この素晴らしい世界に嘲笑を!   作:湯瀬 煉

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ちょーとお待たせしました。本編です。




第七話 この二人の悪魔に戦いを!

 俺達の狩りのパターンはも完璧に決まっている。

「くふふふ!!」

まずダクネスが勇敢に突っ込み、攻撃を外しに外し、大人しく皆の壁役に徹するようになる。この間三分。俺達はダクネスの奮闘を眺めたり、アクアがダクネスの回復をしたりする。

「喰らいやがれ!!『狙撃』!『狙撃』!」

続いてカズマが狙撃で確実に個体数を減らしていく。

モンスターの数がだいぶ減り、さらに戦闘音でモンスターが集い始めたとき、我らが信仰対象、めぐみんの出番だ。

 

 

「穿て! 『エクスプロージョン』ッッッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

凶悪な魔法がモンスターの群れの中心に炸裂した。

「ふぅ……。最高、デェス……!」

 

偉業を為した我が女神はその場にパタリと倒れる。

「お、お疲れ様です………」

 

 

 

 

「覚悟なさい! 『ゴッドブロー』!!!」

アクアの拳で生き残ったモンスターも殴り飛ばされた。

 

しかし、まだ数十入るだろう。

 

 

 

 

 

さて、最終段階だ。

 

俺の番が、回ってきた。

 

 

「決めます!『聖遺物封印』っ!《リリース》!!!」

俺の詠唱に合わせて背後の空間が歪み、そこから1つの鍵が出てくる。

「たぎれ信仰! 穿て邪悪! 今は眠りし宝物達よ、障壁を砕け!! 《誰が神の如き(ミカエル)

!!」

 

俺の声に反応するかのように鍵は熱を帯び、背後の歪みから無数の武具が現れた。

 

 

 

ドガガガガガガガガガガガガガ!!!

 

 

 

という轟音と共に生き残りのモンスター達が倒れていく。

 

中にはすばやく攻撃を避け、進んでくるモンスターもいるだろう。だが、いて数匹。大した脅威ではないし、カズマの経験値にしてやる。

 

 

が。

 

生き残ったソイツは一番やっちゃいけないことをした。

 

 

 

 

めぐみんへの、倒れているめぐみんへの攻撃だ。

 

 

「めぐみーーん!!」

 

 

カズマも、ダクネスも、アクアも間に合わない。

 

 

だから、俺が行くのだ。

「俺を無視しないでくださいよ……! つれないなぁ。罰として、ここで君には終わって貰います……!!」

 

 

歪みが何の変哲も無い一本の朱槍を吐き出した。

俺はソレを掴むと、真っ直ぐめぐみんに襲いかかろうとするモンスターに投げ飛ばす。

 

 

 

 

 

 

「俺を敵に回したこと、後悔しなさい。

生と性の欲望は我らが起源。孤立し、自律し、戦慄せよ……覚醒を呼び止める神秘の槍(スピア・オブ・カシウス)ッッ!!!」

 

 

 

 

 

 

俺の投げた朱槍の背後から火が飛び出て、らせん状に絡まっていく。やがて紅で槍を覆い尽くすと、穂先が変形し、スプーンのような形状になった。

 

 

(そう、某新世紀ロボットアニメの新劇場版で出てきた槍と同じ形状である。)

 

 

 

 変形した槍は空気を切り裂き、めぐみんに襲いかかろうとするモンスターに直撃。

――した瞬間。

 

 バリアが槍の周囲に展開。急速に槍の形状を取ってモンスターの肉を深く抉った。

 

 

 

 

 

 と、思ったのも束の間。槍の速度に押されてモンスターは遙か彼方に吹き飛んでいく。

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……。無事ですか、めぐみん」

 

 

「は、はい。というか助けて貰ったのはうれしいですがオイシイところ持っていきましたね」

 

お、おう……。相変わらずそういうのには厳しいな。

 

 

 

 

と、まあ。こんな感じだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 街外れ某所。

 

 

 そこに、僕はいた。というか、冒険者に絡まれた。

「どうしてこんな所にお前みたいな高レベルモンスターが湧いてるのかは知らねぇが、俺達の経験値になって貰うぜ………!」

 

 まあ、僕は街にいる悪魔達よりも圧倒的に悪魔としての風格あるし、仕方が無いと思う。それに、こうして度々戦闘を体験しておくのも体のこりをほぐすのに良い。だから体験を構えながらじりじりとにじり寄る冒険者達に僕は笑いかけた。

 

にこっ と。

 

それが合図だった。

「いけぇぇえ!!!!」

 

まず豪腕の剣士が斬りかかる。それを体を捻って回避し後ろ回し蹴り。続いて軽装の盗賊がダガー片手に飛びかかってきた。横にステップして回避。横顔に拳をたたき込む。次は普通の体格の奴だ。横薙ぎ、逆袈裟、袈裟斬り、刺突。連続攻撃をすれすれで避ける。

 

(この人……強いかもね)

 

まずは一歩退く。

 

 

さて、反撃は………………。

 

「なにを、しているんだ」

 

 

 

声がした。青年の声だ。

だが、その声には危険な匂いがした。

 

 

「もう大丈夫。僕が来たから」

彼には見覚えがある。

 

ミツルギ・キョウヤ。

 

 このあたり、というか有名な剣士だ。なんでこんな所をふらついているのだろう。

 それは後でも考えられるとして、今の状況はマズイ。僕は確かに強いが、彼にかなうかどうか半分半分だ。

 

 

 

 

「ラッキーだね、冒険者諸君」

「お、おいっ! 待て!!」

 

 

 

 後ろ姿を見せて逃げ出すことにした。負け戦をやるほど僕も馬鹿じゃない。

もう一度()()()()()()()()()()()()()()()仕方ない。また今度来よう。

 

 

 

「お前は、何者だっ!!」

 

しつこく追ってくるミツルギに僕はツイにしびれを切らした。

 

「僕の名は()()()()。悪魔テトロドの上司にして悪魔の王。―――僕を追ってきたこと、後悔するよ」

 

 

「な、なんだと?」

 

 

僕は最後に襲ってきた男を指さす。ミツルギもソレを見る。

 

 

 

 さあ、絶望を知れよ勇者サマ。お前のせいで、一人死ぬぞ。

 

 

 

 

 

 

 

我汝を把握する(メトロノーム)

 

 

 

 

僕が指さしていた男の顔が、土色に変わる。

と、思ったのも束の間、胸を押さえて倒れた。

 

 

 

 

 

「君が。君が悪いんだよミツルギ・キョウヤ。君が彼を殺したんだ」

 

 

ああ、美味い。なんて美味い悪感情なんだ。恨み、後悔、怒り。様々なモノがブレンドされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――さて。せっかくここまで来たんだ。あのパーティーともケリをつけなきゃ、いけないかもね」 

 

彼がショックで動けない内に、アクセルに入るとしよう。

 

 

なに、邪魔されたら殺しちゃえば良い。僕には、()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

「くふ。くふふふふふ。クフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ!!!!!!!!!」

 

 

 




 今回は悪魔の登場数が過去最多だと思われます。
活躍具合も多分過去最多ですね(笑)

これからも、この素晴らしい世界に嘲笑を!をよろしくお願いします。

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