相変わらずの残念クオリティーですが。どうぞよろしくお願いします!
悪魔族。神の天敵にして、地獄に住まう高位のモンスター。まさに、俺のことである!
「ふぅ…。やはりアクセルの街は良いですね。強い冒険者もいない。サキュバスもリッチーもいるんですから、どうして悪魔の俺が住まないというのでしょう」
かくして、駆け出しの街アクセルにその悪魔は舞い降りた。
「…………馬鹿なのかな? おっといけない」
冒険者のアホ面でも眺めようとギルドに行くと、衝撃の掲示がしてあった。仲間の募集。その紙はよく見かけるものだが
「…じょ、上位職限定ですか。駆け出しの街だというのに上位職って新手のネタ、いえ、何かの隠語なのでしょうか?」
気になったので、そのパーティーを見てみることにした。ただの馬鹿では無く、これが本当に本気で言っているとすれば中々面白いことになる。
彼らは意外とすぐに見付かった。黒髪の青年と馬鹿そうな青髪のアークプーリースト。 ん?待てよ。
「アレは水の女神ではないか。馬鹿なことで有名な」
そっと口の中で呟く。そう。あの髪型、あの服装はコスプレイヤーでも無い限り水の女神そのものだ。ますますそのパーティーに興味が湧いて、そっと聞き耳を立てる。悪魔は人間と違って耳も目もかなり良いのだ。
「……とはいえ、仮にも女が……、コホンッ! このアクア様よ? ちょろっと募集かければ」
そのフレーズを聴いた瞬間、俺は地を蹴った。
「わかったら」、カエルの唐揚げもう一つ、ぶへっ!?」
そして素早くその頭を机に叩き付けるっ!
「や、やあ。上位職の募集で来たのですが、ここで間違いないですか? 一応アークウィザードなのですが、関係のもつれで最近パーティーが解散してしまいまして。ゼロから始めようと思っているのですが、入れて貰えませんか」
このクソ女神に除霊された部下はたくさん居る。だからせめてもの復讐としてこのパーティーに入って女神の邪魔をしてやるのだ。 頭を上げようとした女神の頭を再度机に叩き付ける。がんっ! と言う音がしてすこし悲鳴が漏れた。いい気味だ。
「いや…あの……ウチのアークプーリースト離してもらえませんかね?」
彼の言葉を得て、始めて俺はアレの頭を掴むのを止めた。
後日。俺は再び彼らのもとを訪ねた。と、いうのも昨日はもう遅いからお開き、となってしまったのだ。そして、俺がギルドに行くと、既に彼らは揃っており、またもう一人メンバーが追加されていた。
「…なるほど。まずは試験ですか」
「ま、まあな。お互い実力も知れないままパーティーを組むのは嫌だしさ」
賢明な判断だと思う。パーティーメンバーを攻撃した俺を追い払わなかったところもあるし、彼はなかなか良い奴なのかも知れない。
「ねえカズマ聞いてた?コイツ悪魔なのよ?悪魔を私のパーティーに入れようって言うの?」
が、しかし。案の定この女神は止めてきた。しかし部下の復讐という目的がある以上、このパーティーには入らなければならない。
「…アクアさんから聞きましたよ。女神エリスを追いかけ回して返り討ちに遭った悪魔、テトロドさん!」
策を巡らせるよりも早く、めぐみんとかいう紅魔族の娘が話しかけてくる。
「逆に問いますけどね。女神と悪魔が恋愛しようとして何が悪いんですか? もう良い!俺は帰らせてもらいまs…」
「いえ。テトロドは私も好きな悪魔ですよ」
「このパーティー、マジ最高ですね。取り敢えず試験受けさせて貰えませんか?」
参加を決意した。別にめぐみんが気に入ったわけじゃない。俺の道を妨げるこの女神への復讐、それを固く誓っただけだ。…多分。
「爆裂魔法は最強魔法。その分、魔法を使うのに準備時間が結構かかります。準備が整うまで、あのカエルの足止めをお願いします」
試験課題はジャイアントトード。カエルのモンスターだ。金属が苦手な彼らは冒険者にに乱獲されているという悲しい状況にある。とはいえ、金属装備すらないこのパーティーでは十分な脅威なのだろう。
と、いうかめぐみんは何故こんな雑魚相手に爆裂魔法を使うのだろうか? いや、頭の良い紅魔族のことだ。なにか理由があるのだろう。
あの女ゴミ、蔑称アクアは馬鹿丸出し、猿の一つ覚えのように突進した。
一つを極めるなど愚の骨頂。万能であって始めて有益だと証明できるというのに。
「アクアー!!!」
案の定喰われた。やはり青年…カズマがリーダーのようだ。当たり前か。アクアがリーダーのパーティーなど一分で潰れるに違いない。いや、むしろ潰す。
しばらくすると、めぐみんの詠唱が終わったらしい。可愛らしい声で、人類最強の攻撃魔法を放つ!
「『エクスプロージョン』ッ!」
そして、パタッとその場に倒れた。
………。
…………。
……………。 え?
魔法の威力に感動していたカズマも、それを見つけた。
「ふ……。我が奥義である爆裂魔法は、その絶大な威力ゆえ、消費魔力もまた絶大。……要約すると、限界を超える魔力を使ったので身動き一つ出来ません。あっ、近くからカエルが湧き出すとか予想外です……やばいです。食われます。すいません、ちょ!助け……ひあっ……!?」
カズマが、駆け出すと当時に俺も魔法をお披露目した。
「今助けますよめぐみん! 『シュバルツ』ッ!『シュバルツ』ッ!!」
爆裂魔法で吹き飛んだ数体と昨日カズマたちが倒した分、そして俺が倒した分でジャイアントトードの討伐クエストは幕を閉じた……。
「…………使えません」
その一言が放たれたのは、クエストを終えた帰り道だった。
「……………は? 何が使えないんだ?」
カズマの気持ちはなんとなく分かった。要するに、めぐみんは爆裂魔法以外使えないらしいのだ。
「…………私は、爆裂魔法しか使えないです。他には、一切の魔法が使えません」
「…………マジか」
「………マジです」
マジなんですか……。爆裂魔法の習得にはかなりのスキルポイントが必要なはずなのだが、何故他の魔法を使わないのだろう。と、首をかしげているとカズマも同じ結論に行き着いたようだ。カズマがアクアからスキルポイントについて教わった後全員がめぐみんに注目する。
彼女の説明はこうだ。自分は爆裂魔法を愛してしまった。だからもう爆裂魔法だけを極めると決めた。と。
一つを極めることは素晴らしいことだ。万能であるよりも一つの分野で頂点であり続けることの方が圧倒的に難しい。
そんなめぐみんのあり方は尊いと思う。だから、めぐみんがパーティーから抜けることだけはなんとか防ぐことにした。
カズマほどの常識人であればもちろん彼女を脱退させようとするだろう。
「…それじゃあ、ギルドに着いたら今回の報酬を山分けしよう。うん、まあ、また機会があればどこかで会うこともあるだろ」
「カズマさん。俺がいれば良いではありませんか」
カズマの表情がより柔らかくなる。
「そうだよな…だからめぐみん」
「必殺の爆裂魔法。そして俺がちょこまかと魔法を撃っていればバランスは取れます」
「そうだろ? だから、またなめぐ………は?」
カズマが硬直する。期待に満ちた目でめぐみんやアクア、そして俺が見つめる。
この日、かなりの力業で俺とめぐみんはこのパーティーに参加した。
それは、彼らにとっても、そして俺にとっても長ーい旅の始まりであった。
はい、というわけで。
めぐみんが尊いと話でした(?)