学園生活部にOBが参加しました!   作:逢魔ヶ時

18 / 108
金曜に初めて感想をいただきました、ありがとうございます!
こういうのをもらえると本当にうれしいですよね。

6話と7話でかなりはっちゃけた高校生活をしていたことが分かった主人公、今回はその暴走の結果を少しお見せします。

それでは第8話です、どうぞ。


1-8:OB、学生時代の遺物を披露する 上

 凪原の入部騒動からしばらくたち時刻は夜に差し掛かっていた。

 発電所からの送電がストップし町中の電気消えた現在、ソーラーパネルによる自家発電で電気が使えるとはいえ煌々と明かりをつけていては目立ってしょうがない。

 ゾンビたちは明かりに反応して集まってくるし、もっとひどいと友好的でない生存者達まで呼び寄せかねない。

 なので学園生活部では電気を消したうえでカーテンも閉め、夜間の明かりとしてはランタンを小さくともして用いていた。

 

「さてもう暗くなったわけだけど、夜の間ってどうしてるんだ?」

「それは日に寄りけりだな。とっとと寝ちゃう日もあれば話が弾んで結構遅くまで起きてる時もある」

「あまり遅くまで起きていると次の日起きるのが遅くなっちゃうので基本的には早く寝るように言ってるんですけどね」

 

 凪原の問いに対し、場合に寄りと答える胡桃と早く就寝してほしいと言う慈。

 どちらの答えからも、見回りや警戒といった言葉出てこないことに疑問を覚える凪原。

 

「ちょい待ち、もしかして夜の間って誰かが起きて警戒してるとかはしてないのか?」

「あー、最初のころは怖くて眠れなくてずっと起きてたりしてたんだけど…」

「彼らがバリケードを超えてくることが無いと分かってからは特にしていないわね」

 

 由紀と悠里からの解答に驚愕の表情を浮かべる凪原。

 夜間はゾンビたちの動きが沈静化するとはいえ無防備すぎるのではないかと思う。

 確かに凪原も夜間に睡眠をとっており一晩中起きていることはないが、それは建物の中にゾンビがいないことを入念に確認し、進入路を塞いだうえでのことであるし、そもそも熟睡はしないようにしていた。

 慈の言葉からは皆そろって寝坊したことがあるように思える。とてもじゃないが安全とはいいがたい対応だ。

 そんな内心を余すとこなく声に込めて口にだす。

 

「いくら何でもそれは不用心すぎるんじゃないか?」

「夜の間はあいつらの数結構減るからなぁ、目が覚めた時は一応見回りとかもしてるし」

「でも実際彼らはバリケードを超えることはなさそうですし…」

 

 胡桃は多少なりとは警戒しているようだが、あまりピンと来てない様子の慈。他の2人もどうやらバリケードを過信しているようなので、凪原は厳しいながらも現実を口にしておくことにした。

 

「そのバリケードなんだけどな、あれ多分全力で押されたり叩き続けられたら持たないぞ。実際今日は俺と胡桃とで取り付いたやつを即座に排除してたから平気だったけどそれが無かったら高確率で破られてた。胡桃は近くで見てたから分かるだろ?」

「う……。まぁ確かに壊れそうだなとは思った」

「な?酷なことを言うようだけどあのバリケードじゃいざというとき心配なんだよ」

 

 凪原の言葉にそんな…とか、どうすれば…といった声が聞こえてくる。どうやら皆も現状を正しく理解できたらしい。それが分かったところで凪原が明るい口調で口を開いた。

 

「まぁバリケードが不十分ってことなら補強すればいいだけだ。それまでは俺が夜間の警戒をやることにするから皆は今まで通りに寝ても大丈夫だよ」

「それじゃ凪さんだけが大変じゃんっ」

「そうです、危険だってことは分かったので私たちも分担しますっ」

「大丈夫だって。さっきは不用心だって言ったけど早く寝ることも大事だぞ?夜更かしはお肌に悪いからな、特に君らみたいなかわいい子たちならなおさらだ」

 

 先ほどまでの真面目な表情から一転、楽しそうな顔で突然そんなことを言う凪原に顔を赤くして黙り込む2人。

 

「なぎ君、あんまりからかわないであげてください。でも本当に大丈夫なんですか?なぎ君だって一晩中起きてるのは大変ですよね?」

「ハハッ……。めぐねえは理工系大学の課題地獄って知ってる?レポートやら何やらの課題が多すぎて2徹3徹は当たり前なんよ。課題をやらなくて良くてただ起きてるだけなら楽なもんだよ」

 

 突然死んだような顔になってそんなことを言う凪原に思わず固まる慈。さっきまで顔を赤くしていた2人や胡桃もこれにはうわぁという顔になっている。

 

「ぜ、全然大丈夫じゃないじゃないですか!?それなら私も警戒をやりますからなぎ君もちゃんと休んでください!」

「いや、めぐねえは徹夜すると翌日ポンコツ化するじゃん。文化祭の準備期間に見たから知ってるよ」

「そ、それはそうですけど…」

 

 自分も手伝うと意気込んだものの、一瞬で却下されて口ごもる慈。

 そんな中、なら私が手伝う、と言い出したのは胡桃だった。その言葉に皆の視線が向いたところで話始める。

 

「夜の間はナギが警戒するってんなら明け方、夜明けぐらいからはあたしが交代するよ。そしたらナギも朝ごはんまで少し休めるだろ?」

 

 朝起きるのは得意だし、と続ける胡桃に少し考えていた凪原だったが頷くと肯定の意思を示す。

 

「じゃあそれでお願いしようかな。完徹しないで済むのはうれしいし」

 

 さしあたっての夜間の予定が決まったところで就寝することになった。

 どうやら胡桃達は3階の教室の1つを自分たちの生活スペースとして使っていおり、慈はその隣の部屋で寝泊まりをしているらしい。

 着替えたりしていることもあるから勝手に入るなとくぎを刺されたが、もちろん凪原にそんなつもりはないのですぐに頷いておいた。

 

「じゃあ凪さんおやすみー」

「申し訳ありませんが夜間の見回りお願いします」

「5時くらいになったら交代に行くよ、あたしらが寝てるからって覗くなよ?」

「おう、おやすみ。今日は色々疲れただろうししっかり休めよ。胡桃は変なこと言うな別に覗かないって」

 

 そう挨拶をすると胡桃達は教室に入っていった。そして廊下に残される形となった凪原と慈。

 

「さて、めぐねえ?」

「……(ビクッ)」

 

 何かを問いかけるような凪原の声に体をこわばらせる慈。

 

「何か気がかりがあるって雰囲気だったから鎌をかけてみたけどやっぱりか」

「うぅ…隠してたつもりでしたけどなぎ君には分かっちゃいますか」

「そりゃあ2年間見てきたからね。ま、何に悩んでいるのかはあえて聞かないけどしばらく放っておいていいんじゃないかな?俺が来たせいでここでの生活もいろいろ変わるだろうし、それが収まってから落ち着いて考えればいいと思うよ」

「………なぎ君、実は私が何に悩んでるか知ってたりしません?」

 

 疑わし気な目を向ける慈に、いんや全く?ととぼける凪原。その様子からは内心を見透かすことはできなかった。何か言いたげな目をしていた慈だったが、あきらめたのか小さくため息をついた。

 

「分かりました、なぎ君の言うとおりにしておきます。確かになぎ君が来たことでここもいろいろ変わりそうだものね」

「それが良いと思うよ、それになんかあったとしても俺はめぐねえの味方だから」

「フフッ、ありがとうござます。それじゃあ私ももう寝ますね今日は疲れちゃったので」

「おやすみめぐねえ、しっかり休んでね。……多分明日は違う意味で疲れるだろうし」ボソッ)

「はいおやすみなさ―――ってなぎ君?今最後になんて言ったの?」

「別に何も?じゃあおやすみ~」

「ちょっなぎ君!?なぎくーん!」

 

 最後の最後に悪だくみをするような顔をしていた凪原に焦る慈だったが、笑いながら行ってしまったので嫌な予感を覚えながらも就寝するしかなかった。

 

 

 

====================

 

 

 

「おはよう、ナギ。夜の見張りお疲れ様」

「おうおはよう、よく眠れたか?」

 

 胡桃が起きてきたのは夜が明けて間もないときだった。どうやら寝る前の宣言通り5時頃に起きたらしい。

 服装は制服姿で特にしわなどもついてないことから寝間着は別にあって起きてから着替えたのだろう。

 

「夜の間はどうだった?あいつら来たりしたか?」

「いやー基本的には平和なもんだったよ。1,2回バリケードのとこまで来たけど1体だけだったからすぐに処理できたし」

 

 質問にのんびりと返す凪原だったが、自分たちが寝ている間にゾンビが近づいていたと知った胡桃としては気が気ではない。

 

「それって大丈夫なのか?結構危なかったように感じるんだけど」

「まあ大丈夫だろ。少なくとも数体がかりでそれなりに度時間をかけてたたきでもしない限りバリケードも壊れないだろうしそうなる前に気づきゃいい話だ」

 

 そう答えた凪原そのまま大きく口を開けてあくびをした。

 

「クァ~、じゃあ胡桃も起きてきたみたいだし俺は休むことにするよ。その辺の空き教室にいるからなんかあったら呼んでくれ」

「あいよ。あ、そうだいつも通りなら8時過ぎくらいに朝ごはんだからそれぐらいには1回起きてきてくれ」

 

 胡桃の言葉に手をヒラヒラと振りながら了解と答えた凪原はそのまま階段を上がり3階へ上がっていった。

 

 

 

====================

 

 

「改めておはよう、って胡桃だけか。他の3人はまだ起きてないのか」

 

 時刻は午前8時、3時間ほどの仮眠をとった凪原が学園生活部部室(生徒会室)に顔を出すとそこにいたのは胡桃だけだった。机の上に上半身を投げだした状態のままで顔を上げた胡桃が声を上げる」

 

「ああ、おはようナギ。いつもなら皆起きてる時間なんだけど今日はまだ寝てるみたいなんだ。まあ待ってればそのうち起きてくるだろ」

「なるほど、じゃあ起きてくるのを待つ間に朝飯の準備でもしますかね」

 

 そう言って部屋の隅に置いたリュックを漁り始める凪原。

 

「あれ、ナギってちゃんとした料理できんの?」

「まるで昨日のカレーうどんがちゃんとしていないみたいな言い方はやめてもらおうか。まあそれなりにはできるぞ、とはいえ今はめんどくさいからこいつを使うよ」

 

 そう言いながら凪原が取り出したのはレトルトパウチである。オリーブグリーンの袋の表面には戦闘糧食Ⅱ型と印刷されていた。

 

「何それ?」

「自衛隊で採用されてる非常食、基本的に湯煎すれば食べられるから便利なんだ。田宮さんのとこから銃と一緒にもらってきた」

 

 コッヘルで沸かしたお湯に袋ごと突っ込んで待つことしばし、特に問題もなく5人分の朝食が出来上がった。その頃には残りの3人も起きてきており、室内には学園生活部のメンバーがすべてそろっていた。

 

「それじゃ召し上がれ、と言ってもこれは俺が作ったんじゃないけどな」

 

 朝食のメニューはレトルトのご飯と塩鮭、インスタントみそ汁にミカンの缶詰だった。缶詰は5人で1つだったが胡桃たちにしてみれば久しぶりの普通の朝食であり、皆嬉しそうに食べていた。

 

 

「あーおいしかった」

「そうだなー、米を食べること自体久しぶりだったからな」

「どんな食事してたんだよ…」

 

 朝食の片づけが終わったところで由紀と胡桃がしみじみと言った内容に凪原が質問をすると、なかなかに壮絶な答えが返ってきた。

 

「んー、基本的にはスナック菓子かな」

「朝はだいたいうんまい棒とかだったな」

「あとはサラダ菜とかかしら。屋上で育てていたからそれを食べたりしてたわね」

「oh……」

 

 3人の答えに何とも言えない顔になる凪原。どうやら学園生活部の食事事情は彼が思っていたより末期だったらしい。

 

「昨日は今の状況を何とかしようということで、2階の食堂に行こうとしていたところだったんですよ」

「ああ、それでバリケードを超えてたのか」

 

 慈の言葉に納得する凪原。わざわざバリケードで安全を確保している3階から出てきていた理由が分からなかったがそういうことなら理解できる。

 

「それで、その…言いにくいんだけどなぎ君には食料を取りに行くのを手伝ってもらいたいの。昨日の今日で申し訳ないと思うんだけど今私たちにはほとんど食糧が無くて……」

「あたしからもお願いしたいんだ、ナギが持ってきてくれた食糧を食べたうえで言えたことじゃないかもしれないけど、手伝ってほしい」

「わ、私からもお願いしますっ」

「凪さん、お願いっ」

 

 4人の心からお願いを受けた凪原の答えは簡単なものだった。

 

「もちろんいいよ、というかそこまで改まって言わなくてもいいって。俺だってもう学園生活部の一員だからな」

「「「あ、ありがと―――「ただしっ!」――っ⁉」」」

 

 お礼を言おうとした一同だったが突然放たれた否定の意味合いを含む言葉に身をこわばらせる。

 手伝う代わりに対価を要求されるのではと不安に駆られるが続いた言葉に今度は疑問符を浮かべることになる。

 

「食料調達に行くのは準備を十分に整えてからだ」

「準備、ですか?」

「そ、準備。ところでめぐねえ、俺が卒業してからこの部屋(生徒会室)改装工事とかはしてないよね?」

 

 悠里からの疑問の声に答えつつ、一見関係なさそうなことを確認する凪原。慈も理解が追い付いていないのか、え、ええと返事をするだけでそれ以上は考えられないらしい。

 

「よっし、そんじゃ邪魔だからテーブルを壁の方に動かそう。胡桃、そっち持って」

「あ、ああ」

 

 胡桃に手伝ってもらい部屋の中央にあったテーブルをどかす。他の教室と同じ30センチ四方くらいのタイル敷きの床が露になる。

 

「これでどうするんだ?」

 

 そう聞く胡桃だけではなく由紀や悠里、慈も不思議そうな顔をしている。ただし慈は昨夜凪原が言っていたことがあるので少し不安そうなようにも見える。

 そんな中、凪原は向けられる疑問の視線を気にすることなく入り口横にあった小さな書類棚をどかすと、その下の床の一部分をグッと押した。

 

「よっと」

 

 グルッ(床の一部が回転する)

 

「「「!?」」」(驚愕する一同)

 

「よし、あったあった」(床下からナイフを取り出す凪原)

 

「「「!!?」」」(さらに驚愕する一同)

 

 床下から取り出したナイフを持ったまま振り返った凪原は今度はテーブルがあったあたりの床へしゃがみ込み、タイルとタイルの間のうち他よりも継ぎ目が大きいところへナイフを突き立てると刃を走らせてはがしていく。

 

 継ぎ目がはがれた後には細目の蝶番や持ち手のような取ってが顔を出した。凪原は取っ手を掴んで次々にふた()を開いていく。

 

 パカッ(大量の保存食や長期保存用飲料水に非常用浄水キット)

 パカッ(パラコードに寝袋、各種ライトに雨具などのキャンプ用具)

 パカッ(方位磁針や双眼鏡に発煙筒などのトレッキングに使いそうな物達)

 パカッ(折りたたみシャベルや多機能ロッドを含む各種工具にダクトテープ)

 

 その他にも救急キットやら清潔なタオルやら、およそサバイバル生活に必要と思われる物品たちが次から次へと姿を現していく。その光景に他の4人は声を出すこともできないくらいに驚き固まっていた。

 

 そんな4人に向き直ると、凪原はいたずらに成功した子供のような笑顔で口を開いた。

 

「これぞ、巡ヶ丘学院生徒会室、非常事態対策用物資ってやつだ。驚いたろ?」

 

 凪原の言葉にようやく硬直が解けた4人、そしてそれぞれの口から出た驚愕の声が辺りに響き渡った。




以上、第8話でした

この今回と次回の話を書きたくてこの物語を始めたんです、やっと書けました。

生徒会室ってなんか色々なものがあってワクワクするんですよね、高校なのになんか生活感があったりするし割と治外法権的な感じがするんですよ。んで、ならそれを最大限使ってみたらどうなるんだろうって考えて悪乗りした結果がコレだよ。

生徒会担当だっためぐねえは気づかなかったのかよってなりますがそこはほら、めぐねえ割と抜けてるところがあるからてことで許してください 震え声)

さて、遺物の披露はもう1話続きます。あんまり時間を空けないで投稿するつもりなんでよろしくお願いします。

高評価、感想等いただけると筆者の励みになりますので是非

それでは第9話でお会いしましょう。

……理工系大学のレポート課題はマジ辛いぞぉ(白目)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。