ほんとは昨日あたりに投稿したかったのですがちょっと忙しかったので今日投稿します。
第7話です、どうぞ。
追記:2020.01.24
第47代生徒会長→第31代生徒会長に変更しました。原作読み返してたら巡ヶ丘学院の創立が1987年となってたのに気づいたので。第31代ということは凪原が生徒会長をしてたのは2018年ということで、パンデミックが起きたのはその2年後………………………おや?
「やっぱり久しぶりのシャワーは気持ちいいな。胡桃次どうぞ…、ってなんで机に突っ伏してんの?」
「いろいろあったんですよ」
シャワーから戻った凪原が見たのは机に突っ伏した状態で動かない胡桃だった。髪の隙間から見える耳とうなじが赤くなっている胡桃に首をかしげる凪原だったが、妙にいい笑顔で返事をする悠里と同じく笑顔で頷く由紀の方を向くと疑問の声上げた。
「そうなの?、えーと丈槍さんに若狭さん」
「そうだよー、胡桃ちゃんはちょっと恥ずかしくなっちゃったんだー」
「なので問題ありませんよ凪原さん。それと私のことはりーさんと呼んでください。皆からもそう呼ばれてるので」
「あ、私も由紀でいいよー」
2人から名前で呼ぶ許可をもらった凪原だったが、それよりも由紀が言った内容の方に気を取られたのでそちらの方を尋ねてみることにした。
「おう、了解。それより恥ずかしくなったっていうのは?」
「ああ、それはさっき凪原さんと胡桃が2人だった時に「それ以上言うなぁっ!」ムグッ」
笑顔のまますべて暴露しようとした悠里を止めたのは一瞬で立ち上がった胡桃だった。先ほどまでよりも顔を真っ赤にした胡桃は悠里の口をふさいだまま半分涙目で凪原をにらみつける。
「なっ、何でもないから。だからもうそれ以上聞くなナギっ」
「お、おう。分かった。だから早いとこりーさんを解放してやってくれ」
「そうですよ、それに胡桃さんはまだシャワーを浴びてないんですから汚れちゃいますよ」
「まったく胡桃ちゃんはしょうがないなぁ」
悠里を心配する凪原と、胡桃を嗜める慈に便乗するようにからかいの言葉を投げる由紀だったが、悠里を解放した胡桃からほっぺたを引っ張られることになる。
「あたしをからかうのはこの口かー?」
「うー、
(おー結構伸びてるな、柔らかそう)
シャワーに行ってくるとまだ赤い顔のまま出ていった胡桃の様子に、顔を見合わせて笑う部屋に残された4人。
「ふふ、胡桃も結構調子が戻ってきたわね」
「そうですね。元気そうに振舞ってはいましたけど、やっぱり沈んでいましたからね」
悠里と慈の言葉を疑問を感じた凪原が問いかける。
「元気になったってことは何かあったのか?」
「ええ、こんなことになった日にちょっとね…」
「これは私たちが話していいことではないと思うので、なぎ君は聞かなかったことにしてください」
「胡桃ちゃんはいろいろ頑張ってたってことだけ覚えておいてね」
「ふーん、そういうことなら了解」
3人の様子にあまり突っ込まない方がいいと判断した凪原はそれだけ言って話を打ち切ることにした。胡桃については少し気に掛けてみるということを頭の片隅にメモしておく。
手持無沙汰になった凪原は武器の手入れをすることにした。リュックから9ミリ拳銃と空マガジン、そして弾薬箱を取り出す凪原。取り出したものを机の上に並べ、弾薬箱を開いて新しい弾丸を取り出し空マガジンに込めていく。
そして突然目の前に出された拳銃に思わず固まる3人。
先ほど自分たちを助けるために使用していたとはいえ、銃、である。これまでごく一般的な市民として過ごしてきた身として、実物を前にするとそれから放たれる威圧感に飲まれてしまう。
(凪原さんのことは信じるって決めたけど、こうして見るとやっぱり少し怖いわね)
多少しり込みして口を開けないでいる悠里にフリーズしてしまっている慈、2人とは対照的な行動をとったのが由紀だった。銃に目線を向けながらも口を開き何をやっているのかを尋ねる。
「ねえ凪さん、それって何やってるの?」
「ん、これ?マガジン…ええっと弾丸を入れておくケースに弾丸を込めてるんだ。こうしとかないといざって時に撃てないからな。さっき結構使っちゃったから込めなおしておかないと」
「弾丸ってそんな箱状のところに入れるの?警察の人が持ってる銃だとあのレンコンみたいなところに弾を入れてるイメージだったのだけど」
由紀が話しているのに勇気づけられたのか、凪原の言葉に質問を発する悠里。
「あー、警察官が使ってるのは
(まあ
そんなことを考えたところでフリーズしていた慈が再起動を果たした。
「そ、そうですなぎ君っ。さっきは聞きませんでしたけど、どうして
「あれ?さっき胡桃から聞いてない?」
てっきりシャワーを浴びている間に胡桃の方から3人に話していると思っていた凪原はキョトンとした顔で聞き返す。
「そういえば胡桃ちゃんが話してくれた時めぐねえいなかったね」
「戻ってきたときにはもう別の話になっていたものね」
胡桃に話してもらった時のことを思い出しながら話す由紀と悠里にの様子に、凪原は一つ頷くと改めて田宮とのことを話すことにした。
「OK、そんじゃ改めて話しておくか。2人も聞いてないところがあるかもしれないし何となく聞いておいて」
そう前置きをして凪原は自分が銃を手に入れた経緯、田宮とのやり取りを話し始めた。
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「とまあ、こういったわけがありましたとさ。さっき胡桃に言ったかもしれないけど全部信じるかどうかは任せるよ。最低でもこの銃で君らをどうこうしようという気はないってとこだけは信じてほしいけど」
「そんなこと言わなくても信じますよ、さっき胡桃から聞いた話と同じでしたし」
再度話し終えた凪原が軽く自嘲を交えながら締めくくると、悠里が小さく微笑みながら応じた。由紀も普段の元気そうなそれとは異なる優し気な笑顔で頷いていた。
「ありがとな、2人とも。そんで途中から静かになってためぐねえは――――めぐねえ?」
2人に礼を言いつつ、話をするうちに口を挟まなくなった慈の方を伺う凪原だったがうつむいて動かない様子に疑問の声を上げる。
由紀も疑問に思ったのか、めぐねぇどうしたの?と首をかしげていた。
そのままプルプルと小さく震えだす慈を不審に思い再度口を開くもその声は最後まで続かなかった。
「めぐねえマジでどうし――「なぎ君っ(ガシッ)」ちょ、めぐねえ⁉」
いきなり凪原の頭を泣きながら抱きしめる慈に目を白黒させる凪原。
「なぎ君がそんな大変な経験をしていたなんてっ。ごめんなさい気づいてあげられなくて、そんなことなぎ君がするわけないと思いながらも少しだけ不安になってしまってなぎ君のことをしっかり見てなかった。一番大変なのはなぎ君だったのにそんなことも気づかなかった。ほんとに……、ほんとにごめんなさいっ」
泣きながら謝る慈の様子からその行動の理由を察した凪原は気にしなくていいと答える。
「別にめぐねえが謝ることじゃないよ。田宮さんに頼まれたとはいえやったのは俺自身の意思だし、それに間違ったことはしていないと思う。だから俺は大丈夫だよ」
軽く笑いながら心配ないと言う凪原だったが続く慈の言葉に思わず息が詰まった。
「そんなはずないですっ。本当に大丈夫ならなぎ君は大丈夫なんて言葉は使いません。それになぎ君は自分では何とも思ってなくても心のどこかで引きずることも多いんですから周りが気付いてあげないといけないんですっ」
慈の言葉に息をのんだ凪原だったが、ゆっくり息を吐くといつの間にか体に入っていた力を抜いて慈に身を任せた。
これまでの自信気な口調とは異なる、どこか子供っぽい口調で慈に声をかける。
「うーん、やっぱりめぐねえにはこういうところでは敵わないなぁ。自分では問題ないつもりだったんだけど」
「在学中に散々振り回されましたからね、なぎ君の事ならしっかり分かってます」
抱擁を解いて頭をなでながら話す慈とそれに答える凪原、2人の様子からは互いを信頼していることが感じ取られた。
そしてそれを至近距離で見せられてヒソヒソ話に移行する由紀と胡桃。
「(ねぇ悠里ちゃん、あの2人のつながりって生徒会担当と担任だったことだけだよね?)」
「(聞いた限りはそのはずだけど、そうは思えないぐらい信頼関係ができてるように見えるわよね)」
「(やっぱりそう見えるよね?―――)」
自分たちの担任の新しい一面にヒソヒソ話が加速させる2人と、密着した状態で話す慈と凪原。ややカオスな雰囲気を破ったのはシャワーから戻った胡桃だった。
「シャワー出たぞーってこれどういう状況?」
「あらお帰りなさい胡桃、どうって見てのとおりよ?」
「見ての通りって、あたしには半泣きのめぐねえがナギの頭を抱え込んで撫でてるのが見えるんだけど。何があったらこうなるの?」
「田宮さんとの話を聞いためぐねえがナギさんが無理してるんじゃないかって心配してこうなったんだよー」
「あー、そういうことか。でもそれであんなに密着するもんか?」
「ふふっ、これじゃ胡桃も負けてられないわね?」
「なっ⁉あ、あたしは別にそういうことが言いたいわけじゃないからっ」
意味ありげにほほ笑む悠里に慌てたように返す胡桃。その顔はシャワーに向かったときほどではないが少し赤くなっていた。
急に騒がしくなったことで胡桃が戻ってきたことに気づいた凪原が慈にもう平気だと声をかける。まだ心配そうに見つめる慈に笑顔で頷くと慈も納得したようで、不安そうにしながらも解放してくれた。
机の上に出したままだった9ミリ拳銃とその他もろもろをカバンに戻すと立ち上がり、平静を装って口を開く凪原。
「コホン、恥ずかしいところを見せたな。できれば忘れてくれると嬉しいんだけど」
「ええ、分かりました(ニコニコ)」
「もう忘れたよー(ニマニマ)」
「さては忘れる気ないな君たち」
非難気な目を向ける凪原だったが、笑ったまま受け流す由紀と悠里の様子にため息をつくと胡桃の方に向き直った。
「お帰り、シャワー浴びてスッキリできたか?」
「ああ、おかげさまで。それよりさっきの感じからしてからして随分めぐねえと信頼関係があるみたいだな」
「まあ、2年、3年とお世話になったからな。へこんでた時に気にかけてもらったりもしたし」
どこかとげがあるような胡桃の言葉に頬を掻きながら弁解するように返す凪原。
「へこんでた時?」
「2年の時にちょっとな、詳しいところは勘弁してくれ」
首をかしげる由紀に苦笑いで返す凪原。
その会話で先ほどの慈との会話を思い出した胡桃が話題を変えるように口を開いた。
「そうだナギ、さっきめぐねぇから聞いたけどお前生徒会長やってたんだって?」
「おう、泣く子も黙る第31代生徒会長とは俺の事よ。歴代の会長の中でもトップレベルで色々やった自信があるぞ」
自慢げに返す凪原にジト目を向ける胡桃。
「ああ、確かに色々やらかしていたな。本当に色々と」
「む、なんか含みがある言い方だな」
「当たり前だろ、そのやらかしの結果あたしはいきなり顔面に紙テープの洗礼を受けたんだぞ」
「あー入学式の時のやつか、新入生を歓迎する気持ちを端的に表そうと思って何がいいか考えた結果あれが一番インパクトがあるって話になったんだ」
「インパクトありすぎだっ、おかげでとんでもない学校に入っちまったんじゃないかってクラスメイト同士で話してたんだぞ」
「すぐに周りと打ち解けられてよかったじゃないか」
「違う、そういうことを言いたいわけじゃないっ」
胡桃からの抗議をハッハッハと笑いながら受け流す凪原の様子を見て当時を思い出す由紀と悠里。
「今思い出したんけど、生徒会長挨拶の時とかってナギさんあんな感じだったよね」
「そういえばそうね、いつもその後にくる突発的なイベントやら発表やらで忘れていたけど壇上で挨拶していたの確かに凪原さんだったわ」
始業式や生徒総会など、あいさつするときの凪原は基本的に笑顔でとんでもないことを言い出し、その際の批判は柳に風と受け流していたのだ。
もっとも提案する内容は事前に教員側と安全確認や協議をしているため、事故などが起きる可能性が低いことは生徒達も分かっており強く反対していたわけではない。
「っと、そうだ忘れてた。皆が一息ついたところで話があったんだ」
文句を言う胡桃をなだめていた凪原が思い出したように言った。その声に周囲も会話を辞めて注意を向ける。
「なんだよ?改まって」
「どうしたんですか、なぎ君」
代表するように返事をした胡桃に続き、疑問の声をあげる慈。
それに若干言いにくそうにしながらも口を開く凪原。
「いや、会った時があんな感じでドタバタしててうやむやになっちゃってたからさ。それで、俺もこれから先ここに居たいと思うんだけど、いいかな」
無理にとは言わないしやっぱり女子ばっかのところに男が入るのが嫌だってなら出ていくけど、と先ほど胡桃を相手にしていた時の余裕そうな感じとは打って変わって不安そうな表情で話す凪原の様子に、何事かと思って聞いていた4人は顔を見合わせると噴き出してしまった。
「なんだ、真剣な顔してるから何を言い出すかと思ったらそんなことかよ」
「そんなことってなんだよ、こっちは真面目に言ってるのに」
笑いをこらえながら話す胡桃に少しむっとした表情で返す凪原。それを見ながら残りの面々も口を開く。
「凪さんだったら全然オッケーだよ!」
「私も問題ありません、というよりむしろお願いします。先ほどのようなこともありますしやっぱり女子だけじゃできないことも多くて、男性の方がいると心強いです。それに凪原さんなら信用できますし」
「うーん、そこまで信用してくれるのはありがたいんだけど、そんな簡単に信じてもらえるとなんか拍子抜けだな」
肯定的な返答をくれたことに嬉しそうにしながらも意外そうな表情をする凪原だったがその疑問に答えたのはそれまで黙っていた慈だった。優しそうな笑みを浮かべながら凪原に話しかける。
「この子たちは人を見る目がありますからねぇ」
「めぐねえ?」
「なぎ君も知ってると思いますけど、女性っていうのは人のことをしっかり見ているんですよ。そんな中でもこの子たちは特に対面した人の本質を感じ取ることに長けてるんです。なぎ君はそんな3人のお眼鏡にかなったんですよ」
「お眼鏡って…これってそういうもんなの?」
「そういうもんなんです。もちろん私も賛成ですよ?この3人と同じようになぎ君も私の生徒だったんですから。なぎ君が変なこと考える人じゃないのはよく分かっています」
そう笑顔で言い切る慈とその後ろで笑顔を向けてくる3人を見て、凪原は知らずに肩に入っていた力を抜くと自身も笑顔を浮かべて口を開いた。
「分かった、それじゃあこれからよろしくお願いします」
「「「「はい(うん)っ!」」」」
学園生活部の部室に元気な声が響いた。
====================
「―――これで凪さんも学園生活部の一員だねっ」
「は?」
一件落着したところで唐突に由紀からかけられた声に間の抜けた声を上げる凪原。
「あたしらは学園生活部の活動として学校に住んでるからな。 ここで生活する以上はお前も部員ってわけだ」
「いや俺大学生だよ?高校の部活の部員って無理があるでしょ」
「留年したことにすりゃいいだろ」
「よくねえわ!」
無事に大学に入学して1年以上たったというのに高校5年生にされかけるという事態に慌てる凪原。
ニヤニヤしている胡桃に文句を言っていると、悠里がどこからか紙を取り出してきて凪原の前に置く。
「こちら、入部届になります」
「りーさん、お前もか」
裏切られたような顔をする凪原に、ルールですからと答えるいい笑顔の悠里。明らかに楽しんでいる様子にこいつは愉悦派だと認識した凪原はせめてもの抵抗にめぐねぇはどうなんだと口にするが、顧問だと返される。
何か方法がないかと差し出された入部届に目を走らせる。生徒会時代に何度か処理したことがあるそれは部員名簿の役割も果たしており、一番上に部活動名が書かれており、その下に顧問や部員の名前を書く欄があった。
(あ、よっしゃこの手があった)
「………分かったよ、記入するからペン貸してくれ」
「あ」
小さく何かに気づいた様子の凪原に慈は口を開きかけたが、それには気づかずペンを差し出す胡桃。
「はいよ」
「サンキュ。――――よし、書けたぞ」
「よしよし…ってお前これっ」
「ずるいですよっ」
2人が抗議の声を上げながら見る入部届には確かに凪原の名前が記入されていた。ただし、コーチの欄にだが。
「なんもずるくないぞ?うちの学校の規則なら卒業生が部活動の指導員として所属することは問題ないし、その際に資格が必要ということもないからな」
「くっ、年の功ってやつか」
「生徒会長だったのは伊達じゃないってことですね」
悔しがる胡桃と悠里と笑っている凪原たちを見ながら、由紀は慈にこっそりと問いかけた。
「ねねめぐねえ、さっきあって言ってたけどどうしたの?」
「さっきのなぎ君の顔は何かを思いついた時の顔なんですよ。以前もあの顔をした後にはとんでもないイベントとかを提案してきたんです」
「それに胡桃ちゃんとりーさんは引っかかっちゃたわけかー」
納得したように話す由紀だったが、すぐにまた口を開いた。
「でもさ、これからすっごくにぎやかで楽しくなりそうだねっ」
そう話す由紀の笑顔は本当に楽しそうで、
「ええ……そうね」
慈もまた笑顔で答えたのだった。
以上、第7話でした!
主人公やっと学園生活部に入りましたね。
タイムラインとしては原作よりも早いですが、ここから原作1巻に沿うような形で進めていけたらいいなって考えてますので応援していただけると嬉しいです。
非ログイン状態でも感想が残せるように設定を変更したので一言でももらえると嬉しいです。
|ω・)<チラッ
それでは第8話でお会いしましょう。
なんか主人公の口調が安定しないなぁ……