ありふれていない世界最強メイド【本編完結済み】   作:ぬくぬく布団

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布団「ワカメェッ!お前にはお似合いの罰を用意してやった!」
深月「後程麻婆を食べさせましょう」
布団「・・・メイドさんに人の心はないのですか?」
深月「布教です。それでは読者の皆様方、ごゆるりとどうぞ」






メイドさんの攻撃、ワカメ散るっ!~Fate編~

~ハジメside~

 

・・・あぁ、最悪だ。鬱になりそうだ。オタクの夢見た世界に迷い込んだ先に待っていたのは理不尽な事ばっかりだよ。父さん、母さん、俺は心が折れちまう

 

さて、ハジメが途方に暮れてボーっと眺めている先は、深月とアーチャーの模擬戦の真っ最中だ。深月が一番不安に思っている事は、同盟相手の戦力不足について。セイバーとアーチャーとランサーの三人は戦闘能力は高いが、バーサーカーと一対一で戦う事になれば脱落するだろう。だからこそ、最低限の動きを把握しておく必要があった

 

「ふっ!」

 

「アーチャー様は弓を使わないのですか?」

 

「確かに私は弓兵だが、最も慣れ親しんだ武器はこの双剣だ。弓だけに頼る弓兵程狩りやすい者はない」

 

「それはそうですね。ですが、アーチャー様の動きは捉え易い事が欠点です。戦場に身を長く置いたからこそ、無意識に安全圏へと移動しています。例えば、この様な動きには―――咄嗟に反応出来ませんよね?」

 

「いいや、保険は掛ける事は出来る」

 

深月が予測不能の動きでアーチャーの背後に回り込んで首筋に刃を当てる直前に、アーチャーの持つ双剣が弧を描く様に深月の背後から襲い掛かる

 

「相手が私だからと思っての攻撃ですか?この程度では肌に傷一つ付けれませんよ」

 

深月の不可視の魔力糸の布が背中を守り双剣を弾き落とす

 

「・・・ふぅ、君は本当に人間かと不思議に思うよ。サーヴァントとして召喚される我々は、最も強いとされる姿だ」

 

「人間死ぬ気になればどうとでも出来ます」

 

「アーチャー、お前情けなさすぎるだろ。嬢ちゃんが強いのは分かるが、早々に降参するのはいただけねぇ。もし、この場に師匠が居たら禄でもない地獄を見るぜ?あぁ~あ、嬢ちゃんと師匠が戦ったらどっちが勝つんだろうねぇ~」

 

「ランサー様の御師匠様ですか?流石に長く生きる年長者の方に分がある気がするのですが・・・」

 

「いやいや、嬢ちゃんなら食らいつける筈だ。そんで気に入られて地獄の鬼ごっこ・・・駄目だ、もう思い出したくねぇ」

 

ランサーはトラウマを思い出したのか、青褪めた表情を浮かべて室内へと戻って行った。キャスターと同盟して数日が経過し、同盟者全員が衛宮宅で過ごす事によって広々とした部屋はかなり窮屈となっていた。だが、そこはハジメが空間魔法で地下室を作って各々の部屋を用意する事で解決した

 

「ほら、お嬢ちゃん。貴女の属性は希少なのだからもっと厳しく教えるわよ。何時聖杯戦争が終わって退去するか分からないのに休む暇はないわよ。色々と酷い目に遭ったのは分かるけど、過去より未来を見て行動しなさい」

 

「は、はい!!」

 

「良いお返事ね。次は自動迎撃の魔術よ」

 

キャスターは間桐に魔術の手解きをして自衛出来る力を身に付けさせている最中だ。対価は、キャスターの作製した可愛い洋服を着たり料理を教えたりと様々だ

 

「セイバー様は働かれないのですか?」

 

「み、ミヅキ!?私はこの家を警護する仕事をしていますよ!?」

 

「昼食を作るので下拵えのお手伝いをお願いします」

 

「わ、私は騎士です。・・・包丁は持てても料理をした事がありません」

 

「残念な腹ペコ騎士様ですね。せめて食料を調達して下されば御の字だったのですが」

 

セイバーの女子力の無さにホトホト呆れ果てていると、金ぴかのバイクに乗ったギルガメッシュが衛宮宅の庭に入って来た

 

「喜べ召使!此度の昼食は、我が大間とやらで一本釣りしたマグロである!」

 

「マグロ!・・・ハッ!?素材が無いから包丁が作れねぇ・・・」

 

ハジメは、ギルガメッシュが大間のマグロを一本釣りした事に疑問は抱く事はなく、専用の解体包丁を作らねばと思った。だが、宝物庫は空っぽな事に気付いて項垂れる。だが、其処で救いを差し伸べたのはギルガメッシュだった

 

「雑種、我の宝物庫から素材を幾つかくれてやる。後は分かるな?」

 

「ハハアッ!有難き幸せっ!」

 

ハジメの目の前に置かれた素材は、そのどれもが最高級だ。しかも、玉鋼という包丁にとって最重要な素材をポンッと渡されたのなら直ぐに作業に取り掛かる。本来必要な過程をすっ飛ばして作る事が出来るのは錬成師の良い所で、そのまま実戦の武器として使っても問題がない切れ味と頑強さを両立させた包丁を五つ程製作。持ち手の木材は神代の木を使っており、この世で一番と称しても問題のないマグロ解体用包丁が作られた

 

「さて、この我が釣ったマグロだ。その眼でとくと見よ!」

 

続けて、ハジメが速攻で作った解体用の木製テーブルの上に乗せた

 

「・・・マジかよ」

 

「流石ギルガメッシュ様、ギネス記録を優に超える大きさで御座います!」

 

「あの巨大さに身体の太さ・・・、大間の黒マグロというブランドも付けるとどれ程の値段がするのだ!?」

 

それは、大きな漁船の半分近くの長さとずんぐりむっくりとした巨体。尚、ギルガメッシュは漁船から道具まで自分で用意して釣り、ギルガメッシュが漁港の人間達に自慢したのは言うまでもない。だが、そのマグロは全て自分用という事でセリに出される事は無かった

 

「フハハハハハ!偶にはこの我の手で釣り上げるのも一興、これで王の度量も図れる。そこな腹ペコ騎士王なる王を称する小娘には格の違いを見せれたであろう!」

 

「      」

 

王の風格の違いはこんな所で現れた。王の食事を用意するのは民達だが、時には王がその食料を得て民に還元する事でカリスマの格差が生まれるのだろう。セイバーはギルガメッシュをありえないという目で見ており、ギルガメッシュはそんなセイバーを鼻で笑った

 

「セイバー様は邪魔ですのでテーブルから離れて下さい」

 

終いには深月からの邪魔という言葉のバリスタの矢が心臓に突き刺さり膝から崩れ落ちたので、衛宮が介抱する形で避難させて何かと標的にされる事を回避した

 

「いや・・・これどうしましょう?生魚は鮮度が命ですが食べ切るには些か大きすぎます」

 

「なぁに、今の我は気分が良い。以前釣りをした子供等に格の違いと我の凄さを教えようではないか!では行くぞ言峰!」

 

「ふっ、危うく空気になるところだったぞ」

 

ギルガメッシュは言峰を連れて、以前釣りをした子供達を衛宮宅に招待してマグロの解体ショーを開始した。子供達のテンションは爆上がりし、ギルガメッシュが釣った事を知ると尊敬の眼差しを送った

 

「兄ちゃんが釣ったのか!?すっげぇ!」

 

「何キロあるの?」

 

「うっそだー。漁師のおっちゃんよりも腕が細いのに釣り上げる事なんて出来ねぇ!」

 

「あっ、録画されてる」

 

「マジか・・・」

 

「かっこいいー!」

 

「フハハハハ!よい、よいぞ。もっと我を褒め称えろ!そうすれば大トロを食す権利をやろうではないか!」

 

子供達は大トロという餌を吊り下げられた事でギルガメッシュを褒め称える。最初の一口はギルガメッシュからで、次は子供達だ。ハジメ達青年組とセイバー達大人組はお預けだ

 

『マグロ・・・食べたい・・・』

 

だが、ここで欲に敗けて食べる事は許されない。マグロの解体もほぼ終わり、骨の間の身もこそぎ落として残るは頭と骨だけだ。子供達は腹一杯食べ、次回ギルガメッシュと一緒に釣りをする約束をして帰って行った

 

「これで食べれますね!」

 

セイバーの表情が明るくなり、刺身に手を伸ばそうとしたが深月によって叩き落とされる

 

「何食べようとしているのですか?」

 

「え?」

 

「このマグロはギルガメッシュ様がお釣りされた物ですよ?許可を取る相手が違いますよ」

 

セイバーが驚愕した表情でギルガメッシュに視線を向けると、深月が言う事が正しいと言いたげな表情をしている。尚、ハジメは包丁を製作した上で許可を取った事でようやくありつけていたりする。美味しそうに食べているその姿は羨ましくもあり、自身では到底叶う事はない事実に項垂れる

 

「深月、おかわり!」

 

「食べ過ぎですっ!」

 

つい食べ過ぎなハジメは深月にツッコミを入れられて制限を掛けられている姿は当然だ。だが、セイバーの目には何故かキャスターもマグロにありついている事が納得出来なかった

 

「何故キャスターは食べれているのですか!彼女は何も手伝っていないでしょう!?」

 

「我が許可した。雑種の作る包丁を保管する為の術式を開発させ付与させたのだ。セイバー、贋作者、狗等はサーヴァントでありながら何の役に立っていないであろう?」

 

「っておい!?俺達も食えないってのかよ!?」

 

「貴様達は言峰の作る物を食べればよい」

 

「試作段階の麻婆だ。食うか?」

 

「「「食べません(ん)(ねえ)!」」」

 

言峰は少し残念そうにしていたが、自ら作る麻婆を食べて機嫌を戻す

 

「なら、私は宝石をあげるわ!それなら対価として文句ないでしょ!?」

 

「いや・・・宝石貰ってもなぁ?」

 

「ギルガメッシュ様は欲されませんね」

 

「品質が悪い。却下だ」

 

遠坂の手持ちの宝石もギルガメッシュの宝物庫にある宝石と比較すれば月とスッポン、彼等がマグロを食するのならば交渉するしか方法がない

 

「さて、粗方の身は解体し終えたな?それ等は我の宝物庫に仕舞い、残りは召使にやろう」

 

「えっ?これを貰ってもいいのですか?」

 

「構わん。解体の手間賃として受け取れ」

 

「喜んでいただきます♪」

 

深月はとても嬉しそうにニコニコとしており、残っている頭と骨と尻尾をより深く観察している

 

「調理するのか?」

 

ハジメは未だ食べ足りなかったのか、追加で調理されると思っている

 

「駄目ですよ?頭はお嬢様の為に使いますので凍らせて宝物庫で保管します」

 

「・・・・・皐月の為なら仕方がねぇな。ギルガメッシュ王、釣った動画のデータをコピーしてもよろしいですか?」

 

「・・・ふむ、我の偉大さを伝えるには良い手だ。よかろう、特別に許す」

 

ハジメはコロンビアポーズで喜びを露にして感謝の言葉を告げ、ウッキウキで動画のデータをコピーし始めた。そして、深月はマグロの尻尾を持ってキャスターにお願いをした

 

「調理を教えますのでバーサーカーとの戦いではバフをお願いします」

 

「あら、対価無しでもバフを掛けてあげようかと思ったけどしっかりしているわね~♪」

 

「実践前に調節もしておきたいのでそれも含めてです」

 

「いいわよ。私もお嬢さんに興味があったから適切なバフを模索したかったから丁度いいわ」

 

「マグロのテール煮にしましょう。骨ごと食べられる様に出来ますし、キャスター様の料理スキルが上達します♪」

 

「ほう、骨ごとだと?此度は見逃すが、次回は食べさせよ。食材についてはまた我が用意する」

 

「という事ですので、私はマグロの角煮を並行して作ります」

 

「角煮!?」

 

「ギルガメッシュ様の分だけですよ?」

 

「そんな!?」

 

ハジメの絶望は本日何回目だ?と疑問に思う。賑やかな昼食も終わり、残りのサーヴァントのライダーとバーサーカーをどの様におびき出すかを考える。とはいえ、出来る事は限られている

 

「バーサーカーのマスターはアインツベルン、ライダーのマスターは間桐の兄ねぇ」

 

「バーサーカーは待機で良いのでは?」

 

「イリヤスフィールはシロウが狙いです。昼は仕掛けないと宣言していますので夜に襲撃は確実でしょう」

 

「問題はライダーのマスターね。お嬢ちゃん、お兄さんの性格はどうなの?」

 

「・・・自信過剰です」

 

「そう。なら、誘き寄せるのは簡単ね。突けば出てくる動物と何ら変わりないわ」

 

「今夜はライダー捕獲作戦ですね」

 

「・・・お嬢さんがそう言うと虫捕りみたいに聞こえるわね」

 

一部のサーヴァントの士気が低いものの、ライダー捕獲作戦が始まった。標的のマスターをアーチャーが探し、ランサーが追跡してセイバーが強襲してサーヴァントをマスターから引き離す。その後、深月達が捕獲して全て達成という流れである

 

「私が探すのは構わんが、些か時間が掛かるな」

 

「せめて顔写真があれば千里眼で辿る事が出来るのですがそう上手くいきませんね」

 

「千里眼って・・・はぁ、性能はどうなの?」

 

「縁を辿り、外国在住であろうと見つける事が出来ます」

 

「・・・本当に何でもありね」

 

アーチャーがくまなく探しているが、何処にも見当たらない。未だ夕方にもなっていないので活動していない可能性が大きいが、間桐が言うには学校を休んでいるから何処かには居るのだろう

 

「マスター、間桐兄の髪色は青で間違いないか?」

 

「見つかったの?」

 

「補足した。だが、人通りの少ない裏路地へ入って行った」

 

「狙撃しますか?」

 

「いいえ、出来ればライダーを確保したいわ。アーチャー、当てない様に威嚇攻撃出来る?」

 

「その程度容易い」

 

アーチャーは弓を取り出して単調な矢を一本だけ発射。その攻撃は当たらないとはいえ、敵マスターをビビらせるには充分であり深月が補足するには充分過ぎる情報だ

 

「間桐兄ですが・・・本当にマスターですか?衛宮様みたく巻き込まれて参加ならばあの反応は理解出来るのですが、ゴミ箱に頭から突っ込むという芸人の様な動きは正に道化です。演技ではないのですか?」

 

「・・・恐らく素であれなのだろう」

 

「ゴミ箱に頭から突っ込むってどんなモブキャラの反応だよ」

 

ハジメは、遠目でもいいからその様子を見てみたいと思った。リアクション芸人並みのそれがリアルで起こっているのなら見る価値は十分にある

 

「遠坂様、相手は挑発に乗るタイプの人間でしょうか?」

 

「そうね・・・格下に見ている相手からの呼び出しなら確実に乗るわね」

 

「衛宮様名義でこの場所を指定して呼び出すというのは?」

 

「アーチャー、もう一射お願い。矢文は大丈夫?」

 

「その程度朝飯前だ」

 

衛宮に事の詳細を指示して文を書かせたら、アーチャーに矢文を渡して射ってもらった。今度はリアクション芸人張りの反応は無かったが、多少ビビっていた。そして、矢文の内容を見て地団太を踏んだとのこと

 

「衛宮君とセイバーは慎二をおびき出して。私とアーチャーは遠くに離れて狙撃の用意、ランサーは様子見の斥候として遠くから監視、キャスターは地下室で待機という形で良いかしら?」

 

「・・・遠坂様はキャスター様と一緒に地下室で待機しましょう。もし、バーサーカーが奇襲した場合は逃げきれないでしょう」

 

「そ、そうね・・・。なら、アーチャーは単体行動で狙撃を任せるわ」

 

「了解した。では、早速移動するとしよう」

 

アーチャーは霊体化して消え、ランサーも続く様に家から出た。全員の配置が整った数十分後、青い髪の少年が怒りの形相で衛宮宅に怒鳴り込んで来た

 

「おい衛宮ァッ!僕に対して来いの一言の命令するんじゃねえ!いいかよく聞け。僕は少しだけ気分が悪いけど、土下座して謝るなら特別に赦してやるよ」

 

「慎二、お前は何をやっているのか分かってるのか!学校にあんな危険な物を仕込むなんてどうかしてるぞ!」

 

「はぁ~あ?どうして衛宮にそんな事言われなきゃいけないわけ?サーヴァントを強くする為に、致し方のない犠牲ってやつだよ。僕の為に役立つなら本望だろうさ!」

 

これはキャスターによって知り得た事で、間桐兄は己のサーヴァントを強くする為に学校関係者全員を対象に魔力をかき集める儀式の準備をしていた。一般人に被害を及ぼさないというルールを足蹴にするその行いは、聞いていて胸糞悪いものだ

 

「だったら、お前を止める!」

 

「ヒャハハハハハ!え、衛宮が僕を止めるだって?やれるもんならやってみろよ!ライダー、衛宮が後悔する位に痛めつけてやれ!」

 

「・・・少々心苦しいですがマスターの指示です」

 

間桐兄はライダーに指示を出し、自分は高みの見物をするつもりなのだろう。だが、この指示を待っていた者達が複数いる事には気付いていない。ライダーが手に持つ武器で衛宮に攻撃をしようと投擲する溜めの硬直を逃さず、アサシン並みの気配透過で懐に忍び込んでいた深月の餌食となった

 

「鉄山靠!」

 

「なっ!?―――グハァッ!」

 

ライダーは深月の鉄山靠が直撃して吹き飛ぶ。しかし、深月は吹き飛ぶ直前にライダーの足を掴んで引き寄せて顎先に狙いを定めて打撃を放つ。それはもうキレイに入り、ライダーを脳震盪させて動きを止めた。時間にしておおよそ一秒の出来事だった

 

「へ?」

 

何とも現実を受け入れ難い場面に直面した間桐兄は、間抜け面を晒して呆然としている。そんな馬鹿を深月は逃がさないし、なによりハジメが動いて金的を蹴る

 

「ヒャオゥッ!?」

 

間桐兄は股間を手で抑えて地面に転がり悶絶している。男にとって禁断の一撃を放つハジメは鬼畜の一言に尽きるが、相手を逃がさない事を思うと最善の一手だ

 

「取り敢えず、椅子に縛り付けるか」

 

「ボールギャグを噛ませますか?」

 

「それ良いな。採用だ!」

 

間桐兄が逃げようとするが、深月の華麗なる手刀で意識を飛ばされて人形の如く縛り付けられた。正直、誰かが救援するまでもない。間桐兄と拘束したライダーを地下室へと連行し、キャスターの宝具の歪な形をした短剣―――破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)による魔術の初期化による契約解除を執り行い、本来の召喚者である間桐妹に再契約させた。これで間桐兄の手持ちのカードは何一つ無くなり、刑罰を受けるだけだ。深月が間桐兄に軽い力でデコピンして目を覚まさせる

 

「おい、衛宮ァ!どういうつもりだお前っ!僕にこんな事をしておいてタダで済むと思ってないだろうな!!」

 

「うっせぇな、今の自分の状況を見てみな」

 

ハジメが凄んで間桐兄を睨みつけると、「ひぃっ!」という悲鳴を漏らし周囲を見渡す。自分のサーヴァントであるライダーは捕縛され、サーヴァントが複数居る事から自身が罠に嵌められたのを理解した

 

「ぼ、僕を罠に嵌めやがったな!おい、ライダー!そんな拘束なんて解いて僕を助けろ!」

 

間桐兄がライダーに命令をするが、彼は一番重要な事に気が付いていない

 

「マスターでもない貴方にサーヴァントが従うとでも思っているのかしら?」

 

「へ?」

 

「貴方とライダーの契約を解除しただけよ。こんな自尊心を満たすだけに行動して利用されるなんてかわいそうですもの」

 

「なっ!?」

 

「取り敢えず、この愉快なリアクション芸人さんには仕置きが必要です。学校に人を溶かす可能性のある危険物を仕込む―――これだけで極刑ものです」

 

深月が間桐兄の髪を掴み、開いた片手にバリカンを持つ

 

「嘘を吐いたらバリカンで髪を剃ります。ハゲになりたくなければ素直に全てを吐きなさい」

 

「ふ、ふんっ!誰がお前等なんかに罠の在りかを言うもんか!知りたきゃ土下座して解放すれば教えてやらない事もないけどな!」

 

「減点」

 

ジョリッ

 

深月は、間桐兄の額から頭頂部にかけて真っ直ぐに剃る

 

「おい聞いてんのか!!」

 

「減点」

 

ジョリッ

 

次は右側の側頭部を剃る。これで右側の髪は斜めに残り、左は丸々残っている。どこでも剃る事が出来るのはとてもいい気分だ

 

「おい桜!僕を助けろ!!聞いてるのか!!」

 

「減点」

 

ジョリッ

 

右側に残った髪が全て剃られ、残りは左側だけとなった。あまりにも不格好で雑に剃った間桐の髪型は、誰が見ても笑ってしまう程だ。まるで、岩の壁面に自生したワカメの様に垂れ下がっている

 

「・・・・・」

 

「貴方が選ぶ事が出来る選択肢はたった一つ―――学校に仕掛けた魔法陣の場所を全て吐くだけです」

 

「ヒィッ!?」

 

ようやく自身の立場を理解したのか、間桐兄は強い者に媚びて生き残る選択肢を選んだ。その情報を元に、学校に仕掛けられている魔法陣を地図に印して日が降りていない今日中に処理する事が決定した

 

「では、後は髪型を整えるだけですね」

 

「へぁ?」

 

深月は、間桐兄に手刀を落として気絶させる。そして、気を失っている間に髪を全て剃る。さらに手を加えて小さな剃り残しも許さずに頭部が周囲の景色を反射する様にピカピカにして、剃った髪を使ったカツラを作り頭に被せて全てが完了した

 

「ふぅ、突風が吹く事で露になる綺麗な坊主頭がキラリと光り相手を怯ませる。少しでも生き残れる為の渾身の仕掛けが出来ました!」

 

「ぶふっw、鏡を見ても普通は気付かねえだろうな!」

 

「慎二・・・坊主にされたのか」

 

「罰としてはもの凄く軽いけど・・・ぷっw、お腹が痛いw」

 

「あはは・・・、無駄に髪を整えていた兄さんには丁度いい罰ですね」

 

ライダーのマスターだった間桐兄はマスター権を剥奪された事により脱落し、ライダーが間桐妹のサーヴァントになった事で本来の力を取り戻しつつ戦力補強という最高の戦果だった。残るはバーサーカーただ一人であるが、ヘラクレスという超有名でありギルガメッシュが大英雄と認めるのもあり油断や慢心する事なく何時でも襲い掛かって来ても良いように準備する

 

「それにしても・・・来ると思うか?俺はぶっちゃけていうと来ないと思うんだが」

 

ハジメの感想には誰もが頷く。バーサーカー以外のサーヴァントが同盟している事を知らずとも、サーヴァントが争わずに一ヶ所に集まっているので襲撃する事自体無謀というものだ。だが、只一人静かに黙り込んでいるギルガメッシュが不気味だった

 

「ギルガメッシュ様、長く手を止めていますが角煮が口に合いませんでしたか?」

 

そして、深月はバーサーカーの襲撃を心配するよりもギルガメッシュの食事の手が止まっている事の方が気になっていた。ハジメ達は、ある意味平常運転の深月に苦笑する

 

「いや、美味い。・・・だが、抑止が本格的に茶々を入れて来ただけだ。召使、油断するなよ?」

 

「油断はしません。何故なら、既にこちらに到着しているのにも拘らずお待ち頂いていますから」

 

深月の言葉が終わると、衛宮宅の門の方向から足音が二つ聞こえてきた。本命のお客様の登場である

 

「こんばんわ。お兄ちゃん、約束通り皆殺しにしに来たわ。何せ、サーヴァントが一ヶ所に集まっているのだから手間が省けるわ」

 

「・・・・・」

 

バーサーカーとマスターの少女が正面から堂々と乗り込んで来た。普通なら誰しも無謀だと呆れ果てるのだが、バーサーカーの威圧感が前回とは比較にならない事に気付く

 

「本当はお兄ちゃんからと言いたかったけど、目撃者で無関係な傭兵の立ち位置の貴方達から殺すわ。バーサーカー、どう?」

 

「少年の方は容易ですが、召使の少女は厳しいでしょう」

 

何と、バーサーカーというクラスで付与される狂化という特性があるのにも拘らず言葉を発しているのだ。ありえない光景に皆が黙っている中、この変化をいち早く理解したのはハジメだった

 

「馬鹿正直に質問するが、抑止力がアンタに力を与えたと判断していいか?」

 

「そうだ」

 

あっさり答えるんかい!とツッコミを入れたかったが、今のこちら側にそんな余裕はない

 

「一人の少女を倒す為に抑止力が動く事がありえないと思ったが、そちらには英雄王が居るのならば納得がいく」

 

「ほう?我の事を知って尚挑むか大英雄」

 

「必要ならば挑むだけだ。だが、今の私が全てを注いで倒すべき相手は英雄王ではない」

 

バーサーカーは手に持った石斧の刃先と視線を深月だけに向けた

 

「サーヴァントが相手なら敗ける可能性は万に一つもない。だが、今残る命を全てを引き換えにようやく討つ事が出来る相手となると、お嬢様の護りが疎かになってしまいます」

 

「・・・あのメイドそんなに強いの?」

 

「彼女は神殺しを成し得ております。そして、抑止から与えられた情報では異世界からの漂流者であります」

 

「・・・そう。貴方達には理不尽かもしれないけど、抑止力からのバックアップを受けているなら排除しなければいけないわ。だから、全力で殺しなさいバーサーカー!」

 

その言葉と同時に、深月とバーサーカーが動いた。深月は黒刀を、バーサーカーは石斧を足手纏いであろうハジメとバーサーカーのマスターに投擲された。音速を超えたそれ等は、互いの手により命を刈り取る寸前で止められた

 

「やっべぇ・・・助かったぜ深月」

 

「ありがとう、バーサーカー」

 

両者は自身が足手纏いである事を自覚しており、攻撃の手札が全力を出せる命令を出す

 

「「俺(私)を攻撃せず、バーサーカー(メイド)と全力で戦え(戦いなさい)!」」

 

深月は、自身の四肢に装着した重りを外して黒刀を叩き付けようとするバーサーカーの一撃を白刃取りで受け止めたと同時に、襲い掛かる蹴りをワザと受けて消力でその全てを受け流す。両者の武器が手元に戻り、深月は黒刀を宝物庫に入れて何時でも迎撃出来る構えを取り、バーサーカーは石斧を片手に構える

たった一度の攻防だが、両者の技量をはっきりと理解するには充分な手合わせだ。最終局面―――深月とバーサーカーことヘラクレスの戦いの火蓋が切って落とされた

 

 

 

 




布団「抑止力が余計な事をした!?」
深月「酷くないですか?」
布団「(´-ω-`)シカタナイ」
深月「エヒトを殺しただけではないですか!?」
布団「それでも神殺し。神造兵装よりも神性に対して特化した概念をお持ちですから・・・」
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