ウィルブレイク   作:公私混同侍

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~ルール⑤~
『ギガクラッシュ』

パワー:『ウィルブレイク』より弱い
スキル
「相手の山札の中からカード名を宣言する。カードが存在する場合、相手の『エリア』に置く。その後シャッフルする。
存在しない場合、自分は宣言したカードを山札から『エリア』に置く。その後シャッフルする。
宣言したカードがお互いの山札に存在しない場合、自分は『エリア』からカードを1枚選んで山札に加える。その後シャッフルする。」

エリアスキル
「このカードが山札から『エリア』に置かれた時、相手の持ち点を『1点』減らす。」


スキルを使いこなせ! ~後編~

~空き地~

 

是政の山札:3枚

持ち点:1点

エリアに置かれたカード

『シューティングスター』

『ギガクラッシュ』

スキル使用回数1回

 

かりんの山札:2枚

持ち点:5点

エリアに置かれたカード

『ウィルブレイク』

『レーザーフォース』

『シューティングスター』

スキル使用回数1回

 

 

『サード・レグ』

 

是政(こんな絶望的な状況をひっくり返すことなんてできるのか?)

 

グリン「まだ勝負はついてない。最後までわからないぜ」

 

かりん「私の山札は2枚しかないから引き直しはできない。パワーで確実に勝てるカードを引き当てないとお兄さん負けるよ」

 

是政「あ、ああ(何だか調子狂うな)」

 

グリン「兄ちゃんは引き直しできるから、落ち着いて考えれば大丈夫だぜ」

 

是政「俺の引いたカードは『レーザーフォース』。スキルを使いたいが、もしかりんの引いたカードが『ギガクラッシュ』だったら俺の敗けだ。だが、ここで引き直したら次の『レグ』でパワーで劣る『ヘイルマリア』を引いてしまう。やっぱりここは――」

 

グリン「兄ちゃん、全部聞こえてる……」

 

是政「やばっ、つい口が……?」

 

かりん「お兄さん、記憶力すごいね。ちゃんと考えてるみたいだし」

 

是政「まあゲーム自体は楽しくないけど、面白いとは感じてるのかもしれない」

 

グリン「オレは兄ちゃんがずっと一緒にやってくれたら嬉しいぜ」

 

かりん「まだまだゲームは楽しくなるよ。私の引いたカードは『ヘイルマリア』。お兄さん、運がいいね」

 

グリン「やったぜ!しかも『ヘイルマリア』は持ち点を減らせる『スキル』を持ってないからチャンスだ!」

 

是政「なら『レーザーフォース』の『スキル』を使う。俺の山札の一番上は――『ウィルブレイク』だ。『エリアスキル』は『ヘイルマリア』とは正反対。つまりかりんの持ち点を『2点』まで減らす!」

 

かりん「でも『ウィルブレイク』は山札から『エリア』に置かれたらまた山札に戻ってシャッフルしなきゃいけないんだよ」

 

 

 

是政の山札

『ヘイルマリア』

『ウィルブレイク』

持ち点:1点

エリアに置かれたカード

『シューティングスター』

『ギガクラッシュ』

『レーザーフォース』

スキルの使用回数2回

 

かりんの山札

『ギガクラッシュ』

持ち点:2点

エリアに置かれたカード

『ウィルブレイク』

『レーザーフォース』

『シューティングスター』

『ヘイルマリア』

スキルの使用回数2回

 

是政「なあ、ずっと気になってたんだが――」

 

かりん「あ~あ、どうしても気が散っちゃうなぁ……」

 

グリン「どうしたんだよ急に」

 

是政「『シューティングスター』のイラストに描かれてる女の子って少しかりんに似てる気がしないか?」

 

グリン「言われてみたら……」

 

かりん「わかるの?」

 

是政「なんだか寂しそうに見えたからさ」

 

グリン「なんだよっ!オレにわかるように説明してくれよな!」

 

かりん「私ね、この絵を見てると思い出すんだ……パパと流れ星を見た日のこと……一緒にいた時間が少なかったから……」

 

グリン「かりんのお父さんって――」

 

是政「似てるのかもしれないな、イラストに描かれてる親子に」

 

かりん「でも寂しくなんかないよ。学校に友達も先生もいるから。それにグリンもね」

 

グリン「オレはおまけかよ」

 

是政「とはいえ勝負は俺の敗けだな。この点差をひっくり返すカードはないし」

 

かりん「降参するの?」

 

グリン「あれ?兄ちゃんの山札、まだ2枚残ってるぜ」

 

是政「もし『ヘイルマリア』だったら、かりんの最後のカード『ギガクラッシュ』には敵わないから俺の敗けだ」

 

かりん「ふふふ」

 

是政「やっぱり難しいな、このゲーム。でも面白かったよ、やりごたえあってさ。約束通りグリンとはもう関わらない」

 

グリン「ちょ、ちょっと嘘だろッ!?せっかく仲間ができたと思ったのに。かりんも冗談だったって言ってくれよ!!」

 

かりん「冗談もなにもお兄さんが『ウィルブレイク』を引けたら私の敗けだよ」

 

是政「えっ……?」

 

グリン「う~ん、なんでだ?」

 

かりん「最初に始めたグリンがルールを知らないなんて恥ずかしくないの?」

 

是政「もし俺が『ウィルブレイク』を引いてもかりんの持ち点は『1点』残るはず……」

 

グリン「あっ!?かりんの山札から引けるカードがない!?」

 

是政「なるほど。山札が引けなくなったら敗けなのか」

 

かりん「もう勝ち負けなんてどうでもよくなっちゃった。でも楽しかったよ、お兄さんだったらまた遊び相手になってあげる」

 

グリン「それじゃあこれからも是政兄ちゃんとゲームできるんだぁーッ!良かったぁーッ!」

 

是政(たった5枚カードがこんなにも奥の深いゲームだったとは。まだまだ俺の知らないことがありそうだ。まあ、高校生活の暇潰し程度にはなるかな)

 

かりん「ねぇ、人の話聞いてる?」

 

是政「あっ、ゴメンゴメン。俺で良ければかりんの寂しさを紛らわせることぐらいできるから、これからもよろしく頼むよ」

 

グリン「兄ちゃん……」

 

かりん「なんか勘違いしてない?私のパパ、海外に住んでるんだよ?まだ()()()になってないから」

 

是政「ま、まさかそんなつもりで言ったワケじゃ――」

 

グリン「やれやれ、ゲームを理解できても女心が理解できなきゃ男とは言えないぜ」

 

かりん「グリンにはもっと理解できなきゃいけないことがあるだろぉー!」




~ルール⑥~
『シューティングスター』

パワー:レーザーフォースより弱い
スキル
「自分の『エリア』からカードを1枚だけ選んで山札に加える。その後シャッフルする。」

エリアスキル
「このカードが山札から『エリア』に置かれた時、自分の持ち点を『2点』増やす。」

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