【完結】我こそは武田高信である   作:どんぐりヒッター

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第七話 竹田城へ

◇◇◇戦国時代だ、主家を討てー♪◇◇◇

 

 

 何はともかく、三人で祠を出た。向かうは鳥取城。

祠を出ると季節が代わっていた。入った時は春だったのにもう秋だ。

ずいぶんと長い時間旅をしていたようだった。

 

 

鳥取城に着き、御屋形様の御前に通された。

見上げて見る御屋形様の顔は、もう独立した後に倒して得る経験値に見えている。

しかし、焦りは禁物。まずは独立するため軍団長に選ばれなければならない。

そのためには武勲を上げて身分をあげなくてはなるまい。

 

 

身分は下から、足軽頭、侍大将、部将、家老、宿老、大名の順だ。

今の俺は侍大将。最大40の兵を率いることができる。

身分が上がると、率いることができる兵の最大値が上がる。

 

 

大名は領地が増えて配下の武将が増えると軍団を組織する。

自分一人では行動力に限界があり、目が行き届かないからだ。

残念な能力の御屋形様ならすぐに軍団を作るだろう。

そして配下の武将は軍団長になると大名を裏切り独立することができる。

 

 

当然俺は軍団長になれば直ちに独立するつもりである。

いざと言う時に備えて、詩人から貰ったナッツのチョッキは常に持ち歩かなければならない。

 

 

 

「御屋形様、修行から戻ってまいりました」

「高信、垣屋の爺から聞いておるぞ。流言と弁舌を覚えてきたそうじゃの」

 

 

あれ? 流言と弁舌は垣屋の爺さんが持っている特技だ。

俺があれを得たのは垣屋の爺様からの教育って事になってるのか?

すると、詩人とタチアナが居なければ、

俺は他所の世界から何も持ってきていないことになってしまう訳だ。

危ない危ない。

 

 

「して高信。後ろの二人は何者じゃ」

「はっ、この者どもは商人との取引にネマワシと言う技をかけるものにござります」

「ネマワシとな?」

「これがあれば弁舌を用いて、商人に吹っ掛け放題に値切り放題となることは必定」

「なんと! それはまことか」

「金蔵に米蔵、巨万の富が満ち満ちていく事でしょう。

御屋形様が宗全様に成り代わり、天下統一も夢ではございませぬ」

「わしが? 宗全様に? ほへっほへっ」

 

 

「まずは皆で垣屋の爺様から弁舌を習いましょうぞ」

「そちも弁舌を持っているではないか」

「それがしは竹田(たけだ)の城から播磨(はりま)赤松(あかまつ)に攻め込んでまいりたい、なにとぞご裁可を」

「ふむふむ、播磨の赤松と言えば宗全様の頃からの当家の宿敵、存分にほふってまいれ」

「その間、家中で弁舌を鍛えておいてくだされ」

「うむうむ、任せておけ。ほふっほふっ」

 

 

山名家一同の武将が鳥取城に集められ、兵の再編成が行われた。

御屋形様は71、俺が40の兵を預かることとなった

 

 

 

 俺と詩人にタチアナは竹田城に向かった。

 

 

「武田殿これから向かう竹田城とはどの様なところで?」

「今出てきた鳥取城から東南にあってな、優美な山城で天空の城とも言われておる」

「ほほう」

「山城ではあるが守りの城ではない。四方八方の道に通じていて、

各地に攻め入るための城なのだ」

「すると早速、武田殿の英雄譚が見られるという訳ですな」

「なに、のんびりしてるとあっという間に滅ぼされてしまうからな。滅ぼされんがためだ」

 

 

俺は詩人とタチアナに、山名家の状況と周囲の状況を説明することにした。

 

 

 

 山名家は現在の鳥取県と兵庫県北部に三つの城を持っている。

東から羽衣石(うえし)城、鳥取城、竹田城の三つだ。

羽衣石城は因幡の豪族、南条(なんじょう)氏の本拠地だ。

南条氏は登場しないので羽衣石城は無人の城。

 

 

 

 羽衣石城の東には強豪尼子家が居る。

先代の尼子経久(あまごつねひさ)はすでに亡い者であるが、

配下の新宮党(しんぐうとう)尼子国久(あまごくにひさ)親子は武力の主柱として健在だ。

万が一勝てたとしても、その奥には毛利家が控えている。

 

 

尼子をつつくと隙をついて毛利が育つ。人材豊富な毛利は育つと更なる強敵となる。

その意味でも容易に尼子とは戦えない。

現在の位置づけでは羽衣石城は守りの城だ。

 

 

 

 中央の鳥取城からも山を越えて南に攻め込むことは出来るのだが、

羽衣石城と竹田城に兵の備えがあれば軍備はさほど必要ない。

攻めでも守りでもなく、内政の城。繁栄のための城で良いだろう。

 

 

 

 そして我らが向かう竹田城。

北西には一色(いっしき)家。この家の当主は大したことないが、

家臣に鉄砲名人の稲富祐秀(いなとみすけひで)が居る。

こいつが鉄砲部隊を率いて戦場に現れると敗北は必至。

 

 

南西には管領細川晴元(ほそかわはるもと)の家臣となっている波多野(はたの)家の面々が居る。

この波多野家の当主晴通(はるみち)も大したことは無い。

しかし、赤鬼と称される赤井直正(あかいなおまさ)と青鬼と称される籾井教業(もみいのりなり)が脅威だ。

部隊適性もさることながら才能の限界値が高く、

ほんのわずかな戦闘機会が与えられるとあっという間に育つだろう。

その上で、ここに手出しを仕掛けると大国細川家との敵対関係が生じてしまう。

 

 

南東には赤松家の姫路城がある。

城主は浦上政宗(うらがみまさむね)、能力は俺の強化版と言ったところ。

部隊適性が低い事も有り、戦場ではさほど脅威には育たない。

家臣の黒田(くろだ)親子も内政畑の武士で戦場の脅威とはならない。

ただし、この黒田と言う家は後に高名な軍師、黒田官兵衛(くろだかんべえ)を輩出する。

官兵衛引換券として重要だ。

 

 

 

「ふむ、それで武田殿は姫路の浦上殿と戦う訳ですな」

「違う、細川家の波多野の連中に戦を仕掛ける予定だ」

「なんと! それでは御屋形様なる方に告げた話と違うではありませんか」

「相手の城に攻め入ると言うのは、単純な話ではない。

仕掛けた城の周辺の城も巻き込んで戦が始まってしまうのだ」

「巻き込まれちゃった人たちは大変なのね」

「そうだな、タチアナ。しかし、戦端が開かれると言うのは領土拡張、

繁栄の願っても無い機会なのだ」

「ええー」

「武家の行動力は当主の能力と野望、つまりやる気に依存する。

季節季節の行動には限界があるのだ」

 

 

「すると、周囲の城を守る者たちは戦端が開かれる機会を待っていると?」

「そうだ、そのための備えを幾通りも考えて待っているのだ」

「このような時代を過ごした方を、まだ動乱初期のミカエル殿に当てようとしたのは失敗でしたな」

「なに、俺はまだまだ大したものではない。ミカエルとも勝ったり負けたりであったであろう」

「しかし、御屋形様にはなんと言い訳をなさるおつもりで?」

「どの道、小勢で仕掛けると向こうから敵対はするのだ。

始めにどっちに向かったなど報告する必要もあるまい」

 

 

 

◇◇◇戦国時代だ、武勲を稼げー♪◇◇◇

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