この素晴らしい世界に嘲笑を!   作:湯瀬 煉

3 / 10
よ・う・や・く!ダクネス登場です。


二話 この聖騎士に救済を!

 このパーティーには麗しいめぐみんとゴミクズのアクア。そしてもう一人メンバーがいる。それが、俺達の最初の狩りの帰りに出会ったダクネスだ。

彼女はなかなかのバディーをお持ちの美女であり、クルセイダーという上級職に就いている。この人間が最も自己分析をして職業を選んだのだろう。

何故ならば

「おっおい!ダクネス突っ込むな!」

「俺が支援しますんのでカズマは他のモンスターを!!」

ドMでモンスターに攻撃されるために前衛職を選んだのだから。さらに言ってしまえば攻撃は一切当たらない。とはいえめぐみんが善しといっているのだし、今の所俺もたいした不満はない。

「カズマさぁぁぁん! 早く助けて!!!」

「ったくもぉ!」

なせんならば、狩りというモノは場が混乱せず、きちんと役割通り動けていれば失敗はないからだ。

そんなわけで、今回のクエストもなんとか成功させた。

 

 冒険者で、一番冷静かつ常識的なカズマ

 元、女神(笑)で、信者まで頭のおかしいアクア

 可愛いだけでなく最強の攻撃魔法まで操るめぐみん

 きれいだが性格が終わっているクルセイダーのダクネス。

 女神に恋しただけで笑いものにされて憐れだが優秀な悪魔の俺、テトロド。

 大雑把だが、だんだんとそれぞれの持ち場がハッキリし出した。そんな時期のことだ。

『冒険者の皆さんは、至急!ギルドまで来てください!』

そういえばそろそろ恒例の緊急クエストの時期だったとアナウンスを聞いて思い出した。

 

 端的に言うと、この世界のキャベツは()()。しかも、この時期になると収穫されることを恐れてこちらへやってくるのだという。俺達冒険者はやってきたキャベツを狩り、経験値豊富なキャベツを頂く。それが、この時期恒例の『緊急クエスト』である。

「ふぅ…ふぅ…」

「あの…ダクネスさん。さっきから鼻息が荒いのですが」

「そ、そんなことは無い!」

だといいな。とカズマたちの会話を聞いて思った。

ちなみに過去にこのイベントに参加したとこごあるのだが、俺はこのイベントが苦手である。まず、捕獲系統のスキルなんて全く持っていない。さらに言ってしまえば得意な『黒炎魔法』だと前回もいった通り、経験値が少なくなるし、こういった食材は食べたときにこそ経験値が入るので焼き尽くしてしまう『黒炎魔法』では大変不便だ。

 そして、憂鬱なイベントが始まった。

 

「『エクスプロージョン』ッ!」

めぐみんの魔法が火を噴く。

「喰らえ…! 『ゴットブロー』!!」

さらに女神のヘンテコパンチが炸裂。

「『スティール』ッ」

背後に回られたキャベツがカズマの『窃盗』で回収される。

…………。何アイツら。メッチャ楽しそうなんですけど。

ただ一つ、不可解なことがあるとすれば、ダクネスがキャベツの総攻撃を食らって嬉しそうにしていることくらいだ。…いや何してんのあの御仁は?

「ダクネス、お楽しみか?」

「ち、違う。これはその…攻撃が当たらないだけで…!」

そ、そうですか。

「プークスクス! あの悪魔ったら一撃必殺の魔法は撃ててもキャベツは狩れないみたいよ? プークスクス」

 

 ぷつん。

悪魔の本気、出してやる!

「良いですかカズマッ! スキルポイントが高いのであなたには教えませんでしたが、俺が悪魔として名高いのにはそれなりのそれなりの理由があるんですよ!」

俺は、アクアの挑発に乗って自分の『固有スキル』を発動させた。

「喰らえ野菜ども! 『聖遺物封印』スキルー!!」 

 

辺り一面が白光に包まれた。

 

 「なんでよ! なんでコレだけあってその程度なのよ!?」

ギルドでは、アクアが受付のお姉さんにいちゃもんを付けていた。キャベツ狩りにレタスを狩ってたのだから当然だというのに。だが。借りはきちんと返さなくてはならない。

「あれれー? キャベツ狩りに行ったのにどうしてあなたはレタスをこんなに狩ったのぉ?」

「ぐっ……!」

愉快愉快。

アクアをからかうのを止めてテーブル側を見ると、上手そうに自分で狩ったキャベツで作った野菜炒めを頬張るカズマとめぐみんがいた。

「ダクネスは? 食わないのか?」

「うん? ああ大丈夫だ。賑やかなのがおもしろくてな」

普段からこうして黙っていれば良いのに。

彼女は戯れあう冒険者たちを眺めていた。彼女の意見には賛成だ。地獄は楽しいが空気が重いせいでこういう雰囲気を感じることはあまりない。

「……そういえば。なんだ固有スキルって」

カズマが責めるような口調になって言う。まあ、隠していたしし方がない。

「俺は『聖なるモノを封じ込めて、その権能をコピーする』って能力が生まれつきあるのです。一応カズマに教えることも出来ますが、スキルポイント20は必要ですね」

ふぅん。と彼は興味を失ったように曖昧に頷く。そうされると…こう、少し傷つくが、彼が手にしたところで何の価値もないスキルだろう。

「全く。なんの役にも立たないスキルね流石は下級悪魔といったところかしら」 

その言葉にむっとする。この女神。パーティーメンバーじゃなかったら黒炎で焼き尽くしたい。

「あれ? 確かテトロドって地獄の第八侯爵じゃありませんでしたか?」

最近本気でアクシズ教は滅ぼしてめぐみん教を作った方がよのため人のためになると思う。この娘は良い子だ。きっと良いお嫁さんになるに違いない。

「ああ、正確には第八公爵だがな。大悪魔と呼ばれる部類だ。…というわけでアクア、今からお前のアークプーリーストとしてのスキルと前職としてのスキルを封じてやる」

「やめてぇ! 謝るから私の役職まで盗らないで!!」

 

「お前も鬼畜だな…。私にもして欲しい」

「今私にもして欲しいって言ったか?」

「言ってない」

カズマとダクネスの問答は無視をして、今はアクアから全てのスキルを奪うことに専念することにした。 

 

 

 結局、俺は彼女からアークプーリーストとしてのスキルを奪ってやった。が、しかし使えないんだよなぁ…………。

 




『聖遺物封印』スキル
目で見た神具や神聖属性の魔法などを封印する。封印した魔法や神具はこのスキルの使用者も使えるようになる。また、スキル(魔法や神具)を封じられた相手はしばらくそのスキル(魔法や神具)が使えなくなる。コレを使えるのはテトロドのみである。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。