一方、雷電は――。
デス・ストランディング発売記念として特別ルールでやってます。
やる気が尽きたら終了、となってます。反応をください、皆様のご協力をお願いします。
2時間ばかり車道を見張って車を1台。
そこからは道なき山道を自ら作る勢いでかなり強引に進み、スケルテックの用意したと思われる小さな無人の小屋を見つけることができた。
多少の傷薬と食事、水。そして地図を手に入れられた。
どうやら自分達はフェンホッグという土地の北西部にいることがわかったが。次を考えるには情報があまりにも足りない。
深夜になると人の気配がこちらの方角に迫ってくるのを感じ。怪我をしている相棒と相談してこのまま強引にとなりのエリアへと入ることにした。
ヴァシリーも自分も次第に口数が少なくなっていた。
自分たちを狩ろうとする存在が、まだ諦めずに匂いを辿ろうとしているのだとわかっていた。プロは追跡するのに獲物の地と苦痛を敏感にかぎ取ることができる。手負いを逃すことは期待できない。だが戦えば、恐らく結果は――。
4WDの運転席側に空いている小さな2つの穴。その向こう側を眺めて悪路を運転する私に、うめき声をあげまいとしている相棒は「やれやれ、お前の運転はやっぱりご機嫌なサウンドがないと拷問だな」と憎まれ口をたたいて気をまぎらわそうとしていた。
無言で睨むと、今度は苦笑いを浮かべながら可愛い声で「ママ、ごめんなさい」と言って両手を上げた。これには思わず私も噴き出してしまう。
彼の状態はあまり良くない。車の移動が始まってたった一晩で2度も傷口が開いていた。
ヘリから持ち出せなかった軍の救急キットがないのがくやまれる。できればやりたくなかったが、大草原の中で針と糸で処置することにする。
「それでこの後は?」
不愉快な痛みに耐えつつ、彼はそう聞いてきた。
地図は手に入ったが、自分達が望む状況にほど遠いことはすでに確認していた。アウロアの東部は開けていて、山は西側に集中していたのだ。
「墓場峰ってのを目指そうと思ってる。どうかな?」
「嫌なネーミングだな」
「同感だけど、誰かの頭に穴をあけて手にいれた車じゃ、いつまでもは使えない」
(それにこのまま出血が続くと、あんたは身動き取れなくなる)
車を捨て、山に入ればどこかで落ち着ける。ヴァシリーの傷の経過を見ながら、あとは自分が地元の人間らと接触を図っていければいい。かなり現実を無視している楽観論だが、そもそも真面目に考えたらお互いさっさと銃口を加えて処理した方がいい。だが諦めないなら――今くらいがちょうどいいのだ。
「山に入ったら俺とお前で楽しい穴倉生活か。夢がないな」
「なによ。きっと楽しいって色々試しましょ」
「えっ、おい。いやいや、待てよ。そりゃまさか――」
「男断ち出来ない女盛りだから当然でしょ。喜びなさい」
相棒を元気にするためなら多少はエロ話もやってやる。
「カッ、カハハハハッ、カハッ。やめてくれ、ないない。それはないよ」
「あんた変な笑い声ね。それにないってのはなんだよ」
「お誘いは嬉しいけどな。俺、女房以外とは寝ないって誓ったんだ」
「……」
思った以上に真面目で重い言葉に絶句してしまった。
ゴーストは表向きは死者として扱われる。つまり帰る日常はないのだ。愛した人は、自分とのことを過去として未来に向かって歩き出すが。そこに自分はいられない。
「面倒な奴!こっちは面倒な女じゃないのに」
「人はそれぞれなのさ。相棒」
そういえばこいつとは2年の付き合いだな。
余計なことを考える自分に、泣きわめくつもりかバカ女!と内心で叱咤し車に乗り込んだ。
とにかくこれまでは運が良かった。
これからも運がいい、はず。
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ボリビアでおこなわれたキングスレイヤー作戦の1年前。
やはり
2018年、パキスタンはシャバッサバート空軍基地。
ここで雷電という男は”伝説の傭兵”と呼ばれることになる事件を終わらせた。この時はアメリカ大統領襲撃の情報を入手、因縁からこれを阻止しようと動いたのだ。
それは同時に、愛国者達と呼ばれた幻を利用する。新しい時代の悪との決着となった。
最期の時は迫っている。
雷電の鋭い一撃は、血塗られた暴力の夢を紡ごうとしたバカ騒ぎの命脈を断ち切っていた。
これで雷電は、かつてはソリッド・スネークがそうであったように。
彼が望まなくとも、人々は彼を新しい時代の”伝説の傭兵”として認識するようになる……。
だが先人たちがそうであったように。
この戦場から彼の耳元に毒のこもった囁きが、記憶が。雷電の中に残され、感染し、
スティーヴン・アームストロング。
当時のコロラド州上院議員にして、次回大統領候補のひとりと目された男。
政治家という大変な職に就いていながら、秘かに自らをサイボーグへと改造を果たしていた狂人。
その彼が、雷電に負けた。
「敗れはした。だが短くとも俺達のこの闘争は、実に素晴らしいものだった。そうは思わないか、雷電?」
「……その夢は潰えた。俺が終わらせた」
「お前はそれでいい。この俺が、お前が倒した俺達全員が敗北と共に認めようじゃないか。
雷電、お前はこれからもその力で……力いっぱい、気に入らない相手を。クズども、ムカつく奴らを。思いっきりぶちのめしてやればいい。
それこそが、俺達の新しい時代の、俺達が夢にみていた新たな闘争に、生き生きとした彩を――」
もはや人間の眼球ではないそれは冷たく輝き、雷電は容赦なく分厚い敵の胸板を貫く刀をひねり上げ。呪いと共に紡がれていた思いの詰まった言葉を最後まで言わせまいとした……。
こうして新たな伝説は闇の中を輝き、走り続けていくことになる。
時を経て2025年――作戦開始直後。
マレーシアにある小さな発着場に、中国系でオールバックのホワイトカラーが無表情に誰かを待ち続けていた。
リムジンが乗り付け、そこに客人を下ろす。姿を見せたのは雷電だ。
ビジネスマンの表情が初めて驚きのそれに代わる。
伝説の傭兵、雷電の姿は今ではどこの国でも姿はあの強化外骨格で重武装されたサイボーグと認識されている。
だが今、目の前に立つのは気軽に旅を楽しむようなバックパッカーのような。普通の人――に見える。
「あんたが紹介してもらったミスター・リン?違ったかな」
「いいえ、そうです。待ってました、ミスター・ライトニングボルト」
事務的に交わされる挨拶の間も雷電は笑みを浮かべている。
「紹介者の話じゃ、あんたにまかせたら俺を好きなところに放り込んでくれるという話だったが」
「ええ、お望みは聞いています。アウロア諸島への片道切符、フライトの準備も完了、出発時刻はあなたにあわせて始められます」
「それは凄いな――それじゃすぐにでも?」
「ええ、それがお望みなら。到着までは4時間ほど、片道なので着陸は期待しないでください。飛行中のアナウンスはございません。ブザー音の後は重力が機嫌を損ねてないことだけをお祈りください」
「わかった。サイボーグでも落下死はしたくない」
2人は並んで飛行物隊に向かって歩き出す。
「情報が入ってます。最新のものです」
「ああ」
「作戦本部は計画の発動を早めたようですよ。すでに
「へぇ」
「ええ、全機が撃墜された模様。搭乗者の生死は不明、だそうですよ」
「……マズいな、古い友人たちは無事だといいが」
(そうですね。でないとあなたの任務もやりずらくなるでしょうから)
「他には?」
「おそらくですが依頼人からのメッセージと思われるものもあります」
「ああ」
「読みます。『雷電、魂を失った
「老人が良く言うなぁ」
雷電にはそのメッセージの主がだれかわかってるのか、皮肉な笑みを張り付かせていた。
「そうそう、前もってお預かりしていた品はもう乗せてあります」
「よかった」
「ただ重量の問題が――なので別にポッドをつけてそこに積み込みました。島には運び込めますが、恐らく現地で探してもらう必要があります。あ、探しやすいようあなたの情報端末にツールを入れてあります。それをお使いください」
「誰かにとられたりしないかな?」
雷電は不安からそう口にしたのだろうが。ビジネスマンはそれをジョークと受け取ったようだ。
笑い声をあげると
「アレを欲しがるなんて、そんなまさか。ただの人間にはあれは刃物が付いた鈍器でしかありません」
「だからこそ欲しくならないか?」
「なりません。なったとしても、持ち運びには苦労するでしょうね」
20分後、空の彼方へと消えていく飛行物体をビジネスマンは彼にしては珍しく。感傷的な気持ちで見送っていた。
アウロア諸島北西部、白十字山。
雪が凍り付く斜面を昇りつめ、俺は頂を目指していた。
先程も確認のために起動した端末によれば、目的のものはよりにもよって頂上付近にあるとわかっている。
ノマドはずっと疑っていたが、奴の言う通り。
俺には俺で目的があってここにやってきた。その任務はゴーストの誰にも伝えるつもりはない。
だがアウロア諸島の中で騒ぎが起きていることだけは理解していたし、ウォーカー元中佐がいることも知っていた。
でも今の状況はそれ以上に悪いのだと、漂う空気の匂いと経験からひしひしと感じられる。
とりあえず計画は立てた、即興だったが。
当分は地元の住人達とノマドに力を貸すことが近道だろうと思ってる。恐らくはノマドも、自分と別れての単独行動を希望したのはこちらには知らせたくないなんらかの考えがあってのことだと思う。
まぁ、それについては戻ったときにでも話せばいいか。
苦笑いを浮かべつつ、雷電はついに頂上にたどり着く。
なんとも絵になる光景だった。
雪の中、まるでゲームか映画の世界のように。そこに自分を使える選ばれたものが来るのを待っていたかのように。
ひと振りの日本刀めいたそれは大地に突き立っていた――。
雷電はそれに手を伸ばすとアッサリ引き抜いて見せる。
手に取って鞘のまま、軽く振る。
全長、約115㎝は打刀と呼ばれる一般的なものと比べるとやや長めで。並べてみれば、刃の長さだけでこちらは15㎝は長さが違うと目でわかる。
普通の刀のように鍔はないが、鯉口と”はばき”にあたる構造が残され。刀身と柄の違いを示している。
使われている合金は確かに重さはあるが、ミスター・リンが言うような「ただの人間には刃のついた鈍器」というほどではない……はずだ。少なくともそういう注文で作らせたのだから。
「勇者の剣、冗談だろ」
背嚢にそれを”装着”させると、立ち上がっていきなり今度はそれの抜き、構え、戻しを一動作でおこなってみる。
達人のようなその正確な動きに空気が次々と切断され、音を立てることなく刀は元のさやに戻っていく。
満足そうな笑みを浮かべる雷電であったが。
ふと、どこからか騒ぎのような音を聞いた気がした。
軽く周囲を見回すが、なにかあるわけでもなく。だが確かに特定の一方向から妙に気になるものを感じる。
「――見てみるか」
雷電はその方角を向いて腰を下ろすと、片手でのぞき穴を作り。それを目に当ててみた。
人口の眼球はそれに反応し、遠景を見つめる倍率を跳ね上げてくれる。
爆発音や何かがあったわけではないが。
しかしそこの木々から”何かの騒ぎ”によって慌てて逃げようと飛び立っていく鳥たちの姿が確認できた。
――何だろうな
興味がわいてきた、トラブルの匂いがした。
目を閉じたまま立ち上がり、山頂で軽くストレッチした後。一回だけジャンプする。
薄い空気と浮遊感、それが自由だと感じさせてくれる一方。脳内のスイッチを切り替える。
そこから始まったことはあまりにも現実離れしていた。
サイボーグは着地からグラリとその不安定な足場にもかかわらず前傾になり、そして爆発的なスピードで走り出した。まるでオリンピックの短距離走、そのスタートで見ることのできるそのままの勢いで――しかしここは高山の山頂、斜面は転がり落ちれば怪我では済まないかもしれないというのに!
雷電は斜面を足から迸る光をまとわせ、駆け下りてみせた。
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運のよい時間はとうとう終わりを告げてきた。
山道を走って山に入ると、しばらくして突然にうっそうとした木々の中にスケルテックのものらしき電波塔に出くわしたのだ。
それを気にせずに通り抜ければよかった。
だがこちらは物資に乏しく、情報も又乏しかった。それが何なのかを知らなかった。
無人の気配だったことから、軽い気持ちで車を降り。それでも静かに電波塔らしきそれに近づこうとした。
いきなり響く警告音は体の中と外で一斉に鳴り響く!
そばに転がっていた岩場の影からそれを警告音をがなり立てて勢いよく飛び出してきた。自動車のようだが、動き方がおかしい。
こちらもそれを確認しないまま、それでもスイッチが入って動き出した。それが命を救った。
――ベヒモス
スケルテックが開発、緊急配備しようと開発中だったAI搭載型の大型の攻撃ドローン。
その圧倒的な火力と防御力は、私たちの今の火力ではどうにもならない相手だった。
「隠れてた!?」「よせっ、逃げろ!」
ヴァシリーは足を止めるなと言っている。
足を引きずりつつも、信じられない速さで前を行く彼についていく。わめき散らす後方のロボットは、激しく左右に運動したと思ったらいきなり攻撃を仕掛けてきた。
ミサイルらしい発射音が続き、それが終わると聞きなれたマシンガンの発射音が鳴り響く。
――嘘でショ!?
森の木々はマシンガンによって幹を砕かれ、穴を作って崩れていくのを近くで感じた。
そして木々の上から降り注ぐそれは、斜面を駆け下りる私たちに向かってきて。命中はしなかったがその爆発の衝撃で互いにバランスを崩すと、斜面に体は投げ出されていた――。
そういえば昔、聞いたことがある。
クマの巣穴を見つけ、使い古したものに見えたからと中に入ってみる。
だが曲がりくねった巣穴の最深部が見えてくると、そこから入っていくコチラを見つめる目があった――。そんな嫌な逸話のことだ。
母は嫌っていたが、カナダに一時期住んでいた父は銃と猟を愛していた。
人が持つ原初の衝動が猟であり、人が持つ知恵がもたらせた道具が銃だと語っていた。
父はこの話で私が怖がることを期待していたようだが。困った娘はいつだって賢いふりをしてそんなバカはしないと切り捨てていたっけ。
彼らが生きていて、もし運よく生き延びれたら私は間違いなく話していただろう。
あんなに賢かった娘も、大人になったら結局クマの巣穴に潜り込むような真似を普通にやっていたって……。
「……パー。ヴァ……っ!しっかりしろよ、起きろ!」
「ん?あっ、滅茶苦茶痛い」
「馬鹿野郎!状況を考えろ、何変な声上げてんだよっ」
焦っている相棒の声に、自分達の状況を思い出してきた。
歯を食いしばりながら体を起こし、周囲を確認する。とくにない、何も追手は来ない。
「アレは?いないの?」「ああ、あそこ守ってたようだ。俺達はウッカリそこに足を踏み入れちまったらしい」
「あれはクマの巣穴だったか……」「あ、なに!?」「なんでもない」
ライフルを構えながら立ち上がろうとするが、なぜか相棒はいきなりこちらの足を払って再び引き倒す。
思わずカッとなり怪我人を怒鳴りつけた。
「なにするんだよ、このクソ野郎!盛ってここでヤリたいってか!?」
「そうじゃない、顔を低くしろ。チクショウ!」
何なんだよ――そう思いつつ、相棒が覆いかぶさってこないって理由だけで体の力を抜き。仰向けになった上空を見上げてみた。
その時、自分達の真上にある空を横切っていくなにかを見た。
あまりにもそれは高いところにいたので本当に肉眼で見えたはずはないかもしれないが、その”機体”から何かが地上へと投下される瞬間も確認した。
死んだ、そう思った。
それは最初、爆撃機から投下する10トン爆弾を連想したからだ。
地上でちょうど寝っ転がっているこちらは避けることも出来ずに綺麗に吹き飛ばされるはず――。
だがそんな嬉しくない予想は外れてくれた。
それは普通に地上にまで落ちてきて、転がる2人のそばで転がっただけだった。不発弾?違う。
いきなりだった。
激しい頭痛とギィーンと頭蓋を震わす音に顔をしかめ、うめいてしまう。
一瞬の不愉快な苦痛が消えていくと、落下物はいつの間にか赤い閃光と共にモクモクとピンク色の煙を吐き出してそこにいる。
「――なんだ?」
「マズい、マズッ!見つかった!!」
恐怖が思い出された。
あの夜、必死に逃げ回るこちらを狩ろうとした部隊。上空を通り過ぎたあれは無人偵察機で、そいつが残していったこれは奴らにエモノの位置を知らせる事。
そう、まさに運はこの瞬間に尽きたのだ。
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その夜の呼集は、まさに運命の夜だったといえるだろう。
この新しい部隊の新しいリーダーの前に整列する彼らは、どれも最新鋭の装備に身を固め。時が満ちるのを期待と興奮で待ち構えている。
「戦士の価値はどう確かめたらいい?答えは簡単だ、戦えばいい」
そう、彼らは現代の戦士。
暴力は使うが。それは狩りをするため、獲物の血を流し、その命を喰らうため。
「もうすぐ戦いが始まる。ここにいる狼達がそこで目にするのは、かつての自分達の姿、亡霊だ。
にっこり微笑んでやって、握手をして抱き合うなんてことは起こらない。決してな。
そこにはかつての自分はいたが。戦友も仲間も、今はいない。
何かを感じたとしても、お互いが感じるのは自分の飢えだけだ。弱さはすぐに結果に出る、強い奴が勝つからだ」
本当の戦士は今はここにいて、隣にいる。
亡霊は狼ではない。生きてすらいない。
「ゴーストにも輝かしい歴史はあった――だが、その古いやり方が時代から見放された。取り残された!
戦士の価値を見ることはなくなり。つまらない理由と政治で、誇り高い戦士が立つ戦場を遊び場にしてしまった……あいつらにはなにも期待は出来ない。
だが俺達は違う!
ここにいる者は全て己の使命を理解している。真の戦士に必要なのは過去じゃない、未来の栄光だ。
優れたテクノロジーを使い、わめいて声が大きいだけの羊の群れを囲い。俺達はようやくふさわしい、今の姿を。この姿を手に入れることが出来た。
――それが狼だ。それが俺達だ。
お前たちを見て、俺は誇りに思う。
正しくあるべき姿をもって、強いアメリカの未来を再び実現させる強い部隊がここにはある。
今夜を過ぎれば、世界は俺達の存在を知る。戦いはようやく表に出てくる、あとは結果が俺達の価値を証明してくれるだろう」
誰も何も口にしない。
ただその言葉に入る熱が、大きくうねりをもって彼らの中を駆け回っていた。
「世界は俺達を必要という。だから勝利を掴む!勝利は、俺達に新しい歴史を与える。
それはつねに後ろに、過去にあるものじゃない。前、俺達の前に存在する。俺達は甘いことは考えない。だから時に勝利が難しいことも知っている。
だが心配はいらない。
お前たちには勇気がある、未来を見つめる目がある――それが俺達が歴史に刻まれる理由となる!
狼になれ、友よ!戦場に飢え続ければ、お前たちは狼となれる。人は捨てろ、狼になれ」
コール・ウォーカー元中佐が率いる部隊の名はウルブス。
誇り高い狼たちの軍団、その正体は彼と同じ元はゴースト出身者たちで構成されているという。
その名前と経歴は伊達ではない。それぞれが高い技術と経験は戦場では大きな武器となる。さらに今の彼らにはスケルテックの最新技術を用いた最高の装備がある。
腹のふくれた狼は決して無駄な殺しはしない。だが飢えている限りは、その視線にはいる獲物を襲うことに何のためらいもない。そして狼は終わらない上の中、最初の獲物を追い始めようとしていた。