちのティオは未だにドMなんだが・・・矯正出来るか?」

 

「ご主人様ぁあああああ!?見捨てないで!あれは絶対に耐える事は出来ん!?死ぬ!死んじゃうのじゃ!妾死んじゃうのっじゃああああああ!」

 

向こうのティオはもの凄く必死な形相で向こうのハジメを掴んで懇願していた。とはいえ、こちらにメリットがあるわけでもないので深月が拒否して事なきを得た向こう側のティオはユエ達に慰められていた。やはりと言うか、ものすごく怖かったのだろうという事が伝わり、向こう側のハジメはある事に気付いた

 

「ん?さっきメイドの訓練がって言ったよな?」

 

「そうだな」

 

「あれより酷くはないと思うが・・・地獄見たか?」

 

向こう側はようやく気付いたのか、こちら側をありえない人を見る目をしていた。尚、こちらは全員遠い目をしていた事で全てを察した様子だ

 

「地獄という名のブートキャンプだったぜ・・・お前等も体験するか?因みにだが、俺達七人とまとめて戦っても勝つんだからな?何でもありで分殺だぜ・・・。ほら、笑えよ。メイドにやられる弱い奴ってよ」

 

『すまんかった!』

 

向こう側は全員土下座謝罪してブートキャンプ体験を回避。そして、深月の再生魔法による七人まとめての戦いの映像を見て絶句していた。そして―――

 

『メイドって何だっけ?』

 

メイドの定義が完全に分からなくなった。いや、向こう側のハジメは何やら考え事をしている様子だ。何かしら思う所があるのだろうが、それはどうでもいい。そんなこんなしていると、再び皐月の隣に黒い渦が生まれ大人深月が登場。ドッペルゲンガーよりも恐ろしい光景を目にした向こう側は、物凄い形相で頬を引き攣らせていた

 

「お嬢様のピンチに私参上―――そちらは何をしているのですか!この様なイレギュラー防ぐ事はメイドとしての役割を怠っている証拠ですよ!」

 

「足元が一瞬で無くなり、魔力が一切行使出来ない状況では傍に居る事こそ一番の安全です」

 

「はぁ~?その様な時は放り投げてでも回避させる事が最善手でしょう」

 

「お嬢様が怪我をする可能性があるではありませんか!」

 

「「あ"ぁ"ん?」」

 

二人の深月の眼力は凄まじく、周囲が軋んでいるかと錯覚する程の圧力を持っている為大変危険な状態だ。一触即発は遂に破られ、二人のメイドが激突する

 

「「死に腐れやああああああーーーー!!」」

 

身体がブレた瞬間に周囲に走る衝撃波は凄まじく、ユエが張っていた防音の障壁が一発でひびが入る。キャットファイトというレベルを超え、本当の殺し合いレベルの戦いだ。向こう側のハジメ達は勿論の事、こちらのハジメ達も深月の動きは完全に捉える事が出来ない

 

「ストーーーーーーーーーップ!止めなさいっ!!」

 

皐月の号令が発せられたと同時に拳と拳がぶつかる直前で二人の深月は動きを止めた。ほんの数秒の攻防だが、それだけでも向こう側の全員に逆らってはいけない事を悟らせるには充分過ぎる働きだった。尚、障壁を張ってもなお貫通した衝撃が八重樫家の屋根の瓦をひび割れさせたりしたのは流石というべきかやり過ぎというべきか・・・

 

「深月ぃ~?今回の事はしっかりとお仕置きを受けてもらうわよ~」

 

「「お嬢様からのお仕置きならバッチコイです!」」

 

「なら、ハジメと本気の3Pして逝きなさい」

 

「「    」」

 

その言葉を聞いたこちらのハジメはガッツポーズで喜びを露にし、向こう側のハジメは何故か知らないが物凄く落ち込んでいたりする。こちら側のユエ達は深月を見て合掌し、当の本人達は速攻で土下座をして命乞いをする

 

「お嬢様後生です!二人だけだと死んでしまいます!!」

 

「何卒・・・何卒それだけはご勘弁してください!!」

 

悲しき事かな―――皐月はこの決定を撤回する事はなく、潔く逝ってこいとのお達しとなった。そして、時間も夕食時に近くなったのでこれでお別れとなる。向こう側のハジメはこちら側のハジメと話し、向こう側の嫁ーズはこちら側の嫁ーズとお話をして帰還する事となった

 

「羨ましい・・・俺も自由に出来るメイドが欲しいぜ」

 

「無けりゃあ作ればいいだろ」

 

「簡単に言ってくれるな―――と言いたいが、ナイスアドバイスだな。戦闘メイド部隊を作ってやるさ」

 

「ふっ、こちらは既に戦闘メイドが完成しているからな。監督は深月だから強いぜ?」

 

「今度ユエ達にメイド服着させるわ」

 

メイド談義をするハジメ達と違い、嫁ーズは夜のあれこれについての生々しいお話をしていたりする

 

「深月のお仕置きはやっぱりこの手に限るわ」

 

「・・・そっちのハジメは夜凄いの?」

 

「全員相手にしても蹴散らされるし、深月が居てもそれは変わらないわ。フフフ、一人で体が持つわけがない」

 

『・・・ゴクリ』

 

「とまぁそういう感じよ。そっちも襲われるぐらい魅力的になればいいだけよ」

 

『・・・これが勝者の余裕』

 

皐月は向こうのユエ達にアンテナを渡し、こちらから何時でも移動出来るように向こうのハジメ宅の地下へと立てる事となった。向こうのハジメは、最初は渋っていたのだが・・・皐月が遊びに来る=深月が来るという事に気付いて速攻で増改築した

たらればの世界―――一日を楽しく過ごしたハジメ達は、元の世界へと帰還した。尚、皐月が薫と癒理にとても心配されたのは言うまでもない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




本当の原作に介入していくスタイル
布団「構成を考えるのにちょっと楽な方向を・・・モウシワケナイ」
深月「並行世界は作者さん的にはある意味楽ですよね?」
布団「キツイお言葉でございます(´-ω-`)でも、こういうのも悪くないと思うの」
深月「まぁ・・・違う作品のアフターでは並行世界を移動するというのは見ないですから」
布団「先陣切って何が悪いっ!みんなも真似すればいいやん!!」
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