【完結】我こそは武田高信である   作:どんぐりヒッター

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第四話 誅

◇◇◇マスコンまだかよ、はよさせろー♪◇◇◇

 

 

 さて、下の階の詩人に声を掛けてみるか。

 

 

「我こそは武田高信である。そこの詩人、我が旅路についてまいれ」

「ふむ、それもまた一興。良いでしょう」

「まずは金だな。魔王殿に行こう、船旅の資金が必要だ」

「それなら傭兵の話があります。2000オーラムは貰えそうですが、どうしますか?」

「傭兵か、良いだろう」

「マスコンバットと言いまして、集団戦闘なのです」

「望むところだ」

 

 

詩人はゴドウィン男爵なる男の元へ、俺達を連れて行った。

 

 

「我こそは武田高信である。ゴドウィン男爵に目通り願いたい!」

「ふむ、詩人を連れておられると。これは期待できそうですな」

「任せておけ」

「では、前金で2000、勝てたらさらに2000オーラムでよろしいかな?」

「あい分かった」

「では、作戦はラドムに。おいラドム! この方に作戦を説明しろ」

 

 

「武田様でしたな、私がラドムです」

「うむ、よろしく」

「ロアーヌ候ミカエルと言う男が居ます。まだ家督相続のごたごた中で、そこを攻めると言う訳なのです」

「ありがちな話であるな。そこで負けるようなら継承する資格がなかったと言う事か」

「そう、ですね。はい」

「して、作戦とは」

「難しい話ではありません。前に二列の波状盾の陣を敷き、その二列が交代で攻めるのです」

「なるほど」

「武田様には二列目をお任せ致しましょう」

「任された」

 

 

 

 ミュルスの町の宿でキャンディーをノーラに預けた。

 

 

「俺と詩人は傭兵に行ってくるからな、キャンディーを頼むぞ」

「分かったよ」

「武田殿、時間ですぞ」

「ああ、行こうか」

 

 

 

 こうして戦いの火ぶたが切られるはずだったが、ゴドウィン男爵はもう一つの策を繰り出したようだ。

 

 

「なに? ミカエルの軍に魔物を当たらせただと?」

「そうなのです、それで怒ったラドム将軍が敵方に寝返ったらしいのです。ああ、ドンマイだ~♪」

「歌ってる場合か! で詩人よ、戦力の状況はどうなのだ?」

「敵に作戦を知られてしまったのは痛いですが、五分五分でしょう」

「ならば勝負だな」

 

 

 

 ミカエルとの対決の前、作戦会議で前列指揮官がゴドウィン男爵に怒っていた。

 

 

「ゴドウィン男爵! ラムド将軍に寝返りの口実を与えるとは、大失態ではないか!」

「分かっている。しかし、敵も消耗したのだ」

「作戦もバレてしまったと言うのだぞ、それだけで済むか!」

「元々、手の内は分かっているのだ、大差ない」

「武田殿、お主からもなんとか言ってくれぬか」

「今更、仲間割れしても敵に利するだけだ。五分の戦なら勝てばよい」

「それはそうだが」

「動揺しないことが肝心だ、しっかりせい」

「うむむ」

 

 

ミカエル軍と戦場にて対峙。両者二列縦隊で陣を組んでいた。

こちらはゴドウィン男爵が最後列に居るので、三列ともいえるか。

 

 

開戦と同時にミカエル軍の前列が飛び上がって、こちらの前列と後列の間に割り込んできた。

敵方から声が上がる。

 

 

「分断作戦!」

 

 

詩人が叫ぶ。

 

 

「武田殿、指示を!」

「分断しているのはこっちも同じだ、目の前の敵を倒せ!」

「倒せ!」「倒せ!」「倒せ!」

 

 

なんとか持ちこたえている間に伝令から悲報が飛んだ。

 

 

「ゴドウィン男爵が逃げています!」

「なんだと、前列指揮官に伝令。飛び込んできた連中を挟み撃ちにしてから合流して退却だ」

「良いのですか?」

「こ度の戦は生きて帰ることが勝利と心得よ。まずは挟み撃ちを」

「承知!」

 

 

敵の後方に土煙が舞った。前衛指揮官が頑張っているのだろう。

 

 

「全軍突撃!」

 

 

前衛指揮官と合流後、粛々と退却することになった。

こちらが合流したのでミカエル軍は手出しを控えたようだ。

 

 

「深追いはしてこないか、ミカエルと言う奴はなかなかの様だな」

「ああ、武田殿のおかげで生き残れた。しかし、ゴドウィン男爵は許せぬ」

「まあ、どんな顔して出迎えてくれるのか、楽しみにしておこう」

 

 

ゴドウィン男爵の館まで戻っても男爵は居なかった。

 

 

「解散だな」

「俺はミカエル候を裏切ってしまった。野に下るしかない」

「生きていれば何とかなるものだ、気に病むでない」

 

 

 

 宿に戻るとノーラとキャンディーが心配して待っていた。

 

 

「負けたって聞いたから心配したよ」

「したよー」

「ふん、小競り合いのようなものさ。死にはせん」

「わたしは英雄の登場を確信しましたぞ」

「英雄? ミカエルの事か?」

「ま、まさか。あの窮地からの退却劇、これは詩になる~♪」

「どうだか。それよりも職人集めを再開しないとな」

 

 

「武田殿、わたしはゴドウィン男爵の末路を見に行ってもよろしいかな?」

「む? 良いだろう。ではノーラとキャンディー、三人で行けるところに行くぞ」

「うん!」

「あ、武田殿。それならば、ミュルスから北に安全な船旅で北のツヴァイク方面に回っておくと良いですぞ」

「落ち合う場所はピドナの食事処でよいな?」

「ええ、工房と宿にも言付けしておきます」

 

 

 

◇◇◇職人集めを、はじめるぞー♪◇◇◇

 

 

 

 俺達三人は船でツヴァイクに向かった。

ツヴァイクの町では西の森の変な動物の話と、キドラントの町への地図を貰った。

そしてキドラントの町から船に乗り、北の大地ユーステルムへ。

さらにランスの町に立ち寄って、ピドナに帰るつもりだった。

だったのだが、ランスの武器屋で荷物運びの仕事を引き受けてヤーマスの町に向かう事にした。

 

 

しかし、道中。盗賊の襲撃を受けてしまった。

 

 

「ノーラ、キャンディーは後ろに隠して二人で戦うぞ!」

「分かったよ。あたしらが相手だ、さあ来やがれ」

「行くぞ! 次元断!」

 

 

――スカッ――

 

 

「あれ? 技が発動しないぞ!」

「それは斧の技だよ」

「なんで斧も無いのに斧の技が有るのだ」

「知らないわよ、その大剣で何とかしな!」

 

 

俺はみねうちの技を閃いた。

しかし残念、負けてしまった。

盗賊たちに捕らえられ、身ぐるみはがれて洞窟の中。

前の世界で鬼のように強くなっていたから油断してしまった。

ここではまだ強くなっていなかったのだ。

 

 

 

「あんた頼りになるんだかならないんだか、分かんない人だね」

「ここの少人数戦は初めてだったのだ」

「何だい、お偉いさんだったのかい」

「我こそは武田高信である」

「ここであたしに威張ってどうすんのさ」

「そう言う訳ではない、ほれ後ろ」

 

 

盗賊の若造が一人寄って来た。

 

 

 

「悪いな、あんた達。俺はポール」

「あたしはノーラだよ。この子はキャンディー」

「こんな小さな女の子を誘拐してくるなんて、夜になったら逃がしてやるから静かに待っててくれな」

「盗賊にしては殊勝な心がけだな」

「魔物が多くなってから、みんなおかしくなっちまってさ。もうついてけないから俺も逃げることにしたんだ」

「お前、そんなに簡単に逃げられるのか?」

「そこで、俺もそっちの仲間に入れてほしいんだよ」

「下心ありか」

「へへっ」

「良いだろう」

「ありがとよ。じゃ、夜に」

 

 

「信用できるのかい? あのポールってやつ」

「多分な」

「不安だよ」

「なに、悪さするようなら誅してやればいいのさ」

「あんたがチューするのかい、そいつは恐ろしいね。あっはっは」

「チューチュー」

「キャンディーのチューは親のほっぺにでもしておきな」

 

 

 

◇◇◇イタズラしたら、誅するぞー♪◇◇◇

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