皆様本当にありがとうございます、これからも頑張ります!
最近どのニュース番組でもコロナ一色、
休校やテレワークなどが開始されてイベントも自粛ムードですが
感染拡大を防ぐためにはまぁ仕方ないかな、などと考える今日この頃
極力外出せずに家でネット小説でも読んでおとなしくしていましょう。
というわけで高校編第2話です、どうぞ
「そうだ、前から話してた皆の訓練のことなんだけど、大体メニューが決まったから今日あたりから始めようと思う」
朝食の最中、凪原が思い出したように口を開く。話題は凪原と胡桃以外のいわゆる戦闘係ではない人への訓練についてだ。遠足が終了してから数日、色々と考えていた凪原だったがどうやらまとまったようである。
その言葉に一緒に食事をしていた面々も箸を止める。
「ああ、遠足の時に言ってたやつね。しばらく音沙汰なかったから忘れてたなー」
「私は覚えていたけど、てっきりもう少し準備に時間が掛かるかと思ってたわ」
それぞれ、圭と悠里の発言であり、2人とも驚いたような顔をしている。事前に相談をしていた胡桃以外は皆同じような顔をしている、どうやら訓練のことは意識の外にあったらしい。とはいえ否定的な表情をしている者はいない、皆が訓練の必要性と重要性を理解できているようである。
「本音を言えばもうちょっとメニューを練りたかったところではあるんだが―――」
「プロじゃないんだからある程度は仕方ないじゃん、それより早く始めたほうがいいよ」
「―――って胡桃に言われてな、確かにその通りだから早めに準備したんだ。もし問題があればその都度変えていくつもりだ」
「そうだったんですか。それにしても早いですね、あんまり準備しているようにも見えませんでしたし。私が授業の準備をしようと思ったらもっとかかってますよ」
自身が教師であり、日々の授業のために準備や教材研究をしていた慈としては準備が早いことに驚いているようだ。経験したことがある者には分かるが授業準備というのはかなりの時間を要するものである。教える内容が学習指導要領に即したものであることの確認に始まり、教材に選び(教科書をそのまま使ってもよいのか、あるいはプリント等を自作した方がよいか等)、板書案の構築に予想される生徒からの質問への答えや課題の準備など、工程を上げていけばキリがない。
ベテラン教師ならばそれなりに手早く終わらせることもできるのだろうが、年数的にはまだ新人なうえに真面目な性格の慈にはまだ無理な話。実際、凪原が現役のころは「準備が終わらない」と嘆く彼女の姿をよく見かけたものだ。
「そりゃ授業と比べたら短いよ、教材とかいらないし評価基準とかも考えなくてもいいわけだし。教師としての授業準備とかだったらもっと違ってくるって」
「そういうものでしょうか…」
いまいち納得がいかないという表情の慈に「そうそう」と、てきとうに返す凪原。正直、ちょっと要領が悪いところがあるからやりようによってはもう少し早くできたのではないか、と思わないではないが別に今言う必要はないため黙っておく。
「つーわけで、さっそく今日から始めていきたいと思うから飯食ったら動きやすい服装で屋上に集合な」
「はーい!久しぶりの体育だねっ」
「頑張るの~」
凪原の締めに由紀と
「………ところでこのさばの和え物おいしいな、さっぱりしてていいアクセントになる」
「あっそれは私が作ったんですよ」
「「「えっ、めぐねえ料理できたの(んですか)っ⁉」」」
「皆ひどいですっ!」
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朝食後、後片付けののちいったん部屋に戻った女性陣は凪原に言われた通り着替えていた。由紀達女子高生組は学校指定の体操服姿である、ちなみに3年生組はパンデミック当日に体育があって持参していたので自前のものだが、圭と美紀は持ってきていなかったため購買部から新品を拝借していたらしい。
そしてさすがにサイズが合わなかった
対して凪原は、カーゴパンツに半袖Tシャツ、と普段とほとんど変わらない格好だ。外で活動するときと同じ服装の方が訓練としては良いのでこうしている、本来は全員そうした方がよいのだがまだそこまで考えなくてもよいだろう。
前に並んだ皆を見回し、全員いることを確認して口を開く凪原。
「うし、揃ったみたいだし始めていくか。っとその前に一応皆に謝っておくことがある」
「「「?」」」
突然謝罪してきた凪原にそろって首をかしげる一同。思い返してみるが特に心当たりはないようである。凪原そんな様子に構わず話を続ける。
「実は訓練メニューを考えるにあたって身体情報が欲しくてな、学校のデータベースにアクセスして皆のデータを見させてもらったんだ」
「「「えぇっ⁉」」」
訓練メニューを組むために皆の運動能力が知りたかったため、凪原は体力測定の結果をデータベースから呼び出して参照していた。もちろんパスワード等のセキュリティーはあったが生徒会時代に使っていたモノを入力してみたらあっさり空いてしまった。開かなければ慈に聞こうと思っていただけに多少拍子抜けしてしまった。
事後承諾にはなるが個人の成績というわけではないし握力や50m走のタイム程度ならそこまで問題ないだろうということでさらりと言った凪原だったが、皆が想像以上に反応したので逆に驚いてしまう。
「えっ!俺そこまで驚くこと言った?」
「…………凪原先輩のヘンタイ」
「なんでっ⁉」
美紀のジト目を通り越して完全に冷め切った目と、それに頷く他の面々に疑問の声を上げる凪原だったが、すぐに訓練の補佐ということで隣に立っていた胡桃から強烈な肘鉄をもらう。
「ぐほぉっ⁉」
「言い方考えろバカっ!素直に体力測定の結果だけ見たって言えよ、身体情報じゃ健康診断の結果だと勘違いすんだろうがっ」
「え?………あ、そっかそういうことかっ!ごめん誤解を招く言い方だった、見たのは体力測定の結果だけで他のことは一切見ていない!」
胡桃に言われ改めて自分の発言を思い返すと失言だったことに気づき、慌てて弁解すると凪原に突き刺さっていた視線の冷たさが少しだけ和らぐ。
「本当ですか?」
「本当、みんながどれくらい運動できるのかが知りたかっただけだから本当にそこしか見ていないよ。見た時には胡桃が一緒にいたし、何ならログを確認してくれても構わない」
美紀からの問いに目を見てはっきりと宣言する凪原。その様子は嘘をついているようには見えなかったようで、何とか納得してもらうことができた。
「分かりました、胡桃先輩も何も言ってませんし信じることにします」
「ま、凪先輩はそういうことをする人には見えないしね」
「でも、もう少し言い方には気を付けてちょうだい。いきなり言われたからびっくりしたわ」
「悪かった、ありがとう」
「なぎ君は男の子なのでよく分からないかもしれませんけど、もう少し注意してくださいね。それに今は生徒会長じゃないんですから、データベースにアクセスするときは私に言うようにしてください」
「うん、分かった。ちょっと軽率だったから次からは気を付けるよ」
慈からも小言をもらうこととなったが、自分でも悪かったと思っているので素直に受け取る。
少々脱線してしまったが、改めて特訓のことに話を戻す。
「それで皆の体力測定の結果を見せてもらったわけなんだが、それぞれ微妙に得意不得意があるとはいえ運動部だった胡桃以外はあんまり差がないという結論になった。という訳で、しばらくは全員同じ内容の訓練をしてもらうことにした。具体的には体力作りと基礎的な近接戦闘技術を身につけてもらうことになる」
「思ったよりも普通ね」
「だね、なんというかもっと映画の鬼軍曹みたいなノリでやるのかと思ってたよ」
「君らは俺をどういう奴だと思ってるんだよ…」
拍子抜けした様子の悠里と由紀の言葉に、自分がどんな風に思われているかが分かり微妙な表情になる凪原。
「あのなぁー、確かに俺はイベントとかサプライズとかは好きだけど、時と場合はちゃんと弁えてるつもりだぞ?今回みたいにいざという時生死に直結しそうなことに関しては真面目にやるさ」
「そういえばそうだったわね。ごめんなさい、つい普段の時のイメージが先行しちゃって」
「つまり普段はそういうことする奴と思われてるわけね……」
「りーさんにここまで言われるって、ナギ先輩現役のころいったい何やってたのさ?」
謝られはしたが根本的なイメージは固定されていることが分かり、凪原は自分が生徒会長をしていた時の後輩からの印象を突き付けられた気分になる。とはいえ、反省したり改めたりするつもりは毛頭ない。だってその方が面白いし。
「さて、また脱線しちゃったな。俺の普段のイメージは今は置いておいて、今日はまず皆がどれくらい動けるかを見るために俺と鬼ごっこをしてもらう、ちなみに俺が逃げる側な」
その言葉に表情を変えたのは、由紀、悠里、慈の
「鬼ごっこかー、小学校のころ好きだったけど最近やってないな」
「圭はこういうの得意そうだよね、私はあんまり得意じゃなかったかな」
「お、じゃあ2年生ズからいくか。範囲はここから太陽光パネルの手前まで、制限時間3分以内に俺を捕まえられればそっちの勝ちだ。――何なら2人同時にでもいいぞ?」
圭と美紀の言葉に凪原が声をかける。彼が指定したエリアは屋上の一部分、ブロックや給水塔などの障害物が少しあるとはいえかなり狭い。仮に1対1であったとしてもその範囲内だけで3分間逃げ切るのはなかなか難しいだろう。それにも拘らず凪原は2対1を提案し、さらにそれを小さく笑いながら言い放った。
相手をなめているようなその態度に美紀が反応し、少しムッとした表情で口を開く。
「もしかしてバカにしています?運動神経が悪いわけではないのでそんなハンデをもらわなくても捕まえられますよ」
「いや別にバカにはしてないさ、体力テストの結果を見てるから運動が苦手じゃないのも知ってる。そのうえで言うけど美紀だけじゃ捕まえるのは無理だな、もちろん圭1人でも無理」
その言葉に話を聞いていた圭も片眉を持ち上げる、どうやらプライドを刺激されたようだ。
「ふーん、美紀だけじゃなく私にもそんなこと言っちゃうんだ。よっぽど自信があるんだね凪先輩、あたし等2人がかりだったらきっとすぐ捕まえちゃうよ?」
「自信があるかってことならそうだな、2人でかかってっきてまぁ何とか捕まえられるかどうかってとこじゃないか?多分無理だと思うが」
「「へぇ…」」
凪原があくまで余裕な態度を崩さないことが、2年生2人のやる気に火をつけたらしい。そろって低い声を出したあと顔を見合わせて頷き、凪原に指を向けて宣言する。
「そこまで言われたら黙ってられませんっ、私たちで相手させてもらいます」
「1分以内で捕まえてその自信を叩き折ってあげるよっ」
「(掛かったっ)よーしいい度胸だ、2人まとめてかかってこいっ」
美紀と圭の宣戦布告に、内心で快哉を上げながら応じる凪原。こちらの実力を知らない2人なら全力で挑んできてくれるだろう、久しぶりに楽しめそうだ。
そしてその様子を見ていた他の面々はというと―――
「やっぱこうなったかー……2人ともかわいそうに」
「まぁ凪原さんの実力を知らないであんな言い方されたらそうなっちゃうわよね」
「あぁなぎ君あんな楽しそうに笑っちゃって…」
「みーくんもけーくんもびっくりするだろうね~」
―――既に2人が負けることを確信しているようで、美紀と圭を心配したり哀れんだりしていた。
特に慈は、それはそれは楽しそうに笑う凪原を見て身を震わせていた。今の凪原の笑みは生徒会当時、(すでに十分に検討されて、反対するのが難しいレベルまで練り上げられた状態の)
その笑顔に(物理的、精神的ともに)散々振り回された身としてはもはやトラウマに近い。
一方慈たちの憐みを含んだ視線に気づかない美紀と圭は、2人でストレッチなどをして入念なアップを始めていた。対する凪原は軽く手足を振る程度でそれほど気負った様子もない、そんな態度もまた2人のやる気の火に油を注いでしまっているのだがまぁ仕方がない。
そんな中、観戦組の中でただ1人凪原の実力を知らない
「ゆーにぃ大丈夫なの?捕まっちゃわない?」
「ん?ああそっかるーは知らなかったな。平気平気、ゆーにぃこういうの大得意。絶対捕まらないから安心して見ててな」
「分かったの。頑張ってね、ゆーにぃっ」
「ああ、任せとけ」
頭をなでながらそう答えれば、納得して笑顔を見せてくれた。もとより負けるつもりはないが、彼女のためにも負けるわけにはいかない。
「そろそろ始めるぞ。準備はいいか?」
「大丈夫です」
「いつでもいいよー」
確認のために声をかければ2人とも問題ないとのことだったので、凪原も柔軟を終わらせてルールの最終確認をする。
「そんじゃ改めてルールの確認な。エリアはさっき言った通り、制限時間3分以内に俺を捕まえられたらそっちの勝ち。捕まえたかどうかの判定は外部に任せるとして、エリアから出ちゃったら失格、でどうだ?」
「はい、問題ないです」
「おっけ~」
「よし、そんじゃ胡桃達は審判役よろしく、見づらいところとかあるかもしれないしできれば四方から見ててくれ」
「あいよー」
観戦予定の皆に審判役を任せて開始位置につく。美樹と圭はエリアの反対側の端に、胡桃たちも分かれてエリアの四方にそれぞれ移動した。全員が位置についたのを確認して胡桃が首から下げていたストップウォッチを掲げる。元陸上部ということもあってかその姿は様になっていた。
「くれぐれもケガには注意してくれよ。それじゃあ、用意――スタートッ」
声とともに掲げていたストップウォッチを振り下ろす、それと同時に3人が一気に動き出した。
「覚悟してくださいっ」
「すぐに捕まえてあげるよっ」
「よっしゃかかってこい小娘どもっ」
左右から回り込むように向かってくる2人に、凪原は普段は見せない獣のような笑みで声を張りあげた。
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「そん…な…」
「嘘…でしょ…」
3分後、校舎の屋上には倒れ伏している美紀と圭の姿があった。2人して息も絶え絶えであり、呆然としたように呟いている。そしてその視線の先には、立ったまま2人を見下ろす人物が1人。
「お疲れさん、初めてにしては結構いい動きだったと思うぞ?今後に期待だな」
そう話す凪原の様子は顔色一つ変わっておらず、普段と違うところは見られない。よく観察すれば呼吸が微妙に荒くなっているのだが、少なくとも倒れている2人には気づけなかった。
「はーい2人ともお疲れ。ま、よく頑張ったと思うよ?鬼ごっこでナギに勝とうなんて無茶もいいところなんだから」
倒れている2人の傍らにしゃがみ込み、「ほら」、と蓋を空けたペットボトルを差し出しながらそんなことを言う胡桃。美紀と圭は上体を起こすと震える手で何とか受け取り、一気にのどに流し込んむ。そしてようやく人心地着いたところで口を開く。
「ぷはぁっ、なんなの!凪先輩の動きっ、どう考えてもおかしいでしょ⁉」
「全力でやったのに軽くあしらわれたんですけど…」
鬼ごっこの内容は、美紀が言った通り軽くあしらわれたというのがしっくりくるほどのものだった。
左右から挟み込むようにかかってもスルリと抜けられるし、正面にいたはずなのにステップだけで躱されたり伸ばした腕の下をスライディングで超えられたり、極めつけはエリアの端に追い詰めたと思ったら近くにあった給水塔を足場にした見事な三角跳びで2人の頭上を飛び越えられた。
明らかに動きが素人のそれではない。
そんな2年生2人の内心を余すところなく受け取った胡桃は、凪原の現役時代を知る世代にとっての常識を教えてあげることにした。
「ナギは身のこなしがバケモノ並なんだ。あたしらの代はみんな知ってるから引っかからないけど、2人は知らなかったからな。全力で掛かってきてもらえるようナギに誘導されたんだよ」
「要するにからかわれたってこと」と締めくくった胡桃に、美紀と圭はそろって「そんなぁー…」と声を上げた後に再び倒れ伏した。
はい、訓練という名の鬼ごっこ回でした。
胡桃以外の学園生活部メンバーの訓練に関しては、21話において凪原たちの間で会話が為されています。こんな世の中だから全員ある程度戦えないとねってことです。
体力テストと身体測定
別物なんだけど、なんか近いカテゴリーに入る。男子はそれでいいけど女子にとってはそうはいかない、らしい(伝聞)。筆者は身体測定の時どれだけ効率よく回れるかを競ってRTAの真似事をまいとしやってた。
鬼ごっこ
訓練の一環、やっぱり体動かすのは大事。凪原たち第31代生徒会は日々校舎内を駆け回っていたようで、悠里たちにとっては日常茶飯事だった様子。………生徒会とは?
訓練の話は書きたいシーンがある為少し続きます、
それではまた次回!