ティア 性別:女性 AGE17
明るく元気な新米ハンター。
普段は長い黒髪をそのままにしているがクエスト時はポニーテールに縛ってたりする。
ギルドのハンター内でも人気だがG級ハンターオタクなのが玉に瑕。
装備は今現在アシラ一式、双剣使い。
~バルバレ~
「団長おっそいな~、ちょっと情報収集するって言って行ったっきりもう2時間もたつよ~。」
そういってティアは筆頭オトモである独眼のアイルー、吉田を撫で回していた。普段から装備も強そうなものをつけているあたりこの子も前任のハンターと一緒に前線を戦っていたのだろうか。
「旦那さん旦那さん、ボクはオトモアイルーであって愛玩用じゃないのニャ。」
そう言いながらもゴロゴロと喉を鳴らし膝の上から降りようとしないあたり愛い奴である。船の上ではどうやら乗り物酔いを起こしていたらしく姿が見えなかったようだ。
「でもな~、何か依頼をこなそうにもすぐに出発するかも分からないしやることがないんだよ~。」
バルバレについてから受付嬢の姐さんは依頼書の整理に勤しみ、料理長はいつも笑顔の竜人の商人と真昼間からチンチロを行っていた、どうやらマタタビと今晩の飯代をかけているようだ。加工屋の娘はどうやら竜人の加工担当にまた指導してもらっているらしい。
「あれー?ティアさんじゃないっすか!」
本当にやる事がなくバルバレの市場を眺めていたティアに聞き覚えのある声が投げかけられた。
あまり嬉しくないその声に顔を向けると案の定、ギルド筆頭リーダーのパーティーの一人、筆頭ルーキーが笑顔でこちらに歩いてきていた。
「や、やぁ~、き、奇遇だねー。」
正直この筆頭ルーキーに会うことがこのバルバレに来たくない理由の一つでもあった。私はどうも彼が好きになれないのだ、聞くところによるとあの受付嬢の姐さんに昔恋をしてつきまとったという経歴があるらしい。まぁつきまとったと言ってもそもそも姐さんは仕事の邪魔をしているとしか思っていなかったらしく全く相手にされなかったとか。
「いやー、ホント奇遇っすね!自分もさっきクエスト終わった所なんすよ!よかったらこのあと一緒に採取ツアーでもどうっすか?」
そして私はどうもこの軟派な性格が好きになれないのだ。未だに何故あのチームにこいつがいるのかが疑問でしかたない。
「いやー、団長を待ってないといけないしそれにバルバレはもう出ると思うからまた今度の機会に、ね?」
私はいまちゃんと笑顔を作れているのか心配になりながらも彼の会話に相槌を打つしかなかった、そもそもこのキャラバンに入ってからまだ2、3回しか会話をしてないはずなのに何故彼はここまでぐいぐいと話しかけられるのだろうか。
そう思いながら助け舟がはやく来る事を心の中で祈りながら会話を続けると赤い帽子がこちらに向かって歩いてくるのが視界に入った事に思わず安堵の息を漏らした。
「はっは、すまんな、またせた。それともお邪魔だった「いえ!全然大丈夫です!」
やっと解放してもらえるという喜びから思わず食い気味にティアは返事をした。
「そうか?いやーギルドマスターに色々と質問攻めにあってな、まあそれはいいか、実はひとつ面白い話を聞いてな。どうやらあの御伽噺はいくつかの村がモデルになってるらしい、どうやらその村の一つを知っている奴がいてな。どうだ?実際に行ってみたら何か手掛かりが掴めるかもしれんぞ?はっは!」
その瞬間ティアは膝の上で寝ていた吉田を忘れて勢いよく立ち上がった。
「本当に!?あのG級ハンター様がいた村!?行く行く!今すぐ行こう!」
「そいつはよかった、だが少し問題があってな。」
「問題?」
団長が笑ったまま不吉な言葉を漏らし何事かと心配そうな顔をするティアを横目に団長は笑いながら続けた。
「なに、その相手が少し我らが団のハンターの腕試しがしたいらしくてな、テツカブラの狩猟に成功したら教えてやってもいいらしい。」
「テツカブラ!?」
テツカブラ、別名鬼蛙と呼ばれるモンスターで狩猟の難易度も高い大型モンスターである。しかし大型モンスターの中では比較的狩りやすい個体であり経験を積んだハンターであれば戦えない相手ではない。
しかしティアはつい最近ドスジャギィを一人で倒せるようになったレベルだ。本来なら狩猟できるレベルになるまで訓練をつむべきだ。
だがしかしティアにとって報酬の情報はできる事なら今すぐにでも知りたい情報だった。
それに今すぐにでも狩猟する手がないわけではない。それは私がこのキャラバンに入る前からいるオトモアイルー、吉田だ。オトモアイルーは本来できてハンターの補助をするぐらいが限界の存在だ。
しかし吉田は違った、吉田は下位のレベルであれば充分に戦える戦力を持っている。今思えば前任のハンターは随分な腕の持ち主だったらしい、恐らくそのレベルで共に戦ってきたからこその強さだろう。
「分かりました。やります!」
「はっは!そうかそうか、お前さんならそう言うと思って依頼はすでに受けている。まぁテツカブラなら吉田も付いているし俺の認めたハンターだ、お前さんならできるできる!」
「旦那さん、あまりボクの力を過信しすぎるのもいけないニャ。」
「分かってるよ、私だってテツカブラの動きはちゃんと研究してるし、一度他のハンターの狩猟もみてるもん。」
そういって壁にかけていたインセクトオーダーを腰につけアシラヘルムをしっかりと付けた。憧れだったG級ハンターの情報が手に入る。
そんな期待と共にギルドの手配した荷車に歩いて行ったのであった。
~地底洞窟・ベースキャンプ~
「あ~、やっと着いた~。」
荷車に揺られる事2日、地底洞窟にたどり着いたティアは大きく伸びをした。
「よーし、それじゃあテツカブラの狩猟と行きますか~。」
「旦那さん、もうちょっと緊張感を持つべきだと思うニャ、ここはベースキャンプとはいえ何が起こるか分からニャいのがこの世界ニャ。」
そういって乗り物酔いで少し青い顔でいる吉田は周囲の警戒を促した。
「わ、分かってるよ。取りあえず支給品を取ってテツカブラの捜索を始めるよ。」
そういって支給品の中の箱を見るといつもと違う違和感をティアは感じた。
その違和感に気づくのはそう時間がかからなかった。
「あれ?携帯食料がない・・・?」
応急薬や地図はいつも通りなのに携帯食料だけがその支給品ボックスの中にないのだ。
「あれー?ギルドの手配ミスかなー?」
上位クエストにもなると支給品が届くのが遅れるといったことは聞いたことがあるが携帯食料だけがなくなるというのは聞いた事がない。どこか不思議に思いながらもティアは料理長の食事をとった事とアシラ装備のスキルを考えると問題ないとテツカブラ討伐を優先すべきだと取り敢えずこの疑問を後回しにする事にした。
~地底洞窟・エリア8~
「う~ん、確かテツカブラはここでの目撃情報が多いって聞いたんだけどな~。」
地図を確認しながら周りを見渡すティアの視界に写るのは広い洞窟だけで見当たるモンスターといえばクンチュウばかりだった。
「おかしいニャ。」
「どしたの吉田?」
いつになく警戒の色が強い吉田にティアは思わず疑問を持った。
「ここにくるまでの間アプトノスどころかジャギィすら見なかったニャ。これは明らかに異常ニャ。」
「ど、どういうこと?テツカブラがいるんだし巣に逃げてるだけなんじゃ・・・」
何か嫌な予感がしこの先の話を聞きたくない反面知らなくてはいけないという気持ちから私は自分のオトモアイルーを唯々見つめるしか出来なかった。
「ジャギィはテツカブラよりも弱いけどそれでも巣に逃げる程じゃないニャ、おそらくテツカブラより危険なモンスターがいると思って間違いないニャ、旦那さん、心してかかるニャ。」
出来る事なら聞きたくない情報を吉田は真剣な顔つきで語った、こういう時はいい知らせと悪い知らせがセットであるものだがどうやらこのクエストには悪い知らせしかないらしい。
テツカブラよりも強くジャギィ達ですら逃げるような存在、そんなモンスターに先に遭遇してしまっては命がいくつあっても足りない、そう思いながら一旦ベースキャンプに引き返そうとした時だった。
その瞬間足元が揺れ何か大きなものが地面を掘り進んでる大きな音が洞窟内に響き渡った。
「こ、これってもしかして!」
「旦那さん!来るニャ!」
揺れが収まったと思われた次の瞬間、地面から勢いよく飛び出してきたのは赤い甲殻に蛙のような見た目、自分よりも何倍もの体躯を持ったモンスター、テツカブラが姿を現した。
「え?」
本来ならばもっと緊張を持つべき場面なのだがそのテツカブラの見た目が明らかにおかしい事にティアは気づいた、いや、テツカブラを見た者であれば誰もが気づくだろう、現にとなりのオトモアイルーの吉田も武器を構えているもののその目は驚きのものとなっていた。
そう、目の前に見えるテツカブラが普段とは違うのだ、鬼蛙と呼ばれる象徴でもある鬼の牙のような大牙は見る影もなく、岩盤をも砕くと言われた爪は片方だけしかない、よく見れば体中に鋭い何かで抉られたような跡が見える。
どんなモンスターにやられたのか分からないが明らかに満身創痍だ。本来ならばクエストクリアのまたとないチャンスだ、だがここまで傷ついているにもかかわらずティアの直感がここから逃げるべきだと警笛を鳴らしていた、それほどまでに目の前にいるテツカブラの雰囲気がいつもと違ったのだ。
ティアは気づかれないように声を落としてとなりの吉田に声をかけた。
「よ、吉田!様子を見て気づかれないようにベースキャンプに退避するよ!なんか分かんないけどあいつはやばいよ!」
「わ、分かったニャ!」
そう言って逃げようと後ずさりをした瞬間テツカブラがこちらに気づいたのかゆっくりとこちらを向いた。
「っ、走って!」
だが遅かった、次の瞬間テツカブラは気が立っているのか脳を揺らされるような大きな声をあげた、大型モンスターによく見られる”バインドボイス”だ。
走る暇もなく強烈な威圧感に本能的危機感を強く刺激されるようなバインドボイスに思わず耳を塞ぎその場で立ち止まってしまった。
(あ、まずい)
そう思った時にはすでに遅くテツカブラは既に突進の体制をとっていた。
(一発ぐらいならまだ耐えれる!すぐに逃げれるようにっ!)
いくら新米ハンターといえどしっかりと強化したアシラ装備ならテツカブラの一撃も一発だけなら耐える事が出来る。そう思い突進の威力をできるだけ和らげようと体制を整えた。だがこの選択が間違いだった。
「あぐっ!」
予想をはるかに超えた衝撃に体がミシミシと嫌な音をたて私は勢いよく壁に叩き付けられた。あまりの激痛に呼吸がうまくできず嗚咽が漏れる。
「旦那さん!」
吉田がなんとかテツカブラを引きつけようとするがすでに次の攻撃の照準をティアに定めているらしく低い唸り声と共に先ほどの突進の体制をとっていた。
(う、いくらアシラ装備とはいえ一発でここまでダメージを受けるなんて。)
ティアは既に先ほどの突進のダメージで立ち上がる事が出来なかった、テツカブラの突進は威力の高い部類に入るがいくらなんでもこれほどのダメージはおかしい、そう思いながらも目の前の現実にティアは顔を歪める事しかできなかった。
(あ、これ・・・死ぬ・・・)
そう思い目を瞑り迫り来る痛みを待つしかなかった、しかし痛みは一向に訪れず聞こえたのは何かが爆発したような音とさきほどのテツカブラの悲痛な叫び声だった。
「え・・・?」
何が起こったのか理解できずにゆっくりと目を開けるとそこには三度笠を被った青い片手剣を持った男が立っていた。何をしたのか先ほどまで暴れまわっていたテツカブラは仰向けのままぴくりとも動かず転がっている。
頭の整理がつかず呆然とその光景を眺めていた私に目の前の男はゆっくりと振り返り近づいてきた。
「いやー危なかったねー。ペイントボールつけるの忘れててさぁ、崖から飛び降りたら君が襲われててびっくりだよ。」
そういいながら男は上を見て飛び降りてきたであろう崖を指さした。だが男が指をさした先は確かエリア2に区分される場所だ、いくら鍛えたハンターでもあそこから飛び降りて無事ではすまないはずだ。そもそもこのクエストは私一人で受けた物だ、筆頭ルーキーが手伝うと言ったのを拒否したし荷車には私以外にハンターは乗っていなかった、明らかに怪しい。
「あの、あなたは・・・」
「だ、旦那さん!」
謎のハンターの正体を聞こうと口を開いたと同時に横から吉田の声が響いた、そちらを向くと少し驚いた顔でこちらを見ていた、気のせいかその目線は男のハンターの方を向いてるように見えた。
「よ、吉田」
「ふんふん、君は吉田って言うのかー、なかなか優秀なオトモアイルーだね、俺には分かる、顔つきが違うね。」
そう言って男は笑顔で吉田に近づきしゃがみこんで吉田の肩を掴んだ、吉田は最初は同様している様子だったが何かを感じ取ったのか男の顔を見て頷き。
「そ、そうかニャ、にゃ、にゃはは。」
とぎこちない返事を返した。
「ふぅ、ああ、名乗り遅れたね、俺の名前はソリっていう、今はいわゆる放浪ハンターってのをやっている、まあこんなところで話すのもなんだしベースキャンプに行こうか。立てる?」
そう言ってソリと名乗った男は手を差し伸べた。
「あ、どうも・・・ってあれ?」
差し伸べられた手を掴もうとするがどうも腰に力が入らない、どうやらさきほどの突進のダメージと恐怖から腰が抜けてしまったようだ。
「ははは、腰でも抜けた?ま、しょうがないか。」
「え?ちょっ!」
そう言ってソリはティアを担ぎあげた、いわゆるお姫様だっこだ。
「ちょ、ちょっと離してください!大丈夫です!歩けます!」
「ははは、まあそう見栄張るなって、立ち上がるのも無理なくせに。」
「ちょっと吉田!主人がピンチなんだからどうにかしなさい!」
「ニャ、にゃはは・・・」
そうして私はベースキャンプまで見ず知らずのハンターにお姫様だっこされる事になった。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
補足として私の小説内ではプレイヤーの操作するハンターは普通のハンターと違って規格外の超人な設定となっております。ご了承ください。
また感想などここ変じゃね?などご意見の方いただけたらうれしいです。