青年の異世界戦記〜ありふれた職業で世界最強〜   作:クロイツヴァルト

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今回はちょっと短いです。


第四話

 

 「ハジメは奴の動きを阻害しろ!その間に俺が奴をなんとかする!」

 

 「わ、分かった!」

 

 巨大な魔物〝べへモス〟の前に立つ戒翔は少し後ろにいるハジメに指示を出す。

 

 「グルゥアァァァッ‼︎‼︎」

 

 己の前に立つ戒翔に対してべへモスは天に向けて咆吼すると先程の結界に突撃した時と同じ前傾姿勢の状態で突撃をしてくる。

 

 「その図体で迫られると中々に怖いな」

 

 言葉とは裏腹に戒翔は一切恐怖しておらず涼しい顔でべへモスに対して中腰で構える

 

 「しかし、踏み込みがまだまだ甘いわ‼︎‼︎」

 

 「グギャァァアァアアァッ!!!!」

 

 裂帛の声を上げて戒翔は迫るべへモスの顎下に移動して氣を込めた掌底をべへモスの顎目掛けて打ち込み、拍子でべへモスの頭がカチ上げを喰らう。自身よりも小さい存在に攻撃をされ、更には感じた事のない痛みに思わずといった風に痛みと怒りの声を上げるべへモス。

 

 「いまだ、ハジメ!」

 

 「うん!〝錬成〟!」

 

 カチ上げを喰らいタタラを踏んだ様に後ずさるべへモスの足下の地面を錬成する。するとべへモスの周囲の足下の石畳が変質しべへモスの四肢を絡めとる。

 

 「クッ!戒翔、長くはもたないよ!」

 

 「一瞬あれば十分!」

 

  四肢を絡め取られたべへモスは必死で拘束から逃れようとそちらに意識を取られた隙を逃さずに戒翔はそのべへモスの腹の下に潜り込むと

 

 「生き物なら内臓に響く一撃はさぞ効くだろうな!変則式〝桜花崩拳〟!」

 

 魔力と氣の力を拳に纏わせた一撃を腹部に喰らいその衝撃は十数メートルはあるべへモスが橋の上から数メートル浮くことからもその威力が窺えるものであった。

 

 「戒翔、メルド団長から撤退完了の合図だよ!」

 

 浮いたべへモスの下から退避した戒翔にハジメは近付きながらそう告げる。

 

 「了解だ。なら急ぐぞ!」

 

 ふらつきながら立ち上がるべへモスに対してメルド団長の号令の下色取り取りの魔法が放たれ、戒翔達の撤退の支援をする。

 

 「よし、ここまで来れば」

 

 近くまで来たハジメが安堵の息を溢すが次の瞬間

 

 「え……」

 

 「ハジメぇッ!」

 

 弾道から逸れた一発の炎弾がハジメの足下に落ち、その衝撃で激しい戦闘で脆くなっていた石畳が崩れて足下が崩れてハジメが落ち、戒翔は叫びながらハジメの後を追う様になおも崩れる橋を飛び降りる。

 

 「南雲くん!?イヤアアアァァーーーッ!」

 

 「戒翔!嘘でしょう……約束したじゃない絶対に戻るって!嘘よこんなの…絶対に嘘よぉッ‼︎‼︎」

 

 「香織行くな!君まで死ぬ気か!雫もだ。二人はもうダメだ!これ以上無理をすれば壊れてしまうぞ!」

 

 落ちる戒翔達に向けて駆けようとする白崎達に天之河が言うが錯乱する二人にその言葉は今言うべき言葉では無かった。

 

 「無理って何!南雲くんは死んでない!行かないと、きっと助けを待っているわ!」

 

 「戒翔もよ。アイツは私に嘘を言った事はないわ!絶対に生きているわ。だから今から助けに」

 

 興奮する二人の後ろからメルド団長が近づき無言で首に手刀を振り下ろし、衝撃で一瞬だけ痙攣して二人は力なく意識を失う。

 

 「メルド団長、ありがとうございます。それとすみません」

 

 「礼などいらん………。もう誰一人として死なせるわけには行かない。この後は全力で迷宮から脱出する。……彼女達を頼む」

 

 「言われなくても二人は俺が護りますよ。」

 

 そう言って天之河と近くにいた龍太郎を呼び、二人を背負って迷宮の階段を上っていく。

 

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 「痛ッ!……ここはあの橋の底か?」

 

 痛みで起きた戒翔は起き上がると辺りを見回す

 

 「一緒にハジメも落ちているはずだが……ハジメぇ!無事か!何処にいる!」

 

 周囲を警戒しながらハジメの名を呼ぶが辺りに人の気配はなく逆に戒翔の声に引き寄せられて魔物の気配が戒翔のいる場所に近づいて来る。

 

 「今は貴様達に構っている暇はないんだ。ハジメを探さなきゃならんからな!」

 

 近づいて来る様々な魔物を前に戒翔はそう叫びハジメを捜すために行動を開始するのであった。


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