【完結】我こそは武田高信である   作:どんぐりヒッター

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第十一話 謀将宇喜多直家

◇◇◇火中の栗なら、拾え拾えー♪◇◇◇

 

 

 季節が代わり、冬の季節が訪れた。

琵琶湖の周囲では情勢が動いていた。

越前(えちぜん)の大国朝倉(あさくら)家がうごいて琵琶湖の周囲を斯波家から奪い取った。

朝倉家には重鎮朝倉宗滴(そうてき)が居る。当たるべからざる大物だ。

他にも剛勇無双真柄(まがら)兄弟、炎の歌人山崎吉家(やまさきよしいえ)辺りも強敵だ。

 

 

他の周囲の情勢に変化はない。

しかし、空城とは言え朝倉家と境界を接してしまった。

俺はとにかく兵を訓練した。

 

 

 兵の訓練を終えて一息ついていると、垣屋の爺様からの手紙が届いた。

 

 

美作(みまさか)林野(はやしの)城の赤松家本城が備前(びぜん)の浦上に攻め込まれた。

合戦に巻き込まれた当家は御屋形様が出陣。

攻め手には備中(びっちゅう)三村(みむら)家も参戦。

御屋形様は何故か宿敵赤松に加勢し、浦上と三村を退けた。

御屋形様は浦上家との戦で捕らえた宇喜多直家(うきたなおいえ)を気に入り重用しだした。

宇喜多に言われるがままに武田殿が献上した家宝を売ってしまい、

元のぼんやりとした御屋形様に戻ってしまわれた。

しばし前から西の尼子と毛利が兵を増やして開戦寸前だ。

火急存亡の折り、竹田城の仕置きを済ませて戻ってくだされ』

 

 

何と言う事だ、宇喜多直家を家臣にしてしまうとは。

まだ育っていないかもしれないが、やつは政治軍事智謀とも驚異の才能を持った暗殺の特技持ち。

こんな奴が立てこもる城内に攻め込むことはできない。

一瞬でぐわっとなってしまう。

 

 

領土を接するのも危険だ。日常風景の中でぐわっぐわっと仲間たちがアヒルになってしまう。

一応、味方に対しては暗殺の特技を使うことが出来ないのは安心だが。

内部でうごめかれては何が起こるか分からない。

 

 

俺が軍団長に成り仲間と独立するとして、

御屋形様の籠る城に攻め入ることも難しくなってしまった。

まさか、これが冴えていた時の御屋形様の策なのか?

独立するなら、領土を隔てた地での独立が必要か。

条件が厳しくなってしまった。

 

 

 

 家臣となったからには、御屋形様をそそのかして切腹処分に持ち込むことも出来ない。

追放はもっての外だ。他家に仕官しこちらに暗殺を仕掛けられてはたまらない。

仕官したところで暗殺すれば良いじゃないか、と思うのは甘ちゃん甘すぎ甘にけりである。

暗殺持ちに暗殺は通りにくい。防がれているうちに成長され、こちらがぐわっとなる事は必定。

 

 

こいつは第二軍団に送り込んで飼い殺しにもできない。

何かの拍子に軍団長が交代し、直家が軍団長に成れば即座に独立することだろう。

大名になった暗殺持ちは危険だ。

大名になれば暗殺がさらに通りにくくなる。

 

 

そうなると唯一の希望は野戦になるが、直家は戦場で勇猛な戦を好む人物ではない。

少数で仕掛けて勝てる相手ではないし、同数以上で仕掛ければ必ず城に籠る。

厄介だ。

 

 

小人閑居して不全をなす。俺の事だ。

直家などは降伏して仕えた途端に、御屋形様に取り入り気に入られている。

俺が苦労して布石を築いている時に、

割り込んできて一手で布石の急所を幾つも突かれているようだ。

大物の予感がすごい。すでに大物に育っているのかも。

 

 

 

 では、今の第一軍団の同僚のままだとどうなるだろう?

直家が成長し頭角を現したとき、俺を見るやつの視線に耐えられるであろうか?

細かい所をどんどん御屋形様に報告されて困った事態になりそうだ。

直家に比べたら垣屋の爺様など好々爺と言っていい。

 

 

いっそ、仲間に引き入れて独立も有りだろうが、

その先はずっと弱みを握られているように動かれるのは確実。

ゆすりたかりの連続だろう。いやそれも甘々か。

それ位で済むならマシなのかもしれない。

 

 

 

「こちらもあちらも風雲急を告げていますな」

「ああ、俺は訓練で動いてしまって失敗した。なにしろ向こうが商人との取引を始めているから、

先に行動しておかないと何もできない季節が出来てしまうと思ってな」

「では、来季には戻ると」

「垣屋の爺様に報告しないとな」

 

 

俺は筆を取り返事の手紙を書いた。

 

 

『御屋形様の活躍まことに見事で臣下として頼もしい限りだ。

当方の竹田城周囲では琵琶湖周りを朝倉家が制圧し兵の訓練を急いだので今季は動けない。

しかし、来季には必ず羽衣石城に参るので安心してほしい。

状況次第では竹田城も捨てるつもりだ。

家宝の事は何の問題も無い。だが、宇喜多は謀将。気を付けられたし。

可能ならば遠ざけて、不可能ならば思いっきり近づけさせても良いと思う。

宇喜多は恐ろしい男だ。近づけば近づくほど恐怖を感じる機会も増えよう。

尼子と毛利の件、くれぐれも注意されたし。

戦に巻き込まれた場合には羽衣石城からの撤退も視野に入れてほしい』

 

 

 

 伝令に手紙を託し、頭を整理しようと城内の庭を歩いているとタチアナに会った。

 

 

「おじさん大丈夫?」

「ああ、タチアナか。すっかり世話になってしまっているな」

「言ったでしょ、今度はあたしがおじさんを守ってあげるって」

 

 

ふむ、詩人とタチアナはこの世に変な事を起こす存在だ。

もしかしたら、タチアナを嫁にすると天翔記には登場しない俺の息子たちが出てきたり。

可能性が無くは無い。

 

 

「なあ、タチアナ」

「なに?」

「お前、大きくなったら俺の嫁になるか?」

「あはは、あたしは大きくなんかならないよ。ずーっと14歳なんだから」

「は?」

「ロマサガ3の人物は歳を取りませんからな」

「詩人、居たのか」

「ついつい、お邪魔してしまいました。これも詩のため~♪」

「残念だけど、ごめんね」

「いや、良い。忘れてくれ」

 

 

これは振られたわけではない。違う。

結婚自体は12歳から出来る。しかし、内実は婚約だ。

家と家が繋がったとの約束事だけ。

本当に結ばれるのは身も心も大人になってから。

18歳だ。タチアナは18歳にならない。

だから不可能なだけだ。

 

 

そして俺はタチアナに惚れているわけでもない。違う。

もちろんタチアナに欲情などしていない。

だから振られてはいない。

ただ、討たれてしまって登場しない上の二人の息子。

生き残るが、山名の家の一家臣に成り下がってしまった三番目の子。

息子たちと一緒に天下を目指してみたかったのだ。

 

 

そう、それだけだ。

だから振られたわけではない。

こうなっては本気で姫武将プレイを考えなくてはならないだろうか?

姫武将プレイと聞いて不埒(ふらち)な事を想像してはいけない。

 

 

大名になれば12歳の姫が産まれる。

その姫を武将として起用し家を継がせるだけの事だ。

姫の才能は親の才能に影響される。

家宝をもって強化された才能にも影響されるので、

まるでヴィーナス&ブレイブスのように才能を強化していく事も可能だ。

 

 

 それも大名になってから。今はまだまだ皮算用。

 

 

 

◇◇◇殿が拾って、火傷したー♪◇◇◇

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