学園生活部にOBが参加しました!   作:逢魔ヶ時

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皆さんこんにちは、逢魔ヶ時です。

投稿初日記念ということで今日はこの話までの投稿となります。
やった学園生活部の面々が登場します!(あとついに主人公の名前も)

それでは第3話です、どうぞ


1-3:OB、1年ぶりに高校に登校する

 その後、9ミリ拳銃だけでなく自衛隊の正式採用アサルトライフルである89式小銃の使い方についてもレクチャーを受けた青年は、車内を物色して持っていく物資を見繕っていた。

 

減音器(サプレッサー)付きの9ミリ拳銃は2丁とも持っていくとして、弾丸を何発持つかだよなぁ。89式小銃(ハチキュウ)は持ってきたいけど重いから今は無理か。拳銃の弾ってどのくらい持てばいいと思う?」

「知らん、俺たち自衛官はハチキュウを基本装備とした戦い方を身につけてるからな。拳銃だけの戦闘は専門外だ」

 

 めんどくさそうに答える自衛官は、ゾンビウィルスが回ってきているのか最初に会った時よりも顔色が悪くなってきていた。残された時間はあまり長くないかもしれない。

 

 「つれないこと言うなよなー」などとぼやきつつ、青年はトラックの後部に積まれていた弾薬箱の一つを手に取っていた。

 意外に思うかもしれないが拳銃の弾丸というものは紙製の箱に入っている。大きさは筆箱より少し小さいくらいで、箱の中は格子状に仕切られた枠に1発ずつ差し込まれるようにして並んでいる。ちなみに1箱は50発入りだ。

 

 今後のゾンビとの戦闘で銃が主体となるであろうことを考えると、弾丸は持てるだけ持つに越したことはないのだが弾丸だって多くなればかさばるし重い。

 当然ながら武器だけを持っていればよいということはなく、食糧や着替え、その他の小物類なども同時に運ばなければならない。

 

 

 結局、減音器付きの9ミリ拳銃を2丁とそのマガジン、銃のメンテナンスキットに弾丸数箱分を持っていくことにした。もっとも、地図に現在の場所や残りの物資やらを書き込んでいたので近々取りに来るつもりらしい。

 

 自衛官からホルスターと予備マガジンを入れておくホルダーを受け取った青年は、それらを腰のポーチのベルトに通して固定した。

ホルスターから取り出して構える一連の動作を繰り返し、引っかかったりしないかを確認していると、先ほどから黙ってしまっていた自衛官から声がかけられた。

 

「なあ」

「なんだ?」

「火器の提供とレクチャーの代金というわけではないんだが、1つ頼みたいことがある」

 

 一拍開けて、

 

「出発する前に、俺を、殺していってくれないか?」

「なにを…」

 

 さすがに想定外だったのか声が出ない青年に構わず、話を続ける自衛官。

 

「最初に言っただろ、俺はもう長くないから自分で始末をするつもりだ、って」

「あ、ああ。確かに言ってたな」

 

「おかしいと思わないか、俺は別にお前と会うことを予測していたわけじゃない。なのに俺は、ゾンビに噛まれてもう助からないと分かっているのにも関わらず、お前に声を掛けられるまで生きながらえていた」

「できなかったんだ。噛まれちまったんだからもう助からない、このまま放っておけば自分もゾンビになってただ目的もなく徘徊するだけの存在になってしまう。それが分かっていながら自分の頭につきつけた銃の引き金を引けなかった」

「…」

「自殺するのは怖くてできない、それでもゾンビになるのは嫌だと頭の中がぐちゃぐちゃになっていたところにお前が来たというわけだ。自分以外の第3者が来たんだ、なら頼むしかないだろう」

「な、何言ってんだよ。まだゾンビ化しているわけじゃないんだし、助からないって決まっているわけでもないし、そ、そうだ、もしかしたら治療法とかもできるかもしれない」

 

 反論してみるが、話している自分でも信じられない内容だ。それは自衛官も思ったようで、軽く笑って言う。

 

「噛まれちまったらゾンビ化するのは時間の問題だ、遅いか早いかの違いでしかない。それに治療法が見つかるとしてそれはいつになる?2年後か?3年後か?残念ながらゾンビ化がおこるのは噛まれた奴が生存していた場合でも早くて6時間後、長くても3日後程度だ。途中で死んでしまったらもっと早くなる。どっちにしろもう俺は助からないよ」

 

 自衛官は軽く青年を見上げると、それにな、と言って続けた。

 

「これはお前の為でもあるんだ。銃を持っていくなら、今後お前がそれを向ける相手がゾンビだけではないかもしれないということも考えなければならない」

「…っ」

「支えを失った人間の心は脆いものだぞ。もちろん俺はこの国の国民の倫理観を信じている。だけど海外に派遣されたことがある身としては統治機構が失われた土地の住民がどのようになるかはよく分かっているつもりだ。まして現在の状況は今まで見たどの状況よりもひどいからな。愚かな選択をする輩が絶対に出てくるだろう」

「もしそうなったら、お前は一瞬で判断を下さなければならない。少しでもためらおうものなら、そこまでということになる。そんな時の為に練習しておいて損はないだろう」

 

 青年は表情こそあまり変化していないが、その手は握りしめられていた。彼にも分かっていたのだろう、ゾンビ以外の生存者とも対峙する可能性があるということを。

 そのために自分を撃って練習にしろという自衛官の言いたいことも理解できる、しかし理解できるからと言って納得できるものではない。

 

「そんな顔するなよ、こう考えてみたらいい。ゾンビもののチュートリアルの最後に主人公に色々教えてくれた先輩が噛まれてしまう。戸惑う主人公に対して早く自分を撃てという先輩、涙ながらに先輩を撃った主人公は決意を胸に宿して探索をスタートするって寸法だ」

 

 あんまりなことを言い出す自衛官に、真剣な表情をしていた青年も吹き出してしまった。

 

「自分の命をゲームに例えたりするなよな…。ってか俺が銃を持ってあんたが言う愚かな輩になるとは思わないのかよ」

 

 すると、その言葉を待っていたかのように自衛官はニヤリと笑った。

 

「いやいやそんな、お前はそんなことする人ではないと信じているよ」

 

 先ほど言われたことをそのまま返された形になった青年は、今度こそ肩の力が抜けたように微笑んだ。

 

「分かった、そこまで信じてくれる人の願いを聞かないわけにはいかないからな」

「ありがとな」

 

 それじゃあやってくれという言葉にうなづき、青年は自衛官の前に立った。手にした9ミリ拳銃をコッキングして初弾を装填するとそれを自衛官の額に向けて問いかけた。

 

「最後に、名前を聞いてもいいか?」

「そういえば言ってなかったな。俺は田宮、田宮敦というんだ」

「そうか。田宮さん、俺にこの世界で生きる手段と覚悟を与えようとしてくれてありがとう。俺は、この銃を持っている限り俺の手の届く人達を助けることを誓うよ」

 

 内心で考えていたことを青年の方から言われた田宮は思わずと言ったように顔を挙げた。

 

 自分が死ぬのは仕方ない、自衛官となった時から覚悟はしていた。それでも国民を守るという自衛官としての職務をを果たすことができないのが心残りだった。

 その思いを目の前に現れた青年に託したいという思いはあったが、自分の希望をまだ先のある若者に押し付けるわけにはいかないとも考えていた。

 せめてこの青年が生きていくための手段を与えることができたということで納得しようとしていた。

 

 その内心を見透かしたかのような青年の言葉により、田宮の中にあった心残りは消え去った。

 憑き物の落ちたような顔をした田宮は青年に対して心からの感謝を伝えた。

 

「本当にありがとう。天国に行ったらお前が無事に生きていけるよう祈っているよ」

 

 そうつぶやくように告げると、田宮は静かに瞳を閉じた。

 

 昨日に引き続き良く晴れた空に響いた銃声は、減音器(サプレッサー)の効果でひどくくぐもって聞こえた。

 

 

 

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 3日後、小雨が降る中を雨具を羽織った青年が進んでいた。

 手には9ミリ拳銃が油断なく構えられており、この数日で銃の扱いにかなり慣れたことを示していた。

 

 実際、銃を手に入れてから青年の移動速度はかなり上がった。

 ゾンビの間合いの外から一方的に攻撃できるため2,3体のゾンビが群れていたとしても問題なく処理することができる。

 シャベルを使った近接戦闘では複数体を相手にすることになり、リスクが高いとして迂回していたようなルートを通れるようになった。

 

 もちろん5体、6体ともなれば苦戦するだろうし、減音器(サプレッサー)をつけているとはいえ完全に発砲音が消えるわけではない。撃ち続けていれば音に寄ってくることもある。

 それでもなかった時と比べれば雲泥の差である。

 

 この日は朝から空模様が怪しく、昼を過ぎたころからは雨が降り始めた。

 パンデミックが起こって以降初めての雨なので、ゾンビたちの様子を見ていた青年だったが、まるで雨宿りをするかのように屋内に入っていくゾンビたちに移動を優先することにした。

 

 現在雨の中を進んでいても路上に立っているゾンビはほとんど見受けられない。

 雨音がゾンビのうめき声や足音をかき消してしまうので警戒を解くことはできないが、雨天の時はなかなか移動に適しているようである。

 

「このペースなら夕方位には着きそうだな」

 

 青年が軽く見上げる丘の上には、彼の目的地である学校が静かにたたずんでいた。

 

 

 

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 学校の廊下を複数の人影が走っていた。

 

 つい1ヶ月前には、きれいに掃除されて休み時間ともなれば左右の教室から多くの生徒たちが出てきておしゃべりを楽しんでいた場所は、血痕や飛び散ったガラス片、倒れて動かない制服を着た遺体とで埋め尽くされていた。

 両側の教室に続く扉のうちのいくつかは内側にひしゃげたように破壊され、中には積み上げられていたのであろう机や椅子が散乱していた。

 

 走っている人影の数は4つ、学校指定とみられるセーラー服を着た3人の女子と恐らくは教師であろう紫色のワンピースを着た女性であった。髪をツインテールにしてシャベルを持った活発そうな少女が先頭を走り、ワンピースの女性が後ろを気にしながら最後尾につく。その間を髪の長い少女と動物の耳のような不思議な形状の帽子をかぶった小柄な少女が挟まれるようにして走っていた。

 

 先頭の少女がゆらゆらと向かってくるゾンビに向けてシャベルを振りながら後方の女性に対して叫ぶ。

 

「めぐねぇっ、後ろどうなってるっ?」

「ダメっどんどん増えてきて塞がってるっ」

 

 ワンピースの女性が振り返った先には階段を上がってきたり教室から出てきたゾンビであふれかえっていた。

 

「くっそ、ゆきっ、りーさん、しっかりついて来いよ」

「う、うん」

「ええっ」

「それにしてもっ、なんであいつらっ、雨になった途端にっ、わらわら入って来てんだ!」

「もしかしたらっ、みんなっ、雨宿りにっ、来てるんじゃないかなっ」

「はぁっ!?奴等にそんなもん、必要ないだろっ」

「分からっ、ないわよっ。まだっ、彼らについてっ、知らないことばかりっ、なんだから!」

「ゆうりさんっ、無理して話さない方がっ、いいですよっ」

 

 叫び合いながら走る彼女達が、この学校に残っている生存者のすべてであった。パンデミック発生当初を何とか乗り切った彼女らは、2階と3階の間に机で簡単なバリケートを作り、少ない物資をやりくりしながらなんとか生き延びてきた。

 

 しかし、もともと大した量でもなかった物資は残りわずかとなり、バリケートの外に探しに行く必要が出てきた。1階の購買部で食べ物を調達しようということになり、皆で2階に降りたところで1階から上がって来たゾンビたちと鉢合わせしてしまった。

 

 再びバリケートを乗り越えて3階に戻るだけの時間はなさそうだったため、ひとまずは走って逃げてゾンビたちとの距離を離してから別の階段のバリケートを超えて3階に戻ることにした。

 しかし、音を聞きつけたゾンビたちが次々と教室から出てくるためそれに対処しながらでは早く進めない。もたもたしてるうちに4人の後ろにはゾンビの集団が形成されていた。

 

雨の影響なのか、普段よりも校舎内にいるゾンビの数が多いことも移動を妨げる一因となっていた。

 

「ちくしょうっ、向こうの端からも上がってきやがったっ!」

 

 前方の階段からもゾンビたちが姿を現し、4人は前後を挟まれる形となった。

 

「みんなっ、この教室に入って!」

 

 最後尾にいた女性が壊れていない教室のドアを開け放って叫ぶ。幸いなことに、中にゾンビはいなかった。

 戻ってきた3人が中に入ったことを確認し、女性はドアを閉めてしまう。

 

「ちょっ、めぐねえ⁉なんでドア閉めてんの⁉」

「まだ間に合いますから早く入ってきてくださいっ」

「そうだよめぐねえっ、早く!」

 

 口々に叫びながら開けようとするドアを押えながら、女性は意識して優しい声をして語り掛ける。

 

「いい?3人ともよく聞いて。ここに全員で入っちゃったらあの子たちがみんなここに殺到してしまうわ。でも私が目立つようにここを離れればほとんどを引き付けることができる。あなたたちは十分に時間が経ってからこっそり3階に戻ってね。」

 

 なおも言いつのろうとする3人の声を押し切るように続ける。

 

「あなたたちは私の自慢の生徒よ、あなたたちならこんな状況でもきっと生きていける。頑張ってね。」

 

 それだけ言うと、めぐねえと呼ばれた女性は教室の前から離れた。

 前後を確認し、ゾンビの数が少しでも少なそうな方へと走り出す。

 

 噛まれてしまってもいい、噛まれてもすぐに彼らのようになるわけではないから。

 足さえ止めなければ、あの子たちを彼らから少しでも遠ざけることができる。そのためなら自分が彼らのようになってしまっても構わない。

 

 それが、大人である自分が果たすべき責任だから。

 そう考えながら、もはや眼前に迫ったゾンビたちの隙間を駆け抜けようとした女性の耳を強い声が叩いた。

 

「伏せろめぐねえっ!」

 

 意味を理解するかしないかのうちに伏せた女性の耳に次に入ったのは、パシュパシュパシュッという連続した空気が抜けるような音だった。

 恐る恐る顔を挙げた女性の目に映ったのは、頭部を破壊されてこちらに倒れ込むゾンビたちの姿と、その後ろに立つリュックとシャベルを背負って拳銃を構えた青年だった。

 

 もう立ち上がって大丈夫だよ、と話す青年を女性、佐倉 慈(さくら めぐみ)は呆然とした表情で見つめる。

 

「なぎ、君?」

 

 半ばつぶやくように投げかけられた問いに対し、

 

「久しぶりめぐねえ。1年ぶりくらいかな?こんな状況で言うのもあれだけど、元気そうで何より」

 

 なぎ君と呼ばれた青年、凪原 勇人(なぎはら ゆうと)はニカッと笑いながら答えた。

 

 




以上、第3話でした!

いやー、主人公やっと高校に着きました。
そして本作品1発目の原作乖離、「めぐねえ生存」です。
原作開始点で死亡してるとか不憫すぎるし救いが無さすぎるということでめぐねぇ生き残ります。
こんな感じで、原作の流れを壊しつつ各キャラの救済を進めていきたいと思っていますのでご理解お願いします。

本日の投稿はここまでになります。次回投稿は書き溜めの進み具合と相談になりますがあまりお待たせすることはないと思います。

それでは第4話でお会いしましょう。

誤字脱字等ありましたらお知らせください。

地の文(会話文以外)でのるーちゃんの呼び名はどうしましょう?

  • るー
  • るう
  • るーちゃん
  • 若狭妹
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