【完結】我こそは武田高信である   作:どんぐりヒッター

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第十二話 武田高信35歳、大名だ

◇◇◇火急存亡、羽衣石に急げー♪◇◇◇

 

 

 年が明け、俺は35歳になった。

鉄砲名人稲富祐秀と俺の右腕予定の能島武吉は、

御屋形様たちと合わせたく無かったのだが、今は緊急事態。

垣屋の爺様も泣きついている。御屋形様の勘気も解けているのだろう。

 

 

俺は竹田城を空にし、皆を連れて羽衣石城に移った。

城に着くと御屋形様まで出迎えてくれた。

御屋形様の能力は戦で成長したようだ。

 

 

山名豊定、37歳

政治59、戦闘83、智謀29

 

 

 

「高信、高信!」

 

 

いい年をして人前でおいおいと泣いている。

 

 

「御屋形様、まずは城内へ」

「うむうむ」

 

 

垣屋の爺様と三人で城内の一室に移動した。

 

 

「高信、わしは怖い」

「何かございましたか?」

「戦に巻き込まれたであろう?」

「大活躍をしたそうで」

「あの時、攻め手の浦上は大将が兵無しで攻めてきていたのだ」

「なるほど、それなら良いカモですな」

「わしは兵71を連れていたからな。お前の活躍の仕方も聞いていたし、

わしもやって見たかったのだ」

「大成功でしたな」

「三村の兵も小勢でな。簡単に蹴散らせた」

「では、何が怖いのです?」

「まずは尼子と毛利よ。双方とも200を超えんとする兵を召し抱えておる!」

「巻き込まれてはたまりませんな」

 

 

「そして、浦上の戦で両方の当主を捕らえたのだがな」

「ふむふむ」

「庭で謁見した二人の顔も怖かった。尼子と毛利に巻き込まれては、

次はわしが庭に座らされてしまう。お主のように果断に当主を切ることなど出来なかったわ」

「座らされない様にしないと、いけませんな」

「無理だ。家宝を持って少しく冴えて分かってしまったのだ。

わしでは宗全様に成れんことを」

「気をしっかりお持ちください。我らが付いておりますので」

「無理なのだ。高信、お主は宇喜多を見たか?」

「いえ、まだにござります」

「やつが尼子と毛利が怖いなら家宝を売って鉄砲をそろえると良い。

そう言うので、わしもなるほどと思ったのだ」

「理が有りますな」

 

 

「しかし、売って冴えた頭が元に戻ってから宇喜多の顔を見たのだ」

「何かされたのですか?」

「いや何も。ただ、家宝を売る前は上から見ていたつもりであったのに、

売ってからは下から見ているような気がしたのだ」

「ふーむ」

「家宝を売って金を得た。得た金で鉄砲を買った。まだまだ金は余っておる」

「良き事ですな」

「怖いのだ! 戦が怖い。金が怖い。武器が怖い。あれらが有ると狙われる」

 

 

勝って兜の緒を締めよ。勝利し気持ちが大きくなることへの戒めとして、決まり文句だ。

しかし、この御屋形様はどうだ。

戦に勝利し戦を怖がり、取引で成功し金を得て金を怖がり、武器をそろえて武器を怖がる。

こうも惰弱では戦国の世は渡り切れない。

速やかに独立しなくては。

 

 

「わしには去年、娘が出来た」

「おめでとうございます」

「お主、娶れ」

「え?」

「お主が娶って我が後を継げ。継いで因幡の地を守るのだ」

「それでは祐豊殿や豊弘殿が納得しますまい」

「あれらも宇喜多におびえておる。それにあれらに継がせては、

いずれわしも庭に座らされてしまう」

「困りましたな」

「確かにわしとお主は相性が悪い。しかしお前だ、お前しかおらんのだ!

因幡の地を思い民を思い、この世を乗り切れるのは!」

 

 

それで重用されていた宇喜多は脱落と。地元意識を見落としたのか。

まだ若さが残っているのだろう。

 

 

「山名のお家が領民の誇りなのですぞ」

「家紋だ、家紋を継げばよい。頼む頼む」

 

 

この方は平和な世なら良き領主として領民に慕われたのかもしれない。

しかし今は戦国の世。だからこそ誅したかったのだ。

時代の方が悪いのかもしれないが、俺にとってこれを逃す手はない。

迷う振りももう良いだろう。

垣屋の爺様は疲れた顔をして座っているだけだ。

この場の証人で、俺が跡継ぎになったら後見人になるつもりなんだろう。

 

 

本来、俺は山名家の連中と相性が悪い。

こんな展開になろうはずがない。

それを宇喜多が来て、ここまで追い込んだようだ。

 

 

「では、謹んでお受けいたします」

「そうか、やってくれるか」

「はい、この地の氏神様に懸けて誓いまする」

 

 

 

 善は急げと婚儀が執り行われ、当主の継承がなされた。

姫は渚姫と言う名前だ。

羽衣石城などと雅な名前の城に御屋形様を置いていたから、この名前なんだろうか。

姫君は、もはやご隠居となった豊定殿と似ても似つかぬ美形の姫だった。

まさに羽衣伝説の天女かと思わんばかりの美形っぷりだ。

まだ13歳というのに嫌な顔もせず、三つ指をついて頭を下げてきた。

これからしばらくは礼儀作法など侍女と習っていくらしい。

 

 

朝廷による官位の継承は行われなかった。

そこまで気が回らなかったようだ。

官位が無いので俺の魅力は低いままだ。

それは良い。もう大名なのが大事だ。

自分で好きなようにやれる。

 

 

御屋形様は鳥取城の城下町に庵を作り、山名のご隠居様と付近の民に呼ばれてご満悦の様だ。

 

 

 

◇◇◇大名なったぞ、好きにやろー♪◇◇◇

 

 

 

取り急ぎ、家臣に祝儀の褒美を与えて回った。

表面上の忠誠度は上がったようだ。

 

 

 

 宇喜多直家にも会った。

 

 

宇喜多直家、20歳

政治64、戦闘51、智謀68

特技:暗殺、流出、流言、弁舌

 

 

これはまだまだ伸びるのだろう。

この状態でここまで振り回してくるとは。

いや、ご隠居様の方が勝手に振り回されていただけか。

 

 

特技の多さが際立つ。

暗殺は平時に刺客を送れる。

流出は面白い技で、平時には他の城から領民を呼び寄せられる。

戦場では、足軽部隊に限り一戦に一回だけ兵を補充可能になる。

流言は敵国の家臣を疑心暗鬼に、戦では敵を混乱させる。

弁舌は商人との取引、外交に有用だ。

 

 

話してみると非常に柔和な若者であるが、やはりまだまだ若い。

顔に書いてある、嫌いの文字が消せてない。

引き抜きが来たらすぐに応じそうだ。

こいつに戦闘と智謀が育つ仕事をさせてはならない。

どちらか選べと言われたら智謀が育つ方を選ぶのが良いかもしれない。

 

 

俺にはまだ、相性ばっちりの手下が居ない。

それをどこからか引き抜いてくる必要がある。

諸国に偵察を送る必要があるな。

 

 

 

 大名になったからには最初が肝心。

大いに武田の名を山名の家紋を示してやろう。

すると相手は尼子と毛利。

幸い、兵と武器があるのだ、派手にやる。

毛利は一発で仕留めないといけない。

 

 

毛利家の当主は毛利元就(もとなり)

知勇兼備の名将で暗殺持ち。

背後は大国大内(おおうち)に守られ飛躍の時を今や遅しと待ち構えている。

下手に兵力優勢で城に籠られても攻め入るのは自殺行為だ。

野戦で決めないといけない。

今は鉄砲がある。行けるはずだ。

 

 

 

◇◇◇戦国時代だ、旗を振れー♪◇◇◇

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