ありふれていない世界最強メイド【本編完結済み】   作:ぬくぬく布団

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布団「仕事がいきなり入ったので更新が遅れました」
深月「・・・大変ですね」
布団「それでは、どうぞ!」
深月「読者の皆様方、ごゆるりとどうぞ」





影の薄い人はメイドに告白するが・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これはハジメ達が地球に帰る前の戦いの記録である

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~ハジメside~

 

人工神結晶を作成しているハジメは、基本的に暇を持て余している。よって、何をするかというと―――解放者の拠点で嫁達とイチャイチャである。勿論意味深な事も含まれており、とても幸福な時を過ごしていた。だが、そんな時間を破る報せが入った。その内容は、遠藤が大怪我をしてフェアベルゲンで治療中との事だった。あの大戦で多大な戦果を挙げた遠藤が大怪我を負った!?と驚き、転移門で早速移動して香織の治療で遠藤は回復する事が出来た

 

「南雲、助かったよ」

 

「あぁ・・・。だが、一体何があった?お前に大怪我させる奴なんて何処のどいつだ?」

 

ハジメ達の疑問点はそこだ。遠藤の実力は皆が認めており、条件付きならば雫相手でも生き延びる程の強さを持つ=敵は雫並みという事が確定する

 

「何処のどいつって言うよりも・・・あれだ・・・試練でこうなったんだ」

 

「ん?試練?」

 

「オルクス・・・は六つをクリアしていないと入れない筈よ?」

 

『あぁ・・・あれか・・・・・』

 

試練と言う言葉を聞いたユエ達は心当たりがあった。それは、大戦が終わった時の話に遡る

ミレディは神域の崩壊エネルギーを地上に影響が出ない為にその身で防いだ。当然、ミレディは死んだ事になる。それによりライセン大迷宮の最後の関門であるミレディとの戦いがなくなる為、神代魔法の取得が容易になってしまう。それを防ぐ為、ハジメと皐月によるミレディゴーレムに代るゴーレムが作られたのだ。ふんだんに使われる鉱石と、ロマン兵器満載の鬼畜仕様―――。もう、神代魔法を取得させる気ゼロだろ!と叫び声を上げる程の強々ゴーレムだ

主兵装はガトリングゴム弾―――。しかし、腕の中に隠された放電鞭による範囲攻撃と接近を許さない近接武器とミサイルの二段構え。それだけでは飽き足らず、足には重力石による縦横無尽に駆ける事が出来る靴とスカートに隠された隠し腕のビームサーベル。背には百基のガトリングビットと十基のシールド+バズーカ。ロマン武器としてロケットパンチ、胸部装甲を開いて非殺傷の大型レーザー、頭部モノアイから目潰しフラッシュ等を搭載している

これを作っている二人に、ユエ達は何度も「そこまでしなくても」と言っていたが、二人の溢れる愛によって押し切られてしまった。ついでに、ボス部屋の壁や障害物全てをアザンチウム加工する事で、破壊される事はなくなったので生き埋めの心配もない

 

「これでようやく南雲に挑戦できるな」

 

「何?」

 

「ハウリア達が言ってたんだ。南雲に挑むなら、先ずはライセン大迷宮をクリアしてみせろ―――ってなっ!」

 

「あいつ等そんな事言いやがったのか!?」

 

おい、俺のバカンスタイムを返せ!とハジメはハウリアを睨みつけると、皐月がハウリア達を拘束していた。流石手が早い。ハジメの考える事をいち早く理解して行動する姿は正に正妻として成せる業だ

 

「俺はやらねえぞ」

 

「何言ってんだ。前に言ってたよな?神楽さんと一緒に出掛けるには南雲に一撃入れなきゃいけないんだ」

 

皐月達は、「あぁ~、そんな事も言ってたな~」と思い出した。遠藤は心を燃やしてハジメに挑戦するつもりで、一撃を入れる策もあるだろう。しかし、皆お忘れではないだろうか・・・・・あの大戦が終わっている=

 

「えっ、深月さんとデートですかぁ?ハジメさんと結婚するんですよぉ?」

 

「あっ、おいシア!」

 

「何・・・だと・・・・・っ!?」

 

ここでシアが言ってはならない事実を口から漏らしてしまった。皐月達が急いでシアの口を塞いだものの、完全に全部聞こえていた遠藤はただただ呆然としていた

 

「・・・南雲」

 

「お・・・おう?」

 

「・・・俺が言った事、男のお前なら分かってたよな?」

 

「・・・否定はしない」

 

「ヤロウブッコロシテヤアアアアアアアル!!」

 

血涙を流しながら遠藤がハジメに襲い掛かった。フェアベルゲンの中?そんな事知ったこっちゃねえ!俺は絶対にお前を許さねえ!とばかりに、怒りに呑まれた遠藤を止めようと皐月達が取り押さえようとするが気配透過で認識をずらしてそのまますり抜ける

 

「ちょ!?」

 

「・・・嘘」

 

「深月さん並みですかぁ!?」

 

「何という覚醒じゃ!」

 

「遠藤くん止まって!」

 

「ハジメに挑んだら死んじゃうわよ!?」

 

皆が止まれというが、遠藤は止まらない。ハジメは舌打ちをして、見晴らしの良い広場への後退と同時にドンナーでゴム弾を発射する。しかし、遠藤は飛び掛かりながらゴム弾をナイフで切断して吹き矢で反撃した

 

「うおっ!?吹き矢で攻撃とか必殺〇事人かよ・・・」

 

「ナァァァァァアアアグモォォォォオオオオオオオーーーーー!!」

 

何時ぞやの正常な判断が出来なくなった勇者(笑)よりも圧倒的に殺意がある攻撃を仕掛ける遠藤。失恋ではなく、もはやNTRに近い行為をされたのだから第三者の男性陣も遠藤の気持も分からなくはない

 

「空蝉爆弾っ!」

 

遠藤の分身が百体現れ、全方位からハジメに向けて特攻を仕掛けた。ハジメはその攻撃の威力は知らないが、香織や雫から聞いた話から予想して絶対に当たらないようにしないといけないと判断して、宝物庫からビットを百基出して迎撃する。ビットの弾幕が遠藤の分身に直撃した瞬間大爆発。煙が舞い視界が悪くなった事で、遠藤が優勢となる

 

「ちっ!少しは落ち着けよ遠藤」

 

「クルルルルルゥゥゥゥァァァアアアアアアアーーーーーー!!」

 

遠藤は、某吸血鬼アニメで出てくる神父さんの様な奇声を上げながら複雑怪奇な動きでドンナーの照準から外れ、糸付き投げナイフで攻撃を仕掛けてくる。ハジメとて何もしないままという訳にもいかず、ナイフを狙い撃ちしようとした

 

「キィィィェェェェエエエエエエエーーーーーーーーー!!」

 

ハジメの両斜め後ろから分身体がナイフで攻撃する。しかし、ハジメはこの攻撃を予測済みだ。懐から取り出したチャクラムにピンを抜いた手榴弾を落とし、遠藤の頭上へ投下。遠藤の分身は手榴弾を自分の武器として手に取ろうとした瞬間、ハジメのヤクザキックで吹き飛ばされてしまった。遠藤本体は、手榴弾に警戒をして突撃しなかったが、ハジメの狙いはこれだ。手榴弾の正体は玩具―――精巧に出来たそれは本物の手榴弾と遜色ない色と形と重量なのに爆発しないという威嚇武器だ

 

「理性が完全に飛んでいるってわけでもないか」

 

ハジメは、間髪入れずにビットで遠藤に集中砲火して接近を許さない。真正面からの斉射は大きな幕となって遠藤に直撃すると思った瞬間、遠藤は空を跳んだ。ハジメ達がよく使う空力―――それをこの状況で発現させたのだ。弾幕は回避され、稲妻の如きキレのある動きで一気にハジメに追いすがる

 

「おまっ!?魔力操作もないのにどういう事だ!?」

 

魔物が使う空力を使いこなす遠藤を見て驚愕するハジメは、咄嗟に撃とうとしたドンナーを引っ込めてガトリングガンを取り出して遠藤に向けて全弾叩き込む。常人では反応する事すら出来ないレールガンのガトリング弾は、あろうことか遠藤は両手に持ったナイフで全てを切り刻む

 

「ホワァァァァァァァタァァァァアアアアアアアアアーーーーー!」

 

「なんじゃそりゃあ!?」

 

「嘘っ!?メツェライの弾幕全てを切り落としているの!?」

 

「・・・あれ本当に人間?」

 

「やっべぇです。もう一回言いますがやっべぇです・・・」

 

「め、目が追い付かんぞ!」

 

「雫ちゃん、あれ出来る?」

 

「黒刀では無理ね。ナイフなら・・・たぶん出来るかも?というぐらい確約は出来ないわ」

 

深月の次に近接戦が強い雫ですらメツェライの弾幕を全て切り伏せる事は出来ないかも?というのに、遠藤はそれを可能にしている。何かしらの種があるのは確実だが、それが何をどうしているのかは不明だ。面制圧武器をふんだんに使って遠藤の接近を阻止しているハジメだが、遠藤が遂にその攻撃に慣れた。回避不可能な弾丸はナイフで切り落とし、爆風は突撃の加速剤として利用して距離を詰める。そして、遠藤の手に持つナイフがハジメの頬を薄く切った

 

「マダダァアアアアアアアアアアア!」

 

「いい気になってんじゃねえぞ遠藤っ!」

 

ハジメの震脚が大地を割り、つんのめった遠藤の腹に向けてヤクザキックを叩き込もうとしたハジメだが、途中で止めて背後に発砲して分身の遠藤を潰してビットの体当たりで本体を遠くへと弾き飛ばす

 

「オレハオマエヲユルサナイゾナグモォォォォオオオオオーーーーーーーーーー!!」

 

「俺がどうこうする前に深月に告白でも何なりすればいいじゃねえか!!」

 

「何か呼びましたか?」

 

王国に居た深月がゲートでフェアベルゲンに丁度到着してハジメの声に反応したのだ。かなりの修羅場に深月本人という劇物が投下された事により、皆がピタリと固まった

 

「えっと・・・何用ですか?」

 

「あ、あぁ・・・ちょっと遠藤と模擬戦をしててな」

 

「遠藤さんがおかしくなっているので模擬戦というのは無理があるかと」

 

ハジメは深月に嘘を告げるが、遠藤の様子が普通とは違うのであっさりと看破される

 

「神楽さん!俺とつき合って下さいっ!」

 

理性を取り戻した遠藤が深月に告白するが、悲しきかな

 

「・・・申し訳ございません。私はハジメさんと結婚する事になっております」

 

遠藤は膝から崩れ落ちて絶望し、ハジメは取り敢えず一息入れる事が出来るとホッと溜息を吐き―――

 

「既に上と下の初めても強引に散らされましたし・・・」

 

「  」

 

『・・・・・』

 

遠藤は燃え尽き真っ白になっており、その姿が痛ましく皆が憐れみの視線を向けていた

 

「ゆ・・・・んぞ。よ・・くも、ヨクモ」

 

遠藤のブツブツと呟く声が徐々に大きくなる

 

「俺はぶっちギレタゾォォーーーーー!!」

 

突如、遠藤の身体から黒いモヤが溢れ出た。その瞬間を見た皆―――特に雫は、ハルツィナ樹海のGの大群の黒を思い出して悲鳴を上げた。いや・・・本当にもうそっくりなのだ。巨木の裏から溢れ出たGの大群と黒いモヤが被って見える

 

「うおっ!?なんだこりゃあ!?」

 

遠藤を中心に魔力の圧が波紋状に広がり不気味な感覚を皆に襲い掛かる。まるで底なし沼に足を沈ませたかの様に動きが鈍くなった。唯一被害が無かったのは深月なのは言うまでもないだろう

 

「■■■■■■■ーーーーーー!」

 

某汎用人型決戦兵器の初号機の様にゆらゆらと歩き近付く遠藤を前にハジメは冷や汗を流し、手加減をして相手取る事は不可能と判断した。香織が居たら殺してすぐなら生き返らせる事が出来るので遠慮はしない。実弾で遠藤の急所に狙いを定めて撃つ

 

ドパンッ!

 

見事遠藤の急所に直撃かと思ったが、黒いモヤが形を変えて弾丸を払いのけて軌道を逸らした。普通では衝撃波で魔力の塊であろうと散らす事が出来るのだが、遠藤から出ている黒いモヤ相手には傷を与える事すら出来なかった

 

「どんな覚醒だよ!」

 

ドンナーで駄目ならシュラーゲンで狙撃するが、これもドンナーと同様に軌道を逸らされて無傷。流石のハジメもイラついたのか、宝物庫からパイルバンカーを取り出した

 

「ハジメさん!?」

 

「・・・殺す気満々」

 

ユエとシアが驚愕しているが、そんな事は無視して地面を掘り進めていたチャクラムを起動。遠藤を取り囲む様に飛び出したチャクラムの円から鎖が飛び出して黒いモヤと遠藤をまとめて捕縛、遠藤は無抵抗だが嫌な予感がひしひしと感じるハジメは止まらずにパイルバンカーの杭を発射。杭が黒いモヤ諸共遠藤に穴を開けた瞬間、遠藤の身体がタールの様にドロリと溶けて地面に染みを作った

 

「■■■■■■■■ーーーーーーー!!」

 

「なっ!?」

 

死角からではなく地面から飛び出す様に攻撃してきた遠藤の一撃を皮一枚で回避したハジメは、義手に搭載されたショットガンで容赦なく遠藤を撃つ。だがその遠藤も先程と同様に溶けて染みとなる。武器のナイフも溶けているから傷は付かないと思ったが、ハジメの頬には一筋の切れ目が入っていた

 

「・・・分身体の武器も本物と遜色ないって事か」

 

これはいよいよなりふり構わず攻撃しなければ危ないと感じたハジメは、上空に飛ばしていたヒュベリオンを自身にロックオン。遠藤の分身体が襲い掛かったと同時に発射し、自身は盾を上部に展開。以前作った核弾頭すら防ぐ事が出来る盾がハジメを護り、離れて警戒していた遠藤の分身体は蒸発する

 

・・・消えたって事は残る攻撃手段は一つ

 

ハジメが構える盾の内側とその影から遠藤本体と分身体が現れ

 

「はぁい遠藤、おねんねの時間だオラァ!!」

 

ハジメは盾を解除、そのまま金剛でヒュベリオンの光線を耐える事にした。結果―――、耐久力のない遠藤は焼け焦げ、ハジメは所々火傷を負った

だが、ハジメは焼け焦げて動けなくなった遠藤の胸ぐらを掴んで義手から捕縛アンカーを打ち出して完全に拘束した。義手の締め付けとアンカーによる簀巻きで遠藤が動かせる部分は限られるので、ハジメは顔以外の動く部分にアザンチウム製の杭を打ち込み、それ等を鎖で連結させて完全に動きを封じた

 

「取り敢えず一回死ね」

 

ドパンッ!!

 

ハジメは遠藤を撃ち殺し、香織とユエに視線を向けて再生と魂魄の保護を頼んだ。遠藤の体は再生されて元通りとなり、魂を保護しているユエは少しだけ苦しい様子だ

 

「ユエ?」

 

「・・・ごめん。抵抗が激しい」

 

ユエが保護している遠藤の魂は暴れており、魂を保護している入れ物が壊されかねないとの事だったのでティオと香織のダブル魂魄魔法で強引に落ち着きを取り戻させた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――数十分後

 

「俺だって・・・俺だって告白したかったんだよ!バッカヤロォオオオオオオオオオーーーーーーーーー!!」

 

それはもうフェアベルゲン全体に聞こえる大きな声で嗚咽を漏らしながら叫ぶ遠藤を見ている皐月達女性陣は、とても不憫で不幸な男だなぁと心の底から思った。とはいえ、告白した早さが物を言うのであればハジメの勝利?ともいえるだろう。色んな意味で・・・

 

「遠藤さんは何故叫ばれているのですか?」

 

「深月・・・遠藤君から話しかけられるのは良いけど、深月からは話し掛けたら駄目よ」

 

「精神担当の私、失恋の叫びです。対象は私達のどちらかですがね」

 

「・・・・・傷口に塩を塗り込むのはいただけませんね」

 

深月は速足でその場から離れた。彼女居ない歴年齢の元男だが、そこら辺りの感性はしっかりと弁えている。だが、それを守るかどうかは気分次第というのもあるのが難点だ

 

「あ、あの~・・・ボス、お嬢、少しいいですか?」

 

「あん?」

 

「何かしら?」

 

ハジメと皐月に声を掛けて来たのは女性ハウリアのラナ―――決戦での遠藤を見つける事が出来た凄腕?の一人だ。その様子はどこかおかしく、ソワソワしている。ハジメは全く気付かないが、皐月はいち早く気付いてラナと嫁-ズを連れて少し離れた所に避難する。ハジメからも、遠藤からも聞こえない様にユエに防音の結界を張ってもらい準備が完了

 

「さて、ラナ。どうして遠藤君が好きになったのか聞かせてもらうわよ?」

 

「えぇっ!?ラナさんって遠藤さんの事が好きなんですかぁ!?」

 

「し、シア!いいじゃない別に!!そりゃあ勿論、最初会った時は何も感じなかったけど・・・その・・・決戦で敵を倒しているかっこいい姿を見て///」

 

「・・・これは恋した女の目」

 

「失恋での傷心か~ら~の、励ましの言葉から外堀を埋めよう!」

 

「・・・香織、それはちょっと」

 

「香織の天然は未だに健在なのね」

 

「「「・・・むっつり(ですぅ)(じゃの)」」」

 

「皆酷い!?」

 

まぁ、香織の言い分も最もである。失恋傷心中の男子に包容力のあるお姉さんの癒しなら、遠藤も少しばかりは意識するだろう

 

「えぇ!えぇ!もう好きなんです!!でもライバルが沢山居て気が気じゃないんです!!」

 

「えっ?ライバル居るの?」

 

「そりゃあ居ますよ!王国の戦闘メイド、帝国の皇帝の娘・・・どれも私より強く手強い女達です。正直、今の内に唾をつけておかないと美味しく頂かれそうな気配がプンプンしているんです!」

 

「・・・ちょっと深月を召喚」

 

「呼びましたか?」

 

相変わらず呼ばれて即参上の如く、お早い深月の登場である。皐月はラナの証言を交えて深月に情報収集してもらおうかと頼もうとすると

 

「・・・成程、合点がいきました。あの一人のメイドが私に嫉妬と諦めの感情を混ぜた視線を向けていた理由はこれだったのですね」

 

「ま、まさか!?」

 

「戦闘メイド部隊の暗器を最も得意とするNo.2のリリア―――確かに、ラナさんよりも強いのは確実でしょう。そして、皇帝の娘はトレイシー皇女殿下ですね。戦闘狂で有名ですよ?」

 

深月が一から育てた戦闘メイド部隊の一人と、皇女殿下と、ハウリア・・・。今の所ラナが勝っている部分は、年齢というだけだ。それ以外は全て張り合う事すら出来ない

 

「王城に居たメイドだから貴族の可能性があり、戦闘能力もある。皇女殿下は戦闘能力以外はメイドに勝っている一方、ラナは・・・その・・・・・お姉さんとしての包容力でどうにかするしかないわ。正直言って、この後すぐに行動しないと掻っ攫われるのは確実ね」

 

「お嬢、どうにかして下さい!」

 

「と言われてもねぇ~。ラナが自分で考えて遠藤君を慰めたりして距離を一気に縮めない事には何とも言えないわ」

 

「そ、そんな・・・」

 

「唯一の解決策はあr「本当ですか!?」・・・まぁ、あるわ」

 

ラナが、「流石お嬢!」と期待満点の目を向ける

 

「ハーレム作っちゃえ」

 

「  」

 

「聞いた限りだと二人は絶対に諦めないし、力づくでどうにかする可能性もあるわ。だから、泥沼になる前に妥協しなさい。平等に愛してもらったらいいだけでしょ?」

 

「で、ですが・・・」

 

ラナの思う気持も分からなくもない。自分だけ愛されたいという気持ちは誰だって持っている。だが、ここは地球ではなくトータスという弱者は強者に淘汰されるのが当たり前の世界。だからこそ、ラナは焦っているし危険を避ける事も難しい

 

「ラナさん、皐月さんの言う通りにハーレム認知しましょうよ。皇女殿下についてはこちらが圧力掛けたら大丈夫かもしれませんが、メイドさんについては手足も出ませんよ」

 

「み、深月殿ならっ!」

 

「何も言いませんよ?」

 

「ガッデムッ!」

 

ラナの頼みの綱である深月は、彼女達に何かを言う事はないと告げてラナは膝から崩れ落ちる。すると、深月が身に着けている腕輪が光り、それに魔力を流す

 

「何用ですか?」

 

『メイド長聞こえますか?』

 

「ヘリーナさんですか。どうされましたか?」

 

あの決戦から使用していた通信のアーティファクトをメイド達だけに渡していたので全員が逐一報告する事が出来る状態となっており、深月に相談するのは特殊な事情という事だ

 

『リリアが突然仕事を辞めて旅に出たのでこのアーティファクトを回収する事が出来ませんでした。教えがあるので売却したり譲る事はないと思いますが、一応念の為に知らせておきます』

 

「では、手放していない事を前提でこちらから聞き出しておきましょう」

 

深月が通信を切ろうとした時、ヘリーナが気になる事を告げる

 

『そう言えばリリアがあの決戦が終わってから口が悪くなっています。それこそ、皇女殿下を射殺す様な目をしていました。時折、雌兎やら発情兎やらと・・・特に最近多く八つ当たりで誰かを傷付ける可能性もあります。これで通信を終了します』

 

これを聞いた全員は、「あっ、これは勘付いた」と理解した。ヘリーナとの通信が終了したと同時に、再び腕輪が光ったので、追加の連絡かと思って出ると

 

『メイド長!遠藤様は今どちらに居られますか!』

 

「・・・切りますよ?」

 

リリアからの通信でかなり興奮して焦っている様子だったので、問答無用で切ろうとしたがリリアは必死に謝って繋いだ状態にしてもらった

 

「先程ヘリーナさんから連絡がありましたよ。このアーティファクトはメイドを辞めるなら返却する事が必須という事を忘れましたか?」

 

『うっ!?わ、忘れていません。ですが、これは今絶対に必要なんです!』

 

「それで?遠藤さんがどうされましたか?」

 

『メイド長!遠藤様とお付き合いはしていませんよね!?』

 

「していませんね。告白前に玉砕で傷心しています」

 

『よっし!』

 

何がよしなのかツッコミを入れたいが、それは無粋なので追及はしない

 

『今近くに居るのは間違いありませんか?もし居るならその場所に留まる様にして下さい!』

 

「フェアベルゲンに居ますが・・・私達もしばらくは滞在するので移動する可能性は極めて低いでしょう」

 

『チッ、よりにもよって雌兎の本拠地ですかっ!』

 

「・・・遠藤さんに離れる様に告げ口しますよ?」

 

『あ、あ、あっ!?ち、違うんです!く、口が勝手に動いて・・・。申し訳ございません!』

 

「手に入れるなら自力でどうにかしなさい。それでは、後程合流の際にアーティファクトは回収します」

 

リリアとの通信が終わり、さてどうしようかと判断を仰ごうとした深月だが、もう既にラナは皐月達の傍には居らず、遠藤の方へと駆けて行く姿が見えた

 

「ラナさんの恋は実りますかねぇ~」

 

「そう・・・ですね・・・。リリアの気配が近くに感じられましたので出会っているのではないでしょうか?」

 

『えっ?』

 

皐月達が深月に視線を向けた時、ラナが走り去って行った方向から木が倒れる音と女性達の声が聞こえた。これは修羅場っていると判断した皐月達は、その場へ向かった。まぁ、案の定修羅場の修羅場

 

「遠藤様と私の邪魔をする雌達はキ・エ・ロ・!」

 

「彼と付き合うのは私よ!お子ちゃまはどっか行ってなさい!」

 

「この戦いは亜人族を奴隷にするのではありませんわっ!これは女の尊厳を掛けた戦い・・・誰にも邪魔はさせませんわ!」

 

そこには三つ巴の戦いが繰り広げられていた。リリアの持つ小刀とラナの持つナイフとトレイシーの持つ禍々しい大鎌による武器の攻防―――。皐月は、ハジメお手製の小刀とナイフと拮抗するあの大鎌に少し興味があるが今はこの修羅場をどうにかして収めなければいけない

 

「おいおい、ちょっと大きな音が聞こえたから遠藤と来てみたが・・・どういう状況だ?」

 

「えっ、どうして女性三人が争ってるの?」

 

把握出来ていない二人に、皐月達女性陣は遠藤をジト目で睨んだ。流石の遠藤もこの視線には耐えきれなかった

 

「あ、あの~・・・どうして俺が睨まれてる・・・の?」

 

「ハジメと同様に天然なタラシね」

 

「タラシ!?」

 

遠藤の驚愕の声が聞こえたのか、争っていた三人の動きがピタリと止み視線が遠藤の方に向く。しかも、三人同時というオマケ付きなので、遠藤は何処かしか恐ろしいと感じている。そして、三人はじりじりとすり足で遠藤に近付いており、嫌な予感が激増した遠藤は遂に耐えきれず逃げ出した

 

「捕まえるわよ!」

 

「「勿論!」」

 

ラナを先頭にトレイシーとリリアが駆け出す。そして、数時間後に遠藤は三人に抱き締められる形で帰って来た

 

「・・・・・三人と付き合う事になりました」

 

「お、おう・・・。頑張って幸せにしてやれよ?」

 

こうして遠藤は、失恋と女性の捕食を一日で体験した。とはいえ、遠藤も男なので腹を括って彼女達を幸せにする為に努力する様になり、正妻は誰も居らず皆が平等という形で落ち着いたのだった

尚、後日三人と婚約した事をクラスの皆に打ち明けた遠藤は、殆どの男子達に血涙を流させたのは言うまでもないだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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